説明

識別コードの製造方法

【課題】外部から視認不能な場所に配置された際に、外部から読取り可能な識別コードを製造する識別コード製造方法を提供する。
【解決手段】識別コードの製造方法において、溶融化した金属材料を所定量ずつ金属粒子として基板上に噴射し、この噴射された金属粒子を基板上に順次付着させ、基板上に識別コードを作成する。金属粒子は、粒径が10ミクロン〜300ミクロンの範囲内とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別コードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一次元コードや二次元コード等の識別コードを商品に付し、これらの識別コードをコード読み取り装置で読み取ることで、商品管理を行うことが知られている。コード読み取り装置としては、赤色光を識別コードに照射し、反射光を受光素子で受光するものが一般的に用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、商品が箱の内部のような外部から視認不能な場所に存在する場合には、商品に付された識別コードをコード読み取り装置により読み取ることができないという問題があった。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、外部から視認不能な場所に配置された際に、外部から読取り可能な識別コードを製造する識別コード製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、識別コードの製造方法であって、溶融化した金属材料を所定量ずつ金属粒子として基板上に噴射し、この噴射された金属粒子を基板上に順次付着させ、基板上に識別コードを作成することを特徴としている。これにより、例えばX線のような電磁波あるいは超音波を用いたコード読取り装置を用いることで、外部から視認不能な場所にある商品に付される識別コードが外部から読取り可能となる。
【0006】
また、金属粒子の粒径は、10ミクロン以下は扱いが困難であり、1000ミクロン以上は表面張力の問題でメタルジェット方式で金属粒子を噴射するのが困難となるため、10ミクロン〜1000ミクロンの範囲内とすることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。
【0008】
図1は、本実施形態の識別コード製造装置の概念図である。図1に示すように、識別コード製造装置は、金属粒子噴射部10、金属材料供給部11、放電発生回路12を備えている。
【0009】
金属粒子噴射部10は、いわゆるインクジェットの原理を利用して金属粒子20を噴射するメタルジェット方式を採用しており、溶融した金属材料を圧電素子(図示せず)の圧力により金属粒子20として吐出するように構成されている。金属粒子噴射部10から吐出された金属粒子20は、基板30上に付着して固化し、識別コード21が形成される。識別コード21は、二次元構造物として構成されている。基板30は金属板から構成され、図示しない移動機構が設けられており、平面的に移動可能となっている。
【0010】
金属粒子噴射部10から吐出される金属粒子20の粒径は、10ミクロン〜1000ミクロンの範囲内とすることが望ましい。金属粒子20の粒径が、10ミクロン以下は扱いが困難であり、1000ミクロン以上は表面張力の問題で、メタルジェット方式で金属粒子を噴射するのが困難となるからである。金属粒子20の粒径の上限値は800ミクロン以下であることがより望ましい。
【0011】
金属材料供給部11は、金属材料を金属粒子噴射部10に供給するように構成されている。金属材料としては、半田、鉄、コバルト、銅等の金属材料を用いることができる。二種の金属材料を積層する場合には、融点が近い金属、あるいは結合しやすい金属を用いることが好ましく、例えば、鉄と銅、鉄とニッケル、鉄とコバルト、銅と亜鉛、銅とニッケル等の組み合わせが適している。放電発生回路12は、金属粒子噴射部10のノズル内で放電させることで、金属材料を溶融させるためのものである。
【0012】
制御部13は、データ記憶部14に記憶された二次元構造体の構造データに基づいて、金属粒子噴射部10に吐出信号を出力するとともに、基板30を移動させる信号を出力する。ここで金属粒子噴射部10に出力する吐出信号は、放電パルスの幅と周期を変えることができるようにすることによって吐出する金属粒子20の大きさと数を変更することができる。また、データ記憶部14に記憶された三次元構造体の構造データとは、本実施例では形状に関するデータであるが、二種以上の複合材料では材質に関するデータをも有する。
【0013】
図2は、本実施形態の識別コード製造装置で製造される識別コード21の具体例を示している。本実施形態の識別コード21は、二次元方向に情報を持つ二次元コードとして構成されている。図2の識別コード21において、黒く表示した部分は金属粒子が存在している部分を示し、黒く表示した部分は金属粒子が存在している部分を示している。
【0014】
図3は、本実施形態のコード読取りシステムの構成を示している。図3に示すように、商品40の表面に識別コード21が設けられた基板30が付されており、この商品40が容器41内に収納されている。このため商品40およびこれに付された識別コード21は外部から不可視の状態となっている。
【0015】
本実施形態のコード読取りシステムは、医療用CT(コンピューター断層撮影)と同様の原理を利用した装置である。コード読取りシステムは、制御装置50とコード読取り装置51、X線照射装置52を備えている。制御装置50は、コード読取り装置52にて読み取った識別コードの解読処理を行うように構成されている。X線照射装置51は、商品40が収納された容器41にX線を照射するように構成されている。コード読取り装置52は、容器41内を透過したX線を検出するように構成されている。このようにX線を用いることで、容器41内の識別コード21を読み取ることができる。これにより、外部から視認不能な場所にある商品40に付された識別コード21が外部から読取り可能となる。
【0016】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、識別コードとして二次元コードを用いたが、これに限らず、何らかの情報を有する識別コードであればよく、例えば一次元コードや文字コードなどを用いることもできる。
【0017】
また、上記実施形態では、金属粒子からなる識別コード21をX線を用いて読み取るコード読取り装置を用いたが、これに限らず、X線以外の電磁波を用いて識別コード21を読み取るように構成してもよく、あるいは超音波を用いて識別コード21を読み取るように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】上記実施形態の識別コード製造装置の概念図である。
【図2】上記実施形態の識別コード製造装置で製造される識別コードを示す平面図である。
【図3】上記実施形態のコード読取りシステムの構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0019】
10…金属粒子噴射部、11…金属材料供給部、12…放電発生回路、13…制御部、14…データ記憶部、20…金属粒子、21…識別コード、30…基板、40…商品、41…容器。50…データ処理装置、51…X線照射装置、52…識別コード読取り装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別コードの製造方法であって、
溶融化した金属材料を所定量ずつ金属粒子として基板上に噴射し、この噴射された金属粒子を前記基板上に順次付着させ、前記基板上に識別コードを作成することを特徴とする識別コードの製造方法。
【請求項2】
前記金属粒子は、粒径が10ミクロン〜1000ミクロンの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の識別コードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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