説明

赤外線治療器

【課題】小型でハンディタイプの赤外線治療器を提供することである。
【解決手段】合成樹脂製のケーシング10の中に光源を収納して、ライトガイド40を介して、波長600〜1800nmの赤外線を放射するハンディタイプである。光源は、フィラメントランプ1と金属製反射ミラー20よりなり、ケーシング10の内部であってライトガイド40の端部近傍には、金属製反射ミラー20が着脱自在に装着されるとともに、フィラメントランプ1からの放射光が直射されるとともに光通過路が形成された金属製ブロック30が配置することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は患部に赤外線を照射するハンディタイプの赤外線治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
患部に近赤外線を照射して治療する、いわゆる光線治療器が、例えば特開2003−117007号などで知られている。
この治療器は光源を含む治療器本体からアームが伸びるように構成されており、光源からの放射光はファイバーで導かれるとともに、アーム先端に装着されたプローブから光線を放射する。
しかし、装置全体が大型化することから、治療現場で設置場所を占有してしまうなど、問題がないわけではない。
【特許文献1】特開2003−117007号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする課題は、小型でハンディタイプの赤外線治療器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明に係る赤外線治療器は、合成樹脂製のケーシングの中に光源を収納して、ライトガイドを介して、波長600〜1800nmの赤外線を放射するハンディタイプである。そして、光源は、フィラメントランプと金属製反射ミラーよりなり、前記ケーシングの内部であってライトガイドの端部近傍には、前記金属製反射ミラーが着脱自在に装着されるとともに、フィラメントランプからの放射光が直射されるとともに光通過路が形成された金属製ブロックが配置することを特徴とする。
【0005】
さらに、金属製反射ミラーは、前面開口にフランジが一体的に形成されて、このフランジに設けられた取付穴が前記金属製ブロックからの突出部材と係合することで着脱自在構造が形成されることを特徴とする。
【0006】
さらに、金属製ブロックからの突出部材は、当該金属製ブロックをケーシングに装着する取付部材の一部を利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により小型でハンディタイプの光線治療器を提供することができる。また、金属製ブロックを光源の放射方向に配置する構造により、赤外線を放射する治療器でありながら良好な熱的対策と、光源の位置的安定化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の光治療器の全体構造を示す。
本体ケース10は、合成樹脂にて射出成形され、前ケース11と後ケース12の2分割構造で形成される。後ケース12の下方に握り部が一体的に形成されて、装置は全体として小型軽量なハンディタイプとなる。
また、後ケース12の後方には、スリット状の冷却風吸入孔13が形成され、この冷却風吸引孔13の手前に冷却ファン14が配置される。冷却ファン14が作動すると冷却風が吸引されて本体ケース10の内部に流れる。
また、前ケース11と後ケース12は、係合部15においてワンタッチ式にかみ合う構造になっている。
前ケース11の先端にはライトガイド40が装着される。このライトガイド40は、直径150μmの光ファイバーを約2000本束ねたものであり、前ケース11に着脱自在となる。
【0009】
光源部は、フィラメントランプ1と金属製反射ミラー20(以後、単に「反射ミラー」ともいう)より構成される。反射ミラー20の首部では、フィラメントランプ1の封止部が接着剤などで保持される。フィラメントランプ1はシングルエンド型ランプであり、例えば、定格13.5V、45Wのハロゲンランプが採用される。
【0010】
図2はフィラメントランプ1の拡大図を示す。
石英を主成分とするガラス製の発光管1aよりなり、一端に封止部1bが形成されるとともに、他に排気管残部2が形成される。発光管1a内では発光部を構成する一つもしくは複数のフィラメントコイル3が当該発光管の管軸に水平に配置されている。フィラメントコイル3はサポータ4によって支持されている。発光管1a内には、例えば、不活性ガスとハロゲン化合物が封入されている。封止部1bには金属箔5が埋設されてサポータ4と外部リード6の電気的接合を構成する。金属箔5はモリブデンによりなる。フィラメントランプ3は、赤外線、具体的には波長300〜3000nmを超える範囲の光を放射する。
【0011】
図1に戻り、反射ミラー20は、例えば、アルミニウムよりなり、略お椀状の反射部21と首部21より構成され、反射部21によりフィラメントランプ1の放射光を全て前方に向けて反射する。
反射ミラー20の首部22には、例えば、ポリアミド系接着剤を充填することでフィラメントランプ1を保持している。首部22にはセラミック製口金などを装着されておらず、また、反射ミラー20の後部には当該反射ミラーを保持するための特別の部材も存在しない。
フィラメントランプ1から伸びる給電線は握り部に内蔵された電気回路(図示略)に接続される。
反射ミラー20は、前面開口が金属製ブロック30に密着して取り付けられる。金属製ブロック30は、熱容量を有するものであり、フィラメントランプ1から放射される赤外線を吸収する。
【0012】
図3は金属製反射ミラー20の概略構成を示す。前述のように略お椀型の反射部21とランプを保持する首部22を有する。反射ミラー20の前面開口には、折り曲げにより一体的にフランジ23が形成されており、フランジ23にはネジ通過用の開口24(24a、24b)が形成される。
【0013】
図4は前カバー11の内部構造を示す。
金属性ブロック30は取付部材31により前ケース11に装着される。取付部材31は、具体的にはネジであって、前ケース11に一体的に形成された突出部11aにネジ穴が形成され、両者でネジ構造が構成される。
また、取付部材31の先端ヘッドは反射ミラー20を取り付ける部材としても機能する。具体的には、取付部材(ネジ)31の先端部が、フランジ23の開口24に適合するものであり、より具体的には、開口24は大径部24aと小径部24bを有し、取付部材(ネジ)31のヘッドを大径部24aにより通した後に、反射ミラー20全体を回転させることで小径部24bにおいて適合させる。
なお、図においては、フランジ23は、反射ミラー20が金属製ブロック30に装着された状態において、反射ミラー20の上下方向にのみ設けられ、すなわち、取付部材31との装着構造も上下方向にのみ形成されている。しかし、これは必須の構造ではなく、フランジを反射ミラーの左右方向に設けてもよいし、上下左右の4方向に設けてもかまわない。
【0014】
金属製ブロック30には、すり鉢形状の光通過路が形成され、フィラメントランプ1から放射される赤外線がライトガイド40の端部に集光する。ライトガイド40の端部にはフィルタ50が挟まれており、このフィルタ50によって、波長600nm以下の光をカットする。より具体的には、波長420〜590nmの光の透過率を1%以下にする。
なお、図1では金属製ブロック30は断面構造が示されていない。
【0015】
以上の構造により、本発明の赤外線治療器は以下の効果を有する。
第一に、熱対策が十分に行われていることである。本発明の治療器は赤外線を放射するものであり、ライトガイド40により導くことができない不必要な赤外線を金属ブロック30で良好に蓄熱することができる。すなわち、フィラメントランプ1の放射方向に金属製ブロック30を設けることで、ライトガイド40に入射できない光を吸収することができ、冷却ファン14により金属製ブロック30を効果的に冷却できる。
特に、本発明の赤外線治療器はハンディタイプであり、使用時において装置を患部近傍まで近づける必要がある。この際、前ケース11が高温になると患部に不快感を与えかねず、また、前ケース11は合成樹脂よりなるため高温化により変形することもある。この点において、金属製ブロック30で不必要な熱を吸熱できる構造は効果的である。
【0016】
第二に、装置全体を前ケース11と後ケース12の2分割構造にするとともに、フィラメントランプ1や反射ミラー20を前ケース11に取り付けることで、ランプ交換や反射ミラー20の位置調整を容易に行うことができる。特に、反射ミラー20は金属製ブロック30に押さえ付けと回転により容易に装着、脱着できる。また、このときの部材は金属製ブロックを前ケースに取り付ける部材を兼用しているため、専用の部品を使っているわけではなく、この点で簡素の構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る赤外線治療器の全体構造を示す。
【図2】本発明に係るフィラメントランプの全体構造を示す。
【図3】本発明に係る反射ミラーの全体構造を示す。
【図4】本発明に係る前ケースの内部構造を示す。
【符号の説明】
【0018】
10 本体ケース
11 前ケース
12 後ケース
20 金属製反射ミラー
30 金属製ブロック
40 ライトガイド
50 フィルタ
L フィラメントランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のケーシングの中に光源を収納して、ライトガイドを介して、波長600〜1800nmの赤外線を放射するハンディタイプの赤外線治療器において、
前記光源は、フィラメントランプと金属製反射ミラーよりなり、
前記ケーシングの内部であって、ライトガイドの端部近傍には、前記金属製反射ミラーが着脱自在に装着されるとともに、フィラメントランプからの放射光が直射されるとともに光通過路を有する金属製ブロックが配置することを特徴とする赤外線治療器。
【請求項2】
前記金属製反射ミラーは、前面開口にフランジが一体的に形成されて、このフランジに設けられた取付穴が前記金属製ブロックからの突出部材と係合することで着脱自在構造が形成されることを特徴とする請求項1の赤外線治療器。
【請求項3】
前記金属製ブロックからの突出部材は、当該金属製ブロックをケーシングに装着する取付部材の一部を利用することを特徴とする請求項2の赤外線治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−25954(P2006−25954A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206793(P2004−206793)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】