説明

貨幣入金装置および貨幣入金回収システム

【課題】低コストで導入することができ、かつ、印紙にかかるコストを低減する(節税する)こと貨幣入金装置および貨幣入金回収システムを提供すること。
【解決手段】貨幣入金装置1は、筐体39,49と、貨幣を受け入れるための貨幣受入部31,41と、貨幣を搬送する搬送部34a,34b,44と、貨幣を識別する識別部33a,33b,43と、貨幣を収納する収納部36,46と、を備えている。貨幣入金装置1は、識別部33a,33b,43による識別結果に基づき貨幣を金種別に計数して、貨幣の入金金額を算出する入金算出部11,21と、入金金額、または、入金算出部によって算出された入金金額に基づいて算出された回収金額を、QRコード、バーコードなどのコード情報として表示する入金回収表示部50aと、をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣の入金処理を行う貨幣入金装置と、このような貨幣入金装置を備えた貨幣入金回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入金額を計数する金額計数手段と、セットされた通帳に入金額を印字する通帳印字手段と、入金額の詳細を示すジャーナルを印字するジャーナル印字手段と、出金先のレジスタがテナント店のものである場合は通帳印字手段を駆動することにより精算額を通帳に印字させ、出金先のレジスタが直営店の場合はジャーナル印字手段を駆動しかつ通帳印字手段を駆動しないようにする制御手段と、を備えた貨幣入金装置が知られている(特許文献1、参照)。そして、このような貨幣入金装置を用いることによって、印紙のためのコストを低減すると共に、出納事務能率の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3559652号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、売上金が入金される貨幣入金装置で印字される(特許第3559652号の場合では直営店の場合に印字される)紙媒体や、警備会社が貨幣入金装置から売上金を回収する際に印字される紙媒体に対して、印紙を貼らなければならない可能性も出てきた。
【0005】
この点、金額情報の印字された紙媒体を出さないように、市場に既にある貨幣入金装置の各々に、ICチップなどの電子記憶媒体に対して読み書きを行うリーダライタなどの電子記録装置を新たに搭載することも考えられる。しかしながら、貨幣入金装置が市場に何万台もあることからすると、全ての貨幣入金装置にリーダライタなどの電子記録装置を搭載することはコストが莫大にかかってしまい、現実的ではない。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、低コストで導入することができ、かつ、印紙にかかるコストを低減する(節税する)ことができる貨幣入金装置および貨幣入金回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による貨幣入金装置は、
筐体と、
前記筐体に設けられ、貨幣を受け入れるための貨幣受入部と、
前記貨幣受入部から受け入れられた貨幣を前記筐体内で搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送される貨幣を識別する識別部と、
前記識別部によって識別された貨幣を収納する収納部と、
前記識別部による識別結果に基づき少なくとも前記貨幣受入部から受け入れられた貨幣の入金金額を算出する入金算出部と、
前記入金算出部によって算出された入金金額、または、前記入金算出部によって算出された入金金額に基づいて算出された回収金額を、QRコード、バーコードなどのコード情報として表示する入金回収表示部と、
を備えている。
【0008】
本発明による貨幣入金回収システムは、
筐体と、前記筐体に設けられ、貨幣を受け入れるための貨幣受入部と、前記貨幣受入部から受け入れられた貨幣を前記筐体内で搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送される貨幣を識別する識別部と、前記識別部によって識別された貨幣を収納する収納部と、前記識別部による識別結果に基づき少なくとも前記貨幣受入部から受け入れられた貨幣の入金金額を算出する入金算出部と、前記入金算出部によって算出された入金金額、または、前記入金算出部によって算出された入金金額に基づいて算出された回収金額を、QRコード、バーコードなどのコード情報として表示する入金回収表示部と、を有する貨幣入金装置と、
前記入金回収表示部に表示されたコード情報を取得する携帯端末と、
を備えている。
【0009】
本発明による貨幣入金回収システムにおいて、
前記携帯端末が、前記入金回収表示部に表示されたコード情報を読み取って数値データに変換する携帯データ変換部を有してもよい。
【0010】
本発明による貨幣入金回収システムにおいて、
前記携帯端末が、前記数値データを表示する携帯表示部を有してもよい。
【0011】
本発明による貨幣入金回収システムにおいて、
前記携帯端末が、メール送信機能を有する携帯電話からなっていてもよい。
【0012】
本発明による貨幣入金回収システムにおいて、
前記携帯端末が、近距離送信機能を有する携帯電話からなっていてもよい。
【0013】
本発明による貨幣入金回収システムにおいて、
前記貨幣入金装置の収納部が、前記筐体から取り外し自在の回収カセットからなり、
前記回収カセットが、該回収カセットを特定するための特定情報を有し、
前記携帯端末が、前記入金回収表示部に表示されたコード情報を、前記回収カセットを特定するための特定情報と関連付けてもよい。
【0014】
このような貨幣入金回収システムにおいて、
前記回収カセットの前記特定情報がコード情報であり、
前記携帯端末が、前記回収カセットのコード情報を読み取ることによって、前記入金回収表示部に表示されたコード情報を、該回収カセットを特定するための特定情報と関連付けてもよい。
【0015】
本発明による貨幣入金回収システムにおいて、
前記携帯端末が取得したコード情報を取得して、入金金額または回収金額を集計または管理する集計装置、をさらに備えてもよい。
【0016】
本発明による貨幣入金回収システムにおいて、
前記携帯端末が、前記入金回収表示部に表示されたコード情報を画像データで取得し、
前記集計装置が、前記携帯端末が取得した画像データを読み取って数値データに変換する集計データ変換部を有してもよい。
【0017】
本発明による貨幣入金回収システムにおいて、
前記集計装置が、前記数値データを表示する表示部を有してもよい。
【0018】
本発明による貨幣入金回収システムにおいて、
前記集計装置が、集計した入金金額または回収金額を印字する印字部を有してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、入金算出部によって算出された入金金額、または、入金算出部によって算出された入金金額に基づいて算出された回収金額が、入金回収表示部に、QRコード、バーコードなどのコード情報として表示される。このため、印紙にかかるコストを低減する(節税する)ことができる貨幣入金装置および貨幣入金回収システムを提供することができる。しかも、このような貨幣入金装置および貨幣入金回収システムは、低コストで導入することができるためメリットが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態による貨幣入金装置の概略を示す構成図。
【図2】本発明の実施の形態による貨幣入金回収システムの一部の概略を示す構成図。
【図3】本発明の実施の形態による貨幣入金回収システムの別の一部の概略を示す構成図。
【図4】本発明の実施の形態による貨幣入金回収システムの携帯電話の概略を示す構成図。
【図5】本発明の実施の形態による貨幣入金回収システムの入金集計装置で管理されるリストの一例を示す図。
【図6】本発明の実施の形態による貨幣入金回収システムの回収集計装置で管理されるリストの一例を示す図。
【図7】本発明の実施の形態の変形例による入金集計装置と回収集計装置の概略を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態
以下、本発明に係る貨幣入金装置および貨幣入金回収システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図7は本発明の実施の形態を示す図である。
【0022】
図1に示すように、貨幣入金回収システムは、硬貨を処理する硬貨処理機30と、紙幣を処理する紙幣処理機40と、これら硬貨処理機30および紙幣処理機40を制御するターミナル部50と、を有する貨幣入金装置1を備えている。なお、本願において、貨幣とは、硬貨および紙幣の両方を意味している。また、ターミナル部50は、硬貨処理機30または紙幣処理機40と一体であっても別体であってもよい。
【0023】
図1に示すように、硬貨処理機30は、硬貨筐体39と、硬貨筐体39に設けられて硬貨を受け入れるための硬貨受入部31と、硬貨受入部31に連結されて当該硬貨受入部31から受け入れられた硬貨を硬貨筐体39内で搬送する硬貨入金搬送部34aと、硬貨入金搬送部34aに設けられて当該硬貨入金搬送部34aで搬送される硬貨を識別する硬貨入金識別部33aと、硬貨入金識別部33aによって識別された硬貨を金種別に一時保留する硬貨一時保留部35と、硬貨一時保留部35の下方に設けられて金種別に硬貨を収納する硬貨金種別収納部(硬貨回収カセット)36と、を備えている。
【0024】
また、図1に示すように、硬貨入金搬送部34aの端部には、入金時に識別異常や搬送異常が発生した場合に搬送される硬貨入金リジェクト部32が設けられている。また、硬貨金種別収納部36の下方には、出金時、硬貨金種別収納部36から出金された硬貨と、入金時、硬貨金種別収納部36に収納されずに硬貨一時保留部35から直接受け取った硬貨を搬送する硬貨出金搬送部34bが設けられている。そして、この硬貨出金搬送部34bは、出金時に硬貨金種別収納部36から出金された硬貨を硬貨出金箱37に搬送し、入金時に硬貨金種別収納部36に収納されず硬貨一時保留部35から直接受け取った硬貨を硬貨入金返却箱38に搬送する。なお、硬貨出金箱37と硬貨入金返却箱38は出入自在になっている。なお、硬貨出金搬送部34bには、出金された硬貨を識別する硬貨出金識別部33bが設けられている。
【0025】
また、図1に示すように、硬貨筐体39内には、硬貨入金識別部33aによる識別結果に基づいて硬貨金種別収納部36内に入金された硬貨の入金金額を算出する入金硬貨算出部11と、入金硬貨算出部11で算出された入金金額に基づいて回収金額を算出する回収硬貨算出部13が設けられている。
【0026】
また、図1に示すように、紙幣処理機40は、紙幣筐体49と、紙幣筐体49に設けられて紙幣を受け入れるための紙幣受入部41と、紙幣受入部41に連結されて当該紙幣受入部41から受け入れられた紙幣を紙幣筐体49内で搬送する紙幣搬送部44と、紙幣搬送部44に設けられて当該紙幣搬送部44で搬送される紙幣を識別する紙幣識別部43と、紙幣搬送部44の端部に連結されて紙幣識別部43による識別結果に基づいて金種別に紙幣を収納する紙幣金種別収納部(紙幣回収カセット)46と、を備えている。
【0027】
また、図1に示すように、紙幣搬送部44の端部には、入金時に識別異常や搬送異常が発生した紙幣と、出金時に紙幣金種別収納部46から出金された紙幣の両方が搬送される紙幣投出口42が設けられている。また、紙幣搬送部44の端部には、出金時に識別異常や搬送異常が発生した紙幣が搬送される紙幣リジェクト出金箱47が設けられている。なお、紙幣リジェクト出金箱47は通常施錠されているが、開錠されれば出入自在になっている。
【0028】
また、図1に示すように、紙幣筐体49内には、紙幣識別部43による識別結果に基づいて紙幣金種別収納部46内に入金された紙幣の入金金額を算出する入金紙幣算出部21と、入金紙幣算出部21で算出された入金金額に基づいて回収金額を算出する回収紙幣算出部23が設けられている。
【0029】
また、図1に示すように、ターミナル部50は、入金硬貨算出部11および入金紙幣算出部21によって算出された入金金額を含む個別入金情報(入金した日付、入金した時間、入金金額、金種別枚数など)と、回収硬貨算出部13および回収紙幣算出部23によって算出された回収金額を含む個別回収情報(ユーザー番号(ユーザーNo.)、店番号(店No.)、回収した日付、回収金額、金種別枚数など)を、QRコード、バーコードなどのコード情報として表示する表示画面(入金回収表示部)50aを有している。
【0030】
また、図2および図3に示すように、貨幣入金回収システムは、ターミナル部50の表示画面50aに表示されたQRコード、バーコードなどのコード情報を取得する携帯端末60a,60bも備えている。図4(a)(b)に示すように、本実施の形態による携帯端末60a,60bは、表示画面50aに表示されたコード情報を読み取って数値データに変換する携帯データ変換部65a,65bと、当該数値データを表示する携帯表示部61a,61bと、を有する携帯電話60a,60bからなっている。そして、この携帯電話60a,60bは、メール送信機能を果たすメール送信部62a,62bと、赤外線通信、Bluetoothなどの近距離通信機能を果たす近距離送信部63a,63bとを有している。また、携帯データ変換部65a,65bには、携帯表示部61a,61b、メール送信部62a,62bおよび近距離送信部63a,63bの各々が接続されている。なお、本実施の形態では、以下、携帯端末60a,60bとして携帯電話60a,60bを用いて説明するが、これに限られることはない。
【0031】
また、硬貨金種別収納部36は、硬貨筐体39から取り外し自在の硬貨回収カセット36からなっている。また、同様に、紙幣金種別収納部46は、紙幣筐体49から取り外し自在の紙幣回収カセット46からなっている。なお、硬貨回収カセット36は、当該硬貨回収カセット36を特定するための特定情報(以下、硬貨回収カセット情報と言う)を有し、同様に、紙幣回収カセット46は、当該紙幣回収カセット46を特定するための特定情報(以下、紙幣回収カセット情報と言う)を有している。より具体的には、硬貨回収カセット36には、硬貨回収カセット情報に対応するQRコード、バーコードなどのコード情報が印字されたシール36aが貼り付けられており、同様に、紙幣回収カセット46には、紙幣回収カセット情報に対応するQRコード、バーコードなどのコード情報が印字されたシール46aが貼り付けられている(図2および図3参照)。本実施の形態では、以下、硬貨回収カセット情報に対応するコード情報としてのバーコードがシール36aに印字され、紙幣回収カセット情報に対応するコード情報としてのバーコードがシール46aに印字された態様を用いて説明するが、これに限られることはない。
【0032】
なお、携帯電話60bの携帯データ変換部65bは、図4(b)に示すように、表示画面50aに表示されたコード情報を、硬貨回収カセット情報および紙幣回収カセット情報と関連付けるリンク部66bを有している。
【0033】
また、貨幣入金回収システムは、携帯電話60aが取得した個別入金情報を取得するとともに管理する入金集計装置70(図2参照)と、携帯電話60bが取得した個別回収情報を取得するとともに集計する回収集計装置75(図3参照)とを備えている。なお、入金集計装置70は、入金した日付、入金した時間、入金金額、金種別枚数、レジ番号(レジNo.)、担当者コードなどをリスト化して管理するように構成されている(図5参照)。また、回収集計装置75は、ユーザー番号(ユーザーNo.)、店番号(店No.)、回収した日付、回収金額、金種別枚数などをリスト化して管理するように構成されている(図6参照)。
【0034】
また、図2および図3に示すように、入金集計装置70と回収集計装置75の各々は、近距離送信部63a,63bから送信を受信する近距離受信部72,77と、集計した入金金額または回収金額を印字する印字部71,76を有している。
【0035】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用効果について述べる。
【0036】
(入金処理)
最初に、本実施の形態による貨幣入金回収システムで、入金処理を行う際の作用効果について説明する。
【0037】
まず、硬貨処理機30の硬貨受入部31に入金される硬貨が載置され、紙幣処理機40の紙幣受入部41に入金される紙幣が載置される(図1参照)。
【0038】
次に、硬貨受入部31から受け入れられた硬貨は、硬貨入金搬送部34aによって搬送され、硬貨入金識別部33aによる識別結果に基づいて硬貨一時保留部35で金種別に一時保留される(図1参照)。そして、入金指示部(図示せず)から入金する旨の指示を受けることによって、当該硬貨は、硬貨金種別収納部(硬貨回収カセット)36に金種別に収納される。他方、紙幣受入部41から受け入れられた紙幣は、紙幣搬送部44によって搬送され、紙幣識別部43による識別結果に基づいて金種別に紙幣金種別収納部(紙幣回収カセット)46内に収納される。
【0039】
なお、硬貨入金搬送部34aによって搬送される硬貨に識別異常や搬送異常が発生した場合には、当該硬貨は硬貨入金リジェクト部32に搬送される。他方、紙幣搬送部44によって搬送される紙幣に識別異常や搬送異常が発生した場合には、当該紙幣は紙幣投出口42に搬送される。
【0040】
上述のように硬貨処理機30によって硬貨の入金処理が行われている間、入金硬貨算出部11によって、硬貨入金識別部33aによる識別結果に基づき硬貨が金種別に計数され、硬貨受入部31から硬貨金種別収納部36に受け入れられた硬貨の入金金額が算出される(図1参照)。他方、紙幣処理機40によって紙幣の入金処理が行われている間、入金紙幣算出部21によって、紙幣識別部43による識別結果に基づき紙幣が金種別に計数され、紙幣受入部41から紙幣金種別収納部46に受け入れられた紙幣の入金金額が算出される(図1参照)。
【0041】
なお、硬貨受入部31から受け入れられた硬貨および紙幣受入部41から受け入れられた紙幣のうちの一部を硬貨金種別収納部36および紙幣金種別収納部46内に入金する場合(例えば、実際の売り上げが¥345,496の場合において、紙幣受入部41に¥350,000が受け入れられた場合)には、残部(上述の例でいうと、¥4,504)が出金されることとなる。
【0042】
この場合には、硬貨金種別収納部36から硬貨出金搬送部34bに硬貨が出金され、他方、紙幣金種別収納部46から紙幣搬送部44に紙幣が出金される(図1参照)。そして、硬貨出金搬送部34bに出金された硬貨は、硬貨出金識別部33bによって識別された後で、硬貨出金箱37に搬送され、他方、紙幣搬送部44に出金された紙幣は、紙幣識別部43によって識別された後で、紙幣投出口42に搬送される。
【0043】
なお、このように硬貨が出金されている間、入金硬貨算出部11は硬貨出金識別部33bからの情報を受ける。そして、入金硬貨算出部11は、硬貨入金識別部で識別された硬貨の入金金額から硬貨出金識別部33bで識別された硬貨の出金金額を引くことによって、硬貨金種別収納部36に入金された金額を算出する。同様に、紙幣が出金されている間、入金紙幣算出部21は紙幣識別部43からの情報を受ける。そして、入金紙幣算出部21は、紙幣識別部43で識別された紙幣の入金金額から紙幣識別部43で識別された紙幣の出金金額を引くことによって、紙幣金種別収納部46に入金された金額を算出する。
【0044】
上述のように、入金硬貨算出部11によって硬貨金種別収納部36内に入金された硬貨の金額が算出され、入金紙幣算出部21によって紙幣金種別収納部46内に入金された紙幣の金額が算出されると、ターミナル部50の表示画面(入金回収表示部)50aによって、算出された硬貨の入金金額と紙幣の入金金額が、数値表示されるとともに、QRコード、バーコードなどのコード情報としても表示される(図2参照)。なお、図2ではQRコードで表示される態様を示しており、本実施の形態では、以下、コード情報としてQRコードを用いた態様で説明するが、これに限られることはない。
【0045】
次に、入金処理を行った入金者の所持する携帯電話60aによって、ターミナル部50の表示画面50aに表示されたQRコードが読み取られる(図2参照)。そして、この携帯電話60aの携帯データ変換部65aによって、QRコードが数値データに変換されるとともに、当該数値データが携帯表示部61aに表示される(図4(a)参照)。このように、本実施の形態では、携帯表示部61aに数値データが表示されるので、入金者は、表示画面50aに表示された入金金額の数値表示と、携帯表示部61aに表示された数値データとが一致しているかを確認することができる。なお、この数値データには、個別入金情報として、入金した日付、入金した時間、入金金額、金種別枚数などが含まれている。
【0046】
次に、個別入金情報を含む数値データが、入金者が働いている店舗に設置された入金集計装置70に、メール送信部62aによってメールで送信されたり、または、近距離送信部63aによって赤外線通信、Bluetoothなどで送信されたりする(図2参照)。
【0047】
次に、携帯電話60a,60bから送信された個別入金情報が、入金集計装置70によって受信され集計される。このことによって、入金集計装置70により、入金した日付、入金した時間、入金金額、金種別枚数、レジ番号(レジNo.)、担当者コードなどがリスト化されて管理される(図5参照)。なお、印字部71を用いることによって、このようにリスト化された情報を紙媒体に印字することができる。
【0048】
上述のように、本実施の形態によれば、コード情報としてのQRコードが表示画面50aに表示され、携帯電話60aで当該QRコードを読み取るとともに入金集計装置70に送信することができる。
【0049】
このため、個別入金情報を紙媒体に印字する必要がなく印紙にかかるコストを低減する(節税する)ことができる。
【0050】
すなわち、近年、売上金が入金される貨幣入金装置で印字される紙媒体に印紙を貼らなければならない可能性も出てきたが、本実施の形態によれば個別入金情報を紙媒体に印字する必要がないため、印紙にかかるコストを確実に低減する(節税する)ことができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、ハードを変更することなくソフトを変更するだけで導入することができるので、低コストで導入することができる。
【0052】
すなわち、金額情報の印字された紙媒体を出さないように、市場に既にある貨幣入金装置1の各々に、ICチップなどの電子記憶媒体に対して読み書きを行うリーダライタなどの電子記録装置を新たに搭載するというようなハードを変更することも考えられるが、このような手法を用いると、全ての貨幣入金装置1にリーダライタなどの電子記録装置を搭載することはコストが莫大にかかってしまう。これに対して、本実施の形態によれば、ハードを変更することなくソフトを変更するだけで導入することができるので、格段に低コストで導入することができる。
【0053】
(回収処理)
次に、本実施の形態による貨幣入金回収システムで、回収処理を行う際の作用効果について説明する。
【0054】
まず、警送会社の回収者によって、貨幣入金装置1が回収モードに切り替えられる。
【0055】
このとき、回収硬貨算出部13によって、入金硬貨算出部11で算出された入金金額が加算されることによって(入金金額に基づいて)硬貨の回収金額が算出される(図1参照)。他方、回収紙幣算出部23によって、入金紙幣算出部21で算出された入金金額が加算されることによって(入金金額に基づいて)紙幣の回収金額が算出される(図1参照)。
【0056】
そして、ターミナル部50の表示画面50aに、硬貨の回収金額と紙幣の回収金額とを合算した貨幣の回収金額が数値表示されるとともに、QRコード(コード情報)としても表示される(図3参照)。
【0057】
次に、警送会社の回収者の所持する携帯電話(携帯端末)60bによって、ターミナル部50の表示画面50aに表示されたQRコードが読み取られる(図3参照)。そして、この携帯電話60bの携帯データ変換部65bによって、QRコードが数値データに変換されるとともに、当該数値データが携帯表示部61bに表示される(図4(b)参照)。このように、本実施の形態では、携帯表示部61bに数値データが表示されるので、回収者は、表示画面50aに表示された回収金額の数値表示と、携帯表示部61bに表示された数値データとが一致しているかを確認することができる。なお、この数値データには、個別回収情報として、ユーザー番号(ユーザーNo.)、店番号(店No.)、回収した日付、回収金額、金種別枚数などが含まれている。
【0058】
次に、回収者の所持する携帯電話60bによって、硬貨回収カセット36に貼り付けられたシール36aのバーコードと、紙幣回収カセット46に貼り付けられたシール46aのバーコードとが読み取られる(図3参照)。そして、携帯電話60bのリンク部66bによって、個別回収情報を示す数値データと、硬貨回収カセット情報および紙幣回収カセット情報とが関連付けられる(図4(b)参照)。
【0059】
次に、個別回収情報を含む数値データが、警送会社に設置された回収集計装置75に、メール送信部62bによってメールで送信されたり、または、近距離送信部63bによって赤外線通信、Bluetoothなどで送信されたりする(図3参照)。
【0060】
次に、携帯電話60bから送信された個別回収情報が、回収集計装置75によって受信され集計される。このことによって、回収集計装置75により、ユーザー番号(ユーザーNo.)、店番号(店No.)、硬貨回収カセット情報、紙幣回収カセット情報、回収した日付、回収金額、金種別枚数などがリスト化されて管理される(図6参照)。なお、印字部76を用いることによって、このようにリスト化された情報を紙媒体に印字することができる。
【0061】
ところで、回収者によって回収された硬貨回収カセット36内の硬貨と紙幣回収カセット46内の紙幣は、警送センター内に設置された貨幣入金装置(図示せず)に入金されて再鑑される。そして、当該貨幣入金装置に入金されて実際に計数された貨幣の金額と、回収集計装置75にリスト化されて記憶されている回収金額とが一致しているかが確認されることとなる。
【0062】
上述のように、本実施の形態によれば、コード情報としてのQRコードが表示画面50aに表示され、携帯電話60bで当該QRコードを読み取るとともに回収集計装置75に送信することができる。
【0063】
このため、個別回収情報を紙媒体に印字する必要がなく印紙にかかるコストを低減する(節税する)ことができる。
【0064】
すなわち、貨幣を回収する際に貨幣入金装置で印字される紙媒体に印紙を貼らなければならない可能性も出てきたが、本実施の形態によれば個別回収情報を紙媒体に印字する必要がないため、印紙にかかるコストを確実に低減する(節税する)ことができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、上述のようにハードを変更することなくソフトを変更するだけで導入することができるので、低コストで導入することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、個別回収情報を示す数値データ(ユーザー番号(ユーザーNo.)、店番号(店No.)、回収した日付、回収金額、金種別枚数)と、硬貨回収カセット情報および紙幣回収カセット情報とが関連付けられる。このため、回収された硬貨回収カセット36および紙幣回収カセット46内に収容されている貨幣と、回収集計装置75内に記憶された個別回収情報とを容易に照らし合わせることができる。
【0067】
すなわち、本実施の形態によれば、回収された硬貨回収カセット36および紙幣回収カセット46に貼り付けられたシール36a,46aのバーコードを読み取ることによって、回収集計装置75で記憶されている硬貨回収カセット情報および紙幣回収カセット情報を容易に読み出すことができる。このため、警送センター内の貨幣入金装置(図示せず)に入金されて実際に計数された貨幣(硬貨回収カセット36および紙幣回収カセット46内に収容されていた貨幣)の金額と、回収集計装置75内に記憶されている回収金額とを容易に照らし合わせることができる。
【0068】
変形例
上記では、携帯端末60a,60bが、表示画面50aに表示されたコード情報を読み取って数値データに変換する携帯データ変換部65a,65bを有する態様を用いて説明した。しかしながら、これに限られることはなく、例えば、携帯電話60a,60bが表示画面50aに表示されたコード情報を画像データで取得し、図7(a)に示すように、入金集計装置70が携帯電話60aの取得した画像データを受信するとともに読み取って数値データに変換する入金集計データ変換部73を有し、図7(b)に示すように、回収集計装置78が携帯電話60bの取得した画像データを受信するとともに読み取って数値データに変換する回収集計データ変換部78を有する態様を用いてもよい。
【0069】
この場合には、入金集計装置70が、数値データを表示する表示画面(入金表示部)70aを有していることが好ましい(図7(a)参照)。このような表示画面70aによって、画像データを入金集計装置70に送信した際に画像データから変換された数値データを表示することができ、実際の売り上げと入金された金額とが合致しているかを容易に確認することができるためである。
【0070】
また、同様に、回収集計装置75が、数値データを表示する表示画面(回収表示部)75aを有していることが好ましい(図7(b)参照)。このような表示画面75aによって、画像データを回収集計装置75に送信した際に画像データから変換された数値データが表示されることとなり、警送センター内に設置された貨幣入金装置(図示せず)に入金されて実際に計数された貨幣の金額と、表示画面75aに表示された数値データとが合致しているかを容易に確認することができるためである。
【0071】
ところで、上記では、貨幣入金装置1が入金処理のみを行う態様(受け入れられた貨幣の一部を入金するときのみに出金処理を行う態様)を用いて説明した。しかしながら、これに限られることはなく、貨幣入金装置1は、出金処理を単独で(入金処理を伴わずに単独で)行うようにしてもよい。この場合には、回収硬貨算出部13は、入金された硬貨の合計金額から出金された硬貨の合計金額を引くことによって硬貨の回収金額を算出し、回収紙幣算出部23は、入金された紙幣の合計金額から出金された紙幣の合計金額を引くことによって紙幣の回収金額を算出することとなる。
【符号の説明】
【0072】
1 貨幣入金装置
11 入金硬貨算出部(入金算出部)
13 回収硬貨算出部(回収算出部)
21 入金紙幣算出部(入金算出部)
23 回収紙幣算出部(回収算出部)
30 硬貨処理機
31 硬貨受入部
32 硬貨入金リジェクト部
33a 硬貨入金識別部
33b 硬貨出金識別部
34a 硬貨入金搬送部
34b 硬貨出金搬送部
36 硬貨金種別収納部(硬貨回収カセット)
39 硬貨筐体
40 紙幣処理機
41 紙幣受入部
43 紙幣識別部
44 紙幣搬送部
46 紙幣金種別収納部(紙幣回収カセット)
49 紙幣筐体
50 ターミナル部
50a 表示画面(入金回収表示部)
60a,60b 携帯端末(携帯電話)
61a,61b 携帯表示部
65a,65b 携帯データ変換部
66b リンク部
70 入金集計装置(集計装置)
70a 表示画面(入金表示部)
71 印字部
73 入金集計データ変換部
75 回収集計装置(集計装置)
75a 表示画面(回収表示部)
78 回収集計データ変換部
76 印字部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられ、貨幣を受け入れるための貨幣受入部と、
前記貨幣受入部から受け入れられた貨幣を前記筐体内で搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送される貨幣を識別する識別部と、
前記識別部によって識別された貨幣を収納する収納部と、
前記識別部による識別結果に基づき少なくとも前記貨幣受入部から受け入れられた貨幣の入金金額を算出する入金算出部と、
前記入金算出部によって算出された入金金額、または、前記入金算出部によって算出された入金金額に基づいて算出された回収金額を、QRコード、バーコードなどのコード情報として表示する入金回収表示部と、
を備えたことを特徴とする貨幣入金装置。
【請求項2】
筐体と、前記筐体に設けられ、貨幣を受け入れるための貨幣受入部と、前記貨幣受入部から受け入れられた貨幣を前記筐体内で搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送される貨幣を識別する識別部と、前記識別部によって識別された貨幣を収納する収納部と、前記識別部による識別結果に基づき少なくとも前記貨幣受入部から受け入れられた貨幣の入金金額を算出する入金算出部と、前記入金算出部によって算出された入金金額、または、前記入金算出部によって算出された入金金額に基づいて算出された回収金額を、QRコード、バーコードなどのコード情報として表示する入金回収表示部と、を有する貨幣入金装置と、
前記入金回収表示部に表示されたコード情報を取得する携帯端末と、
を備えたことを特徴とする貨幣入金回収システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、前記入金回収表示部に表示されたコード情報を読み取って数値データに変換する携帯データ変換部を有することを特徴とする請求項2に記載の貨幣入金回収システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記数値データを表示する携帯表示部を有することを特徴とする請求項3に記載の貨幣入金回収システム。
【請求項5】
前記携帯端末が、メール送信機能を有する携帯電話からなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の貨幣入金回収システム。
【請求項6】
前記携帯端末が、近距離送信機能を有する携帯電話からなることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の貨幣入金回収システム。
【請求項7】
前記貨幣入金装置の収納部は、前記筐体から取り外し自在の回収カセットからなり、
前記回収カセットは、該回収カセットを特定するための特定情報を有し、
前記携帯端末は、前記入金回収表示部に表示されたコード情報を、前記回収カセットを特定するための特定情報と関連付けることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の貨幣入金回収システム。
【請求項8】
前記回収カセットの前記特定情報がコード情報であり、
前記携帯端末は、前記回収カセットのコード情報を読み取ることによって、前記入金回収表示部に表示されたコード情報を、該回収カセットを特定するための特定情報と関連付けることを特徴とする請求項7に記載の貨幣入金回収システム。
【請求項9】
集計装置を備えた貨幣入金回収システム
前記携帯端末が取得したコード情報を取得して、入金金額または回収金額を集計または管理する集計装置、をさらに備えたことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の貨幣入金回収システム。
【請求項10】
前記携帯端末は、前記入金回収表示部に表示されたコード情報を画像データで取得し、
前記集計装置は、前記携帯端末が取得した画像データを読み取って数値データに変換する集計データ変換部を有することを特徴とする請求項9に記載の貨幣入金回収システム。
【請求項11】
前記集計装置は、前記数値データを表示する表示部を有することを特徴とする請求項9に記載の貨幣入金回収システム。
【請求項12】
前記集計装置は、集計した入金金額または回収金額を印字する印字部を有することを特徴とする請求項9乃至11いずれか1項に記載の貨幣入金回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−204793(P2010−204793A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47720(P2009−47720)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.Bluetooth
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】