説明

超音波探触子

【課題】径を大きくしなくても、挿入部の温度上昇を抑制できる超音波探触子を提供する。
【解決手段】この超音波探触子は、複数の超音波トランスデューサ102を有する超音波トランスデューサ部1と、超音波トランスデューサ部1を収容する外装部材70と、外装部材70に設けられた開口72と、外装部材70内に配置され、超音波トランスデューサ部1に接続する熱伝導部材81と、外装部材70の外面に設けられ、開口72を介して熱伝導部材81に接続する放熱部材82とを具備する。放熱部材82は、例えば一部が開口72内に位置しており、該一部が熱伝導部材81に接続する。放熱部材82は、超音波トランスデューサ部1と絶縁している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部消化器官や気管支等の体腔検査に用いる超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、被検体の内部を観察して診断を行うために、様々な撮像技術が開発されている。それらの中でも、特に、超音波を送受信することによって被検体の内部情報を取得する超音波撮像は、リアルタイムで画像観察を行うことができる上に、X線写真やRI(radio isotope)シンチレーションカメラ等の他の医用画像技術と異なり、放射線による被曝がない。そのため、超音波撮像は、安全性の高い撮像技術として、産科領域における胎児診断の他、婦人科系、循環器系、消化器系等を含む幅広い領域において利用されている。
【0003】
超音波撮像とは、音響インピーダンスが異なる領域の境界(例えば、構造物の境界)において超音波が反射される性質を利用する画像生成技術である。超音波撮像を用いる超音波診断装置には、通常、被検体に接触させて用いられる体表用超音波探触子や、被検体の体腔内に挿入して用いられる体腔内用超音波探触子が備えられている。さらに、近年においては、被検体内を光学的に観察する内視鏡と体腔内用の超音波探触子とが組み合わせられた超音波内視鏡が使用されている。
【0004】
そのような超音波探触子を用いて、人体等の被検体に向けて超音波ビームを送信し、被検体において生じた超音波エコーを受信すると、超音波画像情報が取得される。この超音波画像情報に基づいて、被検体内に存在する構造物(例えば、内臓や病変組織等)の超音波画像が、超音波内視鏡に接続された超音波内視鏡装置本体の表示部に表示される。
【0005】
超音波を送信及び受信する超音波トランスデューサとしては、圧電効果を発現する材料(圧電体)の両面に電極を形成した振動子(圧電振動子)が、一般的に用いられている。この振動子の電極に電圧を印加すると、圧電効果により圧電体が伸縮して超音波が発生する。複数の振動子を1次元又は2次元状に配列し、それらの振動子を順次駆動することにより、所望の方向に送信される超音波ビームを形成することができる。また、振動子は、伝播する超音波を受信することによって伸縮して電気信号を生成する。この電気信号は、超音波の検出信号として用いられる。
【0006】
超音波を送信する際には、大きなエネルギーを有する駆動信号が超音波トランスデューサに供給されるが、駆動信号のエネルギーの全てが音響エネルギーに変換される訳ではなく、かなりのエネルギーが熱となってしまうので、超音波探触子の使用中にその温度が上昇するという問題が生じている。一方、超音波探触子の挿入部は、人体等の生体に直接接触するため、低温火傷防止等の安全上の理由から、超音波探触子の挿入部の表面温度を所定の温度以下にすることが要請されている。
【0007】
超音波探触子の挿入部の表面温度を低くする為の技術として、特許文献1には、プローブ内部の熱源から発生した熱をプローブ内部の熱収集手段で集め、この熱収集手段が集めた熱を、ヒートパイプ等の熱伝達手段を用いて熱源から離れた位置に導く技術が開示されている。しかし、超音波探触子が人体の内部に挿入される場合、超音波探触子の外径を細くする必要があるが、ヒートパイプ等の熱伝達手段の熱伝達率を十分高くするためには、熱伝達手段の径を大きくする必要がある。このため、特許文献1の技術を人体の内部に挿入される超音波探触子に適用することは難しい。
【0008】
また、特許文献2には、超音波プローブにおいて、振動子部及び回路基板で発生した熱を、熱伝導部を介してシールドケースに伝達し、シールドケースに伝達された熱を送冷媒器及び冷媒管による吸熱部に吸収させることにより、振動子部を冷却する技術が開示されている。しかし、超音波探触子が人体の内部に挿入される場合、超音波探触子の外径を細くする必要があるため、特許文献2の技術を適用することは難しい。
【0009】
また、特許文献3には、超音波トランスデューサ内部の集積回路に接触して、そこで発生した熱を外部に引き出す伝熱構造を設け、この伝熱構造によって引き出された熱を、通信ケーブル内のヒートシンクとして機能する伝導材料に逃がすことが開示されている。しかしながら、内視鏡では信号ケーブルの断面積が小さく、放熱のために信号ケーブルを利用したのでは、断面積が小さいので、十分な放熱効果を得ることができない。
【0010】
【特許文献1】特開平9−140706号公報
【特許文献2】特開2006−204552号公報
【特許文献3】登録実用新案第3061292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記したように、従来は、超音波探触子の径を小さくする必要がある場合に、超音波探触子の温度上昇を小さくすることは難しかった。本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、径を小さくしても温度上昇を抑制することができる超音波探触子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る超音波探触子は、複数の超音波トランスデューサを有する超音波トランスデューサ部と、
前記超音波トランスデューサ部を収容する外装部材と、
前記外装部材に設けられた開口と、
前記外装部材内に配置され、前記超音波トランスデューサ部に接続する熱伝導部材と、
前記外装部材の外面に設けられ、前記開口を介して前記熱伝導部材に接続する放熱部材と、
を具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前記超音波トランスデューサ部で生じた熱は、前記熱伝導部材を介して、前記外装部材の外面に設けられた前記放熱部材へ伝わり、前記放熱部材から外部に放熱される。このように、前記放熱部材が前記外装部材の外面に設けられている為、超音波探触子の径を小さくしても、超音波探触子の温度上昇を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の各実施形態に係る超音波内視鏡の外観を示す模式図である。図1に示すように、超音波探触子の一例である超音波内視鏡40は、挿入部41と、操作部42と、接続コード43と、ユニバーサルコード44とを含んでいる。挿入部41は、被検体の体内(例えば気管支内)に挿入することができるように、可撓性を有する部材によって形成された細長い管によって構成され、先端に超音波トランスデューサ部1を備えている。
【0015】
操作部42は、挿入部41の基端に設けられており、接続コード43と、ユニバーサルコード44とを介して超音波内視鏡装置本体(図示せず)に接続される。操作部42に設けられた処置具挿入口46は、穿刺針や鉗子等の処置具を導入する孔であり、操作部42においてこれらの処置具を操作することにより、被検体の体腔内において種々の処置が行われる。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端を示す斜視図である。図3は、第1の実施形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端の構造を示す断面図である。これらの図に示すように、本実施形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端は、超音波を送受信する超音波トランスデューサ部1と、超音波トランスデューサ部1と超音波内視鏡装置本体との間で信号を伝送する信号線2と、患部に光を照射するライトガイド部3aと、患部を光学的に撮像する撮像部3(図2のみに図示)と、超音波トランスデューサ部1及び信号線2の先端部を収容する外装部材70と、外装部材70に取付けられ、撮像部3及びライトガイド部3aを保持する光学系収容部材90と、外装部材70及び光学系収容材90を支持し、屈曲可能である屈曲部11と、屈曲部11を操作部42(図1に図示)に連結する連結部15と、少なくとも屈曲部11及び連結部15を被覆する被覆材6とを有している。この先端の外径は、例えば6.9mm以下である。外装部材70及び光学系収容部材90は、例えばポリエーテルイミドなどの樹脂である。
【0017】
撮像部3は、光学系収容部材90に設けられた観察窓3dと、観察窓3dに装着されている対物レンズと、この対物レンズの結像位置に配置されたCCDカメラ等の固体撮像素子又はイメージガイドの入力端とを有している。ライトガイド部3aは、光学系収容部材90に設けられた照明窓32と、照明窓32から光を出射する光ファイバー31を有している。照明窓32には、照明用レンズが装着されている。
【0018】
屈曲部11は、複数の駒状のアングルリング12を屈曲させる支点を互い違いに90度ずらして配置することにより構成される。それらのアングルリング12は、ピン13によって互いに変位可能に接続されて、ヒンジ構造を形成している。連結部15は、螺旋状部材16を含んでいる。螺旋状部材16は、例えばステンレス鋼で形成されている。被覆材6は、例えば、フッ素ゴム系の絶縁材料で形成される。
【0019】
超音波トランスデューサ部1は、例えば、コンベックス型の多列アレイであり、例えば、バッキング材104の上面に配置された複数個の超音波トランスデューサ102と、複数個の超音波トランスデューサ102を覆う音響レンズ101を有する。音響レンズ101と超音波トランスデューサ102の間には、1つ又は複数の音響整合層103が配置されている。
【0020】
音響整合層103は、超音波を伝播し易いパイレックス(登録商標)ガラスや金属粉入りエポキシ樹脂等によって形成されており、生体である被検体と超音波トランスデューサ102との間の音響インピーダンスのマッチングを図っている。これにより、超音波トランスデューサ102から送信される超音波が効率良く被検体中に伝播する。
【0021】
音響レンズ101は、外装部材70の上面から露出しており、例えば、シリコーンゴムによって形成されている。音響レンズ101は、超音波トランスデューサ102から送信され、音響整合層103を伝播した超音波ビームを、被検体内の所定の深度において集束させる。
【0022】
バッキング材104は、例えばゴムなどのエラストマーであるが、エラストマ−からなる基材に、当該基材より熱伝導性の高いフィラーを混入した構成であってもよい。この場合、フィラーとしては、例えばフェライト、タングステン、アルミナ等が用いられる。超音波トランスデューサ部1は、音響レンズ101が露出した状態で、外装部材70の内部に格納されている。バッキング材104にも超音波トランスデューサ102が生成した超音波が加わる為、バッキング材104からも発熱する。
【0023】
バッキング材104の裏面には、熱伝導部材81が接続されている。熱伝導部材81は、例えば板状の部材であり、外装部材70の側面に交わる方向、例えば外装部材70の内面に対して斜めに配置されている。熱伝導部材81の厚さは例えば30μm以上1mm以下であるが、特に好ましくは500μm以上700μm以下である。熱伝導部材81は、バッキング材104の裏面の全面に接続しているのが好ましいが、一部(例えば裏面の半分以上)に接続していても良い。熱伝導部材81は、熱伝導率が10W/(m・K)以上の絶縁物、例えばAlNから構成されている。熱伝導部材81の一部、例えば側面は、外装部材70に設けられた開口部72に面している。開口部72は、例えば外装部材70の裏面から側面下部(例えば下側半分)にかけて設けられる。熱伝導部材81とバッキング材104は、例えば熱伝導性の高い接着剤を介して接続している。
【0024】
外装部材70の側面の外面には、放熱部材82が取り付けられている。放熱部材82は外装部材70の外面に沿った板状の部材であり、熱伝導率が10W/(m・K)以上の物質、例えばステンレス鋼(例えばSUS304)から構成されている。放熱部材82は薄くてよく、その厚さは例えば0.1mm以上0.2mm以下である。放熱部材82は、外装部材70の側面に設けられた開口部72を塞ぐように覆っており、かつ一部が開口部72に入り込んでいる。この一部は熱伝導部材81に接続している。熱伝導部材81と放熱部材82は、例えば熱伝導性の高い接着剤を介して接続している。外装部材70のうち開口部72に入り込んでいる部分の端面は、例えば外装部材70の内面と面一になっている。放熱部材82は、例えば外装部材70の裏面から側面下部(例えば下側半分)にかけて設けられるが、側面の全面に設けられても良い。前者のようにした場合、超音波トランスデューサ102を配置する部分の面積を大きくすることができる。シミュレーションによれば、本実施形態において例えば熱伝導部材81の熱伝導率が10W/mKの場合、熱伝導部材81及び放熱部材82を設けない場合と比較して音響レンズ101の表面の温度上昇を25%低減できる。
【0025】
信号線2は、例えば、複数個の超音波トランスデューサ102にそれぞれ接続される複数のシールド線により構成される。信号線2は、信号線収容部20の内部を通っている。信号線収容部20の先端は、熱伝導部材81に接続しており、かつ信号線収容部20の一部は、外装部材70に接している。信号線収容部20の内部には、熱伝導性充填材22が充填されている。熱伝導性充填材22は、熱伝導率が2W/(m・K)以上かつ絶縁性を有しており、例えば信越化学工業(株)製シリコーンゴム接着剤KE-3467,KE-1867,KE-32-2152等である。なお熱伝導性充填材22の熱伝導率は、更に好ましくは10W/(m・K)以上である。
【0026】
このような構成において、超音波トランスデューサ102で生じた熱は、バッキング材104を介して熱伝導部材81に伝熱し、かつバッキング材104で生じた熱は熱伝導部材81に伝熱する。熱伝導部材81に伝熱した熱は、開口部72に入り込んだ部分を介して放熱部材82に伝熱し、放熱部材82から外部に放熱される。従って、外装部材70の内部で熱が溜まることが抑制され、その結果、超音波内視鏡40の挿入部の先端が温度上昇することを抑制できる。バッキング材104に熱伝導性の高いフィラーが混入されている場合、この効果は特に大きくなる。また、熱伝導部材81は絶縁物で形成されているため、超音波トランスデューサ部1と放熱部材82との絶縁が確保される。
【0027】
また、熱伝導部材81を設ける為に超音波内視鏡40の挿入部の先端の径を大きくする必要はなく、また放熱部材82は薄くてよい。従って、超音波内視鏡40の挿入部の先端の径は大きくならない。
【0028】
また、信号線収容部20の内部に熱伝導性充填材22が充填されている為、超音波トランスデューサ102で生じた熱は、バッキング材104を介して熱伝導性充填材22にも伝達し、さらに熱伝導性充填材22を介して他の部分(例えば外装部材70)に放熱される。従って、超音波内視鏡40の挿入部の先端が温度上昇することをさらに抑制できる。
【0029】
図4は、超音波トランスデューサ102の構成を説明するための斜視図である。超音波トランスデューサ102は、PZT等によって形成されている複数の圧電体層102dと、下部電極層102eと、複数の圧電体層102dの間に交互に挿入された内部電極層102f及び102gと、上部電極層102hと、絶縁膜102iと、側面電極102j及び102kとを有している。
【0030】
下部電極層102eは、図中右側の側面電極102kに接続されていると共に、図中左側の側面電極102jから絶縁されている。上部電極層102hは、側面電極102jに接続されていると共に、側面電極102kから絶縁されている。また、内部電極層102fは、側面電極102jに接続されていると共に、絶縁膜102iによって側面電極102kから絶縁されている。一方、内部電極層102gは、側面電極102kに接続されていると共に、絶縁膜102iによって側面電極102jから絶縁されている。超音波トランスデューサ102の複数の電極をこのように形成することにより、3層の圧電体層102dに電界を印加するための3組の電極が並列に接続される。なお、圧電体層102dの層数は、3層に限られず、2層又は4層以上としても良い。
【0031】
このような積層型の超音波トランスデューサ102においては、圧電体層102dに接する電極の面積が単層の場合と比較して加するので、電気的インピーダンスが低下する。従って、同じサイズの単層の超音波トランスデューサと比較して、発振出力が増大し、かつ印加される電圧に対して効率良く動作する。具体的には、圧電体層102dをN層とすると、圧電体層102dの数は単層の圧電振動子のN倍となり、各圧電体層102dの厚さは単層の圧電振動子の1/N倍となるので、超音波トランスデューサ102の電気インピーダンスは1/N倍となる。従って、圧電体層102dの積層数を増減させることにより、超音波トランスデューサ102の電気的インピーダンスを調整できるので、駆動回路又はプリアンプとの電気的インピーダンスマッチングを図り易くなり、感度を向上させることができる。
【0032】
一方、超音波トランスデューサ102を積層型とすることにより静電容量が増加するので、超音波トランスデューサ102からの発熱量は増加してしまう。しかし、本実施形態では熱伝導部材81及び放熱部材82を設けている為、超音波トランスデューサ102で生じた熱は効率よく外部に放熱され、その結果、超音波内視鏡40の挿入部の先端が温度上昇することを抑制できる。
【0033】
以上、本発明の第1の実施形態によれば、超音波トランスデューサ102で生じた熱は、バッキング材104を介して熱伝導部材81に伝熱する。熱伝導部材81に伝熱した熱は、開口部72に入り込んだ部分を介して、外装部材70の側面の外面に取付けられた放熱部材82に伝熱し、放熱部材82から外部に放熱される。このように、放熱部材82は外装部材70の外面に取付けられている為、超音波内視鏡40の挿入部の径が小さくても、この挿入部の先端が温度上昇することを抑制できる。また、熱伝導部材81を外装部材70の側面に交わる方向に配置した為、熱伝導部材81の熱伝導効率を上げる為に熱伝導部材81の断面積を大きくしても、超音波内視鏡40の挿入部の径は大きくならない。また、熱伝導部材81を絶縁性の材料で形成したため、外装部材70の外面に位置する放熱部材82と超音波トランスデューサ部1との絶縁が確保される。
【0034】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る超音波内視鏡の構成を説明するための断面図であり、第1の実施形態における図3に相当する。本実施形態に係る超音波内視鏡は、熱伝導部材81が導電材料(例えばSUS304などのステンレス鋼)で形成されている点、及び放熱部材82が絶縁材料により形成されている点を除いて、第1の実施形態に係る超音波内視鏡と同様の構成である。熱伝導部材81及び放熱部材82は、それぞれ熱伝導率が10W/(m・K)以上であるのが好ましい。
【0035】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様に、超音波内視鏡40の挿入部の先端が温度上昇することを抑制でき、かつ超音波内視鏡40の先端部の径が大きくなることを抑制できる。また、放熱部材82が絶縁材料により形成されているため、第1の実施形態と同様に、外装部材70の外面に位置する放熱部材82と超音波トランスデューサ部1との絶縁が確保される。
【0036】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る超音波内視鏡の構成を説明するための断面図であり、第1の実施形態における図3に相当する。本実施形態に係る超音波内視鏡は、外装部材70が熱伝導性の高い材料(例えばSUS304などのステンレス鋼)で形成されている点を除いて、第1の実施形態と同様の構成である。本実施形態において外装部材70は、熱伝導率が10W/(m・K)以上であるのが好ましい。シミュレーションによれば、本実施形態において例えば外装部材70の熱伝導率が10W/mKの場合、第1の実施形態と比較して音響レンズ101の表面の温度上昇を15%低減できる。なお、図6において外装部材70は導電性のある材料で形成されているが、熱伝導性が高い樹脂を用いてもよい。
【0037】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、熱伝導部材81を介して伝熱してきた熱を、外装部材70から放熱することもできる。従って、超音波内視鏡40の挿入部の先端が温度上昇することをさらに抑制できる。
【0038】
図7は、本発明の第4の実施形態に係る超音波内視鏡の構成を説明するための断面図であり、第1の実施形態における図3に相当する。本実施形態に係る超音波内視鏡は、放熱部材82が開口部72内に入り込んでいない点、及び熱伝導部材81の端部が外装部材70の開口部72内に入り込んで放熱部材82に接続している点を除いて、第1の実施形態と同様の構成である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
なお、上記した各実施形態において、超音波トランスデューサ102は複数の圧電体層を積層させた構造である必要はなく、圧電体層が単層であってもよい。また、被検体を光学的に観察する為の撮像部3及びライトガイド部3aを有さなくても良い。
【0040】
図8は、本発明の各実施形態に係る超音波内視鏡と超音波内視鏡装置本体とを含む超音波内視鏡装置を示す図である。超音波トランスデューサ部1(図3)に含まれている複数の超音波トランスデューサは、複数のシールド線により、挿入部41、操作部42、及び、接続コード43を介して、超音波内視鏡装置本体50に電気的に接続される。それらのシールド線は、超音波内視鏡装置本体50において生成される複数の駆動信号をそれぞれの超音波トランスデューサに伝送すると共に、それぞれの超音波トランスデューサから出力される複数の受信信号を超音波内視鏡装置本体50に伝送する。
【0041】
超音波内視鏡装置本体50は、超音波制御部51と、駆動信号生成部52と、送受信切換部53と、受信信号処理部54と、画像生成部55と、超音波画像表示部56と、光源60と、撮像制御部61と、撮像素子駆動信号生成部62と、ビデオプロセス部63と、撮像表示部64とを含んでいる。
【0042】
超音波制御部51は、超音波トランスデューサ部1を用いた撮像動作を制御する。駆動信号生成部52は、例えば、複数の駆動回路(パルサー等)を含み、複数の超音波トランスデューサをそれぞれ駆動するために用いられる複数の駆動信号を生成する。送受信切換部53は、超音波トランスデューサ部1への駆動信号の出力と、超音波トランスデューサ部1からの受信信号の入力とを切り換える。
【0043】
受信信号処理部54は、例えば、複数のプリアンプと、複数のA/D変換器と、ディジタル信号処理回路又はCPUとを含み、複数の超音波トランスデューサから出力される受信信号について、増幅、整相加算、検波等の所定の信号処理を施す。画像生成部55は、所定の信号処理が施された受信信号に基づいて、超音波画像を表す画像データを生成する。超音波画像表示部56は、そのようにして生成された画像データに基づいて、超音波画像を表示する。
【0044】
光源60は、被検体の照明に使用する光を発生する。光源60から出た光は、ユニバーサルコード44内の光ファイバー31(図3)を介して、挿入部41の照明窓32(図3)を通して被検体を照明する。照明された被検体は、挿入部41の観察窓3d(図2)を通して撮像部3によって撮像され、撮像部3から出力される映像信号が、接続コード43を介して、超音波内視鏡装置本体50のビデオプロセス部63に入力される。
【0045】
撮像制御部61は、撮像部3を用いた撮像動作を制御する。撮像素子駆動信号生成部62は、撮像部3に供給される駆動信号を生成する。ビデオプロセス部63は、撮像部3から入力される映像信号に基づいて画像データを生成する。撮像表示部64は、ビデオプロセス部63から画像データを入力して、被検体の画像を表示する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、上部消化器官や気管支等の体腔検査に用いる超音波探触子、超音波探触子を備えた超音波内視鏡、及び超音波内視鏡を備えた超音波内視鏡装置において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の各実施形態に係る内視鏡の外観を示す模式図。
【図2】第1の実施形態に係る超音波内視鏡の先端を示す斜視図。
【図3】第1の実施形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端の構造を示す断面図。
【図4】超音波トランスデューサ102の構成を説明するための斜視図。
【図5】第2の実施形態に係る超音波内視鏡の構成を説明するための断面図。
【図6】第3の実施形態に係る超音波内視鏡の構成を説明するための断面図。
【図7】第4の実施形態に係る超音波内視鏡の構成を説明するための断面図。
【図8】本発明の各実施形態に係る超音波内視鏡と超音波内視鏡装置本体とを含む超音波内視鏡装置を示す図。
【符号の説明】
【0048】
1…超音波トランスデューサ部、2…信号線、3…撮像部、3a…ライドガイド部、3d…観察窓、6…被覆材、11…屈曲部、12…アングルリング、13…ピン、15…連結部、16…螺旋状部材、20…信号線収容部、22…熱伝導性充填材、31…光ファイバー、32…照明窓、40…超音波内視鏡、41…挿入部、42…操作部、43…接続コード、44…ユニバーサルコード、46…処置具挿入口、50…超音波内視鏡装置本体、51…超音波制御部、52…駆動信号生成部、53…送受信切換部、54…受信信号処理部、55…画像生成部、56…超音波画像表示部、60…光源、61…撮像制御部、62…撮像素子駆動信号生成部、63…ビデオプロセス部、64…撮像表示部、70…外装部材、72…開口部、81…熱伝導部材、82…放熱部材、90…光学系収容部材、101…音響レンズ、102…超音波トランスデューサ、102d…圧電体層、102e…下部電極層、102f,102g…下部電極層、102h…上部電極層、102i…絶縁膜、102j,102k…側面電極、103…音響整合層、104…バッキング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の超音波トランスデューサを有する超音波トランスデューサ部と、
前記超音波トランスデューサ部を収容する外装部材と、
前記外装部材に設けられた開口と、
前記外装部材内に配置され、前記超音波トランスデューサ部に接続する熱伝導部材と、
前記外装部材の外面に設けられ、前記開口を介して前記熱伝導部材に接続する放熱部材と、
を具備する超音波探触子。
【請求項2】
前記放熱部材は、一部が前記開口内に位置しており、該一部が前記熱伝導部材に接続する請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記熱伝導部材は、一部が前記開口内に位置しており、該一部が前記外装部材に接続する請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記超音波トランスデューサ部と絶縁している請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記熱伝導部材及び前記放熱部材の少なくとも一方は絶縁性を有する請求項4に記載の超音波探触子。
【請求項6】
前記熱伝導部材及び前記放熱部材は熱伝導率が10W/(m・K)以上である請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項7】
前記放熱部材はステンレス鋼である請求項6に記載の超音波探触子。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサ部はバッキング部材を有し、
前記熱伝導部材は、前記バッキング部材に接続し、
前記バッキング部材は、絶縁性の基材に、該基材より熱伝導率が高いフィラーを混合した材料により形成されている請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項9】
前記超音波トランスデューサは、電極を介して積層された複数の圧電体を有する請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項10】
前記外装部材は熱伝導率が10W/(m・K)以上である請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項11】
前記外装部材はステンレス鋼である請求項10に記載の超音波探触子。
【請求項12】
前記超音波トランスデューサ部に接続し、前記超音波トランスデューサの駆動信号を伝達する信号線と、
前記外装部材内に設けられ、前記信号線を収容し、端部が前記熱伝導部材に接続する信号線収容部と、
前記信号線収容部に充填された熱伝導性充填剤と、
を具備する請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項13】
前記熱伝導性充填剤の熱伝導率は2W/(m・K)以上である請求項12に記載の超音波探触子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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