説明

警報器の取付構造

【課題】何れの取付面に対しても取付可能な警報器の取付構造を提供する。
【解決手段】固定具2を用いて警報器本体1を天井面4に固定可能な警報器の取付構造であって、警報器本体1を固定具2に対して天井面4と平行に並進移動させて係止する係止部および被係止部を、警報器本体1と固定具2とに各別に備え、警報器本体1が固定具2から係止解除するのを阻止するべく警報器本体1に当接可能な脱落防止具3を、固定具2の一端に取付けるよう構成してある警報器の取付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定具を用いて警報器本体を天井面に固定可能な警報器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災警報器やガス警報器、空気汚れ警報器等、一般に用いられる各種の警報器は、これらの警報器を設置する空間の天井面か壁面に取付けて用いられる。天井面に取付ける構造としては、例えば、天井面に取付ける円板状のベース部とこのベース部に所定回転操作により着脱可能な円板状のヘッド部とからなり、前記所定回転操作により前記ヘッド部が前記ベース部に装着された状態で前記所定回転操作を阻止する機構を備えたものが知られていた(例えば、特許文献1参照。)。
また、壁面に取付ける構造としては、例えば、固定板を釘状部材で壁面に固定し、前記固定板に対して前記警報器本体を並進移動させて、前記固定板に設けられた係止部に警報器本体の被係止部を係合させる取付構造が知られていた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−99875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来の警報器の取付構造は取付面の場所(天井面であるか壁面であるか)によってその構造が異なるので、取付場所に応じて採用する取付構造の種類を選択しなければならなかった。例えば、動作確認等のために警報器本体に引き紐を備えた警報器であって、固定板に対する警報器本体の並進移動によって前記警報器本体の取付面への係合及び係合解除を行う取付構造を有する警報器を天井に固定した場合、引き紐を操作する際に警報器本体が引き紐の引っ張られる方向に移動して固定具から脱落するという問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点に鑑み、何れの取付面に対しても取付可能な警報器の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するための本発明の警報器の取付構造の第1特徴構成は、固定具を用いて警報器本体を天井面に固定可能な警報器の取付構造であって、前記警報器本体を前記固定具に対して前記天井面と平行に並進移動させて係止する係止部および被係止部を、前記警報器本体と前記固定具とに各別に備え、前記警報器本体が前記固定具から係止解除するのを阻止するべく前記警報器本体に当接可能な脱落防止具を、前記固定具の一端に取付けるよう構成してある点にある。
【0007】
本構成の取付構造では、前記警報器本体を前記固定具に対して前記天井面と平行に並進移動させて係止する係止部および被係止部を、前記警報器本体と前記固定具とに各別に備えている。これによって、前記警報器本体を前記固定具に対して単に並進移動操作するだけで、警報器本体を簡単に取付けることができ、前記警報器を前記固定具から取り外すのも容易に行える。また、前記警報器本体に当接可能な脱落防止具を前記固定具の一端に取付けた後は、前記警報器本体が前記並進移動しようとしても脱落防止具が当接して押し留めるので、前記警報器本体前記固定具から係止解除されるのを容易に阻止できる。例えば、警報器の動作確認などの際に警報器本体に設けた引き紐を操作する場合、傾斜のある天井面に警報器を取付ける場合、振動によって前記警報器本体が前記固定具に対して前記天井面と平行に並進移動しようとする場合等のときにも、前記脱落防止具を取り付けた状態では、前記固定具に対する前記警報器本体の並進移動が阻止されるので、前記警報器本体が前記固定具から脱落しない。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記固定具から前記警報器本体の係合を解除するために前記警報器本体を移動させる方向を抜出方向とするとき、前記固定具の両端部のうち前記抜出方向に沿った下手側の端部に、前記固定具に前記警報器本体を係止した状態で前記警報器本体の外縁から突出する延出部を設け、前記脱落防止具に前記警報器本体に当接可能な当り面を備えると共に、前記脱落防止具を前記延出部に取付可能に構成した点にある。
【0009】
本構成のように、前記警報器本体の外縁から突出する延出部に前記脱落防止具を取付ける構成を有することで、前記脱落防止具は、前記警報器本体を前記固定具に係止した後、前記警報器本体から突出する位置に取り付けることになる。従って、前記脱落防止具の取付及び取外し操作が行いやすい。また、警報器本体から突出した延出部に脱落防止具を取付けるから、脱落防止具と警報器本体との当接状態を自由に設計することができる。このため、抜止防止効果の高い当り面を脱落防止具に設けることができ、警報器本体の固定を確実なものとすることができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記延出部に対して前記脱落防止具を係合させた状態で、これら延出部と脱落防止具との間に隙間部を構成してある点にある。
【0011】
本構成によれば、前記延出部に対して前記脱落防止具を係合させた状態で、これら延出部と脱落防止具との間に隙間部を形成してあるので、例えば、前記警報器本体を取り外す際に、この隙間部にドライバーなどの工具を挿入して抉る等して前記脱落防止具の取り外しを容易にすることができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記脱落防止具が、前記延出部を覆う閉じ姿勢と、前記延出部を開放する開き姿勢との間で揺動自在となるように前記延出部に連結してある点にある。
【0013】
本構成では、前記脱落防止具と前記固定具とを連結して構成してあるので、取付け、取外しの何れの操作も非常に簡単に、且つ確実に行うことができる。また、警報器の取付構造の部品点数が少なく、運搬、取付け、取外しの何れの際にも、通常、小さな部品となるであろう脱落防止具の紛失を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係る警報器の取付け構造を、警報器を天井面に取り付るのに利用している状態を示す。
前記取付け構造は、警報器本体1と、これを取付面としての天井面4に固定するための固定具2と、前記固定具2によって前記警報器本体1を天井面4に固定するにあたって前記警報器本体1の移動による脱落を阻止する脱落防止具3とを備える。
【0015】
前記警報器本体1としては、火災報知器、ガス警報器、空気汚れ警報器等の一般に使用される各種警報器を採用することができる。この警報器は、例えば、都市ガス検知センサ、一酸化炭素センサ、温度センサ、煙センサ等の用途に応じて各種検知対象を検知する検知部(図示せず)と、前記検知部からの検知信号に基づいて警報信号を発生させる制御部(図示せず)と、前記制御部からの警報信号に基づいて警報を発生させるブザー等の警報部(図示せず)とをその内部に備える。更に、前記警報器本体1は、警報器の動作の確認などの際に引き紐11を操作して作動させる点検スイッチ12を備える。
【0016】
図2に示すように、前記固定具2の基部26の両端側には固定孔21a,21bが貫設されている。それぞれの固定孔21a,21bを挿通して、固定部材としての螺子22a,22bを前記天井面4に螺合させることによって、前記固定具2が前記天井面4に固定される。そして、前記警報器本体1の前記天井面4に対向する面に設けられた被係止部13a,13bの夫々が、前記固定具2に設けられた係止部23a,23bの夫々に当接するまで、前記警報器本体1を前記固定具2に対して前記天井面4と平行に並進移動させることで、前記警報器本体1が前記固定具2に係止される。ここで、図1(b)及び図2に示すように、前記警報器本体1が前記固定具2に係止された状態で、前記固定具2の基部26に、前記警報器本体1の前記天井面4に対向する面に設けられた嵌合溝14が嵌入して、前記警報器本体1が前記天井面4にほぼ接するように係止する。本構成は、昆虫等が警報器本体1と天井面4との間に入り込み難くなるので好適である。
【0017】
図3は、前記延出部24の全部を覆う形状に形成された前記脱落防止具3を表す。図4(a)は図3(a)のAA断面における断面図、図4(b)は図3(a)のBB断面における断面図である。図3(a)に示すように、前記脱落防止具3の一端側には内縁部がフランジ状の門形開口33が形成され、他端側にはドライバー等の工具の先を挿入可能な開口31が形成されている。図3(b)及び図5(a)に示すように、前記脱落防止具3は、前記警報器本体1が前記固定具2の基部26に係止された状態で門形開口33が前記延出部24の基部26側に位置するように前記固定具2に取り付けられる。図4(a)に示すように、前記脱落防止具3の側面内側には凸部32が形成されていて、この凸部32が前記固定具2の延出部24に設けられた凹部25に嵌合することで、前記固定具2に前記脱落防止具3が取り付けられる。このとき、図4(b)に示すように、前記門形開口33のフランジ状の内縁部の外側面が当り面33として前記警報器本体1に当接するとともに、前記内縁部の内側面が前記延出部24の前記基部26側に突設された突起27,27に当接する。これにより、前記警報器本体1が前記固定具2の基部26から延出部24側(抜出方向)に並進移動することが規制される。また、前記警報器本体1が前記脱落防止具3の方へ並進移動しようとして前記脱落防止具3を押しても、前記脱落防止具3が前記天井面4に対する垂直方向に沿って前記延出部24に係合するので、前記脱落防止具3の姿勢が変わりにくい。従って、前記警報器本体1が前記固定具から係止解除するのを確実に阻止することができる。
【0018】
従って、本構成であれば、図5(b)に示すように、点検スイッチ12を作動させるために引き紐11を前記抜出方向に引っ張った場合にも、前記脱落防止具3の当り面33が前記突起27,27によって前記抜出方向に移動しないように固定され、前記警報器本体1の移動が規制される。
【0019】
しかも、本構成であれば、凸部32や当り面33等の部位が前記脱落防止具3の内側ではなく側周面に存在するため、その内面に空間を確保することができる。例えば、延出部24に対向する面側に大きな空間28を確保することができるので、前記延出部24を中空の円状とし、その空間28に螺子等の固定部材を配設して前記固定具2の前記天井面4に対する固定を強固なものとすることができる。
【0020】
図4(b)に示すように、前記開口31と前記延出部24の先端との間には隙間部5が形成されている。この隙間部5にドライバーの先端を挿入して抉ることによって、簡単に前記脱落防止具3を前記固定具2から外すことができる。前記脱落防止具3を取り外した後、前記警報器本体1を前記固定具2に対して並進移動させて、前記警報器本体1に設けられた被係止部13a,13bの夫々と前記固定具2に設けられた係止部23a,23bとを係止状態から解除することによって、前記警報器本体1は簡単に天井面4から取り外すことが出来る。
【0021】
尚、取付面が天井面4である場合について、本発明に係る警報器の取付構造の取付・取外し手順について説明したが、取付面が壁面である場合も同様の操作で警報器を取付・取外しすることができる。
【0022】
〔別実施形態〕
以下に別実施形態を説明する。
(1) 上記実施形態において、図2に示すように、前記固定具2は固定部材としての螺子22a,22bによって天井面4に固定されているが、前記螺子22a,22bの代わりに、固定部材として釘を採用することもできる。この場合、図6に示すように前記釘22cの挿通方向は、前記固定孔21aと前記固定孔21bとを結ぶ方向に対して直角にならないように設定するのが好ましい。これにより、固定具2を回転させようとする力が作用したとき、前記夫々の釘22cの挿通方向と固定孔21a,21bを中心とした回転方向とが異なるため釘22cが抜け難くなり、天井面4に対する固定具2の取付けを強化することができる。また、図示するように、前記基部26の側面に形成される断面略台形の両斜面に対して、前記釘22cを垂直に打ち込む等して、上記何れの釘22cも天井面4に対して垂直ではなく所定の傾斜角度を持たせて打ち込むことが好ましい。本構成であれば、仮に固定具2を天井面4から離間させる方向に外力が作用した場合でも、固定具2が離間しようとする方向と、釘22cの打ち込み方向とが異なる。このため、釘22cが抜け難く、固定具2を天井面4に強固に固定することができる。
【0023】
(2) 上記実施形態において、前記固定具2と前記脱落防止具3とは別体に構成されているが、これらは一体に形成されていてもよい。例えば、図7及び図8(a)に示すような前記延出部24を開放する開き姿勢と図8(b)に示すような前記延出部24を覆う閉じ姿勢との間で揺動自在となるように、前記脱落防止具3がヒンジ34を介して前記延出部24に連結され、前記固定具2と一体化されたものであってもよい。この場合、前記延出部24の前記基部26側に設けた凹部25に前記脱落防止具3の先端に設けた凸部32が嵌合することで、前記脱落防止具3が閉じ姿勢、即ち、脱落防止具3が前記固定具2の一端に取付けられた状態に維持される。そして、前記凸部32又はその近傍には当り面33が形成されており、前記閉じ姿勢において前記警報器本体1に当接して、前記警報器本体1が前記脱落防止具3の方向に並進移動することを抑制する。また、図7及び図8に示すように、隙間部5は、ドライバー等の工具の先端が入りやすいように、揺動方向に対して側方側に形成することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、火災警報器やガス警報器、空気汚れ警報器等、一般に用いられる各種の警報器を天井面や壁面に取付ける取付構造として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る警報器の取付け構造を表す正面図及び側面図
【図2】本発明に係る警報器の取付け構造を表す斜視図
【図3】本発明に係る警報器の取付け構造を構成する脱落防止具を表す斜視図
【図4】本発明に係る警報器の取付け構造を構成する固定具に取り付けられた脱落防止具の断面図
【図5】本発明に係る警報器の取付け構造の使用状態を表す斜視図
【図6】本発明に係る警報器の取付け構造を構成する固定具の別実施形態を表す斜視図
【図7】本発明に係る警報器の取付け構造を構成する脱落防止具の別実施形態を表す斜視図
【図8】本発明に係る警報器の取付け構造を構成する脱落防止具の別実施形態を表す断面図
【符号の説明】
【0026】
1 警報器本体
13a 被係止部
13b 被係止部
2 固定具
23a 係止部
23b 係止部
24 延出部
25 凹部
26 基部
3 脱落防止具
31 開口
32 凸部
33 当り面
4 天井面
5 隙間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定具を用いて警報器本体を天井面に固定可能な警報器の取付構造であって、
前記警報器本体を前記固定具に対して前記天井面と平行に並進移動させて係止する係止部および被係止部を、前記警報器本体と前記固定具とに各別に備え、
前記警報器本体が前記固定具から係止解除するのを阻止するべく前記警報器本体に当接可能な脱落防止具を、前記固定具の一端に取付けるよう構成してある警報器の取付構造。
【請求項2】
前記固定具から前記警報器本体の係合を解除するために前記警報器本体を移動させる方向を抜出方向とするとき、
前記固定具の両端部のうち前記抜出方向に沿った下手側の端部に、前記固定具に前記警報器本体を係止した状態で前記警報器本体の外縁から突出する延出部を設け、
前記脱落防止具に前記警報器本体に当接可能な当り面を備えると共に、前記脱落防止具を前記延出部に取付可能に構成した請求項1に記載の警報器の取付構造。
【請求項3】
前記延出部に対して前記脱落防止具を係合させた状態で、これら延出部と脱落防止具との間に隙間部を構成してある請求項2に記載の警報器の取付構造。
【請求項4】
前記脱落防止具が、前記延出部を覆う閉じ姿勢と、前記延出部を開放する開き姿勢との間で揺動自在となるように前記延出部に連結してある請求項2又は3に記載の警報器の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−52556(P2008−52556A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229215(P2006−229215)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000190301)新コスモス電機株式会社 (112)
【Fターム(参考)】