説明

貯蔵スタック

本発明は、低温試料貯蔵装置(3)に試料容器(2)を貯蔵する貯蔵スタック(1)について説明する。低温試料貯蔵装置(3)には、デカルトのX、Y、およびZ座標に従って、試料容器(2)を個々の貯蔵スタック内部のX/Y平面に水平に位置決めし、かつ低温試料貯蔵装置(3)内の個々の貯蔵スタック(1)をZ方向に垂直に移動させるように作動するロボット(4)が装備されている。試料貯蔵装置(3)は、互いに隣接しかつ垂直Z方向に平行に配向されるようになされたmxn個の貯蔵スタック(1)を収容するための貯蔵領域(7)を画定する。個々の貯蔵スタック(1)は、Z方向に延在しかつ貯蔵スタック(1)の中に挿入された試料容器(2)を支持するための多数の貯蔵ウェブ(12)を備えた第1および第2の剛性側方支持フランジ(11’、11’’)と、前記側方支持フランジ(11’、11’’)を互いにリジッドに連結する剛性背面パネル(13)と、少なくとも1つの側方支持フランジ(11’、11’’)および/または前記背面パネル(13)の下端部に固定された剛性底部プレート(14)と、少なくとも1つの側方支持フランジ(11’、11’’)および/または前記背面パネル(13)の上端部に固定された剛性断熱カバー(15)と、を含む。剛性断熱カバー(15)は、ハンドリングプレート(16)および断熱ブロック(18)を含む。貯蔵スタックアレイ(8)の全ての貯蔵スタック(1)のm×n個の断熱カバー(15)の複数は、本質的に連続する断熱層(20)を低温試料貯蔵装置(3)の貯蔵領域(7)に形成する。全ての貯蔵スタック(1)には担持要素(21、27)が設けられている。これら担持要素(21、27)は、各個々の貯蔵スタック(1)の底部プレート(14)を低温試料貯蔵装置(3)の貯蔵領域(7)の底部構造体(22)に静的に接続する。これら担持要素(21、27)は、個々の貯蔵スタック(1)およびこの貯蔵スタック(1)に挿入される全ての試料容器(2)の全重量を担持し、かつこの全重量を低温試料貯蔵装置(3)の貯蔵領域(7)の底部構造体(22)に与えるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【関連する特許出願】
【0001】
この特許出願は2009年10月19日に出願の国際特許出願第PCT/EP2009/063684号の優先権を主張するものであり、いかなる目的に対してもその開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
この特許出願は、生物学的、化学的、および/または生化学的試料を貯蔵するためのモジュール式試料貯蔵用の貯蔵スタックに関する。より具体的には、この出願は、制御された温度条件(好ましくは、−25℃〜−90℃の範囲)で試料を貯蔵するための温度制御されたモジュール式試料貯蔵装置で使用するための特定の断熱カバーを備えた貯蔵スタックに関する。好ましい実施形態では、この出願は、試料容器を低温試料貯蔵装置に貯蔵するための貯蔵スタックに関する。そのような低温試料貯蔵装置は、試料容器を個々の貯蔵スタック内部のX/Y平面に水平に位置決めするためのデカルトのX、Y、およびZ座標に従って作動することが可能であるロボットを備える。このロボットはまた、底部貯蔵位置と上昇したアクセス位置との間で、低温試料貯蔵装置内の個々の貯蔵スタックをZ方向に垂直に移動させることも可能である。試料貯蔵装置は、一般的に、一連のそのような貯蔵スタックを収容する貯蔵領域を画定する。この貯蔵領域は、好ましくは、水平X方向の直交格子の多数の第1の格子定数と、水平Y方向の該直交格子の多数の第2の格子定数とを備える。貯蔵スタック配列の貯蔵スタックの総数は、互いに隣接し、かつ垂直Z方向に平行に配向されるようになされる。
【背景技術】
【0003】
体液(例えば、血液、尿、痰、または精子)、細胞(例えば、細菌細胞培養物)、または組織試料(例えば、人間、動物、または植物から採取される)等の生物学的試料は、極めて温度に敏感であり、それらの破壊を防止するために、試料の採取後直ちに冷却または冷凍しなければならない。したがって、生物学的試料および温度に敏感な試料の調査中の重要な側面は、一般に、冷凍された状態、すなわち低温でこれらの試料を貯蔵および提供することである。貯蔵および提供は、市販の冷凍庫(すなわち、低くても−18℃の温度)で、ドライアイスによって−78.5℃に冷却されるガス雰囲気(すなわち、固体CO)で、または液体窒素(−196℃)で行うことができる。加えて、−35℃(1段式)、−85℃(2段式)、または−135℃(3段式)の貯蔵温度を提供する、圧縮器によって動作する冷凍庫が知られている。
【0004】
全てのこれらの貯蔵手順および装置は、既知であるが、ある欠点も提供する。−18℃で保存された試料は、氷晶の成長のため、短い貯蔵期間の後に早くも破壊的な作用を呈する可能性がある。そのような氷晶の成長は、ドライアイスの温度で大幅に低減され、液体窒素では本質的に起こらない。しかしながら、一方で、ドライアイスで冷却した容器は、全てのCOが昇華するとすぐ比較的に速く温まる。一方で、液体窒素の貯蔵は、煩雑であり、専用の安全対策および適正に教育された人員によってのみ可能である。特に、ロボットによるまたは自動化された多数の試料の貯蔵および引き出し/提供について、極少数の既知のシステムしか存在しない。常に提供を行い、かつアクセス可能であるというタスクを伴う大規模な研究所については、化学的試料(例えば、規定濃度の調製された試薬アリコート)および生化学的試料(例えば、濃縮および精製された酵素)は、ますます自動貯蔵システムで貯蔵されることが知られている。いわゆる「大規模貯蔵装置」または「バイオバンク」では、化学的試料には約−20℃、また、生物学的および生物化学的試料には約−80℃の貯蔵温度が適当であることが証明されている。
【0005】
米国特許第US6,357,983 B1号から、自動貯蔵システムが知られている。その温度が−20℃〜+20℃の範囲で選択可能である、調整されたチャンバには、2つの環状で入れ子状の棚があり、この棚は、共通の中心軸の周囲を回転可能であり、多数の水平に配向させて、重ね合わせた棚板位置を備える。これらの棚板位置は、垂直および棚の外側に移動する、ロボットによってアクセスすることができる。このロボットは、外側棚板位置を貫通することによって内側棚板位置に届かせるために、多関節化されたグリッパ機構を備える。このシステムは、ロボットおよびそれによって試料が、試料を選択するプロセス全体を通じて、低温雰囲気内に位置するという利点を有する。しかしながら、このシステムは、棚板の数をかなり制限し、比較的に大容積を冷却するが、極めて少数の試料だけしか取り込めないという結果をもたらす。さらに、かなり複雑なロボット機構を利用しなければならない。
【0006】
欧州特許出願第EP1 939 561 A2号から、冷凍された試料を貯蔵および提供するための別の貯蔵システムが知られている。この文書は、小型貯蔵システム、および冷凍された試料をそのような小型貯蔵システムに貯蔵するための関連する方法を開示しており、このシステムは、貯蔵領域を少なくとも−15℃に冷却するための冷却デバイスを備えた断熱筐体内の貯蔵領域を備える。この小型貯蔵システムは、冷却された貯蔵領域内に全体が配設される、昇降装置の形態の回転式貯蔵棚を備える。この小型貯蔵システムはまた、該貯蔵領域の上側に位置する移送領域を備え、ロボットは、この移送領域内を本質的に水平方向に移動可能である。ロボットは、回転式貯蔵棚の上半円の最高位置に貯蔵棚を装填するか、またはそこから貯蔵棚を取り出すようになされる。ロボットはまた、単一の物体を、昇降装置のこの頂点位置に位置する貯蔵棚から取り出す、または貯蔵棚に挿入することができる。このシステムの貯蔵領域は、非常に小さいと思われる。しかしながら、昇降装置の機構は、−80℃に至る温度で移動しなければならない。結霜およびそれによる昇降装置の機構の妨害といった危険性のため、精巧かつ高価な方法が必須であると考えられる。
【0007】
REMP AG社(Oberdiessbach、Switzerland)の他の貯蔵システムが知られており、試料は、+4℃または−20℃で貯蔵される(REMP Small−Size Store(商標))か、または試料は、−80℃で貯蔵される(REMP Bio−Sample Store)。後者では、ロボットは、−20℃で完全に動作可能であるように実装される。
【0008】
また、米国特許第US6,694,767 B2号から、別の貯蔵システムが知られている。作業場を伴うロボットが配設される、制御された雰囲気を伴う作業領域より下側は、−85℃〜−80℃の貯蔵温度を達成する、完全に断熱された貯蔵空間に位置する。比較的に小さい水平寸法を伴う貯蔵棚、および互いに重ね合わせられる多数の棚は、断熱天井プレートの開口部の中に垂直に懸架される。貯蔵棚は、貯蔵棚を担持し、また、貯蔵棚が完全に挿入される断熱天井プレートの開口部に重ねてそれを閉鎖する、上部カバーを備える。貯蔵棚を挿入するためのアクセス開口部のそのような閉鎖は、常に重力の影響下で行われ、すなわち、それらの最も低い貯蔵位置では、実際には、貯蔵棚は、断熱天井プレートのそれらの上部カバーに吊るしてある。ロボットは、その棚板から試料容器を取り出して、試料容器をその棚板に置くための適切な用具によって、特定の棚板にアクセスすることを可能にするために、そのような貯蔵棚を貯蔵領域の中から持ち上げる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、試料容器を低温試料貯蔵装置に貯蔵するための代替の貯蔵スタックを提供することである。
【0010】
この目的は、独立請求項1の特徴による、試料容器を低温試料貯蔵装置に貯蔵するための貯蔵スタックによって達成される。低温試料貯蔵装置は、好ましくは、試料容器を個々の貯蔵スタック内部のX/Y平面に水平に位置付けるために、また、底部貯蔵位置と上昇したアクセス位置との間で、低温試料貯蔵装置内で個々の貯蔵スタックをZ方向に垂直に移動させるために、デカルトのX、Y、およびZ座標に従って作動する、ロボットを備える。試料貯蔵装置は、好ましくは、貯蔵スタックのアレイに適応させるための貯蔵領域を画定し、該貯蔵領域は、水平X方向の直交格子のm個の第1の格子定数と、水平Y方向の該直交格子のn個の第2の格子定数とを備える。貯蔵スタックアレイのm×n個の貯蔵スタックは、互いに隣接し、かつ垂直Z方向に平行に配向されるように全て達成される。
【0011】
本発明による各貯蔵スタックは、
(a)Z方向に延在し、かつ貯蔵スタックの中に挿入された試料容器を支持するための多数の貯蔵ウェブを備えた第1および第2の剛性側方支持フランジと、
(b)側方支持フランジを互いにリジッドに連結する、剛性背面パネルと、
(c)少なくとも1つの側方支持フランジの、および/または背面パネルの下端部に固定される、剛性底部プレートと、
(d)少なくとも1つの側方支持フランジの、および/または背面パネルの上端部に固定される、剛性断熱カバーであって、
(i)プレート外周面を伴うハンドリングプレートと、
(ii)ブロック外周面を伴う断熱ブロックと、
を備えた剛性断熱カバーと、
を備え、貯蔵ウェブは、側方支持フランジの周囲で隆起し、かつ同じZレベルでその上に位置する交互対でZ方向にグループ化されることを特徴とする。
【0012】
本発明による各貯蔵スタックは、貯蔵スタックアレイの全ての貯蔵スタックのm×n個の断熱カバーが、本質的に連続する断熱層を、低温試料貯蔵装置の貯蔵領域に形成することをさらに特徴とする。
【0013】
本発明による各貯蔵スタックはまた、担持要素が提供され、担持要素21、27は、各個々の貯蔵スタックの底部プレートを、低温試料貯蔵装置の貯蔵領域の底部構造体に静的に接続し、これらの担持要素は、個々の貯蔵スタックおよびこの貯蔵スタック(1)に挿入される全ての試料容器の全重量を担持し、かつこの全重量を低温試料貯蔵装置の貯蔵領域の底部構造体に与えるようになされることを特徴とする。
【0014】
本発明による貯蔵スタックの第1の好ましい実施形態では、個々の貯蔵スタックの担持要素は、1つ以上のトラニオンとして構成され、該トラニオンは、貯蔵スタックの剛性底部プレートに取り付けられ、かつ個々の貯蔵スタックがその底部貯蔵位置にある時に、低温試料貯蔵装置の貯蔵領域の底部構造体に当接する。
【0015】
本発明による貯蔵スタックの第2の好ましい実施形態では、個々の貯蔵スタックの担持要素は、1つ以上の担持ピンとして構成され、該担持ピンは、低温試料貯蔵装置の貯蔵領域の底部構造体に取り付けられ、かつ個々の貯蔵スタックがその底部貯蔵位置まで降ろされ時に、底部プレートによって当接される。
【0016】
本発明による貯蔵スタック2つの好ましい代替の実施形態に加えて、単一の個々の貯蔵スタックを担持するためのトラニオンおよび担持ピンの組み合わせも同様に意図される。この場合、トラニオンおよび担持ピンは、同じ重量がより多くの担持部材に分配されるので、より小さい寸法で作製することができる。
【0017】
本発明による付加的な、および好ましい特徴は、従属する装置から、および方法の請求項から生じる。
【0018】
本発明による貯蔵スタックの利点は、以下を含む。
【0019】
1.貯蔵スタックは、全体に亘って本質的に連続する断熱層を低温試料貯蔵装置の貯領域の頂部上に提供する。したがって、米国特許第6,694,767 B2号から知られるような別々の断熱天井プレートは不要である。
【0020】
2.貯蔵スタックは、低温試料貯蔵装置の貯蔵領域の底部構造体の上に個々に立っている。同じく、米国特許第6,694,767 B2号から知られるような、スタックおよび試料容器の重量を担持するための別々の断熱天井プレートは不要である。
【0021】
3.貯蔵スタックの断熱カバーは、好ましくはANSI/SBS 1−2004規格に従うマイクロプレートのサイズを有する試料容器よりも、それらの水平X/Y延長部で、ごくわずかしか大きくないので、貯蔵スタックのパッキング密度が増大する。
【0022】
4.貯蔵スタックは自動調心および自己案内式である。したがって、この出願に対する優先権書類にて開示されるような案内グリッドは不要である。
【0023】
5.低温試料貯蔵装置の貯蔵領域は、好ましくは、貯蔵スタックのためのいかなる案内部材も持たず、また、貯蔵スタックの断熱カバーのためのいかなる支持部材も持たない。したがって、本発明の貯蔵スタックは、より単純な構造の貯蔵装置を提供する。
【0024】
6.貯蔵スタックのための案内部材がないこと(本発明による好ましい特徴である)は、貯蔵スタック間のより簡単な空気の循環を可能にする。したがって、貯蔵領域全体を通して均一に分布した温度プロファイルが達成される。
【0025】
7.上記に列挙した利点1、2、4、および5を組み合わせると、本発明による貯蔵スタックの使用は、第1および/または第2の格子定数の用途が、本開示で説明される第1および/または第2の格子定数と、好ましくは、および本質的に異なる適用で使用するために、貯蔵領域の設計変更の必要性を伴わずに、貯蔵システムに適応させる機会を提供する。したがって、先行技術から知られているものよりも大きい、低温貯蔵システムの設計の融通性が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ここで、本発明の範囲を制限することなく好ましい例示的実施形態を提示する図面を用いて、本発明による貯蔵スタックを詳細に説明する。
【図1】本発明による貯蔵スタックのアレイを備えた低温試料貯蔵装置の通しての概略垂直断面図である。
【図2】本発明による貯蔵スタックのアレイを備えた図1の低温試料貯蔵装置の概略平面図である。
【図3】図2の拡大詳細図であり、 図3Aは断熱カバーに対する弾性外周シールおよび間隙の相対サイズを示す図であり、 図3Bは貯蔵スタック、貯蔵スタックアレイ、およびマイクロプレートの好ましい実施形態の実際の水平寸法を示す図である。
【図4】弾性外周シールを備えた断熱カバーの第1の変形例による貯蔵スタックの詳細な垂直部分断面図であり、 図4Aは貯蔵スタックの剛性断熱カバーを示す図であり、 図4Bは貯蔵スタックの剛性底部プレートおよび低温試料貯蔵装置の貯蔵領域の底部構造体に取り付けられた担持ピンを示す図である。
【図5】密閉間隙を画定する断熱カバーの第2の変形例による貯蔵スタックの詳細な垂直部分断面であり、 図5Aは貯蔵スタックの剛性断熱カバーを示す図であり、 図5Bは貯蔵スタックの剛性底部プレートおよび貯蔵スタックの剛性底部プレートに取り付けられたトラニオンを示す図である。
【図6】弾性外周シールを備えた断熱カバーの第1の変形例による貯蔵スタック全体の3次元の図である。
【図7】密閉間隙を画定する断熱カバーの第2の変形例による貯蔵スタック全体の3次元の図である。
【図8】弾性外周シールを備えた断熱カバーの第1の変形例による貯蔵スタックアレイの3次元の図である。
【図9】密閉間隙を画定する断熱カバーの第2の変形例による貯蔵スタックアレイの3次元の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明による貯蔵スタック1のアレイ8を備えた低温試料貯蔵装置3を通しての概略垂直断面図である。本発明による貯蔵スタック1は試料容器2を低温試料貯蔵装置3に貯蔵するように構成される。
【0028】
本発明に関する状況において、「試料容器」という用語は、ANSI/SBS規格1−2004および2−2004に従う標準マルチウェルマイクロプレート、または相当する寸法を伴うマルチウェルマイクロプレートとして理解されたい。「試料容器」という用語はまた、例えばEP0 904 841 B1で公開されているような、微小管を挿入するためのラックとして理解されたい。そのようなラックは、好ましくは、標準マイクロプレートと類似した、または同一の寸法を有する。さらに、「試料容器」という用語は、好ましくは標準マイクロプレートと類似した寸法を有し、本質的に水平位置に貯蔵することができる、細胞培養フラスコとして理解されたい。血液バッグは、本発明に関する状況では、別の「試料容器」である。そのような血液バッグは、標準マイクロプレートとほぼ同じ設置面積を有するトレイによって支持することができる。
【0029】
低温試料貯蔵装置3は、一般的に、ロボット4を備える。ロボット4は、好ましくは、試料容器2を個々の貯蔵スタック1の内部のX/Y平面に水平に位置決めするために、デカルトのX、Y、およびZ座標に従って作動する(いずれの場合も、両方向矢印で示す)。後の垂直移動中に、試料容器2が貯蔵ラック1から自律的に滑り落ちないのであれば、貯蔵スタック1内部の試料容器2の正確な水平位置決めからのわずかなズレは無視することができる。
【0030】
Z方向における低温試料貯蔵装置3内の個々の貯蔵スタック1のそのような垂直移動は、ロボット4によって行われる。これらの垂直移動は、貯蔵スタック1の底部貯蔵位置5と上昇したアクセス位置6との間で行われる。1つの貯蔵ラック1を除いて、全ての貯蔵ラックは、それらの最低位置、すなわち低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7内の底部貯蔵位置5で描写されている。貯蔵スタック1のうちの1つは、ロボット4によって、特定の上昇したアクセス位置6まで持ち上げられ、そこでは、ロボット4の延長可能な腕28(別々の両方向矢印で示す)が、試料容器2を貯蔵スタック1に装填するか、またはそこから取り出している。
【0031】
試料貯蔵装置3は、貯蔵スタック1のアレイ8を収容する貯蔵領域7を画定する。貯蔵領域7は、水平X方向の直交格子のm個の第1の格子定数9と、水平Y方向の該直交格子のn個の第2の格子定数10とを備える(図2を参照されたい)。貯蔵スタックアレイ8のm×n個の貯蔵スタック1は、互いに隣接し、かつ垂直Z方向に平行に配向されるように達成される。低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域は、隣接する貯蔵スタック1に対して同じ材料および幾何学形状を呈する、周囲リム32を備える。周囲リム32は、好ましくは全ての貯蔵スタック1の間で間隙23の幅と同一である、隣接する貯蔵スタックまでの距離を有する。この測度は、実際に貯蔵領域7の全ての貯蔵スタック1に同じ周囲を提供するために好ましい。
【0032】
本発明によれば、試料容器2を低温試料貯蔵装置3に貯蔵するための各貯蔵スタック1は、Z方向に延在し、かつ貯蔵スタック1の中に挿入された試料容器2を支持するための多数の貯蔵ウェブ12を備える、第1および第2の剛性側方支持フランジ11’、11’’を備える。これらの貯蔵のウェブ12は、その後に、側方支持フランジ11’、11’’の周囲で隆起し、かつ同じZレベルでその上に位置する交互対でZ方向にグループ化される(図6および7を比較されたい)。
【0033】
本発明によれば、試料容器2を低温試料貯蔵装置3に貯蔵するための各貯蔵スタック1は、側方支持フランジ11’、11’’を互いにリジッドに連結する、剛性背面パネル13を備える(図4および5を比較されたい)。
【0034】
本発明によれば、試料容器2を低温試料貯蔵装置3に貯蔵するための各貯蔵スタック1は、少なくとも1つの側方支持フランジ11’、11’’の、および/または背面パネル13の下端部に固定される、剛性底部プレート14を備える(図4Aおよび5Bを比較されたい)。
【0035】
本発明によれば、試料容器2を低温試料貯蔵装置3に貯蔵するための各貯蔵スタック1は、少なくとも1つの側方支持フランジ11’、11’’の、および/または背面パネル13の上端部に固定される、剛性断熱カバー15を備える。この断熱カバー15は、プレート外周面17を伴うハンドリングプレート16と、ブロック外周面19を伴う断熱ブロック18とを備える(図4Aおよび5Aを比較されたい)。貯蔵スタックアレイ8の全ての貯蔵スタック1のm×n個の断熱カバー15は、本質的に連続する断熱層20を、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7上に形成する(図1および2を参照されたい)。
【0036】
本発明の貯蔵スタック1は、特に、担持要素21、27が提供されることを特徴とする。これらの担持要素21、27は、各個々の貯蔵スタック1の底部プレート14を、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の底部構造体22と静的に接続する。これらの担持要素21、27は、個々の貯蔵スタック1およびこの貯蔵スタック1に挿入される全ての試料容器2の全重量を担持し、かつこの全重量を低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の底部構造体22に与えるようになされる。
【0037】
図1では、低温試料貯蔵装置3の移送領域26が、好ましくは貯蔵領域7よりも広いことが示される。これは、特に、試料容器2を貯蔵スタックの最左端の列に挿入することを可能にするために有用である。貯蔵スタック1が、それらの底部プレート14、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の底部構造体22と当接することがさらに示される。しかしながら、これは、底部プレート14が貯蔵領域7の底部構造体22に凍結するという危険性が存在するので、好ましくない。そのような凍結は、不都合に貯蔵スタック1を動けなくするか、または少なくとも貯蔵スタック1の自由垂直移動を妨げる可能性がある。したがって、貯蔵スタック1と底部構造体22との間の接触面を最小限に抑えることが好ましい。
【0038】
−第1の好ましい実施形態によれば、個々の貯蔵スタック1の担持要素は、1つ以上のトラニオン21として構成される(図5Bと比較されたい)。これらのトラニオン21は、貯蔵スタック1の剛性底部プレート14に取り付けられ、かつ個々の貯蔵スタック1がその底部貯蔵位置5にある時に、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の底部構造体22に当接する。
【0039】
−第2の好ましい実施形態によれば、個々の貯蔵スタック1の担持要素は、1つ以上の担持ピン27として構成され、担持ピン27は、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の底部構造体22に取り付けられ、かつ個々の貯蔵スタック1がその底部貯蔵位置5まで降ろされた時に、底部プレート14によって当接される。
【0040】
図2は、本発明による貯蔵スタック1のアレイ8を備えた図1の低温試料貯蔵装置3の概略平面図を示す。より小さい第1の格子定数9はX方向を指し、そして、より大きい第2の格子定数10はY方向を指す。この図2は、10×3個の貯蔵スタック1の例示的なアレイを示し、そのうちの1つは、上昇したアクセス位置にある。好ましい貯蔵スタックアレイ8は、表1に示されるような貯蔵スタック1の以下の好ましい仕様を伴う、12×10個の貯蔵スタックを考慮している。
【0041】
【表1】

【0042】
表中、hdは、高密度、ldは、低密度、PUは、ポリウレタンを意味し、Alは、アルミニウムまたはアルミニウム合金を意味する。
【0043】
貯蔵ウェブ12の対の数は、貯蔵スタック1に挿入される試料容器の高さに非常に依存する。表1に示されるような貯蔵スタック1の仕様を考慮すると、側方支持フランジ11’、11’’上の貯蔵ウェブ12の対は、例えば、12個のプレート(STBR 96−900)、21個のプレート(STBR 96−300)、または26個のプレート(STBR 384)を取り込むための距離を有する。本質的に標準マイクロプレートの設置面積である設置面積を呈するのであれば、ナノチューブまたはクライオチューブを伴う他の形式およびプレートも可能である。
【0044】
図3Aは、図2の拡大詳細を示す。具体的には、図3Aは、貯蔵スタック1の断熱カバー15に対する弾性外周シール25および間隙23の相対サイズを示す。この図3Aから、貯蔵スタックアレイ8の格子軸が、貯蔵スタック1の断熱カバー15間の間隙23の中央に延びていることは明らかである。第1および第2の間隙部23’、23’’は、貯蔵スタックアレイ8のブロック外周面19から格子軸までの距離、および間隙23を合計したものに対応する。また、図3Aから、弾性外周シール25が、貯蔵スタックアレイ8の格子の軸を超えて延在することも明らかである。間隙部23’、23’’は、該直交格子と一致する、間隙アレイ24を形成する。
【0045】
本発明の貯蔵スタック1の断熱カバー15の第1の変形例に基づけば、断熱カバー15間の間隙23は、常に存在する。これは、全ての貯蔵ラック1が、低温試料貯蔵装置3の内部のそれらの底部貯蔵位置5にある場合に当てはまる。また、低温試料貯蔵装置3の内部の貯蔵スタック1のうちの少なくとも1つが、上昇したアクセス位置6まで持ち上げられた場合にも当てはまる。しかしながら、一方で、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の中の空気(一般的に、−60℃〜−90℃の温度)は、間隙23または全体の間隙アレイ24に侵入する傾向があるので、間隙のサイズまたは幅が極めて重要であることが分かる。一方で、低温試料貯蔵装置3の移送領域26の中の空気(一般的に、−10℃〜−40℃の温度)は、間隙23または間隙アレイ24全体に侵入する傾向もある。そのような空気の交換および混合は、好ましくは、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の内部を低温に保つために、相応な程度まで妨げられる。さらに、そのような空気の交換および混合は、好ましくは、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の中への水蒸気の挿入を最小限に抑えるために、相応な程度まで妨げられる。
【0046】
この発見のため、断熱カバー15のハンドリングプレート16および断熱ブロック18は、該直交格子の第1および第2の格子定数9、10の95%を超える、好ましくは97%を超える、XおよびY方向の水平全体延長部を有する。しかしながら、断熱カバー15のハンドリングプレート16および断熱ブロック18は、該直交格子の第1および第2の格子定数9、10の99%以上である、XおよびY方向の水平全体延長部を有することが最も好ましい。
【0047】
好ましくは、断熱カバー15のハンドリングプレート16および断熱ブロック18は、該直交格子の第1の格子定数9よりも2%未満小さく、Y方向の第2の格子定数10よりも1.4%未満小さい、X方向の水平全体延長部を有する。断熱カバー15のハンドリングプレート16および断熱ブロック18は、該直交格子の第1の格子定数9よりも1%小さく、Y方向の第2の格子定数10よりも0.7%小さい、X方向の水平全体延長部を有することがさらに好ましい。
【0048】
断熱カバー15のハンドリングプレート16および断熱ブロック18は、該直交格子のX方向の第1の格子定数9の0.5%の第1の間隙部23’と、Y方向の第2の格子定数10の0.35%の第2の間隙部23’’とを画定することがさらに好ましい。
【0049】
実際には、最も好ましい間隙23の幅は、1mmである。これは、間隙23の経路長、すなわちZ方向の間隙23の寸法も非常に重要であることに留意すべきであると言える。断熱カバー15の全高が100mmであるとすると(表1を参照されたい)、間隙の経路長は、好ましくは、75mmである(図9を参照されたい)。この間隙23の全体の高さを超えて、垂直ブロック外周面19’は、垂直軸Zに平行に延びる。しかしながら、傾斜したブロック外周面19’’が、剛性断熱カバー15の高密度ポリウレタンシェル29に存在することが常に好まれる。この傾斜したブロック外周面19’’は、したがって、貯蔵スタックをその底部貯蔵位置5まで降ろした時に自動調心および案内機能を提供する、円錐形の外面を有する。
【0050】
本発明の貯蔵スタック1の断熱カバー15の第2の変形例に基づけば、断熱カバー15が外周弾性シール25を備えるので、断熱カバー15間の間隙23は存在しない。この外周弾性シール25は、図3Aに描写され、第1および第2の間隙部23’、23’’を超える程度まで、断熱ブロック18のブロック外周面19の周囲で隆起する。換言すれば、第1および第2の間隙部23’、23’’に等しく、かつ隣接する貯蔵スタック1の外周弾性シール25とともに間隙23を閉鎖するのに十分である、隆起寸法を取るために、外周弾性シール25は、部分的に圧縮する必要がある。
【0051】
これらの発見のため、貯蔵スタック1の断熱カバー15は、好ましくは、ハンドリングプレート16と断熱ブロック18との間に部分的に位置し、かつハンドリングプレート16および断熱ブロック18の外周面17、19を超えて全ての側部において部分的に隆起する弾性外周シール25を備える。隆起は、好ましくは、外周シール25が、該直交格子のX方向の第1の格子定数9を超え、かつY方向の第2の格子定数10を超えて延在する程度である。好ましくは、単一の貯蔵スタック1の弾性外周シール25は、該直交格子のX方向およびY方向の格子定数9、10を超えて約0.2%を超えて隆起する。
【0052】
実際には、および表1に示される寸法に基づけば、単一の貯蔵スタック1の弾性外周シール25は、該直交格子のX方向およびY方向の格子定数9、10を超えて+25℃で約0.75%および−80℃で約0.35%隆起する。この弾性外周シール25は、少なくとも−80℃の温度に下げた温度でクリープを呈する、弾性ポリエチレン発泡体で作製される。各単一貯蔵スタック1のためのこの弾性外周シール25は、15mmの高さを有するが、断熱カバー15のハンドリングプレート16と断熱ブロック18との間に配置されることによって、12mmの高さに圧縮される。
【0053】
図3Bは、貯蔵スタック1、貯蔵スタックアレイ8、および標準マイクロプレート(試料容器2)の特に好ましい実施形態の実際の水平寸法を示す。貯蔵スタックアレイ8の第1の格子定数9(デカルトの座標系のX方向を指す)は、99.0mmである。貯蔵スタックアレイ8の第2の格子定数10(デカルトの座標系のY方向を指す)は、141.5mmである。XおよびY方向の断熱カバー15の最外寸法(弾性外周シール25を伴わない)は、98.0mm×140.5mmである。標準マイクロプレートのXおよびY方向の寸法は85.48mm×127.76mmである。驚くべきことに、本発明による剛性側方支持フランジ11´、11´´および貯蔵スタック1の剛性背面パネル13には、ほとんど空間を必要とせず、残されていない。結論的に、先行技術から知られる全ての貯蔵システムと比較した時に、貯蔵スタック1のパッキング密度が大幅に増大される。
【0054】
好ましくは、貯蔵スタックアレイ8は、n×m(例えば、10×12)個の貯蔵スタック1を備える。X方向の第1の格子定数9は、SBS規格に従うマイクロプレートの幅の110%〜120%の間であり、Y方向の第2の格子定数10は、SBS規格に従うマイクロプレートの長さの105%〜115%の間であることが特に好ましい。X方向の第1の格子定数9は、SBS規格に従うマイクロプレートの幅の115.8%であり、Y方向の第2の格子定数10は、SBS規格に従うマイクロプレートの長さの110.8%であることがさらに好ましい。
【0055】
図4は、弾性外周シール25を備える断熱カバー15の第1の変形例による、本発明の貯蔵スタック1の詳細な垂直部分断面を示す。図4Aは、貯蔵スタック1の剛性断熱カバー15を示し、プレート外周面17を伴うハンドリングプレート16と、ブロック外周面19を伴う断熱ブロック18とを備える。
【0056】
また、貯蔵スタック1の弾性外周シール25も示され、これは、好ましくは、弾性ポリエチレン発泡体(Angst&Pfister AG(CH−8052 Zurich、Switzerland)のタイプ「J」のポリエチレン発泡体が好ましい)で作製され、行われた実験によれば、少なくとも−80℃の温度に下げた温度でクリープを呈する。それぞれのデータシートによれば、好ましいポリエチレン発泡体タイプJは、独立気泡の中に配設される微細な細孔を呈する。また、化学的に中性である(30%の硫酸、10%の塩酸、水酸化ナトリウム溶液、燃料油、生理食塩水に耐性があり、また、塩素化溶剤に限定的な耐性がある)。平面の状態では柔らかく、経年劣化に耐性がある(主に紫外線照射に耐性がある)。さらに、好ましいポリエチレン発泡体タイプJは、非常に柔軟であり、特に防腐性があり、湿度の影響を受けない(水吸収率は、1容量パーセント未満である)。粗密度(DIN53420に従う)は、約33kg/mである。軟化剤を完全に含まない。圧縮剛性は、約19kPa/cm(10%変形)、約38kPa/cm(25%変形)、および約105kPa/cm(40%変形)であると報告されている。
【0057】
この実施例において、断熱カバー15のハンドリングプレート16、断熱ブロック18は、同じXおよびY方向の水平全体延長部を有する。断熱ブロック18は、高密度ポリウレタンシェル29と、高密度ポリウレタン安定化部分30とを備える。高密度ポリウレタンシェル29には、低密度ポリウレタン充填材31が充填される。断熱カバー15のハンドリングプレート16および断熱ブロック18は、好ましくは、2つのねじ36(ここでは図示せず。図6〜9を参照)によって互いに取り付けられる。好ましくは、断熱ブロック18のハンドリングプレート16は、高密度ポリウレタンで作製され、断熱ブロック18の高密度ポリウレタン安定化部分30に接続される。
【0058】
Ruhl PUROMER GmbH(DE−61381 Friedrichsdorf、Germany)の、タイプPUR550およびPUR900(ハンドリングプレート16およびhd PUシェル29)といった高密度ポリウレタンが好ましい。これらの2つのPURタイプの好ましい100g:100gの混合物は、374kg/mの容量重量(DIN EN ISO845に従う)、40ショアDのショア硬度(DIN53505−Dに従う)、および7.3N/mm(DIN EN ISO527に従う)の引張強度を呈する。
【0059】
Ruhl PUROMER GmbH(DE−61381 Friedrichsdorf、Germany)の、タイプPUR463、RG48、およびPUR900−1(ld PU充填材31)といった低密度ポリウレタンが好ましい。これらの2つのPURタイプの好ましい100g:130gの混合物は、56kg/m(DIN EN ISO845に従う)の容積重量、22N/cm(DIN53421に従う)の圧縮強度(d=10%)を呈する。
【0060】
金属安定化プレート34は、高密度ポリウレタンシェル29の中に成形され、金属頂部プレート35によって金属安定化プレート34に連結される側方支持フランジ11’、11’’の取り付けに好ましい、機械的安定化に役立つ。この連結は、金属安定化プレート34のねじ穴にねじ止めされる、ねじ37によって固定される。金属安定化プレート34は、好ましくは、ステンレス鋼または不変鋼で作製される。
【0061】
第1および第2の剛性側方支持フランジ11’、11’’は、Z方向に延在し、多数の貯蔵ウェブ12を備える。これらの貯蔵ウェブ12は、貯蔵スタック1の中に挿入される試料容器2を支持するのに役に立つ。1つのそのような試料容器2(標準マイクロプレートによって表される)は、左側の貯蔵スタック1に挿入され、一対のこれらの貯蔵ウェブ12上の本質的に水平な位置に静置される。他の貯蔵ウェブ12は、その後に、側方支持フランジの周囲で隆起し、かつ同じZレベルでその上に位置する交互対でZ方向にグループ化される。本質的に水平方向に延在するように曲げられる貯蔵ウェブ12は、好ましくは、剛性側方支持フランジ11’、11’’から部分的に切り取られる(または打ち抜かれる)が、それでも側方支持フランジ11’、11’’の一部である。
【0062】
好ましくは、貯蔵スタック1の外側上以外の、曲げられた貯蔵ウェブ12の両側上で、剛性側方支持フランジ11’、11’’は、実際には側方支持フランジ11’、11’’の上に延在する、外側垂直コルゲーション38を備える。これらの外側垂直コルゲーション38は、貯蔵スタック1をZ方向に移動させた時の、2つの隣接する貯蔵スタック1間の、または貯蔵スタックと低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の壁構造体33との間の接触面を低減する。加えて、これらの外側垂直コルゲーション38は、貯蔵スタック1をZ方向に移動させた時の、隣接する貯蔵スタック1のプレート外周面17との、または低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の壁構造体33上の周囲リム32の接触面を低減する。代替として、これらの外側垂直コルゲーション38は、貯蔵スタック1をZ方向に移動させた時の、隣接する貯蔵スタック1の弾性外周シール25との、または低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の壁構造体33上の周囲リム32の接触面を低減する。外側垂直コルゲーション38は、好ましくは、垂直な平行ブロック外周19’から約2.2mmの移行距離45だけ内方に移行される。
【0063】
また、図4Aには、側方支持フランジ11’、11’’を互いにリジッドに連結する、剛性背面パネル13が示される。低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の内部の、特に、貯蔵スタック1内に貯蔵される試料容器2の近傍における冷気のより良好な循環のために、剛性背面パネル13は、削除部分39を備える。これらの削除部分39はまた、貯蔵スタック1の全重量を低減することに寄与する。
【0064】
図4Bは、貯蔵スタック1の剛性底部プレート14、および低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の底部構造体22に取り付けられた、担持ピン27を示す。ここで、担持ピン27は、貯蔵スタック1の剛性底部プレート14に属する、金属底部プレート41によって当接される。担持ピン27は、実際には、貯蔵スタック1の剛性底部プレート14の高密度ポリウレタン材料の穴を通して到達する。代替として、好ましくは低温試料貯蔵装置3の底部構造体に(例えば、溶接によって)接続される担持ピン27は、剛性底部プレート14の高密度ポリウレタン材料の穴に挿入されて、貯蔵スタック1の剛性底部プレート14に属する金属底部プレート41に取り付けられる、硬質プラスチック材料のプレート(図示せず)によって当接される。剛性底部プレート14の高密度ポリウレタン材料のそのような穴の利用は、より長い担持ピン27の使用を可能にし、したがって、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の底部構造体22の面との感温性の接触を最小限に抑えることを可能にする。この剛性底部プレート14は、好ましくは、貯蔵スタックをその底部貯蔵位置5まで降ろした時に自動調心および案内機能を提供する、少なくとも部分的に円錐形の外面を有する。
【0065】
好ましくは、断熱カバー15のハンドリングプレート16、断熱ブロック18、および底部プレート14は、同じXおよびY方向の水平全体延長部を有する。
【0066】
図5はまた、本発明の貯蔵スタック1の詳細な垂直部分断面を示す。しかしながら、密閉間隙23を画定する断熱カバー15の第2の変形例を示すという点で、図4とは異なる。また、貯蔵スタック1に提供される、トラニオン21の形態で代替の担持要素を示す。図5Aは、貯蔵スタック1の剛性断熱カバー15を示す。この剛性断熱カバー15の断熱ブロック18は、断熱ブロックの高さの半分を超えて延在するブロック外周面19の平行断面をその上端部に有する。これは、図9に描写されるものほど好ましいものではない、間隙23の経路長さを生じさせる。同じく、断熱カバー15のハンドリングプレート16および断熱ブロック18は、同じXおよびY方向の水平全体延長部を有し、断熱ブロック18は、高密度ポリウレタンシェル29と、高密度ポリウレタン安定化部分30とを備え、高密度ポリウレタンシェル29には、低密度ポリウレタン充填材31が充填される。図4のように、断熱ブロック18のハンドリングプレート16は、高密度ポリウレタンで作製され、断熱ブロック18の高密度ポリウレタン安定化部分30に接続される。
【0067】
左側の断熱ブロック18は、2つの繊維強化膨張安定化部分44を備える。これらの強化膨張安定化部分44は、断熱ブロック18の内部に埋め込まれ、かつ断熱カバー15のブロック外周面19の平行領域内に位置する。これらの強化膨張安定化部分44のための繊維は、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、およびその任意の組み合わせを含む、一群の繊維から選択される。右側の断熱ブロック18(一部分だけ示す)は、3つの繊維強化膨張安定化部分44を備える。これらの強化膨張安定化部分44は、断熱ブロック18の内部に埋め込まれ、かつ断熱カバー15のブロック外周面19の平行領域内に位置する。したがって、2つの隣接する断熱カバー15間の、または断熱カバー15と低温試料貯蔵装置3の周囲リム32との間の間隙23の意図される経路長に従って、異なる数の強化膨張安定化部分44を利用することを意図している。また、(Z方向に)延長した厚さを有するが、1つの単一強化膨張安定化部分44が可能である。
【0068】
図5Bは、貯蔵スタック1の剛性底部プレート14、および貯蔵スタック1の金属底部プレート41に取り付けられたトラニオン21を示す。トラニオン21は、実際には、貯蔵スタック1の剛性底部プレート14の高密度ポリウレタン材料の穴を通して到達する。代替として、ここでは好ましくは金属底部プレート41にねじ止めされる、トラニオン21は、剛性底部プレート14の高密度ポリウレタン材料の穴の中に挿入され、かつ金属底部プレート41に取り付けられる、硬質プラスチック材料のプレート(図示せず)に(例えば、接着によって)取り付けられる。
【0069】
それでも本発明の趣旨の範囲内であるが、図4および5の提示から逸脱して、トラニオン21および担持ピン27の組み合わせがあってもよく、トラニオン21および担持ピン27の数は、1つ以上である。
【0070】
図4と同様に、図5では、内側垂直コルゲーション40は、背面パネル13上に示される。これらの内側垂直コルゲーション40は、背面パネル13の削除部分39の両側上に延び、低温試料貯蔵装置3のロボット4の腕28によって貯蔵スタック1の中に挿入される試料容器2に、小さい後部当接面を提供する。
【0071】
ここでは、断熱カバー15、周囲リム32、および低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の壁構造体33に使用される材料の膨張係数は、外周弾性シール25を伴わないが、貯蔵スタック1の断熱カバー15間に、および貯蔵スタック1と低温試料貯蔵装置3の周囲リム32との間に間隙23を伴う、断熱カバー15の実施形態による変形例を利用する時には、非常に重要であることに特に留意されたい。強化膨張安定化部分44の使用は、断熱カバー15の膨張係数の低減に対して行われる。
【0072】
本発明者らは、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の壁構造体33および周囲リム32が、20〜23μm/mK(1メートルおよび1ケルビンあたりのマイクロメートル)の膨張係数を呈することを見出した。さらなる調査で、断熱カバー15に使用されるポリウレタン材料の膨張係数が、約60〜70μm/mKであることが分かった。強化膨張安定化部分44の補助により、断熱カバー15に使用されるポリウレタン材料の膨張係数を、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の壁構造体33および周囲リム32の膨張係数を半分程度に、すなわち40〜46μm/mK未満まで下げることが提案される。断熱カバー15に使用されるポリウレタン材料の膨張係数を制限することは、貯蔵領域7と、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の上側の移送領域26との間の空気の漏れの増加を回避する。加えて、断熱カバー15には材料および構造の組み合わせが使用され、この組み合わせは、少なくとも貯蔵領域7の壁構造体33の膨張係数よりも高い膨張係数を示す。結論的に、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7の内部に保持された貯蔵アレイ8の貯蔵スタック1の妨害状態は、回避される。
【0073】
図6は、本発明の貯蔵スタック1の断熱カバー15の第1の変形例による、貯蔵スタック1全体の3次元の図を示す。この断熱カバー15は、弾性外周シール25を備える。貯蔵スタック1の頂部には、ハンドリングプレート16がある。このハンドリングプレート16は、低温試料貯蔵装置3の移送領域26のロボット4の把持部(図示せず)によって貯蔵スタック1を安全に把持するための、ハンドリング開口部42と、ハンドリング陥凹43とを備える。また、図6には、ハンドリングプレート16を貯蔵スタック1の剛性断熱カバー15に固定する、2つのねじ36が示される。他の示された特徴の説明については図4の説明を参照されたい。
【0074】
図7は、本発明の貯蔵スタック1の断熱カバー15の第2の変形例による、貯蔵スタック1全体の3次元の図を示す。この断熱カバー15は、その側部の全ての、すなわちブロック外周面19の全てのその垂直で平行な領域の、密閉間隙23を画定する。ブロック外周面19の垂直で平行な部分は、ブロック外周面19の傾斜した部分に対してわずか1/4でしかないので、ここで、結果として生じる間隙23の経路長は、(図5Aと比較して)図9に示される好ましいものではない。
【0075】
図8は、本発明の貯蔵スタック1の断熱カバー15の第1の変形例による、3×3個の貯蔵スタックアレイ8の3次元の図を示す。この断熱カバー15は、弾性外周シール25を備える。図4および6に関連して説明してきたことが全てここにも適用される。
【0076】
図9は、本発明の貯蔵スタック1の断熱カバー15の第2の変形例による、3×3個の貯蔵スタックアレイ8の3次元の図を示す。この断熱カバー15は、密閉間隙23を画定する。図5および7に関連して説明したことは全てここにも適用される。しかしながら、この図9は、断熱カバー15の第2の変形例の特に好ましい実施形態を示す。この断熱カバー15は、その側部の全ての、すなわちブロック外周面19の全てのその垂直で平行な領域の、密閉間隙23を画定する。ここでは、ロック外周面19の垂直で平行な部分は、約75%であり、ブロック外周面19の傾斜した部分は、断熱ブロック18の高さの約25%であるので、結果として生じる間隙23の経路長は、最も好ましい。
【0077】
低温試料貯蔵装置3における貯蔵領域7および移送領域26の熱分離のための断熱方法では、該方法は、
(a)水平X方向の直交格子のm個の第1の格子定数9と、水平Y方向の該直交格子のn個の第2の格子定数(10)とを備える、貯蔵領域7を提供するステップと、
(b)本発明による多数のm×n個の貯蔵スタック1を提供し、配設するステップと、を提供する。
【0078】
本発明による断熱方法は、各貯蔵スタック1の弾性外周シール25が、ハンドリングプレート16の外周面17、19を超えて全ての側部上に部分的に隆起し、断熱カバー15の断熱ブロック18が、該直交格子の第1の格子定数9に等しい寸法までX方向に圧縮され、かつ該直交格子の第2の格子定数10に等しい寸法までY方向に圧縮されることを特徴とする。
【0079】
弾性ポリマー発泡材料の発明的使用が提案される。この弾性ポリマー発泡体材料の使用は、低温試料貯蔵装置3の貯蔵領域7および移送領域26の密閉熱分離に適用される。以下は、使用を行うために提供される。
(a)水平X方向の直交格子のm個の第1の格子定数9と、水平Y方向の該直交格子のn個の第2の格子定数10とを備える、貯蔵領域7。
(b)本発明に従い、かつ貯蔵スタックアレイ8の中に配設される、多数のm×n個の貯蔵スタック1。
【0080】
発明的使用は、各貯蔵スタック1の弾性外周シール25が、ハンドリングプレート16の外周面17、19を超えて全ての側部上に部分的に隆起し、断熱カバー15の断熱ブロック18が、ポリエチレン発泡体から生成されることを特徴とする。
【0081】
弾性外周シール25は、好ましくは、少なくとも−80℃の温度に下げた温度でクリープを呈する、弾性ポリエチレン発泡体で作製される。
【0082】
あらゆる場合において明細書の中で各参照番号が慎重に割り当てられていない時であっても、図中の同じ参照番号は同じ特徴に関連する。説明されたおよび/または示された実施形態および変形例の相応な組み合わせは、本発明に帰属する。
【符号の説明】
【0083】
1 貯蔵スタック
2 試料容器
3 低温試料貯蔵装置
4 ロボット
5 底部貯蔵位置
6 上昇したアクセス位置
7 貯蔵領域
8 貯蔵スタックアレイ
9 第1の格子定数
10 第2の格子定数
11’ 第1の剛性側方支持フランジ
11’’ 第2の剛性側方支持フランジ
12 貯蔵ウェブ
13 剛性背面パネル
14 剛性底部プレート
15 剛性断熱カバー
16 15のハンドリングプレート
17 プレート外周面
18 15の断熱ブロック
19’ 垂直で平行なブロック外周表面
19’’ 傾斜したブロック外周表面
20 本質的に連続する断熱層
21 トラニオン
22 7の底部構造体
23 密閉間隙
23’ 第1の間隙部
23’’ 第2の間隙部
24 間隙アレイ
25 外周弾性シール
26 移送領域
27 担持ピン
28 ロボットの腕
29 hd PUシェル
30 hd PU安定化部分
31 ld PU充填材
32 周囲リム
33 貯蔵領域の壁構造体
34 金属安定化プレート
35 金属頂部プレート
36 ねじ
37 ねじ
38 外側垂直コルゲーション
39 13の削除部分
40 内側垂直コルゲーション
41 金属底部プレート
42 ハンドリング開口部
43 ハンドリング陥凹
44 強化された膨張安定化部分
45 移行距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット(4)を備えた低温度試料貯蔵装置(3)に試料容器(2)を貯蔵する貯蔵スタック(1)であって、
前記ロボット(4)は、試料容器(2)を個々の貯蔵スタック(1)内部のX/Y平面に水平に位置決めするために、かつ前記低温試料貯蔵装置(3)内の底部貯蔵位置(5)と上昇したアクセス位置(6)との間においてZ方向に個々の貯蔵スタック(1)を垂直に移動させるために、デカルトのX、Y、およびZ座標に従って作動し、前記試料貯蔵装置(3)は貯蔵スタック(1)のアレイ(8)を収容する貯蔵領域(7)を画定し、前記貯蔵領域(7)は水平X方向の直交格子のm個の第1の格子定数(9)および水平Y方向の前記直交格子のn個の第2の格子定数(10)を備え、前記貯蔵スタックアレイ(8)の前記m×n個の貯蔵スタック(1)は、互いに隣接し、かつ垂直Z方向に平行に配向されるようになされ、
各個々の貯蔵スタック(1)は、
(a)Z方向に延在し、かつ前記貯蔵スタック(1)の中に挿入された試料容器(2)を支持するための多数の貯蔵ウェブ(12)を備えた第1および第2の剛性側方支持フランジ(11’、11’’)と、
(b)前記側方支持フランジ(11’、11’’)を互いにリジッドに連結する剛性背面パネル(13)と、
(c)少なくとも1つの側方支持フランジ(11’、11’’)および/または前記背面パネル(13)の下端部に固定された剛性底部プレート(14)と、
(d)少なくとも1つの側方支持フランジ(11’、11’’)および/または前記背面パネル(13)の上端部に固定された剛性断熱カバー(15)と、を備え
前記貯蔵ウェブ(12)は前記側方支持フランジ(11’、11’’)の周囲で隆起し、かつ同じZレベルでその上に位置する交互対でZ方向にグループ化され、
前記剛性断熱カバー(15)は、(i)プレート外周面(17)を伴うハンドリングプレート(16)と、(ii)ブロック外周面(19)を伴う断熱ブロック(18)と、を備え、
前記貯蔵スタックアレイ(8)の全ての貯蔵スタック(1)の前記m×n個の断熱カバー(15)は、本質的に連続する断熱層(20)を前記低温試料貯蔵装置(3)の前記貯蔵領域(7)に形成し、
前記ストレージスタック(1)には担持要素(21、27)が設けられ、前記担持要素(21、27)は、各個々の貯蔵スタック(1)の前記底部プレート(14)を前記低温試料貯蔵装置(3)の前記貯蔵領域(7)の底部構造体(22)に静的に接続し、これらの担持要素(21、27)は、前記個々の貯蔵スタック(1)およびこの貯蔵スタック(1)に挿入される全ての試料容器(2)の全重量を担持し、かつこの全重量を前記低温試料貯蔵装置(3)の前記貯蔵領域(7)の前記底部構造体(22)に与えるようになされていることを特徴とする貯蔵スタック(1)。
【請求項2】
前記個々の貯蔵スタック(1)の前記担持要素は1つ以上のトラニオン(21)として構成され、前記トラニオン(21)は、前記貯蔵スタック(1)の前記剛性底部プレート(14)に取り付けられ、かつ前記個々の貯蔵スタック(1)がその底部貯蔵位置(5)にある時に、前記低温試料貯蔵装置(3)の前記貯蔵領域(7)の前記底部構造体(22)に当接することを特徴とする請求項1に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項3】
前記個々の貯蔵スタック(1)の前記担持要素は1つ以上の担持ピン(27)として構成され、前記担持ピン(27)は、前記低温試料貯蔵装置(3)の前記貯蔵領域(7)の前記底部構造体(22)に取り付けられ、かつ個々の貯蔵スタック(1)がその底部貯蔵位置(5)まで降ろされた時に、前記底部プレート(14)によって当接されることを特徴とする請求項1または2に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項4】
前記断熱カバー(15)の前記ハンドリングプレート(16)および前記断熱ブロック(18)は、前記直交格子の前記第1および第2の格子定数(9、10)の95%を超える、好ましくは97%を超える、XおよびY方向の水平全体延長部を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちの1項に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項5】
前記断熱カバー(15)の前記ハンドリングプレート(16)および前記断熱ブロック(18)は、前記直交格子の前記第1および第2の格子定数(9、10)の99%以上のXおよびY方向の水平全体延長部を有することを特徴とする請求項1乃至4のうちの1項に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項6】
前記断熱カバー(15)の前記ハンドリングプレート(16)および前記断熱ブロック(18)は、前記直交格子の前記第1の格子定数(9)よりも2%未満であり、かつY方向の前記第2の格子定数(10)よりも1.4%未満であるX方向の水平全体延長部を有することを特徴とする請求項1乃至5のうちの1項に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項7】
前記断熱カバー(15)のハンドリングプレート(16)および前記断熱ブロック(18)は、前記直交格子の前記第1の格子定数(9)よりも1%小さく、かつY方向の前記第2の格子定数(10)よりも0.7%小さいX方向の水平全体延長部を有することを特徴とする請求項1乃至6のうちの1項に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項8】
前記断熱カバー(15)の前記ハンドリングプレート(16)および前記断熱ブロック(18)は、前記直交格子のX方向の前記第1の格子定数(9)の0.5%の第1の間隙部(23’)と、Y方向の前記第2の格子定数(10)の0.35%の第2の間隙部(23’’)とを画定することを特徴とする請求項6または7に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項9】
前記間隙部(23’、23’’)は、前記直交格子と一致する間隙アレイ(24)を形成することを特徴とする請求項8に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項10】
前記断熱カバー(15)は、(iii)前記ハンドリングプレート(16)と前記断熱ブロック(18)との間に部分的に位置する弾性外周シール(25)をさらに備え、
単一の貯蔵スタック(1)の前記弾性外周シール(25)は、前記ハンドリングプレート(16)および断熱ブロック(18)の前記外周面(17、19)を超えて全ての側部上において部分的に隆起し、前記直交格子のX方向の前記第1の格子定数(9)を超え、かつY方向の前記第2の格子定数(10)を超えて延在することを特徴とする請求項1乃至5のうちの1項に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項11】
単一の貯蔵スタック(1)の前記弾性外周シール(25)は、前記直交格子のX方向およびY方向の前記格子定数(9、10)を超えて約0.2%を超えて隆起することを特徴とする請求項10に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項12】
単一の貯蔵スタック(1)の前記弾性外周シール(25)は、前記直交格子のX方向およびY方向の前記格子定数(9、10)を超えて+25℃で約0.75%および−80℃で約0.35%隆起することを特徴とする請求項10または11に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項13】
前記弾性外周シール(25)は、少なくとも−80℃の温度に下げた温度でクリープを呈する弾性ポリエチレン発泡体で作製されることを特徴とする請求項10乃至12のうちの1項に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項14】
前記断熱カバー(15)の前記ハンドリングプレート(16)、前記断熱ブロック(18)、および前記底部プレート(14)は、同じXおよびY方向の水平全体延長部を有することを特徴とする請求項1乃至13のうちの1項に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項15】
前記断熱ブロック(18)は、高密度ポリウレタンシェル(29)と、高密度ポリウレタン安定化部分(30)とを備え、前記高密度ポリウレタンシェル(29)には、低密度ポリウレタン充填材(31)が充填されることを特徴とする請求項1乃至14のうちの1項に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項16】
前記断熱ブロック(18)の前記ハンドリングプレート(16)は高密度ポリウレタンで作製され、かつ前記断熱ブロック(18)の前記高密度ポリウレタン安定化部分(30)に接続されることを特徴とする請求項15に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項17】
前記断熱ブロック(18)は、前記断熱ブロック(18)の内部に埋め込まれかつ前記断熱カバー(15)の平行ブロック外周面(19)の領域内に位置する繊維強化膨張安定化部分(44)を備えることを特徴とする請求項15または16に記載の貯蔵スタック(1)。
【請求項18】
請求項1乃至17のうちの1項に従うn×m個の貯蔵スタック(1)を備えた貯蔵スタックアレイ(8)であって、
X方向の前記第1の格子定数(9)は、SBS規格に従うマイクロプレートの幅の110%〜120%の間であり、
Y方向の前記第2の格子定数(10)は、SBS規格に従うマイクロプレートの長さの105%〜115%の間であることを特徴とする貯蔵スタックアレイ(8)。
【請求項19】
X方向の前記第1の格子定数(9)は、SBS規格に従うマイクロプレートの幅の115.8%であり、
Y方向の前記第2の格子定数(10)は、SBS規格に従うマイクロプレートの長さの110.8%であることを特徴とする請求項18に記載の貯蔵スタックアレイ(8)。
【請求項20】
低温試料貯蔵装置(3)における貯蔵領域(7)および移送領域(26)の熱分離のための断熱方法であって、
(a)水平X方向の直交格子のm個の第1の格子定数(9)と、水平Y方向の前記直交格子のn個の第2の格子定数(10)とを備える貯蔵領域(7)を提供するステップと、 (b)請求項1に従う多数のm×n個の貯蔵スタック(1)を提供して配設するステップと、を含み、
各貯蔵スタック(1)の弾性外周シール(25)は、前記ハンドリングプレート(16)の前記外周面(17、19)を超えて全ての側部上に部分的に隆起し、前記断熱カバー(15)の断熱ブロック(18)は、前記直交格子の前記第1の格子定数(9)に等しい寸法までX方向に圧縮され、かつ前記直交格子の前記第2の格子定数(10)に等しい寸法までY方向に圧縮されることを特徴とする方法。
【請求項21】
低温試料貯蔵装置(3)の貯蔵領域(7)および移送領域(26)の密閉熱分離のための弾性ポリマー発泡材料の使用であって、
(a)水平X方向の直交格子のm個の第1の格子定数(9)と、水平Y方向の前記直交格子のn個の第2の格子定数(10)とを備える、貯蔵領域(7)が提供され、
(b)請求項1に従う多数のm×n個の貯蔵スタック(1)が提供され、貯蔵スタックアレイ(8)の中に配設され、
各貯蔵スタック(1)の弾性外周シール(25)は、前記ハンドリングプレート(16)の前記外周面(17、19)を超えて全ての側部上に部分的に隆起し、前記断熱カバー(15)の断熱ブロック(18)は、ポリエチレン発泡体から生成されることを特徴とする弾性ポリマー発泡材料の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−508237(P2013−508237A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533656(P2012−533656)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065656
【国際公開番号】WO2011/048058
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511049635)ネクサス バイオシステムズ,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Nexus Biosystems,Inc.
【Fターム(参考)】