説明

超音波式流量計測装置

【課題】超音波伝搬路を含む流路内面に超音波透過膜を固定して備えることで流体の流れを安定させ、長期的に使用しても精度よく流量を計測できることを目的とする。
【解決手段】流体の流れる円筒型流路20と、円筒型流路20への入口部21および出口部22と、円筒型流路20に斜交する超音波伝搬路9と、超音波伝搬路9を含む円筒型流路20内面にメッシュ23を固定した構成とすることで、流体の流れを安定させ、長期的に使用しても精度よく流量を計測することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波パスルの送受信を行う超音波送受波器およびこの超音波送受波器を用いて気体や液体の流量や流速の計測を行う装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の超音波式流量計測装置は、図4に示すように、円筒状のメッシュ11を、流路1と超音波伝搬路9との交叉部10を含む流路1内、全面にわたって挿入していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−21666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の超音波式流量計測装置では、円筒状のメッシュ11が流路1に単に挿入されており、位置合わせをしていないため、長期的に使用していると円筒状のメッシュ11の位置がズレてくる可能性があった。
【0005】
また、円筒状のメッシュ11が流路1に単に挿入されることで、流路1の内壁面状に円筒状のメッシュ11が重なる状態になるため、円筒状のメッシュ11の端部に段差ができて、流体の流れを乱す原因になる可能性もある。
【0006】
そして、流路1の内壁面と円筒状のメッシュ11の間に隙間ができる可能性があるため、超音波伝搬路9に流れ込み渦を発生させる可能性も生じていた。
【0007】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、円筒型流路を用いた超音波式流量計測装置において、超音波伝搬路を含む流路内面に超音波透過膜を固定して備えることで流体の流れを安定させ、長期的に使用しても精度よく流量を計測できる超音波式流量計測装置を構成できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波式流量計測装置は、流体の流れる円筒型流路と、前記円筒型流路への入口部および出口部と、前記円筒型流路に斜交する超音波伝搬路と、前記超音波伝搬路の両端に設けた一対の超音波送受波器と、前記超音波伝搬路を含む前記円筒型流路内面に固定された超音波透過膜とからなるものである。
【0009】
上記構成においては、円筒型流路内面に超音波透過膜の位置が固定されるため、長期的に使用しても超音波透過膜となるメッシュの位置ズレを少なくすることが可能性となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、超音波式流量計測装置における超音波透過膜を円筒型流路の内面と、同一面となるように容易に位置固定が可能な構成を実現できるため、被測定流体の流れが安定し、長期的に使用してもメッシュが移動しないので精度よく流量を計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る超音波式流量計測装置を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態2に係る超音波式流量計測装置を示す断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態3に係る超音波透過膜の構成を示す側面図(b)同正面図
【図4】(a)本発明の実施の形態3に係る超音波式流量計測装置の構成を示す側面図(b)同正面部分断面図
【図5】従来の超音波式流量計測装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、流体の流れる円筒型流路と、前記円筒型流路への入口部および出口部と、前記円筒型流路に斜交する超音波伝搬路と、前記超音波伝搬路の両端に設けた一対の超音波送受波器と、前記超音波伝搬路を含む前記円筒型流路内面に固定された超音波透過膜とからなるもので、円筒型流路内面に超音波透過膜の位置が固定されるため、長期的に使用しても超音波透過膜となるメッシュの位置ズレを少なくすることが可能性となる。
【0013】
第2の発明は、特に第1の発明の円筒型流路内面に超音波透過膜を保持する凹部を構成し、前記超音波透過膜内面が円筒型流路内面と同一面となるように構成されたことを特徴とするもので、円筒型流路内面に超音波透過膜との段差がなくなるため被計測流体の流れが安定し精度の良い計測が可能となる。
【0014】
第3の発明は、特に第1の発明において、超音波透過膜は、円筒型流路の入口部及び/又は出口部で固定されたもので、円筒型流路内に超音波透過膜を構成する方法が容易となるため、簡単に超音波式流量計測装置を組み立てることができる。
【0015】
第4の発明は、特に第1〜4のいずれか1つの発明において、超音波透過膜は、メッシュ状の材料を円筒形状に構成したもので、超音波透過膜が円筒形状をしているため、円筒型流路の入口部か出口部または両方とも取り外せる構成において簡単に超音波透過膜を挿入することが可能となるので、容易に超音波式流量計測装置を組み立てることができる。
【0016】
第5の発明は、特に第1〜4のいずれか1つの発明において、超音波透過膜は、形状記憶合金からなるもので、あらかじめ超音波透過膜に超音波透過膜の内面が円筒型流路内面と同一面に成るように記憶させた場合、超音波透過膜を円筒型流路内に挿入しやすい形状にして組み立て、お湯に浸すか熱を加えることで、超音波透過膜の形状が復元し、円筒型流路内面と同一面にとなるように構成することが可能となる。
【0017】
第6の発明は、特に第1〜4のいずれか1つの発明において、超音波透過膜は、バネ性を有する材料からなり前記円筒型流路内面に密着するように保持されたことを特徴とするもので、超音波透過膜を円筒型流路内に挿入したときに同一面と成るような構成にした円筒型流路内に、超音波透過膜を円筒型流路の内径より小さい円筒状にして挿入し、超音波透過膜が円筒型流路内面の所定位置に装着したときに、超音波透過膜のバネ性によりが復元し、同一面となる構成が可能となる。
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る超音波式流量計測装置について、図面を参照して説明する。なお図面中で同一符号を付しているものは同一なものであり、詳細な説明は省略する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の超音波式流量計測装置7であり、流体の流れる円筒型流路20と、円筒型流路20の上流側にある入口部21と、円筒型流路20の下流側にある出口部22が設けられている。入口部21と出口部22には、流体が流れやすくするために、テーパーを設けている。円筒型流路20と、両端にそれぞれ第1超音波送受波器2
、第2超音波送受波器3が設けられた超音波伝搬路9とは斜めに交叉している。超音波透過膜としてはステンレス製のメッシュ13を使用しており、円筒型流路20と超音波伝搬路9との交叉部10を含む円筒型流路20内の全面にわたって挿入した(図中L)。円筒型流路20には円筒型流路20の内面とメッシュ23の内面が同一面上になるように図中Dの寸法を図中dの寸法よりも大きくして凹部20aを構成している。メッシュ23は平面状態のものを、外径は図中Dの寸法になるように円筒形にし、円筒型流路20に挿入するときに図中dの寸法まで外径を小さくして設置する。メッシュ23はバネ性を持つため、凹部20aに全て挿入すると、円筒型流路20の内面に広がるとともに、凹部20aに嵌合することにより円筒型流路20に固定される。
【0020】
本実施の形態では、メッシュ23を円筒型流路20の凹部20aに挿入するため、円筒型流路20内で固定することが可能となる。また、円筒型流路20の内面とメッシュ23の内面が同一面となるため、円筒型流路20を流れる被測定流体の乱れを低減できるため、精度の良い計測が可能となる。
【0021】
なお、メッシュ23の材質はステンレス製等の金属製を使用したが、円筒型流路20の内面に密着できるバネ性のある樹脂製のものでもかまわない。
【0022】
また、メッシュ23は形状記憶合金等の金属材料を用いて構成してもよく、メッシュ23が形状記憶合金等の金属材料の場合は、あらかじめメッシュ23にメッシュ23の内面が円筒型流路20の内面と同一面になるように形状記憶させておく。メッシュ23を円筒型流路20内に組み込みやすい形状にしてから、円筒型流路20に挿入し、メッシュ23に熱を加える。(お湯に浸してもかまわない)メッシュ23は熱により形状を復元し、円筒型流路内面と同一面にとなるように構成することが可能となる。
【0023】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2の超音波式流量計測装置7’を示す図であり、円筒型流路20’の上流側と下流側にある入口部21’と出口部22’は、それぞれ取り外し可能である。円筒型流路20’の上流側と下流側には、それぞれ入口部21’と出口部22’をビス29で固定するための溝24が設けられている。また、流体が円筒型流路20’と入口部21’および出口部22’の接続口で漏れないようにOリング25とOリングが挿入されるOリング溝29を設けた。円筒型メッシュ26は円筒型流路20’の長さ(図中LL)に挿入し入口部21’と出口部22’で両端を固定した。
【0024】
円筒型メッシュ26の外径を図中Dの寸法とすることで、円筒型流路20’内へ簡単に挿入することが可能となる。
【0025】
この様に構成することにより、超音波透過膜である円筒型メッシュ26を簡単に挿入でき、長期的に固定することができる。
【0026】
なお、この場合の円筒型メッシュ26の円筒形状を構成する方法としては、円筒の接続部を溶接や溶着等の材料を溶かして接続してもよい。
【0027】
なお、円筒型メッシュ26で使用している材料と異なる材料等で接続してもよい。例えば、メッシュがステンレス製の場合は樹脂等の有機物で接続する方法などがある。
【0028】
(実施の形態3)
図3,4は、実施の形態3における超音波式流量計測装置の構成を説明するもので、円筒型メッシュ31は、実施の形態2における円筒形メッシュ26を図3に示す様に、樹脂のインサート成型方法を用いて円筒状に形成したものである。円筒型メッシュ31の外周
には、全長に渡って対向する位置に凸部27a、27bが樹脂成型により設けられている。また、円筒型流路32は、実施の形態2における円筒型流路20’と同様の形状とすると共に、図4に示す様に、円筒型メッシュ31の凸部27a、27bが挿入される挿入部28a、28bを備えている。
【0029】
なお、挿入部28a、28bは、超音波伝搬路9との交叉部10に面していない内壁面に設けてある。
【0030】
円筒型メッシュ31を、円筒型流路32に挿入するときに凸部27a、18bは、挿入部28a、28bの溝に沿って装着されるため、円筒型流路32内で回転するのを押さえることができる。
【0031】
従って、超音波透過膜は長期的に固定できるとともに、簡単な装着を実現することができる。
【0032】
なお、本実施の形態で凸部と挿入部はそれぞれ、2箇所設けたが、1箇所でも複数個でもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、計測流路内を流れる流体の流速を計測する超音波式流量計測装置への適用に好適である。
【符号の説明】
【0034】
2 第1超音波送受波器(超音波送受波器)
3 第2超音波送受波器(超音波送受波器)
7、7’ 超音波式流量計測装置
9、9’ 超音波伝搬路
20、20’、32 円筒型流路
20a 凹部
21、21’ 入口部
22、22’ 出口部
23 メッシュ(超音波透過膜)
26、31 円筒型メッシュ(超音波透過膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れる円筒型流路と、前記円筒型流路への入口部および出口部と、前記円筒型流路に斜交する超音波伝搬路と、前記超音波伝搬路の両端に設けた一対の超音波送受波器と、前記超音波伝搬路を含む前記円筒型流路内面に固定された超音波透過膜とからなる超音波式流量計測装置。
【請求項2】
円筒型流路内面に超音波透過膜を保持する凹部を構成し、前記超音波透過膜内面が円筒型流路内面と同一面となるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の超音波式流量計測装置。
【請求項3】
超音波透過膜は、円筒型流路の入口部及び/又は出口部で固定された請求項1記載の超音波式流量計測装置。
【請求項4】
超音波透過膜は、メッシュ状の材料を円筒形状に構成した請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波式流量計測装置。
【請求項5】
超音波透過膜は、形状記憶合金からなる請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波式流量計測装置。
【請求項6】
超音波透過膜は、バネ性を有する材料からなり前記円筒型流路内面に密着するように保持されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波式流量計測装置。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−13101(P2011−13101A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157601(P2009−157601)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】