説明

貯湯タンクの収納容器

【課題】貯湯タンクを収納するのに必要な気密性を持ち、外観に曝される面には上面からの雨だれを流さない構造の経済的な収納容器の提案。
【解決手段】住宅の脇に設置する貯湯タンクの屋外用収納容器であり、容器本体の側面上部には、容器天板との結合のための複数のネジ孔を設け、更に、外周に気密性を有する弾性材を付し、また、容器天板の側面には、容器本体のネジ孔に対応した垂直方向に縦長となるネジ孔を設け、容器天板を弾性材を含む容器本体の側面上部に外挿し、容器天板の側面と容器本体の側面との間に段差を設け、また、容器天板に設けたネジ孔及び容器本体のネジ孔の順にネジを導通させることで容器本体と容器天板を結合し、更に、容器天板とネジの固定位置を、容器天板を垂直方向に調整することで、容器天板の上面に降った雨水が住宅側に流れるように容器天板の上面に傾斜を付けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置の貯湯タンクを収納する屋外用の収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、給湯装置の貯湯タンクの収納容器1の上面に雨水が直接かかり、その上面に付着又は堆積していた埃などが雨水により流れ出し、収納容器1の側面に埃などが含まれた雨だれが流れる。そして、収納容器1の外面は、住宅の外壁100とマッチングさせるため、白系統の塗色をすることが多く、その雨だれの流れた跡に沿って黒ずみ102が発生し、外観を損ねることがしばしばある。この黒ずみ102は、放置すると収納容器1にこびり付き、容易には取れなくなる。
【0003】
このようななかで、収納容器の側面に取り付けた表示ラベルの雨だれによる汚損を防止する方策として、表示ラベルの上に前方に突出する突部を設けることが提案されている(特許文献1)。しかし、この方法は、収納容器の側面の一部に取り付けてある表示ラベルの汚損を防止するためのものであり、比較的大きなサイズの貯湯タンクの収納容器の側面全体にわたる汚損防止を目的とするものではない。
【0004】
また、撥水塗装等を側面に施した貯湯タンクの収納容器もあるが、雨だれの後の黒ずみを完全には回避できず、また、高価でもある。
【0005】
他方で、設置スペースの点から、収納容器は住宅の外壁100の直ぐ脇に設置されるのが普通であるが、収納容器の住宅に面する側面が汚れても、外観には曝されず、外観を損ねることはない。また、側面に黒ずみが生じたとしても、収納容器の機能が劣化し、寿命が短くなる訳でもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−166337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、貯湯タンクを収納するのに必要な気密性を持ち、外観に曝される面には上面からの雨だれを流さない構造の経済的な収納容器の提案が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、発明者らは、この課題を解決すべく、次の構成の発明を成した。
住宅の脇に設置する容器本体2と容器天板(蓋)3からなる貯湯タンクの収納容器1であり、
前記容器本体2には、その側面上部に前記容器天板3との結合のための複数のネジ孔4を設け、更に、その側面上部の外周6に気密性を有する弾性材5を付し、
前記容器天板3には、その側面に前記容器本体2に設けたネジ孔4に対応した垂直方向に縦長となるネジ孔7を設け、
前記容器天板3を、前記弾性材5を含む前記容器本体2の側面上部に外挿し、前記容器天板3の側面と前記容器本体2の側面との間に段差を設け、また、前記容器天板3の外側面から、前記容器天板3に設けた垂直方向に縦長となるネジ孔7そして前記容器本体に設けたネジ孔4の順番にネジ8を導通させることで前記容器本体2と前記容器天板3を結合すると共に、前記容器天板3の内側面を前記弾性材5に押止することで収納容器1の密閉性を確保し、
更に、前記容器天板3とネジ8の固定位置を、前記容器天板3を垂直方向に調整することで、前記容器天板3の上面9に降った雨水が住宅側に流れるように前記容器天板3の上面9に傾斜を付けること、
を特徴とする貯湯タンクの屋外用収納容器1。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、収納容器1の上面9に降った雨水は、容器天板3の側面が容器本体2の側面より外側に張り出しているため、容器本体2の側面には伝わらずに、容器天板3から直に下に落ちるようになる。更に、容器天板3の傾斜によって、住宅に面する容器本体2の側面から雨水を下に落ちるようにすることで、それ以外の側面では天板からの雨だれをなるべく発生させないようにし、収納容器1の外観部分では黒ずみ102の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の構成を示す図面である。(A)は断面図、(B)は容器天板を外挿 するときの斜視図である。
【図2】容器天板の上面に傾斜を付けることを示す図面である。(A)は断面図、 (B)は住宅側のネジ込み部分の正面図、(C)は住宅に向かう側のネジ込み 部分の正面図である。
【図3】容器本体のネジ孔と弾性材の位置関係等を示す図面である。(A)は弾性材 の下にネジ孔がある場合の正面図、(B)は弾性材の上にネジ孔がある場合 の正面図、(C)弾性材が二つあり、その間にネジ孔がある場合の正面図、 (D)は(C)の場合の断面図である。
【図4】弾性材の幾つかの形成方法を示す図面である。(A)は容器本体の開口部の 各編に直線的に弾性材を貼り付けて形成するもの、(B)は開口部に嵌め込 めるように予め形成された弾性材、(C)は容器本体のネジ孔に対応したネ ジ孔を予め設けてある予め形成された弾性材、(D)は(C)の場合の断面 図である。
【図5】収納容器からの雨だれによる黒ずみの発生を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
(実施例の説明)
図1は、本発明に係る収納容器1の構成を示した図面である。
図1(A)に示すとおり、収納容器1は、容器本体2と容器天板3から主に構成される。
【0013】
容器本体2の側面上部には、容器天板3と結合するための複数のネジ孔4が設けられている。これらのネジ孔4の中心位置は、全て同じ水平にあるようにする。更に、ネジ孔4の上部の側面外周6に、発泡ゴムや樹脂などでできた気密性を有する弾性材5が付されている。この弾性材5は、収納容器1の内部に設置する貯湯タンク(図示せず)からの放熱を含んだ空気が、外部に出ないよう収納容器1の気密を保つためのものであり、容器本体2の外周に隙間無く取り付ける。また、その厚さは、0.5〜1cm程度である。
【0014】
容器天板3には、その側面に容器本体のネジ孔4に対応した、垂直方向に縦長のネジ孔7を設ける。また、そのネジ孔の長さは1〜2cm程度である。
そして、図1(B)にも示すように、容器天板3を、弾性材5を含む容器本体2の外側面に外挿する。外挿するためには、当然、容器天板3の幅は、容器本体2のそれよりも大きくしなければならず、また、弾性材5の厚みもあるので、容器天板の側面と容器本体の側面との間には段差が生じる。この段差により、容器天板3の上面9に降った雨水が、天板3から、容器本体2の側面で雨だれとなることが殆どなく、直接に下部に落下するようになる(図2(B)(C)を参照)。
【0015】
また、容器天板3の外側面から、容器天板3の縦長ネジ孔7、容器本体のネジ孔4の順番にネジ8を導通させ、ネジ込みする。これにより、容器本体2と容器天板3が結合すると共に、このネジ込みで容器天板3の内側面が内側に撓み、この内側面が弾性材5を押止することで収納容器1の密閉性を確保する。
なお、この密閉性を確保する観点から、容器天板3の幅は、容器本体2のそれに弾性材5の厚みを加えたもと同じか、若干小さめにするのがよい(容器天板3を容器本体2に外挿する際に、容器天板3の内側面が弾性材5に少し当たる程度が適当である。また、外挿を容易にするため、弾性材5に丸みをつけてもよい)。
【0016】
そして、更に、容器天板3の上面9に降った雨水が住宅側の方に流れるようにするため、容器天板3の上面9に傾斜を付ける。これは、図2(A)に示すように、容器天板3とネジ8の固定位置を、容器天板3を垂直方向に上下することで調整する。つまり、容器本体2のネジ孔4の中心位置は、全て同じ水平線上にあるので、ネジ8を容器天板3の側面に固定する位置を、住宅側の面では上の方とし(図2(B):図2(A)のBの矢印方向からみた図)、住宅側とは反対の面では下の方とすることで(図2(C):図2(A)のCの矢印方向からみた図)、容器天板3の上面9に所要の傾斜を付ける。
【0017】
容器本体2のネジ孔4と弾性体5の位置関係は、図3(A)に示すように、ネジ孔4を下にすることに限定せず、図3(B)に示すように、ネジ孔4を上にしてもよい。また、弾性体5も、一つに限定する必要はなく、図3(C)に示すように、ネジ孔4の上下に各一つ付けてもよく、この場合の容器天板3の取り付け状況を図3(D)に示す。この弾性材5を二つにした方が、より収納容器1の気密性を確保することができる。
【0018】
弾性材5についても、図4(A)に示すように容器本体2の開口部の各辺に直線状の弾性材5を貼り付けるように構成してもよいし、また、図4(B)に示すように容器本体2の開口部に嵌め込むことが出来るように予め形成したものであってもよい。また、図4(C)に示すように、予め嵌め込む弾性材5に、ネジ孔4に対応するネジ穴11を形成しておいてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 貯湯タンクの収納容器、 2 収納容器本体、
3 収納容器天板(蓋)、 4 収納容器本体のネジ孔、
5 気密性を有する弾性材、 6 収納容器本体の側面上部の外周、
7 収納容器天板の垂直方向に縦長なネジ孔、 8 ネジ、
9 収納容器天板の上面、 10 収納容器本体の保守用扉、
11 弾性材に設けたネジ孔、 100 住宅の外壁、
101 ヒートポンプユニット(室外機)、 102 黒ずみ、
103 水滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の脇に設置する容器本体(2)と容器天板(蓋)(3)からなる貯湯タンクの屋外用収納容器(1)であり、
前記容器本体(2)には、その側面上部に前記容器天板(3)との結合のための複数のネジ孔(4)を設け、更に、その側面上部の外周(6)に気密性を有する弾性材(5)を付し、
前記容器天板(3)には、その側面に前記容器本体(2)に設けたネジ孔(4)に対応した垂直方向に縦長となるネジ孔(7)を設け、
前記容器天板(3)を、前記弾性材(5)を含む前記容器本体(2)の側面上部に外挿し、前記容器天板(3)の側面と前記容器本体(2)の側面との間に段差を設け、また、前記容器天板(3)の外側面から、前記容器天板(3)に設けた垂直方向に縦長となるネジ孔(7)及び前記容器本体に設けたネジ孔(4)の順にネジ(8)を導通させることで前記容器本体(2)と前記容器天板(3)を結合すると共に、前記容器天板(3)の内側面を前記弾性材(5)に押止することで収納容器(1)の密閉性を確保し、
更に、前記容器天板(3)とネジ(8)の固定位置を、前記容器天板(3)を垂直方向に調整することで、前記容器天板(3)の上面(9)に降った雨水が住宅側に流れるように前記容器天板(3)の上面(9)に傾斜を付けること、
を特徴とする貯湯タンクの屋外用収納容器(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−208854(P2011−208854A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75436(P2010−75436)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】