説明

貨物の傾斜予防方法、クレーン用吊り冶具、及び荷台搭載用架台

【課題】荷台に搭載した貨物の転倒を未然に防止する。
【解決手段】荷台44Aに2個のハーフユニット42を搭載し、ハーフユニット42に傾斜センサー110を取り付ける。一方のハーフユニット42をクレーンで吊り上げると、重量バランスが崩れて荷台44Aが傾く。ハーフユニット42の傾斜角度が、制御装置108に予め設定した値を超えた時に、制御装置108が報知ブザー116を鳴らす。報知ブザー116により報知が行われた場合には、作業を中止することで、荷台44Aに搭載されているハーフユニット42の転倒を未然に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物の傾斜予防方法、クレーン用吊り冶具、及び荷台搭載用架台に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の建物ユニットを連結してなるユニット建物において、標準的な大きさの建物ユニットと、標準的な大きさの建物ユニットの半分の幅に形成されたハーフユニットとを用いてユニット建物を構成する場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
建物ユニットは、トラックに1台積みで工場から施工現場まで輸送され、荷台からクレーン等を用いて降ろされ据付される。
【0003】
トラックでの輸送を考慮し、標準的な大きさの建物ユニットの幅は、トラックの荷台の幅と略同じ幅に形成されている。
トラックの荷台に2個のハーフユニットを車両幅方向に並列させて搭載することはスペース的には可能であったが、例えば、クレーンを用いて2個のうちの一方のハーフユニットを荷台から吊り上げると、重量バランスが崩れて荷台(車両)が車両幅方向に傾斜し、場合によっては荷台のハーフユニットが転倒する虞がある。
【0004】
また、狭小地等で、仮置きスペースが無い場合には、一方のハーフユニットを据え付けるまで、残りのハーフユニットをトラックの荷台に置いておかなければならず、傾斜した荷台にハーフユニットを長時間放置しておくことは好ましく無い。
このため、従来では、安定性を重視し、1個のハーフユニットをトラックの荷台の幅方向中央に積んで工場から施工現場まで輸送しており、輸送効率の点等で改善の余地があった。
【0005】
なお、従来技術として、車体の傾斜角を検出して、車体が転倒しない車体許容角度よりも大きく傾斜した際に報知を発する車両が提案されている(特許文献2参照)。
また、従来技術として、クレーンで吊り上げる被吊物を基準面(例えば水平面)に対して傾斜しないようにする吊り具が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−163582号公報
【特許文献2】特開2008−213685号公報。
【特許文献3】特開平7−25583号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示の車両は、車体角度検出センサー、比較器、コントローラー、警報発生部等を備え、構造が複雑な専用の車両となっている。この車両は、車体が転倒しない車体許容角度を検出するものであって、積荷の転倒を考慮しているものではない。また、ハーフユニットは幅が狭いため、ハーフユニットをこの車両に搭載した場合、車体許容角度未満の角度であっても倒れる虞があり、ハーフユニットの転倒に対して警報を発することは出来ない。
【0008】
また、クレーン等を備えた車両では、車体が傾かないように地面に固定するアウトリガーを備えたものもあるが、構造が複雑であり、狭い住宅地等ではアウトリガーを用いることが出来ない場合がある。また、アウトリガーを備えた車両は、特殊な車両であり、一般のトラックで貨物を搬送したいという要望には応えられない。
【0009】
さらに、特許文献3に開示の吊り具は、クレーンで吊り上げた被吊物を傾かないようにするものであり、荷台に搭載したハーフユニットの転倒を防止することはできない。
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、荷台に搭載した貨物の転倒を未然に防止することのできる、貨物の傾斜予防方法、クレーン用吊り冶具、及び荷台搭載用架台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の貨物の傾斜予防方法は、貨物の傾きを傾斜センサーで検出し、前記貨物の傾きが、予め設定した値を超えた場合に報知手段によって報知を行う。
【0012】
次に、請求項1に記載の貨物の傾斜予防方法を説明する。
請求項1に記載の貨物の傾斜予防方法では、傾斜センサーによって貨物の傾きが検出される。
一例として、例えば、トラックの荷台に搭載された複数の貨物の内の一つを荷台から降ろすと、荷台における重量バランスが崩れて荷台が傾き、荷台の傾きや積荷によっては、荷台に搭載されている残りの貨物が転倒する場合が考えられる。
【0013】
請求項1に記載の貨物の傾斜予防方法では、荷台に搭載されている貨物の傾きが傾斜センサーで検出され、荷台に搭載されている貨物の傾きが予め設定した値を超えた場合、報知手段により報知が行われる。
【0014】
「予め設定した値」とは、貨物が転倒することを未然に防止するため、貨物が転倒する傾斜角度よりも小さい値である。
したがって、報知手段により報知が行われた場合には、作業を中止することで、荷台に搭載されている貨物の転倒を未然に防止することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の貨物の傾斜予防方法において、前記傾斜センサーは、前記貨物に連結される。
【0016】
次に、請求項2に記載の貨物の傾斜予防方法を説明する。
請求項2に記載の貨物の傾斜予防方法では、貨物に連結された傾斜センサーによって貨物の傾きが検出される。
なお、傾斜センサーは、貨物に直接的に連結されていても良く、何らかの部材を介して間接的に貨物に連結されていても良い。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の貨物の傾斜予防方法において、前記貨物は、ユニット建物を構成する建物ユニットである。
【0018】
次に、請求項3に記載の貨物の傾斜予防方法を説明する。
請求項3に記載の貨物の傾斜予防方法によれば、建物ユニットの転倒を未然に防止することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の貨物の傾斜予防方法において、前記貨物の傾きの検出は、前記貨物を荷台から降ろすタイミング、または前記貨物を荷台に載せるタイミングで行われる。
【0020】
次に、請求項4に記載の貨物の傾斜予防方法を説明する。
請求項4に記載の貨物の傾斜予防方法では、貨物の傾きの検出が、貨物を荷台から降ろすタイミング、または貨物を荷台に載せるタイミングで行われる。貨物の転倒は、貨物を荷台から降ろすタイミング、または貨物を荷台に載せるタイミングで生じやすいので、これらのタイミングで貨物の傾きの検出を行えば良い。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の貨物の傾斜予防方法において、前記貨物を車両の荷台の上で移動する移動手段を前記荷台に配置し、前記移動手段は、前記傾斜センサーによる前記貨物の傾き検出結果に基いて、前記貨物の傾きが予め設定した値を超えないように、前記荷台の上で前記貨物の移動を行う。
【0022】
次に、請求項5に記載の貨物の傾斜予防方法を説明する。
荷台に配置された移動手段は、傾斜センサーによる貨物の傾き検出結果に基いて、搭載した貨物の傾きが予め設定した値を超えないように、車両の荷台の上で貨物の移動を自動的に行う。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の貨物の傾斜予防方法において、前記移動手段は、前記貨物の移動を規制する移動規制手段を有する。
【0024】
次に、請求項6に記載の貨物の傾斜予防方法を説明する。
請求項6に記載の貨物の傾斜予防方法では、荷台に搭載されている貨物の移動を移動規制手段によって規制することができ、荷台に搭載されている貨物が、輸送中、または車両停止中においても不用意に移動することを防止できる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の貨物の傾斜予防方法において、前記移動手段に搭載された前記貨物が前記移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを検出する貨物検出手段を備え、前記貨物検出手段が、前記移動手段に搭載されていた前記貨物が前記移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを検出した際に、前記移動手段は、前記移動手段に搭載されている残りの前記貨物の傾きが予め設定した値を超えないように移動を行う。
【0026】
次に、請求項7に記載の貨物の傾斜予防方法を説明する。
請求項7に記載の貨物の傾斜予防方法では、移動手段に搭載された複数の貨物の内の少なくとも一つが移動手段から離間すると、貨物検出手段は複数の貨物の内の少なくとも一つが移動手段から離間したことを検出する。
前記検出が行われると、移動手段は、移動手段に搭載されている残りの貨物の傾きが予め設定した値を超えないように、移動手段に搭載されている残りの貨物の移動を行う。
【0027】
なお、移動手段に搭載されている残りの貨物の移動を行う際には、貨物検出手段が、最初に吊り上げた貨物が、移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを検出した際に、移動手段は、移動手段に搭載されている残りの貨物の移動を行う。
【0028】
ここで、予め設定した距離とは、移動手段に搭載されている残りの貨物を移動した際に、移動する貨物が、先に吊り上げた貨物が当たらないようにするために必要な距離のことである。なお、予め設定した距離は、貨物のサイズに応じて適宜変更されるものである。
【0029】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜請求項7の何れか1項に記載の貨物の傾斜予防方法において、前記移動手段は前記貨物の移動を行う複数のローラーを備えている。
【0030】
次に、請求項8に記載の貨物の傾斜予防方法を説明する。
請求項8に記載の貨物の傾斜予防方法では、複数のローラーを回転させることで、少ない抵抗で建物ユニットを簡単に移動することが可能となる。
なお、ローラーは、モータ等の駆動手段で回転させることができ、複数のローラーを並べたローラーコンベア、複数のローラーを並べてベルトを掛けたベルトコンベア等を用いることができる。
【0031】
請求項9に記載のクレーン用吊り冶具は、貨物をクレーンで吊り上げる際に用いられるクレーン用吊り冶具であって、長手方向に伸縮可能に構成された梁部材と、前記梁部材に設けられ、クレーン側に連結されるクレーン側連結部と、前記梁部材に設けられ、少なくとも2個の貨物と連結可能な貨物側連結部と、を有する。
【0032】
次に、請求項9に記載のクレーン用吊り冶具の作用を説明する。
クレーン用吊り冶具は、例えばクレーンと貨物との間に水平に配置され、クレーン側連結部にクレーン側のワイヤーを連結し、貨物側連結部に貨物側のワイヤーを連結して用いることができる。これにより、クレーンは、クレーン用吊り冶具を介して貨物を吊り上げることができる。
【0033】
また、貨物側連結部は、少なくとも2個の貨物と連結可能となっているため、クレーン用吊り冶具を用いることで、1台のクレーンで少なくとも2個の貨物を同時に吊り上げることができる。
複数個(2個以上)の貨物を同時に吊り上げる場合には、これらの貨物の幅に合わせてクレーン用吊り冶具の全長を長くすることで複数個の貨物を同時に吊り上げることができ、1個の貨物を吊り上げる場合には、クレーン用吊り冶具の全長を短くして1個の貨物を吊り上げることができる。
【0034】
また、吊り上げた貨物の移動を狭い場所で行う場合には、荷物の幅よりも長くならないようにクレーン用吊り冶具の全長を短くすることで、クレーン用吊り冶具が周囲の物体に接触等しないようにできる。
【0035】
このクレーン用吊り冶具を用いることで、複数の貨物を載せた荷台から貨物を1個づつ降す際の、荷台の貨物の転倒を防止することが可能となる。
【0036】
以下に、一例として、2個の貨物をトラックの荷台から降ろす際のクレーン用吊り冶具の使用方法を説明する。
(1) 先ず、クレーン用吊り冶具の全長を長くして2個の貨物を同時に吊り上げ、2個の貨物を荷台から離間させる。
(2) 次に、荷台の幅方向中央に厘木を配置し、貨物を荷台の幅方向に移動してから、一方の貨物のみを厘木に搭載する。荷台の幅方向中央に一方の貨物が搭載されるので、荷台(車両)は左右の水平がとれ、貨物の傾斜が予防される。
【0037】
(3) 次に、厘木に搭載した貨物とクレーン用吊り冶具との連結を解除し、他方の貨物のみを吊り上げているクレーン用吊り冶具の全長を短くする。
クレーン用吊り冶具の全長を短くする(例えば、略半分の長さ)ことで、狭小地における取回しが容易になり、クレーン用吊り冶具が周囲の物に接触することを防止できる。
【0038】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のクレーン用吊り冶具において、前記梁部材は、第1の梁部材と、前記第1の梁部材に対して長手方向に相対移動可能に連結される第2の梁部材とを有している。
【0039】
次に、請求項10に記載のクレーン用吊り冶具の作用を説明する。
請求項10に記載のクレーン用吊り冶具は、第1の梁部材と、第1の梁部材に対して長手方向に相対移動可能に連結される第2の梁部材とで構成されているため、簡単な構成で、全体の長さを可変することができる。
【0040】
請求項11に記載の荷台搭載用架台は、車両の荷台に配置可能とされ、搭載した貨物を前記荷台の上で移動する移動手段と、前記移動手段の傾きを検出するための傾斜センサーと、前記傾斜センサーからの傾き検出結果に基いて、前記移動手段の傾きが予め設定した値以下となるように、前記移動手段を駆動して前記貨物の位置を変更する制御手段と、を有する。
【0041】
次に、請求項11に記載の荷台搭載用架台の作用を説明する。
請求項11に記載の荷台搭載用架台は、例えば、トラック等の車両の荷台に搭載されて用いられる。なお、この場合、移動手段は、搬送方向を、例えば車両の幅方向に向ける。また、一例として2個の貨物を輸送する場合には、移動手段の上に荷台の幅方向に2個、即ち、移動手段の搬送方向に2個並べて搭載する。
【0042】
以下に車両から2個の貨物を降す際の作用を説明する。
(1)先ず、クレーン等を用いて1個の貨物を吊り上げる。これにより、重量バランスが崩れ、車両が車幅方向に傾く。
(2)傾斜センサーは、移動手段の傾きを検出する。移動手段には貨物が搭載されているので、傾斜センサーは間接的に貨物の傾きを検出していることになる。
(3) 制御手段は、傾斜センサーからの傾き検出結果に基いて、移動手段の傾きが予め設定した値以下となるように、移動手段を駆動して貨物の位置を変更する。
【0043】
これにより、荷台の上の貨物が安定した状態となり、貨物の転倒を未然に防止することができる。
なお、移動手段の傾きは、零度、即ち水平が最も好ましい。したがって、「予め設定した値」とは、零度に近い値であり、当然ながら貨物を転倒させない値である。
【0044】
請求項12に記載の荷台搭載用架台は、請求項11に記載の荷台搭載用架台において、前記移動手段は、前記貨物の移動を規制する移動規制手段を有する。
【0045】
次に、請求項12に記載の荷台搭載用架台の作用を説明する。
請求項12に記載の荷台搭載用架台では、荷台に搭載されている貨物の移動を移動規制手段によって規制することができ、荷台に搭載されている貨物が、輸送中、または車両停止中においても不用意に移動することを防止できる。
【0046】
請求項13に記載の荷台搭載用架台は、請求項11または請求項12に記載の荷台搭載用架台において、前記移動手段に搭載された前記貨物が前記移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを検出する貨物検出手段と、前記貨物検出手段が、前記移動手段に搭載されていた前記貨物が前記移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを検出した際に、前記移動手段の傾きが予め設定した値を超えないように前記貨物の移動を行うように前記移動手段を制御する制御手段と、を有する。
【0047】
次に、請求項13に記載の荷台搭載用架台の作用を説明する。
請求項13に記載の荷台搭載用架台では、移動手段に搭載された複数の貨物の内の少なくとも一つが移動手段から離間すると、貨物検出手段は複数の貨物の内の少なくとも一つが移動手段から離間したことを検出する。
前記検出が行われると、移動手段は制御手段によって制御され、移動手段に搭載されている残りの貨物の傾きが予め設定した値を超えないように、移動手段に搭載されている残りの貨物の移動を行う。
【0048】
なお、移動手段に搭載されている残りの貨物の移動を行う際、制御手段が、最初に吊り上げた貨物が、移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを判断した際に、移動手段を駆動し、移動手段に搭載されている残りの貨物の移動を行う。
【0049】
ここで、予め設定した距離とは、移動手段に搭載されている残りの貨物を移動した際に、移動する貨物が、先に吊り上げた貨物が当たらないようにするために必要な距離のことである。なお、予め設定した距離は、貨物のサイズに応じて適宜変更されるものである。
【0050】
請求項14に記載の荷台搭載用架台は、車両の荷台に配置可能な荷台搭載用架台であって、貨物を搭載する貨物搭載部と、前記貨物搭載部の傾きを検出するための傾斜センサーと、前記荷台に対する前記貨物搭載部の傾きを変更する変更手段と、前記傾斜センサーからの傾き検出結果に基いて、前記貨物搭載部の傾きが予め設定した値以下となるように、前記変更手段を駆動する制御手段と、を有する。
【0051】
次に、請求項14に記載の荷台搭載用架台の作用を説明する。
請求項14に記載の荷台搭載用架台は、例えば、トラック等の車両の荷台に搭載されて用いられる。なお、この場合、貨物搭載部は、例えば車両の幅方向に傾斜するように荷台に配置する。また、一例として2個の貨物を輸送する場合には、貨物搭載部の上に荷台の幅方向に2個並べて搭載する。
【0052】
以下に車両から2個の貨物を降す際の作用を説明する。
(1)先ず、クレーン等を用いて1個の貨物を吊り上げる。これにより、重量バランスが崩れ、車両が車幅方向に傾く。
(2)傾斜センサーは、貨物搭載部の傾きを検出する。貨物搭載部には貨物が搭載されているので、傾斜センサーは間接的に貨物の傾きを検出していることになる。
【0053】
(3) 制御手段は、傾斜センサーからの傾き検出結果に基いて、貨物搭載部の傾きが予め設定した値以下となるように、荷台に対する貨物搭載部の傾きを変更して貨物の傾きを小さく、または零とする。
【0054】
これにより、荷台の上の貨物が安定した状態となり、荷台に搭載されている貨物の転倒に繋がる傾斜を未然に防止することができる。
【0055】
なお、貨物搭載部の傾きは、零度、即ち水平が最も好ましい。したがって、「予め設定した値」とは、零度に近い値であり、当然ながら貨物を転倒させない値である。
【発明の効果】
【0056】
以上説明したように、請求項1に記載の貨物の傾斜予防方法によれば、貨物の傾きが予め設定した値を超えた場合に報知手段により報知が行われるため、報知が行われた場合に作業を中止して貨物の転倒を未然に防止することができる。
【0057】
請求項2に記載の貨物の傾斜予防方法によれば、傾斜センサーが貨物に連結されるので、貨物の傾きを高精度で検出することができる。
【0058】
請求項3に記載の貨物の傾斜予防方法によれば、建物ユニットの転倒を未然に防止することができる。
【0059】
請求項4に記載の貨物の傾斜予防方法によれば、貨物を荷台から降ろすタイミング、及び貨物を荷台に載せるタイミングにおいて、貨物の転倒を未然に防止することができる。
【0060】
請求項5に記載の貨物の傾斜予防方法によれば、移動手段が搭載した貨物の傾きが予め設定した値を超えないように、車両の荷台の上で貨物の移動を自動的に行うことで、自動的に貨物の転倒を未然に防止することができ、かつ自動的に荷台の上で貨物を安定させることができる。なお、何らかの理由で貨物の移動ができず、貨物の傾きが予め設定した値を超えた場合に報知手段により報知が行われる。
【0061】
請求項6に記載の貨物の傾斜予防方法によれば、荷台に搭載されている貨物が、輸送中、または車両停止中においても不用意に移動することを防止できる。
【0062】
請求項7に記載の貨物の傾斜予防方法によれば、先に吊り上げた貨物に当たらないように荷台の貨物を移動することができる。
【0063】
請求項8に記載の貨物の傾斜予防方法によれば、少ない抵抗で荷台の建物ユニットを簡単に移動することができる。
【0064】
請求項9に記載のクレーン用吊り冶具によれば、1台のクレーンで少なくとも2個の貨物を同時に吊り上げることができるので、例えば、2個の貨物を同時に吊り上げ、一方の貨物のみを荷台に中央に載置し、一方の貨物とクレーン用吊り冶具との連結を解除することで、荷台に載置した貨物を安定させることができる。また、クレーン用吊り冶具の全長を短くすることで、狭小地における取回しが容易になり、クレーン用吊り冶具が周囲の物に接触することを防止できる。
【0065】
請求項10に記載のクレーン用吊り冶具によれば、第1の梁部材と第2の梁部材とからなる簡単な構成で、クレーン用吊り冶具の全体の長さを可変することができる。
【0066】
請求項11に記載の荷台搭載用架台によれば、制御手段が、移動手段の傾きが予め設定した値以下となるように、車両の荷台の上で貨物の移動を自動的に行うことで、自動的に貨物の転倒を未然に防止することができ、かつ自動的に荷台の上で貨物を安定させることができる。
【0067】
請求項12に記載の荷台搭載用架台によれば、荷台に搭載されている貨物が、輸送中、または車両停止中においても不用意に移動することを防止できる。
【0068】
請求項13に記載の荷台搭載用架台によれば、先に吊り上げた貨物に当たらないように荷台の貨物を移動することができる。
【0069】
請求項14に記載の荷台搭載用架台によれば、制御手段が、貨物搭載部の傾きが予め設定した値以下となるように、貨物搭載部の傾きを自動的に変更することで、自動的に貨物の転倒を未然に防止することができ、かつ自動的に荷台の上で貨物を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施形態に係るクレーン用吊り冶具(延ばした状態)の斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るクレーン用吊り冶具の分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係るクレーン用吊り冶具の端側から見た側面図である。
【図4】第1の実施形態に係るクレーン用吊り冶具(縮めた状態)の斜視図である。
【図5】ユニット建物の斜視図である。
【図6】(A)はハーフユニットをトラックの荷台に搭載した状態を示す図であり、(B)は一方のハーフユニットを吊り上げた状態を示す図である。
【図7】(A)〜(D)は、トラックの荷台からハーフユニットを降ろす工程を示す説明図である。
【図8】第2の実施形態に係るクレーン用吊り冶具の分解斜視図である。
【図9】(A)は第2の梁部材の一部を示す側面図であり、(B)は第2の梁部材の断面図である。
【図10】第2の実施形態に係るクレーン用吊り冶具の端側から見た側面図である。
【図11】第3の実施形態に係る荷台搭載用架台を搭載したトラックの斜視図である。
【図12】荷台搭載用架台の正面図である。
【図13】(A)〜(D)は、荷台搭載用架台の動作順序を示す説明図である。
【図14】荷台搭載用架台の平面図である。
【図15】荷台搭載用架台を駆動する制御系のブロック図である。
【図16】(A)〜(F)は、荷台搭載用架台の動作順序を示す説明図である。
【図17】第4の実施形態に係る荷台搭載用架台を搭載したトラックの後面図である。
【図18】(A),(B)は貨物の第5の実施形態に係る貨物の傾斜予防方法を説明する説明図であり、(C)は電気系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
[第1の実施形態]
以下、図1〜図7を用いて、本発明の第1の実施形態に係るクレーン用吊り冶具10について説明する。
図1に示すように、本実施形態のクレーン用吊り冶具10は、第1の梁部材12、及び第2の梁部材14を含んで構成されている。
【0072】
第1の梁部材12は、断面矩形の角パイプから形成されており、第2の梁部材14は、断面コ字状のチャンネルから形成されている。
第1の梁部材12は、長手方向両端が開放されており、図1、2に示すように、第1の梁部材12の図面の矢印R方向側の端部から、開口側を下に向けて第2の梁部材14が挿入されている。
【0073】
第1の梁部材12には、上壁部12Aの下面における矢印L方向側の端側に丸鋼からなる第1フック16が溶接されており、上壁部12Aの上面における矢印R方向側の端側に丸鋼からなる第2フック18が溶接されている。また、第1の梁部材12の下壁部12Bの下面には、1対の第3フック20が長手方向に間隔を開けて溶接されている。
【0074】
一方、第2の梁部材14には、上壁部14Aの下面における矢印R方向側の端側に丸鋼からなる第4フック22が溶接されている。また、第2の梁部材14の上壁部14Aの下面には、1対の第5フック24が長手方向に間隔を開けて溶接されている。
図2に示すように、第2の梁部材14の矢印L方向側の端部には、端部の開口を塞ぐように矩形のストッパ板26が溶接されている。
【0075】
図2、及び図3に示すように、第1の梁部材12の下壁部12Bの上面には、矢印R方向側の端部側に、ストッパ28が溶接されている。
このストッパ28は、図1に示すように、第1の梁部材12に挿入されている第2の梁部材14を第1の梁部材12に対して矢印R方向にスライドさせた際に、第2の梁部材14のストッパ板26に当接して、第1の梁部材12から第2の梁部材14が抜け出ないようにするためのものである。
【0076】
図2に示すように、第1の梁部材12の矢印R方向側の一方の側壁部12Cには、矢印R方向側の端部側に、1対の孔30が形成されている。
また、第2の梁部材14の一方の側壁部14Bには、矢印R方向側の端部側に1対の孔32が形成されており、矢印L方向側の端部側に1対の孔34が形成されている。
図1,2,4に示すように、これらの孔30、32、34には、抜け止めピン36が挿入可能となっている。
【0077】
(作用)
次に、一例として、本実施形態のクレーン用吊り冶具10を用いた建物ユニットの据付方法を説明する。
図5に示すように、ユニット建物38は、箱形状とされた建物ユニットとしての通常サイズの通常ユニット40と、通常ユニット40よりも小さいサイズの建物ユニットとしてのハーフユニット42とによって構成されている。なお、ここでいうハーフユニット42とは、長辺方向及び高さ方向の寸法が通常ユニット40と同一に設定され、かつ短辺方向の寸法が通常ユニット40よりも短く(本実施形態では半分の寸法)設定された建物ユニットをいう。
【0078】
以下、図6,7にしたがって、トラック44の荷台44Aに車両幅方向に2個搭載されたハーフユニット42を降す際の手順を説明する。
【0079】
(1) 先ず、図6(A)、図7(A)に示すように、2個のクレーン用吊り冶具10を用い、第1フック16及び第4フック22にシャックル等を用いて第1ワイヤー46を連結し、第1フック16及び第2フック18にシャックル等を用いて第2ワイヤー48を連結する。このとき、クレーン用吊り冶具10は、図1、及び図7に示すように、第2の梁部材14を第1の梁部材12から突出させ、第2の梁部材14が第1の梁部材12から抜け出ないように、孔30、及び孔34(図1では図示されず)に予め抜け止めピン36を挿入しておく。
【0080】
また、第1の梁部材12の第3フック20に車両左側(矢印L方向側)のハーフユニット42に連結された第3ワイヤー50をシャックル等を用いて連結し、第2の梁部材14の第5フック24に車両右側(矢印R方向側)のハーフユニット42に連結された第4ワイヤー52をシャックル等を用いて連結する。
【0081】
そして、第1ワイヤー46をクレーン(図示せず)の主巻きワイヤー54のフック54Aに引掛け、第2ワイヤー48をクレーンの補巻きワイヤー56のフック56Aに引掛ける。
【0082】
(2) 次に、図7(B)に示すように、クレーンで2個のハーフユニット42を吊り上げて荷台44Aから離間させる。
【0083】
(3) 次に、図7(C)に示すように、2個のハーフユニット42を吊り上げたままの状態で車両左側へ移動し、荷台44Aの車両幅方向中央に配置した厘木58の上に右側のハーフユニット42のみを降ろす(図6(B)参照。)。
【0084】
(4) 次に、図7(D)に示すように、主巻きワイヤー54のフック54Aから第1ワイヤー46を外すと共に、右側のハーフユニット42に連結された第4ワイヤー52をクレーン用吊り冶具10から外し、第2の梁部材14を第1の梁部材12の奥に挿入してクレーン用吊り冶具10の全長を短くする。なお、その後、第2の梁部材14が第1の梁部材12から抜け出ないように、図4に示すように孔30、及び孔32(図4では図示されず)に抜け止めピン36を挿入する。
そして、補巻きワイヤー56で左側のハーフユニット42を吊り上げ、設置箇所への移動を行う。
【0085】
(5) 先に吊り上げたハーフユニット42を設置箇所へ降ろした後は、全長を短くしたクレーン用吊り冶具10を用いて荷台44Aのハーフユニット42を吊り上げて、設置箇所への移動を行う。
【0086】
本実施形態のクレーン用吊り冶具10を用い、上述した様にして一方のハーフユニット42の据付を行うことで、他方のハーフユニット42を搭載したトラック44が左右に傾くことはなく、荷台44Aに搭載された他方のハーフユニット42が転倒する虞は全く無く、安全に作業を続けることができる。
【0087】
[第2の実施形態]
以下、図8〜図10を用いて、本発明の第2の実施形態に係るクレーン用吊り冶具60について説明する。なお、第1の実施形態のクレーン用吊り冶具10と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0088】
第1の実施形態のクレーン用吊り冶具10では、第1の梁部材12の内部に、チャンネルで形成された第2の梁部材14が挿入されていたが、図8に示すように、本実施形態のクレーン用吊り冶具60では、第1の梁部材12の内部に、H鋼からなる第2の梁部材62が挿入されている。
【0089】
図8〜10に示すように、H鋼からなる第2の梁部材62の下壁部62A、及び縦壁部62Bには、ハーフユニット42を吊るす際に用いるシャックル63を取り付けるための、取り付け孔64、66が、長手方向の2個所に形成されている。
【0090】
図8に示すように、第2の梁部材62には、矢印L方向側の端部に、矩形のストッパ板68が溶接されており、矢印R方向側の端部に第1の実施形態の第4フック22とは形状の異なる第4フック70が溶接されている。
さらに、第2の梁部材62には、長手方向の2個所に、抜け止めピン36を挿入する1対の穴72が形成されている。
【0091】
図8、及び図10に示すように、本実施形態の第1の梁部材12の側壁部12Cには、内側に突出するストッパ74が溶接されている。
【0092】
このストッパ74は、第1の梁部材12に挿入されている第2の梁部材62を第1の梁部材12に対して矢印R方向にスライドさせた際に、第2の梁部材62のストッパ板68に当接して、第1の梁部材12から第2の梁部材62が抜け出ないようにするためのものである。
【0093】
なお、本実施形態のクレーン用吊り冶具60の使用方法は、第1の実施形態のクレーン用吊り冶具10と同様であり、全長を長くして使用する場合には、第1の梁部材12から第2の梁部材62を引き出し、抜け止めピン36を孔30、及びストッパ板68側の穴72に挿入して、第1の梁部材12と第2の梁部材62とを固定する。
【0094】
なお、車両右側のハーフユニット42を吊り上げるには、図9,10に示すように、取り付け孔64、66にシャックル63を取り付けてハーフユニット42の第4ワイヤー52を連結する。また、全長を短くしてクレーン用吊り冶具10を使用する場合には、抜け止めピン36を孔30、及び第4フック70側の穴72に挿入して、第1の梁部材12と第2の梁部材62とを固定する。
なお、その他の使用方法は第1の実施形態と同様である。
【0095】
[第3の実施形態]
以下、図11〜図16を用いて、本発明の一実施形態に係る荷台搭載用架台80について説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0096】
図11に示すように、本実施形態の荷台搭載用架台80は、トラック44の荷台44Aに搭載されて用いられる。本実施形態では、荷台44Aに2台の荷台搭載用架台80を搭載しているが、3台以上搭載しても良い。
【0097】
図12〜14に示すように、荷台搭載用架台80は、荷台44Aに下面を当接させる長方形の鋼板等からなるベース板82を備え、ベース板82の上面には、1対の長方形の鋼板等からなる縦板84が互いに平行に固着されている。
【0098】
これら縦板84の上端側には、複数のローラー86が長手方向に沿って回転自在に支持されている。
これらのローラー86には、平ベルト88が巻き掛けられている。
【0099】
図12,14に示すように、矢印L方向側のローラー86には、ギヤ90が連結されており、このギヤ90には、ベース板82に取り付けられた駆動装置(モータ、及び減速機)92のギヤ94がかみ合っている。駆動装置92のギヤ94を回転させることで、平ベルト88を駆動することができ、平ベルト88の上に搭載されたハーフユニット42等の貨物の移動を行うことができる。
即ち、ローラー86、平ベルト88、駆動装置92等により、ベルトコンベア95が構成されている。
【0100】
縦板84の側部には、断面L字形状とされた鋼製のアングルからなる支持部材96が配置されている。図13に示すように、支持部材96は、長辺部分96Aが縦板84と平行に配置され、短辺部分96Bが縦板84と直交方向に向けて配置されている。
【0101】
ベース板82の上面には、長手方向両側に油圧シリンダ98が立て向きに取り付けられている。
油圧シリンダ98のピストンロッド98Aの先端には、軸取付部材100が固定されており、この軸取付部材100には、支持部材96の短辺部分96Bと平行に配置された軸102が固定されている。
【0102】
一方、支持部材96の短辺部分96Bには、軸取付部材100と対向する位置に、軸102を回転自在に支持する軸受104が取り付けられている。
【0103】
図15に示すように、これら油圧シリンダ98は、図示しないオイルタンク、オイルポンプ、電磁弁、レギュレータ、安全弁等からなる一般的な油圧装置106に接続され、個別に駆動可能とされている。なお、油圧装置106は、油圧装置106を制御する制御装置108に連結されている。
【0104】
1対配置された油圧シリンダ98のうち、一方の油圧シリンダ98のピストンロッド98Aと他方の油圧シリンダ98のピストンロッド98Aの突出量を変えることで、支持部材96をベース板82に対して傾斜、即ち荷台44Aに対して傾斜させることができる。
【0105】
図12、及び図14に示すように、一方の支持部材96には、長手方向両端付近、及び長手方向中央部分に、支持部材96の傾斜角度(ここでの基準は水平)を検出する傾斜センサー110が取り付けられていると共に、長手方向中央部の両側に、各々距離センサー112が取り付けられている。
【0106】
これら傾斜センサー110、及び距離センサー112は、一般に市販されているものを使用することができ、前述した制御装置108に連結されている。
【0107】
距離センサー112は、該距離センサー112から対象物までの距離を測定可能なものであれば従来公知の例えば、レーザー距離センサー、超音波距離センサー等、種々のタイプのものを用いることができる。本実施形態では、距離センサー112に超音波距離センサーを用いている。
【0108】
距離センサー112は、図12、及び図13(B)に示すように、上方に向けて超音波USを発射し、例えば、ハーフユニット42等の貨物の底面までの距離を計測するようになっている。
【0109】
図13(B)、及び図14に示すように、なお、支持部材96には、超音波を通過させるための孔114が距離センサー112の取り付け部分に形成されている。
【0110】
図15に示すように、制御装置108には、報知ブザー116が連結されており、制御装置108は、支持部材96の傾斜角度(ここでの基準は水平)が予め設定した値を超えたと判断したときに、報知ブザー116を鳴らし、作業員に対して報知を行う。
【0111】
なお、ここでいう「予め設定した値」とは、後述するハーフユニット42が転倒する傾斜角度の値よりも小さい値であり、予め制御装置108に記憶しておくものである。また、「予め設定した値」は、ハーフユニット42のサイズ、形状、重心の位置等によって適宜変更されるものである。
【0112】
(作用)
次に、本実施形態の荷台搭載用架台80の作用を説明する。
先ず、ハーフユニット42をトラック44で搬送する前準備として、図11に示すように、荷台44Aの上に、長手方向(ベルトコンベア95による搬送方向)を車両幅方向に向けた2台の荷台搭載用架台80を配置する。なお、荷台44Aに対して、荷台搭載用架台80を搭載するだけでも良く、後で外せる様にボルト等で荷台44Aに固定しても良い。
【0113】
そして、2つの油圧シリンダ98を駆動して支持部材96を上昇させ、支持部材96の短辺部分96Bを平ベルト88の上面よりも上側に位置させる。支持部材96の上昇は、制御装置108に連結された操作盤(図示せず)を作業員が操作することでなされる。
【0114】
このとき、支持部材96は水平となる。支持部材96の傾斜角度は、傾斜センサー110で計測され、制御装置108は、支持部材96が水平となるように各油圧シリンダ98を駆動する。
【0115】
その後、図11、及び図16(A)に示すように、工場で製造された2個のハーフユニット42を、車両幅方向に2台並ぶように荷台搭載用架台80の支持部材96の上に搭載し、ロープ、ベルト等を用いて荷台44Aに固定する。
【0116】
以下に、本実施形態の荷台搭載用架台80を用いたハーフユニット42の据付方法を説明する。
【0117】
(1) 先ず、図16(B)、(C)に示すように、一方(本実施形態では車両左側)のハーフユニット42をクレーン(図示せず)で吊り上げる。吊り上げられた一方のハーフユニット42の底面までの距離は、距離センサー112(図16では図示せず)により計測される。一方のハーフユニット42が吊り上げられると、荷台44Aの重量バランスが崩れ、荷台44Aが傾斜する(本実施形態では、荷台44Aが右下がりに傾斜)。
【0118】
図16(D)に示すように、吊り上げられた一方のハーフユニット42の底面までの距離が、制御装置108に予め設定した値、即ちハーフユニット42の高さ寸法よりも大きくなったと制御装置108にて判断されると、制御装置108はベルトコンベア95の上にハーフユニット42が載るように支持部材96を下降させ、制御装置108は、支持部材96が水平(傾斜角度が零)となる方向にベルトコンベア95を駆動してベルトコンベア95に搭載されたハーフユニット42の移動を行う。
【0119】
より具体的には、ベルトコンベア95に搭載されたハーフユニット42が車両幅方向中央に移動され、荷台44A、及び支持部材96は水平(車両左右方向)にされる。なお、支持部材96が水平となることが最も好ましいが、支障がなければ、数度程度傾斜していても良い。
【0120】
このようにして支持部材96が水平、または水平に近い状態となった後、制御装置108は各油圧シリンダ98を駆動し、水平、または水平に近い状態を保ちながら支持部材96を上昇させて支持部材96でハーフユニット42を支持する。
【0121】
ハーフユニット42は支持部材96に接して支持されるので、ベルトコンベア95の上に搭載されていた場合よりも動き難くなり、好ましい状態となる。
【0122】
このように、本実施形態の荷台搭載用架台80を用いることで、上述した様にして一方のハーフユニット42を降ろす際、支持部材96が水平となるように荷台搭載用架台80に搭載されている他方のハーフユニット42が自動で移動されるので、作業員の手を煩わせること無く荷台44Aに搭載された他方のハーフユニット42の転倒を防止することが出来る。
【0123】
本実施形態の荷台搭載用架台80はトラック44の荷台44Aに搭載するだけで良いため、トラック44は一般の市販品を用いることができ、特殊用途のトラック等を用いたり、市販のトラックを改造する必要も無い。
【0124】
なお、ハーフユニット42は支持部材96の上に搭載されているため、支持部材96の傾斜角度の値(度)と、ハーフユニット42の傾斜角度の値(度)とは同じ値になる。即ち、支持部材96の傾斜角度を計測することは、ハーフユニット42の傾斜角度を計測していることと同じことである。
【0125】
また、不具合等でベルトコンベア95が動かず、ハーフユニット42の傾斜角度が予め設定した値を超えるような場合には、報知ブザー116で報知が行われる。
【0126】
報知ブザー116で報知が行われた場合には、作業を中止することで、荷台44Aに搭載されているハーフユニット42の転倒を未然に防止することができる。
【0127】
なお、本実施形態では、傾斜センサー110で支持部材96の傾斜角度を検出しているが、ベルトコンベア95と支持部材96とを平行とすることで、傾斜センサー110はベルトコンベア95の傾斜角度も検出していることになる。
【0128】
[第4の実施形態]
以下、図17を用いて、本発明の第4の実施形態を説明する。なお、前述した第3の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態は、第3の実施形態と同様に荷台搭載用架台80を用いるが、使用方法が異なる。
【0129】
第3の実施形態では、一方のハーフユニット42を吊り上げた後に、荷台44A(支持部材96)が水平となるように、他方のハーフユニット42をベルトコンベア95で荷台44Aの車幅方向中央に移動したが、本実施形態ではハーフユニット42を車幅方向中央に移動せず、図17に示すように、支持部材96を傾いた荷台44Aに対して反対方向に傾斜させて水平とする。トラック44の荷台44Aが多少傾斜していても問題なければ、本実施形態のように、荷台搭載用架台80に搭載したハーフユニット42の移動を行わなくとも良い。
【0130】
このように、本実施形態では、荷台搭載用架台80に搭載したハーフユニット42を車幅方向に移動することなく転倒を防止することが出来る。
また、不具合等で支持部材96が動かず、ハーフユニット42の傾斜角度が予め設定した値を超えた場合には、報知ブザー116で報知が行われる。
【0131】
本実施形態の方法ではベルトコンベア95を用いないので、荷台搭載用架台80からベルトコンベア95を取り除いても良い。
【0132】
[第5の実施形態]
以下、図18を用いて、本発明の貨物の傾斜予防方法の一例を説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態では、前述した実施形態の様に、2個のハーフユニット42を輸送して施工現場にてトラック44の荷台44Aから降ろす際に適用されるものであり、図8(A),(B)に示すように、ハーフユニット42には、後で降ろす方のハーフユニット42に、傾斜センサー110が取り付けられている。なお、降ろす順番が不確定な場合には、両方のハーフユニット42にハーフユニット42の傾きを検出する傾斜センサー110を取り付ければ良い。
【0133】
図18(C)に示すように、本実施形態では、制御装置108に傾斜センサー110、及び報知ブザー116のみが連結されている。
【0134】
本実施形態では、ハーフユニット42の傾斜角度が、制御装置108に予め設定した値を超えた時に、制御装置108が報知ブザー116を鳴らして、作業員に対して報知を行う。ここでの「予め設定した値」とは、ハーフユニット42が転倒する傾斜角度よりも小さい値である。
【0135】
報知ブザー116が鳴った場合に直ちに作業を中断することで、ハーフユニット42の転倒を未然に防止することが出来る。
【0136】
また、制御装置108をクレーンの制御装置と連結し、報知ブザー116が鳴った場合にクレーンによるハーフユニット42の吊り上げを強制的に停止することもできる。
本実施形態では、報知ブザー116によって音で報知を行うようにしたが、ランプを点灯させて光で報知を行っても良い。
【0137】
本実施形態では、傾斜センサー110、制御装置108、及び報知ブザー116でシステムが構成できるので、前述した第3、4の実施形態に比較してシステムが簡略化できる。
【0138】
なお、全てのハーフユニット42を荷台44Aから降ろした後は、傾斜センサー110等を取り外して再使用することが出来る。
【0139】
また、傾斜センサー110は、ハーフユニット42を設置した後にハーフユニット42にそのまま連結しておいても良い(制御装置108、及び報知ブザー116共に)。こうすることで、例えば、ハーフユニット42を設置した後、ハーフユニット42が傾いた時に報知ブザー116で報知を行ったり、地震でハーフユニット42が傾いたときに報知ブザー116で報知を行うこと等に利用できる。
【0140】
なお、本実施形態では、ハーフユニット42を荷台44Aから降ろす際の例を説明したが、荷台44Aにハーフユニット42を載せる際にも本発明は適用でき、荷台44Aにハーフユニット42を載せる際に、荷台44Aに搭載されているハーフユニット42が転倒しないように報知を行うこともできる。
【0141】
なお、制御装置108に電源スイッチを設けておき、ハーフユニット42を荷台44Aから降ろす際、及びハーフユニット42を荷台44Aに載せる際に、作業員が電源スイッチをオンにして制御装置108、報知ブザー116、傾斜センサー110等からなる報知システムを作動させ、それ以外の場合には、電源スイッチをオフにして該報知システムを停止するようにしても良い。
【0142】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、2個のハーフユニット42を輸送して施工現場にてトラック44の荷台44Aから降ろす際の例を示したが、荷台44Aから降ろすものはハーフユニット42に限るものでは無く、例えばコンテナ等の貨物であっても良い。
【0143】
上記第1,2の実施形態では、クレーン用吊り冶具10,60を用いてトラック44の荷台44Aからハーフユニット42を降ろす例を示したが、本発明はこれに限らず、貨物列車、船舶等の荷台から貨物を降ろす際にも用いることができる。
【0144】
上記第3の実施形態では、ベルトコンベア95を用いてハーフユニット42の移動を行ったが、本発明はこれに限らず、ハーフユニット42の移動はベルトコンベア95以外の、例えば、ローラーコンベア等の従来公知の他の形式の移動手段を用いることができる。
【0145】
上記第3,4の実施形態では、荷台搭載用架台80をトラック44の荷台44Aに搭載した例を示したが、本発明はこれに限らず、荷台搭載用架台80はトラック以外の車両に搭載することができ、貨物列車、船舶等に搭載することもできる。
【0146】
上記第3,4の実施形態では、荷台搭載用架台80をトラック44の荷台44Aに搭載した例を示したが、本発明はこれに限らず、荷台搭載用架台80はトラック以外の車両に搭載しても良く、貨物列車、船舶等に搭載しても良い。
【符号の説明】
【0147】
10 クレーン用吊り冶具
12 第1の梁部材(梁部材)
14 第2の梁部材(梁部材)
16 第1フック(クレーン側連結部)
18 第2フック(クレーン側連結部)
20 第3フック(貨物側連結部)
22 第4フック(クレーン側連結部)
24 第5フック(貨物側連結部)
30 孔
32 孔
34 孔
36 ピン
42 ハーフユニット(貨物、建物ユニット)
44 トラック(車両)
44A 荷台
60 クレーン用吊り冶具
62 第2の梁部材(梁部材)
80 荷台搭載用架台
86 ローラー
95 ベルトコンベア(移動手段)
96 支持部材(移動規制手段、貨物搭載部)
98 油圧シリンダ(変更手段)
106 油圧装置(変更手段)
108 制御装置(貨物検出手段)
110 傾斜センサー
112 距離センサー(貨物検出手段)
116 報知ブザー(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物の傾きを傾斜センサーで検出し、前記貨物の傾きが、予め設定した値を超えた場合に報知手段によって報知を行う貨物の傾斜予防方法。
【請求項2】
前記傾斜センサーは、前記貨物に連結される、請求項1に記載の貨物の傾斜予防方法。
【請求項3】
前記貨物は、ユニット建物を構成する建物ユニットである、請求項1または請求項2に記載の貨物の傾斜予防方法。
【請求項4】
前記貨物の傾きの検出は、前記貨物を荷台から降ろすタイミング、または前記貨物を荷台に載せるタイミングで行われる、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の貨物の傾斜予防方法。
【請求項5】
前記貨物を車両の荷台の上で移動する移動手段を前記荷台に配置し、
前記移動手段は、前記傾斜センサーによる前記貨物の傾き検出結果に基いて、前記貨物の傾きが予め設定した値を超えないように、前記荷台の上で前記貨物の移動を行う、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の貨物の傾斜予防方法。
【請求項6】
前記移動手段は、前記貨物の移動を規制する移動規制手段を有する、請求項5に記載の貨物の傾斜予防方法。
【請求項7】
前記移動手段に搭載された前記貨物が前記移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを検出する貨物検出手段を備え、
前記貨物検出手段が、前記移動手段に搭載されていた前記貨物が前記移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを検出した際に、前記移動手段は、前記移動手段に搭載されている残りの前記貨物の傾きが予め設定した値を超えないように移動を行う、請求項5または請求項6に記載の貨物の傾斜予防方法。
【請求項8】
前記移動手段は前記貨物の移動を行う複数のローラーを備えている、請求項5〜請求項7の何れか1項に記載の貨物の傾斜予防方法。
【請求項9】
貨物をクレーンで吊り上げる際に用いられるクレーン用吊り冶具であって、
長手方向に伸縮可能に構成された梁部材と、
前記梁部材に設けられ、クレーン側に連結されるクレーン側連結部と、
前記梁部材に設けられ、少なくとも2個の貨物と連結可能な貨物側連結部と、
を有するクレーン用吊り冶具。
【請求項10】
前記梁部材は、第1の梁部材と、前記第1の梁部材に対して長手方向に相対移動可能に連結される第2の梁部材とを有している、請求項9に記載のクレーン用吊り冶具。
【請求項11】
車両の荷台に配置可能とされ、搭載した貨物を前記荷台の上で移動する移動手段と、
前記移動手段の傾きを検出するための傾斜センサーと、
前記傾斜センサーからの傾き検出結果に基いて、前記移動手段の傾きが予め設定した値以下となるように、前記移動手段を駆動して前記貨物の位置を変更する制御手段と、
を有する荷台搭載用架台。
【請求項12】
前記移動手段は、前記貨物の移動を規制する移動規制手段を有する、請求項11に記載の荷台搭載用架台。
【請求項13】
前記移動手段に搭載された前記貨物が前記移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを検出する貨物検出手段と、
前記貨物検出手段が、前記移動手段に搭載されていた前記貨物が前記移動手段から予め設定した距離以上に離間したことを検出した際に、前記移動手段の傾きが予め設定した値を超えないように前記貨物の移動を行うように前記移動手段を制御する制御手段と、
を有する請求項11または請求項12に記載の荷台搭載用架台。
【請求項14】
車両の荷台に配置可能な荷台搭載用架台であって、
貨物を搭載する貨物搭載部と、
前記貨物搭載部の傾きを検出するための傾斜センサーと、
前記荷台に対する前記貨物搭載部の傾きを変更する変更手段と、
前記傾斜センサーからの傾き検出結果に基いて、前記貨物搭載部の傾きが予め設定した値以下となるように、前記変更手段を駆動する制御手段と、
を有する荷台搭載用架台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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