説明

負荷システムおよび車両モデルを用いた車軸評価および調整のための方法およびシステム

車軸システムを評価および調整するための方法およびシステムは、1つ以上の物理的車軸システムが実装される少なくとも1つの試験リグを含む。車両全体モデルおよび道路描写が、実際の試験軌道上で施行されるように、車軸システムを試験および評価または調整するための試験リグとともに使用される。車両全体モデルは、試験用車軸システムの特性を除去するように修正される。車両全体モデルの残りの部分は、試験リグへの入力として伝達される変位または負荷の形態で出力信号を生成し、それらの信号を適用する。試験リグは、試験用車軸システムの除去されたモデルの代わりに、車両モデルへの入力となる補完的変位または負荷の形態の出力信号を測定する。このように、試験用の物理的車軸システムは、車両全体、道路、および運転者のリアルタイムモデルに挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、車両車軸試験および評価に関し、より具体的には、車軸および車軸構成要素を試験および調整し、車両性能に及ぼすその影響を判定するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両車軸は、乗り心地、快適性、NVH(騒音、不快性、振動)等の所望の車両レベルの性能特性に合致するように、評価、試験、または調整されなければならない。現在、車両レベルの特性を査定するために、車両は、実際の構成要素を搭載して駆動されなければならい。本方法は、コストがかかり、遅く、再現不可能である。また、そのような駆動試験は、典型的には、車両開発プロセスの後期に生じる。さらに、エンジニアは、車軸に及ぼす車両の影響を査定して、性能、耐久性、NVH等の特性を査定する場合がある。
【0003】
サスペンションは、ばね上質量の特性および位置を制御し、また、道路の凸凹からばね上質量を隔離する。車軸は、サスペンションの機能に加え、操舵、ブレーキ、駆動トルク、方向制御、および車両の安定性を提供する。車軸構成要素は、以下ならびに記載されていない他の一部または全部を含んでもよい。ダンパ、支柱、スプリング、ブッシング、連結、サブフレーム、操舵システム、スタビライザーバー/機構、ブレーキシステム、伝動機構構成要素(モータを含む)、タイヤ、および車輪。これらの構成要素のうちのいずれかは、能動的または受動的であってもよい。能動的システムは、センサからの信号に基づいて、ある種のコンピュータによって制御されるものであるが、ある能動的システムは、スピード制御のためにセンサを使用しないベクトル制御ACモータ等、センサがない場合がある。
【0004】
乗り心地、快適性、および操縦性等の車両特性に影響を及ぼす車軸は、試験機器内で特性解析されるが、そのような試験機器は、所与の構成要素に対する車両応答に直接関連しない、またはそれを測定しない。現在の試験機器は、車軸に負荷または変位時間履歴を適用し、得られた負荷または変位を測定することによって、車軸を特性解析する。本課題を実証する場合、異なる車載性能を伴う2つの異なる車軸は、従来の試験機器で評価されると、同一特性解析データをもたらし得る。
【0005】
試験軌道上の実際の車両の場合、車両性能に関する車軸の影響の評価は、直接観察および測定可能である。したがって、車両性能の測定は、試験軌道プロセスに必然的な影響および再現性を測定する能力にのみ依存する。しかしながら、車軸性能の実験室の試験リグ評価の場合、測定された時間履歴または理想化された時間履歴のいずれかが、車軸のみに適用される。得られた車軸負荷または変位は、パラメータマップ、傾度、または周波数応答関数等の工学的条件に換算される。車軸性能の換算された工学的条件を使用して、試験結果が得られた後に適用される車両モデルまたは専門家の解釈を通して、得られた車両挙動を推測する。軌道試験は、本質的に、完全な車両レベルでの応答を提供する一方、完全車両を必要とし、また、車両の可用性、天気、および再現性の制限等の他の実践的に不利な条件、ならびにダンパ交換の時間集約的プロセスをもたらす。
【0006】
実験室の試験リグ評価プロセスにおける制限は、簡素化モデルが、車軸または車軸構成要素に対して想定されていることである。これは、重要な車軸/構成要素特性を無視したモデルが使用可能であることを意味する。これは、特に、過渡または動的入力の際に明らかとなり、温度または湿度に敏感であって、あるいは摩擦等の非線形的影響を受け得る特性に当てはまる。さらに、本プロセスは、変わりつつある車軸または車軸構成要素特性を捕捉しない。最近の動向あるいは温度または摩擦等のモデル化が難しいパラメータに依存して変化する特性を有する車軸は、車両挙動を正確に予測するようには、実験室の試験リグ上で開発または測定されないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、車軸/構成要素または車両全体の簡素化モデルに依存しない、車軸/車軸構成要素の開発、評価、検証、および調整プロセスならびにシステムを提供する必要性が存在する。さらに、そのようなシステムでは、変わりつつある車軸/構成要素特性を捕捉し、その結果を車両レベルの特性に変換する必要性が存在する。
【0008】
さらに、実際の車両を必要とせずに、構成要素に及ぼす車両の影響を査定する必要性が存在する。そのような評価においては、耐久性、NVH、または他の特性に関して、構成要素を査定するために、構成要素は、運転中であるかのように、現実的車両ベースの入力を受けるであろう。現実的車両/運転者入力は、従来の試験リグベースの方法において一般的である簡素化された工学的入力(例えば、正弦波)に取って代わり得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この必要性および他の必要性は、本発明の実施形態によって達成され、少なくとも1つの車軸が実装可能である試験リグと、車両モデルモジュールと、を備える、車軸を評価するためのシステムを提供する。試験リグは、負荷を試験用車軸に制御可能に適用する。車両モデルモジュールは、データを処理するためのデータプロセッサと、データ記憶デバイスと、を含む。データ記憶デバイスは、試験用車軸構成要素の特性を除く車両全体をシミュレートする車両モデルに関するデータと、道路描写に関するデータと、駆動命令と、ヒト運転者制御と、機械実行可能命令と、を格納するように構成される。データプロセッサによる実行に応じて、命令は、データプロセッサを制御し、車両モデルに基づいて、コマンド信号を生成し、試験リグを制御し、車軸に負荷を適用し、試験リグの測定された応答を車両モデルにフィードバックする。
【0010】
開示される実施形態の上述および他の特長、側面、ならびに利点は、以下の発明を実施するための形態および添付の図面からより明白となるであろう。
【0011】
本開示は、添付の図面の図において、制限ではなく、一例として示され、同一参照番号は、類似要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明のある実施形態に従って構築される、車軸評価のためのシステムの部分的斜視図および部分的ブロック図を示す。
【図2】図2は、図1のシステムのブロック図であって、システムの構成要素間の関係をさらに詳細に示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従って構築される、図1に示される試験リグの前面図である。
【図4】図4は、図3の試験リグの一部の平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態において使用可能なデータプロセッサシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例証目的のために、以下の説明は、車軸または車軸構成要素を評価および調整するためのシミュレーションシステムの種々の例証的実施形態について記載する。試験リグの特定のシステムおよび構成が描写される。しかしながら、本開示の概念が、これらの特定の詳細を伴わずに、実践または実施され得ることは、当業者には明白であるだろう。他の事例では、周知の構造およびデバイスは、本開示を不必要に曖昧にすることを回避するために、ブロック図の形態で示される。また、説明を容易にするために、用語「車軸」および「車軸構成要素」は、用語「車軸/構成要素」の代わりに、全体を通して、同じ意味で使用されるであろう。しかしながら、本説明の目的のために、本発明の実施形態は、車軸システム全体、または車軸システムの1つ以上の構成要素のみの試験および評価に適用可能であることを理解されたい。故に、以下の説明では、試験方法および試験器具は、複数の車軸を含んでもよい。試験リグは、複数の車軸用に構成されて提供可能である、または別個の試験リグが、各車軸用に提供可能である。したがって、本説明全体を通して、用語「車軸」の使用は、単一車軸または複数の車軸を含んでもよいことを理解されたい。
【0014】
本発明の実施形態は、車軸試験、特性解析、評価、モデル検証、または調整のプロセスに関連する課題に対処し、解決する。説明を容易にするために、用語「評価」は、試験、特性解析、評価、モデル検証、または調整のプロセスを指すために採用されるであろう。これらの課題は、少なくとも1つの車軸システムが実装可能な試験リグと、車両モデルモジュールと、を備える、車軸を評価するためのシステムを提供する本発明の実施形態によって、少なくとも部分的に解決される。試験リグは、負荷を試験用車軸構成要素に制御可能に適用する。車両モデルモジュールは、データを処理するためのデータプロセッサと、データ記憶デバイスと、を含む。データ記憶デバイスは、試験用車軸構成要素の特性を除く車両全体をシミュレートする、車両モデルに関するデータと、道路描写に関するデータと、機械読み取り可能命令と、を格納するように構成される。データプロセッサによる実行に応じて、命令は、データプロセッサを制御し、車両モデルに基づいて、コマンド信号を生成し、試験リグを制御し、車軸構成要素に負荷を適用し、試験リグの測定された応答を車両モデルにフィードバックする。
【0015】
本発明の実施形態によって達成される多数の潜在的利点が存在する。このようなものとして、車両全体によって、道路データを収集する必要なく、車軸試験を生じさせることが挙げられる。これによって、別様に可能なものよりも、設計プロセスにおいて早期に試験可能となる。
【0016】
開示される実施形態の別の利点は、試験プロセスが、車軸特性を推定タイヤモデルの工学的条件に換算する必要がないことである。これは、実際の車軸が、その非モデル化特性の全部とともに、実際の車両と相互作用するようにモデル化された車両と相互作用するためである。また、車軸は、試験リグフィードバックを通して、車両モデルと相互作用するため、車軸特性の変化は、実際の道路上で生じるように、適用される負荷に変化をもたらすであろう。したがって、より現実的車軸評価をもたらす。車両挙動に及ぼす車軸システムの影響は、より不便な道路試験が車軸システム/車両挙動を直接測定するように、車両モデルにおいて直接測定される。
【0017】
さらに、車軸システムに及ぼすモデル化された車両モデルの影響は、より不便な道路試験の影響が車軸システムの直接的観察または測定を可能にするように、試験リグ上のセンサによって、直接観察または測定されてもよい。また、本発明の実施形態によって、測定時に利用不可能である場合がある実際の車両または実際の道路のいずれも必要とせずに、道路上で生じるであろうものを表す条件下、車軸を特性解析することが可能である。得られた特性解析は、正弦波入力等のより従来の人工的入力に基づく以前の特性解析よりも表象的であり得る。
【0018】
実施形態によって提供されるさらなる利点は、車軸またはサスペンションおよび車両変化による、車軸またはサスペンション挙動に及ぼす影響、あるいは車両の性能を判定するために、物理的に車両を構築する、もしくは車両を変化に合わせて修正する必要なく、サスペンション上の車両変化を評価する能力を含む。
【0019】
別の利点は、時間のかかる負荷履歴反復補償が、試験リグの最小追跡エラー特性のため、本発明のある実施形態によって不必要となることである。また、あらゆる可能な車軸のセットが、車載分析用のより少ないセットに縮小可能であって、軌道試験のコストおよび時間を削減する。
【0020】
さらに別の利点は、車軸システムの物理的構成要素を試験のための着目構成要素のみに隔離する能力である。これは、当然ながら、試験を実施するために、全部ではないにしても、車両の大部分が必要とされる試験軌道上で実施される評価には不可能である。
【0021】
設計プロセスの早期に車軸評価および調整を行なう能力は、NVH、耐久性等の依存型車両特性に対する後期のサイクル変化および影響を回避する。また、本発明の実施形態は、実際の車両全体を必要とせずに、車両のパラメータに及ぼす車軸システム設計および製造変化を査定する能力を提供する。これは、車両全体を必要とせずに、耐久性、性能、安全性、NVH、および他の評価のために、多くの場合、早期かつ低コストでの評価の実行を可能にする。また、本発明の実施形態は、車軸システム摩耗の影響をより正確に誘発し、捕捉する能力を提供する。
【0022】
自動車は、伝動機構、運転者インターフェース、温度調節器およびエンターテインメント、ネットワークおよびインターフェース、照明、安全性、エンジン、ブレーキ、ステアリング、シャーシ等、異なる機能を実行するための種々のサブシステムを含む。各サブシステムは、構成要素、部品、および他のサブシステムをさらに含む。例えば、伝動機構サブシステムは、変速機コントローラ、無段変速機(CVT)制御、自動変速機システム、動力分配装置、全輪駆動(AWD)システム、電子安定制御システム(ESC)、トラクションコントロールシステム(TCS)等を含んでもよい。シャーシサブシステムは、能動的または受動的ダンパ、磁気能動的ダンパ、車体制御アクチュエータ、負荷平準化、アンチロールバー等を含んでもよい。これらのサブシステムの設計および耐久性は、設計および製造プロセスの際に試験および検証される必要がある。サブシステムの一部は、電子制御ユニット(ECU)を使用し、車両の駆動状態を能動的に監視し、サブシステムの動作および/または特性を動的に調節し、より優れた制御または快適性を提供する。車両評価のために使用されるモデルは、何らかの方法で、全関連サブシステムを含まなければならない。
【0023】
本発明のある実施形態は、車両全体モデルと、道路描写と、1つ以上の物理的車軸システムが実装される少なくとも1つの試験リグとを組み合わせることによって、車軸システム試験、評価、または調整を行なう方法およびシステムを提供する。そのようなシステム10の例示的実施形態は、図1に描写される。
【0024】
システム10は、少なくとも1つの試験リグ12と、監視装置おおびコントローラ(以下、「監視装置」)14と、データ記憶デバイス16と、環境および操作定義を含む、車両モデルモジュール18と、を含む。ある記載される例示的実施形態では、車両モデルモジュール18は、監視装置14を実装するデータプロセッサから離れたデータプロセッサ上で実施される。他の例示的実施形態では、監視装置14および車両モデルモジュール18は、単一データプロセッサによって実現される。本発明の実施形態では、車両モデルは、車両力学を背景とし、用語「車両モデル」の使用は、そのような背景において理解されたい。これは、熱的モデルまたは構造分析モデル等の他の種類を背景とするモデルと対照的である。
【0025】
図1に描写される試験リグ12の構成は、単なる例示であって、他の構成および種類の試験リグが、本発明の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。例示的試験リグ12は、評価のために、1つ以上の車軸構成要素40を実装可能である。例証される実施例では、タイヤ20は、車軸構成要素40上に実装され、シミュレートされる路面表面22に接触する。車軸構成要素40は、変位または負荷を適用し、得られた変位または負荷を測定可能なように、試験リグ12に実装される。例えば、車軸の一端または両端を提供可能である。1からN個の車軸を試験および評価可能である。
【0026】
他の選択肢の中でも特に、種々の環境影響をシミュレート可能である。例えば、試験リグ12または車軸システム40は、温度調節チャンバ(図示せず)内に配置され、熱、冷気、湿気、水分、泥、塩、または他の環境要因の影響を制御および/または捕捉してもよい。異なる路面表面条件がシミュレートされてもよい。例えば、平ベルト22は、粗度、質感等のコーティングの特性を使用して、実際の道路の摩擦係数をシミュレートするための材料によってコーティングされてもよい。本発明の他の実施形態による、試験のある方法は、平ベルト22または他の路面表面に、水、雪、氷、泥、あるいは埃を適用し、力、モーメント、および熱負荷を含むが、それらに限定されない、タイヤと路面との相互作用を制御する。他の実施形態では、平ベルト22に障害物が加えられ、縁石または段差衝撃をシミュレートする。ある実施形態では、縁石または段差衝撃は、補助デバイス(図示せず)によって適用される。例えば、段差が路面回転期間と非同期的に導入され得るように、隣接機構を使用して、タイヤと路面との間の段差を誘導可能である。タイヤ20の温度は、本発明のある実施形態に従って、制御され、実際の駆動条件の負荷ベースの加熱をシミュレートする。そのような実施形態では、設定点は、タイヤ/車両モデルまたはデータファイルから入力可能である。
【0027】
異なる環境および路面状態は、ソフトウェア内でシミュレートされてもよい。本発明の異なる実施形態では、道路表面は、ソフトウェアモデル内で定義される、または測定され、ソフトウェアコードに変換可能である。道路定義は、タイヤと比較して大きいパラメータを含み得る。環境シミュレーションは、風および空気等の車両に及ぼす影響を含んでもよい。
【0028】
試験リグ12は、タイヤ20の位置および配向、ならびにタイヤに適用される負荷を制御するための複数のマウントを含む。例えば、以下の制御パラメータ、ならびにその平行移動または回転相当物が、制御されてもよい。これらは、スリップ角度(操舵)、傾斜角度(キャンバ)、荷重半径、垂直力、車輪トルク、スリップ率、縦力、横力等を含む。本方法は、垂直力、スリップ角度、傾斜(キャンバ)角度、スリップ率、車輪トルク、荷重半径、膨張圧等の他のタイヤ自由度のうちの1つ以上を含む。また、本発明のある実施形態は、路面またはスピンドルの移動を通した、道路とタイヤと、および車輪/スピンドルと車体との間の実際の自由度のうちの1つ以上を含む。
【0029】
本発明の方法の実施形態は、以下の自由度のうちの少なくとも1つを導入する。タイヤ法線力、タイヤ水平力、タイヤ操舵角、タイヤ回転運動、ハンドル入力、車体ピッチ、車体横揺れ、および車体法線(垂直)力。
【0030】
本発明の実施形態は、路面22およびタイヤ20のスピード/トルクを制御し、車両モデルモジュール18によって計算される道路表面トルクに対するタイヤに基づいて、低摩擦係数表面上の加速によって誘発されるような、回転スリップをシミュレートする。ある実施形態において提供されるさらなる能力は、タイヤ/車両モデルまたはデータファイルから、シミュレートされるスピンドル制動または加速トルク設定点を適用することである。
【0031】
図1に示される試験リグ12は、垂直方向に摺動可能な位置決めプレート44を支持する、垂直に延在するスタンド42を含む。位置決めプレート44は、位置決めプレート44の移動によって、車軸構成要素40の変位および負荷を生じさせるように、車軸構成要素40を担持する。1つ以上の負荷アクチュエータは、位置決めプレート44の垂直負荷を通して、制御可能負荷および変位を車軸構成要素40に提供する。負荷アクチュエータ34は、独立垂直負荷および/または他の線形自由度を適用するように個別に制御可能である。負荷アクチュエータは、位置決めプレート44に作用することによって、車軸システム40の高さおよび横揺れ角を変更する。
【0032】
試験に含まれる物理的サスペンションの構成に応じて、試験リグ12は、異なる自由度(DOF)を提供可能である。システムは、単一DOF(垂直)、2DOF(垂直および横揺れ)、3DOF(垂直、横揺れ、および水平)、ならびに4DOF(垂直、横揺れ、水平、および偏揺れ)を受けることができる。水平DOFは、水平車軸の整合性をシミュレートする必要がある場合に必要となる。偏揺れは、サスペンションの整合性が物理的に存在しない場合に必要とされてもよい。
【0033】
図1の試験リグ12は、柱46によって支持される、一対のシミュレートされる路面表面22を含む。ある実施形態では、柱46は、垂直軸の周囲を同様に制御可能に可動である、垂直に可動な支持部48(図3)を含む。例証される実施形態では、シミュレートされる路面表面22は、平ベルト22であって、シミュレートされる路面を提供するために、タイヤの回転を含む。平ベルト22は、モータ50によって、制御可能に駆動される。ドラム等の他の種類のシミュレートされる路面も使用可能である。しかしながら、例証される実施例等の平らな路面表面は、ドラムベースの路面によるもの等の湾曲表面によって可能なものより、正確なタイヤ接触面シミュレーションをもたらす。シミュレートされる路面表面22の制御を通して、本発明のある実施形態は、任意のスピンドル(タイヤ20)へのトルクの制動または加速を誘発することが可能である。
【0034】
柱46およびピストン48を伴う、シミュレートされる路面表面22の構成は、各タイヤ20に対し、3自由度(道路垂直、操舵、および縦方向)の入力を可能にする。図1に加え、図3および4を参照すると、ロードセル52が、負荷アクチュエータ34に提供され、力およびモーメントを感知する。また、ある実施形態では、ロードセルを路面22内に搭載し、力を測定することが可能である。例証される実施形態では、ロードセル52は、FzおよびMx力と、モーメントとを感知するであろう。感知された測定値は、監視装置14を通して、車両モデルモジュール18に提供される。
【0035】
ある実施形態では、試験リグ12は、車軸が回転表面の両側に実装されるように構成される。これは、回転表面デバイス上の車軸誘発負荷を相殺する利点を有する。
【0036】
ある実施形態では、試験リグ12は、タイヤ回転自由度を伴わずに構成される。ある実施形態では、試験リグ12は、スピンドルアセンブリと連結するように構成される。
【0037】
図3および4に見られるように、位置決めプレート44は、スタンド42上に垂直に延在するスライドレール54上に実装される。スライドレール連結部56は、スライドレール54に沿った垂直移動のために、位置決めプレート44をスライドレール54に連結する。位置決めプレート44は、枢動可能なように、スライドレール連結部56に連結される。故に、2自由度(垂直摺動および横揺れ枢動)が、位置決めプレート44および車軸構成要素40に提供される。
【0038】
図4に示される実施形態では、測定デバイス58は、スライドレール連結部56に提供される。例証される実施形態では、測定デバイス58は、感知された測定値Fx、Fy、My、およびMzを提供する。これらの感知された測定値は、監視装置14を通して、車両モデルモジュール18へのフィードバックとして提供される。
【0039】
車軸構成要素40の位置は、車両モデルモジュール18によって、監視装置14に提供される。順に、監視装置14は、試験リグ12にコマンド信号を発し、車両モデルモジュール18によって提供される位置に従って、負荷アクチュエータ34、ピストン48、およびシミュレートされる路面表面22を制御する。ロードセル52および測定デバイス58は、監視装置14を通して車両モデル26に戻される、測定された力およびモーメントを表す信号を生成する。例えば、本発明の実施形態は、ダンパ応答を測定可能である。
【0040】
上述のように、本発明の実施形態は、車両全体モデルと、道路描写と、1つ以上の物理的車軸システム構成要素が実装される試験リグとを組み合わせることによって、車軸システム試験、特性解析、モデル検証、評価、または調整を行なう。この目的を達成するために、車両定義および道路定義24が、車両モデルモジュール18の車両モデル26への入力として提供される。また、操縦データベース28が、車両モデル26への入力として提供される。運転者の操縦、時間履歴、または数学的関数は、車軸によって影響を受ける、必要とされる車両の数的指標を喚起するために定義される。ある実施形態では、人工入力は、車軸によって影響を受ける、必要とされる車両の数的指標を喚起するために定義される。
【0041】
車両モデル26の出力、例えば、位置は、車軸構成要素40に適用されるはずである。監視装置14は、本情報に基づいて、コマンド信号を生成し、例えば、負荷アクチュエータ34およびピストン48の移動を含む、試験リグ12を制御する。図3の実施例内の車両モデルモジュール18によって提供される角度および負荷の一部は、車体z、y、道路z(2)、道路a(2)、道路v(2)、および操舵を含み得る。車両モデルモジュール18への入力として提供される、試験リグ12において測定された力およびモーメントの一部は、車体FxFyFz、車体MxMyMz、および車軸z(2)を含み得る。監視装置14は、試験リグ12から受信した力およびモーメント等の測定を提供し、これらを車両モデル26に入力する。力およびモーメントは、異なる軸上に提供されるロードセル等、好適なデバイスによって、試験リグ12において測定可能である。
【0042】
本発明の実施形態は、車両全体モデルと、道路描写と、物理的車軸を伴う試験リグとを組み合わせる。モデル化技術は、広く使用されており、当業者に周知である。シミュレーションモデルを構築するためのツールを供給する企業として、Tesis、dSPACE、Mechanical Simulation Corporation、およびThe Math Worksが挙げられる。HILを提供する企業として、dSPACE、ETAS、Opal RT、A&D等が挙げられる。車両全体モデル26は、ある実施形態では、図2に見られるように、別個のデータプロセッサ30によって、リアルタイムで実行される。車両全体モデル26は、リアルタイムに実行される以下の車両機能を含み得る。エンジン、伝動機構、タイヤ、車両力学、車軸、空気力学、運転者、道路。ある実施形態では、車両モデルは、実際の標的車両のパラメータによって構成される。
【0043】
上述のように、少なくとも1つの物理的車軸構成要素が試験に使用され、本車軸構成要素は、モデル内にはない。試験リグ12上に物理的に存在しない場合、他の車軸をモデル化可能である。したがって、車両全体モデル26においてモデル化された他の車軸構成要素によって、単一の物理的車軸構成要素のみが試験されてもよい。代替として、ある実施形態では、他の車軸構成要素が物理的に存在しない場合、収束法を使用して、物理的に存在する車軸構成要素40からの反復測定値に基づいて、車両性能に及ぼす車軸の影響を判定する。本車軸構成要素40は、ソフトウェアによって、車両全体モデル26における仮想車両上の種々の位置に交換される。反復技法を使用して、実際の車軸システムデータまたはシミュレーションソリューションを使用して、車軸システムモデルを投入する、あるいは車両応答を判定することによって、規定のエラー制限内で、あるソリューションに収束させる。
【0044】
モデルの内容は、ステアリング、スロットル、ブレーキ、およびギアの運転者の入力、ならびに空気動的力等の外部障害を考慮して、地面上の車両の運動を予測するものである。モデルは、運転者に対して開ループで作動可能であって、運転者の入力対時間を再現する。モデルは、運転者の入力が調節され、車両のスピードおよび進路が維持される場合、運転者に対して閉ループで作動可能である。
【0045】
上述のように、車両全体モデル26は、試験用車軸システム構成要素の特性を除去するように修正される。車両全体モデル26の残りの部分は、信号を適用するために、試験リグ12への入力信号として伝送される変位または負荷の形態で、上述の出力信号が提供される。試験リグ12は、試験用車軸構成要素または複数の構成要素のうちの除去されたモデルの代わりに、車両全体モデル26への物理的入力となる、補完的変位または負荷の形態の出力信号を測定する。このようにして、試験用の物理的車軸システム構成要素は、車両全体、道路、運転者のリアルタイムモデル26内に挿入される。
【0046】
本発明の試験方法の実施形態は、開ループまたは閉ループ運転者のいずれかによって、実際の試験軌道上におけるように施行される。試験リグ12は、車両全体モデル26と作用して、実際の道路上で生じる負荷に類似するように、車軸システム構成要素に負荷を適用する。試験リグ12のコマンドは、事前に既知ではないため、したがって、修正された負荷時間履歴を作成するための反復制御技法は、使用されない場合がある。数的指標は、乗り心地、操縦性、快適性、または他の車両パラメータに及ぼす車軸の影響を査定するために定義される。試験リグ制御は、最小コマンド追跡エラーを生成するように設計される。逆装置モデルおよびシステム識別技術は、最小追跡エラーを達成するであろう。
【0047】
図1および2は、車軸システムを試験するための単一試験リグ12のみを描写する。本発明の他の実施形態(図示せず)では、操舵、けん引シミュレーション等の他の構成要素試験リグは、リアルタイムモデルおよび監視装置を介して、車軸システムに連結され、複数の機械的および/または電子ならびにソフトウェアシステムをリアルタイムで査定する。
【0048】
図2を参照すると、監視装置14は、第2のデータプロセッサ32によって提供されるように描写されるが、データプロセッサ30および32は、ある実施形態では、単一データプロセッサによって実現されてもよい。データプロセッサ32によって実行されるソフトウェアは、データプロセッサ30によって実行される車両全体モデル、HIL(ハードウェアインループ)システム(存在する場合)、および試験リグ12を協動させる。システムは、車両、構成要素制御ソフトウェア、運転者モデル、または操縦定義を変更し、欠点を見つける、または標的特性のリストによって定義される局所/大域的最適設定を検索可能な、自動方法/シーケンスを提供する。ある実施形態では、車両全体モデル26は、車両電子ネットワークと統合し、シミュレートする。車軸または車両(電子制御ユニット)ECUは、HILECU試験システムの有無にかかわらず含められ、車載動作をシミュレートするために必要とされるECU車両パラメータを提供してもよい。
【0049】
好適なデータプロセッサ(30または32)の例示的実施形態のさらに詳細な説明は、図5に提供されるが、図2は、配列10の全体図を提供し、説明される。シミュレーションモデル26は、車両制御モジュール18によって実行され、少なくとも部分的に、データプロセッサ30によって具現化されてもよい。ある実施形態では、データプロセッサ30は、車両モデルを実行するための複数のモジュールを含む。これらは、例えば、モデル最適化およびマッピング、カスタマシミュレーションモデル、コード生成、ランタイムツール、ならびにシミュレーション視覚化を含む。データプロセッサは、シミュレーションモデルのリアルタイム実行を行ない、信号および通信インターフェースを含む。
【0050】
また、データプロセッサ32によって具現化される監視装置14は、例えば、複数のモジュールを有する。これらは、装置システム初期化、システム設定、手動制御、自動シークエンシング、サブシステム管理、システム状態、装置視覚化、装置較正、リアルタイム自由度制御、データ取得、信号管理、および安全性管理を含む。
【0051】
データ取得コントローラ34は、試験リグ12からデータ信号を取得し、それらを監視装置14のデータプロセッサ32に提供する。データ信号は、ロードセル52および測定デバイス58によって生成される。データは、車両モデル26内で使用するために、監視装置14によって、データプロセッサ30に出力される。
【0052】
電子制御ユニット(ECU)36は、ある実施形態では、評価プロセスの一部であって、車軸システム40の場合のように、車両モデル26から除去可能である。試験用ECU36は、能動的サスペンションシステム、例えば、またはある他のシステムの一部であってもよい。バス監視は、バスモニタ38によって行なわれてもよい。
【0053】
本発明の方法は、リアルタイム試験リグ制御遅延を低減し、必要に応じて、試験リグセンサを補償する。センサ信号は、最小遅延を伴って、車両モデルに通信され、モデルの安定した動作を可能する。車両全体モデル26からのデータは、捕捉および格納され、実験結果として機能し得る。同様に、車軸構成要素からのデータは、捕捉および格納され、実験結果として機能し得る。
【0054】
図5は、データ処理システム30の例示的実施形態を示し、リアルタイム車両全体シミュレーションモデル26が、車両モデルモジュール18によって実施され得る、ブロック図である。類似データ処理システムが、監視装置14を備えるデータ処理システムのために採用されてもよい。データ処理システム30は、バス802または情報を通信するための他の通信機構と、情報を処理するためにバス802と連結されるプロセッサ804と、を含む。また、データ処理システム30は、プロセッサ804によって実行される情報および命令を格納するために、バス802に連結されるランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイス等、メインメモリ806を含む。また、メインメモリ806は、プロセッサ804によって実行される命令の実行の際、一時的変数または他の中間情報を格納するために使用されてもよい。データ処理システム30は、プロセッサ804のための静的情報および命令を格納するために、バス802に連結される読み取り専用メモリ(ROM)809または他の静的記憶デバイスをさらに含む。磁気ディスクまたは光ディスク等の記憶デバイス810は、情報および命令を格納するために提供され、バス802に連結される。ある実施形態では、データ記憶デバイス810は、記憶デバイス16を備える。
【0055】
データ処理システム30は、オペレータに情報を表示するために、バス802を介して、ブラウン管(CRT)等のディスプレイ812に連結されてもよい。英数字および他のキーを含む、入力デバイス814は、情報およびコマンド選択をプロセッサ804に通信するために、バス802に連結される。別の種類のユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ804に通信し、ディスプレイ812上でカーソル移動を制御するために、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キー等のカーソル制御816である。
【0056】
データ処理システム30は、メインメモリ806内に含有される1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ804に応答して、制御される。そのような命令は、記憶デバイス810(16)等の別の機械読み取り可能媒体から、メインメモリ806内に読込まれてもよい。メインメモリ806内に含有される命令のシーケンスの実行によって、プロセッサ804は、本明細書に記載のプロセスステップを行なう。代替実施形態では、配線で接続された回路が、本開示を実施するためのソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、使用されてもよい。したがって、本開示の実施形態は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の特定の組み合わせに制限されない。
【0057】
本明細書で使用される用語「機械読み取り可能媒体」とは、実行のために、プロセッサ804に命令を提供する際に関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含む、多くの形態をとり得るが、それらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス810(16)等の光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ806等の動的メモリを含む。伝送媒体は、バス802を備えるワイヤを含め、同軸ケーブル、導線、および光ファイバを含む。また、伝送媒体は、電波および赤外線データ通信の際に生成されるような、音波または光波の形態をとることが可能である。
【0058】
機械読み取り可能媒体の一般的形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD−ROM、任意の他の光媒体、パンチカード、穿孔テープ、孔パターンを伴う任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、およびEPROM、FLASH−EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、以下に記載される搬送波、あるいはデータ処理システムが読込み可能な任意の他の媒体を含む。
【0059】
種々の形態の機械読み取り可能媒体は、実行のために、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサ804に搬送する際に伴われてもよい。例えば、命令は、最初は、遠隔データ処理システムの磁気ディスク上に搬送されてもよい。遠隔データ処理システムは、その動的メモリ内に命令をロードし、モデムを使用する電話回線を介して、または他の好適な形態の通信によって、命令を送信可能である。データ処理システム30に局所的モデムは、電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を使用して、データを赤外線信号に変換することが可能である。赤外線検出器は、赤外線信号として搬送されるデータを受信可能であって、適切な回路は、バス802上にデータを置くことが可能である。バス802は、プロセッサ804が命令を読み出し、実行するメインメモリ806にデータを搬送する。メインメモリ806によって受信される命令は、随意に、プロセッサ804による実行前または後のいずれかに、記憶デバイス810(16)上に格納されてもよい。
【0060】
また、データ処理システム30は、バス802に連結される通信インターフェース819を含む。通信インターフェース819は、ローカルネットワーク822に接続されるネットワークリンクに連結する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース819は、総合デジタル通信網(ISDN)カードまたはモデムであって、対応する種類の電話回線とのデータ通信接続を提供してもよい。別の実施例として、通信インターフェース819は、ローカルエリアネットワーク(LAN)カードであって、互換LANとのデータ通信接続を提供してもよい。また、無線リンクが実施されてもよい。任意のそのような実施では、通信インターフェース819は、種々の種類の情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、または光信号を送受信する。
【0061】
ネットワークリンク820は、典型的には、1つ以上のネットワークを通して、他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク820は、ローカルネットワーク822を通して、ホストデータ処理システムまたはインターネットサービスプロバイダ(ISP)826によって作動されるデータ機器との接続を提供してもよい。次いで、ISP826は、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在、一般的には、「インターネット」829と称される)を通して、データ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク822およびインターネット829は両方、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、または光信号を使用する。種々のネットワークを通しての信号と、ネットワークリンク820上および通信インターフェース819を通しての信号は、データ処理システム30との間でデジタルデータをやりとりし、情報を伝える例示的形態の搬送波である。
【0062】
データ処理システム30は、ネットワーク、ネットワークリンク820、および通信インターフェース819を通して、メッセージを送信し、プログラムコードを含む、データを受信可能である。インターネット実施例では、サーバ830は、インターネット829、ISP826、ローカルネットワーク822、および通信インターフェース819を通して、アプリケーションプログラムのために必要なコードを伝送してもよい。
【0063】
また、データ処理は、USBポート、PS/2ポート、シリアルポート、パラレルポート、IEEE−1394ポート、赤外線通信ポート等、または他の専用ポート等、周辺機器に接続し、通信するための種々の信号入力/出力ポート(図示せず)を有する。測定モジュールは、そのような信号入力/出力ポートを介して、データ処理システムと通信してもよい。
【0064】
したがって、本発明の実施形態は、車両全体モデル、道路描写、および少なくとも1つの物理的車軸システムを伴う試験リグの組み合わせを採用することによって、車軸システム評価および調整のための改良方法およびシステムを提供する。車軸システム評価は、車両全体による道路データを収集する必要なく生じ得、別様に可能なものよりも早期試験が可能となる。車軸システムは、実際の車両または実際の道路のいずれも必要とせずに、道路上で生じるであろうものを表す条件下、特性解析されることが可能である。車軸システムは、試験リグフィードバックを通して、車両モデルと相互作用するため、車軸システム特性の変化は、実際の道路上で生じるように、適用される負荷の変化をもたらし、それによって、より現実的な試験となる。本発明の実施形態は、その非モデル化特性の全部を伴う実際の車軸が、実際の車両によるように、モデル化された車両と相互作用するため、車軸システム特性の推定車軸モデルの工学的条件への換算を必要としない。
【0065】
本発明の実施形態が、詳細に説明および図示されたが、これらは、例証および例示のみであって、制限としてとらえられるべきではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸システムおよび車両性能を評価するためのシステムであって、少なくとも1つの試験用車軸システムが実装可能であって、該試験用車軸システム上に負荷を制御可能に適用する、少なくとも1つの試験リグと、
データを処理するためのデータプロセッサと、
該試験用車軸システムの特性を除く車両全体をシミュレートする車両モデルに関するデータと、道路描写に関するデータと、駆動命令と、ヒト運転者制御と、機械実行可能命令とを格納し、該命令は、該データプロセッサによる実行に応じて、該車両モデルモジュールを制御し、該車両モデルおよび該道路描写に基づいて、コマンド信号を生成し、該試験リグを制御し、該車軸システム上に負荷を適用し、該試験リグの測定された応答を該車両モデルにフィードバックするように構成されている、データ記憶デバイスと
を含む、車両モデルモジュールと
を備えている、システム。
【請求項2】
前記車両モデルモジュールおよび前記試験リグに連結された監視装置をさらに備え、該監視装置は、前記車両モデルおよび該試験リグを協動させ、前記コマンド信号を該試験リグに提供し、前記測定された応答を該車両モデルに提供するように構成されている、データプロセッサを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記車両モデルの人間の運転者制御構成要素は、前記車両のスピード、進路、位置、挙動、または状態のうちの少なくとも1つに対し、開ループを作動するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記車両モデルの人間の運転者制御構成要素は、前記車両のスピードおよび進路に対し、閉ループを作動するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記車両全体モデルは、エンジン、伝動機構、タイヤ、車両力学、空気力学、運転者、および道路のモデル化を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記車両全体モデルは、前記試験リグ内に物理的に存在しない車軸システムのモデルを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記データプロセッサは、収束反復プロセスによって、前記車両全体をモデル化し、該車両モデル上の異なる位置に前記試験用車軸システムを仮想的に移動するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記道路描写に関する前記データは、パラメータ:摩擦係数、粗度、勾配、曲率、障害物プロファイル、段差プロファイル、および温度のうちの少なくとも1つを含む、路面表面定義を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記試験リグは、前記車軸システムに位置および角度を適用するように制御可能である、少なくとも1つの負荷アクチュエータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記試験リグは、複数の前記負荷アクチュエータを含み、各負荷アクチュエータは、個別に制御可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記位置および角度は、車体z、y、道路z(2)、道路a(2)、道路v(2)、およびハンドル位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記試験リグは、前記車軸構成要素上にモーメントを入力するように制御可能なモーメント入力固定具を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記監視装置および前記車両モデルモジュールは、他の車両構成要素の異なる構成要素試験リグに連結して、前記異なる構成要素試験リグと相互作用し、前記異なる構成要素試験リグおよび前記試験用車軸システムが実装される前記試験リグからの車両モデル結果に統合するために構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
車軸システムを評価し、車両性能を予測する方法であって、
少なくとも1つの車軸システムを少なくとも1つの試験リグ上に実装することと、
道路環境、人間の運転者、および該試験リグ上の該車軸システムを除く車両全体モデルである車両モデルとをモデル化することと、
道路上の該モデル化された車両の状態および運動を判定することと、
変位および負荷制御信号のうちの少なくとも1つとして、該車両モデルおよびその状態に基づいて、該試験リグにコマンド信号を生成することと、
該コマンド信号に従って、該試験リグによって、該車軸システムに変位および負荷のうちの少なくとも1つを適用することと、
該試験リグにおいて、該車軸システムの得られた変位および/または負荷のうちの少なくとも1つを測定することと、
測定された補完的変位または負荷のうちの少なくとも1つを該車両モデルに提供するスことと
を包含する、方法。
【請求項15】
前記車両モデルは、リアルタイムで実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記車軸システムの負荷は、実質的に前記モデルと同期して、前記試験リグに提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
車両の複数の物理的車軸システムは、少なくとも試験リグ上に実装され、同時に評価される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
車軸システムが実装される複数の試験リグを同時に制御することをさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
車軸システム以外の物理的車両構成要素が実装される試験リグへの入力を制御することと、該試験リグから出力を受信し、該出力を前記車両モデルに提供することとをさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記車軸システムを環境条件に曝すことをさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記試験リグによって、前記車軸システムに変位および負荷のうちの少なくとも1つを適用するステップは、負荷アクチュエータによって、前記車軸システムに軸方向に負荷をかけることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記試験リグは、複数の前記負荷アクチュエータを含み、各負荷アクチュエータは、前記それぞれの車軸システムに軸方向に負荷をかけるように個別に制御可能である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記試験リグによって、前記車軸システムに変位および負荷のうちの少なくとも1つを適用するステップは、モーメント入力固定具によって、前記車軸システム上にモーメントを入力することを含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−529420(P2010−529420A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507522(P2010−507522)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/061677
【国際公開番号】WO2008/137366
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(505383383)エムティーエス システムズ コーポレイション (18)