説明

超電導電流リードとその製造方法

【課題】電流リード低温端への熱侵入量増加を抑制し、ばらつきの少ない安定した特性が得られるようにし、かつ作業性の向上を図った、高温超電導導体と支持部材との接続構成を備えた超電導電流リードとその製造方法を提供する。
【解決手段】極低温容器内に設置された超電導装置に対して、室温環境下の電源から電力を供給し、低温側の少なくとも一部に高温超電導線材を用いた高温超電導導体部を備えた超電導電流リードにおいて、高温超電導導体部は、低熱伝導性金属材料からなる支持部材3と、この支持部材3上に電気的に並列に分散配置された複数個の高温超電導導体2とからなり、支持部材3と高温超電導導体2とは、導電性樹脂材6により接着したものとする。又、高温超電導導体に電極をはんだ接合する際には、高温超電導導体と前支持部材との間の接着部を前記導電性樹脂の加熱硬化温度より低い温度に冷却しながらはんだ付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超電導エネルギー貯蔵装置、超電導限流器、超電導ケーブル、超電導発電機、超電導変圧器などの超電導装置において、室温にある電源から極低温に冷却された超電導装置へ電力を供給する超電導電流リードとその製造方法に関する。特に、その導体の一部に高温超電導線材を用いた超電導電流リード(以下、単に電流リードともいう。)とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導エネルギー貯蔵装置、超電導限流器、超電導ケーブル、超電導発電機、超電導変圧器などの超電導装置は、従来の常電導装置と比べ、小型、高効率などの特徴があり、実用化への期待が高まっている。
【0003】
電流リードは、極低温下の超電導装置に対して、室温にある電源から電力を供給する役割があり、超電導装置には不可欠なものである。電流リードは、超電導装置や周囲設備との位置関係による寸法制約などから0.5m〜1.5mの長さで使われることが多い。長手方向の電源側は室温状態にあり、極低温側は、超電導装置の運転環境と電流リードの冷却方法により異なるが、概ね4.2K〜80Kである。従って、電流リードは長手方向に温度分布を持ち、電流リードの室温端から低温端に向けて熱が侵入する。
【0004】
電流リードの材料としては、銅などの良導電性材料が用いられるが、電気伝導率が大きいと共に熱伝導率も大きいので、電流リードの低温端への熱侵入量が大きくなる。電流リードの熱侵入量が大きいと、極低温における熱負荷が増え、運転効率を低下させたり、侵入熱が電流リードと超電導装置の接続部に伝わることで装置の温度が上昇し、超電導導体の臨界電流が低下する等の悪影響を及ぼす恐れがある。電流リードの低温端熱侵入量の低減対策として、電流リードの低温側の電流経路に、酸化物超電導材料からなる高温超電導線材を用いたものが開発されている(特許文献1〜3参照)。
【0005】
高温超電導線材は、電流密度が銅の100倍近くあり、さらに、導体が酸化物(一種のセラミックス)であるので、熱伝導率が低く、熱侵入量抑制に効果がある。高温超電導電流リードの冷却方式としては、大きく分けてガス冷却方式と伝導冷却方式がある。ガス冷却方式の場合、電流リードの導体を包むように(もしくは導体の内方に)冷媒配管が配設され、配管内をヘリウムガス等の冷媒ガスを流すことで導体を冷却する。一方、伝導冷却方式の場合には、真空シールドなどで周囲と断熱された極低温容器内に設けた超電導装置と外部に設けた電源とを接続する電流リードに対して、極低温容器内で冷凍機や冷媒配管を熱的に接触させて、冷凍機や冷媒ガスで電流リードの導体を冷却する。
【0006】
ところで、前記特許文献1〜3は、いずれも、電気絶縁性材料(例えば、FRP)や低熱伝導性金属材料(例えば、ステンレス鋼やチタン合金等)からなる中空円筒状の支持部材の外周面上に、複数個の酸化物超電導部材を配置し、支持部材の中空部に冷却用のガスを通流するガス冷却方式の電流リードを開示している。そして、特許文献1は、前記円筒状支持部材と複数個の酸化物超電導部材とをエポキシ系接着剤により接着する構成を開示する。また、特許文献2は、その明細書の段落[0025]に記載されたように、複数個の酸化物超電導部材と円筒状支持部材とを、支持部材外周側からのバインドや拡散接合により密着させる構成を開示する。
【0007】
特許文献3は、その明細書の段落[0005]〜[0007]に記載されたように、上記特許文献1および2のような構成の問題点、即ち、「ミクロ的に見て支持部材の表面とユニット導体(酸化物超電導部材)の表面との間の接触が不完全であって接触面間の伝熱抵抗が大きく、このためにユニット導体で超電導体が常電導転移(クエンチ)した場合には、支持部材がユニット導体の熱を吸収する熱容量体として十分に寄与せず、このためにユニット導体のみが異常に温度上昇して最悪の場合にはユニット導体が焼損する危険性がある。」旨の問題点に鑑み、「酸化物超電導部材と円筒状支持部材とは、はんだ付で接合し、はんだ付け性を改善するために、予めステンレス鋼に、金、銀、銅、錫、亜鉛等の薄膜を蒸着またはスパッタリングで成膜した上で、はんだ付する方法」を開示する。
【0008】
次に、高温超電導電流リードの冷却方式として、前述の伝導冷却方式を採用した従来の構成例について述べる。
【0009】
図5は、伝導冷却方式を採用した高温超電導電流リードを備えた超電導装置の模式的構成の一例を示す。図5に示す超電導装置は、極低温に冷却された超電導装置21と、超電導装置21を収納する極低温容器22、室温にある電源24、電源24から超電導装置21へ電力を供給する電流リード23とからなる。
【0010】
図5の例では、高温超電導導体部27の高温側と低温側とを各々異なる冷凍機25に熱的に接続させた冷却導体28により、伝導冷却を行う電流リードを示している。高温超電導電流リードは、銅導体部26と高温超電導導体部27とからなる。銅導体部26は、室温側に設けられ、丸棒や撚り線の銅で構成されている。一方、高温超電導導体部27は、低温側に設けられ、高温超電導導体や支持部材等からなる。その構成例の詳細は図2に示す。
【0011】
図4は、図5におけるA−A線に沿った高温超電導導体部27の断面図である。図4に示す高温超電導導体部は、例えば、複数本の高温超電導線材1からなる高温超電導導体2が、例えばステンレス鋼からなる支持部材3に設けた溝4内に、はんだ5により固定された構成を備える。高温超電導線材1としては、ビスマス系やイットリウム系とよばれるセラミックスの超電導線材が用いられる。ビスマス系超電導線材は、セラミックスの粉末を母材となる銀パイプに充填して、伸線、圧延、焼結などのプロセスを得て製作される。イットリウム系超電導線材は、主として、ハステロイのテープに中間層を形成し、その上に超電導層を成膜して製作され、安定化のために、前記超電導層の上には銀または銀合金がコーティングされる。
【0012】
支持部材3としては、通常運転時に電流リードの熱侵入量をできるだけ抑える観点から、熱伝導率の低い材料が適している。一方、電流リードを冷やす冷媒の供給停止や冷凍機の異常停止、さらには、超電導線の劣化、断線などの異常が生じた場合に、支持部材3は電流のバイパス機能を備える必要があり、保護導体としての機能が求められる。そのため、支持部材3は、保護導体を兼ねることができ、比較的熱伝導率が小さい材料が好ましく、低熱伝導性金属材料であるステンレス鋼やチタン合金などが用いられる。また、支持部材3と高温超電導導体2とは、電気的に並列となるように構成される。
【0013】
高温超電導導体2と支持部材3との接続は、高温超電導導体表面の銀または銀合金の面を支持部材に向けて乗せ、150℃〜200℃に加熱して溶かしたはんだを流し込んで行う。この場合、ステンレスははんだ付け性が悪いので、前述の特許文献2に開示された方法のように、予めステンレスにはんだ付け性の良い銀や銅等の薄膜を蒸着またはスパッタリングで成膜する。また、はんだを流し込みやすいように、さらに高温超電導導体が作業中に移動しないように、支持部材3に高温超電導導体2をはめ込む溝4を設け、そこにはんだを流し込んで接続する。
【0014】
接続方法の一例としては、支持部材3の溝4内に高温超電導導体2とはんだ5とを挿入し、電流リードの両端に棒ヒータを密着させて電流リード全体を150℃〜200℃に加熱する。これにより、はんだ5が溶けて溝全体に広がるが、その際、高温超電導導体2が浮かないように押さえながらはんだを均一に広げる必要がある。その後、ヒータ電源を切って、電流リード全体が冷えるのを待つ。なお、ヒータが支持部材に密着可能なように、銅製の冶具を用いることもある。また、はんだ付は、前記支持部材3と高温超電導導体2との接合のほか、高温超電導導体部27の長手方向両端部に接続する導体部との接合においても実施される。
【特許文献1】特開平4−218215号公報
【特許文献2】特開平10−188691号公報
【特許文献3】特開2002−64014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図4に示したような、はんだ付構成の従来の電流リードにおいては、下記のような問題があった。
【0016】
はんだ付工程において、高温超電導導体が支持部材から外れないように、高温超電導導体が埋まる程度にはんだを溝に流しこむ必要があるが、流し込む量は作業者の手加減に依存するので、はんだの量が一定とならず、並列接続される電流リード間で電気的および熱伝導特性にばらつきが生ずる。特に、はんだの量が多すぎる場合には、その箇所からの熱侵入量が増えるため、予想外に大きな熱負荷が生じ冷却システム上問題となることがあった。
【0017】
また、電流リードの長手方向(例えば長さ0.5m〜1m)にわたって高温超電導導体ができるだけ浮かないように、押さえつけながらはんだを均一に広げる必要があるが、この場合、加熱しながらの作業であるので、作業性が悪く、製造上手間がかかるという問題もあった。
【0018】
さらに、電流リードの加熱、はんだの流し込み、その後の冷却に長時間を要し、電流リードのサイズが大きい場合には数時間を要する。また、前述のように支持部材としてステンレス鋼を用い、予めステンレス鋼にはんだ付け性の良い銀や銅等の薄膜を蒸着またはスパッタリングで成膜する場合、その処理にも作業と時間を要し、全体として、はんだ付けは作業性が悪く、製造コストが増大する問題があった。
【0019】
上記のように、高温超電導導体と支持部材との接合をはんだ付けとすることは好ましくないので異なる接合方法を採用することが望ましいが、実際の超電導電流リードにおいては、後に詳述するように、前記高温超電導導体は、はんだにより接合された少なくとも2つの電極を備える必要があり、超電導電流リードの製造方法としては、この点も考慮して、前記問題点を解消する必要がある。
【0020】
この発明は、上記のような点に鑑みてなされたもので、この発明の課題は、電流リード低温端への熱侵入量増加を抑制し、ばらつきの少ない安定した特性が得られるようにし、かつ作業性の向上を図った、高温超電導導体と支持部材との接続構成を備えた超電導電流リードとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述の課題を解決するため、この発明は、極低温容器内に設置された超電導装置に対して、室温環境下に設置された電源から電力を供給し、低温側の少なくとも一部に酸化物超電導材料からなる高温超電導線材を用いた高温超電導導体部を備えた超電導電流リードにおいて、前記高温超電導導体部は、低熱伝導性金属材料からなる支持部材と、この支持部材上に電気的に並列に分散配置された複数個の高温超電導導体とからなり、前記支持部材と高温超電導導体とは、導電性樹脂材により接着したものとする(請求項1の発明)。
【0022】
また、前記請求項1に記載の超電導電流リードにおいて、前記支持部材は板状部材からなり、前記高温超電導導体は、前記板状支持部材の一方の主面の長手方向に設けた複数の溝内にそれぞれ配置され、前記支持部材と高温超電導導体とは、前記溝の底面において導電性樹脂材により接着したものとする(請求項2の発明)。
【0023】
さらに、前記請求項1または2に記載の超電導電流リードにおいて、前記導電性樹脂材は、エポキシ樹脂に銀の粒子を導電性フィラーとして混入してなる導電性樹脂ペーストとしたものとする(請求項3の発明)。
【0024】
前記発明によれば、導電性樹脂材を高温超電導導体と支持部材との間に容易に塗布することが可能となり、特にエポキシ樹脂の場合、常温で塗布後、電気炉等に入れて100℃以下の熱で接着させることができるので、作業性の向上と作業時間の短縮化を図ることができる。また、ペースト状の導電性樹脂材は薄く延ばせるので、熱侵入量増加を抑制することができ、かつ特性の安定化を図ることができる。詳細は後述する。
【0025】
また、前記請求項1ないし3のいずれか1項に記載の超電導電流リードにおいて、前記高温超電導導体は、はんだにより接合された少なくとも2つの電極を備えたものとする(請求項4の発明)。さらに、前記請求項4に記載の超電導電流リードの製造方法としては、下記の工程を含むことを特徴とする(請求項5の発明)。
(a)前記高温超電導導体と前記支持部材との間に前記導電性樹脂材を塗布して加熱硬化させて接着する工程。
(b)前記高温超電導導体と前記支持部材との間の接着部を前記導電性樹脂材の加熱硬化温度より低い温度に冷却する工程。
(c)前記冷却中に、前記高温超電導導体と前記電極とをはんだにより接合する工程。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、電流リード低温端への熱侵入量増加を抑制し、特性の安定化を図り、かつ作業性の向上を図った、高温超電導導体と支持部材との接続構成を備えた超電導電流リードとその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図面に基づき、本発明の実施の形態について以下に述べる。
【0028】
図3は本発明の実施の形態を示す超電導電流リードの模式的構成を示す要部断面図であり、図4に対応する断面図である。なお、図4に示した部材と同一部材には同一番号を付して、詳細説明を省略する。図3において、図4に示したものと異なる点は、高温超電導導体2と支持部材3とを導電性樹脂材6によって接続した点である。
【0029】
高温超電導導体2は、通電仕様と、超電導線材1の特性から必要本数を決定する。複数本の場合、経験磁場を考慮して、横に並べたり、積層したりする。図3では、4枚積層したものを1セットの高温超電導導体2とし、3セット横並びした例を示す。高温超電導線材1としては、例えばBi2223系線材を使用する。この場合、線材単体では銀合金の母材に超電導フィラメントが囲まれている。積層する場合は、予め、複数の高温超電導線材をさらに、銀合金で包んでおり、いずれにしても表面は銀合金となっている。
【0030】
支持部材3は保護導体としての機能も必要となるため、ステンレス鋼など、万一のとき、電気を高温超電導導体から転流でき、強度のある材料が望ましい。形状は、図3に示すように板状でも、特許文献3に開示されたような円管状でもよい。円管状の場合、円管の表面に高温超電導導体を並べる。また、支持部材3には、高温超電導導体2が収まる溝4を設けて、接続作業時に導体が動かないようにする方が作業性が良い。
【0031】
導電性樹脂材6は、平均直径10μm程度の銀などの粒子(フィラー)を、エポキシ樹脂に混入させたもので、常温ではペースト状になっている。電気炉などで被接着物ごと一定条件で加熱させることで硬化して接着する。導電性樹脂材6としては、市販のものが使用できる。上記導電性ペースト以外に、用途に応じて、上記とは異なる樹脂や導電性フィラーを用いた種々のものが市販されており、熱伝導率、機械強度ともはんだ相当の性能を有するものがある。しかしながら、電気的特性、熱的特性および作業性の観点から、上記の銀の粒子とエポキシ樹脂とを組み合わせたものが好ましい。
【0032】
次に、上記電流リードの制作方法について述べる。支持部材3の溝4の底部に、上記の導電性樹脂材を一定量だけ塗布し、長手方向にムラなく延ばす。場合によっては、高温超電導導体2側にも塗布する。高温超電導導体2を支持部材の溝4にはめ込み、高温超電導導体2が浮かないよう軽く加圧する。冶具を用いて均一な圧力で押さえるのが望ましい。
【0033】
次に、導電性樹脂材を硬化させるため、電気炉で加熱する。エポキシ樹脂のガラス転位温度は低く、50℃〜60℃付近であるので、それ以上の温度であればよく、温度を高くすることで、加熱時間は短縮できる。例えば、100℃で1時間、80℃で3時間くらいの目安で加熱する。
【0034】
以上の実施形態によれば、超電導電流リードの高温超電導導体と支持部材との接続の作業性が向上し、導電性樹脂材の塗布量を調整することで、ばらつきが少なく安定した特性を有し、電流リードの熱侵入量増加を抑えた超電導電流リードが提供できる。
【0035】
次に、高温超電導導体が、はんだにより接合された2つの電極を備える超電導電流リードの構成とその製造方法について述べる。
【0036】
図1は2つの電極を備える超電導電流リードの構成を模式的に示した図であり、図2は図1の超電導電流リードの製造方法の手順を概念的に説明する模式図である。図1によれば、3本の高温超電導導体2は、図1におけるA−A断面を模式的に示した前記図3に示すように、それぞれ複数の超電導線材1から構成され、2つの電極11と支持部材3の上に配置され、高温超電導導体2と支持部材3との間は、図1には図示しない導電性樹脂で接続され、高温超電導導体2と電極11との間は、図示しない半田で接続される。なお、使用条件によっては、高温超電導導体はひとつの超電導線材から構成されることもある。
【0037】
このような超電導電流リードの製造方法の手順を示したのが図2(a),(b)である。まず、図2(a)に示すように、高温超電導導体2と支持部材3との間に導電性樹脂材6を塗布し、この状態で加熱硬化させる。硬化温度で一定時間保持したときに、高温超電導導体2と支持部材3とは導電性樹樹脂により接着される。この状態から室温に戻すと熱収縮率の差により高温超電導導体2に応力が加わる。従って、高温超電導導体2と支持部材3の熱収縮率は極力合わせることが重要になるが、一致させることは非常に困難である。一方、電極11と高温超電導導体2はこの段階では接続されていないので、加熱硬化時の熱収縮には無関係である。
【0038】
次の製造手順を示したのが図2(b)である。電極11と高温超電導導体2の間に半田12を溶かし込む。この際に、支持部材3と高温超電導導体2との導電性樹脂による接合部の少なくとも電極近傍付近の冷却部13を加熱硬化の温度以下に冷却することにより、導電性樹脂材6は硬化した状態を保持できる。冷却は、例えば、前記冷却部13に、水などの冷媒で冷却された図示しない冷却体を当接することにより、冷却部13を所望の温度以下とすることができる。
【0039】
上記により、高温超電導導体2と、支持部材3及び電極11を、融点の異なる導電性樹脂材6及び半田11により接続でき、本発明に係る超電導電流リードを、容易かつ安全に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の2つの電極を備える超電導電流リードの実施の形態に係る模式的構成図。
【図2】図1の超電導電流リードの製造方法の手順を概念的に説明する模式図。
【図3】本発明の実施の形態に係る超電導電流リードの模式的構成を示す要部断面図。
【図4】従来の超電導電流リードの構成例を示す要部断面図。
【図5】伝導冷却方式を採用した高温超電導電流リードを備えた超電導装置の模式的構成の一例を示す図。
【符号の説明】
【0041】
1:高温超電導線材、2:高温超電導導体、3:支持部材、4:溝、6:導電性樹脂材、11:電極、12:半田、13:冷却部、21:超電導装置、22:極低温容器、23:電流リード、24:電源、25:冷凍機、26:銅導体部、27:高温超電導導体部、28:冷却導体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温容器内に設置された超電導装置に対して、室温環境下に設置された電源から電力を供給し、低温側の少なくとも一部に酸化物超電導材料からなる高温超電導線材を用いた高温超電導導体部を備えた超電導電流リードにおいて、
前記高温超電導導体部は、低熱伝導性金属材料からなる支持部材と、この支持部材上に電気的に並列に分散配置された複数個の高温超電導導体とからなり、前記支持部材と高温超電導導体とは、導電性樹脂材により接着したことを特徴とする超電導電流リード。
【請求項2】
請求項1に記載の超電導電流リードにおいて、前記支持部材は板状部材からなり、前記高温超電導導体は、前記板状支持部材の一方の主面の長手方向に設けた複数の溝内にそれぞれ配置され、前記支持部材と高温超電導導体とは、前記溝の底面において導電性樹脂材により接着したことを特徴とする超電導電流リード。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超電導電流リードにおいて、前記導電性樹脂材は、エポキシ樹脂に銀の粒子を導電性フィラーとして混入してなる導電性樹脂ペーストとしたことを特徴とする超電導電流リード。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の超電導電流リードにおいて、前記高温超電導導体は、はんだにより接合された少なくとも2つの電極を備えたことを特徴とする超電導電流リード。
【請求項5】
請求項4に記載の超電導電流リードの製造方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする超電導電流リードの製造方法。
(a)前記高温超電導導体と前記支持部材との間に前記導電性樹脂材を塗布して加熱硬化させて接着する工程。
(b)前記高温超電導導体と前記支持部材との間の接着部を前記導電性樹脂材の加熱硬化温度より低い温度に冷却する工程。
(c)前記冷却中に、前記高温超電導導体と前記電極とをはんだにより接合する工程。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−211899(P2009−211899A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52864(P2008−52864)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度〜平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、超伝導電力ネットワーク制御開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】