説明

起き上がり動作検出装置

【課題】ベッドで寝ている人の起き上がり動作を高精度に検出する。
【解決手段】本発明の一態様において、起き上がり動作検出装置は、ベッド1上の空間における障害物の有無を検出するセンサ2a〜2cを備える。センサ2a〜2cは、ベッド1の頭側又は足側に設置される。センサ2aのセンサ検出線5aは、ベッド1のマット上面と平行となり、ベッド1で寝ている人6の体軸と平行な状態となる。センサ2b,2cは、センサ2aを挟むように設置される。センサ2b,2cのセンサ検出線5b,5cは、センサ設置側からベッド1上で寝ている人6の体軸方向におけるベッド1の中央側に進むごとに第1のセンサ検出線に近づく。センサ2a〜2cは、ベッド1上で人6が寝た状態での体の最も高い地点より高く、ベッド1上で人6が長座位になった場合の頭の最高部よりも低い位置に設置される。検出手段3は、センサ2a〜2cによる遮蔽物の有無の検出結果の状態変化に基づいて、ベッド1上の人の起き上がり動作を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドで寝ている人の起き上がり動作を検出する起き上がり動作検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療関係の分野においては、患者がベッドから起き上がる場合に、転倒・転落するなど危険を伴う場合がある。このような事情から、ベッドで寝ていた患者の起き上がりを検出するための装置が開発されている。
起き上がりを検出する装置の一例として、ヘッドボードに遮蔽物検出センサなどを取り付け、人体が起き上がったことを検出し、離床をアラームで知らせる装置がある。
【0003】
【非特許文献1】株式会社メディカルプロジェクト、Posey離床センサー、2006年4月、カタログ番号8351
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遮蔽物検出センサの検出結果の変化のみに基づいて単純に離床を検出すると、例えば患者が寝ている状態で手を上げたたけの場合などにも遮蔽物検出センサが反応し、誤検出が発生する。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、ベッドで寝ている人の起き上がり動作を高精度に検出する起き上がり動作検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、ベッドの頭側又は足側に設置される第1のセンサ、第2のセンサ、第3のセンサと、第1のセンサ、第2のセンサ、第3のセンサによる遮蔽物の有無の検出結果の状態変化に基づいて、ベッド上の人の起き上がり動作を検出する検出手段とを具備する起き上がり動作検出装置により、解決される。
【0006】
この起き上がり動作検出装置において、第1のセンサは、ベッドのマット上面と平行な状態となりかつベッド上で寝ている人の体軸と平行な状態となる第1のセンサ検出線により、ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出する。第2のセンサは、第1のセンサ検出線と垂直でありベッドのマット上面と平行な方向の位置が、第1のセンサよりも一方側の位置に設置されており、ベッドのマット上面と平行な状態となる第2のセンサ検出線により、ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出する。第3のセンサは、第1のセンサ検出線と垂直でありベッドのマット上面と平行な方向の位置が、第1のセンサよりも他方側の位置に設置されており、ベッドのマット上面と平行な状態となる第3のセンサ検出線により、ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出する。第1のセンサと第2のセンサと第3のセンサとは、ベッド上で人が寝た状態での体の最も高い地点より高く、ベッド上で人が長座位になった場合の頭の最高部よりも低い位置に設置される。第2のセンサの第2のセンサ検出線と、第3のセンサの第3のセンサ検出線とは、センサ設置側からベッド上で寝ている人の体軸方向におけるベッドの中央側に進むごとに第1のセンサ検出線に近づく。
【0007】
上記課題は、ベッドの頭側又は足側に設置される第1のセンサ及び第2のセンサと、第1のセンサ及び第2のセンサによる遮蔽物の有無の検出結果の状態変化に基づいて、ベッド上の人の起き上がり動作を検出する検出手段とを具備する起き上がり動作検出装置により、解決される。第1のセンサは、ベッドのマット上面と平行な状態となりかつベッド上で寝ている人の体軸と平行な状態となる第1のセンサ検出線により、ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出し、第1のセンサ検出線と垂直でありベッドのマット上面と平行な方向において、ベッドの中央よりも一方の側に寄った位置に設置されている。第2のセンサは、第1のセンサ検出線と垂直でありベッドのマット上面と平行な方向において、第1のセンサよりも一方の側とは逆の他方の側に設置されており、ベッドのマット上面と平行な状態となる第2のセンサ検出線により、ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出する。第1のセンサと第2のセンサとは、ベッド上で人が寝た状態での体の最も高い地点より高く、ベッド上で人が長座位になった場合の頭の最高部よりも低い位置に設置される。第2のセンサの第2のセンサ検出線は、センサ設置側からベッド上で寝ている人の体軸方向におけるベッドの中央側に進むごとに第1のセンサ検出線に近づく。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、ベッドの頭側又は足側に3つのセンサが設置されており、第2のセンサから伸びる第2のセンサ検出線と第3のセンサから伸びる第3のセンサ検出線とが、センサ設置側からベッド上で寝ている人の体軸方向におけるベッドの中央側に進むごとに第1のセンサから伸びる第1のセンサ検出線に近づく。
【0009】
このような本発明では、ベッドの頭側又は足側で、第1のセンサ検出線と第2のセンサ検出線との間の距離、及び第1のセンサ検出線と第3のセンサ検出線との間の距離が遠いため、寝ている人の頭付近に介護者の手や寝ている人自身の手がある場合や、寝ている人が膝を立てた場合や足を上げた場合であっても、第1〜第3のセンサのうち複数のセンサが反応する確率を低くすることができる。
【0010】
これにより、起き上がり動作ではない場合が起き上がり動作として検出されるような誤検出を防止できる。
さらに、本発明では、第1のセンサ検出線と第2のセンサ検出線との間の距離、及び第1のセンサ検出線と第3のセンサ検出線との間の距離が、ベッド中央側に進むにすれて狭くなるため、例えば肩幅の狭い人がベッドに寝ている場合や、寝ている人が一方又は他方の側にずれて寝ていた場合であっても、起き上がり動作が検出されないことを防止することができる。
【0011】
したがって、本発明では、ベッドで寝ている人の起き上がり動作を高い精度で検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の各図において同様の機能を実現する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態においては、3つのセンサを一組のセンサセットとし、この一組のセンサセットの各センサによる遮蔽物の有無の検出結果の状態変化に基づいて、ベッドに寝ている人(被験者、患者、被介護者)の起き上がり動作を検出する装置について説明する。
【0013】
なお、本実施の形態においては、センサセットに属する3つのセンサが、距離測定センサ(例えば、PSDセンサなど)の場合を例として説明するが、ベッド上の遮蔽物の有無を検出可能であれば他の種類のセンサを用いることもできる。
図1は、本実施の形態に係る起き上がり動作検出装置の一例を示す構成図である。この図1においてはベッドの上面図により表している。
【0014】
また、図2は、本実施の形態に係る起き上がり動作検出装置におけるセンサの測定状態の一例を示す側面図である。
本実施の形態において、起き上がり動作検出装置は、センサセット2、検出部3、警報部4を具備する。さらに、センサセット2は、対象物までの距離を測定する3つのセンサ2a〜2cを具備する。
【0015】
センサ2aは、ベッド1のベッドマット1bの上面と平行な状態でありかつベッド1上で寝ている人6の体軸と平行な状態となる方向(以下、長さ方向という)について、ベッド1上の空間の距離を測定する(ベッド1上の空間の遮断物の有無の検出)。この長さ方向は、厳密に、ベッド1のベッドマット1bの上面と平行でありかつベッド1上で寝ている人6の体軸と平行である必要はなく、ベッド1のベッドマット1bの上面とほぼ平行でありかつベッド1上で寝ている人の体軸とほぼ平行であればよい。
【0016】
すなわち、センサ2aのセンサ検出線5aは、長さ方向に伸びている。本実施の形態において、センサ2aは、センサ検出線5aとほぼ垂直でありベッド1のベッドマット1b上面とほぼ平行な方向(以下、幅方向という)の位置が、ベッド1のほぼ中央であるとする。
【0017】
センサセット35のセンサ2bは、幅方向の位置が、センサ2aの位置よりも一方の側に寄って設置されている。センサ2bは、ベッド1上の空間の距離を測定する。
センサセット35のセンサ2cは、幅方向の位置が、センサ2aの位置よりも他方の側によって設置されている。センサ2cは、ベッド1上の空間の距離を測定する。
【0018】
すなわち、本実施の形態において、センサ2a〜2cは、ベッド1の幅方向の一方の側から他方の側へ、センサ2b,2a,2cの順で配列されている。
例えば、ベッド1が通常の一人用ベッド(例えば、ベッド1の幅が90cm程度)の場合、センサ2aは、ベッド1の幅方向におけるほぼ中央に設置され、センサ2bは、ベッド1の幅方向における一方の側の端部に設置され、センサ2cは、ベッド1の幅方向における他方の側の端部に設置される。センサ検出線5bは、センサ2bからほぼベッド1の対角線にそって伸びる。同様に、センサ検出線5cは、センサ2cからほぼベッド1の対角線にそって伸びる。
【0019】
センサ2a〜2cは、ベッド1上で人6が寝た状態での体の最も高い地点より高く、ベッド1上で人6が長座位になった場合の頭の最高部よりも低い位置に設置される。さらに、センサ2a〜2cは、設置される高さがほぼ同じ状態となる。
そして、センサ2bから伸びるセンサ検出線5bと、センサ2cから伸びるセンサ検出線5cとは、センサ設置側から長さ方向におけるベッド1の中央側に進むごとにセンサ検出線5aに近づき、センサ検出線5aとベッド1の上の空間で交わる状態となる。すなわち、センサ検出線5a〜5cの交点と、センサ2bの設置位置と、センサ2cの設置位置とは、ベッド1のベッドマット1b上面と平行な三角形を形成する。
【0020】
本実施の形態では、センサセット2は、ヘッドボード1a側に設置されるとしているが、ベッド1のフットボード1c側に設置されるとしてもよい。例えば、ベッド1を上から見た場合、各センサ検出線5a〜5cが交わる位置は、ベッド1のベッドボード(頭側)1aと、ベッド1のフットボード(足側)1cとの中間よりも、ベッド1のフットボード1c側に位置するとしてもよい。
【0021】
センサ2a〜2cは、人6の起き上がり動作で上体部(頭部や肩など)に反応する高さに設置される。センサ2a〜2cのセンサ検出線5a〜5cは、ほぼ水平に伸びているが、ベッド1に寝ている人6に応じてある程度高さ方向に角度を持つとしてもよい。
【0022】
検出部3は、センサセット2について、セット内のセンサ2aが反応した後、予め決められた所定の反応遅れ時間内に、セット内のセンサ2b,2cが反応した場合に、ベッド1上で寝ていた人6の起き上がり動作を検出する。
警報部4は、検出部3によってベッド1上の人6の起き上がり動作が検出された場合に、警報やナースコールを発する。警報部4としては、スピーカ、警報表示器などを用いることができる。
【0023】
以下に、本実施の形態に係る起き上がり動作検出装置が、ベッド1で寝ている人6の起き上がり動作を高い精度で検出できることについて説明する。
本実施の形態においては、ベッド1の幅方向の中央部にセンサ2aを設置し、ベッド1の幅方向の両サイド部にそれぞれセンサ2b,2cを設置し、さらに、両サイド部のセンサ2b,2cのセンサ検出線5b,5cがベッド1の長さ方向の中央側に進むごとにセンサ2aのセンサ検出線5aに近づくようにしている。
【0024】
すなわち、本実施の形態では、センサ2a〜2cの設置位置側では、センサ検出線5a〜5cの距離は長く、センサ2a〜2cの設置位置側から、ベッド1の長さ方向の中央部に向うごとに、センサ検出線5a〜5cの距離が短くなる。
このようなセンサ2a〜2cを用いた場合、ベッド1で寝ている人6が寝ている状態から体を起こそうとすると、まず、センサ2aが人6の起き上がり動作の途中で上体部(頭部や肩など)に反応する。
【0025】
次に、センサ2b,2cが、センサ2aが反応した後にさらにベッド1に寝ていた人が起き上がり動作を続けることで反応する。
例えば、従来の起き上がり動作検出においては、ベッド内で寝ている人が手を動かした場合や、ベッド外から他人が手を挿入した場合などが、起き上がり動作として誤検出される場合がある。このような誤検出は、比較的ベッドの頭に近い位置で発生する確率が高い。
【0026】
本実施の形態では、ベッド1の頭側では、センサ検出線2aとセンサ検出線2bとの間の距離、及びセンサ検出線2aとセンサ検出線2cとの間の距離が遠いため、寝ている人6の頭付近に介護者の手や寝ている人6自身の手がある場合であってもセンサ2a〜2cのうち複数のセンサが反応する確率が低くなり、起き上がり動作でない場合を起き上がり動作と検出するような誤検出を防止できる。
【0027】
さらに、本実施の形態では、センサ検出線2aとセンサ検出線2bとの間の距離、及びセンサ検出線2aとセンサ検出線2cとの間の距離は、ベッド1の長さ方向の中央部に進むにつれて距離が狭くなるため、例えば肩幅が狭い人がベッド1に寝ている場合や、寝ている人が幅方向の一方の側又は他方の側にずれて寝ていた場合に、起き上がり動作が見逃されることを防止できる。
【0028】
さらに、センサ検出線2aとセンサ検出線2bとの間の距離、及びセンサ検出線2aとセンサ検出線2cとの間の距離は、ベッド1のフットボード1c側に進むにつれて距離が長くなるため、ベッド1で寝ている人6がひざを立てる、足を上げるなどのような起き上がり動作でない場合を、起き上がり動作と検出するような誤検出を防止できる。
【0029】
図3は、センサ2a〜2cの測定結果の変化状態の一例を示すグラフである。この図3は例示であり、必ずしもこのような変化をするものではない。
本実施の形態のように頭側にセンサセット2を配置した場合、ベッド1に寝ている人6が起き上がり動作を行う前においては、各センサ2a〜2cは、各センサに対向しておりベッド1上の空間には存在していない物体(例えば壁やフットボード1cなど)までのかなり大きな距離を測定する。
【0030】
人6が体を起こし始めると、センサ2aで測定値(距離)が小さくなり、頭部が検出される。その後、センサ2a,2bで測定値(距離)が小さい状態となり、肩が検出される。
ここで、センサ2aの測定値(距離)は、自己の頭部検出から、センサ2b,2cの肩検出まで徐々に大きくなり、その後も徐々に大きくなる。センサ2b,2cの測定値(距離)は、肩検出から徐々に大きくなる。
【0031】
センサ2b,2cで肩が検出される場合の測定値(距離)は、センサ2aで頭部が測定される場合の測定値(距離)よりも大きい。
検出部3は、過去のセンサ出力と現在のセンサ出力とを比較することで、測定値の変化を求めることが可能である。
測定値からセンサの反応の有無を検出するための検出パラメータ(例えば、変化があったと判断する場合に用いるしきい値など)は、各センサ2a〜2cの特性や設置状態によって変わる。
【0032】
ベッド1上の人6が長座位となった時点で、センサ2a〜2cの測定値はほぼ一致する。
図4は、検出部3による起き上がり動作検出のための状態遷移の一例を示す図である。
この図4の状態遷移図においては、センサ2aについて先に反応があり、その後遅れてセンサ2b,2cに反応がある場合に、起き上がり動作が検出される。
【0033】
図5は、本実施の形態に係る起き上がり動作検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この図5において、起き上がり動作検出装置は、ハードウェア資源として、距離測定センサ2a〜2c、センサインタフェース9a〜9c、A/Dコンバータ8、マイクロコンピュータ11、警報部4を具備する。
【0034】
A/Dコンバータ8は、センサセット2の各センサ2a〜2cから、センサインタフェース9a〜9c経由で、アナログ信号を受信し、受信したアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号をマイクロコンピュータ11に送る。
マイクロコンピュータ11は、起き上がり動作の検出機能を実現する。
【0035】
なお、本実施の形態においては、ベッド1上の空間の遮断物の有無の検出するためのセンサとして、距離測定センサを用いた場合を例として説明している。しかしながら、距離測定センサに代えて、遮光センサ(カットセンサ)を頭側(例えばベッドボード側)と足側(例えばフットボード側)で対になるように配置し、光が遮られた場合に遮蔽物の存在を検出することもできる。
【0036】
本実施の形態のように、ベッド1上の空間の遮断物の有無の検出するためのセンサとして、距離測定センサを用いた場合においては、センサの検出線上に遮蔽物があったか否かとともに、遮蔽物までの距離も得ることができる。この距離に応じて処理を変えることもできる。具体的には、例えば、ベッド1の上体部分で変化が起こったのではなく、足元付近で変化が起こった場合には、検出部3は、上体を起こしての起き上がり動作ではないと判断することができる。このように、距離測定センサからの距離情報が所定の範囲内に含まれるか否かを判断するなどの処理を起き上がり動作の検出処理に加えることにより、一層起き上がり動作を正確に検出することができる。
【0037】
以上説明した本実施の形態においては、ベッド1の頭側ではセンサ検出線2aとセンサ検出線2bとの間の距離、及びセンサ検出線2aとセンサ検出線2cとの間の距離が遠く、ベッド1の長さ方向の中央側に進むごとに近づくようにしている。
そして、本実施の形態においては、センサ2aが反応した後、所定の反応遅れ期間内にセンサ2b,2cが反応した場合に、起き上がり動作が検出される。
【0038】
これにより、例えば、介護をする者がベッド1の外からセンサセット2の検出位置に手を差し入れた場合や、ベッド1に寝ている人6が手を上げた場合など、起き上がり動作でない場合を起き上がり動作と検出することを防止することができる。
また、例えばベッド1で寝ている人6の肩幅が狭い場合や、ベッド1で寝ている人6が一方の側又は他方の側にずれて寝ていた場合に、起き上がり動作が見逃されることを防止できる。
【0039】
本実施の形態では、起き上がり動作を高精度に検出することができるため、患者の起き上がり動作に対して迅速に対処することができ、ベッド1から患者が転倒・転落するなどのような事故を防止することができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態においては、上記第1の実施の形態の変形例について説明する。
【0040】
図6は、起き上がり動作検出装置の第1変形例を示す図である。
この図6において、センサセット12は、2つのセンサ12a,2bを含む。センサ12aは、ベッド1の幅方向の一方側に寄って設置されている。センサ12aの他の設置状態は、上記第1の実施の形態に係るセンサ2aと同様である。
【0041】
センサ12bは、センサ2aよりもベッド1の幅方向の他方の側に設置されている。センサ12bの他の設置状態は、上記第1の実施の形態に係るセンサ2bと同様である。
本実施の形態において、センサ12bのセンサ検出線15bは、センサ12aのセンサ検出線15bは、センサ設置側から、ベッド1の長さ方向におけるベッド1の中央側へと進むごとにセンサ検出線15aに近づき、センサ検出線15aとベッド1の上の空間で交わる状態となる。
【0042】
検出部13は、センサセット12について、セット12内のセンサ12aが反応した後、予め決められた所定の反応遅れ時間内に、セット12内のセンサ12bが反応した場合に、ベッド1上で寝ていた人6の起き上がり動作を検出する。
ベッド1から起き上がろうとする人6は、この図6のように、ベッド1の端によった状態から起き上がろうとする場合が多い。この図6の例においてはベッド1の端によった人6の起き上がり動作も、高精度に検出することができる。また、上記第1の実施の形態の場合よりも設置センサ数を削減することができる。
【0043】
図7は、起き上がり動作検出装置の第2変形例を示す図である。
この図7では、それぞれがセンサ2a〜2cを含む複数のセンサセット2を設置し、検出部14は、複数のセンサセット2のそれぞれについて、そのセンサセット2に属するセンサ2a〜2cに基づいて、起き上がり動作を検出する。
【0044】
なお、上記図6に示す2つのセンサ12a,12bを含むセンサセット12を複数設置するとしてもよい。
また、上記図6に示すセンサセット12と上記第1の実施の形態に係るセンサセット2との双方を用いることで、端に寄った起き上がり動作と真ん中付近における起き上がり動作の双方を高精度に検出することができる。
【0045】
また、起き上がり動作の検出処理としては、センサセットの各センサの反応が所定の反応継続期間(例えば、概ね1秒〜5秒程度)、継続する場合に、起き上がり動作を検出するとしてもよい。さらに、上記第1の実施の形態で説明した検出処理と、各センサの反応が所定の反応継続期間(例えば、概ね1秒〜5秒程度)、継続する場合に、起き上がり動作を検出する検出処理とを組み合わせて用いてもよい。これにより、起き上がり動作が未検出となることをさらに防止することができ、起き上がり動作ではないイベントが起き上がり動作として検出されることをさらに防止することができる。
【0046】
その他、上記各実施の形態については様々に変更して適用可能である。例えば、センサ2a〜2c、及びセンサ12a,12bは厳密に同じ高さではなく、ほぼ同じ高さであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る起き上がり動作検出装置の一例を示す構成図。
【図2】第1の実施の形態に係る起き上がり動作検出装置におけるセンサの測定状態の一例を示す側面図。
【図3】第1の実施の形態に係る3つのセンサの測定結果の変化状態の一例を示すグラフ。
【図4】検出部による起き上がり動作検出のための状態遷移の一例を示す図。
【図5】第1の実施の形態に係る起き上がり動作検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【図6】センサセットに属するセンサが2つの場合の起き上がり動作検出装置の一例を示す構成図。
【図7】複数のセンサセットにより起き上がり動作を検出する起き上がり動作検出装置の一例を示す構成図。
【符号の説明】
【0048】
1…ベッド、1a…ヘッドボード、1b…ベッドマット、1c…フットボード、2,12…センサセット、2a〜2c,12a,12b…センサ、3,13,14…検出部、4…警報部、5a〜5c,15a,15b…センサ検出線、6…人、8…A/Dコンバータ、9a〜9c…センサインタフェース、11…マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドの頭側又は足側に設置される第1のセンサ、第2のセンサ、第3のセンサと、
前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、前記第3のセンサによる遮蔽物の有無の検出結果の状態変化に基づいて、前記ベッド上の人の起き上がり動作を検出する検出手段と
を具備し、
前記第1のセンサは、前記ベッドのマット上面と平行な状態となりかつ前記ベッド上で寝ている人の体軸と平行な状態となる第1のセンサ検出線により、前記ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出し、
前記第2のセンサは、前記第1のセンサ検出線と垂直であり前記ベッドのマット上面と平行な方向の位置が、前記第1のセンサよりも一方側の位置に設置されており、前記ベッドのマット上面と平行な状態となる第2のセンサ検出線により、前記ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出し、
前記第3のセンサは、前記第1のセンサ検出線と垂直であり前記ベッドのマット上面と平行な方向の位置が、前記第1のセンサよりも他方側の位置に設置されており、前記ベッドのマット上面と平行な状態となる第3のセンサ検出線により、前記ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出し、
前記第1のセンサと前記第2のセンサと前記第3のセンサとは、前記ベッド上で前記人が寝た状態での体の最も高い地点より高く、前記ベッド上で前記人が長座位になった場合の頭の最高部よりも低い位置に設置され、
前記第2のセンサの第2のセンサ検出線と、前記第3のセンサの第3のセンサ検出線とは、センサ設置側から前記ベッド上で寝ている人の体軸方向におけるベッドの中央側に進むごとに前記第1のセンサ検出線に近づく
ことを特徴とする起き上がり動作検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の起き上がり動作検出装置において、
前記第1のセンサと前記第2のセンサと前記第3のセンサとは、同じ高さに設置され、
前記第2のセンサ検出線と、前記第3のセンサ検出線とは、前記第1のセンサ検出線と前記ベッドの上の空間で交わる
ことを特徴とする起き上がり動作検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の起き上がり動作検出装置において、
前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、前記第3のセンサは、前記ベッドの頭側に設置されており、
前記第1のセンサ検出線と、前記第2のセンサ検出線と、前記第3のセンサ検出線とが交わる位置は、前記ベッド上で寝ている人の体軸方向において、前記ベッドの頭側と前記ベッドの足側との中間よりも、前記ベッドの足側に寄った位置である
ことを特徴とする起き上がり動作検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の起き上がり動作検出装置において、
前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、前記第3のセンサは距離センサであり、
前記検出手段は、前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、前記第3のセンサの距離の測定値の状態変化に基づいて、前記ベッド上の人の起き上がり動作を検出する
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の起き上がり動作検出装置において、
前記検出手段は、前記第1のセンサで遮蔽物が検出された後、予め決められた所定の反応遅れ時間内に、前記第2のセンサ及び前記第3のセンサで遮蔽物が検出された場合に、前記ベッド上の人の起き上がり動作を検出することを特徴とする起き上がり動作検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の起き上がり動作検出装置において、
前記検出手段は、前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、前記第3のセンサで遮蔽物が検出された状態が予め決められた所定の反応継続時間以上継続した場合に、前記ベッド上の人の起き上がり動作を検出することを特徴とする起き上がり動作検出装置。
【請求項7】
ベッドの頭側又は足側に設置される第1のセンサ及び第2のセンサと、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサによる遮蔽物の有無の検出結果の状態変化に基づいて、前記ベッド上の人の起き上がり動作を検出する検出手段と
を具備し、
前記第1のセンサは、前記ベッドのマット上面と平行な状態となりかつ前記ベッド上で寝ている人の体軸と平行な状態となる第1のセンサ検出線により、前記ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出し、前記第1のセンサ検出線と垂直であり前記ベッドのマット上面と平行な方向において、前記ベッドの中央よりも一方の側に寄った位置に設置されており、
前記第2のセンサは、前記第1のセンサ検出線と垂直であり前記ベッドのマット上面と平行な方向において、前記第1のセンサよりも前記一方の側とは逆の他方の側に設置されており、前記ベッドのマット上面と平行な状態となる第2のセンサ検出線により、前記ベッド上の空間の遮蔽物の有無を検出し、
前記第1のセンサと前記第2のセンサとは、前記ベッド上で前記人が寝た状態での体の最も高い地点より高く、前記ベッド上で前記人が長座位になった場合の頭の最高部よりも低い位置に設置され、
前記第2のセンサの第2のセンサ検出線は、センサ設置側から前記ベッド上で寝ている人の体軸方向におけるベッドの中央側に進むごとに前記第1のセンサ検出線に近づく
ことを特徴とする起き上がり動作検出装置。
【請求項8】
請求項7記載の起き上がり動作検出装置において、
前記第1のセンサと前記第2のセンサとは、同じ高さに設置され、
前記第2のセンサ検出線は、前記第1のセンサ検出線と前記ベッドの上の空間で交わる
ことを特徴とする起き上がり動作検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−5964(P2009−5964A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171001(P2007−171001)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】