説明

超音波利用装置

【課題】 超音波が放射されているか否かを目視にて簡易的に検知する。
【解決手段】 超音波発振手段15で超音波振動体4aから超音波を断続発振させることにより、超音波断続発振の発振・停止に伴って液体12a,12bが形状変化するため、その挙動を目視することで超音波振動の確認が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば超音波歯ブラシ、各種の超音波放射装置が超音波を放射しているか否かを簡易検知が可能な超音波利用装置に関するものである。
更に、超音波歯ブラシで実施することで、従来より歯磨き効果を向上させることのできる超音波利用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の超音波利用装置として、歯ブラシ本体(柄)の先端に、超音波振動体として圧電素子(圧電変換器)を密着埋設すると共に、複数のブラシ(毛の集まり)が植毛されたブラシ部(ブラシ頭部)を着脱可能にきつく密着嵌合し、上記圧電素子に通電してその体積を膨脹及び収縮させることにより、超音波を柄の軸線方向と垂直な方向へ発振し、歯ブラシ本体の外面に密着するブラシ部の底表面を経てブラシの植毛方向へ伝播するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、歯ブラシ本体(柄)の先端の突出部に導線を延線する空所に連通した中空室を先端面に開放させて設け、上記導線を突出部の先端面から中空室を経て空所に挿入した後に、硬化性流動物質からなる充填材を該中空室に充填し、次に圧電素子(圧電振動子)を前記中空室に挿入してから充填材を中空室に補給し充填することにより、この圧電素子を充填材に埋没させて、該圧電素子の超音波エネルギを突出部に嵌装した頭体のブラシに効率よく伝達できるようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3313715号公報(第3−4頁、第1−3図)
【特許文献2】特開2003−61985号公報(第3−4頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし乍ら、このような従来の超音波利用装置では、作動中に亘って圧電素子から超音波が連続的に放射されているため、一般消費者でも簡単に超音波が実際に放射されているか否か簡便に検知、確認できないという問題がある。
特に超音波出力が1W/cm以下の小出力の例えば超音波歯ブラシにおいて、超音波は可聴範囲よりも周波数が高く耳に聞こえず、目にも見えないなど人間が感じ取れず、超音波が実際に出ているかどうかはエンドユーザーにおいては簡単に確認の方法がないため、超音波が出ていてもユーザーから本当に出ているのか疑問が提起されるケースが多々あり、しかも歯ブラシを販売する小売店などに超音波を検出できる装置を備えてもらうことなどは到底できないという問題がある。
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、超音波が放射されているか否かを目視にて簡易的に検知することを目的としたものである。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明の目的に加えて、制御回路の単純化などを図ることを目的としたものである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明の目的に加えて、超音波が放射されているか否かをより明確に目視確認することを目的としたものである。
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の発明の目的に加えて、振動機能と関係なく超音波が放射されているか否の検知テストを行うことを目的としたものである。
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4に記載の発明の目的に加えて、歯垢の除去能力を向上させることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、水密に作った超音波振動面に液体を付着させうるようにした超音波振動体及び超音波を断続発振する超音波発振手段を備えており、超音波放射有無検知テストを行う際には、前記超音波を断続発振させ、前記超音波振動体の超音波振動面に付着した液体の挙動により超音波の発振を検知するようにしたことを特徴とするものである。
それにより、超音波振動体から超音波が放射されている時は、超音波放射部の超音波振動面に付着している水などの液体の表面張力が低下することは従来から知られている現象を利用したものである。
この性質を利用して、超音波振動を断続的に作用させることにより、水などの液体が表面張力で盛り上がったり、平らになったりするので一目にして超音波が放射されているか否かを検知可能となる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、前記検知する際に使用する前記断続発信を、超音波利用装置の本来の目的のための発信にも使用した構成を加えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の構成に、前記超音波振動体から断続発振される超音波振動の断続周期を1Hzから100Hzとした構成を加えたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明の構成に、前記超音波振動体とは別に、装置本体の少なくとも一部を機械的に振動させる手段が設けられる場合には、この機械的振動手段を作動停止させるモードに変更する切り替え手段を設けた構成を加えたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項2、3又は4記載の発明の構成に、前記超音波振動体及び超音波発振手段を、超音波歯ブラシを含む口腔用衛生器具に設けた構成を加えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明は、超音波発振手段で超音波振動体から超音波を断続発振させることにより、超音波断続発振の発振・停止に伴って液体が形状変化するため、その挙動を目視することで超音波振動の確認が可能となる。
従って、超音波が放射されているか否かを目視にて簡易的に検知することができる。
その結果、作動中に亘って圧電素子から超音波が連続的に放射されている従来のものに比べ、例えば超音波歯ブラシのような超音波が耳に聞こえず目にも見えない超音波出力が1W/cm以下の小出力の超音波利用装置であっても、専門的なセンサーや測定器なしでエンドユーザーが超音波の出力状態を簡単に確認できて便利であると共に、超音波利用装置の販売店などでは、超音波を検出するための専門的なセンサーや測定器を配備する必要がないから、経済的に販売促進を図ることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、検知する際に使用する前記断続発信を、本来の目的のための発信にも使用することで、制御回路の単純化などを図ることができる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明の効果に加えて、超音波振動体から断続発振される超音波振動の断続周期を1Hzから100Hzとすることにより、超音波振動の断続に伴って、超音波放射部の超音波振動面に付着した水などの液体の形状変化が更に良く見える。
従って、超音波が放射されているか否かをより明確に目視確認することができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明の効果に加えて、超音波振動体とは別に、装置本体の少なくとも一部を機械的に振動させる手段が設けられる場合には、この機械的振動手段を作動停止させるモードに変更する切り替え手段を設けることにより、超音波放射の有無検知テストを行う際には、切り替え手段で機械的振動手段の作動停止モードに変更すれば、機械振動による液体の動きを排除して超音波のみによる液体の挙動が目視で確認可能となる。
従って、振動機能と関係なく超音波が放射されているか否の検知テストを行うことができる。
その結果、超音波利用装置が例えば超音波歯ブラシである場合には、歯ブラシを機械振動させて超音波発振中であることを使用者に認識させたり、手で動かさなくとも歯磨き動作ができるようにしたものがあり、また超音波マッサージ機器である場合には、機械的マッサージ機能を付加したものもあるが、これらの場合でも超音波が放射されているか否かを確実に目視で確認できる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2、3又は4の発明の効果に加えて、超音波振動体及び超音波発振手段を、超音波歯ブラシを含む口腔用衛生器具に設けることにより、超音波の断続波が歯の表面へ放射され、この断続波で歯の表面に付着した歯垢が圧縮と膨張を交互に繰り返すため、歯の表面への付着力が低下して歯垢が剥離し易くなる。
従って、歯垢の除去能力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の超音波利用装置は、例えば超音波歯ブラシを含む口腔用衛生器具や超音波マッサージ機器などで、その装置本体に超音波放射部として、例えばPZT、水晶、チタン酸バリウムなどの圧電素子(圧電振動子)からなる超音波振動体を内蔵し、この超音波振動体から断続波(バースト波)を放射させることにより、被放射体に動きを与えるものである。
上記超音波振動体から放射される超音波振動の周波数としては、約1.0〜3.0MHz程度で、この超音波発振による振動加速度を利用して、人体に無害な作用を得られるようにすることが好ましい。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
この実施例1は、図1(A)(B)〜図2に示す如く、本発明の超音波利用装置1が超音波歯ブラシである場合を示すものであり、この超音波歯ブラシ1は、その装置本体に相当する柄からなる歯ブラシ本体2とブラシ部3とで構成され、該ブラシ部3は、そのブラシ3aの背面に配置されるように嵌合孔3bが設けられ、この嵌合孔3bを、歯ブラシ本体2の首部2a先端に設けられた超音波放射部4に対して嵌合することにより、着脱自在に取り付けられている。
【0014】
上記超音波放射部4は、図2に示すように圧電素子からなる超音波振動体4aの外周を歯ブラシ本体2の外周をなすケーシング2aで水密的に覆い、前記ブラシ部3の嵌合孔3bのブラシ3aの背面に密着し、且つ容易には脱出できないように取り付けて使用する。
なお、上記ケーシング2aの材料としては、プラスチックまたは金属なども使用することができる。
【0015】
図1〜図3に示すその他の符号を説明すると、符号5は電源ON/OFF用スイッチボタン、6は制御回路基板7に取り付けた動作スイッチ、8は電源用充電池、9は上記歯ブラシ本体2の一部を機械的に振動させる手段として設けた機械的振動発生用の偏心重り付きモーター、10はLEDからなる表示灯、11aは超音波振動体用リード線、11bは電源用リード線である。
この超音波振動体用リード線11aは、上記超音波振動体4aと制御回路基板7に搭載された後述する超音波発振回路15(図7に図示)の出力端子(図2には図示せず)とを繋いでいる。
また、電源用リード線11bは、前記歯ブラシ本体2の首部2aに設けた貫通穴内を通じて配線して、上記制御回路基板7の電源入力端子(図示せず)と電源用充電池8とを繋いでいる。
なお、上記機械的振動発生用の偏心重り付きモーター9と後述するモーター駆動回路16(図7に図示)とを繋ぐリード線は省略してある。
【0016】
次に図3及び図4により、前記超音波放射部4の超音波振動体4aから放射される超音波の作用について説明する。
図3(A)(B)において、超音波放射部4の超音波振動面であるケーシング2aの表面、即ち超音波振動面に例えば水などの液体を付着させると、超音波振動体4aに通電されず該超音波振動面が超音波振動していない時には、図3(A)に示すように、ケーシング2aの表面は一般に水のような液体に対して濡れ難い疎水性の材料を使用しているため、該液体は表面張力により凝集して半球状を呈する(この状態を符号12aで表す)ことは周知である。
【0017】
また、超音波振動体4aに通電して超音波振動面を超音波振動させると、図3(B)に示すように、上記被放射体である水のような液体は、その表面張力が低下し重力により潰れて濡れ面積が広がり(この状態を符号12bで表す)、明らかに水を含む液体の状態が形状変化したことが目視で観測された。
なお、図3(B)に示す符号13は超音波が放射されていることを示している。
これら水を含む液体の凝集状態変化の様子を拡大して図4(A)(B)に示す。
【0018】
このような超音波放射の有無による水を含む液体の形状変化を、時間に対する変化として表わすと、図5(A)のように表わすことができる。
即ち図5(A)において、超音波を放射していない時(時刻t1)までは液体が半球状に盛り上がった状態12aであったものが、超音波放射の開始後は、液体がより広く潰れた状態12bに形状変化し続け、超音波放射を止める(時刻t2)と再び状態12aとなる。
【0019】
そこで、本発明では、超音波振動体4aからの超音波振動を断続的に行わせて断続波(バースト波)にすると、図5(B)に示すように、超音波を放射していない時(時刻t1)までは、液体の状態が12aであったものが、発振期間中(△t)中は12bに変化し、放射が終わると、次の放射が始まるまでの放射停止期間(△t′:本実施例では△t′=△tとした)までその状態が続き、それ以後は超音波の断続放射を続ける間、振動を止める(時刻t2)まで繰り返す。
【0020】
前記超音波振動の断続周期(本実施の形態では△t)の値の選定について説明する。
即ち図5(B)の液体の状態12aと状態12bとが明瞭に見分けられないと超音波振動の確認が困難になる。
そこで、前記超音波振動体4aから断続発振される超音波振動の断続周期(断続波の繰り返し周波数)を変えて実験した結果、表1に示す結果を得た。
【0021】
【表1】

【0022】
表1の結果から、上記断続波(バースト波)の断続周期の好ましい範囲は、ほぼ1Hz〜100Hzの間の値であれば目視により容易に検知することができる。
【0023】
更に、上述した超音波放射の有無による前記被放射体の形状変化は、水のような液体のみに限らず、例えば歯の表面に付着した歯垢(プラーク)においても同様な作用が得られることが実験で解った。
この実験では、図6に示すように、歯垢と略同じ粘着力を有する擬似歯垢12cが付着されたガラス板12dを水中に浸し、これと接近させて前記超音波振動体4aを配置すると共に、この超音波振動体4aとリード線11aを介して連絡する超音波発振器(超音波発振回路)15′により、該超音波振動体4aから周波数が1.6MHzの超音波振動を擬似歯垢12cへ向けて断続的に放射した。
【0024】
この実験の結果、超音波振動が放射されている時は、上記被放射体である擬似歯垢12cがガラス板12d側へ押されて圧縮変形し、超音波振動が放射されていない時は、擬似歯垢12cが膨張変形して復元すると共に、これらの断続発振により擬似歯垢12cの圧縮変形と膨張変形が交互に繰り返して大きく揺れ動くことが目視で観測された。
また、同様な条件で超音波振動体4aから連続波を擬似歯垢12cへ向けて放射した場合には、擬似歯垢12cがガラス板12d側へ押されたままで大きく形状変化しないことが目視で観測された。
【0025】
以上説明した超音波歯ブラシ1において、図5(B)の様な超音波振動の断続波を出力し、好適な超音波放射検知環境を作るプログラムを搭載した制御回路14の好ましい一例
を図7によって説明する。
なお、既に説明した部材は同じ符号を図7に付し、重複した説明を省略する。
【0026】
この制御回路14は、前記超音波振動体4aを断続的に作動させる超音波発振手段である超音波発振回路15と、モーター駆動回路16と、LED表示部10を点灯・点滅させるLED表示回路17と、これらの各回路を駆動するマイクロコンピューターからなるコントロールIC18を設けている。
【0027】
電源系統としては、充電池8と、外部電源(図示せず)から電磁誘導により電力を供給する充電コイル19と、充電コイル19から与えられる交流を直流に変換して充電池8に充電する充電回路20と、充電池8から供給される電圧を安定させ、且つ充電池から充電回路20側に逆流を防止するなどの動作をする電源回路21と、動作スイッチ6のON/OFを検知してコントロールIC18に信号を出力するスイッチ入力回路22とからなっている。
【0028】
上記充電回路20は、充電コイル19に電磁誘導起電力が発生すると、交流を直流に変換し、電源回路21を通じて充電地8を充電すると共に、コントロールIC18に充電回路ON信号を出力し、受信したコントロールIC18が、超音波発振回路15、モーター駆動回路16及びLED表示回路17に、いずれの回路もOFFにする信号を出力する。
【0029】
上記電源回路21は、充電中は充電池8から充電回路22への電流の逆流を防止し、充電以外の時は制御回路14の電源回路に充電池8を接続するように構成されている。
【0030】
上記スイッチ入力回路22は、動作スイッチ6のON/OFFを検知し、スイッチがONされると、ONされている間、スイッチ入力信号をコントロールIC18に与えるようにプログラムされている。
【0031】
上記コントロールIC18は、動作スイッチ6がOFF状態の時と、前記したように充電回路ON信号が与えられた時には、超音波発振回路15、モーター駆動回路16及びLED表示回路17にオフ信号を与え(以下この状態を「スタンバイモード」という)、そしてスイッチ入力回路22からスイッチ入力信号が与えられると、回路15,16,17にオン信号を与え(以下この状態を「動作モード」という)、動作スイッチ6を所定時間(例えば3秒)以上押し続けると、制御回路14を確認モード(テストモード)とするようにプログラムされている。
【0032】
上記動作モードは、超音波発振回路15に超音波の断続発振(本実施例では超音波振動の周波数が10Hz変調された1.6MHzの断続波発振とした)させる信号(本実施例では10HZの矩形波信号)と、モーター駆動回路16に偏心重り付きモーター9を作動させる信号と、LED表示回路17にLED表示部10を点灯させる信号とを出力するモードである。
なお、超音波発振回路15が超音波断続発振した信号は図7に示したように超音波放射体4aに出力される。
【0033】
また、上記確認モードは、超音波発振回路15への信号出力は前記と同様であるが、モーター駆動回路16にモーターを作動停止させる信号と、LED表示回路17にLED表示部6aを点灯又は点滅させる信号とを出力するモードである。
なお、本実施例の動作モードと確認モードのいずれの超音波の波形も同じものを使用したが、動作モードでの超音波発振は連続波とするなど、適宜必要に応じて変化させることができる。
更に超音波発振を所定時間(例えば3分)経過したら発振を停止させるなど各種の制御動作をさせることができる。
【0034】
次に、上述したスタンバイモード、動作モード及び確認モードの切り替え手段として、動作スイッチ6の動作により選択するプログラムの一例を図8に示すフローチャートによって説明する。
コントロールIC18の電源回路に電源が供給されると、図8に示すようにコントロールIC18はスタンバイモードをスタートさせ、ステップ1において動作スイッチ6がONされるか否かを監視している。
【0035】
スイッチ入力信号が入力されると、動作モードに入り、超音波放射体4aから超音波が放射されると共に偏心重り付きモーター9が作動して超音波歯ブラシ1全体が振動すると共にLED表示部10が点灯する。
【0036】
続いてステップ3の確認モードの選択に入る。
ステップ3において確認モードスイッチがONされたか否か、即ち予め定めた時間(例えば3秒)の間、動作スイッチ6が押し続けられたか否かを検出し、スイッチ6が3秒以上押されない場合にはステップ4に移行し、スイッチが3秒以上押された場合にはステップ7の確認モードが選択される。
【0037】
ステップ4では、動作スイッチ6が押されるかどうかを監視しており、動作スイッチ6がONされると動作モードを停止し、スタンバイモードに入る。
ステップ4において動作スイッチ6が押されない場合には、ステップ5において充電中であるか否か、即ち図7の充電回路ONが検出されたか否かを検出しており、充電中である場合には動作モードを停止しスタンバイモードに入る。
充電中でない場合には、ステップ6に入り3分経過したかどうかを見ている。
【0038】
3分経過していない時は、ステップ3に戻りステップ3、4、5、6を3分経過するまで繰り返す。3分経過した場合には動作モードを停止し、スタンバイモードに入る。
また、ステップ3に戻り動作スイッチ6を3秒以上押して確認モードに入ると、動作状態からモーター9は停止し、超音波振動は断続波で出力される。
そして前記した超音波の確認モードに入る。
ステップ9、10、11及び12はそれぞれ前記ステップ4、5、6及び8と同様に各ステップを実行するので重複した説明を省略する。
【0039】
従って、上述した構造の超音波歯ブラシ1において、前記超音波振動体4aから超音波が放射されているか否かを検知するためのテストを行う際には、先ず、図2に示すように前記超音波放射部4からブラシ部3を外して、その超音波振動面であるケーシング2aの表面を露出させると共に、電源ON/OFF用スイッチボタン5の押圧操作により動作スイッチ6を3秒以上押して確認モードに切り替える。
【0040】
この状態で、図3に示すように超音波放射部4の超音波振動面であるケーシング2aの表面に、検査用液体として安価で且つ最も容易に入手可能な水道水や井戸水などを付着すれば、その水滴は、図5(B)に示すように、超音波振動体4aから放射される超音波断続発振の発振・停止に伴って液体が形状変化する。
なお、上記超音波放射部4の超音波振動面は、ケーシング2aの表面だけに限らず、超音波放射部4に装着したブラシ部3の表面も同様であり、このブラシ部3のブラシ3aが無い平坦面に検査用液体を付着しても、超音波振動体4aから放射される超音波断続発振の発振・停止に伴って液体が形状変化する。
これら液体の挙動を目視すれば、誰にでも超音波が放射されているか否かを簡単に確認できる。
【0041】
更に、前記動作モードにおける超音波振動体4aからの超音波発振を断続波とした場合には、超音波放射部4の超音波振動体4aから1.0MHz以上の人体に無害な超音波の断続波が、ブラシ部3のブラシ3aを介して歯の表面へ放射される。
【0042】
それにより、歯の表面へ超音波の断続波が放射された時には、歯垢が圧縮変形し、また超音波の放射が停止された時には、圧縮していた歯垢がその反力で膨張し、これら圧縮変形及び膨張変形の形状変化が断続発振で交互に繰り返されると共に、この断続発振を停止させることで、膨張・収縮を繰り返していたものが突然止まるため、歯の表面に対する歯垢の付着力が低下して剥離し易くなる。
【0043】
実験の結果、超音波振動体4aから連続波を放射する超音波歯ブラシに比べて、歯垢が剥離し易くなることが観測された。
図6に示した実験では、歯垢と略同じ粘着力の擬似歯垢12cに対して、超音波振動体4aから断続発振される超音波振動の断続周期を1Hzから100Hzで数秒(約2〜3秒)間に亘り放射しただけでも、擬似歯垢12cの形状変化による付着力の低下が見られた。
【0044】
また、超音波歯ブラシ1の平均出力レベルが同じであれば、超音波の放射(照射)による口内の温度上昇が抑制されるため、瞬間出力レベルを上げても口内の温度上昇を所定温度(1度)以内に抑えることができるから、更に歯垢の除去能力を向上させることも可能になるという利点もある。
【0045】
尚、本発明を適用する超音波利用装置1には各種のものがある。
従って、本発明を実施する形態には各種の変形が可能であり、以上説明した実施の形態によって本発明を限定的に解釈することはできず、本発明の本質を変更しない限り各種の態様で実施することができることは言うまでもない。
具体的に説明すれば、前示実施例では、超音波利用装置1が超音波歯ブラシである場合を示したが、これに限定されず、超音波歯ブラシに代えて例えばマウスピースのような形状の口腔用衛生器具や超音波振動による口腔用超音波マッサージ機器などであっても良い。
マウスピースのような口腔用衛生器具である場合には、上述した超音波歯ブラシと同様な作用効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の超音波利用装置の一実施例を示しており、(A)が超音波歯ブラシの平面図であり、(B)がその側面図である。
【図2】図1(A)の(X)−(X)線に沿える縦断側面図でブラシ部を外した状態を示している。
【図3】本発明の原理図であり、(A)が超音波放射のない場合の液体形状を示し、(B)が超音波放射のある場合の液体形状を示している。
【図4】図3(A)(B)に対応する液体を部分的に拡大した説明図である。
【図5】時間経過に伴う液体の形状変化を示す説明図及びその波形図であり、(A)が超音波振動を連続して与えた場合の液体の挙動を示し、(B)が超音波の断続振動を与えた場合の液体の挙動を示したものである。
【図6】歯垢の形状変化を見るために行った実験例の説明図である。
【図7】超音波歯ブラシの制御部の回路図である。
【図8】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 超音波利用装置(超音波歯ブラシ) 2 装置本体(歯ブラシ本体)
2a 歯ブラシ本体首部 3 ブラシ部
3a ブラシ 3b 嵌合孔
4 超音波放射部 4a 超音波放射体
5 スイッチボタン 6 切り替え手段(動作スイッチ)
7 制御回路基板 8 電源用充電池
9 機械的振動手段(偏心重り付きモーター) 10 表示灯
11a 超音波振動体用リード線 11b 電源用リード線
12a 超音波振動していない時の液体 12b 超音波振動時の液体
12c 擬似歯垢 12d ガラス板
13 超音波の放射状態 14 制御回路
15 超音波発振手段(超音波発振回路) 15′ 超音波発振器
16 モーター駆動回路 17 LED表示回路
18 コントロールIC 19 充電コイル
20 充電回路 21 電源回路
22 スイッチ入力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を利用した装置において、水密に作った超音波振動面に液体を付着させうるようにした超音波振動体(4a)及び超音波を断続発振する超音波発振手段(15)を備えており、超音波放射有無検知テストを行う際には、前記超音波を断続発振させ、前記超音波振動体(4a)の超音波振動面に付着した液体の挙動により超音波の発振を検知するようにしたことを特徴とする超音波利用装置。
【請求項2】
前記検知する際に使用する前記断続発振を、超音波利用装置の本来の目的のための発振にも使用した請求項1記載の超音波利用装置。
【請求項3】
前記超音波振動体(4a)から断続発振される超音波振動の断続周期を1Hzから100Hzとした請求項1又は2記載の超音波利用装置。
【請求項4】
前記超音波振動体(4a)とは別に、装置本体(2)の少なくとも一部を機械的に振動させる手段(9)が設けられる場合には、この機械的振動手段(9)を作動停止させるモードに変更する切り替え手段(6)を設けた請求項1、2又は3記載の超音波利用装置。
【請求項5】
前記超音波振動体(4a)及び超音波発振手段(15)を、超音波歯ブラシを含む口腔用衛生器具に設けた請求項2、3又は4記載の超音波利用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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