説明

起終点交通量算出装置、交通シミュレータ及び起終点交通量算出方法

【課題】高速道路を含む道路網の起終点交通量を算出することができる起終点交通量算出装置、交通シミュレータ及び起終点交通量算出方法を提供する。
【解決手段】起終点特定部12は、光ビーコンで取得した複数の車両の識別コードを含むアップリンク情報に基づいて、第1地点を起点とし高速道路及び第2地点を経由する車両の一般道路内の終点を複数特定する。車両割合算出部13は、第1地点を起点とし高速道路及び第2地点を経由する全車両のうち、終点が起終点特定部12で特定した終点である車両の割合を算出する。起終点交通量算出部15は、取得した交通量P1及び車両割合算出部13で算出した割合に基づいて、第1地点、第2地点及び複数の終点のうちの一の終点のいずれか2つを起終点とする起終点交通量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の起終点交通量を算出する起終点交通量算出装置、該起終点交通量算出装置で算出した起終点交通量を用いる交通シミュレータ及び起終点交通量算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交通規制等による影響を事前に評価する手段として交通シミュレータへの期待が高まっており、様々な技術開発が行われている。このような交通シミュレータは、入力データとして、車両の走行の起点情報及び終点情報を含む起終点交通量(例えば、OD交通量)、車両の走行速度、加速減速特性などの交通情報が所与として取り扱われている。そして、交通シミュレータは、予め車両の移動モデル、すなわち、車両の挙動を模した計算式を内包しており、上述の入力データを当該計算式に当てはめることにより、所要の交通状態量の評価値を出力する。
【0003】
従来、OD交通量を求める方法として、例えば、路上ビーコンで通過車両の識別コードを収集し、路上ビーコンで収集した識別コード及び路上ビーコンの位置情報に基づいて、車両の起点及び終点を含むOD間走行経路を特定する。そして、車両1台毎のOD間走行経路を統計的に処理することにより、OD交通量を求めることができるOD間走行経路決定装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−329285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置にあっては、光ビーコンなどの路上装置が設置されていることが前提となる。すなわち、一般道路網では、例えば、交差点付近に光ビーコンが設置されているものの、高速道路では、光ビーコンのような車両の識別コードを取得することができる路上装置は設置されていない。このため、従来高速道路を経由する車両に基づくOD交通量を求めることはできなかった。また、光ビーコン、及び光ビーコンから収集した情報は、都道府県ごとに管理されている。光ビーコンで収集される車両の識別コードには、識別コードが付与された地点の情報が含まれているため、車両が他の都道府県から来たことは分かるが、他の都道府県での走行軌跡を知るためには、他の都道府県の光ビーコンで収集された情報が必要となる。しかし、他の都道府県とデータを交換しようとすると、大量のデータの送受信、蓄積が必要となり多大なコストを要する。一方で高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションしたいという要望も強く、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することが望まれていた。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、高速道路を含む道路網の起終点交通量を算出することができる起終点交通量算出装置、該起終点交通量算出装置で算出した起終点交通量を用いる交通シミュレータ及び起終点交通量算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る起終点交通量算出装置は、車両の固有情報を取得する路上装置が複数設置された第1の道路網と、該第1の道路網と複数の地点で繋がり前記路上装置が設置されていない第2の道路網とを含む道路網での車両の起点及び終点間の起終点交通量を算出する装置であって、前記第2の道路網が前記第1の道路網と繋がる第1地点及び第2地点間の前記第2の道路網での交通量を取得する交通量取得手段と、前記路上装置で取得した複数の車両の固有情報に基づいて、前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する車両の前記第1の道路網内の終点を第1の道路網内地点として複数特定する起終点特定手段と、前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する全車両のうち、終点が前記起終点特定手段で特定した終点である車両の割合を算出する割合算出手段と、前記交通量取得手段で取得した交通量及び前記割合算出手段で算出した割合に基づいて、前記第1地点、第2地点及び前記複数の第1の道路網内地点のうちの一の地点のいずれか2つを起終点とする起終点交通量を算出する起終点交通量算出手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る起終点交通量算出装置は、第1発明において、前記起終点特定手段は、前記路上装置で取得した複数の車両の固有情報に基づいて、前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する車両の前記第1の道路網内の終点を複数特定する終点特定手段を備え、前記割合算出手段は、前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する全車両のうち、終点が前記終点特定手段で特定した終点である車両の終点割合を該終点毎に算出する終点割合算出手段を備え、前記交通量取得手段は、前記第2の道路網を経由して前記第1地点から第2地点へ走行する車両の第1交通量を取得する第1交通量取得手段を備え、前記起終点交通量算出手段は、前記第1交通量取得手段で取得した第1交通量に前記終点割合を乗算して、前記第1地点から前記終点への第1地点終点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る起終点交通量算出装置は、第2発明において、前記終点特定手段は、所定数以上の車両が同一の地点を消滅地点とする場合、該地点を終点として特定するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る起終点交通量算出装置は、第2発明又は第3発明において、前記第2地点から前記終点特定手段で特定した終点への第2地点終点交通量を算出する第2地点終点交通量算出手段を備え、前記起終点交通量算出手段は、前記第2地点終点交通量から前記第1地点終点交通量を減算して前記第2地点から前記終点への第2地点終点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る起終点交通量算出装置は、第2発明乃至第4発明のいずれか1項において、前記起終点交通量算出手段は、前記第1交通量から前記第1地点終点交通量の終点毎の合計値を減算して前記第1地点から第2地点への第1地点第2地点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る起終点交通量算出装置は、第2発明乃至第5発明のいずれか1項において、前記割合算出手段は、前記終点特定手段で特定した終点を起点とし前記第2地点を終点とする全車両のうち、起点毎の車両の起点割合を算出する起点割合算出手段を備え、前記交通量取得手段は、前記第2の道路網を経由して前記第2地点から第1地点へ走行する車両の第2交通量を取得する第2交通量取得手段を備え、前記起終点交通量算出手段は、前記第2交通量取得手段で取得した第2交通量に前記起点割合を乗算して、前記起点から前記第1地点への起点第1地点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第7発明に係る起終点交通量算出装置は、第6発明において、前記起点から前記第2地点への起点第2地点交通量を算出する起点第2地点交通量算出手段を備え、前記起終点交通量算出手段は、前記起点第2地点交通量から前記起点第1地点交通量を減算して前記起点から前記第2地点への起点第2地点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第8発明に係る起終点交通量算出装置は、第6発明又は第7発明において、前記起終点交通量算出手段は、前記第2交通量から前記起点第1地点交通量の起点毎の合計値を減算して前記第2地点から第1地点への第2地点第1地点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
第9発明に係る交通シミュレータは、前述の発明のいずれか1つに係る起終点交通量算出装置で算出した起終点交通量を入力データとして用いることを特徴とする。
【0016】
第10発明に係る起終点交通量算出方法は、車両の固有情報を取得する路上装置が複数設置された第1の道路網と、該第1の道路網と複数の地点で繋がり前記路上装置が設置されていない第2の道路網とを含む道路網での車両の起点及び終点間の起終点交通量を算出する起終点交通量算出装置による起終点交通量算出方法であって、前記第2の道路網が前記第1の道路網と繋がる第1地点及び第2地点間の前記第2の道路網での交通量を取得するステップと、前記路上装置で取得した複数の車両の固有情報に基づいて、前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する車両の前記第1の道路網内の終点を第1の道路網内地点として複数特定するステップと、前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する全車両のうち、終点が前記起終点特定手段で特定した終点である車両の割合を算出するステップと、取得された交通量及び算出された割合に基づいて、前記第1地点、第2地点及び前記複数の第1の道路網内地点のうちの一の地点のいずれか2つを起終点とする起終点交通量を算出するステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
第1発明及び第10発明にあっては、第2の道路網(例えば、高速道路など)が第1の道路網(例えば、一般道路など)と繋がる第1地点X及び第2地点Y間の第2の道路網での交通量Pを取得する。第1地点Xは、例えば、シミュレーションの対象エリア外(例えば、対象の都道府県外)の高速道路の出入口であり、第2地点Yは、シミュレーション対象エリア(例えば、対象の都道府県)の高速道路の出入口である。第1地点X及び第2地点Y間の高速道路での交通量Pは、例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)を通過した台数及びETCの搭載率等により求めることができる。
【0018】
路上装置(例えば、光ビーコンなど)で取得した複数の車両の固有情報(例えば、車両識別コードなど)に基づいて、第1地点Xを起点とし第2の道路網(例えば、高速道路など)及び第2地点Yを経由する車両の第1の道路網内の終点を第1の道路網内地点として複数特定する。例えば、終点をD1、D2、D3などとする。なお、終点の数は3に限定されない。この場合、第1地点X及び第2地点Yに対応する光ビーコンは、例えば、高速道路の出入口の周辺の光ビーコンのうち、高速道路へ流入又は高速道路から流出する車両が通過する可能性の高い光ビーコンを予め設定しておく。第1の道路網内の終点の特定は、例えば、対象エリア(都道府県)で最初のアップリンクが第2地点付近の光ビーコンであって、車両識別コードが付与された地点が、第1地点Xが存在する都道府県である車両のアップリンク情報を抽出し、その車両識別コードの車両が最後に通過した光ビーコンの位置を終点D1〜D3(消滅地点)とすることができる。
【0019】
第1地点Xを起点とし第2の道路網(例えば、高速道路など)及び第2地点Yを経由する全車両のうち、終点が第1の道路網内地点として特定された終点である車両の割合を算出する。例えば、全車両の台数をMとし、終点をD1とする車両の台数をm1とすると、終点をD1とする車両の割合α1を、α1=m1/Mにより算出する。同様に、終点をD2、D3とする車両の割合α2、α3を算出する。そして、取得した交通量P及び算出した割合α1〜α3に基づいて、第1地点X、第2地点Y及び複数の第1の道路網内地点D1〜D3のうちの一の地点のいずれか2つを起終点とする起終点交通量を算出する。すなわち、第1地点Xと第1の道路網内地点との間の起終点交通量、第1地点Xと第2地点Yとの間の起終点交通量、第2地点と第1の道路網内地点との間の起終点交通量を算出する。
【0020】
例えば、第1地点Xを起点とし終点をD1とする起終点交通量は、α1×Pで算出することができる。また、アップリンク情報に基づいて求めた第2地点Yを起点とし終点をD1とする起終点交通量をQ1とすると、起終点交通量Q1には、第1地点Xと第2地点Yとの間の地点から第2の道路網(例えば、高速道路など)へ流入する車両も含まれるので、これらの車両を除外すべく、第2地点Yを起点とし終点をD1とする真の起終点交通量は、{Q1−α1×P}で算出する。また、第1地点Xを起点とし第2地点Yを終点とする交通量Pが、第1地点Xを起点とし終点をD1〜D3とする交通量より大きい場合、第1地点Xと第2地点Yとの間の起終点交通量は、{P−(α1+α2+α3)×P}で算出することができる。これにより、車両の識別コードを取得できる路上装置が設置されていない高速道路等を含む道路網であっても、すなわち車両が高速道路等を利用して走行した場合であっても、所望の起終点交通量を求めることができ、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0021】
第2発明にあっては、路上装置で取得した複数の車両の固有情報に基づいて、第1地点Xを起点とし第2の道路網(例えば、高速道路など)及び第2地点Yを経由する車両の第1の道路網内の終点(例えば、D1〜D3)を複数特定する。第1地点Xを起点とし第2の道路網及び第2地点Yを経由する全車両Mのうち、終点が特定された終点D1〜D3である車両の終点割合α1〜α3を該終点毎に算出する。第2の道路網(例えば、高速道路など)を経由して第1地点Xから第2地点Yへ走行する車両の第1交通量P1を取得する。取得した第1交通量P1に終点割合α1〜α3を乗算して、第1地点Xから終点D1〜D3への第1地点終点交通量を算出する。例えば、第1地点X終点D1間の起終点交通量はα1×P1で算出する。これにより、起点と終点との間に高速道路等が存在する場合でも起終点交通量を求めることができ、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0022】
第3発明にあっては、所定数以上の車両が同一の地点を消滅地点とする場合、当該地点を終点として特定する。所定数は、曜日、時間帯などに応じて異なる値を設定することができる。これにより、固有情報の数、すなわちアップリンク情報の数が少ない経路は省略(無視)することにより、例えば、高速道路を利用していない少数車両を除外して起終点交通量を精度良く算出することができる。
【0023】
第4発明にあっては、第2地点Yから特定した終点D1〜D3への第2地点終点交通量Q1〜Q3を算出する。第2地点終点交通量Q1〜Q3は、アップリンク情報により求めることができる。第2地点終点交通量から第1地点終点交通量を減算して第2地点Yから終点D1〜D3への第2地点終点交通量を算出する。例えば、アップリンク情報により求めた起終点交通量Q1には、第1地点Xと第2地点Yとの間の地点から第2の道路網(例えば、高速道路など)へ流入する車両も含まれるので、これらの車両を除外すべく、第2地点Yを起点とし終点をD1とする真の起終点交通量は、{Q1−α1×P}で算出する。同様に、第2地点Yを起点とし終点をD2、D3とする真の起終点交通量は、それぞれ{Q2−α2×P}、{Q3−α3×P}で算出することができる。これにより、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0024】
第5発明にあっては、第1交通量P1から第1地点終点交通量の終点毎の合計値を減算して第1地点Xから第2地点Yへの第1地点第2地点交通量を算出する。例えば、第1地点Xを起点とし第2地点Yを終点とする第1交通量P1が、第1地点Xを起点とし終点をD1〜D3とする交通量{(α1+α2+α3)×P1}より大きい場合、第1地点Xと第2地点Yとの間の起終点交通量は、{P1−(α1+α2+α3)×P1}で算出することができる。第1交通量P1には、第2地点Yを終点とする車両、各終点D1〜D3を終点とする車両がすべて含まれるので、各終点D1〜D3を終点とする車両を除外することにより、第2地点Yを終点とする起終点交通量を求めることができる。
【0025】
第6発明にあっては、特定した終点D1〜D3を起点O1〜O3とし第2地点Yを終点とする全車両のうち、起点毎の車両の起点割合β1〜β3を算出する。第2の道路網(例えば、高速道路など)を経由して第2地点Yから第1地点Xへ走行する車両の第2交通量P2を取得する。取得した第2交通量P2に起点割合β1〜β3を乗算して、起点O1〜O3から第1地点Xへの起点第1地点交通量を算出する。例えば、起点O1(終点D1に等しい)から第1地点Xへの起終点交通量はβ1×P2で算出する。これにより、起点と終点との間に高速道路等が存在する場合でも起終点交通量を求めることができ、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0026】
第7発明にあっては、起点O1〜O3から第2地点Yへの起点第2地点交通量R1〜R3を算出する。起点第2地点交通量R1〜R3は、アップリンク情報により求めることができる。起点第2地点交通量R1〜R3から起点第1地点交通量(β1×P2)、(β2×P2)、(β3×P2)を減算して起点O1〜O3から第2地点Yへの起点第2地点交通量を算出する。例えば、アップリンク情報により求めた起点第2地点交通量R1には、第2地点Yから第1地点Xへ向かう車両も含まれるので、これらの車両を除外すべく、起点O1から第2地点Yを終点とする真の起点第1地点交通量は、{R1−β1×P2}で算出する。同様に、起点O2、O3から第2地点Yを終点とする起点第1地点交通量は、それぞれ{R2−β2×P2}、{R3−β3×P2}で算出することができる。これにより、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0027】
第8発明にあっては、第2交通量P2から起点第1地点交通量の起点毎の合計値を減算して第2地点から第1地点への第2地点第1地点交通量を算出する。例えば、第2地点Yを起点とし第1地点Xを終点とする第2交通量P2が、起点をO1〜O3とし終点を第1地点Xとする交通量{(β1+β2+β3)×P2}より大きい場合、第2地点Yから第1地点Xへの第2地点第1地点起終点交通量は、{P2−(β1+β2+β3)×P2}で算出することができる。第2交通量P2には、各起点O1〜O3を起点とする車両が含まれるので、当該車両を除外することにより、第2地点Yを起点とする起終点交通量を求めることができる。
【0028】
第9発明にあっては、交通シミュレータは、起終点交通量算出装置で算出した起終点交通量を入力データとして用いる。これにより、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、車両の識別コードを取得できる路上装置が設置されていない高速道路等を含む道路網であっても、すなわち車両が高速道路等を利用して走行した場合であっても、所望の起終点交通量を求めることができ、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態に係る起終点交通量算出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の起終点交通量算出装置が起終点交通量を算出する道路網の一例を示す模式図である。
【図3】アップリンク情報の一覧例を示す模式図である。
【図4】アップリンク情報に基づく車両の走行経路の一例を示す模式図である。
【図5】第1地点から各終点までの経路の一例を示す模式図である。
【図6】本実施の形態の起終点交通量算出装置による起終点交通量の算出例を示す説明図である。
【図7】各起点から第1地点までの経路の一例を示す模式図である。
【図8】本実施の形態の起終点交通量算出装置による起終点交通量の算出例を示す説明図である。
【図9】本実施の形態の起終点交通量算出装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態の起終点交通量算出装置による処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【図11】本実施の形態の交通シミュレータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る起終点交通量算出装置、該起終点交通量算出装置で算出した起終点交通量を入力データとして用いる交通シミュレータ及び前記起終点交通量算出装置による起終点交通量算出方法の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る起終点交通量算出装置100の構成の一例を示すブロック図である。起終点交通量算出装置100は、装置全体を制御する制御部10、入力部11、起終点特定部12、車両割合算出部13、出力部14、起終点交通量算出部15、所定の情報を記憶する記憶部16などを備える。
【0032】
起終点交通量算出装置100は、車両の固有情報(例えば、車両識別コードなど)を取得する路上装置(例えば、光ビーコン、電波ビーコンなど)が複数設置された第1の道路網(例えば、一般道路など)と、第1の道路網と複数の地点で繋がり、路上装置が設置されていない第2の道路網(例えば、高速道路など)とを含む道路網での車両の起終点交通量を算出する。なお、起終点交通量は、起点(起点領域も含む)で発生し、終点(終点領域も含む)で消滅する単位時間当たりの車両台数である。
【0033】
図2は本実施の形態の起終点交通量算出装置100が起終点交通量を算出する道路網の一例を示す模式図である。図2に示すように、道路網は、第1の道路網としての一般道路400と第2の道路網としての高速道路300とを含む。高速道路300は、第1地点X(高速道路300の出入口)にて一般道路400と繋がり、第2地点Y(高速道路300の出入口)にて一般道路400と繋がる。すなわち、一般道路400を走行する車両は、第1地点Xで高速道路に流入し、第2地点Yで高速道路から流出することができる。また、一般道路400を走行する車両は、第2地点Yで高速道路に流入し、第1地点Xで高速道路から流出することができる。
【0034】
第1地点に対応する光ビーコンは、例えば、高速道路300の出入口の周辺の光ビーコンのうち、高速道路300へ流入又は高速道路300から流出する車両が通過する可能性の高い光ビーコンを予め設定しておく。図2の例では、光ビーコン2005が第1地点Xに対応する光ビーコンである。また、同様に第2地点に対応する光ビーコンは、例えば、高速道路300の出入口の周辺の光ビーコンのうち、高速道路300へ流入又は高速道路300から流出する車両が通過する可能性の高い光ビーコンを予め設定しておく。図2の例では、光ビーコン508が第2地点Yに対応する光ビーコンである。
【0035】
また、図2に示すように、高速道路300の一部は、シミュレーション対象エリア(対象都道府県)であり、他の部分はシミュレーション対象外エリア(対象都道府県外)である。図2の例では、第2地点Yはシミュレーション対象エリア(対象都道府県)内にあり、第1地点はシミュレーション対象外エリア(対象都道府県外)にある。また、第2地点Yに繋がる一般道路400には、光ビーコン508の他に光ビーコン601、652、719が適宜の地点に設置されている。なお、光ビーコンの数や設置箇所は図2の例に限定されるものではない。また、一般道路400、高速道路300の構造も図2の例に限定されるものではない。なお、第1地点X及び第2地点Y間の高速道路300には、他の出入口(不図示)が存在してもよい。
【0036】
入力部11は、起終点交通量算出装置100と外部とのインタフェース機能を有する。入力部11は、例えば、路上に設置された複数の光ビーコン(路上装置)で収集された複数の車両のアップリンク情報を受信する。アップリンク情報は、例えば、車両が通過した光ビーコンの固有の番号、車両が光ビーコンを通過した通過時刻、車両識別コード(固有情報)などを含む。車両識別コードには、それが付与された地点の情報が含まれている。
【0037】
入力部11は、高速道路300(第2の道路網)が一般道路400(第1の道路網)と繋がる第1地点X及び第2地点Y間の高速道路300での交通量Pを取得する交通量取得手段としての機能を有する。なお、第1地点Xから第2地点Yへの交通量を第1交通量P1とし、第2地点Yから第1地点Xへの交通量を第2交通量P2とする。第1地点X及び第2地点Y間の高速道路での交通量P1、P2は、例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)を通過した台数及びETCの搭載率等により求めることができる。なお、交通量P1、P2の計測は、ETCに限定されず、他の方法を用いてもよい。
【0038】
起終点特定部12は、光ビーコン等の路上装置で取得した複数の車両の識別コードを含むアップリンク情報に基づいて、第1地点を起点とし高速道路300及び第2地点Yを経由する車両の一般道路400内の終点を複数特定する起終点特定手段としての機能を有する。また、起終点特定部12は、光ビーコン等の路上装置で取得した複数の車両の識別コードを含むアップリンク情報に基づいて、第1地点を終点とし高速道路300及び第2地点Yを経由する車両の一般道路400内の起点を複数特定する起終点特定手段としての機能を有する。
【0039】
車両割合算出部13は、第1地点Xを起点とし高速道路300及び第2地点Yを経由する全車両のうち、終点が起終点特定部12で特定した終点である車両の割合を算出する割合算出手段としての機能を有する。また、車両割合算出部13は、第1地点Xを終点とし高速道路300及び第2地点Yを経由する全車両のうち、起点が起終点特定部12で特定した起点である車両の割合を算出する割合算出手段としての機能を有する。
【0040】
起終点交通量算出部15は、取得した交通量P1及び車両割合算出部13で算出した割合に基づいて、第1地点X、第2地点Y及び複数の終点のうちの一の終点のいずれか2つを起終点とする起終点交通量を算出する起終点交通量算出手段としての機能を有する。また、起終点交通量算出部15は、取得した交通量P2及び車両割合算出部13で算出した割合に基づいて、第1地点X、第2地点Y及び複数の起点のうちの一の起点のいずれか2つを起終点とする起終点交通量を算出する起終点交通量算出手段としての機能を有する。
【0041】
出力部14は、起終点交通量算出部15で算出した起終点交通量を、例えば交通シミュレータへ出力する。
【0042】
次に、本実施の形態の起終点交通量算出装置100の動作について説明する。まず、終点の特定方法について説明する。図3はアップリンク情報の一覧例を示す模式図である。道路網に設置された複数の光ビーコン(路上装置)は、所定の送信周期において、車両(車載装置)から受信したアップリンク情報(光ビーコンが付与する情報も含むものとする)を不図示のセンター装置へ送信する。センター装置は受信したアップリンク情報を蓄積し、蓄積したアップリンク情報(例えば、数日分の情報など)を起終点交通量算出装置100へ送出する。これにより、起終点交通量算出装置100は、アップリンク情報を取得する。
【0043】
図3に示すように、アップリンク情報を一覧として表すと、複数の車両について、車両が通過した光ビーコンの固有の番号、車両が光ビーコンを通過した通過時刻、車両識別コード(固有番号)、車種、前回通過した光ビーコンの固有の番号、前回通過時点からの走行時間などの情報が含まれるのがわかる。
【0044】
起終点特定部12は、アップリンク情報を車両毎に分けて当該車両の起点(発生地点)及び終点(消滅地点)を特定する。より具体的には、起終点特定部12は、第1地点Xを起点とし高速道路300及び第2地点Yを経由する車両の一般道路400内の終点を第1の道路網内地点(一般道路400内地点)として複数特定する。例えば、終点をD1、D2、D3などとする。
【0045】
図4はアップリンク情報に基づく車両の走行経路の一例を示す模式図である。図3に示したアップリンク情報の一覧から同一の車両識別コード(例えば、1001)のデータだけを取り出し、取り出したデータを通過した光ビーコンの順に並べることにより、車両が通過した光ビーコンを通過順に特定し、走行経路及び終点を特定することができる。
【0046】
一般道路400内の終点の特定は、例えば、対象エリア(都道府県)で最初のアップリンクが第2地点付近の光ビーコンであって、車両識別コードが付与された地点が、第1地点Xが存在する都道府県である車両のアップリンク情報を抽出し、その車両識別コードの車両が最後に通過した光ビーコンの位置を終点D1〜D3(消滅地点)とすることができる。図4の例では、車両識別コードが1001の車両が、第1地点Xが存在する都道府県(シミュレーション対象外エリア)にて車両識別コード1001を付与され、対象エリア(都道府県)で最初のアップリンクが第2地点付近の光ビーコン508であり、以降、光ビーコン601、652、719を通過している。そして、最新の時点に通過した光ビーコンの位置が終点、すなわち車両の消滅地点を表す。
【0047】
次に、高速道路300を含む道路網の起終点交通量の算出方法について説明する。まず、第1地点Xを起点とする場合について説明する。図5は第1地点Xから各終点D1〜D3までの経路の一例を示す模式図である。図5の例では便宜上終点D1、D2、D3が特定されたものとするが、終点の数は3に限定されるものではない。
【0048】
なお、終点を特定する場合には、所定数以上の車両が同一の地点を消滅地点とする場合、当該地点を終点として特定する。所定数は、曜日、時間帯などに応じて異なる値を設定することができる。これにより、車両識別コードの数、すなわちアップリンク情報の数が少ない経路は省略(無視)することにより、例えば、高速道路を利用していない少数車両(例えば、図5の符号dで示す経路)を除外して起終点交通量を精度良く算出することができる。
【0049】
また、起終点特定部12は、第2地点Yから特定した終点D1〜D3への第2地点終点交通量Q1〜Q3を算出する。第2地点終点交通量Q1〜Q3は、アップリンク情報により求めることができる。
【0050】
車両割合算出部13は、第1地点Xを起点とし高速道路300及び第2地点Yを経由する全車両、すなわち一般道路400内で終点が特定された全車両に対する各終点の車両の終点割合を算出する。例えば、全車両の台数をMとし、終点をD1とする車両の台数をm1とすると、終点をD1とする車両の終点割合α1を、α1=m1/Mにより算出する。同様に、終点をD2、D3とする車両の終点割合α2、α3を算出する。
【0051】
また、高速道路300経由して第1地点Xから第2地点Yへ走行する車両の第1交通量をP1とする。
【0052】
図6は本実施の形態の起終点交通量算出装置100による起終点交通量の算出例を示す説明図である。起点を第1地点Xとし終点をD1〜D3とする第1地点終点交通量は、取得した第1交通量P1に終点割合α1〜α3を乗算して算出する。例えば、第1地点X終点D1間の起終点交通量はα1×P1で算出する。同様に第1地点X終点D2間の起終点交通量はα2×P1で算出し、第1地点X終点D3間の起終点交通量はα3×P1で算出する。これにより、起点と終点との間に高速道路等が存在する場合でも起終点交通量を求めることができ、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0053】
また、起点を第2地点Yとし終点をD1〜D3とする第2地点終点交通量は、第2地点終点交通量から第1地点終点交通量を減算して算出する。例えば、アップリンク情報により求めた第2地点終点交通量Q1には、第1地点Xと第2地点Yとの間の地点(高速道路300の出入口)から高速道路300へ流入する車両も含まれるので、これらの車両を除外すべく、第2地点Yを起点とし終点をD1とする真の起終点交通量は、{Q1−α1×P}で算出する。同様に、第2地点Yを起点とし終点をD2、D3とする真の起終点交通量は、それぞれ{Q2−α2×P}、{Q3−α3×P}で算出することができる。これにより、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0054】
また、起点を第1地点Xとし終点を第2地点Yとする第1地点第2地点交通量は、第1交通量P1から第1地点終点交通量の終点毎の合計値を減算して算出する。例えば、第1地点Xを起点とし第2地点Yを終点とする第1交通量P1が、第1地点Xを起点とし終点をD1〜D3とする交通量{(α1+α2+α3)×P1}より大きい場合、第1地点Xから第2地点Yへの第1地点第2地点交通量は、{P1−(α1+α2+α3)×P1}で算出することができる。第1交通量P1には、第2地点Yを終点とする車両、各終点D1〜D3を終点とする車両がすべて含まれるので、各終点D1〜D3を終点とする車両を除外することにより、第2地点Yを終点とする起終点交通量を求めることができる。
【0055】
次に、第1地点Xを終点とする場合について説明する。図7は各起点O1〜O3から第1地点Xまでの経路の一例を示す模式図である。図7の例では便宜上起点O1、O2、O3が特定されたものとするが、起点の数は3に限定されるものではない。起点O1〜O3は、便宜上図5の例で特定された終点D1〜D3とする。
【0056】
また、起終点特定部12は、起点O1〜O3それぞれから第2地点Yへの起点第2地点交通量R1〜R3を算出する。起点第2地点交通量R1〜R3は、アップリンク情報により求めることができる。
【0057】
車両割合算出部13は、特定した終点D1〜D3を起点O1〜O3とし第2地点Yを終点とする全車両のうち、起点毎の車両の起点割合β1〜β3を算出する。すなわち第2地点Yを終点とする全車両に対する各起点の車両の起点割合を算出する。例えば、全車両の台数をNとし、起点をO1(D1)とする車両の台数をn1とすると、起点をO1とする車両の起点割合β1を、β1=n1/Nにより算出する。同様に、起点をO2(D2)、O3(D3)とする車両の起点割合β2、β3を算出する。
【0058】
また、高速道路300経由して第2地点Yから第1地点Xへ走行する車両の第2交通量をP2とする。
【0059】
図8は本実施の形態の起終点交通量算出装置100による起終点交通量の算出例を示す説明図である。起点をO1〜O3とし終点を第1地点Xとする起点第1地点交通量は、取得した第1交通量P2に起点割合β1〜β3を乗算して算出する。例えば、起点O1第1地点X間の起終点交通量はβ1×P2で算出する。同様に起点O2第1地点X間の起終点交通量はβ2×P2で算出し、起点O3第1地点X間の起終点交通量はβ3×P2で算出する。これにより、起点と終点との間に高速道路等が存在する場合でも起終点交通量を求めることができ、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0060】
また、起点をO1〜O3とし終点を第2地点Yとする起点第2地点交通量は、起点第2地点交通量R1〜R3から起点第1地点交通量(β1×P2)、(β2×P2)、(β3×P2)を減算して算出する。例えば、アップリンク情報により求めた起点第2地点交通量R1には、第2地点Yから第1地点Xへ向かう車両も含まれるので、これらの車両を除外すべく、起点O1から第2地点Yを終点とする真の起点第1地点交通量は、{R1−β1×P2}で算出する。同様に、起点O2、O3から第2地点Yを終点とする起点第1地点交通量は、それぞれ{R2−β2×P2}、{R3−β3×P2}で算出することができる。これにより、高速道路を含む道路網全体のOD交通量(起終点交通量)を算出することができ、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0061】
また、起点を第2地点とし終点を第1地点とする第2地点第1地点交通量は、第2交通量P2から起点第1地点交通量の起点毎の合計値を減算して算出する。例えば、第2地点Yを起点とし第1地点Xを終点とする第2交通量P2が、起点をO1〜O3とし終点を第1地点Xとする交通量{(β1+β2+β3)×P2}より大きい場合、第2地点Yから第1地点Xへの第2地点第1地点起終点交通量は、{P2−(β1+β2+β3)×P2}で算出することができる。第2交通量P2には、各起点O1〜O3を起点とする車両が含まれるので、当該車両を除外することにより、第2地点Yを起点とする起終点交通量を求めることができる。
【0062】
図9は本実施の形態の起終点交通量算出装置100による処理手順の一例を示すフローチャートである。図9は第1地点を起点とする場合の例を示す。制御部10は、起終点特定部12を制御して、アップリンク情報を検索し(S11)、対象エリア(対象都道府県)内の最初のアップリンクが第2地点Yであり、車両識別コードが付与された地点が、第1地点Xが存在する対象外エリア(対象外都道府県)である車両のアップリンク情報を抽出する(S12)。ここで抽出されたアップリンク情報は、図4に例示するものである。
【0063】
制御部10は、抽出したアップリンク情報に基づいて車両の終点を特定する(S13)。制御部10は、車両割合算出部13を制御して、終点が特定された全車両のうち各終点の車両の割合(終点割合α)を算出する(S14)。制御部10は、第1地点Xを起点とし第2地点Yを終点とする高速道路300のOD交通量(第1交通量P1)を取得する(S15)。
【0064】
制御部10は、起終点交通量算出部15を制御して、OD交通量(第1交通量P1)に割合(終点割合α)を乗算して第1地点Xから終点への起終点交通量(第1地点終点交通量)を算出する(S16)。
【0065】
制御部10は、起終点交通量算出部15を制御して、第2地点Yから終点への起終点交通量(第2地点終点交通量)を算出し(S17)、第1地点Xから第2地点Yへの起終点交通量(第1地点第2地点交通量)を算出し(S18)、処理を終了する。
【0066】
図10は本実施の形態の起終点交通量算出装置100による処理手順の他の例を示すフローチャートである。図10は第1地点を終点とする場合の例を示す。制御部10は、起終点特定部12を制御して、アップリンク情報を検索し(S31)、対象エリア(対象都道府県)内の最初のアップリンクが第2地点Yであり、車両識別コードが付与された地点が、第1地点Xが存在する対象外エリア(対象外都道府県)である車両のアップリンク情報を抽出する(S32)。ここで抽出されたアップリンク情報は、図4に例示するものである。
【0067】
制御部10は、抽出したアップリンク情報に基づいて車両の終点を特定する(S33)。制御部10は、車両割合算出部13を制御して、特定した終点を起点とし第2地点を終点とする車両の割合(起点割合β)を算出する(S34)。制御部10は、第2地点Yを起点とし第1地点Xを終点とする高速道路300のOD交通量(第2交通量P2)を取得する(S35)。
【0068】
制御部10は、起終点交通量算出部15を制御して、OD交通量(第2交通量P2)に割合(起点割合β)を乗算して起点から第1地点Xへの起終点交通量(起点第1地点交通量)を算出する(S36)。
【0069】
制御部10は、起終点交通量算出部15を制御して、起点から第2地点への起終点交通量(起点第2地点交通量)を算出し(S37)、第2地点Yから第1地点Xへの起終点交通量(第2地点第1地点交通量)を算出し(S38)、処理を終了する。
【0070】
図11は本実施の形態の交通シミュレータ200の構成例を示すブロック図である。交通シミュレータ200は、本実施の形態の起終点交通量算出装置100で算出した起終点交通量を入力データとして用い、所要の交通状態量の評価値を算出して出力データとして出力する。
【0071】
交通シミュレータ200は、車両の移動モデルを表す計算式に基づいて演算を行うシミュレータエンジン部201、起終点交通量算出装置100で算出した起終点交通量Cに基づいて任意のリンクでの発生交通量及び消滅交通量を算出する交通量算出部202、交通量算出部202で算出された交通量に基づいて交通状態量の評価値を算出する評価値算出部203などを備える。
【0072】
これにより、高速道路での交通規制などによる一般道への影響をシミュレーションすることが可能となる。
【0073】
従来、高速道路などの路上装置が設置されていない道路網を含む道路網では、起終点交通量を求めることができなかったが、本実施の形態によれば、高速道路と一般道路とを含む道路網において、高速道路の出入口を含む任意の地点間の起終点交通量を求めることができる。したがって、高速道路の通行止めなどの交通規制を行った場合に、高速道路及び一般道路の交通量がどのように変化するかを評価することができ、高速道路の交通規制等による影響を事前に評価することが可能となる。
【0074】
上述の実施の形態では、第2の道路網として、高速道路を例として説明したが、第2の道路網は高速道路に限定されるものではなく、車両識別コードを受信することができる路上装置が設置されていない道路であればよい。
【0075】
上述の実施の形態では、路上装置として光ビーコンを例に挙げて説明したが、路上装置は、光ビーコンに限定されるものではなく、車両からアップリンク情報を取得することができるものであれば、電波ビーコンなど他の装置であってもよい。
【0076】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
10 制御部
11 入力部
12 起終点特定部
13 車両割合算出部
14 出力部
15 起終点交通量算出部
16 記憶部
100 起終点交通量算出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の固有情報を取得する路上装置が複数設置された第1の道路網と、該第1の道路網と複数の地点で繋がり前記路上装置が設置されていない第2の道路網とを含む道路網での車両の起点及び終点間の起終点交通量を算出する装置であって、
前記第2の道路網が前記第1の道路網と繋がる第1地点及び第2地点間の前記第2の道路網での交通量を取得する交通量取得手段と、
前記路上装置で取得した複数の車両の固有情報に基づいて、前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する車両の前記第1の道路網内の終点を第1の道路網内地点として複数特定する起終点特定手段と、
前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する全車両のうち、終点が前記起終点特定手段で特定した終点である車両の割合を算出する割合算出手段と、
前記交通量取得手段で取得した交通量及び前記割合算出手段で算出した割合に基づいて、前記第1地点、第2地点及び前記複数の第1の道路網内地点のうちの一の地点のいずれか2つを起終点とする起終点交通量を算出する起終点交通量算出手段と
を備えることを特徴とする起終点交通量算出装置。
【請求項2】
前記起終点特定手段は、
前記路上装置で取得した複数の車両の固有情報に基づいて、前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する車両の前記第1の道路網内の終点を複数特定する終点特定手段を備え、
前記割合算出手段は、
前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する全車両のうち、終点が前記終点特定手段で特定した終点である車両の終点割合を該終点毎に算出する終点割合算出手段を備え、
前記交通量取得手段は、
前記第2の道路網を経由して前記第1地点から第2地点へ走行する車両の第1交通量を取得する第1交通量取得手段を備え、
前記起終点交通量算出手段は、
前記第1交通量取得手段で取得した第1交通量に前記終点割合を乗算して、前記第1地点から前記終点への第1地点終点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の起終点交通量算出装置。
【請求項3】
前記終点特定手段は、
所定数以上の車両が同一の地点を消滅地点とする場合、該地点を終点として特定するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の起終点交通量算出装置。
【請求項4】
前記第2地点から前記終点特定手段で特定した終点への第2地点終点交通量を算出する第2地点終点交通量算出手段を備え、
前記起終点交通量算出手段は、
前記第2地点終点交通量から前記第1地点終点交通量を減算して前記第2地点から前記終点への第2地点終点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の起終点交通量算出装置。
【請求項5】
前記起終点交通量算出手段は、
前記第1交通量から前記第1地点終点交通量の終点毎の合計値を減算して前記第1地点から第2地点への第1地点第2地点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の起終点交通量算出装置。
【請求項6】
前記割合算出手段は、
前記終点特定手段で特定した終点を起点とし前記第2地点を終点とする全車両のうち、起点毎の車両の起点割合を算出する起点割合算出手段を備え、
前記交通量取得手段は、
前記第2の道路網を経由して前記第2地点から第1地点へ走行する車両の第2交通量を取得する第2交通量取得手段を備え、
前記起終点交通量算出手段は、
前記第2交通量取得手段で取得した第2交通量に前記起点割合を乗算して、前記起点から前記第1地点への起点第1地点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の起終点交通量算出装置。
【請求項7】
前記起点から前記第2地点への起点第2地点交通量を算出する起点第2地点交通量算出手段を備え、
前記起終点交通量算出手段は、
前記起点第2地点交通量から前記起点第1地点交通量を減算して前記起点から前記第2地点への起点第2地点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする請求項6に記載の起終点交通量算出装置。
【請求項8】
前記起終点交通量算出手段は、
前記第2交通量から前記起点第1地点交通量の起点毎の合計値を減算して前記第2地点から第1地点への第2地点第1地点交通量を算出するように構成してあることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の起終点交通量算出装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の起終点交通量算出装置で算出した起終点交通量を入力データとして用いることを特徴とする交通シミュレータ。
【請求項10】
車両の固有情報を取得する路上装置が複数設置された第1の道路網と、該第1の道路網と複数の地点で繋がり前記路上装置が設置されていない第2の道路網とを含む道路網での車両の起点及び終点間の起終点交通量を算出する起終点交通量算出装置による起終点交通量算出方法であって、
前記第2の道路網が前記第1の道路網と繋がる第1地点及び第2地点間の前記第2の道路網での交通量を取得するステップと、
前記路上装置で取得した複数の車両の固有情報に基づいて、前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する車両の前記第1の道路網内の終点を第1の道路網内地点として複数特定するステップと、
前記第1地点を起点とし前記第2の道路網及び前記第2地点を経由する全車両のうち、終点が前記起終点特定手段で特定した終点である車両の割合を算出するステップと、
取得された交通量及び算出された割合に基づいて、前記第1地点、第2地点及び前記複数の第1の道路網内地点のうちの一の地点のいずれか2つを起終点とする起終点交通量を算出するステップと
を含むことを特徴とする起終点交通量算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−232869(P2011−232869A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101033(P2010−101033)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】