説明

超音波内視鏡用穿刺針装置

【課題】超音波内視鏡の口金側に設けた二条の雄ねじと穿刺針装置側に設けた二条の雌ねじを締め付けたときに、穿刺針装置の口金に対する相対的な回転方向位置が必ず所定の位置になる超音波内視鏡用穿刺針装置を提供する。
【解決手段】筒状接続部31の接続開口の内周面に周方向位相を互いに180°ずらして形成した、入口側端部の谷の径が共に第1の雄ねじ18Aの外径及び第2の雄ねじ18Bの外径より大きい第1の雌ねじ32A及び第2の雌ねじ32Bと、を備え、第1の雌ねじ32Aは、入口側端部を基準に整数ピッチ分だけ進んだ第1終端位置までの谷の径が一定であり、第2の雌ねじは、入口側端部を基準に整数ピッチ分だけ進んだ第1終端位置から該第1終端位置より1ピッチ手前の第2終端位置32B4までの谷の径が、第2の雄ねじの外径より大きくかつ第1の雄ねじの外径より小さく、さらに入口側端部から第2終端位置の直前までの谷の径が一定である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波内視鏡の内部管路に挿入して使用する超音波内視鏡用穿刺針装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操作部に口金を突設した超音波内視鏡と、該口金に着脱可能な穿刺針装置とが開示してある。
この穿刺針装置は、本体部である筒状接続部と、筒状接続部の内部空間を通って外部に突出するシースと、シース内に進退可能に挿入した穿刺針と、を具備しており、筒状接続部の開口端部の内周面には雌ねじ溝が形成してある。
穿刺針装置を使用する際には、穿刺針装置の上記雌ねじ溝を口金の外周面に形成した雄ねじ溝に螺合して、筒状接続部の開口端部を口金に固定する。すると、シース(及び穿刺針)が口金の内部を通って超音波内視鏡の内部管路に挿入し、シース(及び穿刺針)の先端部が超音波内視鏡の挿入部の先端付近から外部に突出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−527603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波内視鏡及び穿刺針装置を操作する術者にとっては、より少ない回転量(より小さい回転角)により穿刺針装置を口金に接続できるのが好ましい。しかし、特許文献1の口金と穿刺針装置に形成したねじは通常のねじであるため、超音波内視鏡と穿刺針装置の接続を強固にするためにねじの軸線方向長を長くした場合には、穿刺針装置を沢山回転させないと超音波内視鏡の口金に接続(固定)できない。
そこで口金の上記雄ねじと穿刺針装置の上記雌ねじをそれぞれ所謂二条ねじとすれば、ねじのリードがピッチの2倍となるので、より少ない回転量(小さい回転角)で穿刺針装置を口金に接続できるようになる。
このように口金と穿刺針装置に二条ねじを形成すると、口金と穿刺針装置を螺合させるときの周方向の初期位置は2箇所に限定され、いずれの周方向位置で螺合し始めるかによって、終端位置まで螺合したときの口金と穿刺針装置の相対的な周方向位置が変わる。
しかし、一般的に穿刺針装置の周面には穿刺針装置を操作するための摘み部材が突設してあるため、終端位置まで螺合したときの口金に対する穿刺針装置の周方向位置が所望の位置と異なる場合には該摘み部材の操作性に悪影響が出ることがある。
【0005】
本発明は、超音波内視鏡の口金側に設けた二条の雄ねじと穿刺針装置側に設けた二条の雌ねじを締め付けたときに、穿刺針装置の口金に対する相対的な回転方向位置が必ず所定の位置になる超音波内視鏡用穿刺針装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超音波内視鏡用穿刺針装置は、超音波内視鏡の口金に突設した、周方向位相を互いに180°ずらして形成した第1の雄ねじ及び該第1の雄ねじより外径が小さい第2の雄ねじに対して、自身の接続開口を挿脱可能な筒状接続部と、一部が該筒状接続部内に位置すると共に先端が上記接続開口及び上記口金を通って上記超音波内視鏡の先端開口から突出可能な穿刺針と、上記接続開口の内周面に周方向位相を互いに180°ずらして形成した、入口側端部の谷の径が共に上記第1の雄ねじの外径及び第2の雄ねじの外径より大きい第1の雌ねじ及び第2の雌ねじと、を備え、上記第1の雌ねじは、上記入口側端部を基準に整数ピッチ分だけ進んだ位置である第1終端位置までの谷の径が一定であり、上記第2の雌ねじは、上記入口側端部を基準に上記整数ピッチ分だけ進んだ位置である第1終端位置から該第1終端位置より1ピッチ手前の第2終端位置までの谷の径が、上記第2の雄ねじの外径より大きくかつ上記第1の雄ねじの外径より小さく、さらに上記入口側端部から上記第2終端位置の直前までの谷の径が一定であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、穿刺針装置の第1の雌ねじを(超音波内視鏡の)口金の第1の雄ねじに螺合し、かつ穿刺針装置の第2の雌ねじを口金の第2の雄ねじに螺合したときは、第1の雄ねじは第1の雌ねじの第1終端位置で締め付けられ、第2の雄ねじは第2の雌ねじの第1終端位置で締め付けられる。
一方、この状態とは180°回転させた状態で穿刺針装置を(超音波内視鏡の)口金に接続したとき、即ち、第1の雌ねじを第2の雄ねじに螺合し、かつ第2の雌ねじを第1の雄ねじに螺合したときは、第1の雄ねじは第2の雌ねじの第1終端位置より1ピッチ手前の第2終端位置で締め付けられる。
従っていずれの場合も、締付が完了すると穿刺針装置の口金(超音波内視鏡)に対する相対回転方向位置は必ず同じ所望位置になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態の超音波内視鏡と、スライド部材を突出位置に位置させた穿刺針装置の接続状態における側面図である。
【図2】スライド部材を突出位置に位置させた穿刺針装置の側面図である。
【図3】口金の斜視図である。
【図4】スライド部材を収納位置に位置させた穿刺針装置の縦断側面図である。
【図5】接近状態にある口金と穿刺針装置の前端部の縦断側面図である。
【図6】穿刺針装置を図5の状態から90°回転させたときの穿刺針装置の前端部の縦断側面図である。
【図7】第1の雄ねじに第1の雌ねじを螺合させ、かつ、第2の雄ねじに第2の雌ねじを螺合させ始めたときの口金と穿刺針装置の前端部の縦断側面図である。
【図8】図7の状態から1ピッチ分(180°)回転させたときの図7と同様の縦断側面図である。
【図9】図8の状態から3ピッチ分(540°)回転させたときの図7と同様の縦断側面図である。
【図10】第1の雄ねじに第2の雌ねじを螺合させ、かつ、第2の雄ねじに第1の雌ねじを螺合させ始めたときの図7と同様の縦断側面図である。
【図11】図10の状態から1ピッチ分(180°)回転させたときの図10と同様の縦断側面図である。
【図12】図11の状態から2ピッチ分(360°)回転させたときの図10と同様の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1〜図12を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。なお、以下の説明中の前後方向は、超音波内視鏡10については挿入部13の先端部側を「前方」、操作部11側を「後方」と定義し、穿刺針装置30については穿刺針55の先端側を「前方」、スタイレット支持キャップ58側を「後方」としている。まず、穿刺針装置30を着脱可能な超音波内視鏡10の構造について説明する。
超音波内視鏡10は、操作部11と、操作部11から前方に延びかつ先端に超音波プローブ12を備える挿入部13と、共に操作部11から挿入部13と反対側に延びるライトガイド用チューブ及び超音波画像伝送用チューブ(いずれも図示略)と、を備え、ライトガイド用チューブと超音波画像伝送用チューブの端部には光源用コネクタと超音波画像用コネクタがそれぞれ設けてある。挿入部13の先端部近傍をなす湾曲部14は、操作部11に設けた湾曲操作レバー15の回転操作に応じて上下方向に湾曲する。操作部11には処置具挿通用突部16が突設してあり、処置具挿通用突部16の後端面には略円筒形状をなしかつ両端が開口する口金17が突設してある。図3に示すように、口金17の外周面の先端部近傍には第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bが一体的に突設してある。この一対の第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bは二条ねじを構成しており、全体形状は円の両側部を該円の中心点に関して対称をなす一対の円弧に沿って切り落とした非円形形状である。口金17の軸線AL1方向に見たときに第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bは周方向に180°ずれている。第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bの厚み(軸線AL1方向の寸法)は同一であるが、軸線AL1を基準とした第2の雄ねじ18Bの外径L2は第1の雄ねじ18Aの外径L1より小さい。さらに第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bの有効径は共にdである。また、口金17の外周面には第1の雄ねじ18A及び第2の雄ねじ18Bと軸線方向の位置をずらして正面視円形の環状フランジ19が突設してある。さらに、操作部11及び挿入部13の内部には、一端が口金17に接続し他端が挿入部13に超音波プローブ12の直後に位置させて形成した処置具用開口21に接続する内部管路20(図1参照)が設けてある。
超音波画像用コネクタを超音波診断装置(図示略)に接続すると共に超音波診断装置をCRTモニタに接続し、さらに超音波プローブ12にゴム製のバルーン(図示略)を被せた上で、該超音波診断装置の超音波画像描出スイッチを押すと、超音波プローブ12の表面から被検部に向けて超音波が発信され、被検部によって反射された超音波を超音波プローブ12が受信する。挿入部13、操作部11及び超音波信号伝送用チューブの内部には超音波プローブ12と超音波画像用コネクタを接続する超音波信号伝送用ケーブル(図示略)が設けてあるので、超音波プローブ12が受信した超音波画像は超音波診断装置により電気的に処理された上でCRTモニタに表示される。
【0010】
続いて穿刺針装置30の構造について説明する。
穿刺針装置30は硬質樹脂(PC(ポリカーボネイト)や、ノリル等のEOG滅菌可能な樹脂材料)によって成形した略円筒形状の筒状接続部31を有している。筒状接続部31の前部には筒状接続部31の内部空間と連通する接続開口31aが形成してあり、該接続開口31aの前端の内周縁部には環状凹部33が凹設してある。さらに接続開口31aの内周面には、共に環状凹部33から後方に向かって延びかつ筒状接続部31の軸線AL2を中心とする螺旋形状をなす第1の雌ねじ32A及び第2の雌ねじ32Bが形成してある。二条ねじを構成する第1の雌ねじ32Aと第2の雌ねじ32Bの位相(筒状接続部31の軸線AL2を中心とした周方向位置)は互いに180°ずれており、第1の雌ねじ32Aの入口側端部32A1と第2の雌ねじ32Bの入口側端部32B1の位相は180°ずれている。第1の雌ねじ32Aと第2の雌ねじ32Bの軸線AL2を基準とした内径は全長に渡ってL3(<第1の雄ねじ18Aの外径L1、第2の雄ねじ18Bの外径L2)で共通であり、かつ、第1の雌ねじ32Aの入口側端部32A1と第2の雌ねじ32Bの入口側端部32B1の軸線AL2を基準とした谷の径は共にL4(>第1の雄ねじ18Aの外径L1、第2の雄ねじ18Bの外径L2)である。第1の雌ねじ32Aの谷の径は全長に渡って(入口側端部32A1から、入口側端部32A1を基準に4ピッチ進んだ位置である第1終端位置32A2まで)L4で一定である。一方、第2の雌ねじ32Bの谷の径は、入口側端部32B1から第1終端位置32B2(入口側端部32B1から4ピッチ進んだ位置)より1ピッチ手前の第2終端位置32B4の直前まではL4で一定であるが、第2終端位置32B4から第1終端位置32B2までの谷の径L5(>第2の雄ねじ18Bの外径L2)は入口側端部32B1の谷の径L4より小さい(第1終端位置32B2から半ピッチ手前の位置32B3を含めて、第2終端位置32B4から第1終端位置32B2までの谷の径はL5で一定である)。第1の雌ねじ32A及び第2の雌ねじ32Bの有効径は共に全長に渡ってdである。
即ち、L1、L2、L3、L4、及び、L5の大小関係は
L4>L1>L5>L2>d>L3
である。
筒状接続部31の後端部には、筒状接続部31より大径の筒状部材であり硬質樹脂(PC等)からなる第1ロック支持部材34が同心状態で固定してある。第1ロック支持部材34には、第1ロック支持部材34を径方向に貫通する雌ねじ孔35が形成してあり、雌ねじ孔35には第1ロック部材36のねじ部37が螺合している。
【0011】
筒状接続部31及び第1ロック支持部材34の内部空間には、その外径が筒状接続部31の内径より小さくかつ第1ロック支持部材34の後部の内径と略同一であり、筒状接続部31と同じ材料により成形した筒状部材であるシース支持部材39が、筒状接続部31及びシース支持部材39の軸線方向にスライド自在として挿入してある。シース支持部材39の後端は開放しており、シース支持部材39内部の前端部にはホルダ40が固定してある。ホルダ40を軸線方向に貫通する貫通支持孔41には樹脂等の可撓性材料からなり両端が開口するシース42の後端部が嵌合固定してあり、シース42の前部は接続開口31aを通って筒状接続部31の前方に突出している。シース支持部材39の後端部にはシース支持部材39より大径の硬質樹脂(PC等)からなる筒状部材である第1ストッパ部材44が同心状態で固定してある。従ってシース支持部材39は、第1ストッパ部材44が第1ロック支持部材34の後端面に当接する最大押込位置(図4の位置)と、第1ストッパ部材44が第1ロック支持部材34の後端面から後方に離間する最大引出位置(図示略。シース支持部材39の前端部は筒状接続部31内に位置し、図示を省略したストッパによってそれ以上の後方移動は規制される)との間を筒状接続部31に対してスライド可能であり、シース支持部材39をスライドさせることによりシース42の筒状接続部31に対する突出量を調整できる。さらに、第1ロック部材36を雌ねじ孔35に対して回転させて、ねじ部37の端面をシース支持部材39の外周面に圧接すれば、筒状接続部31に対するシース支持部材39の相対位置を所望の位置に保持できる。
【0012】
シース支持部材39と第1ストッパ部材44の内部空間には、その外径が第1ストッパ部材44の後端部の内径と略同一であり、かつ筒状接続部31と同じ材料により成形した両端が開口する筒状部材であるスライド部材50が、筒状接続部31およびシース支持部材39の軸線方向にスライド自在として挿入してある。スライド部材50の前端部には、シース支持部材39の内部空間に位置するリテーナ51が設けてある。さらに、スライド部材50の外周面には、硬質樹脂(PC等)からなる筒状部材である第2ロック支持部材45の中心貫通孔がスライド自在に嵌合している。この第2ロック支持部材45には、第2ロック支持部材45を径方向に貫通する雌ねじ孔46が形成してあり、雌ねじ孔46には第2ロック部材47のねじ部48が螺合している。従って、スライド部材50に対する第2ロック支持部材45の位置を調整し、かつ第2ロック部材47のねじ部48の端面をスライド部材50の外周面に圧接してスライド部材50に対する第2ロック支持部材45の位置を固定すれば、第2ロック支持部材45の前端面が第1ストッパ部材44の後端面に当接したときのシース42の筒状接続部31に対する突出量を調整できる。
【0013】
スライド部材50は、リテーナ51がシース支持部材39の内部空間の後端部に位置し、かつリテーナ51の後端面が第1ストッパ部材44の内面44a(シース支持部材39の後端面が当接している面。図4参照)に当接する収納位置(図4の位置)と、第2ロック支持部材45の前端面が第1ストッパ部材44の後端面に接触すると共にリテーナ51の後端面が第1ストッパ部材44の上記内面44aから前方に離間して後述する穿刺針55がシース42の先端から突出する突出位置(図1、図2の位置)との間を、シース支持部材39(及び筒状接続部31)に対してスライド可能である。なお、図1、図2に示す「突出位置」は第2ロック支持部材45をスライド部材50の後端部50aの前端面に当接させた場合の「突出位置」であり、第2ロック支持部材45の位置をより前方に位置させた場合の「突出位置」は、後端部50aから前方に離間した第2ロック支持部材45の前端面が第1ストッパ部材44の後端面に接触し、かつ後述する穿刺針55がシース42の先端から突出する位置のことである。
また、図4に示すように、第2ロック部材47によって第2ロック支持部材45をスライド部材50に対する前端位置に保持しかつ第2ロック支持部材45を第1ストッパ部材44に当接させれば、スライド部材50に前向きに外力を掛けてもスライド部材50が収納位置から前方にスライドすることはない。
【0014】
スライド部材50の後端部50aの内部空間には硬質樹脂(ポリプロピレン等)からなる穿刺針支持部材53の前部が嵌合固定してある。穿刺針支持部材53の前部に形成した支持孔54には、可撓性を有する中空の金属材からなり、後端が開口すると共に前端近傍に開口55a(図1参照)を有する穿刺針55の後端部が嵌合固定してある。穿刺針55の前部は、スライド部材50の内部空間を通ってシース42の内部に挿入してある。スライド部材50が上記収納位置に位置するとき穿刺針55の先端はシース42の内部に位置するが、スライド部材50が上記突出位置に移動すると穿刺針55の先端はシース42の先端から突出する(図1参照)。また、穿刺針支持部材53の後部には支持孔54と連通する後部空間56が形成してあり、穿刺針支持部材53の後部の外周面には雄ねじ57が形成してある。
穿刺針支持部材53に対しては硬質樹脂製(例えばPOM等)のスタイレット支持キャップ58を着脱可能である。スタイレット支持キャップ58の前部には、穿刺針支持部材53の後部空間56に挿脱可能な嵌合部59と、嵌合部59の外周側に位置する外側筒状部60とが同心状態で設けてあり、外側筒状部60の内周面には雌ねじ61が形成してある。さらに、スタイレット支持キャップ58には可撓性部材であるスタイレット63の後端が固定してある。従って、嵌合部59を後部空間56に嵌合し、雌ねじ61を雄ねじ57に螺合すると、スタイレット63の先端が穿刺針55の後端開口から穿刺針55の内部空間に挿入され、スタイレット63の前端部が穿刺針55の開口55aを塞ぐ。
【0015】
続いて超音波内視鏡10の口金17に対する穿刺針装置30の着脱要領と使用要領について説明する。
超音波内視鏡10から分離されている穿刺針装置30を超音波内視鏡10の口金17に接続するには、まず図4に示すようにスライド部材50を収納位置に位置させ、第1ロック部材36のねじ部37の端面をシース支持部材39の外周面から離間した状態にした上で、第2ロック部材47のねじ部48の端面をスライド部材50の外周面に圧接させておく。そして軸線AL1と軸線AL2を一致させた状態で筒状接続部31の前端部と口金17を対向させ、シース42を口金17の内部及び内部管路20に挿入する。
【0016】
次いで、第1の雌ねじ32Aの入口側端部32A1と第2の雌ねじ32Bの入口側端部32B1を第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bにそれぞれ螺合(挿入)する。第1の雌ねじ32A及び第2の雌ねじ32Bの入口側端部32A1、32B1の谷の径L4が第1の雄ねじ18Aの外径L1及び第2の雄ねじ18Bの外径L2より大きいため、第1の雌ねじ32Aと第2の雌ねじ32Bのいずれも第1の雄ねじ18A及び第2の雄ねじ18Bに対して螺合(挿入)できるが、まずは第1の雌ねじ32Aを第1の雄ねじ18Aに螺合し第2の雌ねじ32Bを第2の雄ねじ18Bに対して螺合する場合について説明する。
第1の雌ねじ32Aの入口側端部32A1と第2の雌ねじ32Bの入口側端部32B1を、第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bにそれぞれ螺合すると(図7参照)、第1ロック部材36及び第2ロック部材47が操作部11とは反対側に位置するが、図8に示すようにこの状態から筒状接続部31を口金17に対して軸線AL1、軸線AL2周りに180°回転させると(第1の雌ねじ32A、第2の雌ねじ32Bの1ピッチ分回転させると)、第1ロック部材36及び第2ロック部材47は操作部11と対向する側に位置する(図示略)。筒状接続部31を口金17に対してさらに180°回転させて第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bを位置32A6と位置32B6にそれぞれ係合させると(図示略)、第1ロック部材36及び第2ロック部材47は操作部11と反対側に位置する。筒状接続部31を口金17に対してさらに90°回転させて第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bを位置32A5と位置32B5にそれぞれ係合させた後に、筒状接続部31を口金17に対してさらに90°回転させて第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bを第2終端位置32A4と第2終端位置32B4にそれぞれ係合させると(図示略)、第1ロック部材36及び第2ロック部材47は操作部11と対向する側に位置する。筒状接続部31を口金17に対してさらに90°回転させて第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bを位置32A3と位置32B3にそれぞれ係合させた(図示略)後に、筒状接続部31を口金17に対してさらに90°回転させると(つまり第1の雌ねじ32Aの入口側端部32A1と第2の雌ねじ32Bの入口側端部32B1を第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bに螺合してから4ピッチ分回転させると)、図9に示すように第1の雄ねじ18Aが第1の雌ねじ32Aの第1終端位置32A2に螺合すると共に第2の雄ねじ18Bが第2の雌ねじ32Bの第1終端位置32B2に螺合し、かつ環状フランジ19が環状凹部33に当接するので、口金17に対する筒状接続部31の接続が完了する。すると、穿刺針装置30が口金17に対して不動状態となり、第1ロック部材36及び第2ロック部材47が操作部11とは反対側に位置する(図1参照)。
【0017】
一方、図10に示すように、第1の雌ねじ32A(の入口側端部32A1)を第2の雄ねじ18Bに螺合し、かつ第2の雌ねじ32B(の入口側端部32B1)を第1の雄ねじ18Aに螺合すると、第1ロック部材36及び第2ロック部材47が操作部11と対向する側に位置する(図示略)。図11に示すようにこの状態から筒状接続部31を口金17に対して軸線AL1、AL2周りに180°回転させると(第1の雌ねじ32A及び第2の雌ねじ32Bの1ピッチ分回転させると)、第1ロック部材36及び第2ロック部材47が操作部11とは反対側に位置する(図示略)。筒状接続部31を口金17に対してさらに180°回転させて第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bを位置32B6と位置32A6にそれぞれ係合させると(図示略)、第1ロック部材36及び第2ロック部材47は操作部11と対向する側に位置する。筒状接続部31を口金17に対してさらに90°回転させて第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bを位置32B5と位置32A5にそれぞれ係合させた後に、筒状接続部31を口金17に対してさらに90°回転させて第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bを第2終端位置32B4と第2終端位置32A4にそれぞれ係合させると(図12参照。つまり第1の雌ねじ32Aの入口側端部32A1と第2の雌ねじ32Bの入口側端部32B1を第1の雄ねじ18Aと第2の雄ねじ18Bに螺合してから3ピッチ分回転させると)、第1ロック部材36及び第2ロック部材47は操作部11と反対側に位置する。すると、第1の雄ねじ18Aの外径L1>第2終端位置32B4から第1終端位置32B2までの谷の径L5であるため、第1の雄ねじ18Aはこれ以上第1終端位置32B2側には移動できなくなるので、穿刺針装置30(筒状接続部31)はこの位置で口金17に対して固定される。その結果、穿刺針装置30が口金17に対して不動状態となり、第1ロック部材36及び第2ロック部材47が操作部11とは反対側に位置する(図示略)。
接続が完了したら、第1ストッパ部材44を筒状接続部31に対してスライドさせることによりシース42の先端を処置具用開口21から数mm程度突出させた状態(図1参照)に調整した後に、第1ロック部材36を締め付けて第1ストッパ部材44の位置を固定する。
【0018】
このようにして穿刺針装置30を超音波内視鏡10(口金17)に接続すると穿刺針装置30が口金17(超音波内視鏡10)に対して不動状態となる。そのため、術者はCRTモニタに表示された画像を見ながら超音波内視鏡10に接続した穿刺針装置30を操作できる。例えば、スタイレット支持キャップ58の穿刺針支持部材53に対する螺合を解除してスタイレット支持キャップ58を穿刺針支持部材53に対して後方に移動させれば、穿刺針55の内部からスタイレット63を引き抜くことができる。さらに、第2ロック部材47を回転させてねじ部48の端面をスライド部材50の外周面から離間させた上で(第2ロック部材47によるロックを解除して)、スライド部材50を前方にスライドさせれば、穿刺針55がシース42に対して先端側に移動し、スライド部材50が突出位置まで移動したときに穿刺針55の先端がシース42の先端から突出する(図1参照)。また、第2ロック支持部材45のスライド部材50に対するスライド位置を調整することにより、第2ロック支持部材45が第1ストッパ部材44に当接したときの穿刺針55のシース42の先端からの突出量を調整できる。
穿刺針装置30を超音波内視鏡10から取り外したい場合は、筒状接続部31を口金17に対して装着時とは逆方向に回転させて第1の雌ねじ32A及び第2の雌ねじ32Bと第1の雄ねじ18A及び第2の雄ねじ18Bの螺合(接続)を解除する。そして、接続解除後に穿刺針装置30を口金17から後方に引き離せば穿刺針装置30が超音波内視鏡10から分離し、シース42が超音波内視鏡10の内部管路20内を通って口金17から外部に引き抜かれる。
【0019】
以上説明したように本実施形態では穿刺針装置30を口金17に接続(固定)するときに、第1ロック部材36及び第2ロック部材47は必ず操作部11とは反対側に位置することになるので、術者は穿刺針装置30を口金17に固定した後における第1ロック部材36及び第2ロック部材47の回転操作を容易に行うことが可能である。
しかも、第1の雌ねじ32Aと第2の雌ねじ32Bのいずれも第1の雄ねじ18A及び第2の雄ねじ18Bに対して螺合可能であるという利点がある。
【0020】
以上、上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は様々な変更を施しながら実施可能である。
例えば、第1の雌ねじ32A及び第2の雌ねじ32Bのピッチ数は2以上の整数であればいくつでもよい。この場合も第1終端位置32A2、32B2から1ピッチ手前の位置に第2終端位置32A4、32B4を形成する。
【符号の説明】
【0021】
10 超音波内視鏡
11 操作部
12 超音波プローブ
13 挿入部
14 湾曲部
15 湾曲操作レバー
16 処置具挿通用突部
17 口金
18A 第1の雄ねじ
18B 第2の雄ねじ
19 環状フランジ
20 内部管路
21 処置具用開口
30 穿刺針装置
31 筒状接続部
31a 接続開口
32A 第1の雌ねじ
32B 第2の雌ねじ
32A1 32B1 入口側端部
32A2 32B2 第1終端位置
32A3 32B3 第1終端位置から半ピッチ手前の位置
32A4 32B4 第2終端位置
32A5 32B5 第2終端位置から半ピッチ手前の位置
32A6 32B6 第2終端位置から1ピッチ手前の位置
33 環状凹部
34 第1ロック支持部材
35 雌ねじ孔
36 第1ロック部材
37 ねじ部
39 シース支持部材
40 ホルダ
41 貫通支持孔
42 シース
44 第1ストッパ部材
45 第2ロック支持部材
46 雌ねじ孔
47 第2ロック部材
48 ねじ部
50 スライド部材
51 リテーナ
53 穿刺針支持部材
54 支持孔
55 穿刺針
56 後部空間
57 雄ねじ
58 スタイレット支持キャップ
59 嵌合部
60 外側筒状部
61 雌ねじ
63 スタイレット
AL1 口金の軸線
AL2 筒状接続部の軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波内視鏡の口金に突設した、周方向位相を互いに180°ずらして形成した第1の雄ねじ及び該第1の雄ねじより外径が小さい第2の雄ねじに対して、自身の接続開口を挿脱可能な筒状接続部と、
一部が該筒状接続部内に位置すると共に先端が上記接続開口及び上記口金を通って上記超音波内視鏡の先端開口から突出可能な穿刺針と、
上記接続開口の内周面に周方向位相を互いに180°ずらして形成した、入口側端部の谷の径が共に上記第1の雄ねじの外径及び第2の雄ねじの外径より大きい第1の雌ねじ及び第2の雌ねじと、を備え、
上記第1の雌ねじは、上記入口側端部を基準に整数ピッチ分だけ進んだ位置である第1終端位置までの谷の径が一定であり、
上記第2の雌ねじは、上記入口側端部を基準に上記整数ピッチ分だけ進んだ位置である第1終端位置から該第1終端位置より1ピッチ手前の第2終端位置までの谷の径が、上記第2の雄ねじの外径より大きくかつ上記第1の雄ねじの外径より小さく、さらに上記入口側端部から上記第2終端位置の直前までの谷の径が一定であることを特徴とする超音波内視鏡用穿刺針装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−85857(P2013−85857A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231328(P2011−231328)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】