説明

走行台車における塵埃飛散防止装置

【目的】 下部のガイドレールとそれに載っている走行車輪との間で発生する塵埃や、走行車輪が回転することによって発生する塵埃が飛散することを防止する。
【構成】 吸引口21から、ガイドレール14とそれに載っている走行車輪18との間で発生する塵埃や、走行車輪18が回転することによって発生する塵埃を空気もろとも吸引して、フィルター24でクリーンにして排気して、塵埃の飛散を防止することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、塵埃を嫌う物品を収納・保管する自動倉庫のスタッカークレーン等に有効に設備・利用し得る走行台車における塵埃飛散防止装置に関する。
【0002】
【従来の自動倉庫】従来の自動倉庫として以下の如きものは知られている。即ち、前後方向に所定間隔をあけるようにして設けられた、上下・左右に多数の物品収納棚を有する前後一対のラック装置と、前記前後のラック装置間において下部のガイドレールに沿って左右動自在に設けられたスタッカークレーンとを有しており、前記スタッカークレーンが、走行台車と、この走行台車に設けられたマストに昇降自在となされた昇降台と、この昇降台に設けられた物品移載装置(例えば、前後方向に摺動自在に設けられたスライドフォーク)とを有しているものは知られている。
【0003】
【発明の背景】前記自動倉庫において、塵埃を嫌う物品、例えば半導体ウエハ等を収納・保管する場合においては、自動倉庫内において塵埃が飛散するのを防止する必要がある。そのような場合、下部のガイドレールとそれに載っている走行車輪との間で発生する塵埃や、走行車輪が回転することによって発生する塵埃が飛散することを防止することが必要となる。
【0004】
【前記目的を達成するための手段】この発明は前記目的を達成するために以下の如き手段を採用した。この発明は、ガイドレールに沿って走行する走行台車が中空状となされ、この走行台車の、ガイドレールに載った走行車輪が設けられた部分に吸引口が形成され、この吸引口から空気を吸引して走行台車に形成された排気口から空気を排気する吸引装置が走行台車内に設けられ、前記排気された空気が走行台車に設けられたフィルターによってクリーンにされるようになされているものである。
【0005】
【発明の作用】この発明は以下の如き作用をなすものである。走行車輪が設けられた部分に形成された吸引口から、ガイドレールとそれに載っている走行車輪との間で発生する塵埃や、走行車輪が回転することによって発生する塵埃を空気もろとも吸引して、フィルターでクリーンにして排気するので、塵埃の飛散を防止することが出来る。
【0006】
【実施例】以下にこの発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。なお、この明細書において、前とは図1下側を、後とは同図上側をいい、左とは図1左側を、右とは同図右側をいう。
【0007】図1〜図3に示すごとく、クリーン倉庫1の床2の上方に、床2との間に所定間隙3をあけるようにして前後一対の水平壁4が、両者の間に左右方向に長い開口5を形成するようにして、設けられている。前記前後一対の水平壁4各々に前後一対のラック装置7が設けられ、これらラック装置7各々は上下・左右に多数の物品収納棚8を有しており、これら前後の物品収納棚8の出し入れ口9は相互に対向している。また、前記物品収納棚8には後述のスライドフォーク38が上下に移動するのを許容するフォーク通過間隙10が形成されている。前記物品収納棚8に物品Wが載置・収納される。
【0008】図1に示すごとく、クリーン倉庫1の、右側部に前後一対の物品搬入・搬出ステーション11が設けられている。
【0009】図3〜図5に示すごとく、前記クリーン倉庫1の前後方向中央の上下部に左右方向に長い上下一対のガイドレール14が設けられ、これらガイドレール14にスタッカークレーン16が左右動自在に案内されている。更に具体的に云うなら、スタッカークレーン16の中空状の走行台車17の下部左右部各々に、下側のガイドレール14に載る走行車輪18及び下側のガイドレール14を挟持する一対の挟持ローラー19が設けられ、走行車輪18の一方が走行台車17内に収納・設置された正逆回転自在なモーター20によって回転させられるようになされている。また、後述のマスト28の上端に、上側のガイドレール14を挟持する左右一対の挟持ローラー25が2組設けられている。
【0010】図4及び図5に示すごとく、走行台車17の底部の、走行車輪18が設けられた部分に吸引口21が形成され、これら吸引口21から空気を吸引して走行台車17に形成された排気口22から空気を排気する吸引装置23が走行台車17内に設けられている。前記排気口22にはフィルター24が取り付けられている。このような構成によって、吸引口21から、下側のガイドレール14と走行車輪18や挟持ローラー19との間で発生する塵埃や、走行車輪18や挟持ローラー19が回転することによって発生する塵埃を空気もろとも吸引して、フィルター24でクリーンにして排気して、塵埃の飛散を防止することが出来る。
【0011】図4及び図6に示すごとく、前記走行台車17にそれと連通するようにしてマスト28が設けられている。このマスト28は上端部が閉塞され、下端部が開放(開口)した筒状である。このマスト28に、その高さ方向に沿ってスリット29が形成され、このスリット29を通じて中空状昇降台30に連通・接続された中空状被案内部31がマスト28内に収納されており、この中空状被案内部31が、これに設けられたローラー32を介して、マスト28の内部に設けられたガイドレール33に沿って上下動するようになされている。前記中空状昇降台30は公知の昇降装置35によって昇降させられるようになされている。前記マスト28内の空気は吸引装置23によって吸引される。
【0012】図4及び図6に示すごとく、前記中空状昇降台30には物品移載装置であるスライドフォーク38が前後いずれにも水平突出するように水平摺動自在に設けられている。前記スライドフォーク20は、公知のごとく、物品Wの下方への突出・中空状昇降台30の上昇による物品Wの持ち上げ・中空状昇降台30側への退入という動作を行なって物品Wを中空状昇降台30に引き込み、前記と逆の動作によって物品収納棚8等に物品Wを降ろすことが出来る。なお、物品移載装置は、前記スライドフォーク20に限定されるものではなく、ロボットハンドであってもよい。
【0013】前記中空状昇降台30の上壁左側に空気噴出口51が形成され、この空気噴出口51に垂直ダクト52が接続され、この垂直ダクト52の上端に、下向きの空気噴出口54を有する水平ダクト53が接続されている。前記水平ダクト53の空気噴出口54にヘパフィルター等からなるフィルター55が取り付けられている。なお、フィルター55は、中空状昇降台30、垂直ダクト52及び水平ダクト53によって構成される空気通路56に、それを横切るような状態で、設けるようにすればよい。前記垂直ダクト52に対向して、中空状昇降台30の上壁右側と、水平ダクト53の右側とに跨って垂直壁58が渡されている。なお、この垂直壁58は、中空状被案内部31の垂直壁の一部を構成するものとなされている。このような構成によって、中空状昇降台30、垂直ダクト52、水平ダクト53及び垂直壁58によって、前後に貫通した物品収納空間が形成される。前記水平ダクト53の空気噴出口54から空気を噴出するファン57が中空状昇降台30に設けられている。上記の如き構成によって、清浄空気を水平ダクト53の空気噴出口54から下向きに噴出して、スリット47から中空状昇降台30内に吸引して、スライドフォーク38の上方の空間(物品収納空間)に、上から下に向かう清浄空気の流れを作り、その空間を清浄に保持することが出来る。
【0014】前記昇降装置35には所要個の吸引口39が形成されている。また、前記中空状被案内部31にはマスト28内に開口した空気通路40が形成されている。このような構成によって、前記の吸引装置23によって中空状昇降台30上部の空気を吸引してマスト28内に引き込み、中空状昇降台30上部の空気をクリーンにすることが出来る。
【0015】次に、クリーン倉庫1内に一定の空気の流れを作るための構成について説明する。図3に示すごとく、水平壁4より上方のクリーン倉庫1の前壁とラック装置7との間に空気通路41を画するようにして、平板状のフィルター42及び網・多孔板等からなる整流板43が、クリーン倉庫1内に垂直状に設けられ、また、同様に、水平壁4より上方のクリーン倉庫1の後壁とラック装置7との間に空気通路41を画するようにして、平板状のフィルター42及び網・多孔板等からなる整流板43が、クリーン倉庫1内に垂直状に設けられている。前記空気通路41に開口する、所要個の開口44が水平壁4に形成され(図1も参照)ている。
【0016】前記水平壁4各々の下部の間隙3を前後に画するようにして垂直な仕切り板45が設けられ、この仕切り板45に所要個の開口46が形成され、これら開口46にファン47の吐出口が接続されている。前記開口46と開口44を画するようにして垂直なフィルター48が設けられている。前記水平壁4の下方に位置するファン47の設けられた空間と、下部のガイドレール14の設けられた空間とを区画するようにして、水平壁4の、スタッカークレーン16側の縁部と床2とに渡るようなかたちで、平板状のフィルター49がクリーン倉庫1内に垂直状に設けられている。このような構成によって、ファン47から噴出された空気は、空気通路41を上昇し、物品収納棚8を通った後、前後のラック装置7の間を通って下に行き、ファン47に再び吸引されるという経路を循環する。そして、フィルター49やフィルター48を通過する間に空気は浄化される。
【0017】
【発明の効果】この発明は、前記した如き構成によって、以下の如き効果を奏するものである。走行車輪が設けられた部分に形成された吸引口から、ガイドレールとそれに載っている走行車輪との間で発生する塵埃や、走行車輪が回転することによって発生する塵埃を空気もろとも吸引して、フィルターでクリーンにして排気するので、塵埃の飛散を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す水平断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う中間省略の拡大断面図である。
【図4】スタッカークレーンの拡大縦断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【符号の説明】
14 ガイドレール
16 スタッカークレーン
17 走行台車
18 走行車輪
21 吸引口
22 排気口
23 吸引装置
24 フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガイドレールに沿って走行する走行台車が中空状となされ、この走行台車の、ガイドレールに載った走行車輪が設けられた部分に吸引口が形成され、この吸引口から空気を吸引して走行台車に形成された排気口から空気を排気する吸引装置が走行台車内に設けられ、前記排気された空気が走行台車に設けられたフィルターによってクリーンにされるようになされている走行台車における塵埃飛散防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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