説明

超音波センサ装置の組立方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガス絶縁電力機器の予測保全等に用いる超音波センサ装置の組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、導体等の電力機器をタンク内に収納し、このタンク内に絶縁ガスを封入したガス絶縁電力機器に、予測保全用センサ装置を取付けてタンク内部における部分放電を検出することが行われている。この予測保全用センサ装置は、電力機器の信頼性がセンサの存在により低下することのないよう、タンクの外部に配置していた。
【0003】近時、タンク内部で発生する部分放電等の故障前の十分な情報をノイズと区別して検知するためにタンク内部にセンサを配置し、そのリード線をタンク外部に引き出して測定器と接続する構成のものが提案されている。このように、超音波センサをタンク内部に設置して、ガスコロナ放電、金属パーティクルの運動、または絶縁物表面への付着、もしくは導体の接触不良を検知するための超音波センサ装置には、図6に例示するものが提案されている。これは、図6の断面図に示すように、円筒状の金属ケース21の内部にポリウレタン・フォーム製の厚肉円筒状の吸音材22を配置する。そして、吸音材22の中空部内に超音波センサ本体23を配置する。前記金属ケース21の前面開口部にはシールド用金網24を配置し、金属ケース21の後端部25を取付用フランジ26に固着する。取付用フランジ26には、外部との接続用端子部27を設ける。
【0004】上述のように構成した超音波センサ装置28は、電力機器のハウジング29に設けた開口部30に金属ケース21側を入れ、取付用フランジ26をハウジング29に螺着して設置する。なお、ハウジング29と取付用フランジ26との間の気密を守るため、パッキン部材31を設置する。なお、超音波センサ本体23のリード端子32と接続用端子部27の端子33はリード線34でされている。
【0005】このようにして超音波センサ本体23を、金属ケース21の内部に入れ、金属ケース21とシールド用金網24により、電磁作用、静電作用によるノイズの混入を防ぐ。これとともに、金属ケース21から伝搬してくる超音波振動のノイズを吸音材22により吸収して防ぐことにより、正確に検出することを可能とするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来の超音波センサ装置では、超音波センサ本体23を設置した金属ケース21が取付用フランジ26から外れて、ハウジング29の内部に落ちないように強固に固定しなければならない。このため取付用フランジ26に対し、金属ケース21の後端部25を溶接して結合していた。しかし、これによると、溶接時の熱によってウレタンフォーム製の吸音材22が溶け出してしまい、吸音材としての役をなさなくなるという問題があった。そこで、取付用フランジ26に対し金属ケース21の後端部25を数箇所に亘って点溶接して固着することが試みられるが、これによると、溶接時の熱のために前記吸音材22に損傷を与えたり、接合部の強度が不十分であったりするという問題があった。
【0007】本発明は以上のような点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、金属ケース内に設置した吸音材に熱による損傷を与えないようにし、しかも金属ケースとこれを支えるフランジとの間を強固に固着できるようにした超音波センサ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の超音波センサ装置においては、弾性材を円筒状に形成した第1の吸音材の中空穴内部に挿入して接着された超音波センサ本体のリード線を、取付用フランジの接続用端子部の端子に接続し、次にこのリード線の周囲の前記第1の吸音材と前記取付用フランジの間に、所定の長さの円筒状の第2の吸音材を第1の吸音材と並べ、ついで前記第1および第2の吸音材の外周に多孔質のテフロンパイプを巻付け、さらにこの多孔質のテフロンパイプの外周に、前面開口部にシールド用金網を取付けた円筒状の金属ケースを被せ、この金属ケースの後端部を前記フランジに部分溶接することにより装置を組立てるようにしたことを特徴とする。
【0009】
【作用】このように構成することにより、金属ケースの溶接部と超音波センサ本体との距離を大きくして、溶接時の熱により超音波センサ本体部分の吸音材に損傷を与えないようにし、また、金属ケースとこれを支えるフランジとの間を強固に固着することができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の超音波センサ装置の組立方法の一実施例を図1ないし図5によって説明する。
【0011】まず、図1に示すように、円筒状の金属ケース1の前面開口部2は内側に折り曲げられており、シールド用金網3をロー付けしておく。なお、この金属ケース1の後端部4は開放されている。
【0012】次に、図2に示すように、弾性材を円筒状に形成した第1の吸音材5の中空穴部6の内部に挿入して接着された超音波センサ本体7のリード線8を取付用フランジ9の接続用端子部10の端子11に接続する。
【0013】次に、図3に示すように、前記リード線8の周囲の前記第1の吸音材5と前記取付用フランジ9との間に所定の長さで例えば円周方向に1箇所分割した第2の吸音材12を円筒状に形成して第1の吸音材5と並べ、ついで前記第1および第2の吸音材5と12の外周に多孔質(例えばテフロン)のパイプ13を巻付ける。この多孔質のパイプ13の一端は取付用フランジ9のOリング溝14の内側のリング状溝15に挿入する。
【0014】さらに、図4に示すように、この多孔質のパイプ13の外周に、図1に示した金属ケース1を被せ、この金属ケース1の後端部4を前記取付用フランジ9のOリング溝14の内側に数箇所点溶接等による部分溶接をする。
【0015】最後に、図5に示すように、この取付用フランジ9を、前記超音波センサ本体7を収納した金属ケース1がハウジング16に設けた開口部17を通してハウジング16の内側に配置されるようにOリング18を介してボルト19により前記ハウジング16に気密に取付ける。
【0016】以上のように、本考案は、円筒状に形成した第1の吸音材の中空穴内部に挿入して接着された超音波センサ本体のリード線を取付用フランジの接続用端子部の端子に接続し、次にこのリード線の周囲の前記第1の吸音材と前記取付用フランジの間に所定の長さの第2の吸音材を円筒状に形成し、ついで前記第1および第2の吸音材の外周に多孔質のパイプを巻付け、さらにこの多孔質のパイプ外周に、前面開口部にシールド用金網を取付けた円筒状の金属ケースを被せ、この金属ケースの後端部を前記取付用フランジに接続して超音波センサ装置を形成したものである。
【0017】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、(1)超音波センサとフランジが一体構造にできるため、超音波センサ装置の取付けが容易にできる。
【0018】(2)ガス絶縁電力機器タンクの外側から取付けられる構造なので、万一の破損時にも交換することが容易に行える。
【0019】(3)金属ケースとフランジを点溶接する時、多孔質のテフロンパイプにより超音波センサ本体部分と溶接部分から離れるので、吸音材が熱による変形をしない。
【0020】(4)多孔質パイプを取付けた状態で、超音波センサの傾きを調整できるので、センサの傾き具合のバラツキが少なくなり、超音波の検出感度が安定する。
【0021】などの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属ケースの一実施例の要部断面図。
【図2】本発明の一実施例の組立工程説明図。
【図3】本発明の一実施例の組立工程説明図。
【図4】本発明の一実施例の組立工程説明図。
【図5】本発明の一実施例の組立工程説明図。
【図6】従来の超音波センサ装置を示す要部断面図。
【符号の説明】
1…金属ケース
2…金属ケースの前面開口部
3…シールド用金網
4…金属ケースの後端部
5…吸音材
6…吸音材の中空穴部
7…超音波センサ本体
8…リード線
9…取付用フランジ
10…接続用端子部
11…端子
12…吸音材
13…パイプ
14…Oリング溝
15…リング状溝
16…ハウジング
17…ハウジングの開口部
18…Oリング
19…ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 円筒状に形成した第1の吸音材の中空穴内部に挿入して接着された超音波センサ本体のリード線を、取付用フランジの接続用端子部の端子に接続し、次にこのリード線の周囲の前記第1の吸音材と前記取付用フランジの間に、所定の長さの円筒状の第2の吸音材を第1の吸音材と並べ、ついで前記第1および第2の吸音材の外周に多孔質のパイプを巻付け、さらにこの多孔質のパイプ外周に、前面開口部にシールド用金網を取付けた円筒状の金属ケースを被せ、この金属ケースの後端部を前記取付用フランジに部分溶接して形成したことを特徴とする超音波センサ装置の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【特許番号】第2979782号
【登録日】平成11年(1999)9月17日
【発行日】平成11年(1999)11月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−268038
【出願日】平成3年(1991)10月17日
【公開番号】特開平5−107235
【公開日】平成5年(1993)4月27日
【審査請求日】平成9年(1997)12月19日
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【参考文献】
【文献】特開 平3−251026(JP,A)
【文献】実開 平2−66098(JP,U)