説明

超音波センサ

【課題】 製造時及び使用時にリード線のハンダ接合部位から圧電セラミックス素子に素子割れが生じ難く、信頼性の高い超音波センサを提供すること。
【解決手段】 超音波センサ100は、圧電セラミックス本体111の前面111a上に形成された前面電極層113を有する圧電セラミックス素子110と、前面電極層113に電気的に接続された第1リード線130と、前面111aのうち振動変位が最大となる振動最大部位111ag上を避けて、前面電極層113に接着された第1金属箔120とを備える。第1リード線130は、第1金属箔120にハンダ131により接合され、この第1金属箔120を介して前面電極層113に電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動する振動面を含む圧電セラミックス素子を備え、超音波を放射または受波、或いは、放射及び受波する超音波センサに関し、特に、振動面上に電極層が形成され、この電極層にリード線が電気的に接続された超音波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波振動する振動面を含む圧電セラミックス素子を備え、超音波を放射或いは受波する超音波センサが知られている。このような超音波センサには、振動面上に電極層が形成され、この電極層にリード線が電気的に接続されたものがある。具体的には、このリード線は、電極層に直接、ハンダ付けされることにより、電極層に電気的に接続されていた。
なお、このような超音波センサに関連する技術文献として、例えば特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−265308
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような超音波センサでは、リード線を圧電セラミックス素子の電極層にハンダ付けする際のヒートショックにより、圧電セラミックス素子に素子割れが生じるおそれがあった。また、ハンダ付けによる熱で、ハンダ付けした近傍において圧電セラミックス素子の分極がとれることがある(脱分極)。このため、超音波センサの使用時に電圧を印加したときに、その周囲との間で変位特性の違いが生じ、これに伴う応力により素子割れが生じることもある。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、製造時及び使用時にリード線のハンダ接合部位から圧電セラミックス素子に素子割れが生じ難く、信頼性の高い超音波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その解決手段は、超音波振動する振動面を含む圧電セラミックス本体、及び、この圧電セラミックス本体の前記振動面上に形成された電極層を有する圧電セラミックス素子と、前記圧電セラミックス素子の前記電極層に電気的に接続されたリード線と、を備える超音波センサであって、前記振動面のうち振動変位が最大となる振動最大部位上を避けて、前記電極層に接着された金属箔を備え、前記リード線は、前記金属箔にハンダ付けされ、この金属箔を介して前記電極層に電気的に接続されてなる超音波センサである。
【0007】
この超音波センサでは、リード線は、圧電セラミックス素子の電極層に直接ハンダ付けされるのではなく、電極層に接着された金属箔にハンダ付けされ、この金属箔を介して電極層に電気的に接続されている。このため、リード線をハンダ付けする際に、ヒートショックで圧電セラミックス素子に素子割れが生じることを防止できる。また、圧電セラミックス素子にハンダ付けの熱による脱分極も生じ難いので、超音波センサの使用時に、ハンダ接合部分を起点に圧電セラミックス素子に素子割れが生じることも防止でき、信頼性の高い超音波センサとすることができる。
しかも、金属箔を、振動面のうち振動変位が最大となる振動最大部位上を避けて、電極層に接着している。このため、金属箔の接着により圧電セラミックス素子に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、或いは、超音波の受波感度の低下を防止できる。
【0008】
なお、金属箔の厚みは、200μm以下とするのが好ましい。このように薄くすることで、金属箔の接着によって圧電セラミックス素子に生じる超音波振動が抑制されるのを防止できる。
また、超音波センサとしては、水中、油中などの液中で使用するものや、大気中など気中で使用するもの、固体に当接させてこれに伝わる超音波を利用するものが挙げられる。また、超音波センサには、超音波を媒体(液体、気体、固体など)に放射するものや、媒体から超音波を受波するもの、超音波の放射と受波の両方を行うものが含まれる。
【0009】
更に、上記の超音波センサであって、前記圧電セラミックス本体は、自身の中央部が前記振動最大部位となる円形の前記振動面を含む円板状をなし、前記金属箔は、前記振動面の前記中央部上を避けて、前記電極層に接着されてなる超音波センサとすると良い。
【0010】
この超音波センサでは、圧電セラミックス本体が、自身の中央部が振動最大部位となる円形の振動面を含む円板状をなしている。その一方、金属箔は、この振動面の中央部上を避けて、電極層に接着されているので、金属箔の接着が超音波振動に与える影響を少なくできる。
【0011】
更に、上記の超音波センサであって、前記金属箔は、円環状をなし、前記振動面の前記中央部を囲む配置とされてなる超音波センサとすると良い。
【0012】
この超音波センサでは、金属箔が、振動面の中央部を囲む円環状をなす。このため、周方向に形態が均等であるため、圧電セラミックス素子に生じる超音波振動も周方向に均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る水中超音波センサを示す断面図である。
【図2】実施形態1に係り、圧電セラミックス素子、金属箔及びリード線等を示す説明図である。
【図3】実施形態1に係り、圧電セラミックス素子、金属箔及びリード線等を分解して示す分解斜視図である。
【図4】実施形態1に係り、圧電セラミックス素子、金属箔及びリード線を前面電極層側(または裏面電極層側)から見た平面図である。
【図5】実施形態1に係り、圧電セラミックス素子等を周波数50kHzで駆動した場合の振動速度の分布を示すグラフである。
【図6】実施形態1に係り、圧電セラミックス素子等を周波数200kHzで駆動した場合の振動速度の分布を示すグラフである。
【図7】実施形態2に係り、圧電セラミックス素子、金属箔及びリード線を前面電極層側(または裏面電極層側)から見た平面図である。
【図8】実施形態2に係り、圧電セラミックス素子等を周波数50kHzで駆動した場合の振動速度の分布を示すグラフである。
【図9】実施形態2に係り、圧電セラミックス素子等を周波数200kHzで駆動した場合の振動速度の分布を示すグラフである。
【図10】実施形態3に係り、圧電セラミックス素子、金属箔及びリード線を前面電極層側(または裏面電極層側)から見た平面図である。
【図11】実施形態3に係り、圧電セラミックス素子等を周波数50kHzで駆動した場合の振動速度の分布を示すグラフである。
【図12】実施形態3に係り、圧電セラミックス素子等を周波数200kHzで駆動した場合の振動速度の分布を示すグラフである。
【図13】実施形態4に係り、圧電セラミックス素子、金属箔及びリード線を前面電極層側(または裏面電極層側)から見た平面図である。
【図14】実施形態4に係り、圧電セラミックス素子等を周波数50kHzで駆動した場合の振動速度の分布を示すグラフである。
【図15】実施形態4に係り、圧電セラミックス素子等を周波数200kHzで駆動した場合の振動速度の分布を示すグラフである。
【図16】実施形態5に係る水中超音波センサを示す断面図である。
【図17】実施形態5に係り、圧電セラミックス素子、金属箔及びリード線を裏面電極層側から見た平面図である。
【図18】実施形態5に係り、圧電セラミックス素子を前面電極層側から見た平面図である。
【図19】実施形態5に係り、圧電セラミックス素子を裏面電極層側から見た平面図である。
【図20】実施形態5に係り、圧電セラミックス素子を図18及び図19の矢印Fから見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態1の魚群探知装置に用いる水中超音波センサ100を示す。また、図2〜図4に、この水中超音波センサ(超音波センサ)100を構成する圧電セラミックス素子110、金属箔120,125及びリード線130,135等の形態を示す。
本実施形態1の水中超音波センサ100は、魚群探知装置に用いられ、水中に超音波を放射し、また、水中からの超音波を受波する。この水中超音波センサ100は、図1に示すように、圧電セラミックス素子110、2つの金属箔(第1金属箔120及び第2金属箔125)、2本のリード線(第1リード線130及び第2リード線135)、センサケース140、周囲絶縁体150、バック材160等から構成されている。
【0015】
このうち圧電セラミックス素子110は、図1〜図4に示すように、圧電セラミックス本体111と2つの電極層(前面電極層113及び裏面電極層115)とを有し、円板状をなす。その大きさは、直径43mm、厚み10mmである。
圧電セラミックス本体111は、超音波振動する円形の前面(振動面)111a(図1中、下側、図2及び図3中、上側)と、これに平行で、超音波振動する円形の裏面(振動面)111b(図1中、上側、図2及び図3中、下側)とを有する円板状をなす。この圧電セラミックス本体111は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とし、厚み方向(図1〜図3中、上下方向、図4中、紙面に直交する方向)に分極されている。
【0016】
そして、この圧電セラミックス本体111の前面111a上には、その全面に、Agからなる前面電極層(電極層)113が形成されている。また、圧電セラミックス本体111の裏面111b上にも、その全面に、Agからなる裏面電極層(電極層)115が形成されている。この圧電セラミックス素子110は、所定の駆動周波数(本実施形態では50kHzと200kHZの2つの周波数)で共振し、径方向(50kHz)或いは厚み方向(200kHZ)に伸縮(超音波振動)する。
【0017】
2つの金属箔120,125は、それぞれ円環状の黄銅からなる(図1〜図4参照)。その大きさは、それぞれ外径43mm、内径20mm、厚み10μmである。
一方の第1金属箔120は、圧電セラミックス素子110の前面電極層113に接着されている。具体的には、この第1金属箔120は、前面111aの中央部(振動最大部位)111ag上を避け、かつ、この中央部111agを取り囲む形態で、第1金属箔120の外周縁と前面電極層113の周縁とが互いに重なるようにして、前面電極層113に接着されている。第1金属箔120と前面電極層113とは、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤:図示しない)により接着されている。
【0018】
また、他方の第2金属箔125は、圧電セラミックス素子110の裏面電極層115に接着されている。具体的には、この第2金属箔125は、裏面111bの中央部(振動最大部位)111bg上を避け、かつ、この中央部111bgを取り囲む形態で、第2金属箔125の外周縁と裏面電極層115の周縁とが互いに重なるようにして、裏面電極層115に接着されている。この第2金属箔125と裏面電極層115も、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤:図示しない)により接着されている。
【0019】
2本のリード線130,135は、圧電セラミックス素子110に電気的に接続されている。一方の第1リード線130は、圧電セラミックス素子110の前面電極層113に電気的に接続されている。具体的には、この第1リード線130は、前面電極層113に直接ハンダ付けされることなく、第1金属箔120のうち、最も振動変位の小さい部位(本実施形態1では、第1金属箔120の周縁近傍)にハンダ131により接合されており、この第1金属箔120を介して前面電極層113に電気的に接続されている。
また、他方の第2リード線135は、圧電セラミックス素子110の裏面電極層115に電気的に接続されている。具体的には、この第2リード線135は、裏面電極層115に直接ハンダ付けされることなく、第2金属箔125のうち、最も振動変位の小さい部位(本実施形態1では、第2金属箔125の周縁近傍)にハンダ136により接合されており、この第2金属箔125を介して裏面電極層115に電気的に接続されている。
【0020】
センサケース140は、図1に示すように、圧電セラミックス素子110を収容する。このセンサケース140は、絶縁性のゴムからなり、底部141と側壁部143とを有する有底筒状をなす。そして、圧電セラミックス素子110は、直接及び第1金属箔120を介して、センサケース140の底部141に固定されている。即ち、圧電セラミックス素子110及び第1金属箔120とセンサケース140とは、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤:図示しない)により接着されている。
【0021】
かくして、圧電セラミックス素子110を共振させて、径方向(50kHz)或いは厚み方向(200kHZ)に伸縮(超音波振動)させると、センサケース140の底部141も厚み方向に超音波振動し、超音波USSを軸線AX方向の外部(図1中、下方)に向けて放射することができる。また、外部からの超音波USR(反射超音波など)を受波し、センサケース140の底部141を通じて圧電セラミックス素子110に伝え、超音波USRに応じた信号をリード線130,135を通じて出力することができる。
【0022】
周囲絶縁体150は、図1に示すように、圧電セラミックス素子110の周囲(径方向外側)で、かつ、センサケース140の側壁部143の径方向内側に配置されている。この周囲絶縁体150は、筒状で絶縁性のスポンジからなり、その径方向内側で圧電セラミックス素子110と密着している。
【0023】
バック材160は、図1に示すように、圧電セラミックス素子110の裏面電極層115側(図1中、上方)に配置されている。このバック材160は、円板状で絶縁性のスポンジからなる。バック材160は、圧電セラミックス素子110の裏面電極層115に接着された第2金属箔125に密着すると共に、周囲絶縁体150とも密着している。
周囲絶縁体150及びバック材160は、圧電セラミックス素子110の防水、絶縁、及び、不要振動や残響振動の吸収の役割を担っている。
【0024】
ここで、図5に、バック材160を取り除いた状態の水中超音波センサ100を、周波数50kHzで駆動した場合において、裏面111bの中心を通る1つの直線LA(図4参照)上に3mmピッチで並ぶ各測定点(NO.1〜NO.15)における振動速度、即ち、裏面111bの振動速度の径方向分布を示す。
このグラフから明らかなように、圧電セラミックス素子110を周波数50kHzで駆動した場合には、裏面111bの中心に位置する測定点NO.8で振動速度が最も大きくなり、最外側の測定点NO.1,NO.15にそれぞれ向かうにつれて振動速度が徐々に小さくなっている。このことから、圧電セラミックス素子110を周波数50kHzで駆動したときには、裏面111b(または前面111a)の中央部111bg(または中央部111ag)が、振動変位が最大の振動最大部位となり、周縁に近づくほど振動変位が小さくなる振動分布となっている。
【0025】
また、振動速度の大きさは、圧電セラミックス素子110に金属箔120,125を接着しないで、リード線130,135を直接、圧電セラミックス素子110にハンダ付けしたものと同等であった。金属箔120,125を、振動最大部位(中央部)111ag,111bg上を避けて、圧電セラミックス素子110に接着しているので、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されるのを防止できる。
【0026】
また、図6に、バック材160を取り除いた状態の水中超音波センサ100を、周波数200kHzで駆動した場合において、裏面111bの中心を通る1つの直線LA(図4参照)上に3mmピッチで並ぶ各測定点(NO.1〜NO.15)における振動速度、即ち、裏面111bの振動速度の径方向分布を示す。
このグラフから明らかなように、圧電セラミックス素子110を周波数200kHzで駆動した場合にも、裏面111bの中心に位置する測定点NO.8で振動速度が最も大きくなる。但し、この測定点NO.8から外側にそれぞれ向かうにつれて振動速度が徐々に小さくなるが、測定点NO.4,NO.12に小さなピークが現れる。更に、測定点NO.4,NO.12から外側にそれぞれ向かうにつれて振動速度が徐々に小さくなるが、測定点NO.1,NO.15で更に小さなピークが現れる振動分布となる。このことから、圧電セラミックス素子110を周波数200kHzで駆動したときも、裏面111b(または前面111a)の中央部111bg(または中央部111ag)が、振動変位が最大の振動最大部位となっている。
【0027】
また、この周波数200kHzの場合も、振動速度の大きさは、圧電セラミックス素子110に金属箔120,125を接着しないで、リード線130,135を直接、圧電セラミックス素子110にハンダ付けしたものと同等であった。金属箔120,125を、振動最大部位(中央部)111ag,111bg上を避けて、圧電セラミックス素子110に接着しているので、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されるのを防止できる。
【0028】
以上で説明したように、本実施形態1の水中超音波センサ100では、第1リード線130は、圧電セラミックス素子110の前面電極層113に直接ハンダ付けされるのではなく、前面電極層113に接着された第1金属箔120にハンダ131により接合され、この第1金属箔120を介して前面電極層113に電気的に接続されている。このため、第1リード線130をハンダ付けする際に、ヒートショックで圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止できる。また、圧電セラミックス素子110にハンダ付けの熱による脱分極も生じ難いので、水中超音波センサ100の使用時に、ハンダ接合部分を起点に圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることも防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ100とすることができる。
【0029】
しかも、第1金属箔120を、前面111aのうち振動変位が最大となる振動最大部位111ag上を避けて、前面電極層113に接着している。このため、第1金属箔120の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。
特に、本実施形態1では、圧電セラミックス本体111が、自身の中央部111agが振動最大部位となる円形の前面111aを含む円板状をなしている。その一方、第1金属箔120は、この中央部111ag上を避けて、前面電極層113に接着されているので、第1金属箔120の接着が超音波振動に与える影響を少なくできる。
また、本実施形態1では、第1金属箔120が、前面111aの中央部111agを囲む円環状をなす。このため、周方向に形態が均等であるため、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動も周方向に均一にすることができる。
【0030】
同様に、本実施形態1では、第2リード線135は、圧電セラミックス素子110の裏面電極層115に直接ハンダ付けされるのではなく、裏面電極層115に接着された第2金属箔125にハンダ136により接合され、この第2金属箔125を介して裏面電極層115に電気的に接続されている。このため、第2リード線135をハンダ付けする際に、ヒートショックで圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止できる。また、圧電セラミックス素子110にハンダ付けの熱による脱分極も生じ難いので、水中超音波センサ100の使用時に、ハンダ接合部分を起点に圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることも防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ100とすることができる。
【0031】
しかも、第2金属箔125を、裏面111bのうち振動変位が最大となる振動最大部位111bg上を避けて、裏面電極層115に接着している。このため、第2金属箔125の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。
特に、本実施形態1では、圧電セラミックス本体111が、自身の中央部111bgが振動最大部位となる円形の裏面111bを含む円板状をなしている。その一方、第2金属箔125は、この中央部111bg上を避けて、裏面電極層115に接着されているので、第2金属箔125の接着が超音波振動に与える影響を少なくできる。
また、本実施形態1では、第2金属箔125が、裏面111bの中央部111bgを囲む円環状をなす。このため、周方向に形態が均等であるため、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動も周方向に均一にすることができる。
【0032】
(実施形態2)
次いで、第2の実施の形態について説明する。本実施形態2の水中超音波センサ200は、金属箔220,225の形態が、上記実施形態1の水中超音波センサ100の金属箔120,125の形態と異なる。それ以外は、基本的に上記実施形態1と同様であるので、上記実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。図7に、本実施形態2の水中超音波センサ200を構成する、圧電セラミックス素子110、金属箔220,225及びリード線130,135等を前面電極層113側(または裏面電極層115側)から見た平面図を示す。
【0033】
本実施形態2の水中超音波センサ200では、金属箔(第1金属箔220及び第2金属箔225)がそれぞれ円環状の黄銅からなるが、その内径が上記実施形態1の金属箔(第1金属箔120及び第2金属箔125)より大きい。具体的には、上記実施形態1の金属箔120,125の内径がそれぞれ20mmであるのに対し、本実施形態2の金属箔220,225の内径はそれぞれ35mmであり、内径が大きく、金属箔全体の面積が小さくなっている。
【0034】
第1金属箔220は、上記実施形態1と同様に、前面111aの中央部111ag上を避け、かつ、この中央部111agを取り囲む形態で、第1金属箔220の外周縁と前面電極層113の周縁とが互いに重なるようにして、前面電極層113に接着されている。第1金属箔220と前面電極層113とは、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤)により接着されている。そして、第1リード線130は、第1金属箔220にハンダ131により接合されており、この第1金属箔220を介して前面電極層113に電気的に接続されている。
【0035】
また、第2金属箔225も、裏面111bの中央部111bg上を避け、かつ、この中央部111bgを取り囲む形態で、第2金属箔225の外周縁と裏面電極層115の周縁とが互いに重なるようにして、裏面電極層115に接着されている。この第2金属箔225と裏面電極層115も、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤)により接着されている。そして、第2リード線135も、第2金属箔225にハンダ136により接合されており、この第2金属箔225を介して裏面電極層115に電気的に接続されている。
【0036】
図8に、バック材160を取り除いた状態の水中超音波センサ200を、周波数50kHzで駆動した場合における、裏面111bの振動速度の径方向分布を示す。本実施形態2でも、上記実施形態1と同様な振動速度分布(図5参照)が現れており、裏面111b(または前面111a)の中央部111bg(または中央部111ag)が、振動変位が最大の振動最大部位となり、周縁に近づくほど振動変位が小さくなる振動分布となっている。
【0037】
また、振動速度の大きさは、圧電セラミックス素子110に金属箔220,225を接着しないで、リード線130,135を直接、圧電セラミックス素子110にハンダ付けしたものと同等であった。金属箔220,225を、振動最大部位(中央部)111ag,111bg上を避けて、圧電セラミックス素子110に接着しているので、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されるのを防止できる。
【0038】
また、図9に、バック材160を取り除いた状態の水中超音波センサ200を、周波数200kHzで駆動した場合における、裏面111bの振動速度の径方向分布を示す。この場合も、上記実施形態1と同様な振動速度分布(図6参照)が現れており、裏面111b(または前面111a)の中央部111bg(または中央部111ag)が、振動変位が最大の振動最大部位となっている。
【0039】
また、この場合も、振動速度の大きさは、圧電セラミックス素子110に金属箔220,225を接着しないで、リード線130,135を直接、圧電セラミックス素子110にハンダ付けしたものと同等であった。金属箔220,225を、振動最大部位(中央部)111ag,111bg上を避けて、圧電セラミックス素子110に接着しているので、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されるのを防止できる。
【0040】
以上で説明したように、本実施形態2の水中超音波センサ200でも、第1リード線130は、前面電極層113に接着された第1金属箔220にハンダ131により接合され、この第1金属箔220を介して前面電極層113に電気的に接続されている。このため、その製造の際にも使用の際にも、圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ200とすることができる。しかも、第1金属箔220を、前面111aのうち振動変位が最大となる中央部111ag上を避けて、前面電極層113に接着している。このため、第1金属箔220の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。特に、本実施形態2では、第1金属箔220は、上記実施形態1の第1金属箔120に比して、内径が大きく面積が小さくされているので、前面電極層113との接着面積も小さくなっており、第1金属箔220の接着により超音波振動に与える影響をより少なくできる。
【0041】
また、第2リード線135は、裏面電極層115に接着された第2金属箔225にハンダ136により接合され、この第2金属箔225を介して裏面電極層115に電気的に接続されている。このため、その製造の際にも使用の際にも、圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ200とすることができる。しかも、第2金属箔225を、裏面111bのうち振動変位が最大となる中央部111bg上を避けて、裏面電極層115に接着している。このため、第2金属箔225の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。特に、本実施形態2では、第2金属箔225は、上記実施形態1の第2金属箔125に比して、内径が大きく面積が小さくされているので、裏面電極層115との接着面積も小さくなっており、第2金属箔225の接着により超音波振動に与える影響をより少なくできる。その他、上記実施形態1と同様な部分は、上記実施形態1と同様な作用効果を奏する。
【0042】
(実施形態3)
次いで、第3の実施の形態について説明する。本実施形態3の水中超音波センサ300は、金属箔320,325の形態が、上記実施形態1等の金属箔120,125等の形態と異なる。それ以外は、基本的に上記実施形態1と同様であるので、上記実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。図10に、本実施形態3の水中超音波センサ300を構成する、圧電セラミックス素子110、金属箔320,325及びリード線130,135等を前面電極層113側(または裏面電極層115側)から見た平面図を示す。
【0043】
本実施形態3の水中超音波センサ300では、金属箔(第1金属箔320及び第2金属箔325)は、それぞれ上記実施形態1の円環状の金属箔(第1金属箔120及び第2金属箔125)を4分の1に切断した形態とされている。これらの金属箔320,325の大きさは、具体的には、外径43mm、内径20mm、中心角90度、厚み10μmである。
【0044】
第1金属箔320は、前面111aの中央部111ag上を避け、第1金属箔320の外周縁の円弧部分と前面電極層113の周縁とが互いに重なるようにして、前面電極層113に接着されている。第1金属箔320と前面電極層113とは、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤)により接着されている。そして、第1リード線130は、第1金属箔320にハンダ131により接合されており、この第1金属箔320を介して前面電極層113に電気的に接続されている。
【0045】
また、第2金属箔325は、裏面111bの中央部111bg上を避け、第2金属箔325の外周縁の円弧部分と裏面電極層115の周縁とが互いに重なるようにして、裏面電極層115に接着されている。この第2金属箔325と裏面電極層115も、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤)により接着されている。そして、第2リード線135は、第2金属箔325にハンダ136により接合されており、この第2金属箔325を介して裏面電極層115に電気的に接続されている。
【0046】
図11に、バック材160を取り除いた状態の水中超音波センサ300を、周波数50kHzで駆動した場合における、裏面111bの振動速度の径方向分布を示す。本実施形態3でも、上記実施形態1と同様な振動速度分布(図5参照)が現れており、裏面111b(または前面111a)の中央部111bg(または中央部111ag)が、振動変位が最大の振動最大部位となり、周縁に近づくほど振動変位が小さくなる振動分布となっている。
【0047】
また、振動速度の大きさは、圧電セラミックス素子110に金属箔320,325を接着しないで、リード線130,135を直接、圧電セラミックス素子110にハンダ付けしたものと同等であった。金属箔320,325を、振動最大部位(中央部)111ag,111bg上を避けて、圧電セラミックス素子110に接着しているので、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されるのを防止できる。
【0048】
また、図12に、バック材160を取り除いた状態の水中超音波センサ300を、周波数200kHzで駆動した場合における、裏面111bの振動速度の径方向分布を示す。この場合も、上記実施形態1と同様な振動速度分布(図6参照)が現れており、裏面111b(または前面111a)の中央部111bg(または中央部111ag)が、振動変位が最大の振動最大部位となっている。
【0049】
また、この場合も、振動速度の大きさは、圧電セラミックス素子110に金属箔320,325を接着しないで、リード線130,135を直接、圧電セラミックス素子110にハンダ付けしたものと同等であった。金属箔320,325を、振動最大部位(中央部)111ag,111bg上を避けて、圧電セラミックス素子110に接着しているので、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されるのを防止できる。
【0050】
以上で説明したように、本実施形態3の水中超音波センサ300でも、第1リード線130は、前面電極層113に接着された第1金属箔320にハンダ131により接合され、この第1金属箔320を介して前面電極層113に電気的に接続されている。このため、その製造の際にも使用の際にも、圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ300とすることができる。しかも、第1金属箔320を、前面111aのうち振動変位が最大となる中央部111ag上を避けて、前面電極層113に接着している。このため、第1金属箔320の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。特に、本実施形態3では、上記実施形態1の第1金属箔120に比して、第1金属箔320の面積が小さく、前面電極層113との接着面積も小さくなっているので、第1金属箔320の接着により超音波振動に与える影響をより少なくできる。
【0051】
また、第2リード線135は、裏面電極層115に接着された第2金属箔325にハンダ136により接合され、この第2金属箔325を介して裏面電極層115に電気的に接続されている。このため、その製造の際にも使用の際にも、圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ300とすることができる。しかも、第2金属箔325を、裏面111bのうち振動変位が最大となる中央部111bg上を避けて、裏面電極層115に接着している。このため、第2金属箔325の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。特に、本実施形態3では、上記実施形態1の第2金属箔125に比して、第2金属箔325の面積が小さく、裏面電極層115との接着面積も小さくなっているので、第2金属箔325の接着により超音波振動に与える影響をより少なくできる。その他、上記実施形態1または2と同様な部分は、上記実施形態1または2と同様な作用効果を奏する。
【0052】
(実施形態4)
次いで、第4の実施の形態について説明する。本実施形態4の水中超音波センサ400は、金属箔420,425の形態が、上記実施形態1等の金属箔120,125等の形態と異なる。それ以外は、基本的に上記実施形態1と同様であるので、上記実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。図13に、本実施形態4の水中超音波センサ400を構成する、圧電セラミックス素子110、金属箔420,425及びリード線130,135等を前面電極層113側(または裏面電極層115側)から見た平面図を示す。
【0053】
本実施形態4の水中超音波センサ400では、金属箔420(第1金属箔420及び第2金属箔425)がそれぞれ4mm×4mmの矩形状をなす。
第1金属箔420は、前面111aの中央部111ag上を避けて、前面電極層113の周縁近傍において前面電極層113に接着されている。第1金属箔420と前面電極層113とは、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤)により接着されている。そして、第1リード線130は、第1金属箔420にハンダ131により接合されており、この第1金属箔420を介して前面電極層113に電気的に接続されている。
【0054】
また、第2金属箔425は、裏面111bの中央部111bg上を避けて、裏面電極層115の周縁近傍において裏面電極層115に接着されている。第2金属箔425と裏面電極層115とは、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤)により接着されている。そして、第2リード線135は、裏面電極層115に直接ハンダ付けされることなく、第2金属箔425にハンダ136により接合されており、この第2金属箔425を介して裏面電極層115に電気的に接続されている。
【0055】
ここで、図14に、バック材160を取り除いた状態の水中超音波センサ400を、周波数50kHzで駆動した場合における、裏面111bの振動速度の径方向分布を示す。本実施形態4でも、上記実施形態1と同様な振動速度分布(図5参照)が現れており、裏面111b(または前面111a)の中央部111bg(または中央部111ag)が、振動変位が最大の振動最大部位となり、周縁に近づくほど振動変位が小さくなる振動分布となっている。
【0056】
また、振動速度の大きさは、圧電セラミックス素子110に金属箔420,425を接着しないで、リード線130,135を直接、圧電セラミックス素子110にハンダ付けしたものと同等であった。金属箔420,425を、振動最大部位(中央部)111ag,111bg上を避けて、圧電セラミックス素子110に接着しているので、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されるのを防止できる。
【0057】
また、図15に、バック材160を取り除いた状態の水中超音波センサ400を、周波数200kHzで駆動した場合における、裏面111bの振動速度の径方向分布を示す。この場合も、上記実施形態1と同様な振動速度分布(図6参照)が現れており、裏面111b(または前面111a)の中央部111bg(または中央部111ag)が、振動変位が最大の振動最大部位となっている。
【0058】
また、この場合も、振動速度の大きさは、圧電セラミックス素子110に金属箔420,425を接着しないで、リード線130,135を直接、圧電セラミックス素子110にハンダ付けしたものと同等であった。金属箔420,425を、振動最大部位(中央部)111ag,111bg上を避けて、圧電セラミックス素子110に接着しているので、圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されるのを防止できる。
【0059】
以上で説明したように、本実施形態4の水中超音波センサ400でも、第1リード線130は、前面電極層113に接着された第1金属箔420にハンダ131により接合され、この第1金属箔420を介して前面電極層113に電気的に接続されている。このため、その製造の際にも使用の際にも、圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ400とすることができる。しかも、第1金属箔420を、前面111aのうち振動変位が最大となる中央部111ag上を避けて、前面電極層113に接着している。このため、第1金属箔420の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。特に、本実施形態4では、上記実施形態1〜3の第1金属箔120,220,320に比して、第1金属箔420の面積が小さく、前面電極層113との接着面積も小さくなっているので、第1金属箔420の接着により超音波振動に与える影響をより少なくできる。
【0060】
また、第2リード線135は、裏面電極層115に接着された第2金属箔425にハンダ136により接合され、この第2金属箔425を介して裏面電極層115に電気的に接続されている。このため、その製造の際にも使用の際にも、圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ400とすることができる。しかも、第2金属箔425を、裏面111bのうち振動変位が最大となる中央部111bg上を避けて、裏面電極層115に接着している。このため、第2金属箔425の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。特に、本実施形態4では、上記実施形態1〜3の第2金属箔125,225,325に比して、第2金属箔425の面積が小さく、裏面電極層115との接着面積も小さくなっているので、第2金属箔425の接着により超音波振動に与える影響をより少なくできる。その他、上記実施形態1〜3のいずれかと同様な部分は、上記実施形態1〜3のいずれかと同様な作用効果を奏する。
【0061】
(実施形態5)
次いで、第5の実施の形態について説明する。本実施形態5の水中超音波センサ500は、圧電セラミック素子510の形態、及び、これに接着された金属箔520,525の形態が、上記実施形態1等の圧電セラミック素子110及び金属箔120,125等の形態と異なる。それ以外は、基本的に上記実施形態1と同様であるので、上記実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。図16に、本実施形態5の水中超音波センサ500を示す。また、図17に、この水中超音波センサ500を構成する、圧電セラミックス素子510、金属箔520,525及びリード線130,135等を裏面電極層515,517側から見た平面図を示す。また、図18〜図20に、圧電セラミックス素子510を示す。
【0062】
本実施形態5に係る圧電セラミックス素子510は、図18〜図20に示すように、圧電セラミックス本体111と前面電極層513と裏面電極層515,517と側面電極層516とを有し、円板状をなす。圧電セラミックス本体111は、上記実施形態1〜4と同様な円板状をなし、その前面111a上には、その全面に、前面電極層(電極層)513が形成されている(図18参照)。一方、裏面111b上には、第1裏面電極層(電極層)515と第2裏面電極層(電極層)517とが形成されている(図19参照)。第1裏面電極層515は、裏面111bの大部分の面積を占める形態とされている。また、第2裏面電極層517は、第1裏面電極層513と間隙を介して第1裏面電極層513と絶縁して配置され、裏面111bの周縁近傍に小さい面積で形成されている。更に、圧電セラミックス本体111の側面111c上には、第2裏面電極層517と前面電極層513との間を接続する平面視矩形状の側面電極層516が形成されている(図20参照)。
【0063】
2つの金属箔520,525のうち、一方の第2金属箔525は、外側の一部が凹んだ円環状をなし、圧電セラミックス素子110の第1裏面電極層515に接着されている(図17参照)。具体的には、この第2金属箔525は、裏面111bの中央部(振動最大部位)111bg上を避け、かつ、この中央部111bgを取り囲む形態で、第2金属箔525の外周縁と第1裏面電極層515の周縁とが互いに重なるようにして、第1裏面電極層515に接着されている。第2金属箔525と第1裏面電極層515とは、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤:図示しない)により接着されている。
【0064】
また、他方の第1金属箔520は、第2裏面電極層517と平面視同形状をなし、第2裏面電極層517に接着されている。具体的には、この第1金属箔520は、裏面111bの中央部(振動最大部位)111bg上を避け、第1金属箔520の周縁と第2裏面電極層517の周縁とが互いに重なるようにして、第2裏面電極層517に接着されている。第1金属箔520と第2裏面電極層517とは、非導電性の接着剤(具体的にはエポキシ樹脂系接着剤:図示しない)により接着されている。
【0065】
2本のリード線130,135のうち、一方の第2リード線135は、第1裏面電極層515に直接ハンダ付けされることなく、第2金属箔525にハンダ136により接合されており、この第2金属箔525を介して第1裏面電極層515に電気的に接続されている。
また、他方の第1リード線130は、前面電極層513に直接ハンダ付けされることなく、かつ、側面電極層516を介して前面電極層513と接続する第2裏面電極層517に直接ハンダ付けされることもない。この第1リード線130は、第1金属箔520にハンダ131により接合されており、この第1金属箔520を介して第2裏面電極層517に電気的に接続されている。
【0066】
以上で説明したように、本実施形態5の水中超音波センサ500では、第2リード線135は、第1裏面電極層515に接着された第2金属箔525にハンダ136により接合され、この第2金属箔525を介して第1裏面電極層515に電気的に接続されている。このため、その製造の際にも使用の際にも、圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ500とすることができる。しかも、第2金属箔525を、裏面111bのうち振動変位が最大となる中央部111bg上を避けて、第1裏面電極層515に接着している。このため、第2金属箔525の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。
【0067】
また、第1リード線130は、第2裏面電極層517に接着された第1金属箔520にハンダ131により接合され、この第1金属箔520を介して第2裏面電極層517に電気的に接続されている。このため、その製造の際にも使用の際にも、圧電セラミックス素子110に素子割れが生じることを防止でき、信頼性の高い水中超音波センサ500とすることができる。しかも、第1金属箔520を、裏面111bのうち振動変位が最大となる中央部111bg上を避けて、第2裏面電極層517に接着している。このため、第1金属箔520の接着により圧電セラミックス素子110に生じる超音波振動が抑制されることが少なく、発生する超音波の強度の低下を防止し、また、超音波の受波感度の低下を防止できる。特に、本実施形態5では、上記実施形態1〜3の第1金属箔120,220,320に比して、第1金属箔520の面積が小さく、第2裏面電極層517との接着面積も小さくなっているので、第1金属箔520の接着により超音波振動に与える影響をより少なくできる。その他、上記実施形態1〜4のいずれかと同様な部分は、上記実施形態1〜4のいずれかと同様な作用効果を奏する。
【0068】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態1〜5に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態1〜5では、前面電極層113と金属箔120,220,320,420とを非導電性の接着剤により接着しているが、両者を導電性接着剤で接着してもよい。また、裏面電極層115,515,517と金属箔125,225,325,425,520,525とを非導電性の接着剤により接着しているが、両者を導電性接着剤で接着してもよい。
【0069】
また、上記実施形態1〜4では、圧電セラミックス素子110の前面111a側と裏面111b側の各々に、金属箔120,125等を接着しているが、この形態に限られない。例えば、上記実施形態5で説明したように、前面111a側には金属箔を接着しないで、裏面111b側にのみ、金属箔520,525を接着する形態としてもよい。また例えば、裏面111b側には金属箔を接着しないで、前面111a側にのみ、金属箔を接着する形態としてもよい。このようにしても、水中超音波センサの信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0070】
100,200,300,400,500 水中超音波センサ(超音波センサ)
110,510 圧電セラミックス素子
111 圧電セラミックス本体
111a 前面(振動面)
111ag 中央部(振動最大部位)
111b 裏面(振動面)
111bg 中央部(振動最大部位)
113,513 前面電極層(電極層)
115 裏面電極層(電極層)
515 第1裏面電極層(電極層)
517 第2裏面電極層(電極層)
120,220,320,420,520 第1金属箔(金属箔)
125,225,325,425,525 第2金属箔(金属箔)
130 第1リード線(リード線)
131 ハンダ
135 第2リード線(リード線)
136 ハンダ
USS 超音波
USR 超音波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動する振動面を含む圧電セラミックス本体、及び、この圧電セラミックス本体の前記振動面上に形成された電極層を有する圧電セラミックス素子と、
前記圧電セラミックス素子の前記電極層に電気的に接続されたリード線と、を備える
超音波センサであって、
前記振動面のうち振動変位が最大となる振動最大部位上を避けて、前記電極層に接着された金属箔を備え、
前記リード線は、前記金属箔にハンダ付けされ、この金属箔を介して前記電極層に電気的に接続されてなる
超音波センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波センサであって、
前記圧電セラミックス本体は、自身の中央部が前記振動最大部位となる円形の前記振動面を含む円板状をなし、
前記金属箔は、前記振動面の前記中央部上を避けて、前記電極層に接着されてなる
超音波センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波センサであって、
前記金属箔は、円環状をなし、前記振動面の前記中央部を囲む配置とされてなる
超音波センサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2011−119861(P2011−119861A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273729(P2009−273729)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】