説明

赤外線溶着ブラシ及び非接触熱板溶着ブラシ単体と製造方法

【課題】ブラシ溶着方法として赤外線技術と非接触熱板技術を使用し、低設備コストで毛抜けのない、軽重量の樹脂単体ブラシとその製造方法を提供する。
【解決手段】束ねたブラシ毛(熱可塑性樹脂)の側面、或いは断面方向に赤外線又は、500℃〜1000℃程度に加熱した熱板を近づけ輻射熱により樹脂を溶融し冷却固着し、ブラシを製造する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外線溶着ブラシ及び非接触熱板溶着ブラシ単体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラシは、金属等を使用したものであった。近年、特開2002−300921(工業用ブラシ及びその製造方法)や特開2002−85158(ロール型ブラシ)のように金属を使用しない溶着ブラシの製造方法等が紹介されている。
【0003】
又、歯ブラシにおいて特開2001−178544(歯ブラシ)等文献は多い。しかし、ほとんどの文献が超音波技術によるもので、溶着方法を具体的に説明していない文献もある。ここに紹介する、赤外線溶着ブラシ・非接触熱板溶着ブラシは実験・研究の結果、生み出された製造方法である。
【0004】
多種類のブラシを溶着によって製造するには、各溶着方法の長所を引き出し、用途により使い分けることが肝要である。
【発明者が解決しようとする課題】
【0005】
一言でブラシと言っても多種・多様である。近年、超音波による溶着ブラシが注目されているが、小型のブラシのみで、大型・長寸のブラシ製造には不向きである。
【0006】
大型・長寸のブラシの製造には超音波に比べ高周波溶着が優れている。しかし、どちらとも設備費用が高く、大量生産には向いているが多種類のブラシを受注生産する場合不安がある。
【0007】
超音波溶着・高周波溶着では、難しいとされる多種・多様素材・小ロットの溶着ブラシ製造。
【課題を解決するための手段】
【0008】
赤外線を収集レンズ、ポロシリケート系耐熱ガラスを通し、ブラシ素材を溶融し冷却とともに固着する性質を利用して多種・多様素材のブラシを製造する。
【0009】
500℃〜1000℃程度に加熱した熱板をブラシ素材に近づけ、その輻射熱によりブラシ素材を溶融し、冷却とともに固着する性質を利用して多種・多様素材のブラシを製造する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
切断糸材群1を糸材群取り付け治具2に装着する。この時、治具の形状を変えることにより、どのような形のブラシも製造することが可能である。
【0012】
糸材群取り付け治具2に装着した切断糸材群1に耐熱性に優れたポロシリケート系耐熱ガラス3を当てる。当てる方向は溶着面であり、切断糸材群1の側面、或いは断面方向など、どの方向でもよい。
【0013】
ポロシリケート系耐熱ガラス3から適当な位置に赤外線収集レンズ4と赤外線ランプ5を置く。(図1・図2)
赤外線ランプ5から出た光は赤外線収集レンズを通り、ポロシリケート系耐熱ガラス3に接解する切断糸材群1(熱可塑性樹脂)を溶融し、冷却とともに固着する。
【0014】
安定した溶着をするには、透過率の高いガラスを使用し適当な力で切断糸材群1を加圧することが必要条件となる。
【0015】
次に非接触熱板による、ブラシの溶着を本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
切断糸材群1を糸材群取り付け治具2に装着する。この時、治具の形状を変えることにより、どのような形のブラシも製造することが可能である。
【0017】
糸材群取り付け治具2に装着した切断糸材群1(熱可塑性樹脂)の側面、或いは断面方向よりヒーター7で500℃〜1000℃程度に加熱した熱板6を近づける。(この距離は、樹脂の融点、熱板6の温度により異なる。)
【0018】
熱板6を切断糸材群1に近づけることにより熱板6から発する輻射熱により樹脂が溶融し冷却とともに固着する。(図3)
【0019】
自然冷却するよりも、熱板6の輻射熱により樹脂を溶融した後、冷却板8を溶融部分に適当な圧力で押し当てると、より安定した溶着ができる。(図4)
【0020】
赤外線・非接解熱板を使用し,溶着をすれば、樹脂成分単体の溶着フラットブラシ9(図5)、溶着円筒ブラシ10(図6)も容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
超音波溶着、高周波溶着に比べ設備コストがかからない。
【0022】
大量生産には現状では問題があるが、その反面、多種類・小ロットのブラシ製造には最適と言える。
【0023】
超音波溶着・高周波溶着では溶着可能な樹脂が決まってしまうが、赤外線溶着・非接触熱板溶着では、熱可塑性樹脂であれば溶着が可能であり多用途であることが特徴である。
【0024】
溶着強度の面からは、超音波溶着と比較すると赤外線溶着・非接触熱板溶着が優れている。
【0025】
金属を一切使用しない、リサイクルが容易な環境に配慮したブラシが注目される中で、そのブラシの形状・特徴を生かす方法で製造することが肝要と言える。上記、4種類の製造方法の特徴を最大限に生かしてブラシ製造を行ない、リサイクル率の高い製品をエンド・ユーザーに提供することが、ブラシ業界の目指すところと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 切断糸材群射指図
【図2】 ブラシ赤外線溶着システム正面図
【図3】 ブラシ非接触熱板溶着システム正面図
【図4】 ブラシ非接触熱板冷却正面図
【図5】 溶着フラットブラシ射指図
【図6】 溶着円筒ブラシ射指図
【符号の説明】
1 切断糸材群
2 糸材群取り付け治具
3 ポロシリケート系耐熱ガラス
4 赤外線収集レンズ
5 赤外線ランプ(光源)
6 熱板
7 ヒーター
8 冷却板
9 溶着フラットブラシ
10 溶着円筒ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシを構成する全ての素材が、ブラシ毛材に用いられる素材と同質素材及び同等化学構造に属する樹脂素材で形成され、溶着手段として赤外線を使用して製造された単体ブラシ。
【請求項2】
ブラシを構成する全ての素材が、ブラシ毛材に用いられる素材と同質素材及び同等化学構造に属する樹脂素材で形成され、溶着手段として非接触熱板を使用して製造された単体ブラシ。
【請求項3】
請求項1、請求項2の溶着ブラシの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−116270(P2006−116270A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336638(P2004−336638)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(504217144)株式会社樋口製作所 (9)
【Fターム(参考)】