説明

超音波探触子、超音波診断装置

【課題】回路規模を大幅に増加させることなく、両極性駆動パルスに対応可能なインピーダンス変換回路のトランジスタにおいて発生する過電流を抑制することが可能な超音波探触子等を提供する。
【解決手段】インピーダンス変換回路は、高耐圧トランジスタ102のエミッタホロワによって構成される。高耐圧トランジスタ102のベースにはバイアス電圧を決めるための抵抗103がグランドに接続され、コレクタには高耐圧ダイオード106が電源VCCとの間に接続され、エミッタには動作電流を決める抵抗105と出力インピーダンスを調整するための抵抗104が接続される。更に、高耐圧トランジスタ102のベースと超音波振動子202の間には、駆動パルスに対して、超音波振動子202に印加された駆動パルスを増幅するための共振回路として、コンデンサ110及びコイル107が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両極性駆動パルスに対応可能なインピーダンス変換回路を有する超音波探触子等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、送受信部や表示部などから構成される装置本体と、内部に超音波振動子がアレイ状に配置されている超音波探触子とが、ケーブルを介して接続される構成となっている。装置本体から送信される送信電気信号(駆動パルス信号とも言われる。)は、超音波振動子において超音波信号へと変換され、外部へと放射される。放射される超音波信号は、外部媒体において反射し、超音波振動子において受信され、再び電気信号へと変換される。この受信電気信号は、ケーブルを介して装置本体へと伝達され、信号処理された後、表示部において超音波画像として表示される。
【0003】
このような超音波診断装置において、外部媒体からの受信信号は非常に微弱であり、インピーダンスが比較的高い超音波振動子は、接続されたケーブルや装置本体受信部とのインピーダンスとの不整合によって信号が減衰し、S/Nが悪化することがある。そこで、特許文献1や特許文献2には、超音波振動子とケーブルや装置本体受信部とのインピーダンスのマッチングを取り、S/Nを改善するために、超音波探触子内部にインピーダンス変換回路が配置される超音波診断装置が開示されている。
特許文献1や特許文献2に開示されている超音波診断装置では、超音波探触子内部の超音波振動子とケーブル間に、高入力インピーダンス、低出力インピーダンスという回路特性を持つインピーダンス変換回路を設けることによって、インピーダンスを制御し、ケーブルや装置本体受信部のインピーダン不整合を低減し、S/Nを改善している。
【0004】
また、近年の超音波診断装置において、パルスインバージョン造影法やハーモニック造影法などの様々な造影法が用いられるようになり、超音波振動子を駆動するためのパルス信号も、両極性の駆動パルスが必要とされている。この両極性の駆動パルス信号は、信号振幅が数十〜百数十ボルトの電圧が必要となる。そのため、インピーダンス変換回路の内部トランジスタに過電流が流れると、送信電圧と過電流によって発生する電力消費によって、発熱や内部トランジスタの破損という問題を引き起こす。そこで、特許文献3には、過電流による発熱を低減し、両極性駆動パルスに対応可能なインピーダンス変換回路を備える超音波診断装置が開示されている。
特許文献3に開示されている超音波診断装置では、インピーダンス変換回路をトランジスタのエミッタホロワによって構成し、トランジスタのコレクタに定電流源を接続することによって、負極性駆動パルスが印加されるときに発生する過電流を抑制し、両極性の駆動パルスにも対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63-84531号公報
【特許文献2】特開平11-169366号公報
【特許文献3】特開2004-57524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に開示されている超音波診断装置は、超音波探触子の回路規模が大きくなるという課題がある。なぜならば、特許文献3の超音波診断装置では、トランジスタのコレクタに、比較的体積が大きい回路素子である定電流源を接続し、過電流を抑制していて、この定電流回路は各インピーダンス変換回路に対して独立に配置する必要があり、共通化することができないからである。さらに、インピーダンス変換回路は、全ての超音波振動子に対して1対1に配置されるため、超音波振動子がアレイ状に複数配置される超音波探触子においては、各インピーダンス変換回路に含まれる1つの回路素子の大きさの違いによって、超音波探触子全体の回路規模が大きく異なることになる。
超音波探触子の回路規模が大きくなり、超音波探触子の体積が大きくなるということは、超音波探触子が重くなり、操作性が低下するなどの問題が発生する。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、回路規模を大幅に増加させることなく、両極性駆動パルスに対応可能なインピーダンス変換回路のトランジスタにおいて発生する過電流を抑制することが可能な超音波探触子等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために第1の発明は、超音波振動子と、トランジスタのエミッタホロワを有するインピーダンス変換回路と、前記トランジスタのコレクタと第1電源間に接続される第1ダイオードと、前記トランジスタのベースと前記超音波振動子の間には、駆動パルスに対して、前記超音波振動子に印加された駆動パルスを増幅するための共振回路と、を備えたことを特徴とする超音波探触子である。
【0009】
第2の発明は、超音波探触子と、装置本体部と、前記超音波探触子と前記装置本体部とを電気的に接続するケーブルとを具備する超音波診断装置であって、前記超音波探触子は、超音波振動子と、トランジスタのエミッタホロワを有するインピーダンス変換回路と、前記トランジスタのコレクタと第1電源間に接続される第1ダイオードと、前記トランジスタのベースと前記超音波振動子の間には、駆動パルスに対して、前記超音波振動子に印加された駆動パルスを増幅するための共振回路と、を備えたことを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、回路規模を大幅に増加させることなく、両極性駆動パルスに対応可能なインピーダンス変換回路のトランジスタにおいて発生する過電流を抑制することが可能な超音波探触子等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】超音波診断装置の構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態の回路構成図の一例
【図3】インピーダンス変換回路の正極性駆動パルス信号の信号経路
【図4】インピーダンス変換回路の負極性駆動パルス信号の信号経路
【図5】インピーダンス変換回路の受信信号の信号経路
【図6】第1実施形態の効果を示す図
【図7】第2実施形態の回路構成図の一例
【図8】第3実施形態の回路構成図の一例
【図9】第4実施形態の回路構成図の一例
【図10】第5実施形態の回路構成図の一例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
最初に、図1を参照しながら、全ての実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、超音波診断装置は、装置本体部205と超音波探触子201とがケーブル204により接続されて構成される。超音波探触子201は、超音波振動子202とインピーダンス変換回路203等を備える。装置本体部205は、信号発生部207、駆動パルス発生部206、受信回路部208、信号処理部209、信号表示部210等を備える。
【0014】
超音波探触子201内部の超音波振動子202は、アレイ化して配列され、各超音波振動子202に対して、インピーダンス変換回路203が接続されている。つまり、インピーダンス変換回路203は、全ての超音波振動子202に対して1対1に配置される。また、インピーダンス変換回路203は、高入力インピーダンス、低出力インピーダンスという回路特性を持つ。
【0015】
装置本体部205では、信号発生部207が診断モードに合わせて信号を生成し、駆動パルス発生部206が信号を増幅し、ケーブル204を介して超音波探触子201へと駆動パルスを送信する。送信された駆動パルスは、インピーダンス変換回路203を通過して、超音波振動子202へと伝達される。このとき、インピーダンス変換回路203は、駆動パルスを通過させるだけであり、いわゆるインピーダンス変換機能の役割を果たさない。
【0016】
超音波振動子202へと伝達された駆動パルス信号は、超音波信号に変換され、被検体に放射される。被検体において反射された超音波信号は、超音波振動子202によって再び受信され、電気信号へと変換される。変換された電気信号は、インピーダンス変換回路203に入力される。このとき、インピーダンス変換回路203は、インピーダンス変換機能の役割を果たし、電気信号を低インピーダンスとして出力する。インピーダンス変換回路203から出力された電気信号は、ケーブル204を介して、装置本体部205の受信回路部208へと伝達される。
【0017】
受信回路部208は、受信信号をディジタル信号に変換し、信号処理部209に出力する。信号処理部209は、信号を処理し、超音波画像として画像表示部210に表示する。
【0018】
<第1実施形態>
図2〜図6を参照しながら、第1実施形態について説明する。
図2には、第1実施形態のインピーダンス変換回路の内部回路を含む回路図を図示している。図2では、超音波振動子202を除いた超音波探触子201の点線内の回路素子が、インピーダンス変換回路の内部回路に相当する。
【0019】
インピーダンス変換回路としては、高耐圧トランジスタ102(高耐圧バイポーラトランジスタ)のエミッタホロワ形式を採用する。これは、本発明がパルスインバージョン造影法やハーモニック造影法などの造影法を用いることを前提としており、バイアス電圧が大きい両極性の駆動パルスを必要とするからである。尚、駆動パルスのバイアス電圧の信号振幅は数十〜百数十ボルトであるから、高耐圧トランジスタ102は、少なくとも百数十ボルトの電圧に耐え得る。
【0020】
高耐圧トランジスタ102のベースには、バイアス電圧を決めるための抵抗103がグランドに接続される。高耐圧トランジスタ102のコレクタには、高耐圧ダイオード106が電源VCCとの間に接続される。高耐圧トランジスタ102のエミッタと電源VEEの間には、動作電流を決める抵抗105と、出力インピーダンスを調整するための抵抗104とが直列に接続される。ここで、電源VCCはプラスの低圧電源であり、電源VEEはマイナスの低圧電源である。
【0021】
また、高耐圧トランジスタ102のベースと超音波振動子202の間には、コイル107が接続される。超音波振動子202と抵抗105の間には、ダイオード108a、109aが直列に接続され、ダイオード108a、109aと並列に向きの異なるダイオード108b、109bが直列に接続される。ダイオード108aと109aの間、及び、108bと109bの間がコンデンサ110を介して接続される。そして、高耐圧トランジスタ102のベース、及び、ダイオード108aと109aの間が接続されている。
【0022】
図3〜図5には、超音波診断装置の動作を説明する為に、正極性駆動パルス信号及び負極性駆動パルス信号の送信時、並びに信号の受信時の信号経路について図示されている。いずれも、太線として図示されている経路が、各信号経路である。
【0023】
最初に、正極性駆動パルス信号の送信時の動作について説明する。図3に示すように、装置本体部205から正極性駆動パルス信号が送信されると、ケーブル204を介して超音波振動子202に印加される。正極性駆動パルス信号はダイオード109aを通過し、ダイオード108aおよび並列に接続されたコイル107を通過して、超音波振動子202に印加される。このとき、電源VCCはプラス数ボルト程度となるため、高耐圧ダイオード106には逆バイアスが印加され、オフ状態になる。そのため、高耐圧トランジスタ102も電源から切り離され、オフ状態となる。また、高耐圧トランジスタ102のベースとエミッタ間には、逆バイアスが印加されるが、ダイオード109aによって0.7ボルト程度に制限されるため、回路素子が破壊されるようなことはない。
【0024】
次に、負極性駆動パルス信号の送信時の動作について説明する。図4に示すように、装置本体部205から負極性駆動パルス信号が送信されると、ケーブル204を介して超音波振動子202に印加される。このとき、超音波振動子202からダイオード108b、109bを通過して電荷が放電されるため、ダイオード109bと抵抗104の接続点(A)は、超音波振動子202から1.4ボルト程度低い電位となる。一方、高耐圧トランジスタ102のベースには、コイル107を介して、超音波振動子からの電荷が流れ込むことになるが、コイル107とコンデンサ110が共振回路となり、駆動パルス信号を増幅する。つまり、この共振回路によって、超音波振動子202の電位より高耐圧トランジスタ102のベース電位を低くさせることができる。
【0025】
そして、負極性駆動パルス信号によって高耐圧トランジスタ102において発生する過電流は、高耐圧トランジスタ102のベースと接続点(A)の間の電位差に基づいて決まる。前述した通り、接続点(A)は超音波振動子202から1.4ボルト程度低い電位となり、かつ超音波振動子202の電位より高耐圧トランジスタ102のベース電位も低くさせることができるので、高耐圧トランジスタ102のベースと接続点(A)の間の電位差が小さくなる。従って、第1実施形態のインピーダンス変換回路では、負極性パルス信号の送信時に、高耐圧トランジスタ102において発生する過電流を抑制することが可能となる。
【0026】
次に、被検体からの信号の受信時の動作について説明する。図5に示すように、被検体において反射された受信信号は、超音波振動子202によって再び受信され、インピーダンス変換回路に入力される。受信信号は数マイクロ〜数十ミリボルトと微弱であるため、ダイオード108a、109a、108b、109bはオフ状態である。そのため、コンデンサ110及びコイル107は、共振回路として機能しない。
【0027】
そして、受信信号は、コイル107を介して、高入力インピーダンスを有する高耐圧トランジスタ102によって構成されるエミッタホロワに入力され、高耐圧トランジスタ102のエミッタ抵抗とインピーダンス調整用の抵抗104に基づいて決まるインピーダンスによって制御されて出力される。つまり、インピーダンス変換機能の役割を果たす。
【0028】
このとき、高耐圧トランジスタ102のベースに直列に接続されたコイル107は、超音波振動子202の容量との共振により、生体内において減衰した高周波成分を復元する役割を果たす。これによって、広い帯域幅のまま、受信信号を装置本体部205に送信することが可能となり、超音波画像の画質が向上する。
【0029】
図6には、実施例1と公知例の比較を示している。図6は、両極性駆動パルスの電圧振幅[V(ボルト)]を横軸とし、過電流によって消費される電力量(消費電力)[mW(ミリワット)]を縦軸としたグラフである。公知例は、特許文献1(特開昭63-84531号公報)に開示されたインピーダンス変換回路を回路シミュレータによって解析した結果である。実施例1は、第1実施形態のインピーダンス変換回路を回路シミュレータによって解析した結果である。
【0030】
使用部品およびインピーダンス変換器の性能は同一の条件として、送信時間と受信時間の比は1/25の場合の過渡解析を行った。
【0031】
図6を見れば、実施例1(第1実施形態のインピーダンス変換回路)の消費電力は、公知例1(特許文献1のインピーダンス変換回路)の消費電力と比較して、大幅に低減されていることが分かる。
【0032】
以上、第1実施形態の超音波探触子201は、両極性駆動パルスに対応可能なインピーダンス変換回路203の高耐圧トランジスタ102において発生する過電流を抑制することが可能である。また、第1実施形態のインピーダンス変換回路203は、比較的体積が小さい回路素子であるコイル107とコンデンサ110から構成される共振回路によって過電流を抑制しているので、超音波探触子201全体の回路規模を大幅に増加させることもない。
【0033】
<第2実施形態>
図7を参照しながら、第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付けて、重複する説明を省略する。
【0034】
図7に示すように、第2実施形態では、第1実施形態における動作電流を設定するための抵抗105と電源VEEの間に、高耐圧ダイオード111が接続されている。
【0035】
負極性駆動パルス信号が送信されると、電源VEEは、マイナス数ボルト程度となるために、高耐圧ダイオード111には逆バイアスが印加され、オフ状態となり、抵抗105には電流が流れなくなる。そのため、抵抗105での発熱を低減することができる。
【0036】
以上、第2実施形態の超音波探触子201は、第1実施形態の超音波探触子201と同様の効果がある。更に、抵抗105と電源VEEの間に高耐圧ダイオード111が接続されているので、更に発熱を抑えることが可能となる。
【0037】
<第3実施形態>
図8を参照しながら、第3実施形態について説明する。以下、第2実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付けて、重複する説明を省略する。
【0038】
図8に示すように、第3実施形態では、第2実施形態における出力インピーダンスを調整するための抵抗104(図7参照)が、可変型抵抗器112となっている。
【0039】
超音波探触子201は、コネクタによってケーブル204と接続することも可能であり、ケーブル204と装置本体部205を変えずに、超音波探触子201のみ交換可能に構成することができる。また、ケーブル204のインピーダンスは、超音波探触子201ごとに異なることが多い。そこで、出力インピーダンスを制御する抵抗104を可変型抵抗器112にすることによって、超音波探触子201を交換し、ケーブル204のインピーダンスが変化しても、容易に出力インピーダンスの調整が可能となり、インピーダンス整合を保つことができる。
【0040】
以上、第3実施形態の超音波探触子201は、第2実施形態の超音波探触子201と同様の効果がある。更に、ケーブル204のインピーダンスが変化しても、容易に出力インピーダンスの調整が可能となり、インピーダンス整合を保つことができる。
【0041】
<第4実施形態>
図9を参照しながら、第4実施形態について説明する。以下、第3実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付けて、重複する説明を省略する。
【0042】
図9に示すように、第4実施形態では、第3実施形態における動作電流を決定する抵抗105(図8参照)と発熱を低減する高耐圧ダイオード111(図8参照)が、ケーブル204を介して装置本体205側に配置されている。
【0043】
抵抗105と高耐圧ダイオード111を、装置本体205側に配置することによって、超音波探触子201側において発生する発熱を低減できるとともに、超音波探触子201の回路規模が小さくなり、更なる小型化が可能となる。また、ケーブル204を介して、装置本体205側から超音波探触子201に供給していた電源VEEが必要なくなるため、ケーブル204内の配線本数を削減することができ、ケーブルの軽量化も可能となる。
【0044】
以上、第4実施形態の超音波診断装置は、第3実施形態の超音波診断装置と同様の効果がある。更に、超音波探触子201側の発熱を低減できるとともに、超音波探触子201の更なる小型化及びケーブルの軽量化も可能となる。
【0045】
<第5実施形態>
図10を参照しながら、第5実施形態のインピーダンス変換回路について説明する。以下、第4実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付けて、重複する説明を省略する。
【0046】
図10に示すように、第5実施形態では、第4実施形態におけるケーブル204と装置本体205内に配置された動作電流を決定する抵抗105の間に、制御スイッチ211が接続されている。
【0047】
超音波探触子201には超音波振動子202がアレイ状に配置されているが、一般的に、同時に全ての超音波振動子202を動作させることは少ない。そのため、制御スイッチ211を設けて、動作していない超音波振動子202に接続されるインピーダンス変換回路203の制御スイッチ211をオフとすることによって、動作していない超音波振動子202に接続されるインピーダンス変換回路203には電流が流れなくなり、超音波探触子201の発熱を抑制することが可能となる。
【0048】
以上、第5実施形態の超音波診断装置は、第4実施形態の超音波診断装置と同様の効果がある。更に、動作していない超音波振動子202に接続されるインピーダンス変換回路203に電流が流れないようにして、超音波探触子201の発熱を抑制することが可能となる。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る超音波探触子等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。たとえば、本例では二電源の例で示したが、電位の関係が同様であれば、単一電源でも実現可能である。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0050】
102………高耐圧トランジスタ
103、104、105………抵抗
106、111………高耐圧ダイオード
107………コイル
108a、108b、109a、109b………ダイオード
110………コンデンサ
112………可変抵抗
201………超音波探触子
202………超音波振動子
203………インピーダンス変換回路
204………ケーブル
205………装置本体
206………駆動パルス発生部
207………信号生成部
208………受信回路
209………信号処理部
210………画像表示部
211………制御スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子と、
トランジスタのエミッタホロワを有するインピーダンス変換回路と、
前記トランジスタのコレクタと第1電源間に接続される第1ダイオードと、
前記トランジスタのベースと前記超音波振動子の間には、駆動パルスに対して、前記超音波振動子に印加された駆動パルスを増幅するための共振回路と、
を備えたことを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
前記トランジスタのエミッタには、出力インピーダンスを調整するための第1素子と、動作電流を決める第2素子が接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記超音波振動子と前記第2素子との間には、正極性駆動パルスを通過させるための第2ダイオード及び第3ダイオードと、負極性駆動パルスを通過させるための第4ダイオード及び第5ダイオードが接続され、
前記高耐圧トランジスタのベースと前記超音波振動子の間にはコイルが接続され、
前記第2ダイオード及び前記第3ダイオードの間と前記第4ダイオード及び前記第5ダイオードの間にはコンデンサが接続され、
前記第2ダイオード及び前記第3ダイオードの間には、前記トランジスタのベースが接続され、
前記コイル及び前記コンデンサが前記共振回路となる
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記第2素子と第2電源間には、第6ダイオードが接続される
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記第1素子が可変抵抗器である
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波探触子。
【請求項6】
超音波探触子と、装置本体部と、前記超音波探触子と前記装置本体部とを電気的に接続するケーブルとを具備する超音波診断装置であって、
前記超音波探触子は、
超音波振動子と、
トランジスタのエミッタホロワを有するインピーダンス変換回路と、
前記トランジスタのコレクタと第1電源間に接続される第1ダイオードと、
前記トランジスタのベースと前記超音波振動子の間には、駆動パルスに対して、前記超音波振動子に印加された駆動パルスを増幅するための共振回路と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
前記トランジスタのエミッタには、出力インピーダンスを調整するための第1素子が接続され、
前記装置本体部には、動作電流を決める第2素子が配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記超音波振動子と前記第2素子との間には、正極性駆動パルスを通過させるための第2ダイオード及び第3ダイオードと、負極性駆動パルスを通過させるための第4ダイオード及び第5ダイオードが接続され、
前記高耐圧トランジスタのベースと前記超音波振動子の間にはコイルが接続され、
前記第2ダイオード及び前記第3ダイオードの間と前記第4ダイオード及び前記第5ダイオードの間にはコンデンサが接続され、
前記第2ダイオード及び前記第3ダイオードの間には、前記トランジスタのベースが接続され、
前記コイル及び前記コンデンサが前記共振回路となる
ことを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記ケーブルと前記第2素子の間には、制御スイッチが接続される
ことを特徴とする請求項8に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−239773(P2012−239773A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115302(P2011−115302)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】