説明

貯湯タンクユニット

【課題】外部機器が貯湯タンクユニットの横方向何れの側に設置されても、外部機器との間の配管長さを短縮できるようにした貯湯タンクユニットを提供する。
【解決手段】外装ケーシング3内に、外部機器用接続口37〜37に連なる接続管38〜38が外装ケーシング3の横方向一側面から横方向他側面に亘って延在するように配置される。外装ケーシング3の横方向一側と他側とに位置する接続管38〜38の一端部と他端部とに、外部機器用接続口37〜37と、接続管38〜38の端部を閉塞する閉止栓とが交換自在に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクと、貯湯タンクを収納する直方体形状の外装ケーシングとを備える貯湯タンクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯タンクユニットの外装ケーシングには、貯湯タンクに水を供給する給水用外部配管の接続口や、貯湯タンクからの温水を給湯端末に供給する給湯用外部配管の接続口に加えて、貯湯タンク内の水を加熱する加熱装置や貯湯タンクから出湯される温水を補助的に加熱する補助熱源機等の外部機器に連なる外部配管を接続する外部機器用接続口が設けられている。
【0003】
ここで、外部機器は、一般的に、貯湯タンクユニットの横方向一側方に設置される。そこで、従来、外装ケーシングの横方向一側面に外部機器用接続口を設けて、外部機器との間の配管長さを短縮できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
然し、設置現場の状況によっては、外部機器を貯湯タンクユニットの横方向他側方に設置せざるを得なくなる場合もある。この場合には、外部機器用の外部配管を貯湯タンクユニットの前方を通して外部機器とは反対側まで迂回させることが必要になり、外部配管の長さが過度に長くなってしまう。尚、外装ケーシングの横方向一側面に外部機器用接続口を設けた貯湯タンクユニットと、外装ケーシングの横方向他側面に外部機器用接続口を設けた貯湯タンクユニットとを製造し、外部機器の設置位置に応じた貯湯タンクユニットを選択することも考えられるが、これでは製造コストが大幅に増加してしまい、実用的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−221366号公報(図6(b)(c))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、外部機器が貯湯タンクユニットの横方向何れの側に設置されても、外部機器との間の配管長さを短縮できるようにした貯湯タンクユニットを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、貯湯タンクと、貯湯タンクを収納する直方体形状の外装ケーシングとを備える貯湯タンクユニットであって、外装ケーシングの横方向片側の側面に、外装ケーシングの外部に設置する外部機器に連なる外部配管を接続する外部機器用接続口を設けるものにおいて、外装ケーシング内に、外部機器用接続口に連なる接続管が外装ケーシングの横方向一側面から横方向他側面に亘って延在するように配置され、外装ケーシングの横方向一側と他側とに位置する接続管の一端部と他端部とに、外部機器用接続口と、接続管の端部を閉塞する閉止栓とが交換自在に取付けられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、外部機器を貯湯タンクユニットの横方向一側方に設置する場合には、外装ケーシングの横方向一側に位置する接続管の一端部に外部機器用接続口を取付けると共に接続管の他端部に閉止栓を取付けることができ、一方、外部機器を貯湯タンクユニットの横方向他側方に設置する場合には、外装ケーシングの横方向他側に位置する接続管の他端部に外部機器用接続口を取付けると共に接続管の一端部に閉止栓を取付けることができる。そのため、外部機器が貯湯タンクユニットの横方向何れの側に設置されても、外部機器用接続口が外部機器の設置方向側の側面に設けられることになり、外部機器との間の配管長さを短縮できる。また、外部機器の設置位置に合わせて専用の貯湯タンクユニットを製造する場合と異なり、貯湯タンクユニットを汎用化できるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0009】
また、本発明において、外部機器用接続口と閉止栓は、外装ケーシングの横方向各側の側面に取付ける側板を取外すことなく、接続管の各端部に取付け自在であることが望ましい。これによれば、施工現場で接続管の各端部に側板を取外すことなく外部機器用接続口と閉止栓とを取付けることができ、施工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の貯湯タンクユニットを具備するハイブリッド型貯湯式給湯暖房装置の構成を示す説明図。
【図2】実施形態の貯湯タンクユニットの分解状態の斜視図。
【図3】図2とは異なる方向から見た実施形態の貯湯タンクユニットの分解状態の斜視図。
【図4】図3のIV−IV線で切断した拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態の貯湯タンクユニット1を具備するハイブリッド型貯湯式給湯暖房装置を示している。貯湯タンクユニット1は、貯湯タンク2と、貯湯タンク2を収納する外装ケーシング3とから成る。また、給湯暖房装置は、タンク水(貯湯タンク2内の水)を加熱する加熱装置4と、補助熱源機5とを備えている。補助熱源機5は、給湯用熱源部51と暖房用熱源部52とを有する複合熱源機で構成されており、給湯用熱源部51により、貯湯タンク2から出湯される温水を補助的に加熱し、暖房用熱源部52により、暖房回路6に循環させる熱媒体(水や不凍液等)を補助的に加熱するようにしている。
【0012】
加熱装置4は、冷媒を蒸発器41からコンプレッサ42と放熱器43と膨張弁44とを介して蒸発器41に戻すヒートポンプユニットで構成される。蒸発器41にはファン41aが付設されており、冷媒がファン41aにより送風される大気の熱を吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒はコンプレッサ42で圧縮されて高温高圧になり、放熱器43で放熱した後、膨張弁44で減圧されて蒸発器41に戻される。また、貯湯タンク2の底部から頂部に加熱装置4の放熱器43を介してタンク水を循環させるタンク水加熱回路45を設けている。タンク水加熱回路45には、加熱装置4側に位置させて、循環ポンプ45aが介設されている。そして、循環ポンプ45aの作動により、貯湯タンク2の底部から低温のタンク水が放熱器43に供給され、放熱器43における冷媒との熱交換でタンク水が加熱されて貯湯タンク2の頂部に戻されるようにしている。
【0013】
貯湯タンク2は、上下方向に長手の容量が例えば50Lのタンクである。貯湯タンク2の底部には給水路21が接続され、頂部には出湯路22が接続されている。給水路21には、給水用外部配管21aからの冷水が減圧弁21bを介して供給される。また、減圧弁21bの下流側の給水路21の部分から分岐する分岐給水路21cが設けられており、この分岐給水路21cと出湯路22とを、給湯栓等の給湯端末(図示せず)に連なる給湯路23の上流端に合流して接続している。そして、貯湯タンク2から出湯路22を介して出湯される温水と、分岐給水路21cを介して供給される冷水との混合比を湯水混合手段24により調節し、設定温度の湯が給湯端末に供給されるようにしている。
【0014】
湯水混合手段24は、分岐給水路21cの分岐部よりも下流側の給水路21の部分に介設した第1流量調節弁24aと、分岐給水路21cに介設した第2流量調節弁24bとで構成されている。ここで、貯湯タンク2から出湯路22への出湯量は、給水路21から貯湯タンク2への給水量に等しい。そのため、貯湯タンク2から出湯路22を介して出湯される温水の流量を第1流用調節弁24aにより調節できる。従って、第1と第2の両流量調節弁24a,24bにより温水と冷水の混合比を自動調節して、設定温度の湯を給湯端末に供給することができる。
【0015】
また、給湯路23には、バイパス弁23aが介設されると共に、このバイパス弁23aと並列に、補助熱源機5の給湯用熱源部51が接続されている。そして、出湯路22に出湯される温水の温度が設定温度未満になったときは、バイパス弁23aを閉弁して、給湯用熱源部51を作動させ、この熱源部51により水を設定温度に加熱するようにしている。更に、分岐給水路21cと給湯路23とを第2流量調節弁24bと並列に接続するバイパス路23bを設け、このバイパス路23bに、貯湯タンク2から出湯される湯温が高すぎるときに開く熱湯防止弁23cを介設している。
【0016】
また、貯湯タンク2内に気泡が貯まって圧力が過度に上昇することを防止するために、貯湯タンク2の頂部には、圧力が所定値以上になったときに開弁する圧力逃がし弁25が接続されている。
【0017】
暖房回路6は、暖房熱源部52で加熱された熱媒体を暖房端末(図示せず)に送る暖房往き管路61と、暖房端末を通過した熱媒体を戻す暖房戻り管路62とで構成されている。そして、暖房戻り管路62に液々熱交換器63を介設すると共に、貯湯タンク2の上部の高温のタンク水を液々熱交換器63と循環ポンプ64aとを介して貯湯タンク2の底部に戻す熱媒体加熱回路64を設け、暖房端末から戻された低温の熱媒体を液々熱交換器63において高温のタンク水により加熱するようにしている。また、暖房戻り管路62に液々熱交換器63と並列にバイパス弁65を介設し、熱媒体の循環量が所定量以上になったときにバイパス弁65を開いて、液々熱交換器63での圧力損失の低減を図るようにしている。
【0018】
図2、図3を参照して、外装ケーシング3は、底板31と、底板31上に設けたフレーム枠32と、フレーム枠32にこれを覆うようにして取付けられる、前板33、後板34、左右の側板35L,35R及び天板36とで構成されている。フレーム枠32は、底板31の前後左右の四隅に立設した4本の縦フレーム32aと、左右各側の前後の縦フレーム32a,32aの上下方向中間部間と下部間に取り付けた上下一対の補強板32b,32cとで構成されている。
【0019】
外装ケーシング3の横方向片側の側面には、外部機器たる補助熱源機5の給湯用熱源部51の流入側外部配管51aと流出側外部配管51bとを夫々バイパス弁23aの上流側の給湯路23の部分から分岐した給湯分岐管23eとバイパス弁23aの下流側の給湯路23の部分を構成する給湯管23fとに接続する給湯熱源部51用の往き接続口37及び戻り接続口37と、外装ケーシング3内の液々熱交換器63の下流側配管63aと上流側配管63bとに夫々暖房戻り管路62の下流側外部配管62aと上流側外部配管62bとを接続する暖房熱源部52用の往き接続口37及び戻り接続口37と、が設けられている。
【0020】
また、底板31には、外装ケーシング3の内部の給水路21に給水用外部配管21aを接続する給水接続口37と、外装ケーシング3の内部の給湯路23に外装ケーシング3の外部の給湯路23となる給湯用外部配管23dを接続する給湯接続口37と、外装ケーシング3の内部のタンク水加熱回路45の上流部と下流部とに夫々加熱装置4の流入側外部配管45bと流出側外部配管45cとを接続する加熱装置4用の往き接続口37及び戻り接続口37と、が設けられている。
【0021】
ところで、補助熱源機5は、設置現場の状況に応じて、貯湯タンクユニット1の横方向一側方に設置されたり、横方向他側方に設置されたりする。ここで、給湯熱源部51用の往き接続口37及び戻り接続口37と、暖房熱源部52用の往き接続口37及び戻り接続口37とが外装ケーシング3の横方向一側面、例えば、左側面に設けられている場合、補助熱源機5が貯湯タンクユニット1の左方に設置されたときには、補助熱源機5との間の外部配管51a,51b,62a,62bの長さを短縮できるが、貯湯タンクユニット1の右方に補助熱源機5が設置されたときには、外部配管51a,51b,62a,62bの長さが過度に長くなってしまう。そこで、本実施形態では、給湯熱源部51用の往き接続口37及び戻り接続口37と、暖房熱源部52用の往き接続口37及び戻り接続口37の設置面を補助熱源機5の設置位置に合わせて変更できるようにしている。以下、この点について詳述する。
【0022】
本実施形態では、給湯熱源部51用の往き接続口37に連なる第1接続管38と、給湯熱源部51用の戻り接続口37に連なる第2接続管38と、暖房熱源部52用の往き接続口37に連なる第3接続管38と、暖房熱源部52用の戻り接続口37に連なる第4接続管38とを設け、これら接続管38〜38を外装ケーシング3内にその横方向一側面から横方向他側面に亘って延在するように配置している。そして、外装ケーシング3の横方向一側と他側とに位置する各接続管38〜38の一端部と他端部とに、補助熱源機5用の各接続口37〜37と、各接続管38〜38の端部を閉塞する各閉止栓39〜39とを交換自在に取付けている。
【0023】
図4を参照して、各接続管38〜38は、管本体38aと、外装ケーシング3の横方向両側の各補強板32b,32cの内面に固定した一対の固定筒38b,38bとで構成されており、管本体38aの両端を両固定筒38b,38bに嵌合固定している。補助熱源機5用の各接続口37〜37は、各補強板32b,32cの外面に締結されるフランジ部37aと、フランジ部37aから外方にのびる外部配管用の接続筒部37bと、フランジ部37aから内方にのび対応する補強板32b,32cを通して固定筒38bに嵌合する嵌合筒部37cとを有している。また、各閉止栓39〜39は、各補強板32b,32cの外面に締結されるフランジ部39aと、フランジ部39aから内方にのび対応する補強板32b,32cを通して固定筒38bに嵌合する閉塞部39bとを有している。
【0024】
尚、図4は第1乃至第4接続管38〜38の代表例としての第3接続管38を示しており、左端の固定筒38bに、液々熱交換器63の下流側配管63aが接続されている。また、図3を参照して、第4接続管38の左端の固定筒38bには、液々熱交換器63の上流側配管63bが接続され、第1接続管38の管本体38aには、給湯分岐管23eが接続され、第2接続管38の管本体38aには、給湯管23fが接続されている。
【0025】
ここで、各接続管38〜38において、その一端の固定筒38bの大きさと他端の固定筒38bの大きさは同一である。そのため、補助熱源機5用の各接続口37〜37及び各閉止栓39〜39を対応する接続管38〜38の両端の固定筒38b,38bの何れにも取付けることができる。
【0026】
また、外装ケーシング3の左右の側板35L,35Rには、補助熱源機5用の各接続口37〜37のフランジ部37a及び各閉止栓39〜39のフランジ部39aを挿通可能な透孔35aが形成されている。そのため、補助熱源機5用の各接続口37〜37及び各閉止栓39〜39は、各側板35L,35Rを取外すことなく、対応する接続管38〜38の各端部に取付け自在となる。
【0027】
以上の構成によれば、補助熱源機5を貯湯タンクユニット1の左方に設置する場合には、外装ケーシング3の左側に位置する各接続管38〜38の左端部に補助熱源機5用の各接続口37〜37を取付けると共に各接続管38〜38の右端部に各閉止栓39〜39を取付けることができ、一方、補助熱源機5を貯湯タンクユニット1の右方に設置する場合には、外装ケーシング3の右側に位置する各接続管38〜38の右端部に補助熱源機5用の各接続口37〜37を取付けると共に各接続管38〜38の左端部に各閉止栓39〜39を取付けることができる。そのため、補助熱源機5が貯湯タンクユニット1の左右何れの側に設置されても、補助熱源機5用の各接続口37〜37が補助熱源機5の設置方向側の側面に設けられることになり、補助熱源機5との間の外部配管51a,51b,62a,62bの長さを短縮できる。
【0028】
また、補助熱源機5の設置位置に合わせて専用の貯湯タンクユニットを製造する場合と異なり、貯湯タンクユニット1を汎用化できるため、製造コストを低く抑えることができる。更に、施工現場で各接続管38〜38の各端部に外装ケーシング3の側板35L,35Rを取外すことなく補助熱源機5用の各接続口37〜37と各閉止栓39〜39とを取付けることができ、施工性が向上する。
【0029】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態は、タンク水を加熱する加熱装置(ヒートポンプユニット)4に加えて補助熱源機5を設けたハイブリッド型貯湯式給湯暖房装置用の貯湯タンクユニット1に本発明を適用したものであるが、補助熱源機5を設けない貯湯式給湯暖房装置用や貯湯式給湯装置用の貯湯タンクユニットにも本発明を適用できる。この場合、外部機器たる加熱装置4用の接続口37,37を上記実施形態の如く外装ケーシング3の底板31ではなく、外装ケーシング3の横方向片側の側面に設ける。そして、加熱装置4用の各接続口37,37に連なる各接続管を外装ケーシング3の横方向一側面から横方向他側面に亘って延在するように配置し、各接続管の一端部と他端部とに、各接続口37,37と各閉止栓とが交換自在に取付けられるようにする。尚、加熱装置4は、太陽熱集熱器や燃料電池等のヒートポンプユニット以外のものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…貯湯タンクユニット、2…貯湯タンク、3…外装ケーシング、35L,35R…側板、37〜37…外部機器用接続口、38〜38…接続管、39〜39…閉止栓、5…補助熱源機(外部機器)、51a,51b,62a,62b…外部機器に連なる外部配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、貯湯タンクを収納する直方体形状の外装ケーシングとを備える貯湯タンクユニットであって、外装ケーシングの横方向片側の側面に、外装ケーシングの外部に設置する外部機器に連なる外部配管を接続する外部機器用接続口を設けるものにおいて、
外装ケーシング内に、外部機器用接続口に連なる接続管が外装ケーシングの横方向一側面から横方向他側面に亘って延在するように配置され、
外装ケーシングの横方向一側と他側とに位置する接続管の一端部と他端部とに、外部機器用接続口と、接続管の端部を閉塞する閉止栓とが交換自在に取付けられることを特徴とする貯湯タンクユニット。
【請求項2】
前記外部機器用接続口と前記閉止栓は、前記外装ケーシングの横方向各側の側面に取付ける側板を取外すことなく、前記接続管の各端部に取付け自在であることを特徴とする請求項1記載の貯湯タンクユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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