説明

貼付剤および貼付製剤

【課題】貼付剤端部からの粘着剤層成分の滲み出しまたははみ出しが抑制され、包装体内で保存中、貼付剤等の包装体内面への付着が抑制されて、包装体内から取り出しやすく、また皮膚貼付性にも優れ、かつ使用に際し、剥離ライナーの粘着剤層からの剥離も容易である貼付剤および貼付製剤を提供する。
【解決手段】貼付剤等の少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の側面端部を、支持体の側面端部より中央部側に位置するようにし、かつ、剥離ライナーを下にして貼付剤を水平面上に置いた場合に、該端部における貼付剤等の支持体上面と剥離ライナー下面との間隔を、中央部における貼付剤等の厚さより大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とを備える貼付剤、および貼付製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の貼付剤や貼付製剤が開発されている。貼付剤や貼付製剤は、創傷面の保護、薬物の連続的経皮投与、肝臓の初回通過による薬物代謝、各種副作用の回避、という観点からは非常に優れたものである。
【0003】
貼付剤および貼付製剤は、一般に織布、不織布、プラスチックフィルムなどからなる支持体と、該支持体上に積層された粘着剤層とを有し、通常、該粘着剤層上に積層された剥離ライナーを備えた形態で、樹脂フィルムなどの包装材からなる包装体内に収容されて提供される。
【0004】
このような貼付剤および貼付製剤においては、創傷面の保護効果や、薬物の有効含有量を考慮すると、粘着剤層は一定の厚さを有することが要求される。しかし、粘着剤層の厚さが厚くなると、皮膚に貼付した際に、貼付剤等の端部が衣服等とこすれやすくなり、めくれやすくなるだけでなく、「コールドフロー」と呼ばれる貼付剤等の端部からの粘着剤層成分の滲み出しまたははみ出しが問題となる。
【0005】
コールドフローは、粘着剤層の特性に依存して生じるものであって、また貼付剤または貼付製剤に長時間荷重がかかる状態、すなわち包装体内に貼付剤等が収容された状態で、長期間保存される際などに多く生じる。
【0006】
コールドフローによる悪影響として、滲み出したり、はみ出したりした粘着剤層成分が包装体内面に付着することによる貼付剤等の包装体からの取り出し性の悪化、皮膚に貼付した際の貼付剤等のめくれや汚れ、薬物の流出による貼付製剤の薬効の低下などが挙げられる。従って、貼付剤および貼付製剤としては、その端部が衣服等とこすれにくく、かつコールドフローが生じにくく、さらに粘着剤層がもとの形状を保持するものが望ましい。
【0007】
このような問題に対する技術として、特開平11−1432号公報(特許文献1)には、剥離ライナーを支持体および粘着剤層の端部から延出させた、いわゆるドライエッジを有する貼付剤が開示されている。このような貼付剤においては、剥離ライナーに接する粘着剤層の端部から粘着剤層成分が滲み出したり、はみ出したりすることは、ある程度まで抑制される。しかし、かかる貼付剤では、支持体に接する粘着剤層の端部から粘着剤層成分が滲み出したり、あるいははみ出したりする恐れがあり、十分満足できるものではない。
【0008】
特開平6−63071号公報(特許文献2)には、輪郭形成され皮膚になじむ粘着剤層を有する傷用被包材(ドレッシング材)が開示されている。この傷用被包材の一例では、端部が面一に切断されているため、粘着剤層成分が端部から滲み出したり、はみ出したりして、包装体の内面に付着する恐れがある。
【0009】
また、上記特許文献に記載された別の例では、被包材端部が支持体にて覆われている。しかし、かかる貼付剤では、支持体の端部が粘着剤層の端部を覆い、貼付剤の端部において、支持体の端部と剥離ライナーの端部とが一致するので、使用時に剥離ライナーの端部に手指をかけて、これを剥離することが困難となる可能性がある。また、支持体の端部は、湾曲して粘着剤層の端部を覆う形状をとることを可能とするために、その材料および形状、特に厚さなどの選択の自由度が低い。特に、粘着剤層が厚い場合には、支持体の端部を粘着剤層の端部まで回りこませてこれを覆うことは、工業的な製造段階では容易ではないものと考えられる。事実、この例における貼付剤の粘着剤層の端部の厚さは、中央部のそれよりも薄くなるよう成形されており、粘着剤層端部の厚さを厚く保つことは困難であると推察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−1432号公報
【特許文献2】特開平6-63071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、(i)包装体からの取り出しやすさ、(ii)使用時の剥離ライナーの粘着剤層からの剥離性、(iii)皮膚への貼付性を高レベルに満足する貼付剤および貼付製剤の開発が要望されている。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、
(i)粘着剤層成分の貼付剤等の端部からの滲み出しまたははみ出しが抑制され、包装体内で保存中、貼付剤等の包装体内面への付着が抑制されて、包装体内からの取り出しが容易であり;
(ii)皮膚に貼付した際に、端部が衣服等とこすれる機会が低減され、端部がめくれにくく、十分な皮膚接着力を有し、皮膚面からきわめて脱落しにくく;
(iii)使用に際し、剥離ライナーの粘着剤層からの剥離も容易である貼付剤および貼付製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、貼付剤等の少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の側面端部を、支持体の側面端部より貼付剤等の中央部側に位置するようにし、かつ、該端部における貼付剤等の支持体上端と剥離ライナー下端との間隔を、中央部における貼付剤等の厚さより大きくすることにより、上述の課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は以下の[1]〜[9]に関する。
[1]支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層を有し、かつ粘着剤層の支持体とは反対側の面に剥離ライナーを有する貼付剤であって、
(a)粘着剤層の側面端部が露出しており、
(b)少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の側面端部が、支持体の側面端部より貼付剤の中央部側に位置し、かつ
(c)剥離ライナーを下にして貼付剤を水平面上に置いた場合に、貼付剤の該側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aが、貼付剤中央部の厚さBより大きいものである、貼付剤。
[2]少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の側面端部が、支持体の側面端部より1μm〜1000μm貼付剤の中央部側に位置する、上記[1]に記載の貼付剤。
[3]少なくとも一つの側面端部において、貼付剤の該側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aが、粘着剤層の該側面端部における貼付剤の厚さCよりも大きいものである、上記[1]に記載の貼付剤。
[4]少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の該側面端部における貼付剤の厚さCが、貼付剤中央部の厚さBと等しいものである、上記[1]に記載の貼付剤。
[5]少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層端部が凹面状である、上記[1]に記載の貼付剤。
[6]粘着剤層がゴム系粘着剤を含有する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の貼付剤。
[7]粘着剤層が架橋されていない、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の貼付剤。
[8]粘着剤層が有機液状成分を含有する、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の貼付剤。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかの貼付剤において、粘着剤層に薬物を含有させてなる、貼付製剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明の貼付剤および貼付製剤は、少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の側面端部が、支持体の側面端部より貼付剤等の中央部側に位置するので、貼付剤等の端部から粘着剤層成分が滲み出したり、はみ出したりしにくく、貼付剤等の保存中に、いわゆるコールドフロー現象が生じることが抑制される。それによって、貼付剤等の包装体内面への付着が抑制されるので、貼付剤等を包装体から容易に取り出すことができる。また、使用時に手がべたついたり、貼付部位にべたつき感を生じたりして、不快感を与えることも少ない。
【0016】
さらに、本発明の貼付剤および貼付製剤においては、粘着剤層の側面端部が露出され、支持体または剥離ライナーにより覆われていない。このことと、上述したように、粘着剤層成分の滲み出しやはみ出しの抑制により、包装体からの貼付剤等の取り出し性が改善されることとがあいまって、本発明の貼付剤等では、使用時に剥離ライナーの端部に手指をかけて、きわめて容易に剥離することができる。
【0017】
さらにまた予測困難なことに、少なくとも一つの側面端部において、貼付剤等の該側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aを、貼付剤等の中央部の厚さBよりも大きくすることにより、貼付剤等を皮膚に貼付した場合、貼付剤等は皮膚から長時間脱落し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施態様における貼付剤または貼付製剤の模式的な断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施態様における貼付剤または貼付製剤の模式的な断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施態様における貼付剤または貼付製剤の模式的な断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施態様における貼付剤または貼付製剤の模式的な断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施態様における貼付剤または貼付製剤の模式的な断面図である。
【図6】図6は、実施例1の貼付剤端部の断面の走査電子顕微鏡写真である。
【図7】図7は、実施例2の貼付剤端部の断面の走査電子顕微鏡写真である。
【図8】図8は、比較例1の貼付剤端部の断面の走査電子顕微鏡写真である。
【図9】図9は、比較例2の貼付剤端部の断面の走査電子顕微鏡写真である。
【図10】図10は、比較例3の貼付剤端部の断面の走査電子顕微鏡写真である。
【図11】図11は、包装体の2辺をハサミでまたはVノッチに従い開封し、貼付剤を取り出すようすを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、「貼付剤」とは、薬物の経皮吸収を目的とする製剤のみではなく、皮膚保護シート等のように、薬物等の有効成分を含有しない医療用または衛生用の皮膚用材をも包含する概念である。なお、薬物を含有するものは、特に「貼付製剤」ということとする。
【0020】
本発明の貼付剤のうち、医療用または衛生用の皮膚用材としては、絆創膏、皮膚用テープ、創傷被覆ドレッシング材等が挙げられ、フィルム状、シート状、パッド状等の形態で提供される。また、貼付製剤としては、局所作用または全身作用を目的とする経皮吸収型製剤として、マトリクス型、リザーバー型のいずれの製剤としても提供され得る。剤形としても、パッチ型、粘着テープ型、シート型等、種々の剤形をとり得る。以下、単に「貼付剤」という場合は、貼付製剤をも包含する意で用いる。また、粘着剤層と支持体との積層体を「貼付剤本体」と称する。
【0021】
続いて、本発明について、添付図面を引用しつつ説明する。なお、図1〜図5においては、各要素を模式的に示しているため、要素間の大きさ等の比は実際の貼付剤等のものとは異なっている。
【0022】
本発明の貼付剤は、実質的に平面状の扁平な形態である。本発明の貼付剤の平面形状は、略矩形のほか、三角形、五角形等の多角形、すなわち略直線で輪郭付けられる形状や、楕円、円形等の曲線で輪郭づけられる形状、それらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。貼付剤の大きさも限定されず、貼付剤の用途や適用箇所などに応じて、適宜選択することができるが、たとえば貼付剤の形状が略矩形である場合、その一辺の長さが15mm〜90mmであり、他辺の長さも15mm〜90mmであることが一般的である。本明細書では、本発明の貼付剤の平面形状において、区別可能な複数の領域が存在する場合、貼付剤の平面形状における重心を含む領域を中央部といい、貼付剤の平面形状における輪郭部を含み、かつ前記中央部の外側に存在する領域を周辺部というものとする。また、貼付剤中央部の厚さとは、貼付剤の中心部、すなわち貼付剤の平面形状の重心における貼付剤の厚さをいうものとする。
【0023】
本発明の貼付剤は、支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層を有し、かつ粘着剤層の反対側の面に剥離ライナーを有する。そして、粘着剤層の側面端部は露出しており、貼付剤の少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の側面端部が、支持体の側面端部よりも貼付剤の中央部側に位置する。すなわち、本発明の貼付剤の断面の形状を模式的に示す図1において、粘着剤層(2)の側面端部における支持体(1)の上端cと剥離ライナー(3)の下端dを結ぶ線分cdは、支持体(1)の上端aから剥離ライナー(3)の下端bを結ぶ線分abよりも、貼付剤の中央部側に位置する。かかる形状は、粘着剤層を支持体または剥離ライナー上に形成する際に、粘着剤層の形状を前記のように輪郭付けることにより形成することができる。たとえば、貼付剤の支持体の輪郭部に相当する部位より、貼付剤の中央部側に粘着剤層の輪郭部が位置するように、粘着剤層を形成する。あるいは、支持体および粘着剤層の側面端部が同一平面上にある貼付剤において、粘着剤層の側面端部の一部をかきとることによって、前記のような形状を形成する。なお、本明細書において、各図に示す断面は、支持体(1)面より貼付剤を垂直方向に切断したものである。
【0024】
また、本発明の貼付剤においては、剥離ライナーを下にして貼付剤を水平面上に置いた場合に、貼付剤の上記側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔A、すなわち図1中、支持体(1)の上端aから剥離ライナー(3)の下端に引いた垂線ab’の長さは、貼付剤中央部の厚さB、すなわち図1中、貼付剤中心部における支持体(1)の上端eから剥離ライナー(3)の下端に引いた垂線efの長さよりも大きい。本発明においては、AはBの101%〜200%とするのが好ましく、101%〜150%とするのがより好ましい。予測困難なことに、前記の構成をとる貼付剤本体を皮膚に貼付した場合、貼付剤本体は皮膚から長時間脱落し難いものであった。貼付剤の端部において、粘着剤層が存在しない部分を設けた場合、一般的には、貼付剤端部における皮膚接着力が低下し、皮膚から脱落しやすくなると予想される。しかし、本発明によれば、前記のような形状をとることによって、貼付剤を皮膚に貼付した際に、支持体の側面端部が衣服を若干持ち上げ、衣服を粘着剤層の側面端部から遠ざけるように作用することができ、貼付剤本体は、皮膚から長時間脱落し難くなるものと推測される。かかる形状を得る方法としては、予め前記形状に成形された支持体を粘着剤層に積層する手法、または平板状の支持体を粘着剤層上に積層した後、貼付剤を前記形状に成形する手法が例示される。
【0025】
本発明の好ましい実施態様においては、貼付剤の少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の側面端部が、支持体の側面端部より1μm〜1000μm、より好ましくは100μm〜800μm貼付剤の中央部側に位置する。すなわち、図1中、支持体(1)の上端部aと、粘着剤層(2)の側面端部における支持体(1)の上端部cを結ぶ線分acの長さが1μm〜1000μm、より好ましくは100μm〜800μmである。粘着剤層(2)の側面端部が支持体(1)の側面端部より1μm〜1000μmの位置に存在することにより、貼付剤の保存中において、貼付剤の側面端部からの粘着剤層成分の滲み出しまたははみ出しを十分に抑制することでき、貼付剤の側面端部における接着力が低下することも少ない。
【0026】
さらにまた、本発明の好ましい他の一実施態様においては、貼付剤の少なくとも一つの側面端部において、剥離ライナーを下にして貼付剤を水平面上に置いた場合に、該側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aは、粘着剤層の該側面端部における貼付剤の厚さCよりも大きい。すなわち、本実施態様の貼付剤の模式的な断面図である図2中、貼付剤の側面端部における支持体(1)の上端aから剥離ライナー(3)の下端に引いた垂線ab’の長さが、粘着剤層(2)の側面端部における支持体(1)の上端cから剥離ライナー(3)の下端に引いた垂線cd’の長さより大きい。本発明においては、AはCの101%〜200%とするのが好ましく、101%〜150%とするのがより好ましい。なお、本態様の貼付剤においては、CはBよりも大きい。
【0027】
また、貼付剤の調製方法や成形方法によっては、貼付剤において周辺部と、該周辺部より厚さの厚い中央部が存在する場合がある。かかる場合において、粘着剤層の側面端部における貼付剤の厚さCが、貼付剤中央部の厚さBより薄いものであっても、剥離ライナーを下にして貼付剤を水平面上に置いた場合に、該側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aが、粘着剤層の中央部における貼付剤の厚さBよりも大きければ、本発明の貼付剤に包含される。
【0028】
また他の実施態様の貼付剤の模式的な断面図を図3に示す。本実施態様の貼付剤では、貼付剤の少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の該側面端部における貼付剤の厚さCが、貼付剤の中央部における厚さBと等しい。その結果、(i)貼付剤が包装体の内壁面に付着し難く、貼付剤を包装体から容易に取り出すことができる、(ii)剥離ライナーを、貼付剤本体から容易に剥離することができる、(iii)貼付剤本体が皮膚から容易に脱落し難くなる、という本発明の効果がより明確となる。なお、貼付剤に周辺部および中央部が存在する場合であっても、貼付剤の側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aが貼付剤中央部の厚さBより大きく、かつ粘着剤層の該側面端部における貼付剤の厚さCが貼付剤中央部の厚さBと等しい限り、本態様の貼付剤に包含される。
【0029】
さらにまた、本発明の好ましい他の実施態様においては、貼付剤の少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層端部が凹面状の形態を有する。すなわち、本実施態様の貼付剤の模式的な断面図である図4において、該側面端部における粘着剤層(2)の側面端部の断面の形状が、中央部側にくぼんだ円弧状である。かかる形態とすることにより、貼付剤から剥離ライナーを容易に剥離することができる。前記形態は種々の手法で形成できるが、たとえば、レーザー照射などにより、粘着剤層側面を加工することが例示される。
【0030】
本発明の貼付剤において用いる支持体としては、特に限定されないが、実質的に薬物等不透過性であるもの、すなわち粘着剤層の活性成分や添加剤等が支持体中を通って背面から失われ、含有量の低下を引き起こさない材質のもので構成されることが好ましい。
【0031】
本発明において、支持体としては、樹脂、金属箔の単独フィルムやこれらの積層体が用いられる。支持体と粘着剤層との間の接着性(投錨性)を向上させるため、多孔質体と樹脂フィルムの積層体を用いることが好ましい。かかる場合、該積層体の多孔質体側に粘着剤層が積層される。多孔質体は、表面に凹凸を有し、それ自体が空隙部(気泡)を有する。粘着剤層は、前記空隙部に入り込み得るため、前記空隙部が粘着剤層成分の滲み出しやはみ出しを効果的に抑制し得る。
【0032】
上記多孔質体としては、多孔質フィルムおよびシートが挙げられるが、シートが厚さ200μm以上のものを指すとすると、多孔質フィルムを用いることが好ましい。前記多孔質フィルムとしては、単層フィルムであっても積層フィルムであってもよく、多孔質体に対する粘着剤層の移動を抑制するべく、投錨性を有するものを好適に使用することができる。具体的には紙、織布、不織布、編布、機械的に穿孔処理を施したフィルムおよび金属箔、ならびにこれらの積層体等が挙げられる。これらのうち取扱い性等の観点からは、特に紙、織布、不織布、およびこれらの積層体が好ましく、中でも不織布が好ましい。
【0033】
多孔質体と樹脂フィルムは、同種の材質のものであってもよく、異なる材質のものであってもよい。これらは公知の方法を用いて積層することができ、本発明の特徴を損なわない範囲内で、酸化防止剤、顔料、帯電防止剤などの各種添加剤が適宜配合されていてもよく、表面にコロナ放電処理、紫外線照射処理などの処理が施されていてもよい。
【0034】
支持体を構成する上記多孔質体および樹脂フィルムの材質としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;サラン(旭化成、米国ダウケミカル社の登録商標)をはじめとするポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、サーリン(米国デュポン社の登録商標)をはじめとするアイオノマー樹脂等のビニル系樹脂;エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ化炭素樹脂;またはこれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0035】
後述するように、貼付剤の周辺部に相当する領域を加圧、加熱することを特徴とする製造方法を採用する場合、粘着剤層成分の適度の移動を可能にして、所望の形状に成形するという観点から、支持体を構成する多孔質体および樹脂フィルムの材質としては、加熱され柔軟化されて変形し、次いで冷却後において変形した形状が維持されるようなものが好ましい。かかる材質を有する樹脂としては、熱可塑性樹脂、たとえばポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂が好ましく、特にポリエステル系樹脂、たとえばポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0036】
多孔質体の厚さは、投錨性向上、貼付剤全体の柔軟性および貼付操作性等の点から、10μm〜100μmの範囲とすることが好ましい。また、多孔質体として織布や不織布を用いる場合、十分な空隙部の確保および投錨性の観点から、その目付量は好ましくは5g/m〜50g/mであり、より好ましくは10g/m〜30g/mである。
【0037】
上記した多孔質体の厚さは、貼付剤をルテニウム酸水溶液で染色した後、凍結ミクロトームにより切断し、切断面を超高分解能電解放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて、50倍〜1000倍の倍率で撮影し、ゲージ目盛りにより測定することができる。その際、多孔質体の表面には凹凸が存在するが、切断面の写真において前記凸部10箇所を無作為に選択し、当該凸部について測定された多孔質体の厚さを算術平均して、多孔質体の厚さとする。
【0038】
また、本発明において、多孔質体の目付量は、上記多孔質体の厚さに多孔質体の比重(見かけ比重)を乗じて、多孔質体の単位面積あたりの重量を算出することにより求めることができる。
【0039】
多孔質体に積層する樹脂フィルムとしては、単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよいが、非多孔質であり、活性成分に対して不透過性を示す樹脂からなるフィルムが好ましい。かかる樹脂フィルムは、粘着剤層成分が支持体の背面を透過して、含有量が低下することを抑制する作用を有するとともに、粘着剤層が薬物を含む場合、いわゆる密封包帯法(ODT)効果を達成するために好ましく用いられる。
【0040】
樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは1μm〜45μmである。1μm以上とすることにより、成形性が良く、操作性に優れ、取り扱いが容易となる。一方、45μm以下とすることにより、樹脂フィルムの剛性により、貼付時に皮膚に違和感を発生することが少なくなる。また、後述するように、貼付剤本体の周辺部に相当する領域を加圧、加熱する製造方法を採用する場合に、良好な成形性が認められる。なお、本発明において、樹脂フィルムの厚さは、上記多孔質体の厚さと同様に測定することができる。
【0041】
従って、本発明において好ましく用いられる支持体としては、厚さ1μm〜45μmのポリエステル系樹脂フィルム(より好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルム)と、目付量10g/m〜30g/mのポリエステル系樹脂(より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート)製不織布との積層フィルムが挙げられる。
【0042】
なお、貼付剤を貼付した時の皮膚追従性および快適性を考慮すると、支持体全体の厚さは、5μm〜200μmとするのが好ましい。
【0043】
次に粘着剤層の構成成分およびその調製方法について説明する。なお、粘着剤層の調製について以下に記載する各成分の配合量は、溶媒を除く全成分の配合量に対する各成分の配合量の割合を重量%単位で示したものである。
【0044】
粘着剤層は、粘着剤を、必要に応じて薬物、粘着付与剤、有機液状成分などの成分とともに溶媒に添加して混合し、粘着剤層形成用組成物を得、これを塗布などの方法により層状にし、乾燥することにより形成することができる。粘着剤層としては、皮膚接着性の観点から疎水性粘着剤層が好ましく、従って非含水系の粘着剤層が好ましい。かかる観点から、前記溶媒としては有機溶剤が好ましい。
【0045】
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されないが、アクリル系重合体からなるアクリル系粘着剤;スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体(たとえばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等);ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のゴム系粘着剤;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベース等のシリコーン系粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート等のカルボン酸エステル成分とエチレングリコール等の多価アルコール成分からなるポリエステル系粘着剤などが挙げられる。
【0046】
本発明において、粘着剤層は、上記粘着剤層に対し架橋処理を施した架橋粘着剤層であってもよく、架橋処理を施していない非架橋粘着剤層であってもよい。ここで架橋処理とは、粘着剤層を構成する粘着剤層成分において、分子間または分子内に結合を形成し得る公知の処理をいう。架橋処理により、貼付剤の皮膚接着力を十分に維持することと、貼付剤を皮膚表面から剥離する際の皮膚の引っ張り感、皮膚角質層の物理的剥離といった皮膚刺激を低減することを両立させることができる。架橋処理としては、架橋剤等による化学的架橋処理、イオン架橋処理、電子線や紫外線等による物理的架橋処理が挙げられる。架橋剤としては、酢酸亜鉛などの金属塩、エポキシ化合物、アミド化合物、アミン化合物、酸無水物、過酸化物、イソシアネート化合物等が例示される。
【0047】
粘着剤層が架橋されていない非架橋粘着剤層である場合、貼付剤の端部からの粘着剤層成分の滲み出しまたははみ出しが起こりやすい傾向にあるが、本発明の貼付剤は、粘着剤層が非架橋粘着剤層であっても、粘着剤層成分の滲み出しやはみ出しを効果的に抑制することができるため、かかる場合に特に有利である。
【0048】
同様に、粘着剤層がゴム系粘着剤を含有する粘着剤層である場合、貼付剤の端部からの粘着剤層成分の滲み出しまたははみ出しが起こりやすい傾向にあるので、本発明の貼付剤は、かかる場合にも特に有利である。
【0049】
ゴム系粘着剤は、適度な粘着力や薬剤溶解性を得るため、同一成分または異なる成分で平均分子量の異なるものを混合して使用することができる。たとえば、ポリイソブチレンを例に挙げて説明すると、粘度平均分子量が1,800,000〜5,500,000の高分子量のポリイソブチレン、粘度平均分子量が40,000〜85,000の中分子量のポリイソブチレン、および必要によりさらに低分子量のポリイソブチレンとの混合物が好ましい。なお、本発明において粘度平均分子量とは、ウベローデ粘度計にてキャピラリー1を用いて20℃でフロータイムを測定し、下記Schulz−Blaschke式(1式)を用いてシュタウディンガーインデックス(J)を求め、次いで下記マーク・ホーウインク−桜田の式(2式)に前記J値を代入して算出されるものをいう。
=ηsp/c(1+Aηsp) (1)
上式中、ηsp=t/t−1
t;溶液のフロータイム(Hagenbach−couette補正式による)
;溶媒のフロータイム(Hagenbach−couette補正式による)
c;溶液の濃度(g/cm
A;高分子溶液に特有の定数
=kMvα (2)
Mv;粘度平均分子量
k、α;高分子に特有の定数
【0050】
ポリイソブチレンの場合、上記1式および2式において、A=0.31、k=3.06×10−2、α=0.65として、J値からMv値を算出することができる。
【0051】
粘着剤としてポリイソブチレンを用いる場合、高分子量のポリイソブチレンを通常は10重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜50重量%、中分子量のポリイソブチレンを通常は0重量%〜90重量%、好ましくは10重量%〜80重量%、低分子量のポリイソブチレンを通常は0重量%〜80重量%、好ましくは0重量%〜60重量%の割合で配合する。なお一般的に用いられる粘着剤層では、高分子量の成分の割合が増大すると硬質になり、低分子量の成分の割合が増大すると軟質になる。
【0052】
粘着剤層には、適度な粘着性を付与するために、たとえば、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂、キシレン樹脂等の粘着付与剤を含有させることができる。これら粘着付与剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。前記石油系樹脂としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、共重合体系(C5−C9系)石油樹脂、および芳香族系(C9系)石油樹脂を部分水素添加または完全水素添加することによって得られる脂環族飽和炭化水素樹脂が例示される。脂環族飽和炭化水素樹脂としては、環球法による軟化点が90℃〜150℃のものが好ましい。粘着付与剤の配合量としては、特に限定されないが、適度な粘着性を付与することができることと、配合量対効果の観点から、10重量%〜40重量%が例示される。
【0053】
所望により、粘着剤層には有機液状成分を含有させることができる。有機液状成分としては、室温(25℃)で液状であるもの、または2種以上を混合して用いる場合には、最終的に混合物が室温(25℃)で液状となるものであれば特に限定されない。たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;オリーブ油、ヒマシ油等の植物性油脂類;液状ラノリン等の動物性油脂類;スクアラン、流動パラフィンのような炭化水素類;各種界面活性剤;エトキシ化ステアリルアルコール;オレイン酸モノグリセリド、カプリル酸モノグリセリド、ラウリル酸モノグリセリドのようなグリセリンモノ脂肪酸エステル類;ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリプロピレングリコール、ジオレイン酸ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジアルキルエステル類;グリセリンジアセテート等のグリセリンジエステル類、グリセリントリアセテートなどのグリセリントリエステル類、またはそれらの混合物;クエン酸トリエチルなどの脂肪酸アルキルエステル類;イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の長鎖アルコール類;カプリル酸、オレイン酸、リノール酸のような高級脂肪酸類;ミリスチン酸イソプロピルのような高級脂肪酸のアルキルエステル類;N−メチルピロリドン、N−ドデシルピロリドンのようなピロリドン類;デシルメチルスルホキシドのようなスルホキシド類などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0054】
上記の有機液状成分は、好ましくは10重量%〜60重量%、より好ましくは15重量%〜60重量%、最も好ましくは20重量%〜60重量%配合することができる。有機液状成分を10重量%以上配合する場合には、粘着剤層が可塑化しやすく、粘着剤層の端部からの粘着剤層成分の滲み出しまたははみ出しが起こりやすい。それゆえ、これを効果的に抑制できる本発明は、かかる場合に有利である。なお、有機液状成分を60重量%を超えて配合する場合には、粘着剤層が一定形状を保持することが困難となる可能性がある。
【0055】
本発明において、粘着剤層の調製に用い得る有機溶剤としては、特に限定されないが、粘着剤層を構成する上記各成分と相溶性を有し、乾燥工程において容易に揮発させることができるものが好ましい。かかる有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン等のケトン類などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0056】
上記の各成分の混合方法としては、特に制限されないが、ニーダー、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ロールミル等の混練機、コロイドミル、ホモジナイザー等の分散機、プロペラ型翼攪拌機等の攪拌機などが挙げられ、これらは単独で使用することも2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0057】
粘着剤層を形成する組成物の塗布は、たとえば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを用いて行うことができる。架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、前記組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。該組成物が塗布される支持体の種類にもよるが、たとえばおよそ40℃〜150℃程度の乾燥温度を採用することができる。
【0058】
上記乾燥は、風乾することにより行ってもよく、乾燥装置、熱風、遠赤外線などを用いる公知の方法により行ってもよい。
【0059】
なお、本発明の貼付剤においては、粘着剤層の厚さは貼付剤の中心部において50μm〜500μmとするのが好ましく、100μm〜300μmとするのがより好ましい。さらに、貼付剤の中央部全域にわたり、粘着剤層の厚さが前記範囲内にあることが好ましい。粘着剤層の厚さを前記の範囲とする場合、皮膚保護効果に優れ、薬物等の有効成分をも十分含有させることができるとともに、皮膚貼付性にも優れる。
【0060】
貼付剤本体の粘着剤層の粘着面には、皮膚に貼付剤本体を貼付するまで粘着面を保護するため、剥離ライナーを積層することができる。剥離ライナーとしては特に限定されず、その材質としては、この分野で自体公知のものが挙げられ、具体的にはポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステル系樹脂フィルム;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等のビニル系樹脂フィルム;各種アクリル系及びメタクリル系ポリマー等のアクリル系樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;酢酸セルロース、再生セルロース(セロファン)、セルロイド等のセルロース系樹脂フィルム;あるいは上質紙またはグラシン紙等とポリオレフィン系フィルムとのラミネートフィルムなどが例示される。前記のうち、安全性、経済性および薬物移行性の点で、ポリエステル系樹脂フィルムを用いることが好ましい。前記剥離ライナーの厚さは、通常10μm〜200μm、好ましくは25μm〜100μmである。
【0061】
なお、剥離ライナーとしては、粘着剤層からの剥離を容易にするため、粘着剤層との界面側が易剥離処理されたものが好ましい。易剥離処理は特に限定されないが、公知の方法を用いて行うことができ、たとえば硬化性シリコーン樹脂を主成分とする離型剤を用いて、バーコート、グラビアコート等の塗布方法により剥離処理層を形成する処理方法が挙げられる。
【0062】
上記の剥離処理層の厚さは、剥離性および塗膜の均一性確保の観点から0.01μm〜5μmが好ましい。剥離処理層が形成された剥離ライナーの厚さとしては、取り扱い性の観点から通常10μm〜200μmであり、好ましくは50μm〜100μmである。
【0063】
本発明の貼付製剤において、剥離ライナーには、貼付剤本体よりも外側へ延出する延出部を設けることができる。該延出部は、貼付剤が包装体内に収容された際に、貼付剤本体の端部が包装体内面に接触する機会を減少させるので、貼付剤本体の端部から粘着剤層成分が滲み出したり、またははみ出したりしたとしても、これが包装体内面に付着して貼付剤が包装体から取り出しにくくなることを防ぐことができる。かかる効果に鑑みれば、本発明の貼付剤本体の少なくとも一部の周辺部において、剥離ライナーが延出部を有することが好ましく、全周辺部において、剥離ライナーが延出部を有することがより好ましい。剥離ライナーの前記延出部の長さとしては、前記効果を発揮し得ることと、包装体への収容に支障をきたさないことを考慮すれば、0.5mm〜10mm程度とすることが好ましく、1mm〜3mm程度とすることがより好ましい。
【0064】
また、剥離ライナーには、背割り部を設けることもできる。前記背割り部は、剥離ライナーの粘着剤層との接触面とは反対側の表面に切れ線を入れてなる。前記切れ線の形状は、直線状であってもよく、曲線状、たとえば波型であってもよく、またはこれらの組み合わせであってもよい。また、切れ線は実線であっても、破線であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。剥離ライナーに背割り部を設けることにより、貼付製剤を使用する際に、剥離ライナーを容易に取り除くことが可能となる。
【0065】
本発明においては、所望により粘着剤層に薬物を含有させて、貼付製剤を調製することができる。ここにいう薬物は特に限定されず、全身性作用薬、局所作用薬のいずれでも用いることができるが、ヒトなどの哺乳動物にその皮膚を通して投与し得る、すなわち経皮吸収可能な薬物が好ましい。そのような薬物としては、具体的には、たとえば、全身性麻酔薬、抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、精神刺激薬、睡眠薬、抗不安薬、抗癲癇薬、片頭痛治療薬、制吐薬、鎮暈薬、局所麻酔薬、筋弛緩薬、自律神経作用薬、鎮痙薬、パーキンソン病治療薬、副腎皮質ステロイド、非ステロイド抗炎症薬、鎮痛・解熱薬、抗リウマチ薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、強心薬、抗不整脈薬、利尿薬、降圧薬、血管収縮薬、血管拡張薬、狭心症治療薬、呼吸促進薬、気管支拡張薬、気管支喘息治療薬、鎮咳薬、去痰薬、ホルモン薬、造血薬、止血用薬、抗血栓薬、痛風・高尿酸血症治療薬、糖尿病治療薬、高脂血症治療薬、抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬、抗菌薬、化学療法薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、麻薬、禁煙補助薬などが挙げられる。これら薬物は遊離体の形態で用いてもよく、塩の形態で用いてもよい。
【0066】
上記薬物の貼付製剤中における含有量は、当該経皮吸収用薬物の効果が十分発揮され、粘着剤層の接着特性等を損なわない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは粘着剤層中に0.1重量%〜60重量%、より好ましくは0.5重量%〜40重量%含有される。0.1重量%より少ないと、治療効果が十分に得られない場合があり、60重量%より多いと、皮膚刺激発生の可能性があり、またそれ以上に治療効果の向上が得られず、経済的にも不利である場合がある。
【0067】
本発明の貼付剤の製造方法としては、上記貼付剤の形状等の説明において言及したように、種々の方法が考えられるが、工業的生産においては、たとえば以下の方法が製造効率の点で好ましい。
【0068】
まず、剥離ライナーの一方の面に、粘着剤層形成用組成物を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成する。その上に支持体を積層し、貼付剤打ち抜き用原反を得る。あるいは、支持体の少なくとも一方の面に、粘着剤層形成用組成物を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成する。その上に剥離ライナーを積層し、貼付剤打ち抜き用原反を得る。前記積層の手法としては、特に限定されず、プライマー等の塗布、接着、融着、溶着、圧着などの公知の手法が挙げられる。
【0069】
次に、上記の貼付剤打ち抜き用原反を、支持体側から、所定形状の加熱された押し型で加圧し、型押しする。そして型押し後、前記原反を所定の打ち抜き位置で打ち抜くことにより、本発明の貼付剤を得ることができる。前記押し型の所定形状は、加圧時に貼付剤の周辺部に相当する領域を少なくとも加圧しうる形状である。周辺部に相当する領域を加圧することにより、貼付剤の周辺部における粘着剤層を減少させ、ないしは取り除くことができる。また、押し型で前記原反を加圧し、押し型を除去した際、支持体の復元力により、貼付剤の側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aが、貼付剤の中央部の厚さBよりも大きい貼付剤を効率的に得ることができる。
【0070】
上述の通り、側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aが、貼付剤の中央部の厚さBよりも大きい貼付剤を得るためには、加熱された押し型を用いることが適している。前記方法により得られる貼付剤の模式的な断面図を図5に示す。加熱された押し型で型押しすることにより、加圧された領域の貼付剤中央部側に隣接する部分を含む支持体が熱で柔軟化した結果、加圧された領域の粘着剤層が逃げ、中央部(4)より厚さの薄い周辺部(5)の形成が助長される。いったん形成された貼付剤の前記形状は、その後放冷などにより冷却することにより、保持することができる。従って、本発明の好ましい態様としては、図5に示すように、中央部と、中央部(4)より厚さの薄い周辺部(5)を有する。なお、加熱された押し型の温度は、支持体の材質や厚さ、粘着剤層の組成等にもよるが、好ましくは90℃〜200℃、より好ましくは120℃〜180℃である。
【0071】
粘着剤層の側面端部の形状を凹面状とし、貼付剤周辺部の粘着剤層を除くためには、加圧時の圧力および加圧時間を調節することが好ましい。加圧時の圧力は、支持体の材質や厚さ、粘着剤層の組成等にもよるが、好ましくは10N/10cm〜1,000,000N/10cm(1.0×10N/m〜1.0×10N/m)、より好ましくは500N/10cm〜10,000N/10cm(5.0×10N/m〜1.0×10N/m)である。加圧時間は、やはり支持体の材質や厚さ、粘着剤層の組成等にもよるが、好ましくは0.05秒〜5秒であり、より好ましくは0.1秒〜2秒である。
【0072】
なお、型押し時において、押し型と型押し台との間隙は、支持体、周辺部の粘着剤層および剥離ライナーの厚さの合計±10μmとするのが好ましい。
【0073】
好ましい押し型の形状としては、貼付剤に接触しこれを加圧する加圧面としての平面部を含む任意の形状であって、貼付剤の周辺部のみを特異的に加圧し得るものであれば特に限定されず、加圧面としての平面部は貼付剤の周辺部に対応する形状、例えば同軸上の第一の矩形(正方形、長方形)と、それと相似であるがそれより小さい第二の矩形とで包囲され、対応する辺が平行に配置される形状が挙げられる。押し型の材質としては、特に限定されないが鉄製のものが好ましい。ステンレス製のものは、熱によるひずみが生じて加工しにくくなる可能性がある。また、アルミ製のものおよび真鍮製のものは、加工しやすいものの、型の耐久性に劣る可能性があり、好ましくないことがある。
【0074】
貼付剤等の打ち抜き手段としては特に限定されず、レーザー、押し切り刃などを用いて打ち抜く方法が挙げられる。切断寸法の調整および位置合わせが容易であり、きれいな端面が得られることから、好ましくは押し切り刃ダイセット(オス型およびメス型)で打ち抜く。
【0075】
本発明の貼付剤は、好ましい実施態様において、貼付剤本体の少なくとも一部の周辺部において剥離ライナーが延出部を有し、さらに好ましい実施態様において、貼付剤本体の全周辺部において剥離ライナーが延出部を有する。かかる少なくとも一部の周辺部については、所要の形状の押し切り刃ダイセット(オス型およびメス型)を使用し、まず貼付剤本体だけを打ち抜き、次いで剥離ライナーを打ち抜くことにより、容易に延出部を形成することができる。
【0076】
剥離ライナーの延出部の長さは、押し切り刃ダイセットのオス型とメス型の寸法差を調節することにより調節することができる。剥離ライナーの延出部の長さを長くするには、前記寸法差を大きくすればよい。剥離ライナーに背割り部を設ける場合は、剥離ライナーの中央部をダイロールにてハーフカットし、剥離ライナーのみに切れ線を入れることにより形成することができる。
【0077】
本発明の貼付剤および貼付製剤は、包装体内に収容して保存することが好ましい。前記の包装体は、一般的に貼付剤の包装に用いられる包装材を用いて製造することができる。包装材としては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、アイオノマーフィルム等のビニル系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム;ナイロンフィルム等のポリアミド系樹脂フィルム;セロファン等のセルロース系樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム、およびこれらの積層フィルム、さらにはこれらとアルミニウムの積層フィルムなどを挙げることができる。前記の包装材により製造された包装体に貼付剤を収容し、ヒートシール等の公知の方法により密封することができる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0079】
[実施例1、2および比較例1〜3] 貼付剤
(1)粘着シートの調製
<粘着剤層形成用組成物の調製>
高分子量ポリイソブチレン(粘度平均分子量;4,000,000) 0.620kg、脂環族飽和炭化水素樹脂(環球法による軟化点;120℃〜160℃) 1.127kg、トルエン 4.456kg、およびn−ヘキサン 4.726kgを秤量し、調合タンクにて24時間以上攪拌した。次いで、中分子量ポリイソブチレン(粘度平均分子量;55,000) 1.071kgを秤量し、調合タンクに投入し24時間以上攪拌した。その後、ミリスチン酸イソプロピル 1.232kgおよびトルエン 0.270kgを秤量し、調合タンクに投入し4時間以上攪拌して粘着剤層形成用組成物を得た。
<打ち抜き用原反の調製>
上記組成物を、バックロールとコンマロールからなるコーターを用いて、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(以下「PET」)製剥離ライナーの易剥離処理面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが160μmとなるように塗布し、乾燥した。得られた粘着剤層の粘着面を、厚さ3.5μmのPETフィルムと目付け量:10g/m〜20g/mのPET製不織布の積層体よりなる支持体のPET不織布面に圧着させ、貼付剤打ち抜き用原反を得た。
【0080】
(2)打抜包装機による貼付剤の成形
上記の貼付剤打ち抜き用原反を、型押し部(熱プレス+型押し金型)およびダイセット金型(オス型、メス型)を備える打抜包装機を用いて打ち抜き、貼付剤を成形した。型押し部の押し幅、加熱温度、および型押し時の圧力を表1に示すように調整することにより、実施例1、2及び比較例1〜3の貼付剤を得た。
【0081】
【表1】

【0082】
[試験例1] 貼付剤の形状の評価
実施例および比較例の各貼付剤をルテニウム酸水溶液で染色した後、凍結ミクロトーム(大和光機工業株式会社製、LR−85)により切断し、切断面をFE−SEM(株式会社日立製作所製、S−4800)にて、50倍〜1000倍の倍率で撮影した。各貼付剤の電子顕微鏡写真において、周辺部および中央部について、ゲージ目盛りを読むことにより、PET製フィルムおよびPET製不織布の厚さ、ならびに貼付剤本体の厚さ(粘着剤層の厚さと支持体の厚さの和)を測定した。その際、PET製不織布の表面には凹凸が存在するが、断面写真においてその凸部10箇所を無作為に選択し、当該凸部におけるPET製不織布の厚さを算術平均して、PET製不織布の厚さとした。次いで貼付剤本体の厚さからPET製フィルムの厚さおよび前記PET製不織布の厚さを差し引き、周辺部および中央部について、粘着剤層の厚さを求めた。また、貼付剤の側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端との間隔A、および粘着剤層の側面端部が支持体の側面端部よりどれだけ貼付剤の中央部側に位置するかを測定した。なお、実施例および比較例の各貼付剤について、それらの端部の断面の写真を図6〜図10に示した。
【0083】
図6〜図10より、実施例および比較例の各貼付剤について、(1)側面端部において、粘着剤層の側面端部が支持体の側面端部より貼付剤の中央部側に位置するかどうか、(2)側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔が貼付剤中央部の厚さよりも大きいかどうか、(3)側面端部において粘着剤層端部が凹面状であるかどうかを観察した。それぞれ該当する場合をY、該当しない場合をNとして、表2に示した。なお、各貼付剤において、中央部の粘着剤層の厚さは、すべて打ち抜き用原反の乾燥後の粘着剤層の厚さと同じで、160μmであった。また、実施例1および2の貼付剤においては、側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端との間隔Aは、中央部における貼付剤の厚さの101%〜150%の範囲内にあった。さらに、実施例1の貼付剤では、粘着剤層の側面端部は支持体の側面端部より500μm貼付剤の中央部側に位置していた。一方、実施例2の貼付剤では、粘着剤層の側面端部は支持体の側面端部より50μm貼付剤の中央部側に位置していた。
【0084】
[試験例2] 包装体からの貼付剤の取り出し性の評価
図11に示すように、貼付剤包装体の2辺をハサミで、またはVノッチに従い開封した。開封部より、貼付剤の角をつかんで取り出し、以下の評価基準に従い、包装体からの貼付剤の取り出し性を三段階で評価した。
<評価基準>
○;粘着剤層成分の滲み出しまたははみ出しがなく、容易に取り出すことができる
△;貼付剤の一部で粘着剤層成分の滲み出しまたははみ出しがあるが、取り出しは可能である
×;粘着剤層成分の滲み出しまたははみ出しが顕著であり、取り出しが困難である
【0085】
[試験例3] 皮膚貼付性の評価
専門の評価者が貼付剤を包装体から取り出し、朝から24時間胸部に貼付し、貼付状態について、以下の評価基準に従い、三段階で評価した。貼付剤を貼付している間の評価者の行動は通常通りとした。また評価者が朝に入浴する場合は、入浴直後(30分以内)を避けて貼付することとした。実施例および比較例の各貼付剤について、同一の評価者(1名)が1回ずつ評価した。
<評価基準>
○;貼付剤は24時間脱落せず、端部のメクレも発生しなかった
△;貼付剤は24時間脱落しなかったが、端部のメクレが発生した
×;貼付剤が24時間以内に脱落した
【0086】
[試験例4] 剥離ライナーの剥離性の評価
50歳以上の男性パネラー5名に、貼付剤から剥離ライナーを剥離させ、その剥離性について官能評価させた。評価結果を以下の基準で要約した。
<評価の要約基準>
○;全員が容易に剥離できると感じた
△;一部のパネラーが容易に剥離できないと感じた
×;全員が容易に剥離できないと感じた
【0087】
上記試験例2〜4の評価結果を表2に併せて示した。
【0088】
【表2】

【0089】
表2より、本発明の実施例1および2の貼付剤では、その側面端部において、粘着剤層の側面端部が支持体の側面端部より貼付剤の中央部側に位置し、また、側面端部の支持体上端と剥離ライナー下端との間隔が中央部の貼付剤の厚さより大きく、さらに、側面端部において粘着剤層の端部が凹面状であった。これらの貼付剤は、包装体からの取り出し性および皮膚貼付性について、いずれも良好な評価結果を得ていた。なお、粘着剤層の側面端部が支持体の側面端部より500μm貼付剤の中央部側に位置する実施例1の貼付剤は、粘着剤層の側面端部が支持体の側面端部より50μm貼付剤の中央部側に位置する実施例2の貼付剤に比べて、剥離ライナーの剥離性について、さらによい評価を得ていた。これに対して、側面端部の支持体上端と剥離ライナー下端との間隔が中央部の貼付剤の厚さより大きいものではない比較例1の貼付剤では、皮膚貼付性の評価が悪くなっていた。さらに、側面端部において粘着剤層の端部が凹面状ではない比較例2の貼付剤では、剥離ライナーの剥離性についての評価も悪くなっていた。側面端部において、粘着剤層の側面端部が支持体の側面端部より貼付剤の中央部側には位置せず、側面端部の支持体上端と剥離ライナー下端との間隔が中央部の貼付剤の厚さより大きいものでなく、さらに、側面端部において粘着剤層の端部が凹面状でもない比較例3の貼付剤では、包装体からの取り出し性、皮膚貼付性および剥離ライナーの剥離性のいずれにおいても、よい評価は得られていなかった。
【0090】
[実施例3、4] 貼付製剤
上記粘着剤層形成用組成物において、トルエン以外の全配合成分100重量部に対し、インドメタシン(消炎鎮痛剤)を1重量部加えて、経皮吸収性製剤用の粘着剤層形成用組成物を調製した。前記組成物を用いて、上記実施例1、2と同様の方法により貼付製剤を得た。実施例3および4の貼付製剤は、包装体からの取り出し性、皮膚貼付性および剥離ライナーの剥離性において、上記実施例1および2の貼付剤と同様の効果を奏するものである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上詳述したように、本発明によれば、端部から粘着剤層成分が滲み出したり、はみ出したりしにくく、保存中に、いわゆるコールドフローと呼ばれる現象の発生が抑制され、包装体内面に付着しにくく、包装体から容易に取り出すことができ、使用時に手がべたついたり、貼付部位にべたつき感を生じたりして、不快感を与えることの少ない貼付剤および貼付製剤を提供することができる。また、本発明により、皮膚に貼付した際に、端部が衣服等とこすれる機会が低減されて、端部がめくれにくく、十分な皮膚接着力を有し、皮膚面からきわめて脱落しにくく、剥離ライナーの剥離も容易な貼付剤および貼付製剤を提供することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 支持体
2 粘着剤層
3 剥離ライナー
4 中央部
5 周辺部
a 貼付剤側面端部における支持体の上端
b 貼付剤側面端部における剥離ライナーの下端
b’貼付剤側面端部における支持体の上端aから剥離ライナー下端に引いた垂線と剥離ライナー下端との交点
c 粘着剤層側面端部における支持体の上端
d 粘着剤層側面端部における剥離ライナーの下端
d’粘着剤層側面端部における支持体の上端cから剥離ライナー下端に引いた垂線と剥離ライナー下端との交点
e 貼付剤中心部における支持体の上端
f 貼付剤中心部における支持体上端eから剥離ライナー下端に引いた垂線と剥離ライナー下端との交点
A 貼付剤側面端部における支持体上端と剥離ライナーの下端の間隔
B 貼付剤中央部の厚さ
C 粘着剤層側面端部における貼付剤の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層を有し、かつ粘着剤層の支持体とは反対側の面に剥離ライナーを有する貼付剤であって、
(a)粘着剤層の側面端部が露出しており、
(b)少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の側面端部が、支持体の側面端部よりも、貼付剤の中央部側に位置し、かつ
(c)剥離ライナーを下にして貼付剤を水平面上に置いた場合に、貼付剤の該側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aが、貼付剤中央部の厚さBよりも大きいものである、貼付剤。
【請求項2】
少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の側面端部が、支持体の側面端部より1μm〜1000μm貼付剤の中央部側に位置する、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項3】
少なくとも一つの側面端部において、貼付剤の該側面端部における支持体上端と剥離ライナー下端の間隔Aが、粘着剤層の該側面端部における貼付剤の厚さCよりも大きいものである、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項4】
少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層の該側面端部における貼付剤の厚さCが、貼付剤中央部の厚さBと等しいものである、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項5】
少なくとも一つの側面端部において、粘着剤層端部が凹面状である、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項6】
粘着剤層がゴム系粘着剤を含有する、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項7】
粘着剤層が架橋されていない、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項8】
粘着剤層が有機液状成分を含有する、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の貼付剤において、粘着剤層に薬物を含有させてなる、貼付製剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−177453(P2011−177453A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47178(P2010−47178)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】