説明

赤色水性インキ組成物

【課題】 インキの経時変色防止性に優れ、更には筆跡のにじみ防止、追従性にも優れた特性を有する筆記具用赤色水性インキ組成物を得ることを課題とする。
【解決手段】 水と赤色キサンテン染料と、モノアルキルリン酸エステルとを少なくとも含む、pH調整剤により塩基性に調整された筆記具用赤色水性インキ組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキの経時変色防止性に優れ、更には筆跡のにじみ防止、追従性にも優れた特性を有する筆記具用赤色水性インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水性インキの着色剤として染料がある。しかし、一般的に染料は顔料に比べて耐光性や保存安定性が弱いので、経時で染料が変化して不溶化したり、分解などにより発色性が低下してインキ色が変化してしまい、筆跡の色調が初期と大きく異なってしまう問題があった。
特に赤色水性インキで使用される、赤色キサンテン染料は退色しやすいので、この染料を単独もしくは混色して使用したインキは経時変色が起こりやすく、所望の色調が得られないという問題があった。
【0003】
赤色キサンテン染料を含む耐光性に優れたインキとして、スルホン基を含有し、ベンゼン環とピラゾール環からなる共鳴物質を添加した組成物(特許文献1)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−209173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のインキは、スルホン基を含有し、ベンゼン環とピラゾール環からなる共鳴物質が光エネルギーを吸収し、耐光性を得るものであるが、光による変退色に特化した効果であり、マーキングペンなどの光に晒されないインキ収蔵体中での、インキの経時変色を抑制することは出来なかった。
本発明は、インキの経時変色防止性に優れ、更には筆跡にじみ防止性、追従性にも優れた特性を有する筆記具用赤色水性インキ組成物を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水と赤色キサンテン染料と、モノアルキルリン酸エステルとを少なくとも含む、ph調整剤により塩基性に調整された筆記具用赤色水性インキ組成物を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
赤色キサンテン染料は、その構造中にカルボニル基を持ち、カルボニル基の周辺はハロゲンで置換されている。
塩基性の水性インキ中では水酸化物イオンとキサンテン染料のカルボニル基との水和反応が起こりやすいと推察され、また、水和反応で生成したgem−ジオールは電子吸引性置換基であるハロゲンにより安定化され、元の染料構造に戻りにくい。染料のカルボニル基は発色団であるため、この水和反応の進行に伴い、経時変色が進行する。
モノアルキルリン酸エステルを添加することにより、リン酸のヒドロキシル基よりプロトンが電離し、インキ中の水酸化物イオンを捉えるため、水酸化物イオンとキサンテン染料との水和反応を抑制することができる。その結果、赤色キサンテン染料の構造変化による経時変色を防止できる。
【0008】
モノアルキルリン酸エステルは少量の添加で表面張力を低下させることができるため、従来にじみや追従性不良を引き起こす要因となっていた多量の界面活性剤添加を必要とせず、にじみ性の悪化を防ぎ、良好な筆記追従性を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下詳細に説明する。
インキの主溶剤は水である。
【0010】
モノアルキルリン酸エステルは、アルキル鎖の長さに関わらず使用することができる。そのため、溶解性などの条件に応じて適宜選択が可能である。
市販品としてはKorantin SMK(BASF社製)や、フォスファノール ML−200(東邦化学工業(株)社製)や、NIKKOL ホステン HLP(日光ケミカルズ(株)社製)などが挙げられる。
品質上十分な効果を得るための使用量は、水性インキ全量に対し0.05〜15重量%が好ましい。
【0011】
赤色キサンテン染料は各種公知の染料が使用可能である。
例を挙げると、C.I.アシッドレッド50、同51、同52、同87、同91、同92、同93、同94、同95、同98などの酸性染料、C.I.ベーシックレッド1などの塩基染料があり、1種もしくは2種以上を混合して使用できる。
【0012】
赤色系インキ組成物の補色の着色剤としては、主に黄色染料があり、従来公知の染料が使用できる。
黄色染料の例を挙げると、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.アシッドエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同42、C.I.フードエロー3、C.I.フードレッド14等があり、他の染料の例を挙げると、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199)などの直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同57、同82、同83、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドブルー74、C.I.アシッドグリーン5などの酸性用染料が挙げられる。
【0013】
上記した着色剤は単独或いは複数混合して使用することができ、使用量はインキ組成物全量に対して2.0重量%以上20.0重量%以下が好ましい。2.0重量%未満では濃度が低すぎて筆跡が確認し難いこともあり、20.0重量%を超えるとインキ組成物粘度が高くなり筆記具ペン先からのインキ吐出が不十分になることがある。
【0014】
低温時での水性組成物の凍結防止、染料の可溶化剤、顔料の分散媒等、種々の品質を担う液媒体として、従来公知の水溶性有機溶媒が使用できる。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、その使用量は10〜50重量%が好ましい。
【0015】
着色剤を定着させるためなどで各種樹脂を併用することもできる。例えば、セラック、スチレン−マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂やその水素添加物、ケトン樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物などが挙げられる。
これらの樹脂は、単独或いは複数混合して使用でき、筆記面への定着性を付与するために添加する場合、その使用量はインキ組成物全量に対し0.5〜20.0重量%以下が好ましい。0.5重量%未満では筆記面に対する筆跡の定着性が不十分となる場合があり、20.0重量%を超えるとインキの粘度が高くなりペン先からのインキ吐出が悪くなる不具合が発生する可能性がある。
【0016】
水性組成物としての適切な流動特性を得るために水溶性高分子化合物を用いることができる。例えば、アラビアガム、トラガカントガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、キサンテンガム、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、アルカガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒドロキシプロピ化グァーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体又はそれらの塩がある
【0017】
黴の発生を防止するために、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、モルホリン、モルホリン誘導体などの防腐防黴剤を適宜加えることもできる。
【0018】
水性組成物のpHを調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオールなどの塩基性物質が挙げられる。
【0019】
染料等の溶解促進や顔料等の分散安定性向上のために界面活性剤を配合しても良い。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン2〜30モル付加オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜35)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜20)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(1〜20)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(6〜18)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜25)2−デシルペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(3〜30)2−デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(8〜16)2−オクチルデシルエーテル等のエーテル型活性剤、ポリオキシエチレン(4〜60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(3〜14)脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレン(6〜30)脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレン(5〜20)ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型活性剤、ポリオキシエチレン(2〜30)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(10〜60)グリセリルトリイソステアレート、ポリオキシエチレン(7〜50)硬化ヒマシ油モノイソステアレート、ポリオキシエチレン(12〜60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート等のエーテルエステル型活性剤等のエチレンオキシド付加型界面活性剤、デカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート、グリセリルモノオレエート等のグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤が挙げられる。
また、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩などのアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレン(5〜20)付加アンモニウム塩、アミドアミンなどのカチオン系界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、椰子油脂肪酸アミドプロピルベタインなどの酢酸ベタイン型やアルキルヒドロキシエチルイミダゾリンなどのイミダゾリン型の両性界面活性剤、表面張力調整や消泡のためにポリエーテル変性シリコーンオイルなどのシリコン系界面活性剤やパーフルオロアルキルエーテルなどのフッ素系界面活性剤等を、さらに乾燥抑制のために尿素やソルビット、キシリット等の糖アルコールを、防錆のためにベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などを、さらに各種の香料などを用いることもできる。
【0020】
水性組成物の製造方法としては従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ヘンシェルミキサー、プロペラ撹拌機、ホモジナイザー、ニーダー等の装置を使用して作ることが出来る。濾過や遠心分離を行い粗大粒子や気体を除いても良い。製造時に加熱や冷却や加圧や減圧や不活性ガス置換をしても良い。動力は電気でも加圧空気でも良い。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。
【0021】
本発明のインキは、中綿と繊維芯と外装などからなるような、サインペンまたはマーカー、中綿またはインキ収容管と樹脂チップまたは金属チップと外装などからなるボールペン、インキ収容管と筆と外装からなる筆ペン、インキ収容間と樹脂ペン先または金属ペン先と外装からなる万年筆などで使用する場合に適しているが、それらに限られたものではない。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
イオン交換水 71.3重量部
エチレングリコール 20.0重量部
プロクセルGXL(s)(防腐剤、アビシア(株)社製) 0.2重量部
ノイゲンP(界面活性剤、第一工業製薬(株)社製) 1.0重量部
Korantin SMK(モノアルキルリン酸エステル、BASF社製)0.5重量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 2.0重量部
Water Pink 2(赤色染料、オリエント化学工業(株)社製) 5.0重量部
上記配合にて室温で3時間攪拌して赤色のインキ組成物を得た。
【0023】
(実施例2)
イオン交換水 73.2重量部
エチレングリコール 20.0重量部
プロクセルGXL(s)(防腐剤、アビシア(株)社製) 0.2重量部
ノイゲンP(界面活性剤、第一工業製薬(株)社製) 1.0重量部
Korantin SMK(モノアルキルリン酸エステル、BASF社製)0.1重量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 0.5重量部
Water Red 2(赤色染料、オリエント化学工業(株)社製) 5.0重量部
上記配合にて室温で3時間攪拌して赤色のインキ組成物を得た。
【0024】
(実施例3)
イオン交換水 74.3重量部
エチレングリコール 20.0重量部
プロクセルGXL(s)(防腐剤、アビシア(株)社製) 0.2重量部
ノイゲンP(界面活性剤、第一工業製薬(株)社製) 1.0重量部
フォスファノール ML−200(東邦化学工業(株)社製) 0.5重量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 5.0重量部
Water Pink 2(赤色染料、オリエント化学工業(株)社製) 2.0重量部
上記配合にて室温で3時間攪拌して赤色のインキ組成物を得た。
【0025】
(実施例4)
イオン交換水 60.8重量部
エチレングリコール 20.0重量部
プロクセルGXL(s)(防腐剤、アビシア(株)社製) 0.2重量部
ノイゲンP(界面活性剤、第一工業製薬(株)社製) 1.0重量部
Korantin SMK(モノアルキルリン酸エステル、BASF社製)5.0重量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 3.0重量部
Water Pink 2(赤色染料、オリエント化学工業(株)社製) 5.0重量部
Water Red 2(赤色染料、オリエント化学工業(株)社製) 5.0重量部
上記配合にて室温で3時間攪拌して赤色のインキ組成物を得た。
【0026】
(実施例5)
イオン交換水 70.3重量部
エチレングリコール 20.0重量部
プロクセルGXL(s)(防腐剤、アビシア(株)社製) 0.2重量部
ノイゲンP(界面活性剤、第一工業製薬(株)社製) 1.0重量部
NIKKOL ホステン HLP(日光ケミカルズ(株)社製) 0.5重量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 2.0重量部
Water Pink 2(赤色染料、オリエント化学工業(株)社製) 4.0重量部
Water Yellow 6(黄色染料、オリエント化学工業(株)社製)
2.0重量部
上記配合にて室温で3時間攪拌して赤色のインキ組成物を得た。
【0027】
(比較例1)
イオン交換水 71.3重量部
エチレングリコール 20.0重量部
プロクセルGXL(s)(防腐剤、アビシア(株)社製) 0.2重量部
ノイゲンP(界面活性剤、第一工業製薬(株)社製) 1.0重量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 2.0重量部
Water Pink 2(赤色染料、オリエント化学工業(株)社製) 5.0重量部
上記配合にて室温で3時間攪拌して赤色のインキ組成物を得た。
【0028】
(比較例2)
イオン交換水 71.3重量部
エチレングリコール 20.0重量部
プロクセルGXL(s)(防腐剤、アビシア(株)社製) 0.2重量部
ノイゲンP(界面活性剤、第一工業製薬(株)社製) 1.0重量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 2.0重量部
Water Red 1(赤色アゾ染料、オリエント化学工業(株)社製)
5.0重量部上記配合にて室温で3時間攪拌して赤色のインキ組成物を得た。
【0029】
(比較例3)
イオン交換水 72.8重量部
エチレングリコール 20.0重量部
プロクセルGXL(s)(防腐剤、アビシア(株)社製) 0.2重量部
ノイゲンP(界面活性剤、第一工業製薬(株)社製) 1.0重量部
Korantin SMK(モノアルキルリン酸エステル、BASF社製)0.5重量部
25%水酸化ナトリウム水溶液(pH調整剤) 0.5重量部
Water Pink 2(赤色染料、オリエント化学工業(株)社製) 5.0重量部
上記配合にて室温で3時間攪拌して赤色のインキ組成物を得た。
【0030】
(比較例4)
イオン交換水 70.8重量部
エチレングリコール 20.0重量部
プロクセルGXL(s)(防腐剤、アビシア(株)社製) 0.2重量部
ノイゲンP(界面活性剤、第一工業製薬(株)社製) 1.0重量部
1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール
2.0重量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0重量部
Water Pink 2(赤色染料、オリエント化学工業(株)社製) 5.0重量部
上記配合にて室温で3時間攪拌して赤色のインキ組成物を得た。
【0031】
上記、実施例1〜5、比較例1〜4で得た筆記具用赤色水性インキ組成物を、アクリル繊維収束体からなるペン先を有し、軸体内部にポリエステル繊維からなるインキ吸蔵体を有する水性マーキングペンである、ぺんてる(株)製サインペン(製品符号S520)に2.4g充填して試験用筆記具を得た。
【0032】
経時変色確認試験
実施例1〜5、比較例1〜4にて得られた筆記具用赤色水性インキを、ヘラを用いて上質紙(JIS P 3201準拠)に均一に塗布して色片を作成する。このインキをガラス製ネジ口瓶に入れ、90℃の恒温槽に24時間放置した後、前記と同様の方法で色片を作成する。
放置前後の色片の色調を測定し、放置前後の色片の色調の差(色差△E、単位:NBS)を算出し、変色の度合を評価した。色差の数値が大きいほど変色の度合が大きいことを示す。尚、色調は、分光色差計(NF777、日本電色工業(株)社製)を用いた。
【0033】
紙へのにじみ試験
上記試験用筆記具を用いて、東洋濾紙No.2(アドバンテック東洋(株)社製)の濾紙に5秒間ペン先を接触させたときに広がったインキの面積を測定した。
【0034】
追従性確認試験
上記試験用筆記具を用いて、手書きにて連続した丸をらせん状に速書きし、得られた筆跡の筆跡濃度差や、カスレの有無を目視で観察した。
○ :筆跡濃度差、カスレは全くない
△ :一部、筆跡濃度差、カスレが認められる
× :多数、筆跡濃度差、カスレが認められる
【0035】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と赤色キサンテン染料と、モノアルキルリン酸エステルとを少なくとも含む、ph調整剤により塩基性に調整された筆記具用赤色水性インキ組成物。