説明

貼着型の芳香シート

【課題】手軽に、必要な芳香が楽しめ、しかも使用者が調整可能な芳香が得られる貼着タイプの芳香シートの提供。
【解決手段】貼着面とは異なる面に芳香部を具えた貼着型芳香シートであって、該芳香部は精油などの芳香成分を封入したマイクロカプセルからなっており、必要な時に物理的に刺激を与えることで、マイクロカプセルから芳香成分が発散されるようにした貼着型芳香シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香性を有する生体貼着型シートに関する。
【背景技術】
【0002】
今般、芳香療法(アロマテラピー)がストレスを、心地よく癒し、その他の悩みの解消を可能とすることから、注目を集めている。
その手法は、ハーブ等から抽出された精油を加熱気化させ、その雰囲気に浸ったり、精油を入れて入浴したりすることで、嗅覚への作用、鼻腔、皮膚からの浸透を図り、いらいら、不安等の悩みの解消、精神的安定性を期待することで、免疫力の向上等を図るものである。
芳香療法は、室内拡散器具、拡散作業等が必要になり、治療するための準備に時間がかかったり、芳香の種類によっては、他人にとって好ましくない成分などがあるためプライベートな時間に行う必要があったりして、せいぜい、他人に迷惑にならない程度の微香性の香水をつける程度であって、どこでも利用できるものではなかった。
しかしながら、悩み、いらいら、その他のストレスから来る心身的なものの中には、そのままにしておくと蓄積してしまい、肩こりや無気力等の他の症状へ拡大することも少なくない。したがって、このような悩みの解消は、その原因が生じたときに即解消できることが好ましいのであるが、生活活動下で、タイムリーな芳香を、他に迷惑をかけず行うことは、困難である。
【0003】
ところで、嗅覚への作用手法は、現在でも様々な構成が提案されており、例えば、特開2006−8593は、貼着剤成分に、香料を含有させ、併せて経皮浸透剤を加えることで、香料成分を直接皮膚から浸透させる様な、身体貼着シートが開示されている。
【0004】
更に特表2004−513875に至っては、薬剤と芳香成分をマイクロカプセルに封入して、配置した鼻ストリップが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−8593号公報
【特許文献2】特開2001−172153号公報
【特許文献3】特表2004−513875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この様な香料成分の添加シートは、微香性であれば、どこでも利用できそうであるが、もともと、精神的な面へ芳香成分を作用させるため、上述した点からすると必要なときに必要な芳香が得られることも重要である。
特開2001−172153号には、隣人に影響を与えない程度の芳香の拡散を得る為の吸水性を有する貼着シートが開示されているが、もともと芳香成分を含浸させた貼着シートや、アクセサリ等は、使用開始時は、臭いが強く、次第に臭いが弱くなってしまうのが一般的であり、必要な時に必要な芳香を、個人的に得られるようにすることは、困難である。
又、好きな臭いであっても、強い臭いや、遭遇する状況によっては、邪魔になることもあり、又、短時間で良いと思った匂いでも長時間では、逆にストレスになるなどその使用形態には、様々な課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑み本発明は、視覚的接触的認識形状を貼着面とは異なる面に具えた芳香部を有する貼着型の芳香シートを提案することにより、生活活動上で、他人に影響を与えず、芳香成分を楽しみながら、使用することができる。
好ましくは、芳香成分を格納した微小担体を配置形成された芳香部を有する貼着シートにおいて、前記芳香層に物理的刺激を与えることで、芳香成分が空気中に発せられるような制御的な構成により、必要な時に必要なだけの芳香が、隣人に影響をあたえる事無く得られることを実現した。
本発明における芳香成分は、いわゆる脂肪族ケトン、テルペン系環状ケトン、環状ケトン、合成ムスク等の人工香料を始め、精油(エッセンシャルオイル)、が例示され、具体的な精油としては、ラベンダー、ユーカリ油、ヒノキ、ヒノキチオール、テレビン油、バニラ、ローズ油、ベルガモット油、ペパーミント、サンシンエキス、サンダルウッド油、スイートオレンジ、レモン、グレープフルーツ、シトロネラ、スペアミント、スパイクラベンダー、ニアウリ、テイトリー、ジャスミン、イランイラン、ジャコウ、シベット、等が示される。
サイプレス、クラリセージ、カモミール、サンダルウッド、シダーウッド、ゼラニウム、テイーツリー、ネロリ、フランキンセンス、マジョーラム、メリッサ、ユーカリ、レモングラス、ローズ、ローズマリーなどの精油が例示されるが、これらに限るものではない。
本発明では、少なくとも視覚的、接触的認識性を有する支持体に、芳香成分が付着、含浸、等して配置されればよいが、より好ましくは、芳香成分の拡散を防止するためのシール材の積層、微小担体へ封入したものの印刷等による配置が適当である。
本発明における微小担体とは、マイクロカプセル、多孔質粉末等を示し、その製法は、公知のものが利用される
【0008】
当該マイクロカプセル化された芳香成分よりなる芳香部は、例えば、不織布、スポンジ、織布、綿布等の多孔質シートに散布保持される他、柔軟性を有するプラスチックフィルムに接着剤、粘着剤層を形成し、その上に蒔くようにして配置し、乾燥させたものや、印刷したものが例示される。
印刷手法は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェットプリンタによる印字、レーザプリンタによる印字等が例示される。
本発明は、より封入性が高く、物理的刺激によってはじめて芳香性が生じる状態が好ましく又、刺激を当てる部位によっては、異なる芳香、芳香の強弱がつく様な構成が好ましい。尚、物理的刺激を与える前の段階で、気にならない、不快にならない程度の芳香が生じていても良い場合もある。

【発明の効果】
【0009】
本発明は、芳香成分を視覚的接触的識別性を有する支持部材の貼着面とは反対の面に配置し、区分によっては、好みに応じた芳香、持続時間が制御された芳香を発生させることにより、職場、ある程度の人混みであっても、周囲への影響を抑えながら芳香の発散を可能とすることで、ストレス、いらいら等の悩みをその原因が生じたタイミングで、解消させることを可能とする。

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、キャラクター等の視覚的識別性を具えた芳香部を具えた支持部材を皮膚に貼着することで、流行的、趣向的な使用を可能とすると共に、多様な悩みの解消のためのインデックスを持つことを可能とし、使用者が好んで選択して使用できる。
又、接触的識別性により、生体上で耳の裏等に貼着して使用する場合でも、触ることで容易に適確な選択ができる。
本発明は、必要な時、必要な量の芳香が得られる皮膚に貼着して使用する芳香性シートであって、通常は、芳香が無く、必要なとき、芳香が得られる様な構成が好ましい。
本発明は、芳香成分と、その効能効果との対応が、形状、色等の視覚的識別、又は、凹凸による識別によって関連づけられた状態で、示される事が好ましい。例えば、芳香成分が担持された部位のうち、この色の部分は、ラベンダーであって、鎮静効果、リフレッシュ効果がある、といった状態である。
【0011】
その際の対応関係は、例えば、
仕事中いらいらした場合は、例えば、イランイラン、カモミール、サイプレス、ペパーミント、ベルガモット、メリッサ等の1乃至複数のブレンド、
ストレスに対しては、例えば、イランイラン、オレンジ 、カモミール、クラリーセージ 、グレープフルーツ、サイプレスの一乃至複数のブレンド、
ダイエットに対しては、例えば、グレープフルーツ、サイプレス、ジュニパー、ラベンダー、レモン、の一乃至複数のブレンド、
花粉症に対しては、ペパーミント、ユーカリ、ラベンダー、レモン、の一乃至複数のブレンド、
不安心配の場合は、イランイラン、カモミール、クラリセージ、サンダルウッド、シダーウッド、ジャスミン、ジュニパー、ゼラニウム、ネロリ、フランキンセン、ベルガモット、マジョーラム、メリッサ、レモン、レモングラス等の一乃至複数の精油ブレンド
等を含む芳香部を形成し、発散させる。

【0012】
従って、絆創膏の表面に、マイクロカプセルに封入した芳香成分を含む芳香面を貼り付けたものであっても良いが、審美、機能性を確保するために印刷した芳香面が好適である。
印刷は、スクリーン印刷、オフセット印刷等、マイクロカプセルの性状に応じ、選択利用されるが、更に、マイクロカプセルを含むインキを塗布して数時間か熱処理して印刷した後、更に、マイクロカプセルを含まない色彩、模様等を得るための顔料、染料、金属を含むインキによる上述した印刷法を利用して印刷を重ねて行うことで、表面が滑らかで審美性に優れた皮膜面が形成され得る。当該皮膜面の厚みは、芳香を生じるために表面を押圧、擦るなどした際、外部へ芳香が発散される程度の厚みが好ましく、且つ、印刷後、マイクロカプセルの平均粒径より厚くなる程度の印刷が例示されるが、審美的に優れていれば、それ以下でも良い。尚、2回の重ね印刷に限らず、2回以上であれば良く特に限定されない。尚、多重印刷により、芳香させるための指などで刺激を与える際、直接マイクロカプセルに触れることなく、指等に極力匂いが残らない様にすることも可能である。
形状は、貼り付ける場所によって異なるが、装着の場合は、定期券、切符等の取り扱いが容易な硬質体で形成されることが好ましい。
【0013】
本発明は、皮膚に貼着して使用されることが好ましいが、皮膚に貼着する場合は、楕円、円、長方形、正方形、星形、ハート型、スペード型等の形状が例示されるが、これに限るものではない。又、草花、動物、田園地帯を象徴する水車、風車等の建築物、これらをデザイン化したイラスト等を印刷配置してもよい。
又、様々な凹凸により、見なくても、触った感触によって、特定の芳香成分の発散をさせることができるのである。短時間、少しの芳香成分を用いたい場合は、個々の凹凸の内の一つの凸部のシールを剥がしたり、物理的刺激を与えたりして、芳香を発散させることが好ましい。
特に鼻に近くあごの部分、耳裏の部分など、見えにくい箇所へはり、必要なときに、場所を限定することなく芳香成分を選択的に使用したい場合は有効である。
本発明は、芳香成分が、皮膚等に刺激性があることから少なくとも、皮膚貼着面には、存在しない状態が好ましく、又、皮膚への貼着の他、衣類、枕、机等へ貼着し、必要な時に、擦る、剥離する等して使用することが好ましい。
【実施例1】
【0014】
機能性芳香部を有するシートの形成

解消しようとする悩みにより選択された精油(エッセンシャルオイル)を封入した平均粒径5μmのマイクロカプセル(メラミン樹脂20重量%、精油80重量%)40重量%を含むスラリーを裏面に生体刺激性の少ない粘着剤層が形成されたPET、PP、ポリエステルフィルム、不織布 等の基材表面に塗布乾燥させて得るシート状物を得る。
又、上述した精油入りのマイクロカプセル(14重量%)を配合したスクリーン印刷用インキで裏面に生体刺激性の少ない粘着剤層が形成されたポリエステルフィルム、不織布 等の基材表面に印刷してシート状物を得る。

当該シートによれば、通常おおよそ気づかない程度の微香性を有し、必要な場合、芳香部を押圧するか、加熱することで、芳香を発散させる。
芳香量は、一度の刺激で、3割程度であり、数回繰り返し使用が可能となる。
更にウレタン、ゼラチン、尿素ホルマリン等の膜にしたり、これらを重層化することで、一回の押圧刺激などの物理刺激により芳香成分の徐放の持続時間が長くなる。
又、ウレタンによりマイクロカプセルを形成した場合、一回の押圧刺激による徐放量が大きくなることから、一回の徐放量を多くする場合は、粒径を大きくしたウレタン製のマイクロカプセル材が好ましい。

【実施例2】
【0015】
図1(1a))〜(1b))は、本発明の一実施例を示す図である。
11は、芳香部であり、視覚上識別性を有する模様形態が示されると共に香料成分が配置されている。芳香部11の芳香成分は、例えば、不織布等に芳香成分を含浸させる他、精油、香料等からなる芳香成分を封入したマイクロカプセル粒子を、速乾性の粘着剤等で付着させたり、印刷したりして配置する。
又、芳香部は、着色された印刷面である他、視覚上識別性を有する模様形態を有する芳香成分含浸シートを接着剤などで貼り付けてある様な形態であっても良い。
12は、支持部材であり、柔軟性を有するポリマーシートであればよく、例えば、塩ビフィルム、ポリプロピレンフィルム、PETフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロン(商標)フィルム等が例示され、その他不織布、紙などであっても良い。
13は、粘着部であり、生体に刺激が少ない例えばカラヤガム、トララカントガム等の天然樹脂成分、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン・ブダジェンゴム、ポリプロピレン等を含み、更にアクリル系接着剤、ハイドロゲル系粘着剤、オルガノゲル系粘着剤、エステル系が好適に利用される。
【0016】
尚、粘着剤部分は、厚みのあるゲル基材(例えば、ポリスチレン、グリセリンを混和して得られる粘着ゲル)によって形成されても良いものである。
本実施例は、例えばシリコーンコーテイングされた裏打ち部材に貼着された状態で、使用者に提供され、使用時、この裏打ち部材から剥離して、鼻の近傍或いは、腕等に貼り付け、要時嗅ぐことで、含浸された芳香成分の効果が、期待できる。
又、着色された星形により視覚的な楽しみ等が得られるが、芳香部11が芳香成分をマイクロカプセルに封入した状態で、印刷固定されている場合、通常、芳香成分がマイクロカプセルに封入されているため、匂いがほとんどせず、使用時芳香部11の表面を擦ることで芳香成分が発散する形態もとり得る。
この形態によれば、例えば、外出時、出勤前等に手の甲、上腕部、上着の内側その他あまり外部から影響を受けない部位へ本実施例を貼着し、休み時間に芳香部11を擦るなどして使用する使用方法を採ることができ、自分の生活活動に適した使用が可能となる。
【0017】
図1(b)は、ハート型の芳香部の他の実施例を示す。
11’は、ハート型の芳香部で、図1(a)と同様の内部構成を有している。14は、カバーフィルムであり、剥離可能な状態で、芳香部11’の表面を覆うと共に、芳香の拡散を防ぐ状態となっている。
その他の構成は、図1(a)と同じであるから説明を省略する。
図1(b)で示す実施例は、上述のマイクロカプセル化しなくても必要なタイミングで、カバー部材14を剥離して使用する形態を示している。
【0018】
図2は、本発明の他の実施例を示す。
11a〜11fは、芳香部であり、それぞれ、異なる成分であったり、又、濃度が異なる芳香成分が配置されている。
例えば、11aは、特定の精油がホオバ油でおおよそ99%希釈された状態で、配置され、11bには、95%希釈状態、11cには、90%希釈状態の同じ精油、11dは、おおよそ85%希釈された同じ精油、11eには、おおよそ80%希釈された同じ精油、11fにはおおよそ70%希釈された同じ精油が、それぞれ、多孔質シートに含浸、印刷される等して配置されている。
【0019】
この場合は、例えば、ストレスの度合で、使用する部位を選択するものであって、その識別のために個々の配色がことなるか、文字による表示がされていてもよい。
その他、何れも同じ成分で同じ濃度であるが、含有量が異なる状態、又は、何れも異なる成分として、使用時、複数部分のカバー部材を同時に剥離して使用し、自分に合った芳香を得たりしても良い。
又、ストレスによるいらいら(例えばサイプレス油を使用)、集中力の欠如(ジャスミン油を使用)、ダイエット(例えばジャニパー油を使用)の目的に応じた、芳香成分をそれぞれ、異なる芳香部11a〜11fに含有し、芳香部のそれぞれが識別できる形状、カバー部材14a〜14fの表示等を調整して識別できるような構成にしても良い。、
【0020】
14a〜14fは、カバー部材であり、それぞれ芳香部11a〜11fと独立して覆われている。独立とは、カバー部材のそれぞれが、個別で剥離できる構成を意味するものであって、ミシン目等が入った状態で、使用時個々に切り取り剥離できるものを含むものである。
更に本実施例では、最初の芳香が鋭くしみ通る様な芳香を与えるトップノート仕様、数分後にゆっくり芳香を漂わせ、丸みのある芳香を与えるミドルノート仕様、持続性のある芳香を行うベースノート仕様の貼着シートが形成できる。
例えば、トップノート仕様では、
オレンジ、グレープフルーツ、テイーツリー、ペパーミント、ベルガモット、ユーカリ、レモンから予め選ばれた3種をそれぞれ、11aと11b、11cと11d、11eと11fの芳香部のそれぞれ、2づつに等しい量、又は適量を含有させ、使用時、まず、3種類のカバー部材14a、14c、14eを剥がし、不足な芳香成分の部位のカバー部14b、14d、14fの何れかを剥離して調整することで、好みに応じた芳香性を得ることができる。
【0021】
ミドルノートにおいては、カモミール、ジュニパー、ゼラニウム、ネロリ、マージョラム、ラベンダー、ローズウッド、ローズマリーから選ばれた3、4種類の芳香成分、
ミドル〜ベースノートにおいては、イランイラン、クラリーセージ、サイプレス、ジャスミン、フランキンセンス、ローズから選ばれた3,4種類の芳香成分、
ベースノートにおいては、サンダルウッド、シダーウッド、パチュー、ミルラから選ばれた3,4種類の芳香成分が上述の芳香部に選択的に配合される。
尚ここでは、6箇所の芳香成分を含有した芳香部とこの芳香部に対応したカバー部で区分けした構成を示したが、これに限らず、更に種類の多い成分のブレンド、量の調整を行い得る箇所を設けたものでも良い。カバー部を用いることなく、これらの芳香成分をマイクロカプセルに封入して、更に印刷して得られる芳香成分が、使用時、擦るだけで、所望のブレンドができる点でより好適である。
尚、様々なブレンドファクターに応じた種類及び量に相当する芳香部を併せて設けるものであっても良い。
【0022】
次に本発明の他の実施例を図3に示す。
図3において、31a〜31dは、芳香部であり、それぞれ高さが異なる芳香含有部材で形成されている。具体的には、芳香成分が表面に印刷、含浸された、発泡ウレタン樹脂材等の発泡プラスチック材が示され、その他、不織布の多重積層体等であってもよい。
32は、支持部材、33は、粘着部材で、図1(a)と同様の材質形状を有する。
31aには、例えば花粉症対策用のゼラニウム油、31bには、イライラ解決用のメリッサ油などが、印刷、含浸等して配置されている。
本実施例は、その適用部位が顔面及びその周辺である為、目立つことを回避する要求された場合、目につきにくい場所への貼着を行い、必要な時、必要な種類の芳香を選択して使用できる構成を示すものである。
即ち、表面を触るだけで、識別でき、人目にもふれず、所望の匂いが得られ、即時症状の解消ができる。
【0023】
次に本発明の他の実施例を図4に示す。
図4は、図3と同様、触るだけで、芳香成分の識別が可能な状態を示すが、図3と異なり、芳香部41a〜41cの面積が異なるように配置されている状態である。
本実施例は、個別に、一番欲しい匂いを、芳香部41aに配合し、次に欲しい匂いを芳香部41b、次に欲しい匂いを41cといった形で配合することで、視覚的に審美を伴った貼着体が得られる他、目に見えない場所へ貼っても、触るだけで、容易に芳香成分の識別可能な状態を形成し得るものである。
又、含有量を調整することで、芳香時間が調整でき、10、5分間香りが強い状態などが形成でき、休憩時間に使用することができる場合もある。
又、この様な、同じ種類の芳香部を複数具えた1枚のシートと種類が異なる芳香部を有する同形状のシートを貼り付ける。この時、支持部材又は芳香部の形状、模様、色、文字を変えることで、互いに識別性を高めた状態としておくことが好ましい。
必要な状態で、この芳香部のそれぞれを試すようにして順次擦るなどして発散させるものであってもよい。
【0024】
図5は、利用者に適した芳香成分の決定を、生体信号データに基づいて行う実施例を示す。
51は、生体信号検出手段であって、心電図、脈波、心音、筋電図、皮膚温、体温等、の生体信号を検出する為のセンサーであって、電極、光学センサーマイクロフォン等を腕、首、背中等に装着して、生体情報を検出するためのものである。
52は、芳香サンプル入力手段であって、使用者が選択した、自動的に決定された芳香サンプルを特定する符号、記号を入力する為の手段である。
芳香サンプルの芳香は、複数の芳香を経時的に変化させてもよく、その場合は、サンプルの種類とタイミングが、芳香サンプル決定手段53に入力されるものである。
【0025】
53は、芳香サンプル決定手段であり、前記生体信号検出手段で得られた生体信号をフーリエ変換、FFT等を施して周波数成分を検出すると共に、交感神経活動(LF)に相当する周波数部位と、副交神経活動(HF)に相当する周波数部位の強度を検出し、芳香を嗅ぐことで、LF部位とHF部位の値の変化を捉え、表示記録手段にデータを出力したり、LFに対する閾値LFH及びHFに対する閾値HFHを予め設定し、LF値がこの閾値LFHを下回ったとき、HF値が閾値HFHを上回ったとき、心身がリラックス状態だと判断して、表示・記録手段54にその旨を出力し、表示・記録手段54は、その旨の信号(色、数値、音声、等)を出力する。
交感神経活動(LF)の周波数帯域としては、例えば、0.05〜0.15Hzでその際の強度のピーク値を検出し、
副交感神経活動(HF)の周波数帯域としては、例えば、0.3〜0.4Hzの範囲で強度のピーク値を検出することが好ましい。
その他、体温、皮膚温、筋電図等は、経時的測定により、例えば皮膚温の場合は、上昇し、ある一定の閾値を超えた場合、リラックスしている旨の表示をするものであってもよい。
【0026】
図6は、図5で示す実施例の動作を説明する為の図であり、生体信号を心電図として、検出し、その信号をフーリエ変換して得られるものであって、交換、副交感神経活動を示す周波数範囲を示す図である。
心電図は、一誘導以上で良く、心臓の部位を挟んで、両側に電極を貼って得る。
利用者は、悩み等に基づいた、単一の又は複数調整配合された芳香成分を選択すると共に、芳香の強さ、使用時間、使用場所を芳香サンプル入力手段に入力する。
更に生体信号検出手段51を心電計とした場合は、両腕の幹等に電極を貼着する。
最初、芳香サンプルを適用しない状態で、心電図を検出する。この時、ある程度ストレス等の悩みがある状態で、心電図を取る。生体信号検出手段51で得られた、心電図信号は、フィルタ、増幅等のアナログ処理を施された後、フーリエ変換され、図6で示す周波数帯域の強さが得られる。この時の値を初期の値として記憶しておく。
次に芳香サンプルを登録された順番で、設定された時間毎に使用者に適用する。
その際の図6で示すLFとHFの強さを測定し、交感神経活動を示す周波数帯域で、そのピーク時の強さLHが閾値LFHを下回った時、更に副交感神経活動を示す周波数帯域で、そのピーク時の強さHFが予め設定された閾値HFHを回ったとき、の何れか一方の場合、又は両方の場合、芳香サンプル決定手段53は、芳香サンプル入力手段52で入力された芳香サンプルを決定芳香サンプルとして表示・記録手段54に出力し、表示させる。
使用者は、その芳香成分を、例えば、マイクロカプセルに封入して上述した基材に印刷、塗布するなどして芳香シートを形成し、利用者に供与する。
この芳香サンプル及びデータは、DVD、SD、メモリーステイック等の電気磁気記録媒体、記憶素子により記録され、必要に応じて、インターネット等の公衆回線により提供され、次回の芳香サンプルの適用のタイミングで参考データとして用いられる他、心身治癒に有効に利用される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、人体等へ貼着可能な芳香成分配合したシートであるだけでなく、キャラクターを付するなどして審美性を向上させ、そのキャラクターの相違から、異なる芳香成分を選択的に使用でき、又、必要な時に必要な芳香を手軽に発散できる構成、及び、触る程度で、芳香成分を選択的に使用できることから、仕事、家事等の生活活動をしている最中でも他人への影響を抑えながら手軽に芳香が楽しめ、治療ができる貼着して使用できるシートが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例を示す図。
【図2】本発明の他の実施例を示す図。
【図3】本発明の他の実施例を示す図。
【図4】本発明の他の実施例を示す図。
【図5】本発明の他の実施例を示す図。
【図6】図5で示す実施例を説明する為の図。
【符号の説明】
【0029】
11 芳香部
12 支持部材
13 粘着部材
14 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚的接触的認識形状を貼着面とは異なる面に具えた芳香部を有する貼着型芳香シート。
【請求項2】
前記芳香部が芳香成分を封入したマイクロカプセルよりなる微小担体である請求項1に記載の貼着型芳香シート。
【請求項3】
前記芳香部が、前記微小担体を含むインクにより印刷されてなる請求項1、2に記載の生体装着型芳香シート。
【請求項4】
感触により識別可能な大きさを備えた前記芳香部を支持する支持シート、前記支持シートに、生体貼着用粘着組成物が配置され、直接生体皮膚へ貼着される請求項1乃至3に記載の貼着型の芳香シート。
【請求項5】
前記芳香部が、キャラクター形状を有する請求項1に記載の貼着型の芳香シート。
【請求項6】
前記芳香部は、悩み、好みに応じて区別された成分を含む貼着型の芳香シート。
【請求項7】
種類、濃度、量が異なる複数の芳香サンプル、前記芳香サンプルを適用した場合の生体情報を検出する生体信号検出手段、前記芳香サンプルを適用した際の生体情報信号を記録し表示すると共に、芳香サンプルの適用の際の生体情報から最適な芳香サンプルを決定する決定手段を具えた芳香決定システム。
【請求項8】
前記生体信号が、心電図、脈波、心音、血流、筋電、体温の一乃至複数である請求項7に記載の芳香決定システム。
【請求項9】
前記生体信号に基づいて、交感神経活動情報、副交感神経活動情報を検出する請求項7に記載の芳香決定システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−297353(P2007−297353A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128623(P2006−128623)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(000126757)株式会社アドバンス (60)
【Fターム(参考)】