説明

貯湯ユニット及びこれを備えた給湯装置

【課題】貯湯ユニットのケーシング内部への雨水の侵入を防ぐ。
【解決手段】
保持具60は、内周側に形成された溝64と、外周側に形成された溝65とを有する。ケーシングの底板10の傾斜壁部15aを保持具60の溝64に挿入することにより、保持具60が底板10の傾斜壁部15aに取り付けられる。側板20の下端部の角部20aを保持具60の溝65に挿入することにより、側板20が、底板10の外壁部13の外側において、保持具60により保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水を貯える貯湯タンクを有する貯湯ユニット及び給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貯湯ユニットと室外機とを備えた給湯装置が知られている。貯湯ユニットは、特許文献1,2に示すように、温水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンクを収容するケーシングとを有するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007‐85656号公報
【特許文献2】特開2008‐309390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図7(b)に示すように、貯湯ユニットのケーシングは、底板510と、側板520と、天板(図示せず)とを有しており、略直方体形状に構成されている。そして、底板510の外周部には、上方へ向かって突出した外壁部513が設けられており、側板520の下端部の大部分は、外壁部513の外側に配置されるのに対し、その一部521aが、外壁部513の内側に配置されており、側板520が底板510に倒れないように保持されるように構成されたものがある。したがって、このケーシングでは、側板520を底板510に固定する際には、側板520を外壁部513に保持した状態でビス600により固定される。しかしながら、側板520の下端部の一部521aが底板510の外壁部513の内側に配置されていることから、雨水がケーシング内部に浸入するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、ケーシング内部への雨水の侵入を防ぐことができる貯湯ユニット及びヒートポンプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る貯湯ユニットは、温水が貯留される貯湯タンクと、前記貯湯タンクを収容するケーシングとを備えた貯湯ユニットであって、前記ケーシングが、底板と、前記底板に取り付けられた保持具と、前記保持具によって前記底板の外側において保持された側板とを有する。
【0007】
この貯湯ユニットでは、側板が、底板に取り付けられた保持具によって底板の外側において保持されることから、側板を底板に倒れないように保持するために、側板の下端部の一部を底板の内側に配置する必要がない。したがって、ケーシング内への雨水の浸入を防止できる。
【0008】
第2の発明に係る貯湯ユニットは、第1の発明において、底板が、その外周部において上方に向かって延在する外壁部を有すると共に、前記保持具が、前記外壁部が挿入される第1溝部を有する。
【0009】
この貯湯ユニットでは、底板の外壁部を保持具の第1溝部に挿入することによって、保持具を底板に容易に取り付けることができる。
【0010】
第3の発明に係る貯湯ユニットは、第2の発明において、前記外壁部が前記第1溝部に挿入された状態で前記保持具を前記底板に固定する固定手段を備えている。
【0011】
この貯湯ユニットでは、底板の外壁部を第1溝部に挿入した状態で保持具を固定手段により底板に固定することによって、保持具を底板に容易に固定できる。
【0012】
第4の発明に係る貯湯ユニットは、第1〜3のいずれかの発明において、前記底板は、略矩形状であって、前記保持具が、前記底板の外壁部において角部に対応した位置に取り付けられる。
【0013】
この貯湯ユニットでは、保持具が底板の外壁部の角部に対応した位置に取り付けられ、側板の2つの面を保持具により保持することによって、側板が底板に対する位置がずれるのを防止できる。
【0014】
第5の発明に係る貯湯ユニットは、第4の発明において、前記外壁部が、前記底板の隣り合う2つの辺に沿って設けられた側壁部と、前記底板の角部に対応した位置において、前記隣り合う2つの側壁部のそれぞれに対して傾斜した傾斜部とを有しており、前記保持具が、前記傾斜部に取り付けられる。
【0015】
この貯湯ユニットでは、保持具が、隣り合う2つの側壁部のそれぞれに対して傾斜した傾斜部に取り付けられることによって、保持具を支点として側板を外側に倒すような力が側板に作用した場合に、その力を底板の外壁部の傾斜部で受けることができることから、ケーシングの強度が向上する。
【0016】
第6の発明に係る貯湯ユニットは、第1〜第5のいずれかの発明において、前記保持具が、前記側板の下端が挿入される第2溝部を有する。
【0017】
この貯湯ユニットでは、側板の下端を第2溝部に挿入することによって、側板を保持具によって容易に保持できる。
【0018】
第7の発明に係るヒートポンプユニットは、第1〜第6のいずれかの発明に係る貯湯ユニットと、前記貯湯タンクに貯留される温水を加熱する室外機とを備えている。
【0019】
このヒートポンプユニットでは、貯湯ユニットにおいて、ケーシング内への雨水の浸入を防止できる。
【発明の効果】
【0020】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0021】
第1の発明では、側板が、底板に取り付けられた保持具によって底板の外側において保持できるようになっており、側板を底板に保持するために、側板の下端部の一部を底板の内側に配置する必要がない。したがって、ケーシング内への雨水の浸入を防止できる。
【0022】
第2の発明では、底板の外壁部を保持具の第1溝部に挿入することによって、保持具を底板に容易に取り付けることができる。
【0023】
第3の発明では、底板の外壁部を第1溝部に挿入した状態で保持具を固定手段により底板に固定することによって、保持具を底板に容易に固定できる。
【0024】
第4の発明では、保持具が底板の外壁部の角部に対応した位置に取り付けられ、側板の2つの面を保持具により保持することによって、側板が底板に対する位置がずれるのを防止できる。
【0025】
第5の発明では、保持具が、隣り合う2つの側壁部のそれぞれに対して傾斜した傾斜部に取り付けられることによって、保持具を支点として側板を外側に倒すような力が側板に作用した場合に、その力を底板の外壁部の傾斜部で受けることができることから、ケーシングの強度が向上する。
【0026】
第6の発明では、側板の下端を第2溝部に挿入することによって、側板を保持具によって容易に保持できる。
【0027】
第7の発明では、貯湯ユニットにおいて、ケーシング内への雨水の浸入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る給湯装置の貯湯ユニットの外観斜視図である。
【図2】図1に示したケーシングの分解図である。
【図3】図2に示した底板の斜視図である。
【図4】(a)は保持具の斜視図であり、(b)は保持具の平面図であり、(c)は保持具の底面図であり、(d)は図4(c)に示すIVD‐IVD線に沿った断面図である。
【図5】保持具を底板に取り付けた状態を示す図である。
【図6】(a)は保持具を底板に取り付けた状態を示す平面図であり、(b)は保持具を底板に取り付けた状態を示す底面図である。
【図7】(a)は側板が保持具に保持された状態を示す図であり、(b)は従来の給湯装置において側板が底板に保持された状態を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る貯湯ユニットのケーシングの底板の斜視図である。
【図9】(a)は保持具の斜視図であり、(b)は保持具の平面図であり、(c)は保持具の底面図である。
【図10】保持具を底板に取り付けた状態を示す図である。
【図11】(a)は保持具を底板に取り付けた状態を示す平面図であり、(b)は保持具を底板に取り付けた状態を示す底面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る貯湯ユニットのケーシングの底板の斜視図である。
【図13】(a)は保持具の斜視図であり、(b)は保持具の平面図であり、(c)は保持具の底面図であり、(d)は保持具の一部拡大図である。
【図14】保持具を底板に取り付けた状態を示す図である。
【図15】(a)は保持具を底板に取り付けた状態を示す平面図であり、(b)は保持具を底板に取り付けた状態を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0030】
給湯装置は、給湯端末に温水を供給する装置であって、温水を貯留する貯留タンク1を有する貯湯ユニット100(図1参照)と、貯湯タンク1に貯留される温水を加熱する室外機(図示せず)とを備えている。図1(a)には貯湯ユニット100を正面側からみた斜視図を示しており、図1(b)には貯湯ユニット100を背面側からみた斜視図を示している。
【0031】
(貯湯ユニット)
図1に示すように、貯湯ユニット100は、貯湯タンク1と、貯湯タンク1を収容した略直方体状のケーシング2とを有する。
【0032】
<ケーシング>
図2に示すように、ケーシング2は、底板10と、側板20,30と、フロントパネル40と、天板50とを有する。底板10の下端部には、脚部11が取り付けられている。
【0033】
図3に示すように、底板10は、略矩形状の底部12と、底部12の外周部において上方に向けて延在した外壁部13とを有した略矩形状の部材である。外壁部13は、底板10のそれぞれの辺に沿って設けられた4つの側壁部14a,14b,14c,14dと、2つの傾斜壁部(傾斜部)15a,16aとを有する。傾斜壁部15aは、底板10の角部に対応した右角部10aにおいて、隣り合う2つの側壁部14b,14cのそれぞれに対して傾斜している。傾斜壁部16aは、底板10の角部に対応した左角部10bにおいて、隣り合う2つの側壁部14c,14dのそれぞれに対して傾斜している。傾斜壁部15a,16aには、それぞれ、外壁部13の厚み方向に貫通した貫通孔15b,16bが形成されている。底板10の外壁部13の側壁部14cにおいて、右角部10aと左角部10bとの間には、内側に向けて凹んだ凹部13sが形成されている。凹部13sは、後述する側板20の一部である固定面21aに対応するように設けられている(図2参照)。
【0034】
図2に示すように、側板20,30は、いずれも略90度に折れ曲がっており、側板20,30、フロントパネル40及びフロントパネル40の下方に設けられた給水パネル41によって、ケーシング2の側面部が構成される。ケーシング2の背面の一部を構成する側板20の背面部21には、側板30を側板20に対して固定するための固定面21aが設けられている。固定面21aは、背面部21より内側に配置されており、側板30の背面部31に固定される。天板50は、側板20,30及びフロントパネル40により形成された空間の上端を塞ぐ。
【0035】
また、底板10、側板20,30、フロントパネル40、給水パネル41及び天板50には、ビスが挿通可能な複数の穴(図2において、図示せず)が形成されている。図3に示すように、外壁部13の側壁部14b,14c,14dにおいて、右角部10a及び左角部10bには、それぞれ、傾斜壁部15a,16aを挟んで互いに反対側の位置に、穴17p,17q,18p,18qが形成されている。
【0036】
次に、図4を参照しつつ、底板10の右角部10a及び左角部10bに取り付けられる保持具60の構成について説明する。
【0037】
<保持具60>
図4に示すように、保持具60は、本体部61と、本体部61の内周側に設けられた内周壁62と、本体部61の外周側に設けられた外周壁63とを有する。そして、本体部61と内周壁62との間には、下方に向けて開口した溝(第1溝部)64が形成され、本体部61と外周壁63との間には、上方に向けて開口した溝(第2溝部)65が形成されている。また、保持具60は、例えば樹脂により形成されている。
【0038】
保持具60の内周側に形成された溝64は、保持具60を底板10に取り付けるためのものである。本実施形態では、保持具60が、底板10の右角部10a及び左角部10bにそれぞれ取り付けられることから、保持具60の溝64には、底板10の傾斜壁部15a,16aがそれぞれ挿入される。溝64は、傾斜壁部15a,16aに沿った直線状に形成されている。
【0039】
また、保持具60の外周側に形成された溝65は、側板20,30を保持具60に保持するためのものである。したがって、保持具60の溝65には、図2に示す側板20,30の下端部の角部20a,30aが挿入される。溝65は、側板20,30の下端部の角部20a,30aに沿った曲線状に形成されている。
【0040】
図4(c)に示すように、本体部61と内周壁62との間の溝64内において、本体部61側の面(本体部61の内周面)61aには、内周壁62に向けて突出した一対のリブ67a,67bが設けられている。リブ67a,67bの下端部(溝64において底板10の外壁部13の挿入方向の上流側の端部)は、後述するように、下端に近付くにつれて内周壁62から離れるように傾斜している(図5参照)。また、本体部61の左右両端には、それぞれ、外側に向けて突出した突起68a,68bが設けられている。
【0041】
図4(c)に示すように、本体部61と内周壁62との間の溝64内において、内周壁62側の面には、本体部61に向けて突出した突起62aが形成されている。突起62aは、底板10の傾斜壁部15a,16aが溝64に挿入されたときに、傾斜壁部15a,16aに形成された貫通孔15bに挿通する(図4(d)参照)。そして、底板10の傾斜壁部15a,16aが溝64に挿入された状態で、保持具60が傾斜壁部15a,16aに固定される。このように、本体部61の内周壁62に設けられた突起62aと、底板10の外壁部13に形成された貫通孔15b,16bとにより、保持具60を底板10の外壁部13に対して固定する固定手段が構成されている。
【0042】
次に、図5,6を参照しつつ、保持具60を底板10の右角部10aに取り付けたときの状態を説明する。図5(b)には、図5(a)のVB−VB線に沿った断面図を示している。なお、保持具60を底板10の左角部10bに取り付けたときの状態は、底板10の右角部10aに取り付けたときの状態と同様である。また、図5(a)では、側板20を2点鎖線で示している。
【0043】
図5,6に示すように、保持具60の内周側の溝64には、底板10の傾斜壁部15aが挿入されており、外周側の溝65には、側板20の下端部の角部20aが挿入されている。したがって、側板20の下端部は、保持具60の本体部61の外周面と、外周壁63の内周面によって、底板10の外壁部13の外側で保持されている。また、1枚の側板20は、角部20aにおいて、1つの保持具60によって保持されている。
【0044】
傾斜壁部15aを溝64に挿入するときは、傾斜壁部15aをリブ67a,67bの下端部の傾斜面に沿って溝64に挿入する。傾斜壁部15aが溝64に挿入されると、突起62aが貫通孔15bに嵌まり、保持具60が傾斜壁部15aに対して固定される。
【0045】
また、図6に示すように、突起68a,68bにより、溝64の左右両側が塞がれる。
【0046】
図5において、保持具60を支点として、側板20を外側に倒すような外力が側板20に作用したとき(外力が図5に示す矢印の方向に向けて側板20に作用したとき)、その外力が保持具60に作用し、傾斜することにより、本体部61の内周面61aが傾斜壁部15aに接触し、側板20を倒す力を傾斜壁部15aで受けることができる。
【0047】
次に、図7を参照しつつ、側板20が保持具60に保持された状態を説明する。図7(b)には、従来の給湯装置のケーシングの下端部の構成を示している。また、図7では、底板10,510の下端に取り付けられた脚部11及び側板30を省略している。
【0048】
図7(a)に示すように、本実施形態では、側板20が、底板10の外壁部13の外側において、底板10に取り付けられた保持具60により保持されている。側板20の固定面21aは、外壁部13の凹部13sの外側に配置される。側板20は、底板10の外壁部13の外側において、保持具60により保持された状態で底板10にビス(図示せず)により固定されている。
【0049】
図7(b)に示すように、従来のケーシングは、底板510と、側板520と、側板30と、天板(図示せず)とを有しており、略直方体形状に構成されている。底板510の下端には図示しない脚部11が取り付けられており、底板510の下方には空間が形成されている。底板510は、底部512と、底部512の外周部において上方に向けて延在した外壁部513を有する。側板520の背面部521には、側板30を側板520に対して固定するための固定面521aが設けられている。
【0050】
側板520の固定面521aは、背面部521より内側に設けられており、底板510の外壁部513の内側に配置される。側板520は、底板510に対して倒れないように、底板510の外壁部513に保持される。そして、側板520を外壁部513に保持した状態で、側板520が外壁部513にビス600により固定されている。従来のケーシングでは、上記構成から、ビス600を外したら、側板520が底板510の外壁部513に対して位置がずれ、側板520に形成されたビス600が挿通するビス穴(図示せず)が外壁部513に形成されたビス穴(図示せず)に対してずれる。これらのビス穴を合わせることは難しい。
【0051】
本実施形態では、図7(a)に示すように、側板20が底板10に取り付けられた保持具60に保持されることから、側板20を底板10の外壁部13に固定したビス(図示せず)を外しても、側板20が底板10の外壁部13に対して位置がずれることがなく、外壁部13に形成されたビス穴(図示せず)と側板20に形成されたビス穴(図示せず)とが連通する。
【0052】
以上のように、本実施形態の給湯装置では、側板20,30を、底板10に取り付けられた保持具60によって底板10の外壁部13の外側において保持できるようになっており、側板20,30を底板10に保持するために、側板20,30の下端部の一部を底板10の外壁部13の内側に配置する必要がない。したがって、ケーシング2内への雨水の浸入を防止できる。
【0053】
また、本実施形態の給湯装置では、底板10の外壁部13を保持具60の溝64に挿入することによって、保持具60を底板10に容易に取り付けることができる。
【0054】
さらに、本実施形態の給湯装置では、底板10の傾斜壁部15a,16aを溝64に挿入したら、突起64aが傾斜壁部15a,16aの貫通孔15b,16bに嵌まり、底板10の傾斜壁部15a,16aを溝64に挿入した状態で保持具60を底板10に固定することによって、保持具60を底板10に容易に固定できる。
【0055】
加えて、本実施形態の給湯装置では、保持具60が外壁部13の角部に対応した右角部10a及び左角部10bに取り付けられ、側板20,30の2つの面を保持具60によって保持することによって、側板20が底板10に対して位置がずれるのを防止できる。
【0056】
また、本実施形態の給湯装置では、保持具60が、傾斜壁部15a,16aに取り付けられることによって、保持具60を支点として側板20,30を外側に倒すような外力が側板20,30に作用した場合に、その外力を傾斜壁部15a,16aで受けることができることから、ケーシング2の強度が向上する。
【0057】
さらに、本実施形態の給湯装置では、側板20,30の下端部の角部20a,30aを溝65に挿入することによって、側板20,30を保持具60により容易に保持できる。
【0058】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る給湯装置では、第1実施形態で、底板10が傾斜壁部15a,16aを有しており、保持具60が底板10の傾斜壁部15a,16aに取り付けられるのに対して、第2実施形態では、底板210が傾斜壁部を有しないで、保持具260が、底板210の角壁部214a,215bに取り付けられる点において、第1実施形態に係る給湯装置と異なっている。なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0059】
図8に示すように、第2実施形態の給湯装置のケーシングの底板210は、略矩形状の底部212と、底部212の外周部において上方に向けて延在した外壁部213とを有する。外壁部213は、底板210のそれぞれの辺に沿って設けられた4つの側壁部214a,214b,214c,214dと、2つの角壁部215a,216aとを有する。角壁部215a,216aは、それぞれ、底板210の外壁部213の4つの角部に対応する部分のうちの右角部210a及び左角部210bに設けられている。底板210の外壁部213の側壁部214cにおいて、右角部210a及び左角部210bとの間には、内側に向けて凹んだ凹部213sが形成されている。凹部213sは、側板20の一部である固定面21aに対応するように設けられている。
【0060】
次に、図9を参照しつつ、底板210の右角部210a及び左角部210bに取り付けられる保持具260の構成について説明する。
【0061】
<保持具260>
図9に示すように、保持具260は、本体部261と、本体部261の外周側に設けられた外周壁263とを有する。そして、本体部261には、その外周側において下方に向けて開口した溝(第1溝部)264が形成され、本体部261と外周壁263との間には、上方に向けて開口した溝(第2溝部)265が形成されている。なお、保持具260のその他の構成は、保持具60の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
保持具260の本体部261に形成された溝(保持具260の内周側の溝)264は、保持具260を底板210に取り付けるためのものである。本実施形態では、保持具260が、底板210の右角部210a及び左角部210bにそれぞれ取り付けられることから、保持具260の溝264には、底板210の角壁部215a,216aがそれぞれ挿入される。溝264は、底板210の角壁部215a,216aに沿った曲線状に形成されている。
【0063】
また、保持具260の外周側に形成された溝265は、側板20,30を保持具260に保持するためのものである。したがって、保持具260の溝265には、側板20,30の下端部の角部20a,30a(図2参照)が挿入される。溝265は、側板20,30の下端部の角部20a,30aに沿った曲線状に形成されている。
【0064】
図10,11に示すように、保持具260の内周側の溝264には、底板210の角壁部215aが挿入されており、外周側の溝265には、側板20の下端部の角部20aが挿入されている。したがって、側板20の下端部は、保持具260の本体部261の外周面と、外周壁263の内周面によって、底板210の外壁部213の外側で保持されている。また、側板20は、角部20aにおいて、1つの保持具260によって保持されている。なお、図10(a)では、側板20を2点鎖線で示しており、図10(b)には、図10(a)に示すXB‐XB線に沿った断面図を示している。
【0065】
以上のように、本実施形態の給湯装置では、第1実施形態の給湯装置と同様に、側板20,30を、底板210に取り付けられた保持具260によって底板210の外壁部213の外側において保持できるようになっており、側板20,30を底板210に保持するために、側板20,30の下端部の一部を底板210の外壁部213の内側に配置する必要がない。したがって、ケーシング内への雨水の浸入を防止できる。
【0066】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る給湯装置では、第1実施形態で、底板10が傾斜壁部15a,16aを有しており、保持具60が底板10の傾斜壁部15a,16aに取り付けられるのに対して、第3実施形態では、底板310が傾斜壁部を有しないで、保持具360が、底板310の側壁部321,322,323に取り付けられる点において、第1実施形態に係る給湯装置と異なっている。なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0067】
図12に示すように、第3実施形態の給湯装置のケーシングの底板310は、略矩形状の底部312と、底部312の外周部において上方に向けて延在した外壁部313とを有する。外壁部313は、底板310のそれぞれの辺に沿って設けられた4つの側壁部321,322,323,324を有する。側壁部321,322,323,324は、それぞれ、底板310の外壁部313において、角部と角部との間に設けられている。側壁部321,322,323は、底部312の辺に沿って設けられている。側壁部322,323,324には、内側に向けて凹んだ凹部322s,323s,323p,324sが形成されている。また、外壁部313の側壁部323において、凹部323sと凹部323pの間には、内側に向けて凹んだ凹部313sが形成されている。凹部313sは、側板20の一部である固定面21aに対応するように設けられている。
【0068】
底板310の外壁部313において、側壁部322には、凹部322sを挟んで互いに反対側に貫通孔322a,322bが形成されている。同様に、底板310の外壁部313において、側壁部323には、凹部323s,323pを挟んで互いに反対側に貫通孔323a,323b,323c,323dが形成されている。同様に、底板310の外壁部313において、側壁部324には、凹部324sを挟んで互いに反対側に貫通孔324a,324bが形成されている。
【0069】
次に、図13を参照しつつ、底板310の凹部322s,323s,323p,324sに取り付けられる保持具360の構成について説明する。図13(d)には、保持具360の縁部366を示している。
【0070】
<保持具360>
図13に示すように、保持具360は、本体部361と、本体部361の内周側に設けられた内周壁362と、本体部361の外周側に設けられた外周壁363とを有する。内周壁362には内側に凹んだ凹部が形成されており、本体部361は内周壁362の凹部の内部に配置されるように構成されている。そして、本体部361と内周壁362との間には、下方に向けて開口した溝(第1溝部)364が形成され、本体部361と外周壁363との間には、上方に向けて開口した溝(第2溝部)365が形成されている。なお、保持具360のその他の構成は、保持具60の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
保持具360の内周側に形成された溝364は、保持具360を底板310に取り付けるためのものである。本実施形態では、保持具360が、底板310の側壁部322,323,324にそれぞれ取り付けられることから、保持具360の溝364には、底板10の側壁部322,323,324の凹部322s,323s,323p,324sの底部がそれぞれ挿入される。溝364は、凹部322s,323s,323p,324sの底部に沿った直線状に形成されている。
【0072】
また、保持具360の外周側に形成された溝365は、側板20,30を保持具360に保持するためのものである。したがって、保持具360の溝365には、側板20,30の下端部の側部(例えば、図2に示す側部20b,20c,30b)が挿入される。溝365は、側板20,30の下端部の側部20b,20c,30bに沿った直線状に形成されている。
【0073】
図13(a)に示すように、本体部361と内周壁362との間の溝364内において、本体部361側の面(本体部361の内周面)361aの下端部(溝364において底板310の外壁部313の挿入方向の上流側の端部)は、本体部361の下端に近付くにつれて内周壁362から離れるように傾斜している。
【0074】
また、図13に示すように、内周壁362は、その凹部を挟んで互いに反対側に設けられた縁部366,367を有しており、縁部366,367には、それぞれ、突起366a,367aが形成されている。突起366a,367aは、それぞれ、底板310の外壁部313の凹部322sが溝365に挿入されたときに、底板310の側壁部321の貫通孔322a,322bに挿通し(図13(d)参照)、保持具360が底板310の外周壁363の側壁部322に固定される。このように、保持具360の内周壁362に設けられた突起366a,367aと、底板310の外周壁363に形成された貫通孔322a,322bとにより、保持具360を底板310の外周壁363の側壁部322に対して固定する固定手段が構成されている。同様に、縁部366,367の突起366a,367aは、それぞれ、底板310の外壁部313の凹部323s,323p,324sが溝365に挿入されたときに、底板310の側壁部323の貫通孔323a,323b,323c,323d及び底板310の側壁部324の貫通孔324a,324bに挿通し、保持具360が底板310の外周壁363の側壁部323,324に固定される。このように、保持具360の内周壁362に設けられた突起366a,367aと、底板310の外周壁363に形成された貫通孔323a,323b,323c,323d,324a,324bとにより、保持具360を底板310の外周壁363の側壁部323,334に対して固定する固定手段が構成されている。
【0075】
図14,15に示すように、保持具360の内周側の溝364には、底板310の外壁部313の凹部322sが挿入されており、外周側の溝365には、側板20の下端部の側部20bが挿入されている。したがって、側板20の下端部の側部20bは、保持具360の本体部361の外周面と、外周壁363の内周面によって、底板310の外壁部313の外側で保持されている。また、側板20は、側部20b,20cにおいて、2つの保持具360によって保持されている。なお、図14(a)では、側板20を2点鎖線で示しており、図14(b)には、図14に示すB‐B線に沿った断面図を示している。
【0076】
底板310の外壁部313の凹部322sを溝364に挿入するときは、凹部322sを本体部361の傾斜した内周面361aに沿って溝364に挿入する。凹部322sが溝364に挿入されると、突起366a,367aがそれぞれ底板310の側壁部322の貫通孔321a,321bに嵌まり、保持具360が底板310の側壁部322に固定される。
【0077】
以上のように、本実施形態の給湯装置では、第1実施形態の給湯装置と同様に、側板20,30を、底板310に取り付けられた保持具360によって底板310の外壁部313の外側において保持できるようになっており、側板20,30を底板310に保持するために、側板20,30の下端部の一部を底板310の外壁部313の内側に配置する必要がない。したがって、ケーシング内への雨水の浸入を防止できる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
例えば、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、1つの側板20,30を、角部20a,30aにおいて、1つの保持具60,260によって保持し、上述の第3実施形態では、1つの側板20,30を、側部20b,20c,30bにおいて、2つの保持具360によって保持した場合について説明したが、1つの側板20,30を保持する保持具の数は変更可能なものである。したがって、例えば、1つの側板20,30を、角部に取り付けられる保持具60及び側部に取り付けられる保持具360によって保持してもよい。
【0080】
また、上述の第1実施形態では、底板10の外周壁63に形成された貫通孔15b,16bと、保持具60の内周壁62に設けられた突起62aとにより、保持具60を底板10の外周壁63に対して固定する固定手段が構成されており、上述の第3実施形態では、底板310の外周壁363に形成された貫通孔322a,322b,323a,323b,323c,323d,324a,324bと、保持具360の内周壁362に設けられた突起366a,367aとにより、保持具360を底板310の外周壁363に対して固定する固定手段が構成されているが、第1実施形態及び第3実施形態において、第2実施形態と同様に、固定手段が設けられていなくてもよい。
【0081】
また、上述の第1実施形態では、保持具60にリブ67a,67b及び突起68a,68bが設けられており、リブ67a,67bの下端部(溝64において底板10の外壁部13の挿入方向の上流側の端部)が傾斜している場合について説明したが、保持具60にリブ67a,67b及び突起68a,68bが設けられていなくてもよい。また、リブ67a,67bの下端部が傾斜していなくてもよい。
【0082】
また、上述の第3実施形態では、保持具360の本体部361の内周面361aの下端部(溝364において底板310の外壁部313の挿入方向の上流側の端部)が傾斜している場合について説明したが、保持具360の本体部361の内周面361aが傾斜していなくてもよい。
【0083】
また、上述の第2実施形態では、保持具260を底板210に対して固定する固定手段、リブが設けられておらず、且つ、底板210の外壁部213を保持具260の溝264に挿入しやすくする傾斜面が設けられていない場合について説明したが、上記固定手段、リブ及び傾斜面が設けられていてもよい。
【0084】
また、上述の第1〜第3実施形態では、底板10,210,310の下端に脚部11が取り付けられている場合について説明したが、底板10,210,310の下端に脚部11が取り付けられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明を利用すれば、貯湯ユニットのケーシング内部への雨水の侵入を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0086】
1 貯湯タンク
2 ケーシング
20,30,520 側板
21a,521a 固定面
10,210,310,510 底板
12,212,312,512 底部
13,213,313,513 外壁部
13s,213s,313s,322s,323s,323p,324s 凹部
10a,210a 右角部
10b,210b 左角部
15a,16a 傾斜壁部(傾斜部)
15b,16b,322a,322b,323a,323b,323c,323d,324a,324b 貫通孔
20a,30a 角部
21a 固定面
60,260,360 保持具
61,261,361 本体部
61a,361a 内周面
62,362 内周壁
63,263,363 外周壁
64,264,364 溝(第1溝部)
65,265,365 溝(第2溝部)
62a,366a,367a 突起
100 貯湯ユニット
215a,216a 角壁部
14a,14b,14c,14d,214a,214b,214c,214d,321,322,323,324 側壁部
366,367 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水が貯留される貯湯タンクと、前記貯湯タンクを収容するケーシングとを備えた貯湯ユニットであって、
前記ケーシングが、
底板と、
前記底板に取り付けられた保持具と、
前記保持具によって前記底板の外側において保持された側板とを有することを特徴とする貯湯ユニット。
【請求項2】
前記底板が、その外周部において上方に向かって延在する外壁部を有すると共に、
前記保持具が、前記外壁部が挿入される第1溝部を有することを特徴とする請求項1に記載の貯湯ユニット。
【請求項3】
前記外壁部が前記第1溝部に挿入された状態で前記保持具を前記底板に固定する固定手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の貯湯ユニット。
【請求項4】
前記底板は、略矩形状であって、
前記保持具が、前記底板の外壁部において角部に対応した位置に取り付けられることを特徴とする請求項2又は3に記載の貯湯ユニット。
【請求項5】
前記外壁部が、
前記底板の隣り合う2つの辺に沿って設けられた側壁部と、
前記底板の角部に対応した位置において、前記隣り合う2つの側壁部のそれぞれに対して傾斜した傾斜部とを有しており、
前記保持具が、前記傾斜部に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の貯湯ユニット。
【請求項6】
前記保持具が、前記側板の下端が挿入される第2溝部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の貯湯ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の貯湯ユニットと、
前記貯湯タンクに貯留される温水を加熱する室外機とを備えた給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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