説明

超電導線材の押出ビレットの製造方法およびその構造並びに超電導線材の製造方法

【課題】ビレット製造の作業性を改善する、超電導線材の押出ビレットの製造方法およびその構造並びに超電導線材の製造方法を提供する。
【解決手段】超電導材料5を充填した銅チューブ2の両端を銅製の前蓋5および後蓋6で密封して形成され、押出機内に挿入して押出加工するための超電導線材の押出ビレット1の製造方法において、前記銅チューブ2両端の前蓋5および後蓋6の中心に、旋盤に取り付けるためのセンタポンチ孔8aおよび8bを設けたことを特徴とする超電導線材の押出ビレット1を製造する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機内に挿入して押出加工するための超電導線材の押出ビレットの製造方法およびその構造並びにそれを用いた超電導線材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力損失無しに大電流を流したり強磁界を発生できる、超電導材料を使用した超電導線材の開発が進められている。
【0003】
超電導線材の構造は、安定化金属となる銅の内部に、超電導材料からなる線材を多数埋設させた複合線となっている。
【0004】
一般的に超電導材料は、NbTiなどの合金系材料と、Nb3Snなどの化合物系材料とに大別されるが、これら超電導材料の種類に関わりなく、超電導材料を安定化金属の内部に充填した押出ビレットを利用して、押出加工と断面減少加工とを共通の工程とする超電導線材の製造方法が工業的に確立されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
以下、従来の押出ビレットを用いる超電導線材の製造方法について図4により説明する。
【0006】
まず、銅製のチューブ2の内部に、Cu単芯線3と超電導材単芯線4からなる超電導材料5を充填する。この銅チューブ2の両端を銅製の前蓋22および後蓋23で溶接密封し、押出ビレット21の構造が形成される。
【0007】
この押出ビレット21は旋盤などに取り付けて、その外周を仕上げ加工された後、押出機内に挿入される。この押出ビレット21を押出加工した後、断面減少加工と熱処理とを繰り返すことで超電導線材を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2868966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
溶接密封された押出ビレットは旋盤などを用いて、その外周が仕上げ加工されるが、従来の押出ビレット21の構造の場合(図4)、ビレット両端に固定軸がなく、旋盤への取り付けと仕上げ加工との作業性に難がある。
【0010】
また、従来の超電導線材の製造方法では、その製造効率の観点から、製造コストが悪化しない限り押出ビレットの総重量が大きくされる。
【0011】
従来の押出ビレット21の総重量は100〜400kgともなり、相当の重量物となることから、押出ビレットを如何に効率よく製造するかが課題となる。
【0012】
そこで本発明の目的は、上記課題を解決し、ビレット製造の作業性を改善する、超電導線材の押出ビレットの製造方法およびその構造並びに超電導線材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、超電導材料を充填した銅チューブ両端を銅製の蓋で密封して形成され、押出機内に挿入して押出加工するための超電導線材の押出ビレットの製造方法において、前記銅チューブ両端の蓋の中心に、旋盤に取り付けるためのセンタポンチ孔を設けたことを特徴とする超電導線材の押出ビレットの製造方法である。
【0014】
請求項2の発明は、前記センタポンチ孔の形状が、先端先細の孔部と、その孔の後端を拡径させた面取り部とからなり、前記孔部の外径が3mm以上6mm以下の範囲にされる請求項1に記載の超電導線材の押出ビレットの製造方法である。
【0015】
請求項3の発明は、前記銅チューブ両端の蓋の少なくとも一方にメネジ孔が設られる請求項1または2に記載の超電導線材の押出ビレットの製造方法である。
【0016】
請求項4の発明は、前記押出ビレットを旋盤に取り付け、その押出ビレット外周が仕上げ加工される請求項1〜3いずれかに記載の超電導線材の押出ビレットの製造方法である。
【0017】
請求項5の発明は、超電導材料を充填した銅チューブ両端を銅製の蓋で密封して形成され、押出機内に挿入して押出加工するための超電導線材の押出ビレットにおいて、前記銅チューブ両端の蓋の中心に、旋盤に取り付けるためのセンタポンチ孔を設けたことを特徴とする超電導線材の押出ビレットである。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5に記載の超電導線材の押出ビレットを用い、その押出ビレットを押出加工して超電導線材を製造することを特徴とする超電導線材の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ビレット製造の作業性を改善する、超電導線材の押出ビレットの製造方法およびその構造並びに超電導線材の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の押出ビレットを旋盤に取り付ける様子を示す全体図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】従来の押出ビレットの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0022】
図1は本実施形態の超電導線材の押出ビレットの構造を示している。
【0023】
図1(a)に示すように、無酸素銅製のチューブ2はその内部に、Cu単芯線3と超電導材単芯線4とからなる超電導材料5が充填される。この銅チューブ2の両端に前蓋6および後蓋7が配されるが、この前蓋6および後蓋7の中心には予め、センタポンチ孔8aおよび8bが設けられる。この両センタポンチ孔について以下に詳述する。
【0024】
図1(b)に示すように、全長Lのセンタポンチ孔8aおよび8bは共に、先端先細となる孔部9と、その孔部の後端を拡幅するようテーパー状にされる面取り部10からなるようにされる。
【0025】
孔部9は、その先端9sが先端角βの先細形状となるようにされ、その孔部全長lはセンタポンチ孔全長Lよりも小さくされる。また、孔部9の後端に設けられる面取り部10は、孔部外径dをテーパー角αをもって面取り部外径Dに拡径するようにされる。すなわち、面取り部外径Dは、孔部外径dよりも大きくされる。
【0026】
このセンタポンチ孔を有する前蓋6および後蓋7により、超電導材料5を充填する銅チューブ2の両端が閉じられた後、銅チューブ2と両蓋とが溶接によって密封され押出ビレット1が構成される。
【0027】
溶接密封された押出ビレット1は図2に示すように、マンドレル12とチャック13とを備える旋盤11に取り付けられ、その外周を仕上げ加工される。旋盤11への取り付けの際には、テーパーを有するマンドレル12の先端部分がセンタポンチの面取り部10にフィットすると共に、マンドレル12の先端部分を、センタポンチ孔8a、8bで与えられる押出ビレット1の中心と一致させることにより、押出ビレット1が旋盤に確実に保持できるようにされる。
【0028】
したがって、面取り部テーパー角αはマンドレル12のテーパー角と一致するようにされ、かつセンタポンチ孔全長Lおよび孔部全長lは、マンドレル12がセンタポンチ孔8aおよび8bに完全に嵌め込まれたときに、マンドレル12の先端が孔部9の先端9sに到達しないようにされる。
【0029】
また、孔部外径dおよび面取り部外径Dの寸法は、押出ビレット1の重量を考慮し、面取り部10とマンドレル12との剛性を損なわないように決定される。本実施形態では、孔部外径dは3mm以上6mm以下の範囲とされることが好ましい。
【0030】
孔部先端角βは、センタポンチ孔8aおよび8bを作製する掘削工具の先端角にあわせて任意に変更できるようにされる。すなわち、マンドレル12がセンタポンチ孔8aおよび8bに完全に挿入されたときに、マンドレル12の先端が孔部9の先端9sに到達しないようにされる限り、センタポンチ孔8aおよび8bを作製する掘削工具の先端形状は任意に変更できる。
【0031】
このように、センタポンチ孔8aおよび8bを基準固定中心として、押出ビレット1を旋盤11に確実に取り付けることができるため、その外周を容易に仕上げ加工できる。
【0032】
また、本実施形態の方法により作製される押出ビレット1から、押出加工、断面減少加工、熱処理を行い作製される超電導線材は、従来の押出ビレット21から作製される超電導線材と同等の品質を達成できる。
【0033】
次に、本発明の他の実施形態について図3に説明する。
【0034】
図3(a)に示すように、無酸素銅製のチューブ2はその内部に、Cu単芯線3と超電導材単芯線4とからなる超電導材料5が充填される。
【0035】
この銅チューブ2の両端に配される前蓋15および後蓋16の中心には、予め、センタポンチ孔8aおよび8bとが設けられる。さらに前蓋15もしくは後蓋16の少なくとも一方に、メネジ孔17aおよび17bが設けられる。
【0036】
このメネジ孔17aおよび17bを有する前蓋15および後蓋16は、図示しないオネジボルトなどを用いて吊り下げるようにされる。本実施形態では、両蓋がオネジボルトなどを用いて固定されるときの支持バランスとを考慮して、それぞれの蓋の中心を軸とするピッチ円上に、等間隔に設けられる。
【0037】
これらメネジ孔17aおよび17bと、センタポンチ孔8aおよび8bとを有する両蓋により、内部に超電導材料5を充填した銅チューブ2の両端を閉じ、溶接によって銅チューブ2を密封することで、押出ビレット14の構造が形成される。
【0038】
溶接密封された押出ビレット14は旋盤11などに取り付けられ、その外周を仕上げ加工される。さらに本実施形態の押出ビレット14においては、旋盤11への取り付け作業の際に、前蓋15および後蓋16に設けられたメネジ孔17aおよび17bを用いて、図示しないオネジボルトなどにより吊り下げ移動するようにされる。
【0039】
したがってメネジ孔17aおよび17bの形状および寸法は、押出ビレット14の総重量と、固定に使用する図示しないオネジボルトなどの強度バランスから適宜決定するようにされる。本実施形態においては、前蓋15に4箇所のメネジ孔17aが、後蓋16に2箇所のメネジ孔17bが設けられ、その寸法には汎用的なネジピッチを適用し、M12以上M16以下の範囲にされるのが合理的であり、好ましい。
【0040】
本実施形態の押出ビレット14の構造においては、センタポンチ孔8aおよび8bの面取り部10に、マンドレル12が完全に嵌め込まれることで、センタポンチ孔8aおよび8bを基準固定中心として押出ビレット14が旋盤11に容易に保持され、その外周を容易に仕上げ加工できる。
【0041】
さらに押出ビレット14を旋盤11に取り付ける際には、メネジ孔17aおよび17bと、そのメネジ孔に挿入するオネジボルトなどを用いて、押出ビレット14を容易に吊り下げ移動できるため、押出ビレット製造の作業性を著しく改善できる。
【0042】
本発明の超電導線材の押出ビレットの製造方法は、以上の実施形態に限られるものではなく、例えば、銀あるいはブロンズ製のチューブ内に超電導材料を充填する押出ビレットの製造方法に適用されてもよい。
【0043】
また、押出ビレットの重量にあわせて、チューブ2両端の蓋に設けられるセンタポンチ孔8aおよび8bと、メネジ孔17aおよび17bの形状とが適宜変更されてもよく、例えばより重量が大きい押出ビレットを製造する際には、孔部外径dを6mm以上とし、メネジ孔17aおよび17bの数を4箇所以上に増やすなどしてもよい。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0045】
[実施例1]
図1で説明したように、無酸素銅製の銅チューブ(外径170mm、内径156mm、長さ1000mm)に、Cu単芯線とCu/NbTi単芯線からなる超電導材料を充填した。
【0046】
Cu単芯線はその形状が一辺4.5mmの6角形断面からなり、このCu単芯線を銅チューブ中央部に91本挿入した。また、Cu/NbTi単芯線はCu単芯線と断面寸法を同じくし、Cu単芯線の周囲に222本挿入した。
【0047】
更に銅チューブ内の充填密度を高めるために、銅チューブと、Cu単芯線と、Cu/NbTi単芯線との隙間に無酸素銅の細線を充填した。
【0048】
この銅チューブの両端に配されるそれぞれの蓋の中心に予めセンタポンチ孔を設けた。
【0049】
センタポンチ孔の形状は、孔部外径3mm、センタポンチ孔全長12mm、孔部先端角60°、面取り部テーパー角60°、孔部全長約5mmとなるようにした。ここではセンタポンチ孔の加工に、刃径3mmを有するセンタードリルJISA型を使用した。
【0050】
このセンタポンチ孔を有する前蓋および後蓋で銅チューブ両端を閉じ、溶接密封して押出ビレットとなった。このビレットの総重量は210kg、前蓋が8kg、後蓋が8kgであった。
【0051】
次に、図2で説明したように、旋盤に備えられたマンドレルをセンタポンチ孔に挿入し、押出ビレットをチャックで旋盤に取り付けて、センタポンチ孔を基準固定中心として押出ビレットの仕上げ加工処理および寸法検査を行った。
【0052】
センタポンチ孔を有する押出ビレットを使用した場合、従来の押出ビレットと比較して、押出ビレットの組立から寸法検査を完了するまでの作業時間を約30%短縮できることを確認した。
【0053】
さらに、寸法検査した押出ビレットを押出加工し、断面減少加工と熱処理とを繰り返して作製された超電導線材は、従来の押出ビレットの構造から作製される場合と同等の品質を有することを確認した。
【0054】
[実施例2]
図3で説明したように、無酸素銅製の銅チューブ(外径200mm、内径156mm、長さ800mm)に、Cu単芯線とCu/NbTi単芯線からなる超電導材料5を充填した。
【0055】
Cu単芯線はその形状が一辺4.5mmの6角形断面からなり、このCu単芯線を銅チューブ中央部に91本挿入した。また、Cu/NbTi単芯線はCu単芯線と断面寸法を同じくし、Cu単芯線の周囲に222本挿入した。
【0056】
更に銅チューブ内の充填密度を高めるために、銅チューブと、Cu単芯線と、Cu/NbTi単芯線との隙間に無酸素銅の細線を充填した。
【0057】
この銅チューブの両端に配されるそれぞれの蓋の中心に予めセンタポンチ孔とメネジ孔とを設けた。
【0058】
センタポンチ孔の形状は、孔部外径5mm、センタポンチ孔全長12mm、孔部先端角60°、面取り部テーパー角60°、孔部全長約5mmとなるようにした。ここではセンタポンチ孔の加工に、刃径5mmを有するセンタードリルJISA型を使用した。
【0059】
メネジ孔の寸法はM12および深さ18mmであり、図3に示すように、前蓋にはその中心を軸とする48mmのピッチ円上に等間隔で4箇所、後蓋にはその中心を軸とする48mmのピッチ円上に等間隔で2箇所設けた。
【0060】
このセンタポンチ孔とメネジ孔とを有する前蓋および後蓋で銅チューブ両端を閉じ、溶接密封して押出ビレットとなった。このビレットの総重量は240kg、前蓋が16kg、後蓋が10kgであった。
【0061】
次に、図2で説明したように、旋盤に備えられたマンドレルをセンタポンチ孔に挿入し、押出ビレットをチャックで旋盤に取り付けて、センタポンチ孔を基準固定中心として押出ビレットの仕上げ加工処理および寸法検査を行った。この旋盤への取り付け作業の際には、メネジ孔にオネジボルトを挿入し、押出ビレットを固定することで、吊り下げ移動した。センタポンチ孔を用いて回転させる場合、センタポンチ孔があることにより、センタポンチ孔で規定されるビレットの中心がぶれることなく加工できる。
【0062】
センタポンチ孔とメネジ孔とを有する押出ビレットを使用した場合、従来の押出ビレットと比較して、押出ビレットの組立から寸法検査を完了するまでの作業時間を約50%短縮できることを確認した。
【0063】
さらに、寸法検査した押出ビレットを押出加工し、断面減少加工と熱処理とを繰り返して作製された超電導線材は、従来の押出ビレットの構造から作製される場合と同等の品質を有することを確認した。
【0064】
[実施例3]
図3で説明したように、無酸素銅製の銅チューブ(外径280mm、内径211mm、長さ750mm)に、Cu単芯線とCu/NbTi単芯線からなる超電導材料を充填した。
【0065】
Cu単芯線はその形状が一辺6.1mmの6角形断面からなり、このCu単芯線を銅チューブ中央部に91本挿入した。また、Cu/NbTi単芯線はCu単芯線と断面寸法を同じくし、Cu単芯線の周囲に222本挿入した。
【0066】
更に銅チューブ内の充填密度を高めるために、銅チューブと、Cu単芯線と、Cu/NbTi単芯線との隙間に無酸素銅の細線を充填した。
【0067】
この銅チューブの両端に配されるそれぞれの蓋の中心に予めセンタポンチ孔とメネジ孔とを設けた。
【0068】
センタポンチ孔の形状は、孔部外径6mm、センタポンチ孔全長14mm、孔部先端角60°、面取り部テーパー角60°、孔部全長約5mmとなるようにした。ここではセンタポンチ孔の加工に、刃径6mmを有するセンタードリルJISA型を使用した。
【0069】
メネジ孔の寸法はM16および深さ24mmであり、図3に示すように、前蓋にはその中心を軸とする60mmのピッチ円上に等間隔で4箇所、後蓋にはその中心を軸とする60mmのピッチ円上に等間隔で2箇所設けた。
【0070】
このセンタポンチ孔とメネジ孔とを有する前蓋および後蓋で銅チューブ2両端を閉じ、溶接密封して押出ビレットとなった。このビレットの総重量は420kg、前蓋が26kg、後蓋が20kgであった。
【0071】
次に、図2で説明したように、旋盤に備えられたマンドレルをセンタポンチ孔に挿入し、押出ビレットをチャックで旋盤に取り付けて、センタポンチ孔を基準固定中心として押出ビレットの仕上げ加工処理および寸法検査を行った。この旋盤への取り付け作業の際には、メネジ孔にオネジボルトを挿入し、押出ビレットを固定することで、吊り下げ移動した。センタポンチ孔を用いて回転させる場合、センタポンチ孔があることにより、センタポンチで規定されるビレットの中心がぶれることなく加工できる。
【0072】
センタポンチ孔とメネジ孔とを有する押出ビレットを使用した場合、従来の押出ビレットと比較して、押出ビレットの組立から寸法検査を完了するまでの作業時間を約50%短縮できることを確認した。
【0073】
さらに、寸法検査した押出ビレットを押出加工し、断面減少加工と熱処理とを繰り返して作製された超電導線材は、従来の押出ビレットの構造から作製される場合と同等の品質を有することを確認した。
【符号の説明】
【0074】
1 押出ビレット
2 銅チューブ
5 超電導材料
6 前蓋
7 後蓋
8a、b センタポンチ孔
9 孔部
10 面取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導材料を充填した銅チューブ両端を銅製の蓋で密封して形成され、押出機内に挿入して押出加工するための超電導線材の押出ビレットの製造方法において、前記銅チューブ両端の蓋の中心に、旋盤に取り付けるためのセンタポンチ孔を設けたことを特徴とする超電導線材の押出ビレットの製造方法。
【請求項2】
前記センタポンチ孔の形状が、先端先細の孔部と、その孔の後端を拡径させた面取り部とからなり、前記孔部の外径が3mm以上6mm以下の範囲にされる請求項1に記載の超電導線材の押出ビレットの製造方法。
【請求項3】
前記銅チューブ両端の蓋の少なくとも一方にメネジ孔が設られる請求項1または2に記載の超電導線材の押出ビレットの製造方法。
【請求項4】
前記押出ビレットを旋盤に取り付け、その押出ビレット外周が仕上げ加工される請求項1〜3いずれかに記載の超電導線材の押出ビレットの製造方法。
【請求項5】
超電導材料を充填した銅チューブ両端を銅製の蓋で密封して形成され、押出機内に挿入して押出加工するための超電導線材の押出ビレットにおいて、前記銅チューブ両端の蓋の中心に、旋盤に取り付けるためのセンタポンチ孔を設けたことを特徴とする超電導線材の押出ビレット。
【請求項6】
請求項5に記載の超電導線材の押出ビレットを用い、その押出ビレットを押出加工して超電導線材を製造することを特徴とする超電導線材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−251297(P2011−251297A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125081(P2010−125081)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】