説明

貯蔵容器およびその貯蔵容器の使用

【課題】噴霧装置内に設置されている浮遊ピストンが容器内で傾き、あるいは密封不良になり、貯蔵容器から液体が漏洩することを防止する。
【解決手段】液体用または粘性もしくは噴霧可能な製品用であって、計量配分装置3と接続可能な貯蔵容器1に関するものであり、そこで貯蔵容器が円筒形状で構成されていると共に、圧力平衡装置7を備えた底部6および反対側で開口した側を有しており、その開口した側には接続領域2を含んでおり、そして吸引力により折り畳み可能な内側袋状容器が貯蔵容器の中に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状、粘性または噴霧可能な製品用の貯蔵容器、およびその貯蔵容器の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
噴霧装置は既に例えば食品または栄養剤分野で、そして医療用途でも公知である。DE19938798A1号公報には、計量配分装置を備えたディスペンサーが記載されている。この噴霧装置の貯蔵容器は円筒状の容器により形成されており、その中に液体の取り出しをコントロールする浮遊ピストンが配設されている。
【0003】
そのような浮遊ピストンの欠点は、貯蔵容器の中で傾く可能性および密封不良であり、それと関連して貯蔵容器を完全に空にすることが不可能であり、そして場合により前述の密封不良により貯蔵容器から液体が漏洩することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE19938798A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことを前提に本発明の目的は、完全に空にできると共に完全な密封性を備えた貯蔵容器を提供すること、およびその用途を挙げることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的が、請求項1の特徴を有する貯蔵容器により達成される。請求項17〜19は、貯蔵容器の使用の可能性を記載している。利点のある別の実施形態は、従属請求項に含まれている。
【0007】
本発明により提供される貯蔵容器は、液体用または粘性もしくは噴霧可能な製品用であって計量配分装置と接続可能であり、そこで貯蔵容器が円筒形状で構成されていると共に、圧力平衡装置を備えた底部および反対側で開口した側を有しており、その開口側には接続領域を含んでおり、そして吸引力により折り畳み可能な内側袋状容器が貯蔵容器の中に配設されている。
【0008】
液体ないし粘性または噴霧可能な製品を貯蔵容器から完全に取り出しできることが、折り畳み可能な内側袋状容器により保証される。更に、この内側袋状容器が円筒形状で構成された貯蔵容器の中に位置しており、それにより内側袋状容器に入っている液体の二重保護を保証するので、この内側袋状容器がさらなるバリアを提供することになる。そのような貯蔵容器は結果として、従来技術で公知の貯蔵容器と比べて、より高い密封性を有している。
【0009】
貯蔵容器の内側袋状容器は、気嚢状で構成されているものとすることができる。気嚢状の構成は例えば、空にした時にクシャクシャになる又は押し潰しできる薄膜製袋状容器により実現できる。また風船に類似して、膨らませることのできる袋状容器の形態をした内側袋状容器も可能である。実施形態として内側袋状容器の材料厚さは、0.01〜0.2mmの範囲にあると好ましい。このような実施形態により、種々の円筒形状をした実施形態を含む貯蔵容器でほぼ100%の空間利用が可能になる。これには、例えば底面が楕円である円筒も含まれる。
【0010】
内側袋状容器は更に、軸方向で折り畳み可能な蛇腹により形成されているものとすることができる。この種の蛇腹は、空になる過程で蛇腹容器が折り畳まれる規定位置を示す少なくとも一つの円周方向折り目を、内側袋状容器が有していることを特徴としている。それ故に調和した、規則正しい様式で袋状容器を空にすることが可能になるので、気嚢状であるが前もって付けられた折り目のない内側袋状容器と比較して、遙かに十分に空にすることが可能になる。その軸方向で折り畳み可能な蛇腹は、少なくとも一つの折り目および/または蛇腹底部に、貯蔵容器の内壁と接触状態にある接触装置を有していると好ましい。このような本発明の構成により壁面に対する蛇腹の安定性が達成されるので、粘性製品または高密度の“扱いにくい”製品も、確実に空にすることが可能である。即ち、蛇腹の中に粘性製品が入っている時には、蛇腹が十分に安定した状態を保てないので、空にする時に問題の発生することが分かっていた。接触装置を備えた蛇腹のこの好ましい構成により、このことが回避される。
【0011】
その接触装置は一体の蛇腹構成部品として、或いは別個の追加部品として構成されているものとすることができる。そして前者の実施形態では接触装置が蛇腹と同じ材料で出来ており、蛇腹の製造時に一緒に直接形成されることもある。第二の実施形態では接触装置が別個の部品としてつくられ、そしてこの別個の部品が折り目の先端と接続されるようにしている。その先端は、リングを受け入れる対応する機構(例えば溝)を有していると好ましい。その機構はそこで、リングのみが容器内面に接触するように構成されている。これは最も簡単な場合には、例えば弾力性のあるゴムリングにより実現することができる。
【0012】
本発明には、接触装置が一つの折り目、複数の折り目、或いは全ての折り目に配設されている実施形態が含まれる。個々の折り目における接触装置の数は、その時の用途に従う。本発明には、接触装置が蛇腹底部に構成されている実施形態も含まれる。同様に、蛇腹底部および一つ又は複数又は全ての折り目に接触装置を配設している方法も一緒に含まれている。材料についていえば基本的に、蛇腹を製造するために使用される全ての材料が、接触装置を構成するために使用することができる。蛇腹の材料は、以下において更に詳細に説明する。
【0013】
本発明の別の実施形態が更に提案していることは、蛇腹の動作を追加的に補助するためにバネを配設する、そのときバネを貯蔵容器の内壁と蛇腹の外側の間にある中間空間に配設している、および/または他方でバネを袋状容器の内側に、更に云えば接続領域と蛇腹底部の間に設けていることである。引っ張りバネの構成の特に好ましい変形例では、そのバネがコイルバネであり、蛇腹の折り目の中に円周方向で嵌め込まれているようにしている。この実施形態では蛇腹の折り目も螺旋形状に構成されている。そのとき引っ張りバネは、全体または部分的に蛇腹の材料で覆われている。この実施形態で特に利点のあることは、蛇腹を空にする時に蛇腹と引っ張りバネが謂わば関連し合って収縮動作することであり、それが特に利点として蛇腹を機械的に補助することになる。よって、空にする過程で絡まる又はブロックされることがなく極めて薄肉の蛇腹を使用することができ、それにより貯蔵容器の機能が特に信頼性のあるものとなる。
【0014】
蛇腹が、貯蔵容器の底部に向いた下側で、貯蔵容器の内側に対してシールを形成しないように構成されている蛇腹底部を有していると好ましい。それにより、蛇腹と貯蔵容器の間および蛇腹の下側と貯蔵容器底部の間における中間空間で、圧力平衡することが確実に可能になる。
【0015】
別の変形例では蛇腹が、貯蔵容器の底部に向いた下側で蛇腹底部を有しており、その蛇腹底部が摺動ピストンとして構成されていると共に貯蔵容器の内側で摺動可能に取り付けられており、摺動ピストンが圧力平衡のために少なくとも一つの空気供給路を有している。摺動ピストンに、即ち蛇腹底部に更に一つの接触装置が配設されている場合には、これも蛇腹底部を通じて蛇腹内部への通気を可能にする空気供給路を有していると好ましい。
【0016】
更に、少なくとも一つの別の圧力平衡装置が貯蔵容器の接続領域に配設されていてもよい。それにより例えば蛇腹と貯蔵容器間の中間空間で、貯蔵容器の機能ないし噴霧過程を阻害し兼ねない過圧が形成されないことも保証される。それにより同様に、少なくとも二つの隣接する接触装置の間または接触装置と蛇腹底部/底部または接続領域間の中間空間で、過圧が形成されないことも保証される。
【0017】
蛇腹の材料厚みが0.1〜1mmの範囲にあると好ましく、0.1〜0.5mmが更に好ましい。それにより蛇腹の最適な安定性および傑出した密封性が保証される。蛇腹は、材料に予め付けられた折り目により実現される複数の折り目を有している。予め付けられた折り目の所で蛇腹が折り畳まれる。これにより、例えばアコーディオン状の蛇腹の折り畳みが可能になる。この構成により、液体の完全な取り出しが可能になる。材料厚みに関して蛇腹を非常に薄く実施(例えば0.1〜0.25mmの材料厚みに)できることにより、材料が節約される。
【0018】
内側袋状容器、好ましくは蛇腹の材料は、熱可塑性樹脂、エラストマー、シリコーン、熱可塑性エラストマー、およびその混合物、例えば熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン、からなる群から選ぶと好ましい。その材料は、使用目的に適した承認を得ている、例えば医学的に又は食品技術的に承認されている必要があろう。ここでは例えばサントプレーン(Santoprene)(登録商標)も考えられる。
【0019】
熱可塑性エラストマーは、室温では比較的標準エラストマーの挙動をするが熱供給の下では塑性的に変形し、それにより熱可塑性挙動を示すプラスチック材料である。次のグループで区分される:
・オレフィンベースの熱可塑性エラストマー、主にPP/EPDM、例えばサントプレーン(AES/モンサント)
・オレフィンベースの橋かけ熱可塑性エラストマー、主にPP/EPDM、例えばサーリンク(Sarlink)(DSM)、フォープレーン(Forprene)(ソフター(SoFter))
・ウレタンベースの熱可塑性エラストマー、例えばデスモパン(Desmopan)、テキシン(Texin)、ウテクラン(Utechllan)(バイエル)
・熱可塑性コポリエステル、例えばハイトレル(Hytrel)(デュポン)
・スチレン−ブロックコポリマー(SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、およびMBS)、例えばセプトン(クラレ)、またはサーモプラストK(Thermoplast K)(クライブルグ TPE)
・熱可塑性コポリアミド、例えばPEBA
円筒形状をした貯蔵容器の内面が、実施形態において摩擦低減被膜を有していてよい。それにより付着ないし摩擦が減少することにより、例えば摺動ピストンが貯蔵容器の中で最適に摺動できることが保証される。場合によっては摺動ピストンおよび/または接触装置の外側も、摩擦低減被膜を有していてよい。それにより上述の効果が更に改善される。摩擦低減被膜がポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリ(オルガノ)シロキサン、グラファイト、グリセリンを含む又は備えていると好ましい。
【0020】
更に、貯蔵容器の接続領域は、噛み込み、噛み合い、螺合による接続で形成されていることができる。ここでは貯蔵容器に計量配分装置を接続する又は固定するための領域が、使用する材料に従って最適の形で形成される。
【0021】
貯蔵容器の好ましい実施形態では底部が、円筒形状をした容器と一体で構成されていることができる。これにより簡単且つコスト的に有利な容器の製造が可能になる。更に、この変形実施例では溶接継ぎ目がないので、特に良好な密封性が保証される。
【0022】
それに対する代替として底部が円筒形状をした容器と固定接続されていることができ、それは例えば加締めまたは螺合により行われる。
貯蔵容器の底部は、少なくとも一つの開口部および/または少なくとも一つのフィルターメッシュを有していることができる。この場合にフィルターメッシュは、空気を通してバクテリア・胞子を通さないような特性を有している。それにより、完全に細菌類のないことが保証される。更に開口部またはフィルターメッシュにより、蛇腹と貯蔵容器および周囲間の中間空間で、装置の機能を制限し兼ねない負圧または過圧が形成されないことが保証される。
【0023】
フィルターメッシュが活性炭フィルター、ナイロン膜、またはフッ化ポリビニリデン膜であると好ましい。活性炭は物質全般を吸着できるので、貯蔵容器の内側空間が保護される。活性炭フィルターは、二つの膜の間でサンドイッチ状に挟み込まれていてもよい。
【0024】
更に、貯蔵容器の底部と蛇腹底部の間または底部と摺動ピストンの間に、圧縮バネを設けていることができる。これは、特に粘性製品のときに、折り畳み可能な内側袋状容器を特に空にし易くする。
【0025】
更に、接続領域において貯蔵容器の開口側で、蛇腹用の支持装置を設けていることができる。この支持装置は、折り畳み可能な蛇腹用の支持面としての役割を果たすように構成されている。該当寸法で設計されている。
【0026】
貯蔵容器が円筒状に構成されていると好ましい。貯蔵容器は、ガラス、金属、特にアルミないしブリキ、プラスチック、好ましくはポリプロピレンまたはポリエチレンで形成されているものとすることができる。これらの材料により特に貯蔵容器の安定性および密封性が保証されるが、その理由は、噴霧することになる製品に従って、意図する用途に最も良く合致する或いは適する材料が選択されるからである。
【0027】
前記で記載した貯蔵容器は、医療製品、薬剤製品、化粧品、洗剤、化学薬品、栄養補給剤、あるいは液体香辛料を貯蔵するために好ましく使用される。貯蔵容器は、好ましくは保存剤なしで、点眼剤および、鼻内スプレー用の調合剤を貯蔵するために機能することができる。貯蔵容器は、ビタミン、ミネラル物質、酵素、共酵素、植物エキス、バクテリア、酵母を個々の物質としてまたはこれら物質の複数を備える混合物として含む調合薬剤を、好ましくは保存剤なしで貯蔵するために機能することができる。
【0028】
ここで考えられることは、折り畳み可能な内側袋状容器または蛇腹を完全に空にした後に、対応して構成した接続領域で取り外し、充填された新しい内側袋状容器を貯蔵容器に挿入することである。内側袋状容器の再充填も、特に食品、栄養品、または化粧品の分野で考えられる。このことは更に、プラスチックないし材料の消費が少ないことと関係するので、環境保護の考えを考慮することになる。
【0029】
以下に示す図1〜図9bを使って、出願となる対象を詳細に説明することにするが、ここで示した特定の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)は、本発明による貯蔵容器を、下側から底部なしで示した図である。(b)は、噴霧装置を長手方向断面で示した図であり、そのとき本発明による蛇腹が、所謂フィンガー形状部による底部安定機構を有しており、部分的に充填されている。(c)は、図1(b)で図示した実施形態の長手方向断面を示しており、この場合には蛇腹が完全に空にされている。
【図2】(a)は、噴霧装置の長手方向断面を示した図であり、そこでは蛇腹の底部が摺動ピストンと接続している。(b)は、完全に空にされた状態にある図2(a)の実施例の変化を示している。
【図3】(a)は、既に図2(a)で図示しているような噴霧装置の断面図を示しているが、この場合には圧縮バネとフィルターメッシュが追加して貯蔵容器の底部に配設されている。(b)は、図3(a)で図示しているような実施形態の長手方向断面を示しているが、この場合には完全に空にされた状態である。
【図4】噴霧装置の接続領域の一部を拡大した断面を示しており、そのとき内壁と摺動ピストンが、摩擦低減被膜を有している。
【図5a】接触装置を備えた貯蔵容器の実施形態を図示している。
【図5b】接触装置を備えた貯蔵容器の実施形態を図示している。
【図5c】接触装置を備えた貯蔵容器の実施形態を図示している。
【図6】接触装置の色々な実施形態を示している。
【図7】接触装置だけでなく戻しバネも有する貯蔵容器の実施形態を示している。
【図8】接触装置だけでなく戻しバネも有する貯蔵容器の実施形態を示している。
【図9a】接触装置だけでなく戻しバネも有する貯蔵容器の実施形態を示している。
【図9b】接触装置だけでなく戻しバネも有する貯蔵容器の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1(a)では本発明による円筒状貯蔵容器1の下側外観を、底部なしで示している。ここではフィンガー形状部14が、蛇腹9の蛇腹底部13に配設されている。この蛇腹は貯蔵容器1の内側にある。
【0032】
図1(b)は噴霧装置の長手方向断面を示しており、そこではポンプヘッド3が接続領域2を介して、本発明による貯蔵容器1に装着されている。接続領域2にある係止接続部15を介して、本発明による貯蔵容器1が計量配分装置3と接続しており、それをここでは例示的に全ての実施形態のために示している。貯蔵容器1における、計量配分装置3の方向を向いた領域には、蛇腹9用の支持装置10が配設されている。蛇腹9は折り目11を有しており、それにより蛇腹9を最適に折り畳むことが可能になる。そこでは蛇腹9の折り目11が対称的な形状に構成されている、即ち、円筒形状をした蛇腹9の場合には折り目が、同心で円周方向に取り巻く屈曲部を示しており、それを使うことにより蛇腹9が、空にする過程で重なり合う。しかしながらこれに対する代替として、螺旋形状で円周方向に取り巻く折り畳みも可能であり(図示していない)、これは、螺旋形状で取り巻くエンドレスの折り目と呼ぶことができるであろう。折り畳みについて記載の変形例は、以下で説明する図においても適用することができる。貯蔵容器1の底部6の方向に向いた蛇腹底部13は、フィンガー形状部14を有しており、そのときフィンガー形状部14の間に、空気が妨害されることなく循環できる凹みが形成されている。貯蔵容器1の内側は、摩擦低減被膜5を有していることができる。貯蔵容器1と蛇腹9の間に負圧または過圧の発生することがないように、貯蔵容器1の底部6にある開口部7を通じて外部空気の供給が可能である。この図では蛇腹9が、液体で殆ど満杯にされている。
【0033】
図1(c)は、図1(b)で示している実施形態の長手方向断面を示しており、ここでは蛇腹9が完全に空にされており、それにより、接続領域2に位置している支持装置10に直接当接している。
【0034】
図2(a)は噴霧装置の長手方向断面を示しており、ここでは蛇腹底部13が、空気供給用の開口部を有する摺動ピストン(換言すれば、抗力ピストン)4として構成されている。貯蔵容器1の内側に配設されている蛇腹9は、折り目11を有している。貯蔵容器1の底部6は、通気のために開口部7を有している。計量配分装置3と貯蔵容器1の間の接続領域2に支持装置10がある。
【0035】
図2(b)は、図2(a)で図示しているような噴霧装置の長手方向断面を、空にされた状態で示している。ここでは蛇腹9が、計量配分装置3と貯蔵容器1間の接続領域2にある支持装置10に対して完全に折り畳まれて位置している。貯蔵容器1の底部は二箇所の開口部7を有しており、それを通じて空気が貯蔵容器1に達することができ、それが貯蔵容器1の内部での圧力平衡だけでなく、周囲との圧力平衡も保証する。
【0036】
図3(a)は、最大内容量が入った噴霧装置の長手方向断面を示しており、そこでは蛇腹9は摺動ピストン4と接続している。ここでは摺動ピストン4と円筒状の貯蔵容器1の底部6の間に、更に圧縮バネ8’が配設されている。貯蔵容器1の底部6はフィルターメッシュ12を有しており、それが空気の通過を保証している。貯蔵容器1の内側は、摩擦低減被膜5でコーティングされていることができる。蛇腹9は折り目11を有しており、それが蛇腹9をアコーディオン状に折り畳めるようにする。計量配分装置3と貯蔵容器1の間にある接続領域2には、蛇腹9のための支持装置10が配設されている。
【0037】
図3(b)では、図3(a)で図示している噴霧装置の長手方向断面を図示しており、ここでは蛇腹9が完全に空になって支持装置10上に位置している。その支持装置10は、貯蔵容器1と計量配分装置3の間にある接続領域2にある。蛇腹9は摺動ピストン4と接続している。そして圧縮バネ8’が可能な限り伸びている(換言すれば、弛緩している)。貯蔵容器1の底部6はフィルターメッシュ12を有しており、それが周囲との空気の入れ替えを可能にしている。摺動ピストン4が出来るだけ摩擦のない動作を行うようにするために、貯蔵容器1の内側部分には摩擦低減被膜5が設けられている。
【0038】
図4は、本発明による円筒状の貯蔵容器1と計量配分装置3の間にある接続領域2の一部を拡大して示している。ここで摺動ピストン4は、支持装置10に直接接して位置している。摺動ピストン4だけでなく貯蔵容器1も、摩擦低減被膜5を有している。
【0039】
図5a〜5cでは、一つまたは複数の接触装置20を有する本発明の貯蔵容器の実施形態を図示している。そこでは接触装置20が動作方向に従って、例えば空にする方向では摩擦の減少を保証する一方で、反対向きの方向では蛇腹または摺動ピストンに強い制動効果を保証することができる。その限りで接触装置を、戻り防止(換言すれば、反動防止)接触装置として構成することができる。そのときは接触装置20が、制動要素20と貯蔵容器1の壁面間で、摩擦および/または静止摩擦を強く効かせる。その接触装置は、それが円筒形状をした貯蔵容器の壁面に嵌ってシールを形成するような寸法になっている。
【0040】
図5aでは、蛇腹底部13に固定された接触装置20を有する本発明の貯蔵容器を図示している。そこでは接触装置20が全面で蛇腹底部13と接続していると共に、円筒形状をした貯蔵容器1の壁面に円周方向に嵌ってシールを形成する。
【0041】
そのとき接触装置20が、蛇腹底部13に直接配設されており、そして蛇腹底部13の方向に開く要素の形状で成形されている。
図5bでは代替の実施形態を図示しており、そこでは接触装置が、外側に配置され貯蔵容器1の壁面の方向に向いた幾つかの折り目11に配設されている。
【0042】
ここでは例として接触装置が、一つおきの折り目11に配設されている。その接触装置20は輪ひも形状(換言すれば、ループ形状)で構成されており、蛇腹9の材料に一体に成形されている。
【0043】
図5cでは別の代替実施形態を示しており、そこでは円筒形状をした貯蔵容器1の壁面に向いた折り目11のそれぞれが接触装置20を有している。
図6(a)〜(g)では、種々の好ましい接触装置の実施形態を図示している。一連の図6(a)〜(g)で分かるように、ここでは例として常に一体で蛇腹の折り目11と接続している接触装置は、種々の幾何学的形状で構成されることができる。幾何学的形状の選択は基本的に、接触装置が、摺動機能を奏するように意図されているか又は制動機能を奏するように意図されているかによって決まる。そして接触装置は球として(図6(d))、または図6(b)で図示しているように水平な要素として構成されていることができる。また、図6(e)と図6(g)で図示しているように、ループ形状にした実施形態も可能である。図6(f)でも分かるように本発明には、接触装置が二部品で構成されている実施形態も含まれる、即ち、一方で折り目11の先端と一体で接続している水平の突出部31を備えており、そして更に貯蔵容器1の内壁と接触状態にあるリング形状の要素32が設けられているものも含まれる。
【0044】
材料の構成に関しては先に記述している蛇腹の材料を参照されたい。接触装置20は、勿論、更に摺動層を備えていることもできる。
図7は、本発明の貯蔵容器1における別の好ましい実施形態に関するものであり、蛇腹底部13に配設されており図5に従い構成された接触装置を有している。図7による貯蔵容器1は更に、空にする過程を補助する引っ張りバネ8を含んでいる。
【0045】
図8は別の代替実施形態に関するものであり、それは外側にある折り目11に複数の接触装置20を有している。更に蛇腹の内側に、即ち、接続領域2と蛇腹の底部13の間に引っ張りバネ8がある。
【0046】
図9による実施形態は、貯蔵容器の実施形態に関するものであり、そこでは円周方向の折り目11が引っ張りバネ8の形状に適合している。それにより、一つの円周方向にある折り目11が、一つの円周方向にある接触装置20を有している。そのとき引っ張りバネ8は、折り目11を通って延びている。引っ張りバネ8は、例えば蛇腹9の製造時に加工する、例えば鋳込む(換言すれば、埋め込む)ことができる。
【符号の説明】
【0047】
1 貯蔵容器
2 接続領域
3 ポンプヘッド、計量配分装置
4 摺動ピストン
5 被膜
6 底部
7 開口部
8 バネ
9 蛇腹
10 支持装置
11 折り目
12 フィルターメッシュ
13 蛇腹底部
14 フィンガー形状部
15 係止接続部
20 接触装置
31 突出部
32 リング状要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体用または粘性もしくは噴霧可能な製品用であって、計量配分装置(3)と接続可能である貯蔵容器(1)であって、
貯蔵容器(1)が円筒形状に構成されていると共に、圧力平衡装置(7,12)を備えた底部(6)、およびこれと反対側で開口した側を有しており、前記開口した側は接続領域(2)を含んでおり、吸引力により折り畳み可能な内側袋状容器が貯蔵容器(1)の中に配設されていることを特徴とする、貯蔵容器。
【請求項2】
請求項1に記載の貯蔵容器であって、
前記内側袋状容器が気嚢状に構成されている、又は軸方向で折り畳み可能な蛇腹(9)により形成されていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項3】
請求項2に記載の貯蔵容器であって、
蛇腹(9)の少なくとも一つの折り目(11)および/または蛇腹底部(13)に、貯蔵容器(1)の内壁と接触状態にある接触装置(20)が配設されていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項4】
請求項3に記載の貯蔵容器であって、
接触装置(20)が、少なくとも一つの折り目(11)と一体に構成されていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項5】
請求項3または4に記載の貯蔵容器であって、
接触装置(20)が別個の部品として構成されており、少なくとも一つの折り目(11)と接続していることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項6】
請求項5に記載の貯蔵容器であって、
接触装置(20)が弾性リング(32)を含んでいることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載の貯蔵容器であって、
接触装置(20)が制動装置として構成されていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか一項に記載の貯蔵容器であって、
貯蔵容器(1)の内壁と蛇腹(9)の外側との間に、引っ張りバネ(8)が設けられていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか一項に記載の貯蔵容器であって、
蛇腹(9)の内側で接続領域(2)と蛇腹底部(13)との間に、引っ張りバネ(8)が配設されていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項10】
請求項9に記載の貯蔵容器であって、
引っ張りバネ(8)がコイルバネであり、前記コイルバネが少なくとも一つの折り目(11)に円周方向で嵌り込んでいることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項11】
請求項2〜10のいずれか一項に記載の貯蔵容器であって、
蛇腹(9)が、貯蔵容器(1)の底部(6)の方向に向いた蛇腹(9)の下側に蛇腹底部(13)を有しており、前記蛇腹底部(13)は、
a)貯蔵容器(1)の内側に対してシールを形成するように構成されていないか、又は
b)摺動ピストン(4)として構成されていると共に貯蔵容器(1)の内側で摺動可能に取り付けられており、摺動ピストン(4)が圧力平衡のために少なくとも一つの空気供給路を有する、
ことを特徴とする貯蔵容器。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の貯蔵容器であって、
少なくとも一つの別の圧力平衡装置が、貯蔵容器(1)の接続領域(2)に配設されていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の貯蔵容器であって、
貯蔵容器(1)の底部(6)が、少なくとも一つの開口部(7)および/またはフィルターメッシュ(12)を有していることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の貯蔵容器であって、
円筒形状をした貯蔵容器(1)の内面および/または接触装置(20)および/または摺動ピストン(4)の外側が、摩擦低減被膜(5)を有していることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項15】
請求項2〜14のいずれか一項に記載の貯蔵容器であって、
底部(6)と蛇腹底部(13)の間または底部(6)と摺動ピストン(4)の間に、圧縮バネ(8’)が設けられていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項16】
請求項2〜15のいずれか一項に記載の貯蔵容器であって、
接続領域(2)における前記開口した側に、蛇腹(9)用の支持装置(10)が設けられていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項17】
医療製品、薬学製品、化粧品、洗剤、化学薬品、栄養補給剤、または液体香辛料を貯蔵するための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の貯蔵容器(1)の使用。
【請求項18】
請求項17に記載の使用であって、
貯蔵容器(1)が、好ましくは保存剤なしで、点眼剤および、鼻内スプレー用調剤を貯蔵するために機能することを特徴とする使用。
【請求項19】
請求項17に記載の使用であって、
貯蔵容器(1)が、ビタミン、ミネラル物質、酵素、共酵素、植物エキス、バクテリア、酵母を個々の物質としてまたはこれら物質の複数を備える混合物として含む調合薬剤を、好ましくは保存剤なしで貯蔵するために機能することを特徴とする使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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