説明

貨幣取引処理システム

【課題】顧客と職員とに共用の貨幣取引処理装置を比較的簡易且つ低コストで、顧客使用時には顧客が専有できる状態となり、職員使用時には職員が専有できる状態となるように、顧客と職員とで排他的に使用することができる貨幣取引処理システムの提供。
【解決手段】顧客用ロビースペース16と職員用スペース15とが仕切られた店舗12に、顧客と職員とに共用で設置される貨幣取引処理装置22を有するシステムであって、顧客用ロビースペース16と貨幣取引処理装置22の作業用スペース35とを往来可能とし且つ作業用スペース35と職員用スペース15とを往来不可に仕切る顧客専有状態(a)と、職員用スペース15と作業用スペース35とを往来可能とし且つ作業用スペース35と顧客用ロビースペース16とを往来不可に仕切る職員専有状態(b)とに移動する仕切手段30を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客と職員とに共用の貨幣取引処理装置を有する貨幣取引処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の店舗に、顧客と職員とに共用で設置される貨幣取引処理装置においては、顧客や職員が大口の現金を取り扱う際の防犯性を高めたり、大口の現金を取り扱う顧客のプライバシーを確実に保護することを目的として、貨幣取引処理装置を個室内に設置して、個室の入室を制限する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4319869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した貨幣取引処理装置は、顧客と職員とに共用であるものの、個室内に設けられるものであり、個室には、その室内と顧客用ロビーとを往来可能とする顧客用出入口と、この顧客用出入口を開閉する顧客扉と、顧客扉を閉状態でロックする顧客扉用電子錠と、個室の室内と職員用スペースとを往来可能とする職員用出入口と、職員用出入口を開閉する職員扉と、職員扉を閉状態でロックする職員扉用電子錠とが必要であり、設置が大がかりなものとなり、コストが嵩んでしまうという課題がある。
【0005】
したがって、本発明は、顧客と職員とに共用の貨幣取引処理装置を比較的簡易且つ低コストで、顧客使用時には顧客が専有できる状態となり、職員使用時には職員が専有できる状態となるように、顧客と職員とで排他的に使用することができる貨幣取引処理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、顧客用ロビースペースと職員用スペースとが仕切られた店舗に、顧客と職員とに共用で設置される貨幣取引処理装置を有する貨幣取引処理システムであって、前記顧客用ロビースペースと前記貨幣取引処理装置の作業用スペースとを往来可能とし且つ該作業用スペースと前記職員用スペースとを往来不可に仕切る顧客専有状態と、前記職員用スペースと前記作業用スペースとを往来可能とし且つ該作業用スペースと前記顧客用ロビースペースとを往来不可に仕切る職員専有状態とに移動する仕切手段を設けてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記仕切手段は、前記顧客用ロビースペースと前記職員用スペースとを前記作業用スペースを介して結ぶ方向に沿ってスライドすることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記顧客用ロビースペースには、前記仕切手段を覆う位置固定のカバー手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記顧客用ロビースペースには、前記職員専有状態にある前記仕切手段と嵌合して前記作業用スペースと前記顧客用ロビースペースとを仕切る嵌合手段が設けられており、前記職員用スペースには、前記顧客専有状態にある前記仕切手段と嵌合して前記作業用スペースと前記職員用スペースとを仕切る嵌合手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記仕切手段を駆動して移動させる駆動手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記駆動手段は、前記店舗の営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻に前記仕切手段を移動させて前記職員専有状態とし、前記非営業時間帯から前記営業時間帯への移行時刻に前記仕切手段を移動させて前記顧客専有状態とすることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記営業時間帯から前記非営業時間帯への移行時刻および前記非営業時間帯から前記営業時間帯への移行時刻に拘わらず、前記駆動手段で前記仕切手段を移動可能な操作手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る発明において、前記作業用スペース内の人の存在の有無を検知する監視手段と、前記仕切手段の近傍における、前記顧客用ロビースペース側および前記職員用スペース側の両方に設けられる報知手段とを有し、前記監視手段が人の存在ありを検知した場合に、両方の前記報知手段が人が存在する旨の報知を行い、前記監視手段が人の存在なしを検知した場合に、両方の前記報知手段が人が存在しない旨の報知を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明において、前記貨幣取引処理装置で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する装置用受付番号発行手段、または前記店舗内全体で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する全体用受付番号発行手段と、前記装置用受付番号発行手段または前記全体用受付番号発行手段からの信号に基づいて前記貨幣取引処理装置での取引の待ち人数を算出する算出手段とを有し、該算出手段は、前記待ち人数を前記顧客用ロビースペース側の前記報知手段に報知させることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に係る発明において、前記貨幣取引処理装置で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する装置用受付番号発行手段、または前記店舗内全体で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する全体用受付番号発行手段と、前記装置用受付番号発行手段または前記全体用受付番号発行手段からの信号に基づいて前記貨幣取引処理装置での取引の待ち人数を算出する算出手段と、前記顧客用ロビースペース側に前記待ち人数を報知する人数報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至10のいずれか一項に係る発明において、前記貨幣取引処理装置の運用モードを、前記顧客専有状態では顧客運用モードに、前記職員専有状態では前記顧客運用モードとは異なる職員運用モードに、切り換える制御手段を有することを特徴とする。
【0017】
請求項12に係る発明は、請求項11に係る発明において、前記制御手段は、前記貨幣取引処理装置内に出金可能に収納しているバラ貨幣を所定枚数ずつ纏めて纏め貨幣を作製する纏め貨幣作製処理の開始を判断する前記バラ貨幣の基準残量を、前記顧客運用モードと前記職員運用モードとで異ならせていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、仕切手段が移動して、顧客用ロビースペースと貨幣取引処理装置の作業用スペースとを往来可能とし且つこの作業用スペースと職員用スペースとを往来不可に仕切る顧客専有状態となることで、貨幣取引処理装置は、職員用スペースから作業用スペースへの職員の進入が規制され顧客に専有される状態となる。また、仕切手段が移動して、職員用スペースと貨幣取引処理装置の作業用スペースとを往来可能とし且つこの作業用スペースと顧客用ロビースペースとを往来不可に仕切る職員専有状態となることで、貨幣取引処理装置は、顧客用ロビースペースから作業用スペースへの顧客の進入が規制され職員に専有される状態となる。しかも、仕切手段は、二位置間で移動することで顧客専有状態および職員専有状態に切り換わることができるため、顧客と職員とに共用の貨幣取引処理装置を、比較的簡易且つ低コストで、顧客と職員とにより排他的に使用することが可能となる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、仕切手段は、顧客用ロビースペースと職員用スペースとを作業用スペースを介して結ぶ方向に沿ってスライドすることで、顧客専有状態および職員専有状態に切り換わることができるため、顧客と職員とに共用の貨幣取引処理装置を、さらに簡易且つ低コストで、顧客と職員とにより排他的に使用することが可能となる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、顧客用ロビースペースには、移動する仕切手段を覆う位置固定のカバー手段が設けられているため、顧客用ロビースペースにおいては移動する仕切手段を目立たないようにすることができる。したがって、顧客用ロビースペースの顧客に仕切手段の移動で違和感を生じさせてしまうことを防止できる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、仕切手段と嵌合して作業用スペースと顧客用ロビースペースとを仕切る嵌合手段と、仕切手段と嵌合して作業用スペースと職員用スペースとを仕切る嵌合手段とを設けているため、レイアウト変更等が発生した場合に、嵌合手段を変更すれば仕切手段を変更する必要がなくなり、簡易且つ低コストで対応できる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、駆動手段が仕切手段を駆動して移動させるため、仕切手段の移動作業が容易となる。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、駆動手段は、店舗の営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻に仕切手段を移動させて職員専有状態とし、非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻に仕切手段を移動させて顧客専有状態とするため、店舗の営業時間帯および非営業時間帯の切換時刻に自動的に仕切手段を移動させることができる。したがって、仕切手段の状態管理が容易となる。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻および非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻に拘わらず、操作手段によって、仕切手段を移動可能であるため、例えば、非営業時間帯において顧客の急な要望(例えば駆け込み入金等)があるときに顧客が貨幣取引処理装置を使用することができ、また、営業時間帯において顧客の貨幣取引処理装置の使用頻度が少ない時間帯に職員が貨幣取引処理装置を使用すること等ができる。
【0025】
請求項8に係る発明によれば、監視手段が人の存在ありを検知した場合に、仕切手段の近傍における、顧客用ロビースペース側および職員用スペース側の両方に設けられた報知手段が人が存在する旨の報知を行い、監視手段が人の存在なしを検知した場合に、両方の報知手段が人が存在しない旨の報知を行うため、作業用スペースへの他の操作者の進入を抑制でき、作業用スペースで貨幣取引処理装置を使用している操作者のプライバシーの保護性を高めることができる。また、作業用スペースで貨幣取引処理装置を使用している操作者がいない状態では、使用したい人に使用可能であることを案内でき、円滑な使用が可能となる。
【0026】
請求項9に係る発明によれば、算出手段が、装置用受付番号発行手段または全体用受付番号発行手段からの信号に基づいて貨幣取引処理装置での取引の待ち人数を算出すると、この待ち人数を顧客用ロビースペース側の報知手段に報知させるため、顧客用ロビースペースにいる顧客が貨幣取引処理装置の待ち人数を把握できる。
【0027】
請求項10に係る発明によれば、算出手段が、装置用受付番号発行手段または全体用受付番号発行手段からの信号に基づいて貨幣取引処理装置での取引の待ち人数を算出すると、この待ち人数を顧客用ロビースペース側の人数報知手段に報知させるため、顧客用ロビースペースにいる顧客が貨幣取引処理装置の待ち人数を把握できる。
【0028】
請求項11に係る発明によれば、制御手段が、貨幣取引処理装置の運用モードを、顧客専有状態では顧客運用モードに、職員専有状態では顧客運用モードとは異なる職員運用モードに切り換えるため、顧客専有状態では貨幣取引処理装置を顧客の使用に最適なモードにでき、職員専有状態では貨幣取引処理装置を職員の使用に最適なモードにできる。
【0029】
請求項12に係る発明によれば、制御手段が、貨幣取引処理装置内に出金可能に収納しているバラ貨幣を所定枚数ずつ纏めて纏め貨幣を作製する纏め貨幣作製処理の開始を判断するバラ貨幣の基準残量を、顧客運用モードと職員運用モードとで異ならせるため、各モードでの取引が円滑となるように運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る貨幣取引処理システムを有する店舗を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る貨幣取引処理システムを有する店舗の要部を示す平面図であって、(a)は顧客専有状態を、(b)は職員専有状態を、それぞれ示すものである。
【図3】本発明の一実施形態に係る貨幣取引処理システムの要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態に係る貨幣取引処理システムを図面を参照して以下に説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る貨幣取引処理システム11を有する金融機関の店舗12を概略的に示すもので、店舗12内は、位置固定の窓口カウンタ14によって、基本的に職員のみが立ち入り可能な職員用スペース15と、職員および顧客が立ち入り可能な顧客用ロビースペース16とに仕切られている。窓口カウンタ14の一端部は、店舗12の一側の壁部18に対向するように、この壁部18から所定距離離間しており、窓口カウンタ14と壁部18との間には、職員が職員用スペース15と顧客用ロビースペース16とに往来可能となるように開閉する揺動式の扉19が設けられている。
【0033】
窓口カウンタ14の他端部も、店舗12の逆側の壁部21に対向するように、この壁部21から所定距離離間している。また、窓口カウンタ14の他端部の職員用スペース15側には、壁部21側に正面を向けて貨幣取引処理装置22が位置固定となるように設置されている。貨幣取引処理装置22はその前面22aから入出金等の取引およびそれに伴う操作が行われることになり、背面22b側から、内部への貨幣の補充、回収およびジャムの解消操作が可能となっている。貨幣取引処理装置22はその前面22aが窓口カウンタ14の壁部21側の先端部より若干凹むようにして配置されており、正面から見て右側の右側面22cを窓口カウンタ14に当接させている。
【0034】
また、貨幣取引処理装置22の正面から見て左側には、窓口カウンタ14と同様に貨幣取引処理装置22の前面22aよりも若干突出する矩形板状の固定仕切板(嵌合手段)25が位置固定で設置されている。この固定仕切板25は貨幣取引処理装置22の左側面22dに当接している。
【0035】
また、窓口カウンタ14の壁部21側且つ顧客用ロビースペース16側には、窓口カウンタ14から顧客用ロビースペース16側に突出するように矩形板状の固定仕切板(嵌合手段)26が位置固定で設置されている。この固定仕切板26は窓口カウンタ14に当接している。
【0036】
図2に示すように、貨幣取引処理装置22の前面22aとこれに対向する店舗12の壁部21との間には、壁部21に近接して仕切部材(仕切手段)30が設けられている。この仕切部材30は略平面視コ字状をなしており、具体的には壁部21に平行をなして近接する矩形板状の背板部31と、この背板部31の職員用スペース15側の端縁部から背板部31に対し垂直をなして突出する矩形板状の端板部32と、背板部31の顧客用ロビースペース16側の端縁部から背板部31に対し垂直をなして突出する矩形板状の側板部33と、この側板部33の背板部31とは反対側の端縁部から側板部33に対し垂直(背板部31と平行)をなして職員用スペース15側に若干突出する矩形板状の端板部34とからなっている。仕切部材30は、背板部31が貨幣取引処理装置22の前面22aから離間しており、その内側に、貨幣取引処理装置22に対し取引操作を行う操作者の作業用スペース35を形成する。
【0037】
仕切部材30は、一方の端板部32の背板部31とは反対側の端部が、一方の固定仕切板25の背板部31側の端面と、背板部31と直交する方向の位置を合わせており、また、他方の端板部34の背板部31側の端部が他方の固定仕切板26の背板部31とは反対側の端面と、背板部31と直交する方向の位置を合わせている。また、仕切部材30は、一方の端板部32とこれに平行な側板部33との対向面間の距離が、一方の固定仕切板25の他方の固定仕切板26側の面と他方の固定仕切板26の一方の固定仕切板25とは反対側の面との距離よりも大きくなっている。また、仕切部材30は、その背板部31が固定仕切板25,26から、背板部31と直交する方向に離間している。
【0038】
そして、仕切部材30は、背板部31の下側に敷設された、壁部21と平行なスライドレール38によって、壁部21と近接した状態で壁部21と平行に、言い換えれば、顧客用ロビースペース16および職員用スペース15をこれらの間の作業用スペース35を介して結ぶ方向に移動可能となっている。ここで、スライドレール38による仕切部材30のスライド可能な距離は、図2(a)に示すように、仕切部材30が顧客用ロビースペース16側の端位置にあるとき、その職員用スペース15側の端板部32が職員用スペース15側の固定仕切板25とスライド方向の位置を合わせて嵌合し、図2(b)に示すように、仕切部材30が職員用スペース15側の端位置にあるとき、その顧客用ロビースペース16側の端板部34が顧客用ロビースペース16側の固定仕切板26とスライド方向の位置を重ね合わせて嵌合し且つ側板部33が固定仕切板26に当接するように設定されている。
【0039】
仕切部材30の下部には、図示は略すがスライドレール38と平行にラックギヤが固定されており、ラックギヤの下方には、これに噛み合うピニオンギヤが駆動軸に固定された図3に示す電動モータ(駆動手段)41が埋設されている。よって、この電動モータ41が駆動されることで、仕切部材30が駆動されて上記した両端位置の間でスライドする。仕切部材30の下方には、仕切部材30が職員用スペース15側の端位置にあることを検知する図3に示す一側端位置センサ44と、仕切部材30が顧客用ロビースペース16側の端位置にあることを検知する図3に示す他側端位置センサ45とが設けられている。
【0040】
ここで、仕切部材30は、図2(a)に示すように顧客用ロビースペース16側の端位置にあるとき、顧客用ロビースペース16側の端板部34および側板部33が、顧客用ロビースペース16側の固定仕切板26から離間する状態となる。また、仕切部材30は、図2(b)に示すように職員用スペース15側の端位置にあるとき、職員用スペース15側の端板部32が、職員用スペース15側の固定仕切板25から離間する状態となる。
【0041】
顧客用ロビースペース16には、仕切部材30の端板部34および側板部33を覆う位置固定のカバー部材(カバー手段)48が設置されている。このカバー部材48は店舗12の壁部21から側板部33と平行をなして突出する矩形板状の被覆側板部49と、この被覆側板部49の壁部21とは反対側の端縁部から壁部21と平行をなして仕切部材30側に突出する矩形板状の被覆端板部50とを有している。ここで、壁部21と被覆端板部50との対向面間の距離は仕切部材30の側板部33の長さと同等とされており、被覆端板部50と固定仕切板26とは離間している。
【0042】
そして、図2(a)に示すように仕切部材30が顧客用ロビースペース16側の端位置にあるとき、仕切部材30の端板部34およびカバー部材48の被覆端板部50と、固定仕切板26とが離間して、これらの間に顧客の往来を可能とする顧客用出入口52を形成する。また、図2(b)に示すように仕切部材30が職員用スペース15側の端位置にあるとき、仕切部材30の端板部32と、固定仕切板25とが離間して、これらの間に職員の往来を可能とする職員用出入口53を形成する。
【0043】
なお、上記のように仕切部材30が顧客用ロビースペース16側の端位置にあるとき、仕切部材30の端板部32と固定仕切板25とが嵌合して職員用出入口53を閉塞することになり、顧客用ロビースペース16と貨幣取引処理装置22の作業用スペース35とを顧客用出入口52を介して往来可能とし且つ作業用スペース35と職員用スペース15とを往来不可に仕切る顧客専有状態となる。また、上記のように仕切部材30が職員用スペース15側の端位置にあるとき、仕切部材30の端板部34と固定仕切板26とが嵌合して顧客用出入口52を閉塞することになり、職員用スペース15と作業用スペース35とを職員用出入口53を介して往来可能とし且つ作業用スペース35と顧客用ロビースペース16とを往来不可に仕切る職員専有状態となる。
【0044】
店舗12の天井には、作業用スペース35内の人の存在の有無を検知する監視カメラ(監視手段)55が設けられており、図2(b)に示すように、仕切部材30の近傍における職員用スペース15側、具体的には固定仕切板25の職員用出入口53側には、図3に示す赤色点灯可能な赤色点灯部57および青色点灯可能な青色点灯部58を有する表示灯(報知手段)59が設けられている。また、図2(a)に示すように、仕切部材30の近傍における顧客用ロビースペース16側、具体的にはカバー部材48の被覆端板部50の上部の顧客用出入口52側にも、図3に示す赤色点灯可能な赤色点灯部61および青色点灯可能な青色点灯部62を有する表示灯(報知手段)63が設けられている。表示灯59,63は、赤色点灯部57,61の点灯が、作業用スペース35内に人が存在し進入を規制することを示すことになり、青色点灯部58,62の点灯が作業用スペース35内に人が存在せず進入を許容することを示すことになる。
【0045】
仕切部材30の近傍における顧客用ロビースペース16側、具体的にはカバー部材48の被覆端板部50の外側には、貨幣取引処理装置22で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する受付番号発行機(装置用受付番号発行手段)66が設置されている。加えて、仕切部材30の近傍における顧客用ロビースペース16側、具体的にはカバー部材48の被覆端板部50の外面には、貨幣取引処理装置22の待ち人数を報知する待ち人数表示盤(人数報知手段)67が設置されている。
【0046】
仕切部材30の近傍における職員用スペース15側、具体的には仕切部材30の移動範囲より外側の壁部21の近傍位置には、貨幣取引処理システム11を制御するシステム制御装置70が設置されている。このシステム制御装置70は、図3に示すように、職員により操作入力が行われる操作部(操作手段)71と、職員に向けて表示を行う表示部72と、貨幣取引処理システム11を制御するシステム制御部(算出手段)73とを有しており、上記した電動モータ41、一側端位置センサ44、他側端位置センサ45、監視カメラ55、表示灯59,63、受付番号発行機66および待ち人数表示盤67等は、システム制御部73により制御される。
【0047】
貨幣取引処理装置22は、顧客と職員とに共用されるものであり、操作者により操作入力が行われる操作部76と、操作者に向けて表示を行う表示部77と、貨幣取引処理装置22を制御する装置制御部(制御手段)78とを有しており、装置制御部78はシステム制御部73に接続されている。
【0048】
また、貨幣取引処理装置22は、バラ硬貨投入口81に機外から投入されたバラ硬貨について真偽および金種を識別して金種別のバラ硬貨収納庫82に収納するバラ硬貨入金処理部83と、金種別のバラ硬貨収納庫82から繰り出されたバラ硬貨を振り分けるバラ硬貨振分部84と、バラ硬貨振分部84で一方に振り分けられたバラ硬貨を機外に取り出し可能となるようにバラ硬貨出金口85に出金するバラ硬貨出金処理部86と、バラ硬貨振分部84で他方に振り分けられたバラ硬貨を所定枚数ずつ集積して包装紙を巻き回して包装硬貨(纏め貨幣)とする包装処理(纏め貨幣作製処理)を行って金種別の包装硬貨収納庫87に収納する硬貨包装処理部88と、金種別の包装硬貨収納庫87に収納された包装硬貨を機外に取り出し可能となるように包装硬貨出金口89に出金する包装硬貨出金部90とを有している。
【0049】
また、貨幣取引処理装置22は、バラ紙幣投入口94に機外から投入されたバラ紙幣について真偽および金種を識別して金種別のバラ紙幣収納庫95に収納するバラ紙幣入金処理部96と、金種別のバラ紙幣収納庫95から繰り出されたバラ紙幣を振り分けるバラ紙幣振分部97と、バラ紙幣振分部97で一方に振り分けられたバラ紙幣を機外に取り出し可能となるようにバラ紙幣出金口98に出金するバラ紙幣出金処理部99と、バラ紙幣振分部97で他方に振り分けられたバラ紙幣を所定枚数ずつ集積し結束テープを巻き回して束紙幣(纏め貨幣)とする結束処理(纏め貨幣作製処理)を行って金種別の束紙幣収納庫100に収納する紙幣結束処理部101と、金種別の束紙幣収納庫100に収納された束紙幣を機外に取り出し可能となるように束紙幣出金口102に出金する束紙幣出金部103とを有している。バラ硬貨投入口81、バラ硬貨出金口85、包装硬貨出金口89、バラ紙幣投入口94、バラ紙幣出金口98および束紙幣出金口102は、貨幣取引処理装置22における前面22a側に設けられている。
【0050】
装置制御部78は、貨幣取引処理装置22の運用モードを、顧客運用モードと職員運用モードとの二種類に切り換え可能となっている。例えば、顧客運用モードでは、装置制御部78は、貨幣取引処理装置22の表示部77への操作案内メニューを詳細に案内を行う詳細案内モードとし、職員運用モードでは、表示部77への操作案内メニューを簡素に案内を行う簡素案内モードとするようになっている。
【0051】
また、装置制御部78は、上記した包装硬貨作製処理の開始を判断するバラ硬貨収納庫82内のバラ硬貨の基準残量および包装硬貨作製処理で作製する包装硬貨の作製量を、顧客運用モードと職員運用モードとで異ならせており、束紙幣作製処理の開始を判断するバラ紙幣収納庫95内のバラ紙幣の基準残量および束紙幣作製処理で作製する束紙幣の作製量を、顧客運用モードと職員運用モードとで異ならせている。具体的には、バラ硬貨およびバラ紙幣の両方の基準残量を、顧客運用モードでは多く、職員運用モードでは少なく設定し、包装硬貨の作製量および束紙幣の作製量を、顧客運用モードでは多く、職員運用モードでは少なく設定している。
【0052】
ここで、上記したシステム制御装置70のシステム制御部73には、店舗12の営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻と、非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻とが記憶されている。そして、システム制御部73は、現在時刻を検出する時刻タイマを内蔵しており、基本制御として、時刻タイマの現在時刻が、営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻になると、監視カメラ55の映像から作業用スペース35に人がいないことを条件として、電動モータ41を一方向に駆動して、それまで顧客専有状態にあった仕切部材30を職員用スペース15側に移動させることになり、一側端位置センサ44が、仕切部材30が職員用スペース15側の端位置にあることを検出すると電動モータ41を停止させて仕切部材30を上記した職員専有状態となる職員用スペース15側の端位置で停止させる。それと同時に、システム制御部73は、貨幣取引処理装置22の装置制御部78に指令を出力して、それまで顧客運用モードであったその運用モードを職員運用モードに切り換えさせる。これにより、仕切部材30が職員用スペース15と作業用スペース35とを往来可能とし且つ作業用スペース35と顧客用ロビースペース16とを往来不可に仕切ることになり、職員用スペース15から職員用出入口53を介して作業用スペース35に職員が入って、職員運用モードで動作する貨幣取引処理装置22を操作して取引を行ったり、取引後に、職員が作業用スペース35から職員用出入口53を介して職員用スペース15に出たりすることになる。
【0053】
また、システム制御部73は、時刻タイマの現在時刻が、非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻になると、監視カメラ55の映像から作業用スペース35に人がいないことを条件として、電動モータ41を逆方向に駆動して、それまで職員専有状態にあった仕切部材30を顧客用ロビースペース16側に移動させることになり、他側端位置センサ45が、仕切部材30が顧客用ロビースペース16側の端位置にあることを検出すると電動モータ41を停止させて仕切部材30を上記した顧客専有状態となる顧客用ロビースペース16側の端位置で停止させる。それと同時に、システム制御部73は、貨幣取引処理装置22の装置制御部78に指令を出力して、それまで職員運用モードであったその運用モードを顧客運用モードに切り換えさせる。これにより、仕切部材30が顧客用ロビースペース16と作業用スペース35とを往来可能とし且つ作業用スペース35と職員用スペース15とを往来不可に仕切ることになり、顧客用ロビースペース16から顧客用出入口52を介して作業用スペース35に顧客が入って、顧客運用モードで動作する貨幣取引処理装置22を操作して取引を行ったり、取引後に、顧客が作業用スペース35から顧客用出入口52を介して顧客用ロビースペース16に出たりすることになる。
【0054】
なお、システム制御部73に記憶された、上記した営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻、および非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻は、いずれも変更可能となっている。例えば、システム制御部73は、受付番号発行機66からの信号に基づいて割り出される受付番号発行機66で発行した取引受付番号札の発行番号数から、貨幣取引処理装置22で処理を行った人数を減算して貨幣取引処理装置22での取引の待ち人数を算出して、この待ち人数を待ち人数表示盤67に表示させることになるが、営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻に、この待ち人数がゼロとなっていなければ、この待ち人数がゼロとなって最後の顧客が貨幣取引処理装置22での取引を完了して作業用スペース35からいなくなるまで、営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻をずらすことになる。
【0055】
また、システム制御部73は、操作部71へマニュアル操作が入力されると、営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻および非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻に拘わらず、電動モータ41で仕切部材30を移動可能となっている。つまり、仕切部材30が顧客専有状態にあって操作部71へマニュアル操作で職員専有状態にする操作が入力されると、システム制御部73は、監視カメラ55の映像から作業用スペース35に人がいないことを条件として、電動モータ41を一方向に駆動して仕切部材30を職員用スペース15側に移動させて職員専有状態となると停止させるとともに、貨幣取引処理装置22を職員運用モードに切り換える。また、仕切部材30が職員専有状態にあって操作部71へマニュアル操作で顧客専有状態にする操作が入力されると、システム制御部73は、監視カメラ55の映像から作業用スペース35に人がいないことを条件として、電動モータ41を逆方向に駆動して仕切部材30を顧客用ロビースペース16側に移動させて顧客専有状態となると停止させるとともに、貨幣取引処理装置22を顧客運用モードに切り換える。
【0056】
また、システム制御部73は、監視カメラ55が作業用スペース35内に人の存在ありを検知した場合に、両方の表示灯59,63の青色点灯部58,62を消灯状態とし且つ赤色点灯部57,61を点灯状態とすることになり、これにより、表示灯59が職員用スペース15に向けて、作業用スペース35内に人が存在する旨の報知を行い、表示灯63が顧客用ロビースペース16に向けて、作業用スペース35内に人が存在する旨の報知を行う。他方、システム制御部73は、監視カメラ55が作業用スペース35内に人の存在なしを検知した場合に、両方の表示灯59,63の赤色点灯部57,61を消灯状態とし且つ青色点灯部58,62を点灯状態とすることになり、これにより、表示灯59が職員用スペース15に向けて、作業用スペース35内に人が存在しない旨の報知を行い、表示灯63が顧客用ロビースペース16に向けて、作業用スペース35内に人が存在しない旨の報知を行う。
【0057】
以上に述べた第1実施形態に係る貨幣取引処理システム11によれば、仕切部材30がスライドして、顧客用ロビースペース16と貨幣取引処理装置22の作業用スペース35とを往来可能とし且つこの作業用スペース35と職員用スペース15とを往来不可に仕切る顧客専有状態となることで、貨幣取引処理装置22は、職員用スペース15から作業用スペース35への職員の進入が規制され顧客に専有される状態となる。また、仕切部材30がスライドして、職員用スペース15と貨幣取引処理装置22の作業用スペース35とを往来可能とし且つこの作業用スペース35と顧客用ロビースペース16とを往来不可に仕切る職員専有状態となることで、貨幣取引処理装置22は、顧客用ロビースペース16から作業用スペース35への顧客の進入が規制され職員に専有される状態となる。しかも、仕切部材30は、二位置間で移動することで顧客専有状態および職員専有状態に切り換わることができるため、顧客と職員とに共用の貨幣取引処理装置22を、比較的簡易且つ低コストで、顧客と職員とにより排他的に使用することが可能となる。
【0058】
また、仕切部材30は、顧客用ロビースペース16と職員用スペース15とを作業用スペース35を介して結ぶ方向に沿ってスライドすることで、顧客専有状態および職員専有状態に切り換わることができるため、一アクションで切り換え可能となり、顧客と職員とに共用の貨幣取引処理装置22を、さらに簡易且つ低コストで、顧客と職員とにより排他的に使用することが可能となる
【0059】
また、顧客用ロビースペース16には、移動する仕切部材30を覆う位置固定のカバー部材48が設けられているため、顧客用ロビースペース16においては移動する仕切部材30を目立たないようにすることができる。したがって、顧客用ロビースペース16の顧客に仕切部材30の移動で違和感を生じさせてしまうことを防止できる。加えて、仕切部材30が移動しても顧客用出入口52が単に開閉しているようにしか見えず、顧客用出入口52が開いた状態では顧客が中に進入でき、顧客用出入口52が閉じた状態では顧客が中に進入できないことを顧客に明確に認識させることができる。
【0060】
また、仕切部材30と嵌合して作業用スペース35と職員用スペース15とを仕切る固定仕切板25と、仕切部材30と嵌合して作業用スペース35と顧客用ロビースペース16とを仕切る固定仕切板26とを設けているため、貨幣取引処理装置22の設置環境の変更等のレイアウト変更等が発生した場合に、固定仕切板25,26を変更すれば仕切部材30を変更する必要がなくなり、簡易且つ低コストで対応できる。
【0061】
また、電動モータ41が仕切部材30を駆動して移動させるため、仕切部材30の移動作業が容易となる。
【0062】
また、電動モータ41は、店舗12の営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻に仕切部材30を移動させて職員専有状態とし、非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻に仕切部材30を移動させて顧客専有状態とするため、店舗12の営業時間帯および非営業時間帯の切換時刻に自動的に仕切部材30を移動させることができる。したがって、仕切部材30の状態管理が容易となる。
【0063】
また、営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻および非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻を、変更可能であるため、例えば、営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻において顧客の待ち人数がある場合に顧客が貨幣取引処理装置22を使用する状態を維持すること等ができる。営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻および非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻の少なくともいずれか一方のみを変更可能としても良い。
【0064】
また、営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻および非営業時間帯から営業時間帯への移行時刻に拘わらず、操作部71への操作によって、システム制御部73が仕切部材30を移動可能であるため、例えば、非営業時間帯において顧客の急な要望(例えば駆け込み入金等)があるときに顧客が貨幣取引処理装置22を使用することができ、また、営業時間帯において顧客の貨幣取引処理装置22の使用頻度が少ない時間帯に職員が貨幣取引処理装置22を使用すること等ができる。
【0065】
また、監視カメラ55が人の存在ありを検知した場合に、仕切部材30の近傍における、顧客用ロビースペース16側および職員用スペース15側の両方の表示灯59,63が人が存在する旨の報知である赤色点灯部57,61の点灯を行い、監視カメラ55が人の存在なしを検知した場合に、両方の表示灯59,63が人が存在しない旨の報知である青色点灯部58,62の点灯を行うため、作業用スペース35への他の操作者の進入を抑制でき、作業用スペース35で貨幣取引処理装置22を使用している操作者のプライバシーの保護性を高めることができる。また、作業用スペース35で貨幣取引処理装置22を使用している操作者がいない状態では、使用したい人に使用可能であることを案内でき、円滑な使用が可能となる。なお、表示灯59,63の点灯に加えて音声案内を行っても良い。
【0066】
また、システム制御部73が、貨幣取引処理装置22に専用で設けられた受付番号発行機66からの信号に基づいて貨幣取引処理装置22での取引の待ち人数を算出すると、この待ち人数を待ち人数表示盤67に報知させるため、顧客用ロビースペース16にいる顧客が貨幣取引処理装置22の待ち人数を把握できる。なお、貨幣取引処理装置22の専用の受付番号発行機66を設けずに、店舗12内全体で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する全体用受付番号発行機(全体用受付番号発行手段)を設けて、この全体用受付番号発行機が貨幣取引処理装置22で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行するようにしても良い。この場合、システム制御部73は全体用受付番号発行機からの信号に基づいて貨幣取引処理装置22の待ち人数を待ち人数表示盤67に表示させることになる。加えて、待ち人数表示盤(報知手段)67に、人が存在する旨の報知および人が存在しない旨の報知を行わせるようにして、顧客用ロビースペース16側の表示灯63を廃止しても良い。
【0067】
また、装置制御部78が、貨幣取引処理装置22の運用モードを、顧客専有状態では顧客運用モードに、職員専有状態では顧客運用モードとは異なる職員運用モードに切り換えるため、顧客専有状態では貨幣取引処理装置22を顧客の使用に最適なモードにでき、職員専有状態では貨幣取引処理装置22を職員の使用に最適なモードにできる。
【0068】
また、装置制御部78が、貨幣取引処理装置22内に出金可能に収納しているバラ貨幣(バラ硬貨またはバラ紙幣)を所定枚数ずつ纏めて纏め貨幣(包装硬貨または束紙幣)を作製する纏め貨幣作製処理(包装硬貨作製処理または束紙幣作製処理)の開始を判断するバラ貨幣の基準残量を、顧客運用モードと職員運用モードとで異ならせるため、各モードでの取引が円滑となるように運用することができる。つまり、バラ貨幣の大口入金頻度が高い顧客運用モードでは、纏め貨幣作製処理の開始を判断するバラ貨幣の基準残量を職員運用モードよりも多くするとともに、纏め貨幣作製処理で作製する纏め貨幣の作製量を職員運用モードよりも多くして、大口の入金顧客に対応するバラ貨幣の受入容量を十分に確保しておく状態とするとともに、釣銭持ち出し対応のために纏め貨幣の作製量を多くしておくことができる。なお、顧客運用モードと職員運用モードとの中間モードを設定しておき、顧客運用モードと職員運用モードとの相互切り換え過程で中間モードを経て切り換えを行うようにすれば、円滑に運用の引き継ぎ切り換えを行うことができる。
【0069】
なお、以上の実施形態では、貨幣取引処理装置22を窓口カウンタ14の職員用スペース15側に配置する場合を例にとり説明したが、貨幣取引処理装置22を窓口カウンタ14の顧客用ロビースペース16側に配置しても良く、その場合、上記した構成を窓口カウンタ14を中心に線対称に配置すれば良い。但し、貨幣取引処理装置22の背面22b側から行われる貨幣の補充・回収等は職員が行うため、貨幣取引処理装置22の背面22bが職員用スペース15側に望む上記した実施形態の構成の方が良い。また、仕切部材30はスライド方向の位置合わせとして、職員用スペース15側の固定仕切板25および顧客用ロビースペース16側の固定仕切板26と各々嵌合する仕組みとして説明したが、これら固定仕切板25および固定仕切板26は構成として必ずしも必要とはせず、省略することもできる。すなわち、仕切部材30の一方の端板部32を店舗12の一側の壁部18方向に延伸した構成として、仕切部材30が顧客用ロビースペース16側の端位置にあるときには該端板部32が貨幣取引処理装置22の左側面22dに当接するようにしても良く、逆に仕切部材30が職員用スペース15側の端位置にあるときには他方の端板部34または側板部33が窓口カウンタ14の他端部側に当接するようにしても良い。また、仕切部材30についても略平面視コ字状として説明したが、同様に簡略化することもできる。すなわち、仕切部材30を平板状とし、これを貨幣取引処理装置22の職員用スペース15側の側面22dと同一平面に配置して、壁部21とで、顧客用ロビースペース16と作業用スペース35とを往来可能とし且つ作業用スペース35と職員用スペース15とを往来不可に仕切る顧客専有状態と、貨幣取引処理装置22の顧客用ロビースペース16側の側面22cと同一平面に配置して職員用スペース15と作業用スペース35とを往来可能とし且つ作業用スペース35と顧客用ロビースペース16とを壁部21とで往来不可に仕切る職員専有状態との間でスライドさせても良い。
【符号の説明】
【0070】
11 貨幣取引処理システム
12 店舗
15 職員用スペース
16 顧客用ロビースペース
22 貨幣取引処理装置
25,26 固定仕切板(嵌合手段)
30 仕切部材(仕切手段)
35 作業用スペース
41 電動モータ(駆動手段)
48 カバー部材(カバー手段)
52 顧客用出入口
53 職員用出入口
55 監視カメラ(監視手段)
59,63 表示灯(報知手段)
66 受付番号発行機(装置用受付番号発行手段)
67 待ち人数表示盤(報知手段,人数報知手段)
71 操作部(操作手段)
73 システム制御部(算出手段)
78 装置制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客用ロビースペースと職員用スペースとが仕切られた店舗に、顧客と職員とに共用で設置される貨幣取引処理装置を有する貨幣取引処理システムであって、
前記顧客用ロビースペースと前記貨幣取引処理装置の作業用スペースとを往来可能とし且つ該作業用スペースと前記職員用スペースとを往来不可に仕切る顧客専有状態と、前記職員用スペースと前記作業用スペースとを往来可能とし且つ該作業用スペースと前記顧客用ロビースペースとを往来不可に仕切る職員専有状態とに移動する仕切手段を設けてなることを特徴とする貨幣取引処理システム。
【請求項2】
前記仕切手段は、前記顧客用ロビースペースと前記職員用スペースとを前記作業用スペースを介して結ぶ方向に沿ってスライドすることを特徴とする請求項1記載の貨幣取引処理システム。
【請求項3】
前記顧客用ロビースペースには、前記仕切手段を覆う位置固定のカバー手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の貨幣取引処理システム。
【請求項4】
前記顧客用ロビースペースには、前記職員専有状態にある前記仕切手段と嵌合して前記作業用スペースと前記顧客用ロビースペースとを仕切る嵌合手段が設けられており、
前記職員用スペースには、前記顧客専有状態にある前記仕切手段と嵌合して前記作業用スペースと前記職員用スペースとを仕切る嵌合手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の貨幣取引処理システム。
【請求項5】
前記仕切手段を駆動して移動させる駆動手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の貨幣取引処理システム。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記店舗の営業時間帯から非営業時間帯への移行時刻に前記仕切手段を移動させて前記職員専有状態とし、前記非営業時間帯から前記営業時間帯への移行時刻に前記仕切手段を移動させて前記顧客専有状態とすることを特徴とする請求項5記載の貨幣取引処理システム。
【請求項7】
前記営業時間帯から前記非営業時間帯への移行時刻および前記非営業時間帯から前記営業時間帯への移行時刻に拘わらず、前記駆動手段で前記仕切手段を移動可能な操作手段を備えることを特徴とする請求項6記載の貨幣取引処理システム。
【請求項8】
前記作業用スペース内の人の存在の有無を検知する監視手段と、
前記仕切手段の近傍における、前記顧客用ロビースペース側および前記職員用スペース側の両方に設けられる報知手段とを有し、
前記監視手段が人の存在ありを検知した場合に、両方の前記報知手段が人が存在する旨の報知を行い、前記監視手段が人の存在なしを検知した場合に、両方の前記報知手段が人が存在しない旨の報知を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の貨幣取引処理システム。
【請求項9】
前記貨幣取引処理装置で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する装置用受付番号発行手段、または前記店舗内全体で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する全体用受付番号発行手段と、
前記装置用受付番号発行手段または前記全体用受付番号発行手段からの信号に基づいて前記貨幣取引処理装置での取引の待ち人数を算出する算出手段とを有し、
該算出手段は、前記待ち人数を前記顧客用ロビースペース側の前記報知手段に報知させることを特徴とする請求項8記載の貨幣取引処理システム。
【請求項10】
前記貨幣取引処理装置で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する装置用受付番号発行手段、または前記店舗内全体で取引を行う顧客に対して取引受付番号札を発行する全体用受付番号発行手段と、
前記装置用受付番号発行手段または前記全体用受付番号発行手段からの信号に基づいて前記貨幣取引処理装置での取引の待ち人数を算出する算出手段と、
前記顧客用ロビースペース側に前記待ち人数を報知する人数報知手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の貨幣取引処理システム。
【請求項11】
前記貨幣取引処理装置の運用モードを、前記顧客専有状態では顧客運用モードに、前記職員専有状態では前記顧客運用モードとは異なる職員運用モードに、切り換える制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項記載の貨幣取引処理システム。
【請求項12】
前記制御手段は、前記貨幣取引処理装置内に出金可能に収納しているバラ貨幣を所定枚数ずつ纏めて纏め貨幣を作製する纏め貨幣作製処理の開始を判断する前記バラ貨幣の基準残量を、前記顧客運用モードと前記職員運用モードとで異ならせていることを特徴とする請求項11記載の貨幣取引処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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