説明

貼付装置

【課題】 簡単な構成で台紙なしラベルを切断できる切断機構付の貼付装置であり、かつ、剥離仕様にも対応可能な貼付装置を提供する。
【解決手段】 基材の裏面に粘着剤層が露呈した台紙なしラベルLに印字を施すとともに下流に搬送する印字機構32と、台紙なしラベルを切断してラベル片LAとする切断機構8と、切断機構に近接して待機しラベル片を吸着・保持して移動する吸着盤5を有する貼付機構2とを備え、ラベル片を被貼付物に貼り付ける貼付装置1である。そして、切断機構は、印字機構の下流に設けられた固定刃3と、吸着盤の、固定刃に対峙した一辺に形成された可動刃7と、を備え、貼付機構を介して吸着盤を移動させることにより、固定刃と可動刃とが噛み合って台紙なしラベルを切断して単葉のラベル片LAとするとともに、ラベル片を吸着盤に吸着・保持したまま貼付機構を介して移動し、被貼付物に貼付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、切断機構を備えた貼付装置に係るもので、帯状の基材の裏面に粘着剤層を有する連続状の台紙なしラベルの切断を円滑に行うことができるようにするとともに、帯状台紙にラベル片が仮着されたラベル連続体よりラベル片を剥離する剥離仕様にも対応可能な貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンターに貼付装置を装着し、プリンター側にてラベル(ラベル片)に所望事項を印字した上で、貼付装置にて被貼付物にラベル片を貼付して表示するようなことが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1によれば、ラベルが仮着された帯状台紙よりラベルを剥離する「剥離機構」を備えており、「剥離機構」としての剥離板にて帯状台紙のみを転向し帯状台紙よりラベルを剥離して粘着剤層を露呈するとともに、この剥離されたラベルを下流側で待機するラベル貼付装置の吸着板にて確実に吸着させるため、受渡装置を介してラベル貼付装置へと搬送している(剥離機構付き貼付装置)。
しかしながら、この剥離機構付き貼付装置は受渡装置を必要とするため、装置が大型化し、かつ、受渡装置を必要とする分、コストアップになるという問題がある。
ところで近年、環境保護の一環として、省資源化の目的から台紙がなく、基材の裏面に粘着剤層が露呈した、いわゆる、「台紙なしラベル」と称する「被印字媒体」を用いる傾向が強まってきた。
この台紙なしラベルに対応した貼付装置としては、帯状の台紙なしラベルを切断して単葉のラベル片(ラベル)とし、この切断したラベル片を物品(被貼付物)に貼り付ける切断機構付きの貼付装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に開示された切断機構付きの貼付装置を図6に基づき説明すると、貼付装置20は、サーマルプリンター30に隣接して設けられている。
ラベルプリンター30は、主に、台紙なしラベルLを装着する供給軸31と、印字機構32と、カッター機構33と、ラベル引出し機構34とを備えており、供給軸31に装着した台紙なしラベルLは、ガイドローラ35、36を経て、プラテン37およびサーマルヘッド38を備えた印字機構32に移送され、所定の印字情報を印字される。印字機構32にて所望の印字が施された台紙なしラベルLは、回転刃39および固定刃40を備えたカッター機構(切断機構)33に移送され単葉のラベル片LAに切断され、さらに、下流に設けられた駆動ローラ41および従動ローラ42を備えたラベル引出し機構34にて貼付装置20側へと移送される。
貼付装置20は、前記サーマルプリンター30のラベル引出し機構34によって引き出されてきたラベル片LAを吸着する吸着盤21と、この吸着盤21をラベル引出し機構34よりさらに下流側にわずかに移動させるラベル引離し機構(図示省略)と、ラベル片LAを吸着した状態の吸着盤21を進退動方向(矢示Y方向)に移動させるシリンダーロッド23を有するラベル貼付機構22とを備え、ラベル引出し機構34により吸着盤21の底面に供給されてきたラベル片LAを吸着盤に21にて吸着するとともに、ラベル貼付装置22のシリンダーロッド23を貼付方向である進出方向に移動して被貼付物(図示省略)にラベル片LAを貼り付けるようになっている。
しかしながら、上記貼付装置20は、サーマルプリンター30側のカッター機構(切断機構)33にて台紙なしラベルLを切断し単葉のラベル片LAとした後、吸着盤21にてラベル片LAを吸着させるまでに引出し機構34を必要とし、しかも、引出し機構34からのラベル片LAの引き離しを確実とするため、ラベル片LAが吸着された吸着盤21を下流側にわずかに移動させるためのラベル引離し機構(図示省略)を設けるなど構成が複雑になり、コストアップにつながるなどの問題があった。
また、切断機構付きの貼付装置と剥離機構付きの貼付装置では、使用態様が異なるため、兼用が難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−62965号公報
【特許文献2】特開平9−175525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであり、簡単な構成で台紙なしラベルを切断できる切断機構付の貼付装置を実現し、かつ、剥離仕様にも対応可能な貼付装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る貼付装置は、基材の裏面に粘着剤層が露呈した台紙なしラベルに印字を施すとともに下流に搬送する印字機構と、前記台紙なしラベルを切断してラベル片とする切断機構と、前記切断機構に近接して待機し前記ラベル片を吸着・保持して移動する吸着盤を有する貼付機構とを備え、前記ラベル片を被貼付物に貼り付ける貼付装置であって、前記切断機構は、前記印字機構の下流に設けられた固定刃と、前記吸着盤の、前記固定刃に対峙した一辺に形成された可動刃と、を備え、前記貼付機構を介して吸着盤を移動させることにより、前記固定刃と可動刃とが噛み合って前記台紙なしラベルを切断して単葉のラベル片とするとともに、このラベル片を前記吸着盤に吸着・保持したまま前記貼付機構を介して移動し、前記被貼付物に貼付することを特徴とする。
ざらに、吸着盤に形成された前記可動刃を前記固定刃に対しわずかに斜め状態に対峙させるとともに、被印字媒体を吸着・保持する保持位置と、吸着盤に吸着・保持したラベル片を、被貼付物に対峙する貼付位置との2位置に揺動可能な揺動手段を備えるようにできる。
第2の発明に係る貼付装置は、帯状台紙にラベル片が仮着されたラベル連続体の前記ラベル片を被貼付物に貼付する貼付装置において、前記ラベル連続体の前記ラベル片に印字を施すとともに下流に搬送する印字機構と、前記印字機構の下流に設けられ固定刃を備えた固定刃支持部と、前記固定刃に対し着脱可能に設けられるとともに、鋭角部が形成された剥離板兼用のカバー体と、ラベル片を吸着・保持して移動する吸着盤を有する貼付機構と、前記固定刃支持部を上下方向および前後方向に位置調整する位置調整手段と、を備え、前記剥離板兼用のカバー体の前記鋭角部が下流側に突出するように前記カバー体にて前記固定刃を被覆し、かつ、前記鋭角部で前記ラベル連続体の帯状台紙のみを転向し帯状台紙より前記ラベル片を剥離して単葉のラベル片とするとともに、前記吸着盤に吸着・保持し、前記貼付機構を介して被貼付物に前記ラベル片を貼付する。
また、固定刃支持部の固定刃をカバー体で被覆した際、吸着盤の上流側の一辺がカバー体の先端部の上方に位置決めされるよう、位置調整手段を調整可能に設けることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1の発明に係る貼付装置は、印字機構の下流に設けられた固定刃と、吸着盤の、固定刃に対峙した一辺に形成された可動刃と、を備える切断機構を設け、貼付機構を介して吸着盤を移動させることにより、固定刃と可動刃とが噛み合って台紙なしラベルを切断して単葉のラベル片とするとともに、このラベル片を吸着盤に吸着・保持したまま貼付機構を介して移動して被貼付物に貼付するようにし、従来のように吸着盤に吸着させる位置までラベル片を搬送する受渡手段を不要としたため、装置自体がコンパクト化されるとともにコストの低減化が図れるという効果がある。
また、吸着盤に形成された可動刃を固定刃に対しわずかに斜め状態に対峙させるとともに、被印字媒体を吸着・保持する保持位置と、吸着盤に吸着・保持したラベル片を、被貼付物に対峙する貼付位置との2位置に揺動可能な揺動手段を備えるようにすれば、吸着盤を揺動するだけで、台紙なしラベルを吸着・保持する保持位置と、被貼付物に対峙してラベル片を貼り付ける貼付位置の2位置に揺動して位置決め可能となるため、簡単な機構で吸着盤を傾斜状態と水平状態に移動可能にできる。
また、第2の発明に係る貼付装置は、剥離板兼用のカバー体の鋭角部が下流側に突出するようにカバー体にて固定刃を被覆し、かつ、鋭角部でラベル連続体の台紙のみを転向し台紙よりラベル片を剥離して単葉のラベル片とするとともに、吸着盤に吸着・保持し、貼付機構を介して被貼付物にラベル片を貼付するようにしたので、1台の貼付装置で、台紙なしラベルにも帯状台紙にラベル片が仮着されたラベル連続体にも使用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る切断機構付の貼付装置の一実施の形態を示す概略側面図である。
【図2】同、図1中、II部分の拡大説明図である。
【図3】同、図1中、矢示III方向より見た概略正面図である。
【図4】本発明に係る貼付装置の他の実施の形態を示す、図1相当の概略側面図である。
【図5】同、図4中、矢示V方向より見た概略平面図である。
【図6】従来の貼付装置の一例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態につき、図1ないし図3に基づいて説明する。
なお、以下においては、従来と同様の部分には同一符号を付すに止め、詳説を省略する。
図1は、切断機構付の貼付装置の概略側面図であり、図2は、図1の要部を示す拡大説明図、図3は、図1中、矢示III方向より見た概略正面図である。
【0009】
本実施の形態の貼付装置1は、主に、プラテン37およびサーマルヘッド38を備えた印字機構32と、貼付機構2と、印字機構32の下流で、かつ、貼付機構2に近接して設けられる固定刃3が形成された固定刃支持部4と、揺動手段6と、主に、「被印字媒体」としての台紙なしラベルLを切断する後述の「切断機構」と、制御部9とを備えている。
【0010】
貼付機構2は、吸着盤5と、吸着盤5を進退動方向(矢示Y方向)および図示省略のコンベア等の搬送手段を搬送されてくる被貼付物Hに対し移動させるシリンダーロッド23と、シリンダーロッド23を揺動自在に支持する揺動手段6とを備えている。
吸着盤5は、印字機構32の下流側に待機し、印字機構32より下流に搬送されてきた台紙なしラベルLを吸着5面aにて吸着・保持するようになっている。また、吸着盤5の一辺には可動刃7が形成されている。すなわち、吸着盤5の上流側(印字機構32側)の下端部(図1および図2における吸着盤5の右端部かつ下端部)のエッジ部分の一辺に「刃」が形成されるものであり、シリンダーロッド23を介して吸着盤5が進出方向(矢示F方向)に移動することにより「可動刃」としての役割を果たすようになっている。
なお、吸着盤5は、図示省略の真空装置に接続され、この真空装置(図示省略)により少なくとも弱吸引または強吸引の2段階の吸引力が作用するよう制御されるようになっており、弱吸引時は、台紙なしラベルLが吸着盤5に吸着されつつ吸着面5aに沿って下流側に搬送されるものであり、また、強吸引時は、台紙なしラベルL(または、ラベル片LA)が吸着面5aに強固に吸着・保持されるようになっている。
【0011】
固定刃支持部4の一辺には、固定刃3が形成されている。すなわち、固定刃支持部4の上面部4aの下流側先端部(図1および図2における左側端部)には、幅方向(図3におけるW方向)にわたって固定刃3が形成されている。なお、固定刃支持部4の上面部4aは、台紙なしラベルLを吸着盤5側へ搬送する際の「ガイド面」の役目を果たすようになっている。
【0012】
また、揺動手段6は、吸着盤5を進退動方向(矢示Y方向)に移動させるシリンダーロッド23を揺動自在に支持するようになっており、吸着盤5が印字機構32の下流側に待機しているときは、主に、図3に示すように、水平状態に対しわずかに斜め上方に傾斜した状態となるよう吸着盤5を支持し、また、被貼付物Hに向けてシリンダーロッド23が移動・進出するに伴い、シリンダーロッド23およびシリンダーロッド23の先端部に取り付けられた吸着盤5の吸着面5aを被貼付物Hに対峙する位置に支持するよう揺動するようになっている。
揺動手段6により、シリンダーロッド23の先端部に取り付けられている吸着盤5は、印字機構32の下流側に待機しているときは、前述したように、印字機構32側から搬送される台紙なしラベルLを吸引・保持する位置(保持位置T)において、水平状態に対し少し傾斜した状態に支持され、また、吸着盤5の吸着面5aが被貼付物Hに対峙する位置に移動するときは、徐々に水平状態に揺動して被貼付物Hにラベル片LAを貼り付ける位置(貼付位置U:図3において想像線で図示してある)に揺動・支持されるものである。
【0013】
また、前記固定刃支持部4の固定刃3と、吸着盤5に形成された可動刃7が噛み合うことにより、台紙なしラベルLを切断して単葉のラベル片LAとするようになっている。すなわち、固定刃支持部4の上面部4aに沿って印字機構32側から搬送されてきた台紙なしラベルLは、保持位置Tに待機する吸着盤5と固定刃3の間に搬送される。このとき、真空装置(図示省略)を弱吸引作動することにより弱い吸着力が吸着盤5に作用するようにして吸着面5aにて台紙なしラベルLを吸着しつつ下流への搬送するようになっている。
所望の長さに達したとき真空装置(図示省略)を切り換えて強吸引作動することにより強い吸着力が吸着盤5に作用するようにして吸着面5aに台紙なしラベルLを吸着・保持するとともに、吸着盤5が先端に取り付けられているシリンダーロッド23を進出するものであり、シリンダーロッド23の進出に伴い先端に取り付けられた吸着盤5が進出し、一辺に形成された可動刃7が斜めに進出して固定刃3と噛み合うようになっており、固定刃3、吸着盤5の可動刃7、および可動刃7が形成された吸着盤5を移動させるシリンダーロッド23により台紙なしラベルLを切断して単葉のラベル片LAとする切断機構8が構成されるものである。
なお、制御部9は、前記貼付機構2や揺動手段6、図示省略の真空装置などの各部と接続され、揺動手段6およびシリンダーロッド23による前述の保持位置Tおよび貼付位置Uへの移動、真空装置(図示省略)の2段階の切り換えなどの制御を行なうようになっている。
【0014】
上述した本発明の形態に係る貼付装置1により、被貼付物Hにラベル片LAを貼付する作動状態を説明する。
吸着盤5は、固定刃3に近接して可動刃7が位置決めされるよう揺動手段6により、保持位置Tにて待機する(図3参照)。
台紙なしラベルLが、印字機構32にて所望の印字を施され固定刃支持部4の上面部4aにガイド(案内)されながら搬送されてきたのに同期して、図示省略の真空装置が弱吸引作動し、吸着面5aに台紙なしラベルLを吸着しつつ下流側へ搬送する(台紙なしラベルLの搬送は、印字機構32のプラテン37の回転により行われる)。このとき、真空装置(図示省略)の弱吸引力が吸着盤5に作用しているため、吸着面5aには、台紙なしラベルLが固定刃3の先端から下に落ちない程度、かつ、台紙なしラベルLの下流方向への搬送が妨げられない程度の吸着力が働く。
台紙なしラベルLが所望の長さに達すると、図示省略の真空装置が強吸引作動して吸着面5aに台紙なしラベルLを吸着・保持するとともに、シリンダーロッド23を進出(矢示F方向)する。
シリンダーロッド23の進出に伴い、シリンダーロッド23の先端に取り付けられている吸着盤5が進出することにより吸着盤5の一辺に形成された可動刃7が進出し、固定刃3と噛み合うことにより台紙なしラベルLを切断して単葉のラベル片LAとする(切断位置)。このとき、ラベル片LAは、真空装置(図示省略)の強吸引作動により吸着面5aに保持されたままの状態となっている。
切断機構8による台紙なしラベルLの切断が終了すると揺動手段6が作動し、シリンダーロッド23を揺動することによりシリンダーロッド23の先端に取り付けられている吸着盤5を水平状態にするとともに、搬送手段(図示省略)を搬送されてくる被貼付物Hに同期をとって貼付位置Uに位置決めし、図示省略の搬送手段により搬送されてくる被貼付物Hにラベル片LAを貼り付ける。
被貼付物Hにラベル片LAを貼付する際、真空装置(図示省略)の吸引作動を停止して吸着面5aに吸着・保持されているラベル片LAを解放状態(吸着・保持から解放)とする。
被貼付物Hに対するラベル片LAの貼付が完了すると、シリンダーロッド23が退動および移動するとともに、揺動手段6が作動して吸着盤5を保持位置Tに戻し、次の台紙なしラベルLの搬送を待つ。
【0015】
上述したように、印字機構32の下流に設けた固定刃3と、吸着盤5の一辺に形成した可動刃7とを噛み合わせることにより、台紙なしラベルLを切断して単葉のラベル片LAとするとともに、切断したラベル片LAをそのまま吸着盤5にて吸着・保持するので、従来のように「吸着盤」に吸着させる位置までラベル片LAを搬送する受渡手段が不要となるため、「貼付装置」がコンパクト化されるものである。
【0016】
また、揺動手段6によりシリンダ−ロッド23、およびシリンダーロッド23の先端部に取り付けられた吸着盤5を揺動するだけで、台紙なしラベルLを吸着・保持する保持位置Tと、被貼付物Hに対峙してラベル片LAを貼り付ける貼付位置Uの2位置に揺動して位置決め可能としたため、簡単な機構で吸着盤5を傾斜状態と水平状態に移動可能にできる。
【0017】
なお、水平方向に対し、わずかに斜め上方に傾斜した状態の保持位置Tに位置決めされた吸着盤5、ひいては吸着盤5の一辺に形成された可動刃7を固定刃3と噛み合わせる際、シリンダーロッド23を進出させる例で説明したがこれに限定されないことは勿論であり、シリンダーロッド23の進出とともに、揺動手段6を徐々に水平方向に揺動するようにしてもよく、シリンダーロッド23の進出と同期をとって揺動手段6を水平方向に徐々に揺動すれば、台紙なしラベルLを挟み切る力が増大するものである。
【0018】
また、「ガイド面」の役割を果たす固定刃支持部4の上面部4aは、台紙なしラベルLの基材の裏面に露呈した粘着剤層(図示省略)が引っ付きにくいよう、例えば、プラズマ加工等の加工を施すようにしてもよい。
【0019】
次に、主に、図4および図5に基づき、第2の実施の形態に係る貼付装置を説明する。
なお、以下においては、従来および先の実施の形態と同様の部分には同一符号を付すに止め、詳説を省略する。
なお、本実施の形態では、「被印字媒体」として帯状台紙Dにラベル片MAが仮着されたラベル連続体Mを使用した「剥離モード」の例で説明する。
供給軸31にラベル連続体Mを装着するに当たり、テンキーやディップスイッチなどの図示省略の入力手段を用いて、「剥離モード」に設定する。「剥離モード」に設定すると、ラベル連続体Mの帯状台紙Dよりラベル片MAを剥離するようになっている(詳細は後述する)。
貼付装置11は、主に、ラベル連続体Mを装着する供給軸31と、プラテン37およびサーマルヘッド38を備えた印字機構32と、貼付機構2と、印字機構32の下流で、かつ、貼付機構2に近接して設けられる固定刃3が形成された固定刃支持部4と、揺動手段6と、台紙巻取り機構12を備えており、印字機構32、貼付機構2、固定刃支持部4および揺動手段6の基本構成は、先の実施の形態とほほ同様の構成となっている。
【0020】
固定刃支持部4には、「位置調整手段」としての位置調整部13と、ガイドローラ14と、カバー体15とが設けられている。
位置調整部13は、縦位置調整部材13aと横位置調整部材13bとを備え、固定刃支持部4全体を上下流方向および上下方向(図4における左右方向並びに上下方向)に微調整して位置決め可能なようになっている。
ガイドローラ14は、固定支持部4の下端前方(図4おにおける下端の左側)に回転自在に設けられており、後述する帯状台紙Dのガイド用のローラである。
カバー体15は、一辺が鋭角形状を呈する鋭角部16となっており、前記固定刃3に対し着脱可能に設けられている。そして、カバー体15にて固定刃3を被覆するように装着し、「被印字媒体」を切断する固定刃3の「刃」の機能を発揮させないようになっている。さらに、固定刃3にカバー体15を装着すると、鋭角部16が下流側に突出するよう被覆され、カバー体15が「剥離板」の役目を果たすようになっている。
【0021】
台紙巻取り機構12は、ラベル連続体Mの帯状台紙Dを巻き取る巻取り軸12であり、前記「剥離板」の役目を果たすカバー体15にてラベル連続体Mの帯状台紙Dのみを転向と称する方向変換させ、前記ガイドローラ14を経て巻き取るようになっている。
【0022】
次に、貼付装置11により、被貼付物Hにラベル片MAを貼付する作動状態を説明する。
位置調整部13を使って固定刃支持部4を移動し、吸着盤5との位置を微調整する。この位置調整は、先の実施の形態における台紙なしラベルLの切断位置を「剥離モード」の吸着盤5の保持位置Tとすべく位置調整するものであり、カバー体15の鋭角部16の上方に対峙して吸着盤5の可動刃5側の一辺が重なるよう、かつ、水平方向に対しわずかに斜め上方に傾斜した状態で保持位置Tに位置決めされた吸着盤5に対し、カバー体15はほぼ水平状態となるよう位置決めされる。
供給軸31にラベル連続体Mを装着し印字機構32側へと引き出し、カバー体15にて帯状台紙Dのみ転向しガイドローラ14を経て台紙巻取り機構12に巻き付ける。
そして、図示省略のスイッチ等を投入して貼付動作を開始すると、剥離板兼用のカバー体15にてラベル連続体Mの帯状台紙Dよりラベル片MAが剥離され、ラベル片MAの後端部がカバー体15側に残った状態で剥離される(主に、図5参照)。そして、保持位置Tに位置決めされた吸着盤5にてラベル片MAを吸着・保持し、かつ、シリンダーロッド23を進出・移動して吸着盤5に吸着・保持されたラベル片MAを貼付位置Uへと位置決めし、搬送手段(図示省略)を搬送されてきた被貼付物Hにラベル片MAを貼り付ける。
なお、吸着盤5は、ラベル片MAを吸着・保持した保持位置Tより貼付位置Uへ移動する際、揺動手段6が作動し、シリンダーロッド23を揺動することによりシリンダーロッド23の先端に取り付けられている吸着盤5を水平状態に揺動し、搬送手段(図示省略)を搬送されてくる被貼付物Hにほぼ平行に対峙するようになっている。
貼付けを終了すると、シリンダーロッド23を退動・移動しながら吸着盤5を保持位置Tに戻す。
【0023】
上述したように、主に、台紙なしラベルLを切断して被貼付物Hに貼り付ける切断機構8付きの貼付装置1でありながら、剥離板兼用のカバー体15にて固定刃3を被覆し、「剥離モード」を設定するだけで、固定刃3が「切断機能」を発揮できないようにするとともに、「剥離機構」付きの貼付装置11として使用可能にできるため、基材の裏面に粘着剤層が露呈した台紙なしラベルLおよび帯状台紙Dにラベル片MAが仮着されたラベル連続体Mの双方の種類を「被印字媒体」として使用する場合であっても、貼付装置を変える必要がなくなるものである。
【0024】
また、位置調整部13を調整することにより、先の実施の形態の「切断機構」における切断位置を「剥離モード」の保持位置Tとするため、貼付機構2のソフトウエアの変更を最小限に止めることができるものである。
なお、水平方向に対しわずかに斜め上方に傾斜した状態の保持位置Tに位置決めされた吸着盤5の吸着面5aに対し、図示は省略するが、固定刃3を被覆したカバー体15がほぼ平行となるよう、吸着盤5の傾斜角に合わせてカバー体15の上面を形成するようにしても構わない。
【0025】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0026】
例えば、切断機構8付きの貼付装置1では、台紙なしラベルLの切断時、真空装置(図示せず)を強吸引作動して吸着盤5の吸着面5aにラベル片LAを強固に吸着・保持する例で説明したがこれに限定されないことは勿論であり、真空装置の切り換えに代えて「押付け部材」を用いることも可能である。すなわち、印字機構32と固定刃3との間の固定刃支持部4の上面部4aの上方に押付け部材(図示省略)を待機させ、保持位置Tに待機させた吸着盤5を進出方向に移動させるシリンダーロッド23の進出と同期をとって押付け部材を進出させてラベル連続体Mを押え付けるようにすることで切断時、台紙なしラベルLが吸着盤5側に引っ張られることを防止するようにしてもよい。
【0027】
また、第2の実施の形態では、ほぼ水平状態に位置調整された、「剥離板」の役目を果たすカバー体15に対し、吸着盤5を水平方向に対しわずかに斜め上方に傾斜した状態に対峙させる例で説明したが、これに限定されないことは勿論であり、剥離されたラベル片MAを吸着・保持する保持位置Tに吸着盤5を待機させる際、揺動手段6を介して水平状態とするようにしても構わない。
【符号の説明】
【0028】
L 台紙なしラベル
LA ラベル片
M ラベル連続体
MA ラベル片
D 帯状台紙
H 被貼付物
U 貼付位置
T 保持位置
Y 進退動方向
F 進出方向
1 貼付装置(第1の実施の形態)
2 貼付機構
3 固定刃
4 固定刃支持部
4a 上面部(ガイド面)
5 吸着盤
5a 吸着面
6 揺動手段
7 可動刃
8 切断機構
9 制御部
11 貼付装置(第2の実施の形態)
12 台紙巻取り機構
13 位置調整部(位置調整機構)
14 ガイドローラ
15 カバー体
16 鋭角部
23 シリンダーロッド
32 印字機構
37 プラテン
38 サーマルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の裏面に粘着剤層が露呈した台紙なしラベルに印字を施すとともに下流に搬送する印字機構と、
前記台紙なしラベルを切断してラベル片とする切断機構と、
前記切断機構に近接して待機し前記ラベル片を吸着・保持して移動する吸着盤を有する貼付機構とを備え、前記ラベル片を被貼付物に貼り付ける貼付装置であって、
前記切断機構は、
前記印字機構の下流に設けられた固定刃と、
前記吸着盤の、前記固定刃に対峙した一辺に形成された可動刃と、を備え、
前記貼付機構を介して吸着盤を移動させることにより、前記固定刃と可動刃とが噛み合って前記台紙なしラベルを切断して単葉のラベル片とするとともに、
このラベル片を前記吸着盤に吸着・保持したまま前記貼付機構を介して移動し、前記被貼付物に貼付することを特徴とする貼付装置。
【請求項2】
ざらに、前記吸着盤に形成された前記可動刃を前記固定刃に対しわずかに斜め状態に対峙させるとともに、前記被印字媒体を吸着・保持する保持位置と、
前記吸着盤に吸着・保持したラベル片を、被貼付物に対峙する貼付位置との2位置に揺動可能な揺動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の貼付装置。
【請求項3】
帯状台紙にラベル片が仮着されたラベル連続体の前記ラベル片を被貼付物に貼付する貼付装置において、
前記ラベル連続体の前記ラベル片に印字を施すとともに下流に搬送する印字機構と、
前記印字機構の下流に設けられ固定刃を備えた固定刃支持部と、
前記固定刃に対し着脱可能に設けられるとともに、鋭角部が形成された剥離板兼用のカバー体と、
ラベル片を吸着・保持して移動する吸着盤を有する貼付機構と、
前記固定刃支持部を上下方向および前後方向に位置調整する位置調整手段と、を備え、
前記剥離板兼用のカバー体の前記鋭角部が下流側に突出するように前記カバー体にて前記固定刃を被覆し、かつ、
前記鋭角部で前記ラベル連続体の帯状台紙のみを転向し帯状台紙より前記ラベル片を剥離して単葉のラベル片とするとともに、前記吸着盤に吸着・保持し、
前記貼付機構を介して被貼付物に前記ラベル片を貼付することを特徴とする貼付装置。
【請求項4】
前記位置調整手段は、前記固定刃支持部の固定刃を前記カバー体で被覆した際、前記吸着盤の上流側の一辺が前記カバー体の先端部の上方に位置決めされるよう、調整可能とされることを特徴とする請求項3に記載の貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−214249(P2012−214249A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81745(P2011−81745)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】