貫通孔構成部材の製造方法
【課題】高周波焼き入れを行う際の加熱時間や電流値、周波数等の許容範囲が広く、自動化に寄与するボールナット1の製造方法を提供する。
【解決手段】最終製品たるボールナット1には軸方向に貫通する貫通孔2が形成されている。貫通孔2の内周面3には螺旋溝5が設けられている。製造工程においては、面取り部22にドリル30又はミルを当接し、連通孔6,7を穿孔する。連通孔6,7は貫通させず、奥に壁25を残す状態となっている。続いて貫通孔2に誘導コイル31を挿入し、貫通孔2の内周面3を高周波誘導加熱する。続く工程で、連通孔6,7に再度ドリル30又はミルを挿入し、連通孔6,7の奥の壁25を突き破り、連通孔6,7を仕上げる。
【解決手段】最終製品たるボールナット1には軸方向に貫通する貫通孔2が形成されている。貫通孔2の内周面3には螺旋溝5が設けられている。製造工程においては、面取り部22にドリル30又はミルを当接し、連通孔6,7を穿孔する。連通孔6,7は貫通させず、奥に壁25を残す状態となっている。続いて貫通孔2に誘導コイル31を挿入し、貫通孔2の内周面3を高周波誘導加熱する。続く工程で、連通孔6,7に再度ドリル30又はミルを挿入し、連通孔6,7の奥の壁25を突き破り、連通孔6,7を仕上げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばボールナットの主要構成部材に代表される様な、貫通孔構成部材を製造する方法に関するものであり、特に、内周面が焼き入れされた貫通孔構成部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
送り装置や、ガイド装置として、ボールネジとボールナットの組み合わせが多用されている。ここでボールネジは、外周面に螺旋溝(ボルト側螺旋溝)が形成された部材である。ボールナットは、前記したボールネジを雄ねじに見立てた場合にナットに相当する働きをする部材であり、図1、図2の様な主要構成部材(貫通孔構成部材)1を備えている。ボールナットの主要構成部材(以下、単にボールナット1と称する)には、ボールネジが貫通する貫通孔2が設けられている。そして当該貫通孔2の内周面3には、ボールネジと同様に螺旋溝(ナット側螺旋溝)5が形成されている。またボールナット1には、内周面3に連通する連通孔6,6’、及び連通孔7,7’が設けられている。そして連通孔6,6’、及び連通孔7,7’を介して螺旋溝5が環状に連結されている(環状構造は図示せず)。
【0003】
そしてボールネジはボールナット1の貫通孔2に挿入され、ボールナット1の螺旋溝5と、ボールネジの螺旋溝(図示せず)とで構成される空間に複数の鋼玉(図示せず)が配されている。
ボールネジ又はボールナット1の一方を回転し、他方の回転を阻止すると、ボールネジとボールナット1は、あたかもボルトとナットの関係の様に軸方向に相対移動する。
ボールネジとボールナット1は、鋼玉を介して接しており、両者の間の摩擦は鋼玉の転がり摩擦のみとなる。そのため両者の間の摩擦抵抗は小さい。
ここで前記した複数の鋼玉は、転がることによってそれ自身が移動するが、前記した様にボールナット1には、内周面3に連通する連通孔6,6’、及び連通孔7,7’が設けられ、当該連通孔6,6’、及び連通孔7,7’を介して螺旋溝5が環状に連結されているから、鋼玉はこの連通孔6,6’、及び連通孔7,7’を通過して循環する。そのため鋼玉が外にこぼれ落ちることはない。
【0004】
ところで、ボールナット1は内周面3に螺旋溝(ナット側螺旋溝)5があり、当該溝内を鋼玉が通過するから、ボールナット1の内周面3は、焼き入れを施して硬度を高めておく必要がある。
しかしながら、ボールナット1の内周面3を高周波焼き入れすると、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の内側面側端部の鋭角部分10(図2)が過剰に加熱されてしまう。即ち図2の様に、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’は、ナット側螺旋溝5に対して接線方向に設けられる。そのため連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の端部は図2の様に傾斜形状となり、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の端部であって、図面下側の部位は、内周面3の円弧に対して接線でも中心線でもない部位で接する。その結果、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の端部であって、図面下側の部位は、断面形状が鋭角状となり、鋭角部分10はその先端の肉厚が極端に薄いものとなる。
【0005】
そしてこの様な断面形状のボールナット1の内周面3を高周波焼き入れすると、鋭角部分10に誘導電流が集中し、鋭角部分10が他の部位に比べて高い温度に昇温する。そのため高周波焼き入れの加熱時間等が長すぎると連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の鋭角部分10が溶融してしまう。逆に加熱時間等が短いと、他の部位の昇温が不十分となり、満足する硬度に至らない。
そのためボールナット1の内周面3を高周波焼き入れする場合は、細心の注意を要し、加熱時間や電流値、周波数を管理する必要があり、相当に手間を要した。即ちボールナット1の内周面3の高周波焼き入れは、加熱時間や電流値等の許容範囲が狭く、熟練を要し、困難であった。
【0006】
特許文献1は、この問題を解決するものであり、高周波加熱を行う際に、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’に所定形状のプラグを挿入するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−192734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された方策は、鋭角部分10が過剰に加熱されることを阻止することができるものの、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’にプラグを挿入する作業を要し、かえって煩わしい。
【0009】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、熱処理を行う際の加熱時間や電流値、周波数等の許容範囲が広く、自動化に寄与する貫通孔構成部材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、鋼材を素材とし、軸方向に貫通する貫通孔を有し、その貫通孔の内周面に溝が形成された貫通孔構成部材であって、貫通孔構成部材の外面側と内周面とを連通する連通孔を有し、且つ前記内周面が焼き入れ処理された貫通孔構成部材を製造する貫通孔構成部材の製造方法において、内周面に溝が形成され且つ前記連通孔を不完全な状態に穿孔した中間製品を成形し、当該中間製品の内周面を誘導加熱した後に、前記連通孔を仕上げることを特徴とする貫通孔構成部材の製造方法である。
【0011】
本発明の貫通孔構成部材の製造方法では、連通孔を不完全な状態に穿孔した中間製品を成形し、この中間製品の内周面を誘導加熱する。その結果、貫通孔の内周面を均質に加熱することができる。
そしてその後に、連通孔を仕上げる。
【0012】
「連通孔を不完全な状態に穿孔」する例として、連通孔が外周面側から穿孔されているが内周面側には不貫通である場合があげられる。
【0013】
この構成によると、中間製品の段階では、連通孔が内周面側に貫通していない。そのため中間製品の内周面は、一様であり、連通孔が開口すべき部位についても他の部位と変わりはない。そのため内周面を誘導加熱しても、誘導電流の局部的集中は起きない。即ち、中間製品は、連通孔が不完全な状態であるから、そもそも鋭角部分10はない。そのため内周面を誘導加熱しても、誘導電流の局部的集中は起きない。その結果、貫通孔の内周面を均質に加熱することができる。
【0014】
また「連通孔を不完全な状態に穿孔」するもう一つの例として、連通孔が外周面側から穿孔されているが内周面側にその一部だけが貫通している場合があげられる。
【0015】
本構成では、連通孔の一部だけが貫通しているので、貫通部分の周囲には誘導電流が集中し、過剰に加熱される。しかしながら、その周囲については、他の大部分の部位と同様に誘導加熱され、適度の温度に昇温する。
本発明では、熱処理を施した後に、連通孔を仕上げるので、その際に過剰に加熱された部位が除去される。
本発明によると、連通孔を仕上げる際に除去される部位は少なく、作業は容易である。
【0016】
また「連通孔を不完全な状態に穿孔」するさらにもう一つの例として、連通孔の位置に正規の連通孔よりも小径の孔が設けられたものである場合があげられる。
【0017】
本構成では、連通孔の位置に正規の連通孔よりも小径の孔が設けられたものであるから孔の端部は過剰に加熱される。しかしながら、その周囲については、他の大部分の部位と同様に誘導加熱され、適度の温度に昇温する。
本発明では、熱処理を施した後に、連通孔を仕上げるので、その際に過剰に加熱された部位が除去される。
【0018】
誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接し、当該誘導コイルに高周波電流を流して中間製品の内周面を加熱する方策が推奨される。そして加熱後に中間製品の内周面を急冷する工程を含むことが推奨される。
【0019】
また誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接して行い、前記誘導加熱によって内周面の連通孔に対応する部位も他の部位と同様に昇温させ、その後に中間製品の内周面を急冷し、さらにその後に前記連通孔を仕上げる方策(請求項2)が推奨される。
【0020】
誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接して行い、前記誘導加熱を行う際に連通孔を冷却し、内周面の連通孔に対応する部位の昇温を他の部位に比べて抑え、その後に中間製品の内周面を急冷し、さらにその後に前記連通孔を仕上げる方策(請求項3)も推奨される。
【0021】
本発明によると、誘導加熱の際に連通孔が冷却されるので、内周面の連通孔に対応する部位の昇温が抑えられる。そのため内周面の連通孔に対応する部位には焼き入れが入らない。即ち焼き入れは、鉄鋼を一定以上の温度の昇温させ、その後に急冷することによって硬度を上げる技術であるが、本発明によると、内周面の連通孔に対応する部位は、焼き入れに要する温度まで昇温しない。そのため内周面の連通孔に対応する部位は、硬度が低く、連通孔を仕上げる工程が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、ボールナットの様な貫通孔構成部材を誘導加熱によって熱処理することができ、且つその際の加熱時間や電流値、周波数等の許容範囲が広い。そのため本発明によると、貫通孔構成部材の熱処理を自動で行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明及び従来技術によって製造されたボールナットの主要構成部材の斜視図である。
【図2】図1のボールナットの主要構成部材の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の次の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のさらに次の工程を示す誘導コイルとボールナットの主要構成部材の中間製品の斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態の図5に示す工程におけるボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図7】図6に示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図であり、温度上昇領域を網掛けで表示した断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態のさらに次の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態のさらに次の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図11】図10のA−A断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の次の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態のボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図であり、内面を加熱する際の様子を示すと共に温度上昇領域を網掛けで表示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態は、図1、図2に示すようなボールナット(正確にはボールナットの主要構成部材)1を製造するものである。
ボールナット1の外観形状は、図1の通りであり、一端側にフランジ部20が設けられた円筒形をしている。即ちボールナット1の外観形状は円筒形の本体部21と、一端側に形成されたフランジ部20によって構成されている。
【0025】
本体部21は、その中間部に大きな面取り部22が形成されている。
またボールナット1には軸方向に貫通する貫通孔2が形成されている。貫通孔2の内周面3には前記した螺旋溝(ナット側螺旋溝)5が設けられている。
【0026】
そしてボールナット1の外周面側から内周面3の螺旋溝(ナット側螺旋溝)5に至る連通孔6,7が設けられている。連通孔6,7は、いずれも面取り部22から穿孔されたものであり、その先端は、内周面3の螺旋溝(ナット側螺旋溝)5に開いている。連通孔6’,7’も連通孔6,7と同様であり、以下において連通孔6’,7’に関する重複する記述は省略する。
【0027】
次に、ボールナット1の製造方法について説明する。
ボールナット1は、焼き入れ可能な鋼で成形されたものであり、先ず外観形状が成形される。即ち本体部21とフランジ部20が成形され、本体部21の中間部に面取り部22が形成される。また内周面3に螺旋溝(ナット側螺旋溝)5が形成される。
【0028】
そして図3の様に、面取り部22にドリル30又はミルを当接し、連通孔6,7を穿孔する。ただし連通孔6,7は貫通させず、図4に示すように、数ミリを残して穴形成を終える。即ち連通孔6,7は、奥に壁25を残す状態となっている。
【0029】
続いて、図5、図6の様に、貫通孔2に誘導コイル31を挿入し、貫通孔2の内周面3を高周波誘導加熱する。
より具体的には、誘導コイル31を挿入し、誘導コイル31が貫通孔2の内周面3に近接した状態で、誘導コイル31に高周波電流を流す。そしてボールナット1を誘導コイル31に対して相対回転させる。その結果、貫通孔2の内周面3に誘導電流が励起され、貫通孔2の内周面3が赤熱する。
ここで本実施形態では、ボールナット1の中間製品は、連通孔6,7が貫通しておらず、貫通孔2の内周面3の形状は一様である。そのため貫通孔2の内周面3には、均一に誘導電流が励起され、貫通孔2の内周面3が均一に赤熱する。
【0030】
即ち図7に示す様に、前記誘導加熱によって内周面3の連通孔6,7に対応する部位27も他の部位と同様に昇温する。ただし、連通孔6,7に対応する部位27は、他の部位に比べて肉厚が薄いので、昇温領域の深さが他の部位に比べてやや深くなり、壁25は、全体的に昇温領域に含まれることとなる。
【0031】
続いて図8の様に、貫通孔2に冷却ジャケット32を挿入し、冷却ジャケット32から冷却水を噴射して貫通孔2の内周面3を急冷する。
その後、必要に応じて焼き戻しを行う。
【0032】
その結果、貫通孔2の内周面3が均一に焼き入れされ、内周面3が均質なボールナット1の中間製品が完成する。
【0033】
そして続く工程で、連通孔6,7を仕上げる。具体的には、連通孔6,7に再度ドリル30又はミルを挿入し、連通孔6,7の奥の壁25を突き破る。ここで連通孔6,7の奥の壁25は、焼き入れされていて硬いが、厚さは薄い。そのため連通孔6,7の奥の壁25は、容易に突き破られ、連通孔6,7が開通する。
その結果、図1,2に示す形状であって、内周面3が焼き入れされたボールナット1が完成する。
【0034】
以上説明した実施形態では、ドリル30又はミルによって連通孔6,7を開通させたが、ポンチやタガネの様な打撃や衝撃を加える工具を使用して連通孔6,7を開通させてもよい。
【0035】
また以上説明した実施形態では、連通孔6,7を貫通させない状態で、熱処理を行ったが、図10、図11の様に連通孔6,7の奥の壁25に小孔33があいていてもよい。
即ち公知のドリル30は、先端が尖っているが、図10、図11の様に、ドリル30の一部たる先端部分だけが内周面3側に貫通し、ドリル30の周部は不貫通の状態であってもよい。
【0036】
この場合においても、熱処理に続く工程で、連通孔6,7を仕上げる。具体的には、連通孔6,7に再度ドリル30又はミルを挿入し、連通孔6,7の奥の壁25の縁部分を突き破る。ドリル30等に代わってポンチやタガネの様な打撃や衝撃を加える工具を使用して連通孔6,7を開通させてもよい。
【0037】
また先の実施形態では、熱処理を施す前に形成される連通孔6,7は、その直径が最終的な連通孔6,7のそれと略等しいものであるが、これよりも小さい連通孔35,36を設けてもよい。
即ち図12の様に小径のドリル(図示せず)で、連通孔35,36を設ける。この連通孔35,36は、外周側から内周面3にかけて貫通する。
そしてこの状態で、熱処理し、続く工程で、連通孔6,7を仕上げる。
即ち図13に示すように、連通孔35,36に正規の太さのドリル30又はミル、あるいはリーマを挿入し、連通孔35,36を拡径する。ここで、本実施形態では、焼き入れによって硬化されているのは、内周面3の近傍のみであり、外周部の硬度は低いから、ドリル30等の挿通は容易である。また内周面3の近傍は硬いが、硬化層は薄いから、ドリル30等の抵抗は小さい。
【0038】
また前記した実施形態は、いずれも壁25や、内周面3の連通孔6,7に対応する部位27を誘導加熱の際に昇温させる方策を採用するが、壁25や、連通孔6,7に対応する部位27を昇温させないでおく方策も考えられる。例えば図14に示す様に、貫通孔2の内周面3を高周波誘導加熱する際に、ノズル28から連通孔6,7に冷却水や冷風を吹き付け、壁25やその周辺の昇温を抑える。その結果、内周面3の連通孔6,7に対応する部位27は焼き入れに必要な温度に達せず、いわゆる「生」の状態となる。即ち内周面3の連通孔6,7に対応する部位27は、マルテンサイト化せず、硬度が上がらない。
本実施形態においても、高周波誘導加熱の後に、図8の様に急冷し、さらに図9の様に連通孔6,7を仕上げる。本実施形態による場合は、壁25の硬度が低いので、連通孔6,7を容易に仕上げることができる。
【0039】
以上説明した実施形態によると、ボールナット1の様な、鋼材を素材とし、軸方向に貫通する貫通孔を有し、その貫通孔の内周面に溝が形成された貫通孔構成部材であって、外面側と内周面を連通する連通孔を有し、且つ前記内周面が焼き入れ処理された貫通孔構成部材を容易に製造することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ボールナット(貫通孔構成部材)
2 貫通孔
5 螺旋溝(ナット側螺旋溝)
6,6’,7,7’ 連通孔
21 本体部
25 壁
27 連通孔に対応する部位
28 ノズル
31 誘導コイル
33 小孔
35,36 連通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばボールナットの主要構成部材に代表される様な、貫通孔構成部材を製造する方法に関するものであり、特に、内周面が焼き入れされた貫通孔構成部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
送り装置や、ガイド装置として、ボールネジとボールナットの組み合わせが多用されている。ここでボールネジは、外周面に螺旋溝(ボルト側螺旋溝)が形成された部材である。ボールナットは、前記したボールネジを雄ねじに見立てた場合にナットに相当する働きをする部材であり、図1、図2の様な主要構成部材(貫通孔構成部材)1を備えている。ボールナットの主要構成部材(以下、単にボールナット1と称する)には、ボールネジが貫通する貫通孔2が設けられている。そして当該貫通孔2の内周面3には、ボールネジと同様に螺旋溝(ナット側螺旋溝)5が形成されている。またボールナット1には、内周面3に連通する連通孔6,6’、及び連通孔7,7’が設けられている。そして連通孔6,6’、及び連通孔7,7’を介して螺旋溝5が環状に連結されている(環状構造は図示せず)。
【0003】
そしてボールネジはボールナット1の貫通孔2に挿入され、ボールナット1の螺旋溝5と、ボールネジの螺旋溝(図示せず)とで構成される空間に複数の鋼玉(図示せず)が配されている。
ボールネジ又はボールナット1の一方を回転し、他方の回転を阻止すると、ボールネジとボールナット1は、あたかもボルトとナットの関係の様に軸方向に相対移動する。
ボールネジとボールナット1は、鋼玉を介して接しており、両者の間の摩擦は鋼玉の転がり摩擦のみとなる。そのため両者の間の摩擦抵抗は小さい。
ここで前記した複数の鋼玉は、転がることによってそれ自身が移動するが、前記した様にボールナット1には、内周面3に連通する連通孔6,6’、及び連通孔7,7’が設けられ、当該連通孔6,6’、及び連通孔7,7’を介して螺旋溝5が環状に連結されているから、鋼玉はこの連通孔6,6’、及び連通孔7,7’を通過して循環する。そのため鋼玉が外にこぼれ落ちることはない。
【0004】
ところで、ボールナット1は内周面3に螺旋溝(ナット側螺旋溝)5があり、当該溝内を鋼玉が通過するから、ボールナット1の内周面3は、焼き入れを施して硬度を高めておく必要がある。
しかしながら、ボールナット1の内周面3を高周波焼き入れすると、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の内側面側端部の鋭角部分10(図2)が過剰に加熱されてしまう。即ち図2の様に、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’は、ナット側螺旋溝5に対して接線方向に設けられる。そのため連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の端部は図2の様に傾斜形状となり、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の端部であって、図面下側の部位は、内周面3の円弧に対して接線でも中心線でもない部位で接する。その結果、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の端部であって、図面下側の部位は、断面形状が鋭角状となり、鋭角部分10はその先端の肉厚が極端に薄いものとなる。
【0005】
そしてこの様な断面形状のボールナット1の内周面3を高周波焼き入れすると、鋭角部分10に誘導電流が集中し、鋭角部分10が他の部位に比べて高い温度に昇温する。そのため高周波焼き入れの加熱時間等が長すぎると連通孔6,6’、及び連通孔7,7’の鋭角部分10が溶融してしまう。逆に加熱時間等が短いと、他の部位の昇温が不十分となり、満足する硬度に至らない。
そのためボールナット1の内周面3を高周波焼き入れする場合は、細心の注意を要し、加熱時間や電流値、周波数を管理する必要があり、相当に手間を要した。即ちボールナット1の内周面3の高周波焼き入れは、加熱時間や電流値等の許容範囲が狭く、熟練を要し、困難であった。
【0006】
特許文献1は、この問題を解決するものであり、高周波加熱を行う際に、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’に所定形状のプラグを挿入するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−192734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された方策は、鋭角部分10が過剰に加熱されることを阻止することができるものの、連通孔6,6’、及び連通孔7,7’にプラグを挿入する作業を要し、かえって煩わしい。
【0009】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、熱処理を行う際の加熱時間や電流値、周波数等の許容範囲が広く、自動化に寄与する貫通孔構成部材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、鋼材を素材とし、軸方向に貫通する貫通孔を有し、その貫通孔の内周面に溝が形成された貫通孔構成部材であって、貫通孔構成部材の外面側と内周面とを連通する連通孔を有し、且つ前記内周面が焼き入れ処理された貫通孔構成部材を製造する貫通孔構成部材の製造方法において、内周面に溝が形成され且つ前記連通孔を不完全な状態に穿孔した中間製品を成形し、当該中間製品の内周面を誘導加熱した後に、前記連通孔を仕上げることを特徴とする貫通孔構成部材の製造方法である。
【0011】
本発明の貫通孔構成部材の製造方法では、連通孔を不完全な状態に穿孔した中間製品を成形し、この中間製品の内周面を誘導加熱する。その結果、貫通孔の内周面を均質に加熱することができる。
そしてその後に、連通孔を仕上げる。
【0012】
「連通孔を不完全な状態に穿孔」する例として、連通孔が外周面側から穿孔されているが内周面側には不貫通である場合があげられる。
【0013】
この構成によると、中間製品の段階では、連通孔が内周面側に貫通していない。そのため中間製品の内周面は、一様であり、連通孔が開口すべき部位についても他の部位と変わりはない。そのため内周面を誘導加熱しても、誘導電流の局部的集中は起きない。即ち、中間製品は、連通孔が不完全な状態であるから、そもそも鋭角部分10はない。そのため内周面を誘導加熱しても、誘導電流の局部的集中は起きない。その結果、貫通孔の内周面を均質に加熱することができる。
【0014】
また「連通孔を不完全な状態に穿孔」するもう一つの例として、連通孔が外周面側から穿孔されているが内周面側にその一部だけが貫通している場合があげられる。
【0015】
本構成では、連通孔の一部だけが貫通しているので、貫通部分の周囲には誘導電流が集中し、過剰に加熱される。しかしながら、その周囲については、他の大部分の部位と同様に誘導加熱され、適度の温度に昇温する。
本発明では、熱処理を施した後に、連通孔を仕上げるので、その際に過剰に加熱された部位が除去される。
本発明によると、連通孔を仕上げる際に除去される部位は少なく、作業は容易である。
【0016】
また「連通孔を不完全な状態に穿孔」するさらにもう一つの例として、連通孔の位置に正規の連通孔よりも小径の孔が設けられたものである場合があげられる。
【0017】
本構成では、連通孔の位置に正規の連通孔よりも小径の孔が設けられたものであるから孔の端部は過剰に加熱される。しかしながら、その周囲については、他の大部分の部位と同様に誘導加熱され、適度の温度に昇温する。
本発明では、熱処理を施した後に、連通孔を仕上げるので、その際に過剰に加熱された部位が除去される。
【0018】
誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接し、当該誘導コイルに高周波電流を流して中間製品の内周面を加熱する方策が推奨される。そして加熱後に中間製品の内周面を急冷する工程を含むことが推奨される。
【0019】
また誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接して行い、前記誘導加熱によって内周面の連通孔に対応する部位も他の部位と同様に昇温させ、その後に中間製品の内周面を急冷し、さらにその後に前記連通孔を仕上げる方策(請求項2)が推奨される。
【0020】
誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接して行い、前記誘導加熱を行う際に連通孔を冷却し、内周面の連通孔に対応する部位の昇温を他の部位に比べて抑え、その後に中間製品の内周面を急冷し、さらにその後に前記連通孔を仕上げる方策(請求項3)も推奨される。
【0021】
本発明によると、誘導加熱の際に連通孔が冷却されるので、内周面の連通孔に対応する部位の昇温が抑えられる。そのため内周面の連通孔に対応する部位には焼き入れが入らない。即ち焼き入れは、鉄鋼を一定以上の温度の昇温させ、その後に急冷することによって硬度を上げる技術であるが、本発明によると、内周面の連通孔に対応する部位は、焼き入れに要する温度まで昇温しない。そのため内周面の連通孔に対応する部位は、硬度が低く、連通孔を仕上げる工程が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、ボールナットの様な貫通孔構成部材を誘導加熱によって熱処理することができ、且つその際の加熱時間や電流値、周波数等の許容範囲が広い。そのため本発明によると、貫通孔構成部材の熱処理を自動で行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明及び従来技術によって製造されたボールナットの主要構成部材の斜視図である。
【図2】図1のボールナットの主要構成部材の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の次の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のさらに次の工程を示す誘導コイルとボールナットの主要構成部材の中間製品の斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態の図5に示す工程におけるボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図7】図6に示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図であり、温度上昇領域を網掛けで表示した断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態のさらに次の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態のさらに次の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図11】図10のA−A断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の次の工程を示すボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態のボールナットの主要構成部材の中間製品の断面図であり、内面を加熱する際の様子を示すと共に温度上昇領域を網掛けで表示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態は、図1、図2に示すようなボールナット(正確にはボールナットの主要構成部材)1を製造するものである。
ボールナット1の外観形状は、図1の通りであり、一端側にフランジ部20が設けられた円筒形をしている。即ちボールナット1の外観形状は円筒形の本体部21と、一端側に形成されたフランジ部20によって構成されている。
【0025】
本体部21は、その中間部に大きな面取り部22が形成されている。
またボールナット1には軸方向に貫通する貫通孔2が形成されている。貫通孔2の内周面3には前記した螺旋溝(ナット側螺旋溝)5が設けられている。
【0026】
そしてボールナット1の外周面側から内周面3の螺旋溝(ナット側螺旋溝)5に至る連通孔6,7が設けられている。連通孔6,7は、いずれも面取り部22から穿孔されたものであり、その先端は、内周面3の螺旋溝(ナット側螺旋溝)5に開いている。連通孔6’,7’も連通孔6,7と同様であり、以下において連通孔6’,7’に関する重複する記述は省略する。
【0027】
次に、ボールナット1の製造方法について説明する。
ボールナット1は、焼き入れ可能な鋼で成形されたものであり、先ず外観形状が成形される。即ち本体部21とフランジ部20が成形され、本体部21の中間部に面取り部22が形成される。また内周面3に螺旋溝(ナット側螺旋溝)5が形成される。
【0028】
そして図3の様に、面取り部22にドリル30又はミルを当接し、連通孔6,7を穿孔する。ただし連通孔6,7は貫通させず、図4に示すように、数ミリを残して穴形成を終える。即ち連通孔6,7は、奥に壁25を残す状態となっている。
【0029】
続いて、図5、図6の様に、貫通孔2に誘導コイル31を挿入し、貫通孔2の内周面3を高周波誘導加熱する。
より具体的には、誘導コイル31を挿入し、誘導コイル31が貫通孔2の内周面3に近接した状態で、誘導コイル31に高周波電流を流す。そしてボールナット1を誘導コイル31に対して相対回転させる。その結果、貫通孔2の内周面3に誘導電流が励起され、貫通孔2の内周面3が赤熱する。
ここで本実施形態では、ボールナット1の中間製品は、連通孔6,7が貫通しておらず、貫通孔2の内周面3の形状は一様である。そのため貫通孔2の内周面3には、均一に誘導電流が励起され、貫通孔2の内周面3が均一に赤熱する。
【0030】
即ち図7に示す様に、前記誘導加熱によって内周面3の連通孔6,7に対応する部位27も他の部位と同様に昇温する。ただし、連通孔6,7に対応する部位27は、他の部位に比べて肉厚が薄いので、昇温領域の深さが他の部位に比べてやや深くなり、壁25は、全体的に昇温領域に含まれることとなる。
【0031】
続いて図8の様に、貫通孔2に冷却ジャケット32を挿入し、冷却ジャケット32から冷却水を噴射して貫通孔2の内周面3を急冷する。
その後、必要に応じて焼き戻しを行う。
【0032】
その結果、貫通孔2の内周面3が均一に焼き入れされ、内周面3が均質なボールナット1の中間製品が完成する。
【0033】
そして続く工程で、連通孔6,7を仕上げる。具体的には、連通孔6,7に再度ドリル30又はミルを挿入し、連通孔6,7の奥の壁25を突き破る。ここで連通孔6,7の奥の壁25は、焼き入れされていて硬いが、厚さは薄い。そのため連通孔6,7の奥の壁25は、容易に突き破られ、連通孔6,7が開通する。
その結果、図1,2に示す形状であって、内周面3が焼き入れされたボールナット1が完成する。
【0034】
以上説明した実施形態では、ドリル30又はミルによって連通孔6,7を開通させたが、ポンチやタガネの様な打撃や衝撃を加える工具を使用して連通孔6,7を開通させてもよい。
【0035】
また以上説明した実施形態では、連通孔6,7を貫通させない状態で、熱処理を行ったが、図10、図11の様に連通孔6,7の奥の壁25に小孔33があいていてもよい。
即ち公知のドリル30は、先端が尖っているが、図10、図11の様に、ドリル30の一部たる先端部分だけが内周面3側に貫通し、ドリル30の周部は不貫通の状態であってもよい。
【0036】
この場合においても、熱処理に続く工程で、連通孔6,7を仕上げる。具体的には、連通孔6,7に再度ドリル30又はミルを挿入し、連通孔6,7の奥の壁25の縁部分を突き破る。ドリル30等に代わってポンチやタガネの様な打撃や衝撃を加える工具を使用して連通孔6,7を開通させてもよい。
【0037】
また先の実施形態では、熱処理を施す前に形成される連通孔6,7は、その直径が最終的な連通孔6,7のそれと略等しいものであるが、これよりも小さい連通孔35,36を設けてもよい。
即ち図12の様に小径のドリル(図示せず)で、連通孔35,36を設ける。この連通孔35,36は、外周側から内周面3にかけて貫通する。
そしてこの状態で、熱処理し、続く工程で、連通孔6,7を仕上げる。
即ち図13に示すように、連通孔35,36に正規の太さのドリル30又はミル、あるいはリーマを挿入し、連通孔35,36を拡径する。ここで、本実施形態では、焼き入れによって硬化されているのは、内周面3の近傍のみであり、外周部の硬度は低いから、ドリル30等の挿通は容易である。また内周面3の近傍は硬いが、硬化層は薄いから、ドリル30等の抵抗は小さい。
【0038】
また前記した実施形態は、いずれも壁25や、内周面3の連通孔6,7に対応する部位27を誘導加熱の際に昇温させる方策を採用するが、壁25や、連通孔6,7に対応する部位27を昇温させないでおく方策も考えられる。例えば図14に示す様に、貫通孔2の内周面3を高周波誘導加熱する際に、ノズル28から連通孔6,7に冷却水や冷風を吹き付け、壁25やその周辺の昇温を抑える。その結果、内周面3の連通孔6,7に対応する部位27は焼き入れに必要な温度に達せず、いわゆる「生」の状態となる。即ち内周面3の連通孔6,7に対応する部位27は、マルテンサイト化せず、硬度が上がらない。
本実施形態においても、高周波誘導加熱の後に、図8の様に急冷し、さらに図9の様に連通孔6,7を仕上げる。本実施形態による場合は、壁25の硬度が低いので、連通孔6,7を容易に仕上げることができる。
【0039】
以上説明した実施形態によると、ボールナット1の様な、鋼材を素材とし、軸方向に貫通する貫通孔を有し、その貫通孔の内周面に溝が形成された貫通孔構成部材であって、外面側と内周面を連通する連通孔を有し、且つ前記内周面が焼き入れ処理された貫通孔構成部材を容易に製造することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ボールナット(貫通孔構成部材)
2 貫通孔
5 螺旋溝(ナット側螺旋溝)
6,6’,7,7’ 連通孔
21 本体部
25 壁
27 連通孔に対応する部位
28 ノズル
31 誘導コイル
33 小孔
35,36 連通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材を素材とし、軸方向に貫通する貫通孔を有し、その貫通孔の内周面に溝が形成された貫通孔構成部材であって、貫通孔構成部材の外面側と内周面とを連通する連通孔を有し、且つ前記内周面が焼き入れ処理された貫通孔構成部材を製造する貫通孔構成部材の製造方法において、内周面に溝が形成され且つ前記連通孔を不完全な状態に穿孔した中間製品を成形し、当該中間製品の内周面を誘導加熱した後に、前記連通孔を仕上げることを特徴とする貫通孔構成部材の製造方法。
【請求項2】
誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接して行い、前記誘導加熱によって内周面の連通孔に対応する部位も他の部位と同様に昇温させ、その後に中間製品の内周面を急冷し、さらにその後に前記連通孔を仕上げることを特徴とする請求項1に記載の貫通孔構成部材の製造方法。
【請求項3】
誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接して行い、前記誘導加熱を行う際に連通孔を冷却し、内周面の連通孔に対応する部位の昇温を他の部位に比べて抑え、その後に中間製品の内周面を急冷し、さらにその後に前記連通孔を仕上げることを特徴とする請求項1に記載の貫通孔構成部材の製造方法。
【請求項1】
鋼材を素材とし、軸方向に貫通する貫通孔を有し、その貫通孔の内周面に溝が形成された貫通孔構成部材であって、貫通孔構成部材の外面側と内周面とを連通する連通孔を有し、且つ前記内周面が焼き入れ処理された貫通孔構成部材を製造する貫通孔構成部材の製造方法において、内周面に溝が形成され且つ前記連通孔を不完全な状態に穿孔した中間製品を成形し、当該中間製品の内周面を誘導加熱した後に、前記連通孔を仕上げることを特徴とする貫通孔構成部材の製造方法。
【請求項2】
誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接して行い、前記誘導加熱によって内周面の連通孔に対応する部位も他の部位と同様に昇温させ、その後に中間製品の内周面を急冷し、さらにその後に前記連通孔を仕上げることを特徴とする請求項1に記載の貫通孔構成部材の製造方法。
【請求項3】
誘導加熱は、中間製品の内周面に誘導コイルを近接して行い、前記誘導加熱を行う際に連通孔を冷却し、内周面の連通孔に対応する部位の昇温を他の部位に比べて抑え、その後に中間製品の内周面を急冷し、さらにその後に前記連通孔を仕上げることを特徴とする請求項1に記載の貫通孔構成部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−23731(P2013−23731A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159404(P2011−159404)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(390026088)富士電子工業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(390026088)富士電子工業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
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