説明

赤いココア成分、赤いチョコレート、及び食品の調製方法

本発明は、酸性化した赤いココア豆ニブ、赤いココアリカー、及び赤いココアパウダーなどの酸性化した赤いココア製品及び成分を提供する。酸性化ココア製品及び成分は、一般に、酸性組成物で処理した発酵不足又は未発酵のココア豆から製造される。該方法は、ココア抗酸化物質のレベルが酸処理の使用及びダッチングの回避により維持され、食品及び食品成分が特徴的な赤色を有する、食品及び食品成分の製造方法を含む。赤の色相又は色を有し、高レベルのココア抗酸化物質を有するココアニブ、チョコレート又はココアリカー及びココアパウダー、並びにそれらから製造した食品が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書にその内容全体が明確に組み込まれる、2007年11月19日に出願された米国仮出願60/996,468に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、未発酵又は発酵不足のココア豆又はニブを使用する酸性化方法、及び該方法から製造した酸性化ココア成分を含有する食品に関する。特に、該方法は、未発酵ココア豆からの食品成分の製造で一般に使用されるステップである抽出を伴わない。有利なことには、得られたココア成分及び食品は、当技術分野で知られているアルカリ化ココアパウダー又は製品と一致する、又はより優れてさえいる赤色を有するが、本発明の方法は、アルカリ化又はダッチングステップを回避する。したがって、本発明の方法は、独特で好ましい風味プロファイルを有する赤/紫色のココア成分、並びに高レベルの、フラバノール、フラバノイド、レスベラトール、ポリフェノール、及び他の抗酸化物質などの有益なココア化合物をもたらす。
【背景技術】
【0003】
豆などのココア材料を加工してチョコレートリカー、ココアマス、ココアパウダー、又は他の物品にするための様々な方法が存在する。一般に、チョコレート製造業者は、これらの伝統的ステップにより味覚プロファイルが向上するため、発酵豆と焙煎豆の両方を使用する。しかし、歴史的に、ドミニカ共和国からのサンチェス豆、インドネシアからのスラウェシ豆、及びメキシコからのカカオラバド(Lavado)などの発酵不足ココア豆が商業的に使用されてきた。未発酵又は発酵不足及び未焙煎豆製品の味覚特性は、少量及び希釈量以外では、一般に非常に苦く、好ましくない。しかし、未発酵豆の方がエピカテキン及び重合フラバン−3−オールを多く含むことが当技術分野でよく知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、その高い抗酸化物質レベルのために、これらの製品を食品に組み込むことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、一態様では、本発明の方法、食品成分、及び製品は、食品において高レベルで使用することができ、酸性又は低pH組成物、特に食用低pH組成物又は食品若しくは飲料産業で使用されるもので処理した未発酵又は発酵不足のココア豆に基づいたココア成分を提供することにより、この問題に取り組む。したがって、該食品成分及び食品は、高レベルのココア抗酸化物質及び他の有益なココア化合物を含有する。
【0006】
別の態様では、本発明の方法、食品成分及び食品は、高い抗酸化物質含量を依然として維持しながら非常に特徴的な赤/バーガンディー色及び許容可能な製品風味をもたらすために、未発酵又は発酵不足のココア豆材料を単一のステップで、及び/又は抽出なしで酸処理する、赤いココア製品の新しくて新規な製造方法を提供する。酸味を低減し、本発明から製造した製品の風味プロファイルを向上させるために、最終製品において中和剤を新規に使用することが、本発明のさらなる利点である。
【0007】
上述したとおり、本発明は、一態様では、高い抗酸化物質レベルを含有し、添加剤ではなく、ココアリカー又はパウダーに通常伴うレベルで、幅広い種類の食品又は消費製品に使用できる、有益なココア成分に対する必要性を満たす。例えば、本発明の方法から製造した、酸性化した又は赤いココアパウダー、ココアリカー、又はココア固形分は、他のココア成分の有無にかかわらず、直接ココア成分としてチョコレートバーにおいて使用することができる。これらの例では、ココア製品及び成分は、未処理の天然ココア製品と比較して赤い色又は色相を有するというさらなる利点を有する。さらなる利点は、本発明の方法から製造したココア製品に由来する特徴的な味覚プロファイルである。また、アルカリ化がエピカテキン及び他の有益なココア化合物のレベルを低減することが知られている(Miller、K.B.、J.Ag.Fd.Chem.2008、56:8527)ため、赤色をもたらすために、アルカリ化ステップが欠如していることはさらなる利点である。食品又はココアに含まれる他の知られている抗酸化化合物と組み合わせると、本発明により有利に提供される新しいココア製品、チョコレート、並びに食品成分及び食品は、有益なレベルの、フラバノール、フラバノイド、レスベラトロール、ポリフェノール、及び他の抗酸化物質などの天然ココア化合物を有する食品を製造する、又はそれらの天然ココア化合物で食品を補う新しい可能性を生み出す。さらに、ココア製品の色及び/又は風味に対する、食品用酸(例えば、クエン酸、アスコルビン酸、リン酸、酢酸、フマル酸)及び/又は低pH食品由来組成物(例えば、レモン果汁濃縮物)及び/又は他の低pH組成物(例えば、グルコノ−δ−ラクトン、硫酸水素ナトリウム)を使用する酸性化方法の有利な使用及び効果は、ココア加工におけるアルカリ化ステップの普及を考慮すると予想されなかったであろう。
【0008】
本発明は、向上した性質又は特性を有するココア成分又は製品を製造するために、一般に豆と呼ばれる生又は新鮮なカカオ種子、及びその一部を処理及び/又は加工する方法に関する。特に、本発明は、高レベルの、赤の色若しくは色相が生じる天然抗酸化物質を保持又は維持しながらココア成分又は製品を製造する方法に関する。測色法は当技術分野で知られており、約2.0以上のハンターカラースコアa/b比が好ましく、約2〜約6、及び3〜約5又は6の範囲がより好ましい。或いは、又はさらに、ココアパウダー及びココアリカーの様な本発明の赤いココア成分に関するハンター又はマクベスカラー「a」値は、約16〜約25の範囲を取ることができ、及び/又は該赤いココア成分のハンター又はマクベスカラー「b」値は、約4〜約7の範囲を取ることができる。したがって、少なくとも理論上では、本発明の赤いココアパウダー及びココアリカーは、12もの高い、一般に2を超えるハンター又はマクベススコアa/b比を有することができる。したがって、本発明のココア製品の赤の色相は、本明細書で論じる、又は以下の実施例若しくは本開示の他の箇所で報告する、「a」若しくは「b」若しくは「a/b」の値又は範囲のいずれか1つ又は複数を使用して定義することができる。一実施形態では、本発明は、未発酵又は発酵不足のココア豆又はニブから赤いココア成分を製造するための酸性溶液の使用を含む。実質的に未発酵のココア豆又はニブは、酸性組成物で処理し、その後に洗浄及び/又は処理したニブから溶媒を除去し、ニブを加工して食品成分又は食品において使用するためのココア成分にする。形成したココア成分は赤の色又は色相を有し、食品において0.1〜1重量%、しかし好ましくは1重量%以上で使用することができ、その結果、食品が特徴的な赤色、許容可能な風味及び/又は所望の量の抗酸化物質若しくは有益なココア化合物を示す。
【0009】
より具体的な実施形態では、本発明の方法は、約pH4以下、又は約pH1と約pH3との間の酸性組成物の使用を伴う。他の特定の実施形態では、酸性組成物は、以下のリン酸;クエン酸;アジピン酸;乳酸;アスコルビン酸;リンゴ酸、酒石酸;フマル酸;果汁又は果実エキス又は果実濃縮物に由来する酸性組成物;リン酸ナトリウム;硫酸水素ナトリウム、グルコン酸;及びグルコノ−δ−ラクトンの1種又は複数を含むことができる。揮発性化合物としての酢酸は蒸発する傾向があり、好ましい食品用酸ではない。酸性又は低pH食品組成物は、エタノールなどの食品用アルコールも含む、又はさらに含むことができる。
【0010】
一般に、本発明の方法は、チョコレートリカー、ココアパウダー、又は知られている、使用されている、若しくは入手可能な他のココア由来製品でもよいココア成分を製造するのに使用することができる。当業者は、そのようなココア成分の多くの用途に詳しく、本明細書では具体的な用途は必要としていない。しかし、ココアマス又はチョコレートリカー及び/又はココアパウダーとしてのそのような製品の一般的な用途は、ミルクチョコレート製品、ダークチョコレート製品、セミスイート若しくはビタースイートチョコレート製品、チョコレート風味の製品、チョコレート菓子、チョコレート風味の菓子、飲料、チョコレート飲料、チョコレート風味の飲料、乳製品、ヨーグルト、栄養補助食品、チョコレートでコーティングした製品、チョコレートコーティング及びアイシング、低脂肪チョコレート製品、又は低糖チョコレート製品、又は砂糖無添加ココア製品を含むがこれらに限定されないチョコレート製品の製造におけるものである。有利なことには、ココア及びチョコレート製品は、特徴的又はプレミアムなココア製品に関連することができる赤の色又は色相を有するように製造することができる。さらに、ヨーグルトなどの酸性基剤を有する任意の液体又は固体の製品への赤いココア成分の組込みは、食品に対して特徴的な赤色を強化又は付与し、最終食品において高レベルのココアエピカテキンを保持するというさらなる利益を有する。
【0011】
食品又は食品成分の調製で使用するための赤いココア成分の製造方法では、酸性組成物による処理後のココア組成物の除去、蒸発、除去するための洗浄、及び/又は真空処理若しくは乾燥は、1種又は多数の方法で実施することができる。一般に、この除去又は洗浄ステップは、最終製品又は成分の酸味の後味を実質的に低減する。しかし、最終食品において酸っぱい果実又はヨーグルトの様な風味を助長することができるわずかな酸味の後味を有することは許容可能である。したがって、酸を低減するための除去、乾燥、又は洗浄は、完全な除去も、又は該方法の任意の段階で存在する滴定酸度を完全に排除することも必要ない。さらに、残存する酸度又は酸味の一部を隠す又は遮蔽するために、最終食品において添加剤を使用することができ、これらに限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸カリウム及び水酸化ナトリウムなどの、多くの食品として許容可能な基剤又は緩衝系を使用することができる。好ましくは、該基剤又は緩衝系は、製品にする最終的な加工の近くで、並びに/或いは低水分レベル及び/又は低水分活性レベルを維持する加工の時点で、チョコレート又はチョコレートリカーなどの最終製品に添加される。
【0012】
別の態様では、本発明は、赤いココア組成物におけるココア抗酸化物質、又は他の有益なココア化合物のレベルの維持方法を提供する。述べたとおり、多くの文書は、アルカリ処理を使用する赤いココアパウダーの製造に言及している(例えば、米国特許文献5,114,730及び5,009,917参照)。しかし、アルカリ処理は、ココアフラバノール抗酸化物質のレベルを低減することが知られている。最初に、例えば、合計で200μg/g以上のシアニジン含量をもたらす、生の未発酵豆、又は未発酵、発酵不足、若しくは発酵豆の任意の組合せを含有するカカオ豆試料を使用し、次いで該試料を酸処理ステップにより加工することにより、本発明は、従来のココア製品と比較して、ココア製品において高レベルの天然ココア抗酸化物質から始め、維持することを可能にする。さらに、本発明の方法は、驚くべきことに、従来の方法と比較して、ココア製品において測定可能なエピカテキンのレベルの増大につながる。他の従来のココア加工ステップは、本発明の酸処理及びエタノール処理方法、例えばココアリカー又はココアパウダーなどの低脂肪ココア固形分製品の製造方法に組み込むことができる。さらに、生又は新鮮なココア豆の加工が記載されてきており、南米又は他の場所からのこれらの豆の利用可能な供給源が存在する(例えば、US2004/0096566及びWO2008/131910参照)。
【0013】
したがって、高レベルの有益な天然ココア化合物及び抗酸化化合物を維持しながら赤いココア成分を製造するための酸処理を伴う、未発酵若しくは発酵不足のココア豆、又は生若しくは未発酵のココア豆若しくはココアニブに由来する製品の加工方法を提供することが本発明の目的である。最高レベルのシアニジンを保持する観点から、ほぼ100%の生の未焙煎、未発酵豆のココア豆試料を使用することが最適になり得る。この試料は、一旦加工されると、食品の製造において他の又は従来のココア製品と混合することができる。チョコレートリカー、ココアパウダー、低脂肪ココアパウダー、及びB.Minifie、Chocolate,Cocoa,and Confectionery、3d Ed.、Aspen Publishersで記載されているように、特に従来の方法と比較して高レベルの有益な天然ココア抗酸化化合物を維持する脱脂ココアパウダーを含めたココア成分を提供することは、本発明のさらなる目的である。特に、本発明は、カカオ豆又は豆から製造した製品において、フラバノール、フラバノイド、レスベラトロール、ポリフェノール、エピカテキン、及び他の抗酸化物質などの有益な健康効果を有する化合物を含めた、高レベルの任意の天然由来の抗酸化化合物を維持する方法を含む。
【0014】
豆、ニブ、又は豆由来製品は、場合により焙煎することができる。しかし、当技術分野で知られているココア豆又はココアニブのアルカリによる処理又は「ダッチング」は、本発明の方法において特に回避される。しかし、少量又は様々な量の、別々に製造された又は入手可能な、ダッチングされた天然、又は生のココアパウダー又はココア製品は、本発明の任意の食品実施形態の調製において添加することができる。
【0015】
多数の食品又は飲料製品が、チョコレート製品、ミルクチョコレート製品、ダークチョコレート製品、セミスイート若しくはビタースイートチョコレート製品、チョコレート風味の製品、チョコレート菓子、チョコレート風味の菓子、飲料、チョコレート飲料、チョコレート風味の飲料、乳製品、ヨーグルト、栄養補助食品、チョコレートでコーティングした製品、低脂肪チョコレート製品、又は低糖チョコレート製品を含むがこれらに限定されない、本発明のココア組成物又は成分から製造することができる。
【0016】
本開示を通して、出願者らは、学術論文、特許文献、刊行された参考文献、ウェブページ、及び他の情報源を言及している。当業者は、本発明の態様を作成及び使用するために、引用した情報源のいずれの内容全体も使用することができる。引用した情報源の1つ1つは、参照によりその全体を本明細書に特に組み込む。これらの情報源の一部は、許容性又は必要性に応じてこの文書に含み得る。しかし、本開示において特に定義又は説明する任意の用語又は熟語の意味は、情報源のいずれの内容によっても変更されるものではない。以下に続く記述及び実施例は、単に本発明の範囲及び本開示の内容の例示であり、本発明の範囲を限定しない。実際、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、以下に列挙する実施例の多数の変更を考案し、構成することができる。
【0017】
本発明の好ましい態様、目的、及び実施形態は、本発明の範囲又は程度の制限として理解すべきでは決してない、例示の図面及びフローチャートにおいて概略的に表す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】酸性化した赤いココア製品の製造方法のための例示的な加工ステップを示す図である。この場合、未発酵又は発酵不足のココアニブを酸性化、洗浄、及び乾燥する。次いで、酸性化ココアニブは、当技術分野で知られている又は入手可能な様々なココア製品又は成分の製造に使用することができる。
【図2】未発酵又は発酵不足の豆からのココアリカーの使用から開始する、酸性化した赤いココアリカー、及びさらに、酸性化した赤いココアパウダーを製造するための例示的な方法を描写する図である。ココアリカーを酸性溶液で処理し、その後に溶媒を除去する。
【図3】酸性化した赤いココアパウダーを製造するための例示的な方法を描写する図である。ココアパウダーを未発酵又は発酵不足のニブ又はリカーから製造し、次いで酸性組成物で処理し、その後に乾燥する。
【図4】本発明の赤いココアリカー(酸−1〜酸−7)、市販の赤いアルカリ化ココアパウダー(C赤1〜3)、及び市販の天然ココアパウダー(C天然1〜4)から製造した一連のココアパウダーに関して表1に記載するハンターカラー特性を描写するチャートである。赤色の度合いは、ハンターa/b値の比として表す。a/b比が大きいほど、試料中の赤色が多い。
【図5】本発明の赤いココアリカー(赤いダークチョコレート及び赤いミルクチョコレート)、市販のアルカリ化赤いココアパウダー、及び天然の西アフリカココアリカーを用いて製造した一連のダーク(実施例7)及びミルク(実施例8)チョコレートに関して表4に記載するハンターa/b比を示す、図4のものと類似のチャートである。赤色の度合いは、ハンターa/b値の比として表す。a/b比が大きいほど、試料中の赤色が多い。
【図6】様々なココア豆試料のシアニジン含量、及びそれらから製造した酸性化ココアリカーの色特性を示す表である。発酵指数、特定のシアニジンレベル、マクベスカラー特性、及び世界中の供給源からの未焙煎豆のいくつかの試料の可視色を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一態様では、本発明は、任意の食品用酸、酸の組合せ、又は他の低pH食品複合材、並びに酸性化した豆又はそれらに由来するニブから製造した製品を使用する、任意の供給源からの未発酵又は発酵不足のカカオ豆又はニブの酸性化方法を伴う。未発酵又は発酵不足のカカオ豆の特定の試料は、「カカオラバド」としてメキシコから、エクアドルから、「サンチェス」としてドミニカ共和国から、ブラジルから、及びスラウェシから入手可能であり、これらの1種又は複数の入手可能な豆を含めた豆試料は、本発明にとって好ましい。発酵を最小限にするように調製又は加工された、任意の未発酵のココア豆試料であれば、本明細書に記載の特徴的な赤色を生じると予想されよう。カカオニブ又はココア製品を処理するのに使用する酸は、リン酸、クエン酸、酢酸、硫酸水素ナトリウム、グルコン酸、グルコノ−δ−ラクトンの水溶液又はアルコール/水溶液、及び果汁又はレモン果汁濃縮物などの果汁濃縮物から選択することができるが、これらに限定されない。発酵ココア豆又はココアニブと共に強酸を使用することが過去に言及されてきたが、発生した強力な異臭が、これらのココア製品を食品生産と相容れないものにした(1956年6月27日に公開された英国特許明細書#751,121参照)。さらに、発酵豆からの水抽出されたココア材料の酸処理は、食品に単独で使用するのが好適ではない材料を生じた(米国特許文献2,957,769参照)。同様に、許容可能な風味及び赤色を有するココア及びチョコレート製品を製造するための多数の試みが行われてきた。これらの一部としては、アルカリ化の影響が原因でわずかに赤茶色の製品を製造することしかできず、非常に低い抗酸化物質含量を有する、アルカリ化した赤いココアリカー及びパウダーの使用が挙げられる。一例(英国特許5570/54及び米国特許文献2,957,769参照)は、ココア材料の酸処理が許容できない風味をもたらし、赤いココア製品を製造するための好適な選択肢ではないことを述べている。同じ著者らが、「発酵豆」を抽出し、その後に乾燥した水溶性の成分を焙煎し、残存するココア材料を酸処理する多段方法について記載している。次いで、2つの留分を合わせて、発酵豆から赤色のココアマスを得る。
【0020】
他方、本発明は、カカオ豆若しくはニブ、又はカカオ豆若しくはニブに由来するココア製品、並びに食品及び食品成分で使用するための赤いココア成分を製造するための酸性化ステップの新規な使用を伴う。好ましくは、豆は未発酵又は発酵不足である。
【0021】
「ココア豆組成物」及び「カカオ豆組成物」という用語は、ココアニブそのものを含めた、本開示で述べるカカオ豆由来製品の様々な製品及び組合せのいずれでもよい。「ココア豆組成物」、「カカオ豆組成物」及び「ココア製品」は本質的に互換的であり、そこに含まれないココアバターを例外として、カカオ豆から製造された製品を意味する。「カカオ豆試料」又は「ココア豆試料」は、所望の1組又は1組の加工条件からのカカオ豆又はそのような豆のニブの収集品である。未発酵及び発酵不足のココア豆という用語は、当業者により知られているココア豆の発酵度を指す。この発酵度は、Gourieva及びTserevitinovの方法(「Proceedings of the Cacao Biotechnology Symposium」、P.S.Dimick編、55〜74頁、The Pennsylvania State University、1986年のShamsuddin及びDimick、カカオ豆発酵の定性的及び定量的測定(Qualitative and Quantitative Measurements of Cacao Bean Fermentation)参照)により発酵指数として測定することができ、発酵指数に関して未発酵豆は<0.5であり、発酵不足豆は<0.7であり、発酵豆は約1.0又は0.8超である。発酵度を推定する別の方法は、生豆のシアニジン含量を測定することである(例えば、Singleton及びTrousdale、白ワインと赤ワインの間の高分子フェノールの差を説明するアントシアニン−タンニン相互作用(Anthocyanin−tannin interactions explaining differences in polymeric phenols between white and red wines、Am.J.Enol.Vitic.1992年、43:63〜70頁参照))。全シアニジンとしてまとめて表すことができる2つの主要なシアニジン化合物、シアニジン−3ガラクトシド及びシアニジン−3アラビノシドが未発酵のココア豆に含まれる。総シアニジン含量は、図6に示すように、発酵が進行するにつれて減少する。
【0022】
切断試験などの他のより伝統的な方法も使用することができる。さらに、発酵不足豆には、ある程度の発酵を受けたが、加工してココア由来製品にし、本明細書に記載の赤いココア製品を製造するために、酸で処理できるカカオ豆がなり得る。さらに、従来の方法で処理、加工、又は選択されたカカオ豆に関連するココア製品の組合せは、本発明のカカオ豆組成物と組み合わせることができる。これらの組成物は、任意のココア成分において使用することができ、同様に、食品、菓子、飲料、及びサプリメントを含めた任意の食用の組成物又は製品において使用することができる。
【0023】
当技術分野で理解されているように、ココアパウダーは、ほぼ10〜25%の脂質画分(ココアバター)を含有し、それは一般に天然ココアパウダー製品中に保持される。しかし、全て又はある割合の脂肪は、プレスにより、溶媒若しくは超臨界溶媒抽出により、又は当技術分野で知られている任意の数の他の方法により該パウダーから除去することができる。したがって、天然の脱脂及び/又は低脂肪若しくは無脂肪ココアパウダーは、本発明のココア製品又は成分に特に含まれる。さらに、本発明の好ましい赤いココアパウダー、ココア豆組成物、及びココア製品は、加工のある時点で加熱又は焙煎条件で焙煎又は処理することができる。当技術分野で知られているように、ココアニブは、そのものをココア又はチョコレート食品における成分として使用することができ、したがって、例えば、粉砕された赤いココアニブは、本発明下のココア製品又は成分である。
【0024】
当業者が理解するように、食品成分におけるココア固形分のある一定の量又は割合は、とりわけ、ある量のココアパウダー、チョコレートリカー、又は必要量のココア固形分を含有する他のチョコレート又はココア成分を使用又は添加することにより達成することができる。同様に、食品成分における天然ココアのある一定の量又は割合は、とりわけ、ある量のココアパウダー、チョコレートリカー又は他のチョコレート若しくはココア成分を使用又は添加することにより達成することができる。さらに、特定の抗酸化物質又はポリフェノールレベルを有するココア含有製品は必要とされないが、本発明は、従来のココア含有製品と比較して強化、変更、又は増大したレベルの抗酸化物質又はポリフェノール化合物を有するココア含有製品の使用又はそれらとの組合せを包含する。当技術分野で知られているように、他の栄養、治療、又は予防成分を同様に添加することができる。
【0025】
本発明のココア組成物及び製品は、高レベルのフラバノール、フラバノイド、レスベラトロール、ポリフェノール、及び他の抗酸化物質を含有する。したがって、別の態様又は目的では、本発明は、高レベルの、当技術分野で知られている1種若しくは複数の有益なココア化合物、又は特にココア抗酸化物質を維持、したがって含有することにより加工したココア成分、例えば、チョコレートリカー及びココアパウダーを含む。本発明のさらなる利益は、未発酵のココアニブ又はリカーの酸性化に伴うフラバノールモノマー含量の増大である。驚くべきことに、本明細書に記載の酸性法で処理した未発酵及び未焙煎の豆試料は、エピカテキンの存在量の増大をもたらす。フラバノールモノマーは潜在的な健康上の利益と関連してきており、特にエピカテキンは好ましい生体利用可能形態となり得るため、ココア系の成分及びチョコレート製品において、モノマー含量の増加は有利となろう。
【0026】
「ココア成分」という用語は、ココアニブに由来するココア固形分を含有する任意の材料を指す。該用語は、チョコレートリカー、ココアパウダー、脱脂ココアパウダー、低脂肪ココアパウダー、及びココアニブそのものを含む。「チョコレートリカー」及び「ココアリカー」という用語は、ココアニブを粉砕することにより形成した粘性物質を指す。チョコレートリカーは、多くのチョコレート製品、例えば、ミルクチョコレート、ダークチョコレート、セミスイートベーキングチップ、低脂肪チョコレート、低糖又は無糖チョコレート、チョコレート風味のコーティング、及びベーキングチョコレートの製造において重要な成分である。
【0027】
好ましい実施形態では、本発明に従った赤いココアパウダーは、約80mg/g〜約112mg/g以上の総ポリフェノール含量を有し得る。本発明によるチョコレートリカーは、約44mg/g〜約63mg/g以上の総ポリフェノール含量を有し得る。或いは、本発明の酸性化した赤いココア成分のORACレベルは、ココアリカー1グラム当たり約650ミクロモルTE、又はココアパウダー1グラム当たり約1190ミクロモルTE以上でもよい。
【0028】
以下のステップは、可能な実施例の1つ又は多くで使用するために選択することができる。
【0029】
酸処理用のカカオニブ選定 − 生で未焙煎の殻のないココアニブ;高いシアニジン含量を有するココア豆からのココアニブが好ましく、完全に未発酵の豆、又はラバド(洗浄した)豆(メキシコ、ブラジル、グアテマラ、ドミニカ共和国)が特に好ましい。しかし、>200μg/gの総シアニジン含量を有する、又は代替として<0.7、好ましくは<0.5、より好ましくは<0.4の発酵指数を有する発酵不足ココア豆も使用することができる。発酵不足ココアニブ試料は、>200μg/gのシアニジン含量又は約0.50以下の発酵指数を有するブレンドを製造するために、少なくとも約10%又は約20%の、メキシコカカオラバド豆などの未発酵豆を含むブレンドでよい。当業者は、例えば、赤の色相と従来法で製造したココア製品の色を色軸又はカラースケール上で比較することにより、本明細書に記載の酸性化した赤いココア製品又は成分をもたらす組成物に達するために、カカオ豆試料、又はココア組成物の豆の組合せを選択することができる。使用することができる2種の可視表色系は、パントンカラーフォーミュラガイド(Pantone Color Formula Guide)(Pantone Inc.590 Commerce Blvd.、Carlstadt、NJ07072)及びマンセルブックオブカラー(Munsell Book of Color)(Kollmorgan Corp.のMacbeth Div.、2441 N.Calvert St.、Baltimore、MD21218)である。本発明の酸性化した赤いココア製品中に存在する赤の色相又は色の比較に、ハンター色差計、及び走査又はコンピューターに基づく反射率、外観又はカラースケーリングも使用することができる。マクベス又はハンター色差計を使用すると、本発明の製品の色特性を比較するのに使用することができる「L」、「a」、及び「b」値が生成される。ハンター「a/b」比の比較は、より赤い色と関連しているより高い比を有するココアパウダーにおける赤の度合いを判定するのに使用されてきた(米国特許第5,009,917号)。図6に示す表は、発酵指数により測定したココアの発酵度、及びシアニジン含量、並びに目視及び機械による色判定の間の関係を例示する。したがって、未発酵及び/又は発酵不足のココアニブ又は、豆試料の多くの混合物及び割合を選択及び使用することができる。
【0030】
酸性化 − 一般に、本発明の方法は、ココアニブを使用するのか、又はココアニブに由来する他のココア製品を使用するのかに応じて、いくつかの様々な酸性化方法の1種を伴うことができる。各方法で様々な食品用酸及び/又は低pH食品組成物を適用することができる。例えば、酸洗浄したココアニブ方法(図1)は、発酵不足(>200μg/gのシアニジン含量又は0.55以下の発酵指数に関してなど)又は未発酵のココアニブ試料を選択するステップと、1部〜1.5部の強酸性組成物又は溶液を添加するステップとを含むことができる。酸は、食品として許容可能な多くの酸の1種でよく、その強度は約0.10N以上、好ましくは約0.5N〜約1N、又は1N超である。例えば、1N塩酸若しくは1Nリン酸、又は約3.8%(w/w)リン酸若しくは約9.8%(w/w)塩酸を使用することができる。酸処理ステップは、室温で約30分から約1〜4時間でよいが、以下に示すより高い温度でより短い時間、又はより高い温度でより低い濃度などの他の条件を選択することができる。発色する赤/バーガンディー色の目視検査により酸性化ステップをモニターすることが可能である。酸性化ココアニブは、特徴的な赤の色又は色相を示すことができる。
【0031】
別の酸性化実施例(図2)では、未発酵又は発酵不足のココアニブからのココアリカーは、最小量の酸、一般に約0.5%以上の酸滴定相当量、例えば、pH4以下又は約pH1〜約pH3を有する、1.0%〜約2%のリン酸のエタノール又は水溶液で処理することができる。酸処理ステップは約3〜5分生じる。より高い圧力及びより短い時間、並びに酸性溶液対ココアリカーの他の比などの他の反応条件も選択することができる。これにより、赤色のココアリカーが生じる。別の実施例では、ブラジル生ココア豆などの<0.4の発酵指数又は>1400μg/gの総シアニジン含量を有する未発酵のココアニブ又はココアリカーを使用することができ、該ニブ又は豆を処理するのに95%エタノールを使用する場合、酸の量をゼロ近く(<0.1%)まで低減することができる。このエタノールによる処理において、他の豆ブレンド又は豆を使用することができる。
【0032】
本発明の別の実施例では、前述のようにエタノールの存在下で酸で処理した(図2)ココアニブ及び/又はココアリカーは、サルモネラなどの潜在的に有害な細菌を含まない赤色のココア製品をもたらす。図1及び図2に示す方法は、エタノールの有無にかかわらず、有害な細菌又は汚染菌を不活性化するのにも使用することができる。Microbiological Safety and Quality of Food−Vol.1(B.Lund編、T.Aaird−Parker、& G.Gould、Aspen Publishers、Gaithersburg、MD.、2000年、ch.35.5 Cocoa、Chocolate and Confectionery)によると、チョコレート及び菓子製品は、通常、低い水分活性のために、病原体の増殖を支持することはない。しかし、サルモネラは、これらの低水分活性条件下で生存することが示されてきており、したがって、存在するならば、食品に対して潜在的な脅威を引き起こす恐れがある。焙煎及びアルカリ化は、加工の間にサルモネラを死滅させるのに使用される、認知された処理である。一部の態様では、本発明の方法は、伝統的な焙煎ステップ又はアルカリ化ステップを伴わないため、赤色のココアリカー及びパウダーは、サルモネラ汚染を受けやすいとも思われる。有利なことには、本発明の別の実施形態では、本発明の酸性化方法は、サルモネラなどの有害な細菌を効果的に死滅させることにより、細菌不活性化ステップとして作用する。
【0033】
酸性化のさらなる実施例(図3)では、発酵不足又は未発酵のココアニブからのココアパウダーは、所望の量の酸、一般に溶液対ココアパウダーの比が約2〜3の、約1.8%(w/w)〜約3.6%(w/w)リン酸のエタノール又は水溶液の酸滴定相当量で処理する。酸処理ステップは、40℃以上、及び少なくともココアリカーの溶融状態を保持するのに十分な温度で約3〜5分生じる。より高い圧力及びより短い時間、並びに酸性溶液対ココアパウダーの他の比などの他の反応条件も選択することができる。これにより、赤色のココア混合物が生じ、任意の1組の所望条件に関して、赤の色又は色相の発色をモニターすることができる。
【0034】
水洗及び乾燥 − 酸性化後、赤いココアニブは、過剰量の酸を除去するために洗浄する(図1)。酸処理は通常pH1とpH3との間(両端を含む)、又は約pH4以下であるが、好ましくは、このステップは、ココアニブを3.0を超える、又は約pH3.7以上、好ましくはpH5以下のpHのままにする。洗浄は、水又はアルコール水溶液、特に食品用アルコール及びエタノールを含むものにより実施することができる。
【0035】
次いで、酸処理及び洗浄したココアニブは、低温乾燥、蒸発乾燥、及び/又は真空乾燥を含めた従来の乾燥方法を使用して乾燥させることができる。好ましくは、約2%〜約5%の水分を有するココア製品がさらなる加工にとって好ましい。酸性化、洗浄、及び乾燥ステップは、ココア製品においてある程度の微生物の不活性化ももたらす。したがって、適切な条件及び酸処理条件を選択するならば、ココア製品は、さらなる微生物の不活性化ステップなしで、最終食品又は食品成分において使用することができる。
【0036】
溶媒除去及び乾燥 − 酸性化ステップからの赤いココアリカー(図2)は、その系における溶媒を除去するために、真空下で50℃以上の温度、又はココアリカーの溶融状態を保持するのに十分な温度で連続的に混合する。所望ならば、他のものはより高レベルのエタノール又は食品用アルコールを含み得るが、特定の規制食品に関しては、2〜5%水分を有する赤いココアリカーが望ましく、又はエタノールの場合、最終食品において0.5%以下のエタノールが好ましい。酸性化ココアパウダー(図3)中の溶媒は、従来の乾燥方法、例えばココアリカーを乾燥させるのに使用するものと類似の低温、蒸発、及び/又は真空処理を使用して除去することができる。これらの酸性化及び溶媒除去ステップは、ココア製品において微生物の不活性化ももたらす。調製したココア製品は、さらなる微生物の不活性化ステップなしで、最終食品又は食品成分において使用することができる。
【0037】
ニブ及びリカーの焙煎 − 酸処理した赤いニブ又はリカーは、赤色を維持しながら焙煎ノートを発生し、風味を強化するために、焙煎することができる。酸処理した赤いニブに伝統的なニブ焙煎を適用することができる。しかし、退色を最小限にするために、低度の焙煎が好ましい。リカー焙煎の一例では、当技術分野で知られているように、140℃、300rpm、20mmHgの真空に設定した容器を使用することができる。
【0038】
プレス − 酸性化ココアニブ又はココアリカーから赤いココアパウダーを得るために、伝統的なココアパウダープロセスを適用することができる。赤いココアパウダーは、その最終用途に応じて様々な量の脂肪を含有することができる。したがって、本発明は、ココアパウダーを含めた様々な脱脂、低脂肪、又は無脂肪のココア製品を含む。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
ココアニブの酸性化(図1)
600gのラバドニブを900mLの1N H3PO4に25℃で4時間添加する。酸性化ニブの水気を切って超過量の酸性溶液を除去し、洗浄水が>pH3.2、又は約pH3.5となるまで3回、900mLの脱イオン水を用いて洗浄する。酸性化及び洗浄ニブを50℃で約10〜20時間乾燥させる。これにより、約2%の水分含量を有する赤いココアニブが生じる。別々の焙煎試験で、約250gの乾燥酸性化ココアニブを120℃で約15〜20分焙煎する。焙煎ココアニブは、より暗い赤色と共により多くの風味を発生する。
【0040】
(実施例2)
リン酸によるココアリカーの酸性化(図2)
カカオラバドニブからの25lbsのココアリカーを3400gの5%H3PO4エタノール溶液(w/w)溶液と65℃で3分混合する。混合物を約23mmHgの真空下、約65℃で連続的に20〜30分混合する。約0.7%のエタノール含量により低粘度の赤色のココアリカーが得られる。別々の試料で、約100gの酸処理した赤いリカー(上記の)を30分プレスして最大で13,000〜15,000psiにする。これにより、約12%の脂肪含量を有する赤いココアパウダーを得ることができる。表1及び図4で以下に示すのは、市販の天然の赤いココアパウダーと、本発明の方法から得られる赤いリカーのプレスにより得られる赤いココアパウダーとの比較である。試料としては、薄茶色から中間色の茶色の視覚的外観を有する4種の市販の天然ココアパウダー、赤茶色の視覚的外観を有する3種の市販の赤いアルカリ化パウダー、及び明赤色の外観を有する、本発明の酸性化方法からの7種の赤いココアパウダーが挙げられる。別々のL、a、b値を得るハンター色差計を用いて全ての試料の測色を実施した。「L」スケールは、明度の度合い(100=明るい、0=黒い)を表し、「a」は赤/緑スケール(赤い=+100、緑=−100)を表し、「b」は黄/青スケール(黄=+100、青=−100)を表す。ハンターa/b比は、赤色の量を記述する1つの手段(米国特許第5,009,917号)であり、より高いa/b比がより多くの赤色を表す。各試料について算出したa/b比は、市販のアルカリ化した赤いココアパウダーと天然の未処理のココアパウダーの両方と比較して、本発明の方法からの酸性化した赤いココアパウダーの明らかな利点を示す。
表1.酸性化、アルカリ化及び天然ココア材料から製造したココアパウダーの赤色の比較。
【表1】

【0041】
高い「a」及び「a/b」比の値は、より多くの赤色と関連している(US5,009,917参照)。上記の酸性化又は酸/洗浄試料は、全て本発明の方法により製造する。残りの試料は、市販の「赤い」アルカリ化ココアパウダー及び市販の天然ココアパウダーである。本発明のココア製品の特徴的な赤色は、ハンタースケールカラースコアa/bの比が約2以上、又は約2と約3との間になることができる。これらの組成物のそれぞれのpHも、水に混合することによりサンプリングした。
【0042】
酸性化した赤いココアリカーを焙煎するために、約500gの赤いリカーを焙煎容器中で120℃で約20分保持する。わずかな真空下での混合により、検出可能な焙煎ノートを有する赤色の焙煎ココアリカーを得ることができる。
【0043】
(実施例3)
レモン果汁濃縮物によるココアリカーの酸性化
カカオラバドニブからの20lbsのココアリカーを4740gの9.5%(w/w)レモン果汁濃縮物(50ブリックス)エタノール溶液と65℃で3分混合する。混合物を約23mmHgの真空下、約65℃で20〜30分連続的に混合する。約0.7%のエタノール含量により低粘度の赤色のココアリカーが得られる。
【0044】
(実施例4)
グルコノ−δ−ラクトンによるココアリカーの酸性化。
34%のグルコノ−δ−ラクトンの290gの水溶液を調製し、室温で2時間放置する。該溶液を580gのエタノールと混合し、カカオラバドニブからの15lbsのココアリカーに添加する。65℃で3分混合した後、混合物を約23mmHgの真空に付し、65℃で20〜30分連続的に混合することができる。約0.7%のエタノール含量により低粘度の赤色のココアリカーを得ることができる。
【0045】
(実施例5)
ココアパウダーの酸性化(図3)。
従来のプレス方法を使用して、30gのココアパウダーを生の未焙煎カカオラバドニブから製造する。ココアパウダーを39gの2.3%のリン酸/エタノール溶液に添加する。混合物を室温で5分混合し、次いでオーブン中で約50℃で6時間乾燥させる。これにより、赤色のココアパウダーを生じることができる。
【0046】
(実施例5a)
フラバノールモノマーの酸誘発性の増大:
未発酵のラバドココアニブを粉砕してマスにし、95%エタノールの存在下で2種類の酸(リン酸又はクエン酸)を使用する、実施例2に記載の本発明の方法による酸性化(図2)に付す。得られた赤いココアリカーをエピカテキン、潜在的な健康上の利益と関連するフラバノールモノマーについて分析する。表2に示す結果は、未処理のココアマスと比較して、酸性化した赤いチョコレートリカーにおいて、約20%以上のエピカテキンレベルの増大を達成できることを示す。
表2.酸性化したメキシコのラバド対酸処理なしのメキシコのラバドにおいて増大したエピカテキン
【表2】

【0047】
未発酵のラバド豆からの酸性化ココアニブのエピカテキン含量と発酵コートジボワール豆の第2の比較。リン酸により酸性化した未発酵のラバドココアマスは、酸性化した発酵コートジボワールココアマスにおけるエピカテキン含量のゼロから正味減少と比較して、9〜26%のエピカテキンの増大をもたらした。
【0048】
(実施例5b)
酸性化した赤いチョコレートリカーにおける微生物の不活性化:
エタノールの存在下での本発明の酸性化方法は、赤色のココア系のリカー及び/又はパウダーを生じるだけではなく、サルモネラなどの潜在的に有害な細菌を含まない食品ももたらす未発酵のココア材料を処理するのに使用することができる。この一例は、微粉砕した100gの未発酵のココアラバドニブを採用し、サルモネラ汚染ココアマスを達成するために、それらを65℃でHobartミキサー中でサルモネラが豊富なミルクチョコレートの10gの接種物と混合することにより記述することができる。1.83gのクエン酸、8.43gの水、及び26.4gのエタノール(95%)を含有する溶液をこの混合物に添加する。全混合物中のクエン酸の濃度は約1.2%であり、エタノール濃度は約17%である。図2及び実施例2に記載の本発明と同様に、この混合物を65℃で15〜30分混合させる。得られた酸性化サルモネラ汚染ココアマスは、細菌活性において少なくとも4の対数減少を示し、表3に示すようにサルモネラを含まない。このことは、本発明の方法により記述した酸性化条件が、サルモネラ又は他の有害な食品媒介細菌を含まないココア材料を製造するための細菌不活性化ステップとして作用することができることを証明する。
表3.サルモネラ汚染ココアマスの酸誘発性不活性化。
【表3】


食品成分及び食品中への酸性化した赤いココア成分の組込み
【0049】
(実施例6)
飲料使用のための赤いココアパウダー:
上記の本発明の赤いココアパウダーは、水系の飲料で使用するための粉末ミックスを作製するために全体的又は部分的に使用することができ、独特な赤/バーガンディー色を飲料に付与する。この飲料は熱くても冷たくてもよく、標準的ココアミックスと比較して、高いココアフラバノール及び抗酸化物質の高い含量を有するであろう。特徴的な赤色を維持するために、飲料は好ましくはpH5以下に維持する。
【0050】
(実施例6a)
乳製品において使用するための赤いココアパウダー:
本発明の赤いココアパウダーは、ヨーグルト又は酸性pHを有する任意の他の乳製品などの乳製品用途で使用できるパウダーミックスを作製するために全体的又は部分的に使用することができ、製品に独特な赤/バーガンディー色を付与する。これらの乳製品は、本発明の赤いココアパウダーなしで調製される類似の製品と比較して、高いフラバノール及びレスベラトロール含量を有するであろう。そのような用途の一例は、赤色のヨーグルトを得るために2.5重量%の本発明の赤いココアパウダーを添加したプレーン又はバニラ風味のヨーグルトであろう。赤いココアパウダーの量は、所望の色強度及びフラバノール又はレスベラトロール含量を達成するために増大又は減少させることができる。赤いココアパウダーは、イチゴ、クランベリー、又はサクランボなどの赤い果実を含むヨーグルトの色並びに/或いはフラバノール又はレスベラトロール含量を強化するためにも使用することができよう。
【0051】
(実施例7)
赤いダークチョコレート:
本発明の赤いココアリカー又は赤いパウダーは、赤/バーガンディー色を有するダークチョコレート製品を配合するために、追加のココアバターと共に使用することができる。該チョコレートの風味は、未焙煎又は焙煎した赤いココア材料、及び上記のココア製品の他の混合物の使用に応じて変化するであろう。得られたダークチョコレートは、類似の量のココアマスを有する標準的ダークチョコレートと比較して、高いフラバノール及びレスベラトロール含量を有することになろう。100gのダークチョコレートバーは、60gの本発明の酸性化した赤いココアリカー、37.68gの砂糖、2gのココアバター、0.3gのレシチン、及び0.02gのバニリンを使用する、伝統的なチョコレートの製造方法に従って製造することができる。本発明の赤いココアリカーを用いて製造したダークチョコレートの色(赤いダークチョコ)は、表4及び図5で測色により示すように、従来のココアリカー又は市販の赤いココアパウダーから製造したダークチョコレートと比較して独特な暗い赤色を有する。赤色が多いほど増大するハンターa/b比によると、本発明の赤いココアリカーを用いて製造したダークチョコレートは、従来のダークチョコレート(市販のダークチョコ)より3倍高いa/b比、及び市販の赤いココアパウダーを用いて製造したダークチョコレート(市販の赤いダークチョコ)よりほぼ2倍高いa/b比を有していた。これらのダークチョコレートそれぞれの視覚的記述は、公定のパントンカラーガイド及び表4に示すマンセルカラーシステムを使用して実施した。
表4.ダーク及びミルクチョコレートの測色。
【表4】

【0052】
(実施例8)
赤いミルクチョコレート:
ココアバターを添加した本発明の赤いココアリカー又は赤いココアパウダーは、赤/バーガンディー色を有するミルクチョコレートを配合するのに使用することができる。該チョコレートの風味は、未焙煎又は焙煎した赤いココア材料、及び上記の他のココア製品の使用、並びに使用するミルク又はミルク固形分の量に応じて変化するであろう。得られたミルクチョコレートは、類似のレベルのココアマス又は固形分を有する標準的ミルク又はダークチョコレートと比較して、高いココアフラバノール及び抗酸化物質含量を有するであろう。赤いココアリカーを組み込んだ100gのミルクチョコレートの配合の一般的な例は、ココアバター16.3g、赤いリカー16.2g、全脂粉乳26g、グラニュー糖41.08g、バニリン0.02g、及びレシチン0.4gのようであることができる。次いで、その後に、表4及び図5で測色により示すように、従来のチョコレートリカー(市販のミルクチョコ)又は市販の赤いココアパウダー(市販の赤いミルクチョコ)から製造したミルクチョコレートと比較して赤色(赤いミルクチョコ)及び独特な風味を有するミルクチョコレートをもたらす従来のチョコレート方法を実施することができる。赤色が多いほど増大するハンターa/b比によると、本発明を用いて製造したミルクチョコレート(赤いミルクチョコ)は、従来のミルクチョコレートより2.5倍高いa/b比、及び市販の赤いココアパウダーを用いて製造したミルクチョコレートより1.5倍高いa/b比を有していた。これらのミルクチョコレートそれぞれの視覚的記述は、公定のパントンカラーガイド及び表4に示すマンセルカラーシステムを使用して実施した。
【0053】
一般に、未発酵のカカオラバド豆、又は0.7以下の発酵指数を有するものなどの他の未発酵又は発酵不足の豆は何年も前に記述されたが、ココア製品の製造においてほとんど使用されない。一般に、カカオ豆の生産地域は、味覚及び渋味に対するその有害な効果が原因で、未発酵豆の含量を10%以下に制限する。さらに、国際規格は、ねずみ色及び紫色の未発酵豆のレベルを10%以下に制限する(BCCCA、Cocoa Beans:Chocolate Manufacturers Quality Regulations、1996)。したがって、生又は未発酵のカカオ豆試料から製造した、又は少なくとも50%の未発酵豆を用いて製造した製品は珍しく、一般に品質が低いとみなされる。本発明によると、直接的原料としての完全に生又は未発酵のココアニブの使用、又は少なくともずっと高いレベルのカカオラバド豆又は類似の豆を酸性化して、特徴的及び許容可能な味覚及び口当たりを有し、フラバノール及び他の抗酸化物質などの有益なココア化合物のレベルが増大した特徴的な赤いココア製品を得ることができる。
【0054】
上で示した例及び本出願の内容は、本発明により製造又は使用することができる多くのココア組成物、製品、及び方法の例を定義及び記述する。いずれの例及び記述のいずれの部分も、本発明全体又は以下の請求項の意味の範囲に対する制限として理解すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵不足又は実質的に未発酵のココア豆組成物を用意するステップと、ココア豆からニブを回収するステップと、ニブを酸性組成物で処理し、その後にニブを洗浄及び乾燥させるステップと、ニブを加工して食品又は食品成分で使用するためのココア製品にするステップとを含み、それによりココア製品が赤の色相を有し、食品において約1重量%以上で使用することができ、食品が渋味又は苦味に関して許容可能な味覚プロファイルを示す、食品又は食品成分の調製で使用するための赤いココア製品の製造方法。
【請求項2】
酸性組成物が約pH4以下であり、以下のリン酸;クエン酸;果汁又は果実エキス又は果実濃縮物に由来する酸性組成物;乳酸;アジピン酸;酢酸;アスコルビン酸;リンゴ酸、酒石酸;塩酸;フマル酸、リン酸ナトリウム;硫酸水素ナトリウム、グルコン酸;及びグルコノ−δ−ラクトンの1種又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸性組成物が約pH1と約pH3との間である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ココア製品の加工ステップが赤いココアニブ、赤いココアリカー、又は赤いココアパウダーの製造ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
酸性組成物がアルコールをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
酸性組成物の少なくとも1種の酸が、リン酸に相当する約0.5N以上の滴定酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
赤い酸性化ココアニブの焙煎ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
焙煎ステップが、赤色を保持し、焙煎チョコレート風味ノートを発現するために、低温で短時間なされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
食用又は食品用の基剤又は緩衝剤の添加ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
食品用基剤又は緩衝剤が炭酸カルシウム、炭酸カリウム、又は水酸化ナトリウムの1種又は複数を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
食品がミルクチョコレート、ダークチョコレート、セミスイートチョコレート、チョコレートアイシング、赤いチョコレート、又は飲料の1種である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
未発酵又は発酵不足のココア豆組成物を用意するステップと、ココア豆からニブを回収するステップと、ニブを粉砕してペースト又はリカーにするステップと、ペースト又はリカーを酸性組成物で処理し、その後に乾燥させるステップと、リカーを加工してココアパウダーにするステップとを含み、それによりココアパウダーが赤の色相を有し、食品において約1重量%以上で使用することができ、食品が渋味又は苦味に関して許容可能な味覚プロファイルを示す、食品又は食品成分の調製で使用するための赤いココア製品の製造方法。
【請求項13】
酸性組成物が約pH4以下であり、以下のリン酸;クエン酸;果汁又は果実エキス又は果実濃縮物に由来する酸性組成物;乳酸;アジピン酸;酢酸;アスコルビン酸;リンゴ酸;酒石酸;;塩酸;フマル酸;リン酸ナトリウム;グルコン酸;及びグルコノδラクトンの1種又は複数を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
酸性組成物がアルコールをさらに含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
酸性組成物の少なくとも1種の酸が、リン酸に相当する約0.12N以上の滴定酸である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項16】
赤い酸性化ココアリカーの焙煎ステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
焙煎ステップが、赤色を保持し、焙煎チョコレート風味ノートを発現するために、低温で短時間なされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
食用又は食品用の基剤又は緩衝剤の添加ステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
食品用基剤又は緩衝剤が炭酸カルシウム、炭酸カリウム、又は水酸化ナトリウムの1種又は複数を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
食品がミルクチョコレート、ダークチョコレート、セミスイートチョコレート、又は飲料の1種である、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
未発酵又は発酵不足のココア組成物を用意するステップと、前記組成物を酸性組成物で処理するステップと、酸性組成物を除去し、乾燥させるステップとを含む、赤いココアパウダーの製造方法。
【請求項22】
酸性組成物が約pH4以下であり、以下のリン酸;クエン酸;果汁又は果実エキス又は果実濃縮物に由来する酸性組成物;乳酸;アジピン酸;酢酸;アスコルビン酸;リンゴ酸;酒石酸;フマル酸;塩酸;フマル酸、酢酸アスコルビン酸;リン酸ナトリウム;グルコン酸;及びグルコノδ−ラクトンの1種又は複数を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
酸性組成物が約pH1と約pH3との間である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
ココア製品の加工ステップが赤いココアニブ、赤いココアリカー、又は赤いココアパウダーの製造ステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
酸性組成物がアルコールをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
酸性組成物の少なくとも1種の酸が、リン酸に相当する約0.5N以上の滴定酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
赤い酸性化ココアニブの焙煎ステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
焙煎ステップが、赤色を保持し、焙煎チョコレート風味ノートを発現するために、低温で短時間なされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
食用又は食品用の基剤又は緩衝剤の添加ステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
食品用基剤又は緩衝剤が炭酸カルシウム、炭酸カリウム、又は水酸化ナトリウムの1種又は複数を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
食品がミルクチョコレート、ダークチョコレート、セミスイートチョコレート、チョコレートアイシング、赤いチョコレート、又は飲料の1種である、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
乾燥ステップが低温加熱、真空乾燥、又は蒸発乾燥の1種又は複数を含む、請求項1、12又は21に記載の方法。
【請求項33】
未発酵又は発酵不足及び未焙煎カカオ豆からカカオ豆試料を調製するステップと、前記試料を加工してココア固形分を有するココア組成物にするステップと、ココア固形分を酸性組成物で処理するステップと、過剰量の酸性組成物を除去し、乾燥させるステップとを含む、ココア組成物中の1種又は複数のココア抗酸化物質及び/又はレスベラトロールのレベルの維持方法。
【請求項34】
酸性組成物が約pH4以下であり、以下のリン酸;クエン酸;果汁又は果実エキス又は果実濃縮物に由来する酸性組成物;乳酸;アジピン酸;酢酸;アスコルビン酸;リンゴ酸、酒石酸;塩酸;フマル酸、リン酸ナトリウム;硫酸水素ナトリウム、グルコン酸;及びグルコノ−δ−ラクトンの1種又は複数を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
酸性化されていてダッチングされていないココアパウダー、ココアリカー、又はココアニブ由来組成物を含む酸性化した赤いココア製品又は成分であって、酸性化したココアパウダー、ココアリカー、又はココアニブ由来組成物が前記製品又は成分の総重量の1%以上で存在し、ココアパウダー、ココアリカー、又はココアニブ由来組成物を調製するのに使用されるココアニブが、発酵不足又は未発酵の豆からのニブである、酸性化した赤いココア製品又は成分。
【請求項36】
食品がチョコレート製品、チョコレート風味の製品、チョコレート菓子、チョコレート風味の菓子、飲料、チョコレート飲料、チョコレート風味の飲料、栄養補助食品、チョコレートでコーティングした製品、低脂肪チョコレート製品又は砂糖無添加チョコレート製品である、請求項35に記載の酸性化した赤いココア製品。
【請求項37】
ココアリカー1グラム当たり約300ミクロモルのトロロックス当量(TE)以上のORAC酸化防止能レベルを有する、請求項35に記載の酸性化ココア製品。
【請求項38】
低脂肪ココアパウダー、無脂肪ココアパウダー、又は脱脂ココアパウダーである、請求項35に記載の酸性化ココア成分。
【請求項39】
チョコレート製品、チョコレート風味の製品、チョコレート菓子、チョコレート風味の菓子、飲料、チョコレートアイシング、チョコレート飲料、チョコレート風味の飲料、ヨーグルト又はアイスクリームの様な乳製品、栄養補助食品、チョコレートでコーティングした製品、低脂肪チョコレート製品又は砂糖無添加チョコレート製品である、請求項2、13、又は22に記載の方法から製造された食品。
【請求項40】
酸性化した赤いココア製品又は成分及び食用又は食品用の基剤又は緩衝剤を含むココア含有食品。
【請求項41】
食品用基剤又は緩衝剤が炭酸カルシウム、炭酸カリウム、又は水酸化ナトリウムの1種又は複数を含む、請求項40に記載の食品。
【請求項42】
チョコレート製品、チョコレート風味の製品、チョコレート菓子、チョコレート風味の菓子、飲料、チョコレート飲料、チョコレート風味の飲料、栄養補助食品、チョコレートでコーティングした製品、低脂肪チョコレート製品又は砂糖無添加チョコレート製品の1種又は複数である、請求項40に記載の食品。
【請求項43】
酸性化した赤いココア製品又は成分がココアリカーであり、ココアリカー1グラム当たり約300以上のTEのORAC酸化防止能レベルである、請求項40に記載の食品。
【請求項44】
酸性化した赤いココア製品又は成分がココアパウダーであり、ココアパウダーが、ココアリカー1グラム当たり約300以上のTEのORACを有するココアリカーから製造されたココアパウダーと等しいORAC酸化防止能レベルを有する、請求項40に記載の食品。
【請求項45】
発酵不足及び未焙煎のニブを含むカカオ豆ニブの混合物であって、前記ニブが約pH4以下の酸性組成物で処理された混合物。
【請求項46】
未発酵及び未焙煎のニブを含むカカオ豆ニブの混合物であって、前記ニブが約pH4以下の酸性組成物で処理された混合物。
【請求項47】
赤色及び2を超えるハンターカラースコアa/b比を有する、請求項35に記載の酸性化した赤いココアリカー又はパウダー組成物。
【請求項48】
ハンターカラースコアa/b比が約2〜約6である、請求項35に記載の酸性化した赤いココアリカー又はパウダー組成物。
【請求項49】
赤色及び2を超えるハンターカラースコアa/b比を有する、請求項37に記載の酸性化した赤いココアリカー又はパウダー組成物。
【請求項50】
ハンターカラースコアa/b比が約2〜約6である、請求項37に記載の酸性化した赤いココアリカー又はパウダー組成物。
【請求項51】
存在するエピカテキンのレベルが維持及び測定される、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
エピカテキンレベルが酸不使用処理と比較して10%以上増大する、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
エピカテキンレベルが酸不使用処理と比較して20%以上増大する、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
ココア組成物を約pH4以下の水溶液又はエタノールの酸性溶液で処理し、前記酸を除去するステップを含む、ココア組成物中の食品媒介細菌の不活性化方法。
【請求項55】
前記酸がリン酸である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記酸がクエン酸である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
ココア組成物がココアリカー又はココアパウダーである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記細菌がサルモネラを含む、請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−502541(P2011−502541A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534285(P2010−534285)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/084059
【国際公開番号】WO2009/067533
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(507101484)ザ ハーシー カンパニー (7)
【Fターム(参考)】