説明

貨幣処理装置

【課題】回収ボックスの設置を省略することができるとともに、オーバーフロー貨幣以外の回収貨幣の回収動作を適切に行うことができる貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】各収納放出部50に収納することができないオーバーフロー貨幣、および貨幣処理装置10から回収されるべき回収貨幣を収納するオーバーフロー部80が設けられている。制御部90は、回収貨幣を搬送部20からオーバーフロー部80に送る第1のモードおよび回収貨幣を搬送部20から貨幣投出口18に送る第2のモードのうちいずれか一方のモードを選択的に行うようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や硬貨等の貨幣の処理を行う貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙幣や硬貨等の貨幣の処理を行う貨幣処理装置として、様々なタイプのものが知られている。例えば、特許文献1には、硬貨の入金処理および出金処理を行うことができる硬貨入出金機が開示されている。特許文献1に開示されるような従来の硬貨入出金機では、リサイクル用の硬貨を収納する硬貨収納繰出部と、リサイクルすることができない硬貨を回収硬貨として収納する回収ボックスと、リサイクルすることができるが硬貨収納繰出部が満杯であることにより硬貨収納繰出部に収納することができないオーバーフロー硬貨を収納するオーバーフローボックスとがそれぞれ設けられるようになっている。ここで、回収ボックスに収納された回収硬貨は、店舗の営業時間後に硬貨入出金機から回収ボックスごと回収されるようになっている。また、このような硬貨入出金機では、硬貨収納繰出部内の硬貨が不足すると、オーバーフローボックスを機体から取り外してこのオーバーフローボックス内の硬貨を硬貨受入口に投入することによりオーバーフロー硬貨を硬貨収納繰出部に補充するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−051962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような従来の硬貨入出金機では、硬貨収納繰出部、回収ボックスおよびオーバーフローボックスという3つの収納手段を設けなければならなかったため、機体内の構成が複雑になるとともに、硬貨入出金機の外形が大きくなってしまうという問題があった。このため、従来の硬貨入出金機において装置のコンパクト化やコストダウンを図るために、回収ボックスを省略し、オーバーフローボックス内にオーバーフロー硬貨および回収硬貨を混合状態で収納させる方法が用いられている。しかしながら、このような方法を用いた場合には、オーバーフローボックス内の硬貨を硬貨収納繰出部に補充する際に、回収硬貨は再びオーバーフローボックス内に戻されてしまうため、オーバーフローボックス内の硬貨の補充動作を何回行った場合でも、回収硬貨がいつまでもオーバーフローボックス内に残った状態になってしまい、回収硬貨を適切に回収することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、回収ボックスの設置を省略することができるとともに、回収貨幣を搬送部からオーバーフロー部に送る第1のモードおよび回収貨幣を搬送部から貨幣投出口に送る第2のモードのうちいずれか一方のモードを選択的に行うことにより、オーバーフロー貨幣以外の回収貨幣の回収動作を適切に行うことができる貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、貨幣の処理を行う貨幣処理装置であって、機体外から貨幣を受け入れる貨幣受入口と、前記機体外へ貨幣を投出する貨幣投出口と、前記貨幣受入口により前記機体外から受け入れられた貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、当該搬送部により搬送される貨幣の識別を行う識別部と、前記識別部による貨幣の識別結果に基づいて前記搬送部から貨幣が送られるようになっており、各々が貨幣を収納するとともに収納された貨幣を放出する複数の収納放出部と、前記各収納放出部に収納することができないオーバーフロー貨幣、および前記貨幣処理装置から回収されるべき回収貨幣を収納するオーバーフロー部と、前記搬送部を制御する制御部であって、前記回収貨幣を前記搬送部から前記オーバーフロー部に送る第1のモードおよび前記回収貨幣を前記搬送部から前記貨幣投出口に送る第2のモードのうちいずれか一方のモードを選択的に行う制御部と、を備えたことを特徴とする貨幣処理装置である。
【0007】
このような貨幣処理装置によれば、各収納放出部に収納することができないオーバーフロー貨幣、および貨幣処理装置から回収されるべき回収貨幣を収納するオーバーフロー部が設けられており、制御部は、回収貨幣を搬送部からオーバーフロー部に送る第1のモードおよび回収貨幣を搬送部から貨幣投出口に送る第2のモードのうちいずれか一方のモードを選択的に行うようになっている。このことにより、回収ボックスの設置を省略することができるとともに、回収貨幣を搬送部から貨幣投出口に送る第2のモードを制御部において行うことにより、オーバーフロー貨幣以外の回収貨幣の回収動作を適切に行うことができるようになる。すなわち、オーバーフロー部内のオーバーフロー貨幣を収納放出部に補充する際に、制御部において第2のモードを行った場合には回収貨幣が再びオーバーフロー部内に戻されてしまうことがない。このため、オーバーフロー部内のオーバーフロー貨幣を収納放出部に補充する補充動作を何回行った場合でも回収貨幣がいつまでもオーバーフロー部内に残った状態になってしまうといったトラブルを防止することができる。
【0008】
本発明の貨幣処理装置においては、前記制御部において、通常時は前記第1のモードにより前記搬送部の制御が行われるようになっており、前記オーバーフロー部に収納された貨幣が前記貨幣受入口に投入された場合には前記第2のモードにより前記搬送部の制御が行われるようになっていてもよい。
【0009】
本発明の貨幣処理装置においては、前記制御部において、前記回収貨幣の種類が予め設定されていてもよい。
【0010】
本発明の貨幣処理装置は、前記第1のモードおよび前記第2のモードのうちどちらのモードを行うかを前記制御部に入力するためのモード入力部を更に備えていてもよい。
【0011】
本発明の貨幣処理装置は、前記搬送部から前記貨幣投出口に送られるべき前記回収貨幣の種類を前記制御部に入力するための種類入力部を更に備え、前記モード入力部において前記第2のモードを行うことが前記制御部に入力されたときに、前記種類入力部により、前記搬送部から前記貨幣投出口に送られるべき前記回収貨幣の種類が前記制御部に入力されるようになっていてもよい。
【0012】
本発明の貨幣処理装置は、操作者の情報を前記制御部に入力するための操作者情報入力部を更に備え、前記操作者情報入力部により前記制御部に入力された操作者の情報が、前記制御部において予め設定された所定の条件を満たす場合にのみ、前記モード入力部により前記第2のモードを行うことを前記制御部に入力することができるようになっていてもよい。
【0013】
本発明の貨幣処理装置は、操作者に対して報知を行う報知部を更に備え、前記制御部において前記第1のモードが行われるときに、前記オーバーフロー部に前記回収貨幣が送られたときに前記報知部はこのことを報知するようになっていてもよい。
【0014】
本発明の貨幣処理装置は、操作者に対して報知を行う報知部を更に備え、前記制御部において前記第2のモードが行われるときに、前記貨幣投出口に前記回収貨幣が送られたときに前記報知部はこのことを報知するようになっていてもよい。
【0015】
本発明の貨幣処理装置においては、前記オーバーフロー部は前記貨幣処理装置の前記機体に対して着脱自在となっていてもよい。
【0016】
本発明の貨幣処理装置は、前記オーバーフロー部に収納された貨幣を当該オーバーフロー部から繰り出す繰出部と、前記繰出部により繰り出された貨幣を前記搬送部に送る補充搬送部と、を更に備えていてもよい。
【0017】
本発明の貨幣処理装置においては、前記搬送部にはオーバーフロー貨幣選別部が設けられており、前記オーバーフロー貨幣および前記回収貨幣は前記オーバーフロー貨幣選別部により前記搬送部から前記オーバーフロー部に直接的に送られるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の貨幣処理装置によれば、回収ボックスの設置を省略することができるとともに、オーバーフロー貨幣以外の回収貨幣の回収動作を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一の実施の形態における硬貨入出金機の内部構成の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示す硬貨入出金機の内部構成の概略を示す正面図である。
【図3】図1等に示す硬貨入出金機の機能ブロック図である。
【図4】図1等に示す硬貨入出金機における入金処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明による他の構成の硬貨入出金機の内部構成の概略を示す側面図である。
【図6】図5に示す硬貨入出金機の内部構成の概略を示す正面図である。
【図7】本発明による更に他の構成の硬貨入出金機の内部構成の概略を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図4は、本実施の形態に係る硬貨入出金機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における硬貨入出金機の内部構成の概略を示す側面図であり、図2は、図1に示す硬貨入出金機の内部構成の概略を示す正面図である。また、図3は、図1等に示す硬貨入出金機の機能ブロック図であり、図4は、図1等に示す硬貨入出金機における入金処理の動作を示すフローチャートである。
【0021】
図1および図2に示すように、硬貨入出金機10は、略直方体形状の筐体12と、筐体12外から硬貨を受け入れる硬貨受入口14と、硬貨受入口14に受け入れられた硬貨が送られて貯留されるとともに貯留された硬貨を1枚ずつ繰り出す貯留繰出装置30とを備えている。また、筐体12内において、貯留繰出装置30から繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送する入金搬送部20が設けられており、この入金搬送部20には、当該入金搬送部20により搬送される硬貨の識別を行う識別部22が設けられている。
【0022】
また、筐体12内において入金搬送部20の下方には複数(具体的には8つ)の収納繰出装置50が設けられている。各収納繰出装置50は、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて、入金搬送部20に設けられた選別部24(後述)により当該入金搬送部20から硬貨が金種別に送られて収納されるようになっている。また、各収納繰出装置50は、当該収納繰出装置50に収納された硬貨を1枚ずつ繰り出すようになっている。
【0023】
また、硬貨入出金機10には、筐体12外へ硬貨を投出する硬貨投出口18が設けられており、筐体12内には、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨を硬貨投出口18に搬送する出金搬送部70が設けられている。また、筐体12内において、出金搬送部70の下方にはオーバーフローボックス80が設けられている。オーバーフローボックス80には、対応する金種の収納繰出装置50が満杯であることにより当該収納繰出装置50に収納することができないオーバーフロー硬貨、および硬貨入出金機10から回収されるべき回収硬貨が混合状態で収納されるようになっている。なお、オーバーフロー硬貨および回収硬貨の詳細については後述する。
【0024】
以下、このような構成からなる硬貨入出金機10の各構成要素の詳細について説明する。
【0025】
図2に示すように、筐体12外から内部に投入された硬貨を受け入れる硬貨受入口14が筐体12の上部に設けられており、硬貨受入口14に受け入れられた硬貨は自重により貯留繰出装置30に送られるようになっている。硬貨受入口14から貯留繰出装置30に送られた硬貨は、当該貯留繰出装置30に一時的に貯留されるようになっている。
【0026】
図2に示すように、貯留繰出装置30は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤32と、この回転円盤32の表面32bとの間に硬貨を貯留する硬貨貯留空間33を形成するカバー部材34と、を備えている。
【0027】
図1に示すように、入金搬送部20は、第1の入金搬送部分20aと、折り返し入金搬送部分20bと、第2の入金搬送部分20cとを有している。第1の入金搬送部分20aは、略水平方向に沿って延び、貯留繰出装置30から繰り出された硬貨を搬送するようになっている。折り返し入金搬送部分20bは、第1の入金搬送部分20aから送られた硬貨を搬送し、この際に硬貨の搬送方向を逆方向に変えるようになっている。第2の入金搬送部分20cは、略水平方向に沿って延び、折り返し入金搬送部分20bから送られた硬貨を搬送するようになっている。ここで、第1の入金搬送部分20aは、図1における右方向に硬貨を1枚ずつ搬送するようになっており、第2の入金搬送部分20cは、図1における左方向に硬貨を1枚ずつ搬送するようになっている。また、折り返し入金搬送部分20bは、半円に沿って延びるような湾曲形状となっており、硬貨の搬送方向を図1における右方向から左方向に変えるようになっている。
【0028】
また、図1に示すように、第1の入金搬送部分20a、折り返し入金搬送部分20bおよび第2の入金搬送部分20cから構成される入金搬送部20は、複数のプーリに張架された無端状ベルト20pから構成されている。そして、一のプーリに取り付けられたモータにより無端状ベルト20pは図1における反時計回りの方向に循環移動させられるようになっている。また、この無端状ベルト20pには複数の突起部材(図示せず)が等間隔で設けられており、一の突起部材に硬貨が1枚引っ掛けられることにより、搬送面上で硬貨が1枚ずつ搬送させられるようになっている。
【0029】
図1および図2に示すように、第1の入金搬送部分20aおよび第2の入金搬送部分20cにはそれぞれ複数の選別部24(24a〜24c)が設けられている。より具体的には、第1の入金搬送部分20aには5つの選別部24が設けられており、第2の入金搬送部分20cにも5つの選別部24が設けられている。また、図1に示すように、第1の入金搬送部分20aにおける各選別部24の上流側には識別部22が設けられており、この識別部22は、貯留繰出装置30から繰り出された硬貨の金種、真偽、正損等の識別を行うようになっている。そして、第1の入金搬送部分20aや第2の入金搬送部分20cに設けられた各選別部24は、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて、これらの第1の入金搬送部分20aや第2の入金搬送部分20cにより搬送される硬貨を選別して硬貨投出口18や各収納繰出装置50、あるいはオーバーフローボックス80に送るようになっている。具体的には、第1の入金搬送部分20aおよび第2の入金搬送部分20cに設けられた合計10つの選別部24のうち、1つの選別部24aはリジェクト硬貨選別部として機能するようになっており、この選別部24aによりリジェクト硬貨が選別されて硬貨投出口18に送られるようになっている。また、10つの選別部24のうち、1つの選別部24bはオーバーフロー硬貨選別部として機能するようになっており、この選別部24bによりオーバーフロー硬貨や回収硬貨が選別されてオーバーフローボックス80に送られるようになっている。また、リジェクト硬貨選別部やオーバーフロー硬貨選別部として機能する選別部24a、24b以外の8つの選別部24cは、各収納繰出装置50に対応するようになっている。また、各選別部24には、それぞれ対応するシュート26が設けられている。そして、選別部24により選別された硬貨は、この選別部24に設けられたシュート26を介して、硬貨投出口18や、対応する収納繰出装置50、あるいはオーバーフローボックス80に送られるようになる。
【0030】
より詳細に説明すると、10つの選別部24のうち、第1の入金搬送部分20aにおける最も上流側の位置に設けられた選別部24a(すなわち、図1における第1の入金搬送部分20aに設けられた5つの選別部24のうち最も左側に配置された選別部24a)は、リジェクト硬貨の選別を行うリジェクト硬貨選別部として機能するようになっている。すなわち、識別部22により識別された硬貨のうちリジェクト硬貨と識別された硬貨はこのリジェクト硬貨選別部24aにより選別されて硬貨投出口18に送られるようになる。また、第1の入金搬送部分20aにおける最も下流側の位置に設けられた選別部24b(すなわち、図1における第1の入金搬送部分20aに設けられた5つの選別部24のうち最も右側に配置された選別部24b)は、オーバーフロー硬貨や回収硬貨の選別を行うオーバーフロー硬貨選別部として機能するようになっている。すなわち、識別部22により識別された硬貨のうちオーバーフロー硬貨や回収硬貨と識別された硬貨はこのオーバーフロー硬貨選別部24bにより選別されてオーバーフローボックス80に送られるようになる。なお、後述するように、識別部22により識別された硬貨が回収硬貨であった場合において、この回収硬貨がオーバーフロー硬貨選別部24bにより選別されてオーバーフローボックス80に送られることなく代わりにリジェクト硬貨選別部24aにより選別されて硬貨投出口18に送られるときもある。
【0031】
また、10つの選別部24のうち、上述のようなリジェクト硬貨選別部やオーバーフロー硬貨選別部として機能する選別部24a、24b以外の8つの選別部24cは、それぞれ、金種別に硬貨を選別する金種別硬貨選別部として機能するようになっている。すなわち、識別部22により識別された硬貨の金種に基づいて、各金種別硬貨選別部24cにより硬貨は金種別に各収納繰出装置50に送られるようになる。
【0032】
図1に示すように、入金搬送部20の下方には複数、具体的には8つの収納繰出装置50が設けられている。ここで、複数の収納繰出装置50は、同一の構成のものからなるようになっている。具体的には、各収納繰出装置50は、入金搬送部20から各選別部24cにより選別されて送られた硬貨を収納するとともに、収納された硬貨を1枚ずつ収納繰出装置50の外部に繰り出すようになっている。各収納繰出装置50は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤52と、この回転円盤52の表面52bとの間に硬貨を収納する硬貨収納空間53を形成するカバー部材54と、を備えている。
【0033】
前述のように、筐体12内には出金搬送部70が設けられており、この出金搬送部70は、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨を硬貨投出口18に搬送するようになっている。ここで、出金搬送部70は、各収納繰出装置50の下方に設けられ略水平方向に沿って延びる第1の出金搬送部分70aと、第1の出金搬送部分70aから送られた硬貨を硬貨投出口18に搬送する第2の出金搬送部分70bとを有している。
【0034】
第1の出金搬送部分70aおよび第2の出金搬送部分70bから構成される出金搬送部70は、複数のプーリに張架された無端状ベルト70pから構成されている。そして、一のプーリに取り付けられたモータにより無端状ベルト70pは図1における時計回りおよび反時計回りの両方向に循環移動させられるようになっている。また、この無端状ベルト70pには複数の突起部材(図示せず)が等間隔で設けられており、一の突起部材に硬貨が1枚以上引っ掛けられることにより、無端状ベルト70pにより硬貨が1枚以上ずつ搬送させられるようになっている。また、各収納繰出装置50の一方の側の側方(図2における右方)には硬貨出金空間が形成されており、この硬貨出金空間において、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が出金搬送部70の第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下するようになっている。また、各収納繰出装置50の他方の側の側方(図2における左方)には、入金搬送部20に設けられた選別部24から各収納繰出装置50に硬貨を搬送するシュート26が設けられている。
【0035】
このような出金搬送部70において、無端状ベルト70pが図1における反時計回りの方向に循環移動させられるときには、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が自重により第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから第2の出金搬送部分70bに送られる。そして、第2の出金搬送部分70bにおいて無端状ベルト70pの突起部材に引っ掛けられた硬貨は図1における上方に移動させられ、最終的に第2の出金搬送部分70bの上端部から硬貨投出口18に送られるようになる。一方、無端状ベルト70pが図1における時計回りの方向に循環移動させられるときには、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨は自重により第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下するが、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから後述するオーバーフローボックス80に送られ、最終的にオーバーフローボックス80に収納されるようになる。
【0036】
前述のように、筐体12内において、各収納繰出装置50の下方にはオーバーフローボックス80が設けられている。このオーバーフローボックス80は筐体12に対して着脱自在に設けられている。また、前述のように、オーバーフローボックス80には出金搬送部70における第1の出金搬送部分70aから硬貨が送られるようになっている。また、入金搬送部20においてオーバーフロー硬貨選別部24bにより選別された硬貨がオーバーフローボックス80に直接的に送られる場合もある。前述したように、オーバーフローボックス80には、対応する金種の収納繰出装置50が満杯であることにより当該収納繰出装置50に収納することができないオーバーフロー硬貨、および硬貨入出金機10には受け付けるが当該硬貨入出金機10から回収されるべき回収硬貨が収納されるようになっている。
【0037】
また、硬貨入出金機10内には、当該硬貨入出金機10の各構成要素の制御を行う制御部90が設けられている。制御部90の構成について図3を用いて説明する。図3に示すように、制御部90は、入金搬送部20、貯留繰出装置30、識別部22、選別部24、収納繰出装置50、出金搬送部70等にそれぞれ接続されている。そして、識別部22による硬貨の識別結果が制御部90に送られるようになっており、また、制御部90から入金搬送部20、貯留繰出装置30、選別部24、収納繰出装置50、出金搬送部70等にそれぞれ指令を送ることにより制御部90はこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
【0038】
また、硬貨入出金機10の筐体12の上面または前面には操作表示部92(図1および図2では図示せず)が設けられており、この操作表示部92は制御部90に接続されている。操作表示部92は、例えばタッチパネル式のディスプレイ等からなる。そして、操作表示部92によって操作者により入力された情報は制御部90に送られるようになっており、また、制御部90から操作表示部92に情報を送ることによりこの操作表示部92で様々な表示を行わせるようになっている。また、硬貨入出金機10の筐体12の上面または前面にはカードリーダ95(図1および図2では図示せず)が設けられており、このカードリーダ95により操作者が携帯するIDカードのID情報を読み取るようになっている。カードリーダ95は制御部90に接続されており、カードリーダ95により読み取られた操作者のID情報は制御部90に送られるようになっている。また、制御部90には記憶部96が接続されており、この記憶部96には硬貨入出金機10の様々な設定情報や、各収納繰出装置50に収納された硬貨の金種毎の枚数等の収納情報が記憶されるようになっている。また、制御部90にはインターフェース98が接続されており、このインターフェース98を介して制御部90は硬貨入出金機10以外の外部装置(例えば上位装置)と情報の送受信を行うことができるようになっている。
【0039】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、制御部90は、回収硬貨を入金搬送部20からオーバーフロー硬貨選別部24bによりオーバーフローボックス80に送る第1のモード、および回収硬貨を入金搬送部20からリジェクト硬貨選別部24aにより硬貨投出口18に送る第2のモードのうちいずれか一方のモードを選択して実行するようになっている。より詳細には、図3に示すように、操作表示部92にはモード入力部93が設けられており、このモード入力部93により、第1のモードおよび第2のモードのうちどちらのモードを行うかを操作者が制御部90に入力することができるようになっている。また、制御部90において、回収硬貨の種類が予め設定されるようになっている。具体的には、制御部90において、各収納繰出装置50に割り当てられていない金種の硬貨、外貨、損貨、記念貨、旧貨等が回収硬貨として設定されるようになっている。
【0040】
より詳細には、制御部90において、通常時は第1のモードにより入金搬送部20における各選別部24の制御が行われるようになっている。一方、オーバーフローボックス80が硬貨入出金機10から取り出されてこのオーバーフローボックス80に収納された硬貨が硬貨受入口14に投入された場合には、制御部90において第2のモードにより入金搬送部20における各選別部24の制御が行われるようになっている。すなわち、通常時は、回収硬貨は入金搬送部20からオーバーフロー硬貨選別部24bによりオーバーフローボックス80に送られるようになり、一方、オーバーフローボックス80に収納された硬貨が硬貨受入口14に投入された場合には、回収硬貨は入金搬送部20からリジェクト硬貨選別部24aにより硬貨投出口18に送られるようになる。なお、本実施の形態の硬貨入出金機10においてはこのような態様に限定されることはなく、オーバーフローボックス80が硬貨入出金機10から取り出されてこのオーバーフローボックス80に収納された硬貨が硬貨受入口14に投入された場合でも、例えば操作者によってモード入力部93により第1のモードが選択されたときには、制御部90は第1のモードを実行するようになる。
【0041】
また、図3に示すように、操作表示部92には、制御部90において第2のモードが実行されるときに入金搬送部20からリジェクト硬貨選別部24aにより硬貨投出口18に送られるべき回収硬貨の種類を制御部90に入力するための種類入力部94が設けられている。そして、モード入力部93により第2のモードを行うことが操作者によって制御部90に入力されたときに、種類入力部94によって、入金搬送部20からリジェクト硬貨選別部24aにより硬貨投出口18に送られるべき回収硬貨の種類が操作者により制御部90に入力されるようになっている。
【0042】
次に、このような構成からなる硬貨入出金機10の動作について説明する。なお、以下に示す硬貨入出金機10の動作は、制御部90が硬貨入出金機10の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
【0043】
まず、硬貨入出金機10へ硬貨を入金する入金処理の動作について図4に示すフローチャートを用いて説明する。入金処理を行うにあたり、操作者は操作表示部92のモード入力部93により第1のモードおよび第2のモードのうちどちらのモードを行うかを制御部90に入力する。一般的には、通常時は第1のモードを行うことを操作者は選択する。一方、硬貨入出金機10の筐体12からオーバーフローボックス80を取り外してこのオーバーフローボックス80に収納された硬貨を硬貨受入口14に投入する場合には第2のモードを行うことを操作者は選択する。なお、後者の場合でも操作者は第1のモードを行うことを選択してもよい。また、モード入力部93により第2のモードを行うことが制御部90に入力されたときには、種類入力部94によって操作者は入金搬送部20から硬貨投出口18に送られるべき回収硬貨の種類を制御部90に入力する。また、入金処理の動作を行う前に、操作者は自分が携帯するIDカードをカードリーダ95により読み取らせ、操作者のID情報を制御部90に送るようにする。そして、カードリーダ95により制御部90に入力された操作者のID情報が、制御部90において予め設定された所定の条件を満たす場合にのみ、具体的には操作者が所定の権限を有する場合にのみ、モード入力部93により第2のモードを行うことを制御部90に入力することができるようになっている。すなわち、所定の権限を有しないような操作者は、モード入力部93により第2のモードを行うことを制御部90に入力することができず、第1のモードしか行うことができないようになっている。
【0044】
操作者がモード入力部93により第1のモードおよび第2のモードのうちどちらのモードを行うかを制御部90に入力した後、硬貨入出金機10の硬貨受入口14に硬貨が投入されると、この硬貨は自重により落下して貯留繰出装置30に送られる。そして、貯留繰出装置30において回転円盤32が図1における反時計回りの方向に回転することにより、硬貨貯留空間33内で貯留され回転円盤32の下部領域にある硬貨は、回転円盤32の下部領域から上部領域に拾い上げられる。その後、回転円盤32の上部領域に拾い上げられた硬貨は貯留繰出装置30の出口へ向けて押し出され、最終的に入金搬送部20の無端状ベルト20pに送られる。このようにして、貯留繰出装置30に貯留された硬貨が1枚ずつ入金搬送部20に繰り出される(STEP1)。
【0045】
貯留繰出装置30から入金搬送部20に繰り出された硬貨は当該入金搬送部20の無端状ベルト20pにより搬送される。具体的には、まず識別部22により硬貨の識別が行われる(STEP2)。そして、制御部90において第1のモードが実行されている場合において(STEP3の「YES」)、識別部22によりリジェクト硬貨であると識別された硬貨は(STEP4の「YES」)、入金搬送部20からリジェクト硬貨選別部24aにより選別されて硬貨投出口18に送られる(STEP5)。また、制御部90において第1のモードが実行されている場合において(STEP3の「YES」)、識別部22により回収硬貨であると識別された硬貨は(STEP6の「YES」)、入金搬送部20からオーバーフロー硬貨選別部24bにより選別されてオーバーフローボックス80に送られる(STEP7)。なお、前述したように、回収硬貨の種類は、制御部90において予め設定されている。具体的には、制御部90において、例えば各収納繰出装置50に割り当てられていない金種の硬貨、外貨、損貨、記念貨、旧貨等が回収硬貨として設定されており、識別部22においてこれらのものに該当すると識別された硬貨は回収硬貨としてオーバーフローボックス80に送られるようになる。また、制御部90において第1のモードが実行されている場合において(STEP3の「YES」)、識別部22によりオーバーフロー硬貨であると識別された硬貨は(STEP8の「YES」)、入金搬送部20からオーバーフロー硬貨選別部24bにより選別されてオーバーフローボックス80に送られる(STEP7)。なお、オーバーフロー硬貨とは、リジェクト硬貨や回収硬貨ではない正常な硬貨のうち、対応する金種の収納繰出装置50が満杯でありこの収納繰出装置50に収納することができないような硬貨のことをいう。また、制御部90において第1のモードが実行されている場合において(STEP3の「YES」)、識別部22により正常な硬貨であると識別されかつオーバーフロー硬貨ではない場合には(STEP8の「NO」)、識別部22により識別された硬貨の金種に基づいて、各金種別硬貨選別部24cにより金種別に選別され、各金種別硬貨選別部24cに対応する収納繰出装置50に送られて収納される(STEP9)。
【0046】
一方、制御部90において第1のモードが実行されていない場合、すなわち第2のモードが実行されている場合において(STEP3の「NO」)、識別部22によりリジェクト硬貨であると識別された硬貨は(STEP10の「YES」)、入金搬送部20からリジェクト硬貨選別部24aにより選別されて硬貨投出口18に送られる(STEP11)。また、制御部90において第2のモードが実行されている場合において(STEP3の「NO」)、識別部22により回収硬貨であると識別された硬貨は(STEP12の「YES」)、入金搬送部20からリジェクト硬貨選別部24aにより選別されて硬貨投出口18に送られる(STEP11)。なお、硬貨投出口18に送られる回収硬貨は、種類入力部94により制御部90に入力された種類の回収硬貨に限られる。それ以外の種類の回収硬貨は、入金搬送部20からオーバーフロー硬貨選別部24bにより選別されてオーバーフローボックス80に送られる。
【0047】
また、制御部90において第2のモードが実行されている場合において(STEP3の「NO」)、識別部22によりオーバーフロー硬貨であると識別された硬貨は(STEP13の「YES」)、入金搬送部20からオーバーフロー硬貨選別部24bにより選別されてオーバーフローボックス80に送られる(STEP14)。また、制御部90において第2のモードが実行されている場合において(STEP3の「NO」)、識別部22により正常な硬貨であると識別されかつオーバーフロー硬貨ではない場合には(STEP13の「NO」)、識別部22により識別された硬貨の金種に基づいて、各金種別硬貨選別部24cにより金種別に選別され、各金種別硬貨選別部24cに対応する収納繰出装置50に送られて収納される(STEP15)。
【0048】
また、制御部90において第1のモードが実行されている場合において(STEP3の「YES」)、オーバーフローボックス80に回収硬貨が送られたときには(STEP7)、操作表示部92にこのことが表示されるようになっている。また、制御部90において第2のモードが実行されている場合において(STEP3の「NO」)、硬貨投出口18に回収硬貨が送られたときには(STEP11)、操作表示部92にこのことが表示されるようになっている。このように、操作表示部92は、回収硬貨がオーバーフローボックス80や硬貨投出口18に送られたときにこのことを操作者に報知する報知部として機能するようになっている。
【0049】
上述した図4のSTEP1〜STEP15に示す動作は、貯留繰出装置30から硬貨が全て繰り出されて硬貨投出口18、各収納繰出装置50あるいはオーバーフローボックス80に送られるまで繰り返し行われる(STEP16の「NO」)。そして、貯留繰出装置30から硬貨が全て繰り出されて硬貨投出口18、各収納繰出装置50あるいはオーバーフローボックス80に送られると(STEP16の「YES」)、硬貨入出金機10における硬貨の入金処理が終了する。
【0050】
次に、硬貨入出金機10から硬貨を出金する出金処理の動作について説明する。硬貨入出金機10から硬貨を出金する際には、出金すべき硬貨の金種に対応する収納繰出装置50から、収納された硬貨を繰り出して出金搬送部70に送る。より詳細には、収納繰出装置50から繰り出された硬貨は自重により第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下する。この際に、収納繰出装置50からは図2における右方向に硬貨が繰り出されるようになる。
【0051】
また、硬貨入出金機10から硬貨を出金する際には、出金搬送部70の無端状ベルト70pは図1における反時計回りの方向に循環移動するようになっている。このことにより、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が自重により第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから第2の出金搬送部分70bに送られる。そして、第2の出金搬送部分70bにおいて無端状ベルト70pの突起部材に引っ掛けられた硬貨は図1における上方に移動させられ、最終的に第2の出金搬送部分70bの上端部から硬貨投出口18に送られる。このようにして、収納繰出装置50から所定の金額の硬貨が繰り出され、出金搬送部70を介して硬貨投出口18に送られると、硬貨入出金機10における硬貨の出金処理が終了する。
【0052】
以上のように本実施の形態の硬貨入出金機10によれば、各収納繰出装置50に収納することができないオーバーフロー硬貨、および硬貨入出金機10から回収されるべき回収硬貨を収納するオーバーフローボックス80が設けられており、制御部90は、回収硬貨を入金搬送部20からオーバーフローボックス80に送る第1のモードおよび回収硬貨を入金搬送部20から硬貨投出口18に送る第2のモードのうちいずれか一方のモードを選択的に行うようになっている。このことにより、回収ボックスの設置を省略することができるとともに、回収硬貨を入金搬送部20から硬貨投出口18に送る第2のモードを制御部90において行うことにより、オーバーフロー硬貨以外の回収硬貨の回収動作を適切に行うことができるようになる。すなわち、オーバーフローボックス80内のオーバーフロー硬貨を各収納繰出装置50に補充する際に、制御部90において第2のモードを行った場合には回収硬貨が再びオーバーフローボックス80内に戻されてしまうことがない。このため、オーバーフローボックス80内のオーバーフロー硬貨を各収納繰出装置50に補充する補充動作を何回行った場合でも回収硬貨がいつまでもオーバーフローボックス80内に残った状態になってしまうといったトラブルを防止することができる。
【0053】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、制御部90において、通常時は第1のモードにより入金搬送部20の制御が行われるようになっており、一方、オーバーフローボックス80に収納された硬貨が硬貨受入口14に投入された場合には第2のモードにより入金搬送部20の制御が行われるようになっている。このことにより、オーバーフローボックス80内の硬貨を硬貨受入口14に投入して収納繰出装置50に補充する際に、オーバーフローボックス80内の回収硬貨は硬貨投出口18に送られるようになるため、この回収硬貨を確実に回収することができるようになる。
【0054】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、前述のように、制御部90において回収硬貨の種類が予め設定されている。
【0055】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、第1のモードおよび第2のモードのうちどちらのモードを行うかを制御部90に入力するためのモード入力部93が設けられている。このことにより、操作者は、モード入力部93によって第1のモードおよび第2のモードのうちどちらのモードを行うかを選択することができ、回収硬貨を硬貨投出口18に送るかまたはオーバーフローボックス80に送るかを設定することができるようになる。また、モード入力部93において第2のモードを行うことが制御部90に入力されたときに、種類入力部94により、入金搬送部20から硬貨投出口18に送られるべき回収硬貨の種類が制御部90に入力されるようになっている。このことにより、制御部90が第2のモードを実行する際に、硬貨投出口18に送られる回収硬貨の種類を設定することができるようになる。
【0056】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、操作者のID情報を制御部90に入力するためのカードリーダ95(操作者情報入力部)が設けられており、カードリーダ95により読み取られ制御部90に入力された操作者のID情報が、制御部90において予め設定された所定の条件を満たす場合にのみ、モード入力部93により第2のモードを行うことを制御部90に入力することができるようになっている。このことにより、操作者が所定の権限を有する場合にのみ、モード入力部93により第2のモードを行うことを制御部90に入力することができるようになり、回収硬貨を回収することができるようになる。すなわち、所定の権限を有しないような操作者は、モード入力部93により第2のモードを行うことを制御部90に入力することができず、第1のモードしか行うことができないようになり、回収硬貨の回収を行うことができないようになる。なお、操作者の情報(具体的には、操作者が所定の権限を有するか否か等)を確認する方法としては、操作者が携帯するIDカードをカードリーダ95により読み取らせる方法に限定されることはない。他の方法としては、例えば操作者は操作表示部92により自己のID情報を入力するようになっており、制御部90はこの入力された操作者のID情報が所定の条件を満たすか否かを判断するようになっていてもよい。
【0057】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、制御部90において第1のモードが実行されている場合において、オーバーフローボックス80に回収硬貨が送られたときには、操作表示部92にこのことが表示されるようになっている。また、制御部90において第2のモードが実行されている場合において、硬貨投出口18に回収硬貨が送られたときには、操作表示部92にこのことが表示されるようになっている。このように、操作表示部92は、回収硬貨がオーバーフローボックス80や硬貨投出口18に送られたときにこのことを操作者に報知する報知部として機能するようになっている。回収硬貨がオーバーフローボックス80や硬貨投出口18に送られたときに操作表示部92にこのことが表示されるため、操作者は、硬貨入出金機10に投入された回収硬貨の行方を操作表示部92の表示により確認することができるようになる。
【0058】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、オーバーフローボックス80は硬貨入出金機10の筐体12に対して着脱自在となっている。また、入金搬送部20にはオーバーフロー硬貨選別部24bが設けられており、オーバーフロー硬貨および回収硬貨はオーバーフロー硬貨選別部24bにより入金搬送部20からオーバーフローボックス80に直接的に送られるようになっている。
【0059】
なお、本実施の形態による硬貨入出金機10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。本実施の形態による硬貨入出金機の他の構成について、図5および図6を用いて説明する。図5は、変形例に係る硬貨入出金機10aの内部構成の概略を示す側面図であり、図6は、図5に示す硬貨入出金機10aの内部構成の概略を示す正面図である。
【0060】
図5および図6に示す硬貨入出金機10aは、図1乃至図4に示す硬貨入出金機10と比較して、入金搬送部20からオーバーフローボックス80にオーバーフロー硬貨や回収硬貨を直接的に送るオーバーフロー硬貨選別部24bが設けられていない点が異なるのみであり、他の構成については図1乃至図4に示す硬貨入出金機10と実質的に同一となっている。
【0061】
図5および図6に示す硬貨入出金機10aでは、8つの収納繰出装置50のうち1または複数の収納繰出装置50は、回収硬貨やオーバーフロー硬貨を一時的に保留するための一時保留部として使用されるようになっている。そして、制御部90において第1のモードが実行されている場合において、識別部22により回収硬貨やオーバーフロー硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部20から選別部24cにより選別されて一時保留部としての収納繰出装置50に送られる。そして、貯留繰出装置30から硬貨が全て繰り出されて硬貨投出口18や各収納繰出装置50に送られると、一時保留部としての収納繰出装置50から回収硬貨やオーバーフロー硬貨を繰り出して出金搬送部70に送る。この際に、出金搬送部70の無端状ベルト70pは図5における時計回りの方向に循環移動するようになっている。このことにより、各収納繰出装置50から繰り出された回収硬貨やオーバーフロー硬貨が自重により第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨はオーバーフローボックス80に送られる。このようにして、回収硬貨やオーバーフロー硬貨はオーバーフローボックス80に収納されるようになる。
【0062】
また、制御部90において第2のモードが実行されている場合には、識別部22により回収硬貨であると識別された硬貨はリジェクト硬貨選別部24aにより硬貨投出口18に送られるが、識別部22によりオーバーフロー硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部20から選別部24cにより選別されて一時保留部としての収納繰出装置50に送られる。そして、貯留繰出装置30から硬貨が全て繰り出されて硬貨投出口18や各収納繰出装置50に送られると、一時保留部としての収納繰出装置50からオーバーフロー硬貨を繰り出して出金搬送部70に送る。この際に、出金搬送部70の無端状ベルト70pは図5おける時計回りの方向に循環移動するようになっている。このことにより、各収納繰出装置50から繰り出されたオーバーフロー硬貨が自重により第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨はオーバーフローボックス80に送られる。このようにして、オーバーフロー硬貨はオーバーフローボックス80に収納されるようになる。
【0063】
また、更に他の変形例として、オーバーフロー硬貨および回収硬貨を収納するオーバーフロー部として、オーバーフローボックス80の代わりに、8つの収納繰出装置50のうち1または複数の収納繰出装置50を用いるようになっていてもよい。この場合には、制御部90において第1のモードが実行されている場合には、識別部22によりオーバーフロー硬貨や回収硬貨であると識別された硬貨は、選別部24cにより選別されて入金搬送部20からオーバーフロー部としての収納繰出装置50に送られるようになる。また、制御部90において第2のモードが実行されている場合には、識別部22により回収硬貨であると識別された硬貨はリジェクト硬貨選別部24aにより硬貨投出口18に送られるが、識別部22によりオーバーフロー硬貨であると識別された硬貨は、選別部24cにより選別されて入金搬送部20からオーバーフロー部としての収納繰出装置50に送られるようになる。
【0064】
また、更に他の変形例として、図7に示すように、オーバーフローボックス80が筐体12から着脱自在となっている代わりに、オーバーフローボックス80に収納された硬貨を当該オーバーフローボックス80から繰り出す繰出部82が設けられるようになっていてもよい。この場合には、繰出部82により繰り出された硬貨を入金搬送部20(更に詳細には、入金搬送部20における識別部22よりも上流側の箇所)に送る補充搬送部84が設けられている。このような硬貨入出金機10bによれば、オーバーフローボックス80に収納されたオーバーフロー硬貨や回収硬貨を自動的に入金搬送部20に送ることができるようになるため、操作者が手動でオーバーフローボックス80に収納された硬貨を硬貨受入口14に投入する手間を省くことができるようになる。
【0065】
また、本発明による貨幣処理装置は、硬貨の入出金処理を行う硬貨入出金機に限定されることはない。本発明の貨幣処理装置として、紙幣の処理を行う紙幣処理装置を用いてもよい。このような紙幣処理装置においては、各収納放出部に収納することができないオーバーフロー紙幣、および紙幣処理装置から回収されるべき回収紙幣がオーバーフローボックス等のオーバーフロー部に収納されるようになる。また、搬送部を制御する制御部は、回収紙幣を搬送部からオーバーフロー部に送る第1のモードおよび回収紙幣を搬送部から紙幣投出口に送る第2のモードのうちいずれか一方のモードを選択的に行うようになる。
【符号の説明】
【0066】
10、10a、10b 硬貨入出金機
12 筐体
14 硬貨受入口
18 硬貨投出口
20 入金搬送部
20a 第1の入金搬送部分
20b 折り返し入金搬送部分
20c 第2の入金搬送部分
20p 無端状ベルト
22 識別部
24 選別部
24a リジェクト硬貨選別部
24b オーバーフロー硬貨選別部
24c 金種別硬貨選別部
25 開口部
26 シュート
30 貯留繰出装置
32 回転円盤
32b 表面
33 硬貨貯留空間
34 カバー部材
50 収納繰出装置
52 回転円盤
52b 表面
53 硬貨収納空間
54 カバー部材
70 出金搬送部
70a 第1の出金搬送部分
70b 第2の出金搬送部分
70p 無端状ベルト
80 オーバーフローボックス
82 繰出部
84 補充搬送部
90 制御部
92 操作表示部
93 モード入力部
94 種類入力部
95 カードリーダ
96 記憶部
98 インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣の処理を行う貨幣処理装置であって、
機体外から貨幣を受け入れる貨幣受入口と、
前記機体外へ貨幣を投出する貨幣投出口と、
前記貨幣受入口により前記機体外から受け入れられた貨幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部に設けられ、当該搬送部により搬送される貨幣の識別を行う識別部と、
前記識別部による貨幣の識別結果に基づいて前記搬送部から貨幣が送られるようになっており、各々が貨幣を収納するとともに収納された貨幣を放出する複数の収納放出部と、
前記各収納放出部に収納することができないオーバーフロー貨幣、および前記貨幣処理装置から回収されるべき回収貨幣を収納するオーバーフロー部と、
前記搬送部を制御する制御部であって、前記回収貨幣を前記搬送部から前記オーバーフロー部に送る第1のモードおよび前記回収貨幣を前記搬送部から前記貨幣投出口に送る第2のモードのうちいずれか一方のモードを選択的に行う制御部と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部において、通常時は前記第1のモードにより前記搬送部の制御が行われるようになっており、前記オーバーフロー部に収納された貨幣が前記貨幣受入口に投入された場合には前記第2のモードにより前記搬送部の制御が行われるようになっていることを特徴とする請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部において、前記回収貨幣の種類が予め設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記第1のモードおよび前記第2のモードのうちどちらのモードを行うかを前記制御部に入力するためのモード入力部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記搬送部から前記貨幣投出口に送られるべき前記回収貨幣の種類を前記制御部に入力するための種類入力部を更に備え、
前記モード入力部において前記第2のモードを行うことが前記制御部に入力されたときに、前記種類入力部により、前記搬送部から前記貨幣投出口に送られるべき前記回収貨幣の種類が前記制御部に入力されるようになっていることを特徴とする請求項4記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
操作者の情報を前記制御部に入力するための操作者情報入力部を更に備え、
前記操作者情報入力部により前記制御部に入力された操作者の情報が、前記制御部において予め設定された所定の条件を満たす場合にのみ、前記モード入力部により前記第2のモードを行うことを前記制御部に入力することができるようになっていることを特徴とする請求項4または5記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
操作者に対して報知を行う報知部を更に備え、
前記制御部において前記第1のモードが行われるときに、前記オーバーフロー部に前記回収貨幣が送られたときに前記報知部はこのことを報知するようになっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
操作者に対して報知を行う報知部を更に備え、
前記制御部において前記第2のモードが行われるときに、前記貨幣投出口に前記回収貨幣が送られたときに前記報知部はこのことを報知するようになっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
前記オーバーフロー部は前記貨幣処理装置の前記機体に対して着脱自在となっていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項10】
前記オーバーフロー部に収納された貨幣を当該オーバーフロー部から繰り出す繰出部と、
前記繰出部により繰り出された貨幣を前記搬送部に送る補充搬送部と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項11】
前記搬送部にはオーバーフロー貨幣選別部が設けられており、前記オーバーフロー貨幣および前記回収貨幣は前記オーバーフロー貨幣選別部により前記搬送部から前記オーバーフロー部に直接的に送られるようになっていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−12058(P2013−12058A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144574(P2011−144574)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】