説明

貯湯式熱源装置

【課題】電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、加熱部の状態を温度センサ等により監視でき、配管凍結防止運転などを適切に行うことが可能な貯湯式熱源装置を提供する。
【解決手段】電力供給側の都合により電力供給を停止することがあるピークカット電源10からの電力により水を加熱する加熱部11と、ピークカット電源10とは別の商用電源30から電力が供給され、加熱部11を制御する沸き上げ制御部12と、加熱部11により加熱された温水を貯える貯湯部2とを備える。上記ピークカット電源10からの電力供給が停止して加熱部11が停止しても、沸き上げ制御部12は、商用電源30からの電力により動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯式熱源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯式熱源装置としては、貯湯タンクと、上記貯湯タンクの水を加熱するヒートポンプユニットとを備え、貯湯タンク内の温水を放熱器を介して循環させて暖房したり、貯湯タンク内の温水を給湯に用いたりする貯湯式暖房給湯機がある(例えば、特開2006−329581号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
ところで、ヨーロッパでは、電力負荷低減や電力料金低減の観点から、このような貯湯式暖房給湯機にピークカット電源から電力が供給される場合がある。このピークカット電源は、電力会社側の都合により電力供給を停止するもので、ピークカット電源からの電力供給が停止したとき、システム全体が停止するため、屋外などの居住空間外に設置されたヒートポンプユニットの状態を温度センサ等により監視できず、配管凍結防止等ができないという問題がある。
【特許文献1】特開2006−329581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明の課題は、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、加熱部の状態を温度センサ等により監視でき、配管凍結防止運転などを適切に行うことが可能な貯湯式熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この発明の貯湯式熱源装置は、
電力供給側の都合により電力供給を停止することがあるピークカット電源からの電力により水を加熱する加熱部と、
上記ピークカット電源とは別の商用電源から電力が供給され、上記加熱部を制御する沸き上げ制御部と、
上記加熱部により加熱された温水を貯える貯湯部と
を備え、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止して上記加熱部が停止しても、上記沸き上げ制御部は、上記商用電源からの電力により動作することを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止して加熱部が停止しても、沸き上げ制御部が商用電源からの電力により動作することによって、ピークカット電源からの電力供給が停止した状態でも沸き上げ制御部は電源が切れずに動作し続けるため、加熱部の状態を温度センサ等により常に監視し続けることができる。これにより、例えば、配管凍結防止運転を外気温度を検出して適切に行うことが可能となる。
【0007】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記商用電源から電力が供給され、上記貯湯部に貯えられた上記温水を熱源として、室内側の暖房または給湯の少なくとも一方に利用する室内側利用部をさらに備え、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止して上記加熱部が停止しても、上記沸き上げ制御部と上記室内側利用部は、上記商用電源からの電力により動作することを特徴とする。
【0008】
上記実施形態によれば、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止して加熱部が停止しても、沸き上げ制御部と室内側利用部が商用電源からの電力により動作することによって、貯湯部に貯えられた温水を熱源として室内側の暖房または給湯の少なくとも一方に利用する運転を継続できる。これにより、電力供給側の事情に左右されることなく、少なくとも貯湯部に貯えられた熱源を最大限に利用することにより暖房運転や給湯運転が可能となり、快適性が向上する。また、ピークカット電源からの電力供給が停止した状態でも、沸き上げ制御部と室内側利用部は電源が切れずに動作するので、沸き上げ制御部と室内側利用部との間の通信が正常に行われ、通信異常などが発生することがない。
【0009】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記沸き上げ制御部は、上記加熱部を有する沸き上げ部に配置され、
上記沸き上げ部は、上記商用電源から供給された電力により上記沸き上げ制御部用の電源電圧を生成する沸き上げ制御部用電源生成部を有する。
【0010】
上記実施形態によれば、商用電源から電力が供給された沸き上げ制御部用電源生成部により沸き上げ制御部用の電源電圧を生成し、その沸き上げ制御部用電源生成部からの電源電圧を、加熱部を有する沸き上げ部に配置された沸き上げ制御部に供給する。これにより、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、沸き上げ制御部と室内側利用部は電源が切れずに動作することができる。
【0011】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、上記室内側利用部は、上記商用電源から上記沸き上げ部を介して供給された電力により動作する構成にしてもよい。
【0012】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、上記室内側利用部は、上記沸き上げ制御部用電源生成部からの電源電圧により動作する構成にしてもよい。
【0013】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記沸き上げ制御部は、上記加熱部を有する沸き上げ部に配置され、
上記沸き上げ部は、上記商用電源から上記室内側利用部を介して供給された電力により上記沸き上げ制御部用の電源電圧を生成する沸き上げ制御部用電源生成部を有する。
【0014】
上記実施形態によれば、上記商用電源から電力が室内側利用部を介して供給された沸き上げ制御部用電源生成部により沸き上げ制御部用の電源電圧を生成し、その沸き上げ制御部用電源生成部からの電源電圧を、加熱部を有する沸き上げ部に配置された沸き上げ制御部に供給する。上記沸き上げ制御部用電源生成部に商用電源から電力が室内側利用部を介して供給されるので、沸き上げ部と室内側利用部との間の電源線と通信線の一部を共用することが可能となり、配線数を少なくできる。
【0015】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記室内側利用部は、上記商用電源から供給された電力により制御用電源電圧を生成する室内側電源生成部を有し、
上記沸き上げ制御部は、上記室内側利用部の上記室内側電源生成部からの制御用電源電圧により動作すると共に、上記加熱部を有する沸き上げ部に配置されている。
【0016】
上記実施形態によれば、上記室内側利用部において、商用電源から電力が供給された室内側電源生成部により制御用電源電圧を生成し、その室内側電源生成部からの制御用電源電圧を、加熱部を有する沸き上げ部に配置された沸き上げ制御部に供給する。このように、室内側利用部と沸き上げ制御部の制御用電源電圧を室内側利用部側の室内側電源生成部により一括して生成するので、電源回路が共用でき、コストを低減できる。また、沸き上げ部と室内側利用部との間の制御電源線と通信線の一部を共用することによって、配線数を少なくできる。
【0017】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記室内側利用部は、上記商用電源から供給された電力により制御用電源電圧を生成する室内側電源生成部を有し、
上記沸き上げ制御部は、上記室内側電源生成部からの制御用電源電圧により動作すると共に、上記室内側利用部に配置されている。
【0018】
上記実施形態によれば、上記室内側利用部において、商用電源から電力が供給された室内側電源生成部により制御用電源電圧を生成し、その室内側電源生成部からの制御用電源電圧を、室内側利用部に配置された沸き上げ制御部に供給する。このように、室内側利用部を制御する室内側制御部などと共に沸き上げ制御部を室内側利用部側に配置することにより、1つの室内側電源生成部で沸き上げ部と室内側利用部の両方の制御機能を動作させ、電源回路が共用でき、コストを低減できる。
【発明の効果】
【0019】
以上より明らかなように、この発明の貯湯式熱源装置によれば、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、沸き上げ部の状態を温度センサ等により常に監視でき、配管凍結防止運転などを適切に行うことが可能な貯湯式熱源装置を実現することができる。
【0020】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、簡単な構成で貯湯部に貯えられた温水を熱源として利用することにより暖房運転や給湯運転を継続することができる。
【0021】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、商用電源から電力が供給された沸き上げ制御部用電源生成部により沸き上げ制御部用の電源電圧を生成し、その沸き上げ制御部用電源生成部からの電源電圧を、沸き上げ部に配置された沸き上げ制御部に供給することにより、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、沸き上げ制御部と室内側利用部は電源が切れずに動作することができる。
【0022】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、沸き上げ制御部用電源生成部に商用電源から電力が室内側利用部を介して供給されることによって、沸き上げ部と室内側利用部との間の電源線と通信線の一部を共用することが可能となり、配線数を少なくすることができる。
【0023】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、室内側利用部と沸き上げ制御部の制御用電源電圧を室内側利用部側の室内側電源生成部により一括して生成することによって、電源回路が共用でき、コストを低減できると共に、沸き上げ部と室内側利用部との間の制御電源線と通信線の一部を共用することによって、配線数を少なくすることができる。
【0024】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、室内側利用部を制御する室内側制御部と共に沸き上げ制御部を室内側利用部側に配置することにより、1つの室内側電源生成部で沸き上げ部と室内側利用部の両方の制御機能を動作させ、電源回路が共用でき、コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の貯湯式熱源装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図を示している。この貯湯式暖房給湯機は、図1に示すように、沸き上げ部1と、貯湯部2と、暖房器4と給湯器5に温水を供給する室内側利用部の一例としての暖房給湯部3とを備えている。図1において、点線で囲まれる部分は、水回路を示している。
【0027】
上記沸き上げ部1は、ピークカット電源10から電力が供給される加熱部11と、上記加熱部11を制御する沸き上げ制御部12と、商用電源30からの単相交流電圧を受けて、上記沸き上げ制御部12に供給する制御用電源電圧を生成する沸き上げ制御部用電源生成部の一例としての制御電源生成部13と、各種の温度を検出する温度センサ14(図2に示すT1〜T5)とを有している。上記沸き上げ制御部12は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる。上記ピークカット電源10からの電力供給は、電力負荷低減などを目的として電力供給側の都合により停止する。
【0028】
また、上記暖房給湯部3は、商用電源30から電力が供給される暖房用アクチュエータ31と、商用電源30から電力が供給される給湯用アクチュエータ32と、上記暖房用アクチュエータ31と給湯用アクチュエータ32を制御する室内側制御部の一例としての暖房給湯制御部33と、上記商用電源30からの単相交流電圧を受けて、暖房給湯制御部33に供給する制御用電源電圧を生成する制御電源生成部34と、上記暖房給湯制御部33と沸き上げ制御部12(沸き上げ部1側)との間の通信異常を検出する通信異常検出部((図示せず))とを有している。上記商用電源30は、ピークカット電源10とは異なり、ピークカット電源10からの電力供給が停止していても、通常は暖房給湯部3に電力供給が継続されるものである。上記暖房給湯制御部33は、マイクロコンピュータや入出力回路などからなり、暖房運転と給湯運転に対して優先順位を設定する優先順位設定部(図示せず)を有している。
【0029】
上記通信異常検出部は、暖房給湯制御部33と沸き上げ制御部12との間に接続された通信線41の信号を監視して、通信異常時に暖房給湯制御部33に通信異常を表す信号を出力する。
【0030】
また、この貯湯式暖房給湯機は、ピークカット電源10からの電力供給が停止したことを検出するピークカット電源供給検出部35と、暖房給湯制御部33により制御される表示部(図示せず)を備えている。この表示部は、ユーザーが視認しやすい室内に設置しているが、暖房給湯部3側に配置してもよい。
【0031】
次に、図2は上記貯湯式暖房給湯機の具体的構成を示す回路図を示している。図2に示すように、沸き上げ部1は、加熱部11の一例としてのヒートポンプユニットを有している。このヒートポンプユニットには、地球温暖化係数が小さくオゾンを破壊しないCO冷媒を用いている。これにより、ヒートポンプユニットによる出湯温度を高くできる(例えば90℃)。
【0032】
上記ヒートポンプユニットは、圧縮機101と、上記圧縮機101の吐出側に一端(一次側)が接続された凝縮器102と、上記凝縮器102の他端(一次側)に一端が接続された膨張弁103と、上記膨張弁103の他端に一端が接続され、他端が圧縮機101の吸込側に接続された蒸発器104と、上記蒸発器104に外気を供給する送風ファン105とを有している。上記圧縮機101と凝縮器102と膨張弁103および蒸発器104で冷媒回路を構成している。
【0033】
また、上記圧縮機101の吐出側に、吐出温度を検出する吐出温度センサT1を配置すると共に、吐出圧力を検出する圧力センサ(HPS)106を配置している。また、上記蒸発器104に蒸発器温度を検出する蒸発器温度センサT2を配置し、蒸発器104近傍に、外気温度を検出する外気温度センサT3を配置している。そして、上記吐出温度センサT1と蒸発器温度センサT2と外気温度センサT3および圧力センサ(HPS)106の検出信号に基づいて、沸き上げ制御部12は、圧縮機101,膨張弁103, 送風ファン105などを制御する。
【0034】
また、上記貯湯タンク201の下部に設けられた沸き上げ往き接続口に配管L11の一端を接続し、その配管L11の他端を凝縮器102の一端(二次側)に接続している。上記配管L11に、貯湯タンク201下部から凝縮器102側に向かって水を送出する沸き上げ用循環ポンプ204を配設している。上記沸き上げ部1の凝縮器102の他端(二次側)に配管L12の一端を接続し、その配管L12の他端を沸き上げ用三方弁205の入力側に接続している。上記沸き上げ用三方弁205の一方の出力側に配管L24の一端を接続し、その配管L24の他端を暖房用三方弁302の一方の入力側に接続している。さらに、上記暖房用三方弁302の一方の入力側を配管L35を介して貯湯タンク201の上部に設けられた第2暖房往き接続口(沸き上げ戻り接続口を兼ねる)に接続している。一方、沸き上げ用三方弁205の他方の出力側に配管L23の一端を接続し、その配管L23の他端を貯湯タンク201の下側に接続している。
【0035】
上記凝縮器102の二次側上流の配管L11に、入水温度を検出する入水温度センサT4を配置し、凝縮器102の二次側下流の配管L12に、出湯温度を検出する出湯温度センサT5を配置している。
【0036】
また、上記貯湯タンク201は、断熱材(図示せず)で囲まれた略円筒形状をしている。上記貯湯タンク201内に、コイル状のパイプからなる給湯用熱交換器202を配置している。この給湯用熱交換器202は、所定の間隔をあけて接続された下側コイル部202aと上側コイル部202bとを有している。上記貯湯タンク201の上部を貫通した給水配管L21の下端を、下側コイル部202aの下端に接続し、貯湯タンク201の上部を貫通した給湯配管L22の下端を、上側コイル部202bの上端と接続している。上記給水配管L21と給湯配管L22は、貯湯タンク201の外側で、給湯用アクチュエータ32(図1に示す)の一例としての給湯用混合弁301により接続されている。
【0037】
上記給水配管L21を介して外部から供給された水は、下側コイル部202aの下端側から上側コイル部202bの上端側に向かって流れて、給湯配管L22を介して給湯器5(図1に示す)に供給される。
【0038】
また、上記貯湯タンク201は、側面に4つの温度センサT6〜T9を上側から下側に向かって順に配置している。上記温度センサT6により貯湯タンク201内の上側部分の水温を検出し、温度センサT7により貯湯タンク201内の中間部分の水温を検出する。上記温度センサT9により貯湯タンク201内の下側近傍の水温を検出し、温度センサT7と温度センサT9の中間で温度センサT8により貯湯タンク201内の水温を検出する。
【0039】
また、上記貯湯タンク201内かつ下側コイル部202aと上側コイル部202bとの間に電熱ヒータ203を配置している。
【0040】
上記貯湯タンク201と給湯用熱交換器202と電熱ヒータ203と沸き上げ用循環ポンプ204と沸き上げ用三方弁205および温度センサT6〜T9で貯湯部2(図1に示す)を構成している。
【0041】
次に、上記暖房用三方弁302の他方の入力側に配管L31の一端を接続し、その配管L31の他端を貯湯タンク201の第1暖房往き接続口(上側コイル部202bと電熱ヒータ203との間の位置)に接続している。そして、上記暖房用三方弁302の出力側を暖房用混合弁303の一方の入力側に接続し、その暖房用混合弁303の出力側に配管L32の一端を接続している。上記配管L32に、暖房用混合弁303側から順に暖房往き温度センサT11と暖房用循環ポンプ304を配設している。上記配管L32の暖房用循環ポンプ304よりも下流側に、ラジエータ401,402,…の一端を夫々接続している。また、上記貯湯タンク201の下部に設けられた暖房戻り接続口に配管L33の一端を接続し、その配管L33の他端側にラジエータ401,402,…の他端を夫々接続している。上記配管L33に暖房戻り温度センサT12を配置している。また、上記配管L33の暖房戻り温度センサT12よりも貯湯タンク201側と、暖房用混合弁303の他方の入力側とを配管L34により接続している。
【0042】
上記暖房給湯制御部33は、温度センサT6〜T9と暖房往き温度センサT11および暖房戻り温度センサT12からの検出信号に基づいて、沸き上げ用三方弁205と暖房用三方弁302と沸き上げ用循環ポンプ204と暖房用循環ポンプ304を制御する。
【0043】
上記暖房往き温度センサT11と暖房戻り温度センサT12と給湯用混合弁301と暖房用三方弁302と暖房用循環ポンプ304および暖房給湯制御部33が、商用電源30により駆動される暖房給湯部3(図1に示す)に含まれる。
【0044】
上記構成の貯湯式暖房給湯機において、ピークカット電源10と商用電源30の両方から電力が供給されている状態で、貯湯タンク201の下部の給水口(図示せず)から給水して貯湯タンク201内に水を溜める。次に、貯湯部2の沸き上げ用三方弁205の出力側を配管L24側に切り換え、沸き上げ部1の圧縮機101を駆動すると共に送風ファン105の運転を開始する。さらに、貯湯部2の沸き上げ用循環ポンプ204を駆動する。そうすると、圧縮機101から吐出された高圧ガス冷媒は、凝縮器102で放熱して凝縮することにより液冷媒となった後、膨張弁103で減圧された低圧冷媒は、蒸発器104で外気から熱を吸収して蒸発する。そうして、蒸発器104で蒸発した低圧ガス冷媒は、圧縮機101の吸込側に戻る。このとき、沸き上げ用循環ポンプ204により貯湯タンク201の下部から配管L11を介して凝縮器102の二次側に流入した水は、凝縮器102で加熱されて90℃近い温水となり、配管L12,沸き上げ用三方弁205,配管L24,配管L35を介して貯湯タンク201内に戻る。こうして、貯湯タンク201内の水を沸き上げ用循環ポンプ204と凝縮器102を介して循環させることにより、貯湯タンク201内の水を沸き上げる。
【0045】
次に、暖房運転を行う場合、暖房給湯部3の暖房用三方弁302を、配管L31側と暖房用混合弁303側が接続されるように切り換えて、暖房用循環ポンプ304を駆動する。そうすると、貯湯タンク201の中間部の温水が配管L31,暖房用三方弁302,暖房用混合弁303,暖房用循環ポンプ304を介してラジエータ401,402,…に夫々流入する。そして、上記ラジエータ401,402,…から出た戻り温水は、配管L33を介して貯湯タンク201の下部から貯湯タンク201内に戻る。
【0046】
ここで、暖房給湯制御部33は、暖房往き温度センサT11により検出された暖房往き温度および暖房戻り温度センサT12により検出された暖房戻り温度に基づいて、暖房用三方弁302,暖房用混合弁303および暖房用循環ポンプ304を制御する。また、ヒートポンプユニットによる沸き上げと暖房運転を同時に行ってもよい。
【0047】
次に、給湯運転を行う場合、給湯器5の給湯用蛇口を開くと、外部からの給水圧力により供給された水は、給水配管L21,給湯用熱交換器202,給湯配管L22を介して給湯器5に流れて、給湯用熱交換器202で加熱された温水が給湯器5に供給される。ここで、暖房給湯制御部33は、給湯用混合弁301を制御して、給湯器5に供給される温水の温度を所望の温度に調節する。なお、上記暖房運転またはヒートポンプユニットによる沸き上げの少なくとも一方と給湯運転を同時に行ってもよい。
【0048】
上記貯湯式暖房給湯機では、ピークカット電源供給検出部35がピークカット電源10からの電力供給が停止したことを検出したとき、暖房給湯制御部33は、沸き上げ部1が停止状態であるものとして暖房給湯部3の運転を継続する。これによって、ピークカット電源10の供給停止を確実に検出して、暖房給湯部3のみの運転モードに移行する。
【0049】
また、上記ピークカット電源10からの電力供給が停止することにより沸き上げ部1が停止して、暖房給湯制御部33が商用電源30からの電力により動作するときに、優先順位設定により設定された優先順位に基づいて、室内側の暖房または室内側の給湯の一方の運転を優先して行うことにより、ユーザーが希望する運転を優先して行うことができ、利便性が向上する。
【0050】
上記構成の貯湯式暖房給湯機によれば、電力供給側の都合によりピークカット電源10からの電力供給が停止しても、簡単な構成で貯湯部2に貯えられた温水を熱源として利用することにより暖房運転や給湯運転を継続することができる。
【0051】
また、上記商用電源30から電力が供給された制御電源生成部13により沸き上げ制御部12用の電源電圧を生成し、その制御電源生成部13からの電源電圧を、沸き上げ部1に配置された沸き上げ制御部12に供給することにより、ピークカット電源10からの電力供給が停止しても、沸き上げ制御部12と暖房給湯部3は電源が切れずに動作することができる。
【0052】
また、上記第1実施形態の温度センサT1〜T9,T11,T12は、サーミスタで構成したが、熱電対等の他の素子を用いてもよい。
【0053】
また、上記第1実施形態では、ピークカット電源を三相交流電源とし、商用電源を単相交流電源としたが、ピークカット電源は単相交流電源であってもよく、また、商用電源は三相交流電源であってもよい。
【0054】
沸き上げ部1は、屋外などの居住空間外に設置されることが多いため、外気温度や入水温度などを検出して、所定温度よりも低い場合には、沸き上げ用循環ポンプ204を駆動させて、循環経路の凍結を防止する。このとき、貯湯タンク201内の温水が低温の外気温度によって冷却されるのを極力防止するため、例えば、凍結しない程度の所定時間毎に沸き上げ用循環ポンプ204を駆動させて断続的に循環させる方法や、少ない流量で連続的に循環させる方法が有効である。これらの方法は同時に、ポンプ駆動に起因する電力消費量を極力少なくすることができる。
【0055】
また、上記第1実施形態では、沸き上げ用循環ポンプ204は貯湯部2に構成されていたが、沸き上げ部に設けて沸き上げ制御部により制御することにより、凍結防止運転を室内側利用部の動作状態によらず、沸き上げ制御部単独で制御することができる。上記のように凍結防止運転は、沸き上げ制御部が検出している外気温度や入水温度などの情報を用いて制御されるため、沸き上げ制御部単独で自律的に凍結防止運転を行うことで、例えば、室内側利用部や暖房給湯制御部、通信回路などが故障している場合にも、凍結防止運転を行うことが可能となる。
【0056】
〔第2実施形態〕
図3はこの発明の第2実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図を示している。この第2実施形態の貯湯式暖房給湯機は、制御電源生成部を除いて第1実施形態の貯湯式暖房給湯機と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。
【0057】
上記第2実施形態の貯湯式暖房給湯機は、図3に示すように、沸き上げ部1に沸き上げ制御部用電源生成部の一例としての制御電源生成部15を有している。この制御電源生成部15は、商用電源30からの電力が暖房給湯部3を介して供給されている。
【0058】
上記構成の貯湯式暖房給湯機は、第1実施形態と同様に、電力供給側の都合によりピークカット電源10からの電力供給が停止しても、簡単な構成で貯湯部2に貯えられた温水を熱源として利用することにより暖房運転や給湯運転を継続することができる。
【0059】
また、上記制御電源生成部15に商用電源30から電力が暖房給湯部3を介して供給されることによって、沸き上げ部1と暖房給湯部3との間の電源線と通信線41の一部を共用することが可能となり、配線数を少なくすることができる。
【0060】
〔第3実施形態〕
図4はこの発明の第3実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図を示している。この第3実施形態の貯湯式暖房給湯機は、制御電源生成部を除いて第1実施形態の貯湯式暖房給湯機と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。
【0061】
上記第3実施形態の貯湯式暖房給湯機では、図4に示すように、沸き上げ部1の沸き上げ制御部12に、暖房給湯部3の制御電源生成部36からの制御用電源電圧が制御電源線42を介して供給されている。
【0062】
上記構成の貯湯式暖房給湯機は、第1実施形態と同様に、電力供給側の都合によりピークカット電源10からの電力供給が停止しても、簡単な構成で貯湯部2に貯えられた温水を熱源として利用することにより暖房運転や給湯運転を継続することができる。
【0063】
また、上記暖房給湯部3と沸き上げ制御部12の制御用電源電圧を暖房給湯部3側の制御電源生成部36により一括して生成するので、電源回路が共用でき、コストを低減できる。また、沸き上げ部1と暖房給湯部3との間の制御電源線42と通信線41の一部を共用することによって、配線数を少なくすることができる。
【0064】
〔第4実施形態〕
図5はこの発明の第4実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図を示している。この第4実施形態の貯湯式暖房給湯機は、制御部と制御電源生成部を除いて第1実施形態の貯湯式暖房給湯機と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。
【0065】
上記第4実施形態の貯湯式暖房給湯機は、図5に示すように、暖房給湯部3に、沸き上げ制御部の一例としての暖房給湯沸き上げ制御部37を備えている。上記暖房給湯沸き上げ制御部37に、沸き上げ部1の温度センサ14からの信号が信号線43を介して入力される。上記暖房給湯沸き上げ制御部37は、暖房給湯部3の暖房用アクチュエータ31と給湯用アクチュエータ32を制御すると共に、沸き上げ部1の温度センサ14からの信号に基づいて、沸き上げ部1の加熱部11を通信線41を介して制御する。
【0066】
上記構成の貯湯式暖房給湯機は、第1実施形態と同様に、電力供給側の都合によりピークカット電源10からの電力供給が停止しても、簡単な構成で貯湯部2に貯えられた温水を熱源として利用することにより暖房運転や給湯運転を継続することができる。
【0067】
また、上記暖房給湯部3を制御すると共に沸き上げ部1の加熱部11を制御する暖房給湯沸き上げ制御部37を暖房給湯部3側に配置することにより、1つの制御電源生成部38で沸き上げ部1と暖房給湯部3の両方の制御機能を動作させ、電源回路が共用でき、コストを低減することができる。
【0068】
〔第5実施形態〕
図6はこの発明の第5実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図を示している。この第5実施形態の貯湯式暖房給湯機は、商用電源の接続を除いて第1実施形態の貯湯式暖房給湯機と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。
【0069】
上記第1実施形態の貯湯式暖房給湯機では、沸き上げ部1側と暖房給湯部3側において商用電源30を夫々接続したが、この第5実施形態の貯湯式熱源装置は、沸き上げ部1側において商用電源30を接続し、商用電源30からの電力が、沸き上げ部1を介して暖房給湯部3の制御電源生成部34と暖房用アクチュエータ31および給湯用アクチュエータ32に供給される点が異なる。
【0070】
上記第5実施形態の貯湯式暖房給湯機は、第1実施形態の貯湯式暖房給湯機と同一の効果を有する。
【0071】
〔第6実施形態〕
図7はこの発明の第6実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図を示している。この第6実施形態の貯湯式暖房給湯機は、商用電源と制御電源の接続および制御電源生成部を除いて第5実施形態の貯湯式暖房給湯機と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。
【0072】
上記第5実施形態の貯湯式暖房給湯機では、沸き上げ部1側において商用電源30を接続し、商用電源30からの電力が、沸き上げ部1を介して暖房給湯部3の制御電源生成部34と暖房用アクチュエータ31および給湯用アクチュエータ32に供給されたが、この第6実施形態の貯湯式熱源装置は、沸き上げ部1の制御電源生成部16からの制御用電源電圧が、制御電源線43を介して暖房給湯部3の暖房給湯制御部33と暖房用アクチュエータ31および給湯用アクチュエータ32に供給される点が異なる。すなわち、第6実施形態の貯湯式熱源装置は、商用電源30からの単相交流電圧がそのまま暖房給湯部3に供給されない。
【0073】
上記第6実施形態の貯湯式暖房給湯機は、第1実施形態の貯湯式暖房給湯機と同一の効果を有する。
【0074】
上記第1〜第6実施形態では、貯湯式熱源装置としての貯湯式暖房給湯機について説明したが、貯湯式の暖房機または給湯器にこの発明の貯湯式熱源装置を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図である。
【図2】図2は上記貯湯式暖房給湯機の具体的構成を示す回路図である。
【図3】図3はこの発明の第2実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図である。
【図4】図4はこの発明の第3実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図である。
【図5】図5はこの発明の第4実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図である。
【図6】図6はこの発明の第5実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図である。
【図7】図7はこの発明の第6実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給側の都合により電力供給を停止することがあるピークカット電源からの電力により水を加熱する加熱部(11)と、
上記ピークカット電源とは別の商用電源から電力が供給され、上記加熱部(11)を制御する沸き上げ制御部(12,37)と、
上記加熱部(11)により加熱された温水を貯える貯湯部(2)と
を備え、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止して上記加熱部(11)が停止しても、上記沸き上げ制御部(12,37)は、上記商用電源からの電力により動作することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貯湯式熱源装置において、
上記商用電源から電力が供給され、上記貯湯部(2)に貯えられた上記温水を熱源として、室内側の暖房または給湯の少なくとも一方に利用する室内側利用部(3)をさらに備え、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止して上記加熱部(11)が停止しても、上記沸き上げ制御部(12,37)と上記室内側利用部(3)は、上記商用電源からの電力により動作することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の貯湯式熱源装置において、
上記沸き上げ制御部(12)は、上記加熱部(11)を有する沸き上げ部(1)に配置され、
上記沸き上げ部(1)は、上記商用電源から供給された電力により上記沸き上げ制御部(12)用の電源電圧を生成する沸き上げ制御部用電源生成部(13,16)を有することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側利用部(3)は、上記商用電源から上記沸き上げ部(1)を介して供給された電力により動作することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項5】
請求項3に記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側利用部(3)は、上記沸き上げ制御部用電源生成部(16)からの電源電圧により動作することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項6】
請求項2に記載の貯湯式熱源装置において、
上記沸き上げ制御部(12)は、上記加熱部(11)を有する沸き上げ部(1)に配置され、
上記沸き上げ部(1)は、上記商用電源から上記室内側利用部(3)を介して供給された電力により上記沸き上げ制御部(12)用の電源電圧を生成する沸き上げ制御部用電源生成部(15)を有することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項7】
請求項2に記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側利用部(3)は、上記商用電源から供給された電力により制御用電源電圧を生成する室内側電源生成部(36)を有し、
上記沸き上げ制御部(12)は、上記室内側利用部(3)の上記室内側電源生成部(36)からの制御用電源電圧により動作すると共に、上記加熱部(11)を有する沸き上げ部(1)に配置されていることを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項8】
請求項2に記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側利用部(3)は、上記商用電源から供給された電力により制御用電源電圧を生成する室内側電源生成部(38)を有し、
上記沸き上げ制御部(37)は、上記室内側電源生成部(38)からの制御用電源電圧により動作すると共に、上記室内側利用部(3)に配置されていることを特徴とする貯湯式熱源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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