説明

超小型埋め込み型の被覆された装置

【課題】埋め込み型医療装置及び構成要素、特に、超小型埋め込み型装置のためのコーティングを提供する。
【解決手段】埋め込み型超小型装置。装置は、薄い密封絶縁コーティング、及び密封絶縁層の上に絶縁層を体液などの腐食作用から保護するための少なくとも1つの薄いポリマー又は金属2次コーティングを含む。一実施形態では、絶縁層は、イオンビーム支援蒸着(IBAD)アルミナであり、2次コーティングは、パリレンポリマーである。装置は、シリコン集積回路チップのような小型電子装置とすることができる。絶縁層の厚みは、10ミクロン又はそれ未満とすることができ、2次層の厚みは、約0.1から約15ミクロンの間とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み型医療装置及び構成要素に関し、具体的には、超小型埋め込み型装置のためのコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
生体適合性は、生体内に埋め込むように設計される医療装置の重大な問題である。生体適合性は、被験者の拒絶反応を回避するために、及びインプラントを取り囲む組織内の腐食性塩分体液及び他の物質への露出からもたらされる装置故障を回避するために必要である。埋め込まれた装置がそれ自体生態適合でない1つ又はそれよりも多くの構成要素を含む場合には、生体適合性を達成し、すなわち、拒絶反応及び装置劣化を回避するために、このような装置の密封シーリングに化学的に不活性なコーティングを設けることが公知である。多くのこのような埋め込み型装置は、長い期間にわたる適所への保持を意図しており、密封シーリングに長寿命要件を課している。
【0003】
ペースメーカのような大型埋め込み型電子装置は、典型的に密封ケース内に入れられる。このような装置には大きさ及び厚みは重大でなく、従って、密封包装をもたらすことは比較的容易である。しかし、シリコン基板上に組み立てられる集積回路チップのようなマイクロ電子構成要素を通常含む超小型埋め込み型装置は、一般的に包装されず、その代わりに、シーリング用に堆積した密封材料の比較的薄い層を用いる。このような超小型装置は、例えば、視覚人工器官、蝸牛人工器官、脳深部刺激装置、脊髄刺激装置、及び運動制御のための機能的電気刺激装置のような埋め込み型神経刺激装置を含む。超小型埋め込み型医療装置の場合、生体適合性かつ電気絶縁性の金属酸化物フィルムが、集積回路、不活性電子装置及び構成要素、磁石、並びに機械部品のような構成要素の表面上に堆積され、これらを不活性化して体内での攻撃を受けにくくしている。これらは、「密封コーティング」と呼ばれ、密封という用語は、フィルムが著しく漏れず、従って、保護される構成要素に体液及び体液内の物質が達することを防止することを意味するように用いられる。
【0004】
アルミナ(酸化アルミニウム(Al23)と呼ばれることが多い)のようなセラミック材料のイオンビーム支援蒸着(IBAD)は、超小型装置を密封シーリングするために用いられている。アルミナは、生体適合性に優れ、IBADは、濃密で接着性の欠陥のない共形薄膜を堆積するのに有用な技術である。アルミナを埋め込み型医療装置に堆積させるためのIBADの使用は、その開示が引用により組み込まれている「埋め込み型構成要素及び他の超小型装置を被覆するためのアルミナ絶縁」という名称の米国特許第6,844,023号に説明されている。薄くて密封されたシール包装をもたらすために、IBADを使用して電気絶縁体を集積回路、不活性構成要素、磁石、及び他の埋め込み型装置上に堆積させることができる。通常、IBADを用いて堆積される層は、僅かに数ミクロン厚である。
【0005】
本発明者は、IBADによって堆積したアルミナのような薄い絶縁層が、埋め込み型装置の適度な長期保護を提供しない場合があることを発見した。具体的に、本発明者は、このような層が体内で浸食を受け、従って、経時的に故障しやすいと判断した。アルミナのような一部の金属酸化物は、一般的に不活性と考えられているが、水の存在下で緩やかな反応を受ける。反応が水溶性化学的性質によるか、溶液中のイオンの存在によるか、原子酸素の存在によるか、又は一部の他の機構又は機構の組合せによるかに関わらず、得られる反応は、金属酸化物の表面の変化及び絶縁層の緩やかで持続的な薄層化を引き起こす。絶縁が、装置を保護するように堆積した薄膜である場合、このフィルムにもたらされる浸食は、フィルムの機能的有用性を阻害する。従って、超小型装置のための公知の密封コーティングの有用性は、薄い絶縁コーティングの故障を最終的にもたらす反応過程によって脅かされる。
【0006】
長期使用を目的とする超小型埋め込み型装置のための保護コーティングとして薄い密封絶縁フィルムを用いるために、その寿命を延ばすある一定の方法が必要である。絶縁コーティングの寿命を延ばす1つの可能な方法は、堆積したフィルムの厚みを増加させることである。しかし、この手法は、厚みが増すと蓄積する傾向があって最終的にフィルムを破損させるフィルムの固有応力に関して不適合であることが多い。応力の問題を克服することができたとしても、このようなフィルムの緩やかな成長速度(例えば、1から2オングストローム/秒)により、製造の観点から厚いフィルムの成長は魅力のないものになり、従って、絶縁層の厚みを単に増すことに対する代替案が望ましい。
【0007】
本発明の目的は、保護ポリマー又は金属コーティングによって溶解から保護される電気絶縁密封層を使用する埋め込み型装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的、利点、及び新しい特徴は、添付図を共に考慮すると本発明の以下の詳細説明から明らかになるであろう。
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,844,023号
【発明の開示】
【0010】
一実施形態では、本発明は、生体内で使用するための装置、この装置を覆う生体適合無機密封絶縁層、及び絶縁層の上に重なる生体適合保護ポリマー層を含む超小型埋め込み型装置に関する。装置は、集積回路チップのような能動電子回路、又は抵抗器、誘導子、コンデンサ、又は磁石のような受動構成要素を含むことができる。一実施形態では、無機密封層は、金属酸化物層、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化バナジウム(V25)、又はこれらの適切な混合物のようなセラミック層を含む。代替的に、絶縁層は、炭化珪素(SiC)、窒化チタン(TiN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(SiN)、二酸化珪素(SiO2)、又は超ナノ結晶性ダイヤモンド、又はこれらの適切な混合物を含む。好ましい実施形態では、ポリマーは、パリレンである。他の適切なポリマーは、ポリイミド、シリコーン、エポキシ樹脂、液晶ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート、テトラフルオロエチレン、又はこれらの適切な混合物を含む。密封絶縁層は、好ましくは、約10ミクロン厚よりも薄い。ポリマー層は、好ましくは、約15ミクロン厚よりも薄く、より好ましくは、約3から約15ミクロン厚の間であり、より好ましくは、約4から約10ミクロン厚の間である。別の実施形態では、第2の生体適合保護層が、ポリマー層の上に形成される。
【0011】
本発明の別の実施形態は、生体内で使用するための装置、この装置を覆う生体適合無機密封絶縁層、及び絶縁層の上に重なる外側生体適合金属層を含む超小型埋め込み型装置に関する。金属層は、好ましくは、金、チタン、プラチナ、イリジウム、又はこれらの混合物を含み、好ましくは、約0.01から約10ミクロン厚の間、より好ましくは、約0.02から約8ミクロン厚の間、更により好ましくは、約0.03から約6ミクロン厚の間とすることができる。好ましい実施形態では、金属層はチタンである。
【0012】
別の態様においては、本発明は、超小型装置を準備する段階と、装置の少なくとも主要部分を薄い絶縁密封層で被覆する段階と、絶縁層を生体適合ポリマー及び/又は金属層で被覆する段階とを含む超小型埋め込み型装置を製造する方法に関する。
【0013】
本発明の以上の態様及び付随する利点は、添付図と共に考慮すると以下の詳細説明を参照することによってより容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の新たな特徴は、特許請求の範囲において具体的に説明されている。本発明は、添付図と共に読むと以下の詳細説明から最も良く理解されるであろう。一般的に、本発明は、改善された密封特性を有する超小型埋め込み型装置及び製造方法に関する。
【0015】
非常に小型の埋め込み型装置のための新たな及び潜在的な用途が多くあり、装置の大きさを最小に保持することは、このような用途には重大であることが多い。このような装置は、例えば、視覚人工器官、蝸牛人工器官、脳深部刺激装置、脊髄刺激装置、及び運動制御のための機能的電気刺激装置のような埋め込み型神経刺激装置を含む。特に集積回路チップを含む電子装置である超小型埋め込み型装置は、腐食及び生体移植の他の悪影響から十分に保護されるべきである。しかし、ペースメーカに使用されるような従来の装置包装技術は、超小型埋め込み型装置内での実用的な使用にはあまりに大きい。IBADは、数ミクロンの厚みの密封絶縁フィルムを準備するための1つの有効な技術であると証明されている。他の堆積及びコーティング技術は、現時点で好まれてはいないが、特に本発明に関連して使用される場合は適切な密封フィルムを生成することができる。例えば、マイクロ波強化化学気相蒸着は、超ナノ結晶性ダイヤモンドの絶縁層を堆積させるための好ましい技術である。
【0016】
本発明は、例えば、アルミナのような金属酸化物セラミック材料のような生体適合無機絶縁材料の1つ又はそれよりも多くの薄い密封コーティングを使用する。このような絶縁材料は、あらゆる適切な技術によって堆積させることができる。現在好ましいものは、最も濃密で欠陥のないフィルムを生成すると現時点で理解されているように、全体的に図1に示すようなイオンビーム支援蒸着(IBAD)法である。非導電材料のIBADコーティングはまた、例えば、約10-6amps/cm2の漏れ電流の食塩水内で電気的絶縁特性を提供する。IBADセラミック絶縁コーティングはまた、従来の技術によってパターン化することができる。IBADは、廉価な処理で非常に濃密なコーティングを達成する視野方向堆積処理である。
【0017】
上述のように、本発明者は、IBADによってシリコン基板上に堆積したアルミナ薄膜が、水溶液又は食塩水中に置かれると経時的に劣化することを観察した。劣化速度は、体温で、毎年約2ミクロン又はそれ未満の程度であることを実験が示している。更に、この劣化は、液体/空気界面の存在によって悪化し、酸素及び/又は水素が劣化においてある一定の役割を果たす場合があることを示唆している。制御された実験においては、不動態化サンプルが所定の体積の液体に完全に沈められると、劣化は飽和点まで進み、恐らく反応物質の供給がなくなったのでその後停止することが観察されている。しかし、この飽和制限効果は、周囲の体液の供給が自然に補充される殆どの生体内環境には適用されないと考えられる。
【0018】
本発明により、絶縁コーティングの寿命を延ばすように1つ又は複数の2次コーティングが薄い絶縁コーティングに付加される。具体的に、本発明は、絶縁層をこの破壊的分解から保護する薄いポリマー又は金属コーティングの絶縁層への付加を含む。好ましい実施形態では、薄いパリレンポリマー層が、真空蒸着によって絶縁層の上に付加される。
【0019】
図2は、本発明の例示的な実施形態による超小型装置10を示している。装置10は、複数の導体パッド25を有する集積回路(IC)チップ20を含む。ICチップ20は、従来の半導体処理法を用いてシリコン基板上に製造することができる。ICチップ20の周囲は、無機絶縁材料30の薄い共形密封コーティングである。絶縁材料30の周囲は、薄い共形ポリマー又は金属コーティング40である。ワイヤ50がコーティングを通って延び、ICチップ20上の導体パッド25への外部接続を可能にする。無機密封絶縁層30は、好ましくは、約10ミクロン厚又はそれ未満である。
【0020】
上述のように、絶縁材料30は、好ましくは、イオンビーム支援蒸着(IBAD)によって堆積される。絶縁材料は、好ましくは、生体適合セラミック材料、より好ましくは、金属酸化物である。アルミナに言及し、かつ現時点で好ましいが、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、チタニア、又はバナジアを含む他の生体適合金属酸化物もまた用いることができる。更に、金属酸化物を用いるよりもむしろ、例えば、炭化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化珪素、二酸化珪素、又は超ナノ結晶性ダイヤモンドを含む他の不活性無機化合物を用いることができる。好ましくは、どのような無機絶縁コーティングが用いられても、それは、約10ミクロン又はそれ未満の厚みで実質的に不透過性及び密封である。
【0021】
図1は、堆積機器130を用いるIBAD処理を示している。IBADは、高密でピン穴がないコーティングを達成するように物理的気層蒸着及びイオンビーム衝撃を組み合わせる真空蒸着処理である。電子ビーム蒸発器131が、基板133上に堆積されるコーティング原子の蒸気137を発生する。基板133は、回転基板ホルダ135上に取り付けられて、コーティングが基板133に均等に付加されることを保証する。IBADの際立った特徴は、コーティングが基板133に堆積される時にエネルギイオン141で衝撃されることである。エネルギイオンは、イオン源139によって発生される。アルミナ又は他のセラミック材料のIBADコーティングは、10ミクロンの厚みのコーティングで実質的に不透過性とすることができ、他の蒸着コーティングよりも強く、接着性が優れているので、他の公知の堆積法よりも現時点で好ましい。IBADは、比較的低温処理であり、これは、高温で処理することができない装置に対しては重大である可能性がある。IBADは、視野方向処理であるので、全ての表面を被覆することを保証するように一般的に複数の角度から装置20を被覆する必要があることになる。
【0022】
本発明により、絶縁層30の寿命は、絶縁層30の分解速度を妨げるか又は低減するポリマー又は薄い金属を含む2次コーティング又は層40を付加することによって延ばされる。本発明によると、層40は、密封であることを必要としない。
【0023】
層40は、絶縁層30を攻撃する流体に対する最初の障壁の機能を果たす極厚の材料をもたらす。更に、上述のように、IBADは、蒸着フィルムの応力によって制限される比較的緩慢な蒸着法である。ポリマー又は金属コーティング40は、層の過度の応力なしに、及び下にある絶縁層の応力に影響を与えることなく、より速い速度で堆積させることができる。更に、絶縁層は、適度な密封シーリングをもたらすので、コーティング40がそれ自体劣化を受けても、比較的重要でない。
【0024】
本発明により、コーティング40は、絶縁層30の劣化の原因になる腐食過程を十分に減速するか又は実質的に完全に止めるかのいずれかである。例えば、溶液内の僅かであるが限定された濃度の酸素がアルミナコーティングの分解を引き起こしている場合には、酸素がポリマーへの付着のための親和性を有するので、アルミナの上の高分子コーティングの存在が分解を減速又は防止する。
【0025】
従って、所定の厚み、例えば約10ミクロンの絶縁層30では、埋め込み型装置の寿命は、本発明を用いて実質的に延ばすことができる。反対に所定の寿命では、他の方法で必要とされるものよりも薄い絶縁材料30の層を使用することができる。これらの任意選択肢の各々は、有意な製造利点を表している。
【0026】
上述のように、本発明により、層40は、生体適合ポリマー又は生体適合金属層のいずれかとすることができる。このような層は、様々な手段によって絶縁層30の表面に付加することができる。生体適合金属は、金、チタン、プラチナ、及びイリジウム、並びにこれらの適切な混合物を含む。これらの金属の薄い層を堆積させる方法は公知であり、eビーム蒸着、スパッタリング、分子線エピタキシ、プラズマ強化化学気相蒸着のような様々な物理的又は化学気相蒸着を含む。本発明により、金属層は、好ましくは、約0.01から約10ミクロン厚の間、より好ましくは、約0.02から約8ミクロン厚の間、更により好ましくは、約0.03から約6ミクロン厚の間である。好ましい実施形態では、金属層はチタンである。
【0027】
生体適合ポリマーコーティングは、パリレン、ポリイミド、シリコーン、エポキシ樹脂、液晶ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート、テトラフルオロエチレン、又はこれらの適切な混合物、コポリマー、又はブロックポリマーを含む。ここでもまた、ポリマーコーティングを堆積させる技術は公知であり、浸漬、溶射、スピンコーティング、化学気相蒸着(CVD)などを含む。本発明の1つの態様により、薄いポリマー層は、好ましくは、約3から約15ミクロン厚の間、より好ましくは、約4から約10ミクロン厚の間である。
【0028】
上述のように、本発明により、コーティング40は、層30を劣化させる場合があるあらゆる反応を防止又は減速することによって絶縁層30の寿命を延ばす。1つよりも多い反応が可能である場合には、各コーティングが単一処理を遅延させる機能を果たすことができ、従って、集合的に複数のコーティングが個々に用いられるあらゆるコーティングの寿命を超えてその寿命を延ばすので、複数のコーティング40が有益とすることができる。図3は、密封絶縁層30の上に重なる第1のポリマー又は金属層40及び第2のポリマー又は金属層45を有する本発明の別の実施形態による埋め込み型装置310を示している。
【0029】
図4は、本発明者によって行われたコーティングの試験の結果を示す表である。4ミクロンのアルミナコーティングが、5から15umの生体適合ポリマーであるパリレンCで被覆された。パリレンコーティングを有する及び有しないサンプルが、リン酸緩衝液にまず57℃で40日間、次に77℃で浸漬され、劣化をモニタされた。エネルギ分散型X線分析により、アルミナコーティング(77℃で120日後に終了した)は、約6ヶ月(5年よりも長い生体組織への推定露出に相当する)で完全に腐食してなくなった一方、パリレンコーティングサンプルは、体温での8年よりも長い生体組織への推定露出に相当する7ヵ月後でも劣化の兆候を示さないことが明らかになった。
【0030】
図4は、57℃のリン酸緩衝食塩水への受動的浸漬の試験結果を表している。領域Iは、部分的に沈められた試験物品の界面である。領域IIは、沈められた部分、及び領域IIIは、界面の上方にある試験物品の部分である。サンプル1、2、及び3は、表1(図4)に説明した時間にわたって完全に沈められ、一方、サンプル4、5、及び6は、部分的に沈められた。
【0031】
試験は、液体−空気界面でアルミナコーティング分解の加速があったことを示している。8ミクロンのパリレン2次コーティング(真空蒸着によって付加された)は、IBADアルミナ絶縁コーティングの分解を保護して減速した。走査電子顕微鏡法により、パリレンにピン穴が存在した箇所は、アルミナがその領域付近で消えたことが観察された。
【0032】
以上の実施形態は、本発明の例証であり、本発明の範囲を特定の説明した実施形態に限定することを意図しない。従って、本発明の1つ又はそれよりも多くの実施形態を例示して説明したが、その精神又は本質的特徴から逸脱することなく様々な変更をそこに実施することができることが認められるであろう。従って、本明細書の開示及び説明は、特許請求の範囲に説明されている本発明の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】イオンビーム支援蒸着処理を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態による超小型埋め込み型装置の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による超小型埋め込み型装置の断面図である。
【図4】超小型装置上のコーティングの腐食を試験することによって得られる試験結果を示す表である。
【符号の説明】
【0034】
10 超小型装置
20 集積回路(IC)チップ
25 導体パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内で用いるための装置と、
前記装置を覆う生体適合無機密封絶縁層と、
前記絶縁層の上に重なる生体適合保護ポリマー層と、
を含むことを特徴とする超小型埋め込み型装置。
【請求項2】
能動電子回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項3】
集積回路チップを含み、前記無機密封絶縁層は、該集積回路チップの少なくとも一部分を覆っていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項4】
受動構成要素を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項5】
前記受動構成要素は、抵抗器、誘導子、コンデンサ、又は磁石であることを特徴とする請求項4に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項6】
前記無機密封層は、生体適合セラミック層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項7】
前記無機密封層は、生体適合金属酸化物層を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項8】
前記金属酸化物層は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化バナジウム、又はこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項7に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項9】
前記無機密封層は、炭化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化珪素、二酸化珪素、超ナノ結晶性ダイヤモンド、又はこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項10】
前記生体適合ポリマー層は、パリレンを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項11】
前記生体適合ポリマー層は、ポリイミド、シリコーン、エポキシ樹脂、液晶ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート、テトラフルオロエチレン、又はこれらの混合物、コポリマー、又はブロックポリマーを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項12】
前記密封絶縁層は、約10ミクロン厚よりも薄いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項13】
前記ポリマー層は、約15ミクロン厚よりも薄いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項14】
前記ポリマー層は、約3から約15ミクロン厚の間であることを特徴とする請求項13に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項15】
前記ポリマー層は、約4から約10ミクロン厚の間であることを特徴とする請求項13に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項16】
前記生体適合ポリマー層の上に重なる少なくとも1つの生体適合保護層を更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項17】
能動電子回路を含む、生体内で使用するための装置と、
前記装置を覆う生体適合無機密封絶縁層と、
前記絶縁層の上に重なる生体適合保護金属層と、
を含むことを特徴とする超小型埋め込み型装置。
【請求項18】
前記金属層は、チタン、プラチナ、イリジウム、又はこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項17に記載の超小型装置。
【請求項19】
前記金属層は、チタンを含むことを特徴とする請求項17に記載の超小型装置。
【請求項20】
前記金属層は、約0.01から約10ミクロン厚の間であることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の超小型装置。
【請求項21】
前記金属層は、約0.02から約8ミクロン厚の間であることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の超小型装置。
【請求項22】
前記金属層は、約0.03から約6ミクロン厚の間であることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の超小型装置。
【請求項23】
前記生体適合金属層の上に重なる少なくとも1つの生体適合保護層を更に含むことを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の超小型埋め込み型装置。
【請求項24】
超小型埋め込み型装置を製造する方法であって、
超小型装置を準備する段階と、
前記装置の少なくとも主要部分を薄い絶縁密封層で被覆する段階と、
前記絶縁層をポリマー及び/又は金属層で被覆する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記装置の少なくとも主要部分は、IBADによって薄い絶縁密封層で被覆されることを特徴とする請求項24に記載の超小型埋め込み型装置を製造する方法。
【請求項26】
前記装置の少なくとも主要部分は、マイクロ波強化化学気相蒸着によって薄い絶縁密封層で被覆されることを特徴とする請求項24に記載の超小型埋め込み型装置を製造する方法。
【請求項27】
前記絶縁層は、CVD又はスピンコーティングによってポリマーで被覆されることを特徴とする請求項24に記載の超小型埋め込み型装置を製造する方法。
【請求項28】
前記絶縁層は、IBADによって金属層で被覆されることを特徴とする請求項24又は請求項26に記載の超小型埋め込み型装置を製造する方法。
【請求項29】
視覚人工器官、蝸牛人工器官、脳深部刺激装置、脊髄刺激装置、又は運動制御のための機能的電気刺激装置を含む埋め込み型神経刺激装置の製造のために使用することを特徴とする請求項24に記載の超小型埋め込み型装置を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−528237(P2008−528237A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554150(P2007−554150)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/003123
【国際公開番号】WO2006/098813
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(505457064)セカンド サイト メディカル プロダクツ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】