説明

豆乳製造器

【課題】確実に大豆を擂り潰し、つまり擂潰できる豆乳製造器を提供することである。
【解決手段】下方へ突設した略円錐形をなした下面19を有する上部摺り合せ部材9と、下方へ突設した略円錐形をなした上面23を有する下部摺り合せ部材24と、前記下部摺り合せ部材24の軸心X側に設けられ該下部摺り合せ部材24を上下方向に貫通する大豆Sの排出路28と、前記上部摺り合せ部材9の軸心Xを回転中心とした回動軸13を有し、前記下面19又は上面23の少なくとも一方に設けられる挽き用の歯21,25を備えると共に、前記下面19に上部摺り合せ部材9の周方向に前記挽き用の歯21より突設した螺旋状の羽根部材22を備えた豆乳製造器1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆乳製造器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の豆乳を製造する方法について、まず、豆をきれいに洗浄し、洗浄された豆を数時間水に浸してふやかした後に粉砕・擂潰し、粉砕・擂潰された豆汁を細かい布又は篩を用いて蛋白質溶液と豆腐殻とに分離する。
次いで、分離された蛋白質溶液のみを例えば釜のような容器に入れて煮て、蛋白質溶液を充分煮込んだ後、砂糖や塩などの添加物を入れると、飲用可能な豆乳になる。そして、豆を粉砕・擂潰する手段として家庭用の豆乳製造機では、豆乳容器の底面に電動機により回転駆動されるカッターを備えたものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−313017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような豆乳製造機のカッターの構造では、豆乳製造機の小型化に伴う電動機の小型化又は回転駆動手段が手動化された場合に、大豆を十分に擂り潰すことできなかった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、確実に大豆を擂り潰すことつまり擂潰できる豆乳製造器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、下方へ突設した略円錐形をなした下面を有する上部摺り合せ部材と、下方へ突設した略円錐形をなした上面を有する下部摺り合せ部材と、前記下部摺り合せ部材の軸心側に設けられ該下部摺り合せ部材を上下方向に貫通する大豆の排出路と、前記上部摺り合せ部材の軸心を回転中心とした回動軸を有した豆乳製造器であって、前記下面又は上面の少なくとも一方に設けられる挽き用の歯を備えると共に、前記下面に上部摺り合せ部材の周方向に前記挽き用の歯より突設した螺旋状の羽根部材を備えたことである。
【0006】
請求項2の発明は、前記摺り合せ部材を内部に収納したケースを設け、前記ケースの上部に前記摺り合せ部材に大豆を投入する投入口を備え、前記投入口から前記ケース内部に延設された大豆止め部材を設けたことである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、回動軸から伝達される回転力により挽き用の刃と螺旋状の羽根部材が回転し、それにより回転力が大豆を擂り潰す力と大豆を挽き用の刃へ送る力の両方に変換される為、回転力のエネルギーの損失が少なく、低速回転時においても確実に大豆を擂り潰すことができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、投入口に設けられた大豆止め部材により投入口から外部への大豆の逆流が防がれるため、投入口の大きさ、形状を自由に設けることができ豆乳製造器を利便性の良いものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0010】
図1〜9は実施例1を示しており、1は豆乳製造器を示しており、この豆乳製造器1は、大豆Sの投入口2を上部に有する豆乳製造器本体3と、この豆乳製造器本体3の下部に配置され該豆乳製造器本体3と着脱自在に設けられる豆乳を収容する容器5を備えている。
【0011】
前記豆乳製造器本体3のケースは、投入口2を有する蓋体3aと、この蓋体3aの下部に着脱自在に設けられ容器5に下部が係合する円筒状の連結部材4からなる。蓋体3aと連結部材4は上下に2分割可能に有した全体が円筒体形状のケースとなっており、下部の連結部材4は後述する挽き用の歯などを視認できるように透明部材又は半透明部材からなり、また容器5も透明部材又は透光部材からなる。
【0012】
前記豆乳製造器本体3の蓋体3aは、上面に凹部3bを形成し下方を開放した筒体形状をしており、蓋体3a上面の筒体の中心軸心X方向に設けられた貫通部3cには蓋体3aの中心軸心Xを回転中心とした回動用のハンドルレバー6の基端6aが軸受け7,8を介し上部摺り合せ部材9と共に螺子軸10により接続され、このハンドルレバー6の先端には握り部11が回動自在に設けられている。ハンドルレバー6と豆乳製造器本体3の蓋体3aの上面との距離Aは25mm以上(つまり、人間の手の平の厚さ以上)に設けられている。
【0013】
ハンドルレバー6の基端6aの上部には上下方向に貫通した貫通部6bが形成され、基端6aの下方にはその貫通部11と軸心X方向に連続し軸心Xを中心とした角孔12が形成されている。蓋体3aの下方には軸受け7,8を介し、上部を角孔12に嵌合可能な回動軸たる角柱部13を軸心Xを中心として形成し、角柱部13の上部には軸心X方向に螺子軸10が螺合可能な雌螺子部14が形成されている。上部摺り合せ部材9の雌螺子部14と螺子軸10を螺合することにより上部摺り合せ部材9は軸心X方向に回動自在に設けられている。
【0014】
本実施例では、ハンドルレバー6からの回転力を回動軸13に伝達させる構造となっているが、回動軸13に回転力を伝達させるものとしては手動によるものに限らず、モータ等の駆動装置から生じる回転力を回動軸13に伝達させる構造でも良い。
【0015】
前記上部摺り合せ部材9は回動軸13の下方に上面の一部が開放した円柱部18と、その円柱部18の下方には下方へ突設した略円錐形をなした下面19を有する円錐部20とから形成されている。上部摺り合せ部材9を構成している円柱部18および円錐部20の軸心はともに軸心Xと一致している。
【0016】
円柱部18の上面18aにおける一部の開口部分18bは、軸受け8の下方に形成された円盤状の底部8aにより閉塞され、上面18aには底部8aに形成された段部8bが当接し、これにより蓋体3aに当接した軸受け7と、軸受け7と上端部8cで当接しさらに上部摺り合せ部材9とは段部8bで当接している軸受け8とにより蓋体3aと上部摺り合せ部材9とは軸心X方向に一定な距離Bが形成されている。
【0017】
上部摺り合せ部材9の下面19には、軸心Xを中心とした螺旋状の凸条からなる挽き用の歯21が形成され、下面19の上部には挽き用の歯21より周方向に突設した螺旋状の羽根部材22が3枚設けられている。図4に示すように挽き用の歯21と羽根部材22は軸心Xにそれぞれ挟角θは10°≦θ≦45°、挟角τは45°≦τ≦80°(θ<τ、又はθ=τ)となるように形成されており、本発明の実施例1においては挟角θは22.5°、挟角τは55°となるのが好ましい。
【0018】
尚、挟角θ,τは軸心Xに対向して正面側より挽き用の歯21の傾斜、羽根部材22の傾斜を見たときに、その傾斜方向と軸心Xとの間に形成される角度を示す。
【0019】
上部摺り合せ部材9の下方には、下方へ突設した略円錐形をなした上面23を有する下部摺り合せ部材24が位置し、前記上面23には、軸心Xを中心とした螺旋状の凸条からなる挽き用の歯25が形成されている。さらに、前記上面23には上下方向に2層の異なる傾斜からなる第1の傾斜部26と第2の傾斜部27が形成されている。下部摺り合せ部材24の軸心X側には下部摺り合せ部材24を上下方向に貫通する大豆Sの排出路28が形成されている。
【0020】
前記蓋体3aの開口部縁部分29の内周側2箇所に形成された逆L字状の係止溝30に、前記連結部材4上部の外周に形成された凸部31が係止可能に設けられ、さらに連結部材4の凸部31より下方に位置し外周方向に突出して設けられた第1の凸条32に蓋体3aの開口部縁部分29が載置されている。連結部材4の下部の内周方向に突出して設けられた第2の凸条33には、下部摺り合せ部材24が係止されており、第2の凸条33に設けられた半円弧状の凸部34と下部摺り合せ部材24に形成された半円弧状の凹部35とは互いに嵌合可能となっている。又、第2の凸条33には欠如部33aが4箇所形成されており、その欠如部33aの下方には凸部33bが2箇所形成されている。連結部材4の下端には容器5の注ぎ口36と取手37のそれぞれに対応した箇所に切り欠部38,39が形成されている。
【0021】
連結部材4の下部には前記切り欠部38,39に係合可能な注ぎ口36と取手37を有した容器5が配置され、容器5の開口部縁部分40にフランジ部41が形成されており、その内フランジ部41の2箇所には欠如部41a,41aが形成されている。図7に示すように容器5の表面には2種類の目盛43,44が付されており、一つは大豆Sの計量用の目盛43で、もう一つは液体の計量用の目盛44である。
【0022】
図3に示すように蓋体3aに形成された大豆Sを投入する投入口2には、投入口2の一端を下方に延設して形成された大豆止め部材たる板部材45が設けられており、図1に図示されるように板部材45に対する上部摺り合せ部材9、連結部材4の内周面及び羽根部材22との間隔C,D,Eはともに大豆Sの一粒における径の大きさ以下になるように形成されている。
【0023】
さらに、大豆止め部材たる板部材45は、板部材45の板面45aが羽根部材22と対向するように軸心Xを中心に放射方向或いはほぼ放射方向に沿うように配置され、投入口2の一端、すなわち上部摺り合せ部材9や羽根部材22などの大豆Sの摺り回転方向における終端側に配置されている。尚、摺り回転方向は軸心Xを中心とした回転方向であって、実施例では時計方向回りを示しており、したがって実施例では摺り回転方向における終端は投入口2における軸心Xを中心とした反時計方向周りの端部またはその近傍を示している。
【0024】
以上の構成について作用を述べると、2分割可能な構成となっている豆乳製造器本体3は、下部摺り合せ部材24を内部に有する連結部材4の凸部31に蓋体3aを係止溝30を合わせるように上から載せ(図8(a)参照)、蓋体3aを連結部材4に上方から押圧し蓋体3aの開口部縁部分29を連結部材4の凸条32に当接させたまま(図8(b)参照)軸心Xに反時計回りに回転させ、凸部31を係止溝30に摺動係止させる(図8(c)参照)。この時蓋体3aの上面に形成された凹部3bにより押圧を受けると軸心X方向に弾性変形するが、投入口2に形成されたリブ2aにより押圧に対しての補強がなされている(図4参照)。
【0025】
連結部材4に係止溝30により連結された蓋体3aの前記弾性変形による変形状態から元の形状に戻ろうとする力(復元力)Rは、蓋体3aの上面の凹部3bを軸心X方向下向きに変位させようとする力となり、その復元力Rは隙間Bを形成している軸受け7,8を介し上部摺り合せ部材に作用し、復元力Rにより上部摺り合せ部材9は軸心X方向下向きの力を受ける(図9参照)。
【0026】
係止溝30に設けられた小凸部30aを蓋体3aの内周面上を乗り上げて凸部31は摺動し蓋体3aと連結部材4との連結は完了するが、小凸部30aを蓋体3aの内周面上に乗り上げて凸部31が摺動することにより蓋体3aの連結部材4への軸心Xに時計回りの動きが制限され、これにより蓋体3aの連結部材4からの脱落が防止される。
【0027】
このようにして蓋体3aと連結部材4とを一体に連結させた豆乳製造器本体3の連結部材4を切り欠部38,39が容器5の注ぎ口36と取手37に、又凸部33b,33bが容器5のフランジ部41の欠如部41a,41aにとそれぞれ合うようにして容器5に載せ、その後容器5に対し豆乳製造器本体3を切り欠部38,39の一端38a,39aがそれぞれ注ぎ口36と取手37に当接するまで軸心Xに時計回りに回転させると、豆乳製造器本体3を上方に持ち上げようとしても容器5のフランジ部41が凸部33bに軸心X方向に係止されて容器5が豆乳製造器本体3と一体に持ち上がる状態、つまり豆乳製造器本体3と容器5との連結が完了する。又、豆乳製造器本体3と容器5との連結を解除する際は、容器5に対し豆乳製造器本体3を軸心Xに反時計回りに回転させるが、その時にフランジ部41に形成された垂設部42に豆乳製造器本体3の凸部33bが当接する為、容器5に対する豆乳製造器本体3の回し過ぎが制限され、豆乳製造器本体3と容器5との速やかな分割が可能となる。
【0028】
次に、大豆Sを擂潰する場合の作用を説明する。図10(a)に示されるように水に浸漬しておいた大豆Sを投入口2より豆乳製造器本体3内に投入する(図10(b)参照)。この時蓋体3aの上面には凹部3bが形成され、大豆Sは凹部3bが形成された受け皿状の蓋体3aの上面からこぼれににくくなっているため、大豆Sを投入口2に入れ易くなっている。その後、大豆Sは上部摺り合せ部材9の下面19と下部摺り合せ部材24の上面23における第1の傾斜部26との隙間に溜まる。そして、握り部7を握ってハンドルレバー6を軸心Xに時計方向に回動する。この時に通常作業者は豆乳製造器本体3の蓋体3aの縁部分を押さえてハンドルレバーを回転させるがハンドルレバー6と豆乳製造器本体3の蓋体3aとの距離Aは25mm以上(つまり、人間の手の平の厚さ以上)に設けてあるために、回転するハンドルレバー6が豆乳製造器本体3の蓋体3aを押さえている手に当ることがない。そして、ハンドルレバー6からの回転力を嵌合する基端6aの角孔12を通じ回動軸13へと伝達された上部摺り合せ部材9は回転し、大豆Sは回転する上部摺り合せ部材9の挽き歯21と下部摺り合せ部材24の挽き用の歯25の摺り合せにより擂り潰され、擂り潰された大豆Sは第1の傾斜部26に沿って第2の傾斜部27へと滑り降り、第2の傾斜部27の挽き歯25と上部摺り合せ部材9の挽き歯21による摺り合せにより、さらに細かく擂り潰された大豆Sは第2の傾斜部27に沿って排出路28へと滑り降り、排出路28から容器5へと落下し溜まっていく。第1の傾斜部26から第2の傾斜部27へと大豆Sが滑り落ちていく際に擂り潰された大豆Sの殻などの繊維質(豆腐殼)Kが第1の傾斜部26と第2の傾斜部27との境界で堆積していき、その堆積した大豆Sの繊維質(豆腐殼)Kによって第1の傾斜部26から第2の傾斜部27へ大豆Sの流れが停滞するが、上部摺り合せ部材9に設けられた螺旋状の羽根部材22により、第1の傾斜部26の大豆Sには下方に押圧する力が働き、大豆Sは堆積した繊維質(豆腐殼)Kともども第2の傾斜部27へと落されていく。また、挽き用の歯21,25により擂潰され嵩を増した大豆Sが第1の傾斜部26より上方に堆積していき、豆乳製造器本体3の投入口2に迫った場合に大豆Sは投入口2より下方に延設して形成された大豆止め部材45により止められるため大豆Sの投入口2からの逆流が防止される。この時に大豆止め部材45との各間隔C,D,Eをともに大豆Sの一粒における径の大きさ以下になるように形成することで、間隔C,D,Eに大豆Sが挟まることがない。このようにして、容器5には挽き用の刃21,25によって破砕され木目細かく擂り潰された大豆Sが蓄積される。
【0029】
続いて、図10(a)〜(h)に示すように本発明の豆乳製造器1を用いた豆乳Tの製造について述べると、前述の擂潰された大豆Sが内部に貯蔵された容器5に大豆Sをそのままに水Wを加える(図10(d)参照)。そして、そのまま容器5を市販の電子レンジRに入れ、その時の電子レンジRの設定を加熱から解凍へ切替えて約5分程加熱し(図10(e)参照)、市販のコーヒー用のドリッパーDに紙製フィルターFをセットし(図10(f)参照)、スプーンPでしっかりと上から押さえ容器5の内容物Nを濾過すると(図10(g)参照)、容器5の内容物Nは豆乳(蛋白質溶液)Tとおから(豆腐殼)Kに分離される(図10(h)参照)。この豆乳Tに使用される大豆Sと容器5に入れられる水Wの割合としては、大豆30g(乾燥時)に水200ccが好ましいが必ずしもこの通りでなくともよいものとする。
【0030】
以上のように、前記実施例では請求項1に対応して、下方へ突設した略円錐形をなした下面19を有する上部摺り合せ部材9と、下方へ突設した略円錐形をなした上面23を有する下部摺り合せ部材24と、前記下部摺り合せ部材24の軸心X側に設けられ該下部摺り合せ部材24を上下方向に貫通する大豆Sの排出路28と、前記上部摺り合せ部材9の軸心Xを回転中心とした回動軸13を有した豆乳製造器であって、前記下面19又は上面23の少なくとも一方に設けられる挽き用の歯21,25を備えると共に、前記下面19に上部摺り合せ部材9の周方向に前記挽き用の歯21より突設した螺旋状の羽根部材22を備えたことにより、回動軸13から伝達される回転力により挽き用の歯21と螺旋状の羽根部材22が回転し、それにより回転力が大豆を擂り潰す力と大豆Sを挽き用の刃へ送る力の両方に変換される為、回転力のエネルギーの損失が少なく、低速回転時においても確実に大豆Sを擂り潰すことができる。
【0031】
また、前記実施例では請求項2に対応して、前記摺り合せ部材9,24を内部に収納したケース3を設け、前記ケース3の上部に前記摺り合せ部材9,24に大豆Sを投入する投入口2を備え、前記投入口2から前記ケース3内部に延設された大豆止め部材45を設けたことにより、投入口2に設けられた大豆止め部材45により投入口2から外部への大豆Sの逆流が防がれるため、投入口2の大きさ、形状を自由に設けることができ豆乳製造器1を利便性の良いものにすることができる。
【0032】
それ以外の実施例上の効果として、本実施例ではハンドルレバー6と蓋体3aとの距離Aは25mm以上(つまり、人間の手の平の厚さ以上)に設けてあるために、回転するハンドルレバー6が蓋体3aを押さえている手に当ることがなく、ハンドルレバー6の回転と蓋体3aを押さえるという2つのことを支障なく行うことができる。また連結部材4に係止溝30により連結された蓋体3aの前記弾性変形による変形状態から元の形状に戻ろうとする力(復元力)Rにより上部摺り合せ部材9は軸心X方向下向きの力(復元力R)を受けるため、常に上部摺り合せ部材9には下部摺り合せ部材24へ押付けられる力が掛けられている状態となり、挽き用の歯21,25同士による大豆Sの擂り潰し効果を高めることができる。さらに挽き用の歯21と羽根部材22は軸心Xにそれぞれ挟角θは10°≦θ≦45°、挟角τは45°≦τ≦80°(θ<τ、又はθ=τ)、好ましくは挟角θは22.5°、挟角τは55°となるように設けたことで、羽根部材22による大豆Sを下方へ押圧する力を効果的に発生させ、大豆Sを挽き用の歯21,25に確実に送ることで大豆Sを効果的に擂り潰すことができる。また大豆止め部材45との各間隔C,D,Eをともに大豆Sの一粒における径の大きさ以下になるように形成することで、間隔C,D,Eに大豆Sが挟まることにより上部摺り合せ部材9の回転が妨げられることを無くし、上部摺り合せ部材9をスムーズに回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1を示す要部の斜視図である。
【図3】本発明の実施例1を示す蓋体の斜視図である。
【図4】本発明の実施例1を示す上部摺り合せ部材の正面図である。
【図5】本発明の実施例1を示す豆乳製造器を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例1を示す連結部材と容器の連結状態を示す斜視図であり、図6(a)は連結部材と容器との対応箇所を示した図で、図6(b)は連結部材と容器との連結後の状態を示した図である。
【図7】本発明の実施例1を示す容器の正面図である。
【図8】本発明の実施例1における蓋体と連結部材との連結状態を示す概略図であり、図8(a)は連結前の蓋体を連結部材に載置した状態を示した説明図であり、図8(b)は連結時の蓋体を連結部材に押圧した状態を示し、図8(c)は蓋体を連結部材に押圧したまま軸芯を中心に反時計回りに回転させ蓋体と連結部材とを連結させた状態を示した図である。
【図9】本発明の実施例1における蓋体を連結部材に連結した場合に弾性変形した蓋体に生じる復元力の作用を示した説明図である。
【図10】図10(a)〜図10(h)は、本発明の実施例1における豆乳製造の一連の流れを示した図であり、図10(a)は大豆を一晩水に浸した状態、図10(b)は前述した大豆を豆乳製造器本体に投入した状態、図10(c)は豆乳製造器により大豆を擂り潰した状態、図10(d)は擂り潰されて容器に溜められた大豆に水を加えた状態、図10(e)は擂り潰された大豆に水を加えたものを容器ごと電子レンジに入れ加熱した状態、図10(f)は加熱された容器の内容物をドリッパーにセットされた市販の紙フィルターに入れて濾過した状態、図10(g)は図10(f)の状態からスプーンを用いてさらにしっかりと濾過した状態、図10(h)は容器内の内容物が濾過によって豆乳と豆腐殼に分けられた状態である。
【符号の説明】
【0034】
1 豆乳製造器
2 投入口
3 豆乳製造器本体(ケース)
9 上部摺り合せ部材
13 角柱部(回動軸)
19 下面
21 挽き用の歯
22 羽根部材
23 上面
24 下部摺り合せ部材
25 挽き用の歯
28 排出路
45 板部材(大豆止め部材)
S 大豆
X 軸心























【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方へ突設した略円錐形をなした下面を有する上部摺り合せ部材と、下方へ突設した略円錐形をなした上面を有する下部摺り合せ部材と、前記下部摺り合せ部材の軸心側に設けられ該下部摺り合せ部材を上下方向に貫通する大豆の排出路と、前記上部摺り合せ部材の軸心を回転中心とした回動軸を有した豆乳製造器であって、前記下面又は上面の少なくとも一方に設けられる挽き用の歯を備えると共に、前記下面に上部摺り合せ部材の周方向に前記挽き用の歯より突設した螺旋状の羽根部材を備えたことを特徴とした豆乳製造器。
【請求項2】
前記摺り合せ部材を内部に収納したケースを設け、前記ケースの上部に前記摺り合せ部材に大豆を投入する投入口を備え、前記投入口から前記ケース内部に延設された大豆止め部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の豆乳製造器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−116969(P2007−116969A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312899(P2005−312899)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(597137992)株式会社穂苅製作所 (1)
【Fターム(参考)】