説明

超音波流量計、流量制御システム、流量測定方法、流量制御方法

【課題】流体の温度や濃度に応じてその流体の流れ特性が変わった場合でも、流体の流量を正確に計測することができる超音波流量計を提供すること。
【解決手段】超音波流量計27の超音波センサ部33において、洗浄液W1を流す液体圧送用管路44における上流側と下流側と一対の超音波振動子41,42が配置される。各超音波振動子41,42の間で送受信される超音波の伝搬時間が測定され、超音波の伝搬時間に基づいて、洗浄液W1の音速及び流速が演算により算出される。洗浄液W1の音速と温度センサ部45で測定した温度とに基づいて、洗浄液W1の濃度が演算により算出される。洗浄液W1の温度及び濃度に応じて洗浄液W1の流速が補正され、その流速に基づいて洗浄液W1の流量が求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質が溶解、または混合された流体の流量を測定するための超音波流量計、その超音波流量計を利用した流量制御システム、流量測定方法及び流量制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を利用して流体の流量を測定する超音波流量計が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この超音波流量計では、測定用流体が流れる配管の上流側及び下流側に超音波振動子を設け、超音波振動子を用いて超音波を送受信し、上流側から下流側に伝搬する超音波の伝搬時間と下流側から上流側に伝搬する超音波の伝搬時間との時間差に基づいて測定用流体の流量を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−162269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、固相、液相、気相の物質が溶解、または混合された流体を流す流量制御システムにおいて、流体の濃度や温度が変化すると、その変化に伴って流体の流れ特性が変化する。このため、上記超音波流量計を用いて測定した流体の流量と実際に流れる流体の流量とで計測誤差が生じる場合がある。特に、液体では、種類、濃度、温度による粘度変化が気体に比べて大きいため、流れ特性に応じた誤差が大きくなり、流量の測定精度が低下する。またこの場合、流体の温度や濃度に応じた補正を行えば、流量誤差を少なくすることが可能である。しかしながら、従来の超音波流量計では、流体の流量しか計測できないため、誤差の少ない正確な流量を求めるためには、濃度計や温度計が別途必要となってしまう。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、物質が溶解、または混合された流体の流量を正確に計測することができる超音波流量計及び流量測定方法を提供することにある。また、別の目的は、物質が溶解、または混合された流体の流量を正確に制御することができる流量制御システム及び流量制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、物質が溶解、または混合された流体の流量を計測する超音波流量計であって、前記流体を流す管路における上流側と下流側とに配置される一対の超音波振動子を用いて相互に超音波を送受信することにより、前記超音波振動子の間で送受信される超音波の伝搬時間を測定するための超音波センサ部と、前記管路に設けられ、前記流体の温度を測定するための温度センサ部と、前記超音波センサ部で得られた前記超音波の伝搬時間に基づいて、前記流体の音速及び流速を演算により算出する第1演算手段と、前記温度センサ部によって得られた前記温度と、前記第1演算手段で算出した前記音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出する第2演算手段と、前記流体の温度及び濃度に応じて、前記流速から求めた流量または前記流速を補正して前記流体の流量を求める補正流量演算手段とを備えたことを特徴とする超音波流量計をその要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によると、超音波センサ部において、管路には物質が溶解、または混合された流体が流れ、その流体の流れの正方向に伝搬した超音波と逆方向に伝搬した超音波との伝搬時間が測定される。そして、第1演算手段により、各超音波の伝搬時間に基づいて管路を流れる流体の音速及び流速が算出される。なお、この流体の流速と流路の断面積とに基づいて、温度や濃度を考慮しない補正前の流量を求めることができる。また、第2演算手段により、温度センサ部によって得られた流体の温度と第1演算手段が算出した音速とに基づいて、流体の濃度が算出される。さらに、補正流量演算手段により、流体の温度及び濃度に応じて、流速から求めた補正前の流量または流速を補正することで、流体の流量が求められる。このように構成すると、流体の温度や濃度に応じてその流体の流れ特性が変わった場合でも、流体の流量を正確に計測することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記流体が液体またはスラリーであることをその要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明のように、流体が液体またはスラリーであると、温度や濃度に応じて粘度が大きく変化する。このため、流体の温度及び濃度に応じて流量を補正することにより、流体の流量をより正確に求めることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記流体の温度及び濃度に応じた動粘度を規定した第1のデータがあらかじめ記憶された記憶手段をさらに備え、前記補正流量演算手段は、前記記憶手段が記憶している第1のデータを参照して前記流体の動粘度を算出し、その算出結果に基づいて前記流体の流量を補正するものであることをその要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によると、補正流量演算手段により、記憶手段の第1のデータが参照され、流体の温度及び濃度に応じた動粘度が算出される。そして、その温度及び濃度に応じた動粘度に基づいて流体の流量が補正される。このようにすると、流体の温度や濃度が変化した場合でもその流体の流量を正確に求めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記記憶手段には、前記流体の音速、温度及び濃度の相関関係を規定した第2のデータがあらかじめ記憶され、前記第2演算手段は、前記記憶手段が記憶している前記第2のデータと、前記温度センサ部によって得られた前記温度と、前記第1演算手段が算出した前記音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出するものであることをその要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によると、第2演算手段により、記憶手段の第2のデータと温度センサ部によって得られた温度と第1演算手段が算出した音速とに基づいて、それらの相関関係を利用することにより、流体の濃度が算出される。このようにすると、比較的簡単な演算にて流体の濃度を正確に求めることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、物質が溶解、または混合された流体の流量を制御する流量制御システムであって、請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波流量計と、前記超音波流量計により算出された前記流体の流量に基づいて、前記管路に流す前記流体の流量を調節する流量調節手段とを備えたことを特徴とする流量制御システムをその要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によると、超音波流量計で算出された流体の流量に基づいて、流量調節手段により管路に流す流体の流量が調節される。このようにすると、流体の温度や濃度に応じてその流体の流れ特性が変わった場合でも、流体の流量を正確に制御することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記超音波流量計により算出された前記流体の濃度に基づいて、前記管路に流す前記流体の濃度を調節する濃度調節手段をさらに備えたことをその要旨とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によると、超音波流量計で算出された流体の濃度に基づいて、濃度調節手段により、管路に流す流体の濃度が調節される。このようにすると、流量計と濃度計とを別々に設けなくても、システムに適した濃度及び流量の流体を管路に流すことができる。このため、流量制御システムの部品コストを低減することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6において、前記超音波流量計により測定された前記流体の温度に基づいて、前記管路に流す前記流体の温度を調節する温度調節手段をさらに備えたことをその要旨とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によると、超音波流量計で算出された流体の温度に基づいて、温度調節手段により、管路に流す前記流体の温度が調節される。このようにすると、流量計と温度計とを別々に設けなくても、システムに適した温度及び流量の流体を管路に流すことができる。このため、流量制御システムの部品コストを低減することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、物質が溶解、または混合された流体の流量を測定する流量測定方法であって、前記流体を流す管路における上流側と下流側とに配置される一対の超音波振動子を用いて相互に超音波を送受信することにより、前記超音波振動子の間で送受信される超音波の伝搬時間を測定するステップと、前記管路を流れる前記流体の温度を測定するステップと、前記超音波の伝搬時間に基づいて、前記流体の音速及び流速を演算により算出するステップと、前記流体の温度と前記音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出するステップと、前記流体の温度及び濃度に応じて、前記流速から求めた流量または前記流速を補正して前記流体の流量を求めるステップとを含むことを特徴とする流量測定方法をその要旨とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によると、請求項1と同様に、流体の温度及び濃度に応じて、補正前の流量または流速を補正することで、流体の流量が求められる。従って、流体の温度や濃度に応じてその流体の流れ特性が変わった場合でも、流体の流量を正確に計測することができる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項8において、前記流量を補正するステップにおいて、前記流体の温度及び濃度に応じた動粘度を規定した第1のデータを参照して前記流体の動粘度を算出し、その算出結果に基づいて前記流体の流量を補正することをその要旨とする。
【0023】
請求項9に記載の発明によると、第1のデータが参照され、流体の温度及び濃度に応じた動粘度が算出される。そして、その温度及び濃度に応じた動粘度に基づいて流体の流量が補正される。このようにすると、流体の温度及び濃度が変化した場合でもその流体の流量を正確に求めることができる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項9において、前記流体の濃度を算出するステップにおいて、前記流体の音速、温度及び濃度の相関関係を規定した第2のデータと、前記流体の温度と、前記流体の音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出することをその要旨とする。
【0025】
請求項10に記載の発明によると、第2のデータと流体の温度と流体の音速とに基づいて、それらの相関関係を利用することにより、流体の濃度が算出される。このようにすると、比較的簡単な演算にて流体の濃度を正確に求めることができる。
【0026】
請求項11に記載の発明は、物質が溶解、または混合された流体の流量を制御する流量制御方法であって、前記流体を流す管路における上流側と下流側とに配置される一対の超音波振動子を用いて相互に超音波を送受信することにより、前記超音波振動子の間で送受信される超音波の伝搬時間を測定するステップと、前記管路を流れる前記流体の温度を測定するステップと、前記超音波の伝搬時間に基づいて、前記流体の音速及び流速を演算により算出するステップと、前記流体の温度と前記音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出するステップと、前記流体の温度及び濃度に応じて、前記流速から求めた流量または前記流速を補正して前記流体の流量を求めるステップと、前記補正した流量に基づいて、前記管路に流す前記流体の流量を調節するステップとを含むことを特徴とする流量制御方法をその要旨とする。
【0027】
請求項11に記載の発明によると、請求項1や請求項8と同様に、流体の温度及び濃度に応じて、補正前の流量または流速を補正することで、流体の流量が求められる。そして、補正後の流量に基づいて、管路に流す流体の流量が調節される。従って、流体の温度や濃度に応じてその流体の流れ特性が変わった場合でも、流体の流量を正確に制御することができる。
【0028】
請求項12に記載の発明は、請求項11において、前記算出した流体の濃度に基づいて、前記管路に流す前記流体の濃度を調節するステップをさらに含むことをその要旨とする。
【0029】
請求項12に記載の発明によると、適正な濃度に調節された流体を管路に流すことができる。
【0030】
請求項13に記載の発明は、請求項11または12において、前記測定した流体の温度に基づいて、前記管路に流す前記流体の温度を調節するステップをさらに含むことをその要旨とする。
【0031】
請求項13に記載の発明によると、適正な温度に調節された流体を管路に流すことができる。
【発明の効果】
【0032】
以上詳述したように、請求項1〜4に記載の発明によると、流体の濃度や温度にかかわらず流体の流量を正確に計測することができる超音波流量計を提供することができる。また、請求項5〜7に記載の発明によると、流体の濃度や温度にかかわらず流体の流量を正確に制御することができる流量制御システムを提供することができる。さらに、請求項8〜10に記載の発明によると、流体の濃度や温度にかかわらず流体の流量を正確に計測することができる流量測定方法を提供することができる。また、請求項11〜13に記載の発明によると、流体の濃度や温度にかかわらず流体の流量を正確に制御することができる流量制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】一実施の形態の洗浄システムを示す概略構成図。
【図2】超音波流量計を示す概略構成図。
【図3】硫酸の音速、液温及び濃度の関係データを示すグラフ。
【図4】硫酸の濃度、液温及び動粘度の関係データを示すグラフ。
【図5】各測定条件における補正後の流量の誤差を示すグラフ。
【図6】各測定条件における補正前の流量の誤差を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を流量制御システムとしての洗浄システム1に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の洗浄システム1を示す概略構成図である。なお、本実施の形態の洗浄システム1は、例えば、過硫酸及び硫酸を含む洗浄液W1(硫酸溶液)を用いて半導体ウェハ2を洗浄するとともに、過硫酸を再生しつつ洗浄液W1を繰り返し利用するシステムである。
【0035】
図1に示されるように、洗浄システム1は、バッチ式の洗浄機10と電解硫酸装置20とを備える。洗浄機10は、半導体ウェハ2の洗浄を行うための洗浄槽11と、洗浄槽11で使用した洗浄液W1を送出するためのポンプ12と、洗浄に適した温度(例えば100℃〜150℃)に洗浄液W1を加熱するためのヒータ13と、洗浄液W1に含まれる異物を除去するフィルタ14とを備える。洗浄機10において、洗浄槽11で使用された洗浄液W1は、ポンプ12によりヒータ13及びフィルタ14を介して洗浄槽11に戻される。また、洗浄液W1の一部がポンプ12の下流側に設けられた分岐流路15を介して電解硫酸装置20に供給される。さらに、電解硫酸装置20で処理された洗浄液W1は、フィルタ14の下流側の流路16に合流された後、洗浄槽11に戻される。
【0036】
電解硫酸装置20は、貯留槽21、電解装置22、冷却器23,24、ポンプ25,26、超音波流量計27、バルブ28,29、純水供給源30、及び制御装置31を備える。電解硫酸装置20において、洗浄機10から供給された洗浄液W1は、冷却器23で所定の温度(例えば、30℃〜80℃)に冷却された後、貯留槽21に一旦蓄えられる。また、貯留槽21の洗浄液W1は、ポンプ25により送出され、冷却器24にて電解反応に適した所定温度(例えば、20℃〜50℃)に冷却された後、電解装置22に供給される。電解装置22は、図示しない陽極及び陰極やそれら電極に直流電圧を印加する電源等を備え、各電極間に洗浄液W1を通液した状態で通電することにより、洗浄液W1を電解反応させる。
【0037】
具体的には、電解装置22において、陽極では化学式(1)及び化学式(2)に示される反応が起こり、陰極では化学式(3)に示される反応が起こる。
【化1】

【化2】

【化3】

【0038】
なお、陽極で生成されたペルオキソ二硫酸が化学式(4)に示される平衡反応によってペルオキソ一硫酸に分解される。なおここでは、ペルオキソ二硫酸とペルオキソ一硫酸とを総称して過硫酸と呼ぶ。
【化4】

【0039】
上述した電解反応によって過硫酸が生成され、過硫酸を含んだ洗浄液W1が電解装置22から貯留槽21に戻される。またこのとき、洗浄液W1に含まれる水が電気分解され消費される。この結果、洗浄液W1中の硫酸濃度が上昇する。この上昇分を希釈するための純水が純水供給源30から純水供給バルブ28を介して貯留槽21に供給されるようになっている。また、電解装置22における電解反応は発熱を伴うため、液温が高くなった洗浄液W1が貯留槽21に戻されることとなるが、冷却器23で冷却された洗浄液W1が洗浄機10から貯留槽21に加えられることで、貯留槽21内の洗浄液W1が所定の温度(例えば、80℃)以下に保持される。この結果、貯留槽21において洗浄液W1に含まれる過硫酸の自己分解が抑えられる。
【0040】
電解硫酸装置20において、貯留槽21の洗浄液W1は、ポンプ26により送出され、流量調節バルブ29を介して洗浄機10に供給される。本実施の形態では、ポンプ26と流量調節バルブ29との間に超音波流量計27が設けられており、この超音波流量計27によって、洗浄機10に供給される洗浄液W1の流量及び濃度が測定される。
【0041】
制御装置31は、CPU、ROM、RAM等のからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。制御装置31は、超音波流量計27の測定結果を取り込み、流量の測定結果に基づいて、ポンプ26の駆動や流量調節バルブ29(流量調節手段)の開度を制御する。また、制御装置31は、濃度の測定結果に基づいて、純水供給バルブ28(濃度調節手段)の開度や電解装置22の処理能力を制御する。この結果、洗浄機10に供給される洗浄液W1があらかじめ設定された所定流量(0.5L/min〜5L/min)及び所定濃度(70%〜95%)となるよう調節される。また、本実施の形態の超音波流量計27は、洗浄液W1の温度を測定する機能を有する。制御装置31は、温度の測定結果を超音波流量計27から取り込み、その温度に基づいて冷却器23(温度調節手段)の冷却能力を調節している。
【0042】
次に、超音波流量計27の具体的な構成について詳述する。
【0043】
図2に示されるように、超音波流量計27は、超音波センサ部33と、温度入力部34と、制御部35と、演算部36と、記憶部37と、出力部38とを備えている。超音波センサ部33は、超音波を送受信するための一対の超音波振動子41,42を備え、各超音波振動子41,42は、液体圧送用管路44を構成する直管部44aの各端部にそれぞれ設けられている。つまり、直管部44a内の流路を挟んで各超音波振動子41,42が対向するように、一方の超音波振動子41が直管部44aの上流端に設けられ、他方の超音波振動子42が直管部44aの下流端に設けられている。超音波センサ部33の液体圧送用管路44は、耐薬品性に優れるフッ素樹脂(例えばテフロン(商標名))を用いて形成されており、直管部44aの長さは10cm程度である。また、この管路44内に形成される流路の断面形状は円形であり、その口径は10mm程度である。
【0044】
超音波センサ部33において、直管部44aの略中央の側壁には、洗浄液W1の温度を検出するための温度センサ部45が設けられている。温度センサ部45は、例えば熱電対を用いて構成され、洗浄液W1の温度に応じて発生する起電力を温度入力部34に入力する。温度入力部34は、A/D変換器を含み、洗浄液W1の温度に応じた起電力(アナログの電圧信号)をA/D変換して演算部36に入力する。
【0045】
制御部35は、超音波送受切替回路46、超音波送信回路47、超音波受信回路48、及びタイマ49を備え、超音波センサ部33における超音波の送受信タイミングや送受信方向を制御する。具体的には、タイマ49から出力されるタイミング信号に基づいて、超音波送信回路47は、定期的(1msec毎)に送信信号を超音波送受切替回路46に出力し、超音波送受切替回路46は、その送信信号を上流側の超音波振動子41及び下流側の超音波振動子42に対して交互に出力する。
【0046】
超音波センサ部33において、送信信号に基づいて上流側の超音波振動子41から超音波が出力されると、その超音波は洗浄液W1の流れの正方向に伝搬して下流側の超音波振動子42で受信される。そして、その受信信号が超音波振動子42から超音波送受切替回路46を介して超音波受信回路48に取り込まれ、信号増幅された受信信号が超音波受信回路48から演算部36に出力される。また、送信信号に基づいて下流側の超音波振動子42から超音波が出力されると、その超音波は洗浄液W1の流れの逆方向に伝搬して上流側の超音波振動子41で受信される。そして、その受信信号が超音波振動子41から超音波送受切替回路46を介して超音波受信回路48に取り込まれ、信号増幅された受信信号が超音波受信回路48から演算部36に出力される。
【0047】
演算部36は、伝搬時間演算手段51、流速演算手段52、音速演算手段53、温度演算手段54、濃度演算手段55、動粘度演算手段56、流速補正率演算手段57、流速補正演算手段58、及び流量演算手段59を備える。演算部36は、CPU、RAM等からなる周知のコンピュータにより構成されており、各演算手段51〜59は、CPUが有する演算処理機能を用いて実現されている。
【0048】
伝搬時間演算手段51は、タイマ49が計測した超音波の送受信タイミングに基づいて、洗浄液W1の流れの正方向に伝搬した超音波の伝搬時間t1と逆方向に伝搬した超音波の伝搬時間t2とを求める。ここで、計測流路(直管部44aの流路)の長さをX、音速をC、流速をVとすると、各伝搬時間t1,t2は、次式(1)及び式(2)のように表される。
【数1】

【数2】

【0049】
そして、式(1),(2)により音速C及び流速Vは次式(3),(4)のような関係が成り立つ。
【数3】

【数4】

【0050】
音速演算手段53(第1演算手段)は、伝搬時間演算手段51が求めた超音波の伝搬時間t1,t2を用い、上式(3)に対応した演算を行うことで、音速Cを求める。また、流速演算手段52(第1演算手段)は、伝搬時間演算手段51が求めた超音波の伝搬時間t1,t2を用い、上式(4)に対応した演算を行うことで、流速Vを求める。
【0051】
さらに、温度演算手段54は、温度入力部34から出力される電圧信号を取り込み、電圧値に応じた温度を演算により算出し、得られた温度に関するデータを濃度演算手段55、動粘度演算手段56、及び出力部38に入力する。
【0052】
ここで、洗浄液W1(硫酸溶液)の音速、温度及び濃度については、図3に示すような相関関係を示す。本実施の形態の超音波流量計27では、硫酸の音速、温度及び濃度の相関関係を規定したデータ(第2のデータとしてのデータテーブルまたは変換式のデータ)を記憶部37(記憶手段)にあらかじめ記憶している。濃度演算手段55(第2演算手段)は、記憶部37に記憶されているデータと、温度演算手段54が算出した温度と、音速演算手段53が算出した音速とに基づいて、洗浄液W1の濃度を演算により算出し、得られた濃度信号を動粘度演算手段56及び出力部38に入力する。
【0053】
超音波流量計27の液体圧送用管路44における流速分布(洗浄液W1の流れ特性)は、次式(5)で示されるレイノルズ数Reによって決定される。
【数5】

【0054】
ここで、Vは流速、dは管径、 は動粘度である。
【0055】
また、洗浄液W1の比重ρ、粘度μとすると、動粘度 は、次式(6)のように求められる。
【数6】

【0056】
洗浄液W1の比重ρ、粘度μは、濃度や温度によって変化することから動粘度 も濃度や温度によって変化する。
【0057】
図4には、洗浄液W1(硫酸溶液)の温度、濃度及び動粘度の相関関係を示す。本実施の形態の超音波流量計27では、硫酸の温度、濃度及び動粘度の相関関係を規定したデータ(第1のデータとしてのデータテーブルまたは変換式のデータ)を記憶部37にあらかじめ記憶している。動粘度演算手段56は、記憶部37に記憶されているデータと、温度演算手段54が算出した温度と、濃度演算手段55が算出した濃度とに基づいて、洗浄液W1の動粘度を算出する。
【0058】
流速補正率演算手段57は、流速演算手段52が算出した流速と、動粘度演算手段56が算出した動粘度とに基づいて上式(5)に対応する演算を行うことでレイノルズ数Reを求め、そのレイノルズ数Reから流速の補正率を演算する。なおここで、レイノルズ数Reと流速の補正率との相関関係を規定したデータが記憶部37に記憶されており、そのデータを用いて流速の補正率を求めている。さらに、流速補正演算手段58は、流速補正率演算手段57で求めた補正率で流速を補正する。そして、流量演算手段59は、補正した流速と流路断面積とに基づいて洗浄液W1の流量を算出する。
【0059】
なお、本実施の形態では、動粘度演算手段56、流速補正率演算手段57、流速補正演算手段58、及び流量演算手段59によって補正流量演算手段が構成されており、これら各手段56〜59により、洗浄液W1の温度や濃度に応じて補正した流量が算出される。
【0060】
出力部38は、データ出力用のインターフェース(例えば、RS485などのポート)であり、流量に関するデータ、濃度に関するデータ、及び温度に関するデータを出力する。
【0061】
上述した超音波流量計27から出力された洗浄液W1の流量、濃度及び温度のデータが制御装置31に取り込まれる。そして、制御装置31は、それらデータに基づいて、流量調節バルブ29及び純水供給バルブ28の開度、電解装置22の処理能力や冷却器23の冷却能力等を調節する。その結果、電解硫酸装置20から洗浄機10に供給される洗浄液W1の流量、濃度及び温度があらかじめ設定された所定の範囲内となるよう制御される。
【0062】
本発明者らは、洗浄システム1において、洗浄液W1の硫酸濃度、温度、流量等の測定条件を変更し、それら条件下にて超音波流量計27で測定される補正後の流量と実際の流量とを比較して、流量誤差を調べた。その結果を図5に示している。また、比較例として、洗浄液W1の動粘度による補正を行わない補正前の流量(従来の超音波流量計で計測される流量)と実際の流量とを比較して、流量誤差を調べた。その結果を図6に示している。なお、ここで設定される各測定条件として、洗浄液W1の流量は、0.4L/min〜3.0L/minの範囲である。また、洗浄液W1の硫酸濃度は、75重量%、85重量%、95重量%であり、洗浄液W1の温度は、20℃、50℃、80℃である。
【0063】
洗浄液W1の動粘度による補正をしない場合では、図6に示されるように、硫酸濃度が高く、温度が低くなると、測定値が実際の流量よりも大きくなり、さらに流量が少ないとその流量誤差が大きくなる。具体的には、硫酸濃度が95重量%、温度が20℃、流量が0.4L/minである場合には、20.3%の流量誤差が生じていた。一方、硫酸濃度が低く、温度が高くなると、測定値が実際の流量よりも小さくなり、さらに流量が多いとその流量誤差が大きくなる。具体的には、硫酸濃度が75重量%、温度が80℃、流量が3.0L/minである場合には、−17.0%の流量誤差が生じていた。
【0064】
これに対して、本実施の形態のように、動粘度による流量の補正をした場合では、図5に示されるように、洗浄液W1の硫酸濃度、温度、流量の測定条件にかかわらず、流量誤差が−2.3%〜2.0%の範囲内に収まり、実際の流量とほぼ等しい測定値が得られた。
【0065】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0066】
(1)本実施の形態の超音波流量計27では、洗浄液W1の温度が測定されるとともに洗浄液W1の濃度が求められ、温度及び濃度に応じて流速が補正される。さらに、補正された流速に基づいて洗浄液W1の流量が求められる。このようにすると、洗浄液W1の温度や濃度に応じて洗浄液W1の流れ特性が変わった場合でも、洗浄液W1の流量を正確に計測することができる。
【0067】
(2)本実施の形態の超音波流量計27では、洗浄液W1の音速、温度及び濃度の相関関係を規定したデータが記憶部37に記憶されており、記憶部37のデータと温度センサ部45で測定した温度と音速演算手段52が算出した音速とに基づいて、洗浄液W1の濃度が算出される。また、記憶部37には、洗浄液W1の温度及び濃度に応じた動粘度を規定したデータが記憶されており、洗浄液W1の濃度及び温度と記憶部37のデータとに基づいて、動粘度が算出され、その算出結果に基づいて洗浄液W1の流量が補正される。このようにすると、比較的簡単な演算にて洗浄液W1の濃度や流量を正確に求めることができる。
【0068】
(3)本実施の形態の洗浄システム1では、超音波流量計27で算出された洗浄液W1の流量に基づいて、流量調節バルブ29の開度が制御されることにより、洗浄機10に供給する洗浄液W1の流量が調節される。このようにすると、洗浄液W1の温度や濃度に応じて洗浄液W1の流れ特性が変わった場合でも、洗浄液W1の流量をより正確に制御することができる。
【0069】
(4)本実施の形態の洗浄システム1では、超音波流量計27で算出された洗浄液W1の濃度に基づいて、純水供給バルブ28の開度が制御されることにより、貯留槽21の洗浄液W1の濃度が調節される。また、超音波流量計27で測定した洗浄液W1の温度に基づいて、冷却器23の冷却能力が制御されることにより、貯留槽21の洗浄液W1の温度が調節される。このようにすると、流量計、濃度計、及び温度計を別々に設けなくても、的確な流量、濃度及び温度の洗浄液W1を電解硫酸装置20から洗浄機10に供給することができ、洗浄システム1の部品コストを抑えることができる。
【0070】
なお、上記実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0071】
・上記実施の形態では、物質が溶解、または混合された流体として、2種類の液体(具体的には、硫酸と水)を混合した洗浄液W1(硫酸水溶液)に具体化したが、これに限定されるものではなく、物質が溶解、または混合された比率によって、音速と動粘度が変化する流体であればよい。具体的には、例えばエタノールと水とを混合した流体に具体化してもよい。さらに、3種類以上の流体を混合する流体に具体化してもよい。また、液体に気体を混合する流体、液体に化合物などの粉末を溶解させた流体、複数種類の気体(例えば、窒素と水素)を混合・分散する流体などに本発明を具体化してもよい。さらには、硫酸水溶液に微小気泡が混在した状態の流体について、硫酸の濃度や流量を制御する流量制御システム、あるいは窒素と水素との混合ガスに水滴が混ざった状態の流体について、水素ガスの濃度や流量を制御する流量制御システムなどに本発明を具体化してもよい。
【0072】
・上記実施の形態の超音波流量計27では、洗浄液W1の動粘度に応じて流速を補正し、補正した流速と液体圧送用管路44の流路断面積とに基づいて洗浄液W1の流量を求めるように構成したが、これに限定されるものではない。具体的には、洗浄液W1の流速と流路断面積とに基づいて、温度や濃度を考慮しない補正前の流量を求めた後、その補正前の流量を洗浄液W1の動粘度に応じて補正することで洗浄液W1の流量を求めてもよい。
【0073】
・上記実施の形態の超音波流量計27では、温度センサ部45として熱電対を用いたが、サーミスタや白金センサなどの測温抵抗体を用いてもよい。この測温抵抗体を用いる場合、温度入力部としてブリッジ回路や直列抵抗による分圧回路を使用して、洗浄液W1の温度を電圧信号に変換する。
【0074】
・上記実施の形態の洗浄システム1において、超音波流量計27の温度センサ部45を用いて洗浄液W1の温度を測定していたが、これに限定されるものではない。洗浄液W1の温度変化が少ない場合には、超音波流量計27の外部(超音波流量計27の上流側または下流側の配管や貯留槽21内)に設けた温度センサにて洗浄液W1の温度を測定するように構成してもよい。なおこの場合、超音波流量計27において温度センサ部45は削除される。また、超音波流量計27は、外部の温度センサから洗浄液W1の温度データを取り込み、その温度データに応じて濃度や流量を求める。
【0075】
・上記実施の形態の超音波流量計27では、洗浄液W1の流量、濃度及び温度を出力する構成であったが、これらに加えて、洗浄液W1の音速、比重、粘度、動粘度などを出力する構成としてもよい。
【0076】
・上記実施の形態では、超音波センサ部33において、洗浄液W1の流れと平行な方向に超音波が伝搬するよう一対の超音波振動子41,42を配置するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、洗浄液W1の流れ方向に対して所定の角度(例えば、45°の角度)で超音波が伝搬するように各超音波振動子41,42を設けてもよい。
【0077】
・上記実施の形態の超音波流量計27では、液体圧送用管路44の流路に各超音波振動子41,42の振動面が露出するよう設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、液体圧送用管路44の筐体側に埋設されるよう各超音波振動子41,42を設け、筐体のフッ素樹脂を介して流路内に超音波を伝搬させるように構成してもよい。なおこの場合、超音波が筐体のフッ素樹脂を伝搬する時間を考慮して流量を求める。具体的には、式(1)及び式(2)に対応する演算を行う際に、筐体のフッ素樹脂における超音波の伝搬ロス時間をキャンセルして、各伝搬時間t1,t2を求め、音速Cや流速Vを演算するように構成する。
【0078】
・上記実施の形態では、冷却器23の冷却能力を制御することで洗浄液W1の温度を調節していたが、これに限定されるものではない。具体的には、例えば、貯留槽21内にヒータや冷却器などの温度調節手段を設け、その温度調節手段を制御することで貯留槽21内の洗浄液W1の温度を調節するように構成してもよい。
【0079】
・上記実施の形態の洗浄システム1において、超音波流量計27と制御装置31との間に表示器を設け、超音波流量計27で測定した流量、濃度、温度のパラメータを表示器に表示させるように構成してもよい。このようにすると、測定された流量、濃度、温度が表示器に表示されるので、洗浄システム1の作動状態を的確に把握することができる。
【0080】
・上記実施の形態の洗浄システム1において、システム異常である旨を通知する警報ランプや警報ブザーなどの警報手段を設けてもよい。この場合、洗浄液W1の流量、濃度及び温度のうちの少なくとも1つの計測結果が目標制御範囲から外れた場合に、警報手段を駆動する。これにより、システム異常を迅速に通知することができる。
【0081】
・上記実施の形態では、半導体製造ラインに用いられる洗浄システム1に具体化するものであったが、これ以外に燃料電池に燃料を供給する流量制御システムなどに具体化してもよい。
【0082】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0083】
(1)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記第2演算手段及び補正流量演算手段が算出した前記濃度及び前記流量を出力する出力手段をさらに備えることを特徴とする超音波流量計。
【0084】
(2)技術的思想(1)において前記出力手段は、前記濃度及び前記流量に加えて、前記温度センサ部によって得られた前記温度を出力することを特徴とする超音波流量計。
【0085】
(3)請求項5乃至7のいずれかにおいて、前記流量、前記濃度及び前記温度のうちの少なくとも1つの計測結果が目標制御範囲から外れた場合に、システム異常である旨を通知する警報手段をさらに備えたことを特徴とする流量制御システム。
【符号の説明】
【0086】
1…流量制御システムとしての洗浄システム
23…温度調節手段としての冷却器
27…超音波流量計
28…濃度調整手段としての純水供給バルブ
29…流量調節手段としての流量調節バルブ
33…超音波センサ部
37…記憶手段としての記憶部
41,42…超音波振動子
44…管路としての液体圧送用管路
52…第1演算手段を構成する流速演算手段
53…第1演算手段を構成する音速算出手段
55…第2演算手段としての濃度演算手段
56…補正流量演算手段を構成する動粘度演算手段
57…補正流量演算手段を構成する流速補正率演算手段
58…補正流量演算手段を構成する流速補正演算手段
59…補正流量演算手段を構成する流量演算手段
W1…流体としての洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質が溶解、または混合された流体の流量を計測する超音波流量計であって、
前記流体を流す管路における上流側と下流側とに配置される一対の超音波振動子を用いて相互に超音波を送受信することにより、前記超音波振動子の間で送受信される超音波の伝搬時間を測定するための超音波センサ部と、
前記管路に設けられ、前記流体の温度を測定するための温度センサ部と、
前記超音波センサ部で得られた前記超音波の伝搬時間に基づいて、前記流体の音速及び流速を演算により算出する第1演算手段と、
前記温度センサ部によって得られた前記温度と、前記第1演算手段で算出した前記音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出する第2演算手段と、
前記流体の温度及び濃度に応じて、前記流速から求めた流量または前記流速を補正して前記流体の流量を求める補正流量演算手段と
を備えたことを特徴とする超音波流量計。
【請求項2】
前記流体が液体またはスラリーであることを特徴とする請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記流体の温度及び濃度に応じた動粘度を規定した第1のデータがあらかじめ記憶された記憶手段をさらに備え、
前記補正流量演算手段は、前記記憶手段が記憶している第1のデータを参照して前記流体の動粘度を算出し、その算出結果に基づいて前記流体の流量を補正するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記記憶手段には、前記流体の音速、温度及び濃度の相関関係を規定した第2のデータがあらかじめ記憶され、
前記第2演算手段は、前記記憶手段が記憶している前記第2のデータと、前記温度センサ部によって得られた前記温度と、前記第1演算手段が算出した前記音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出するものであることを特徴とする請求項3に記載の超音波流量計。
【請求項5】
物質が溶解、または混合された流体の流量を制御する流量制御システムであって、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波流量計と、
前記超音波流量計により算出された前記流体の流量に基づいて、前記管路に流す前記流体の流量を調節する流量調節手段と
を備えたことを特徴とする流量制御システム。
【請求項6】
前記超音波流量計により算出された前記流体の濃度に基づいて、前記管路に流す前記流体の濃度を調節する濃度調節手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の流量制御システム。
【請求項7】
前記超音波流量計により測定された前記流体の温度に基づいて、前記管路に流す前記流体の温度を調節する温度調節手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5または6に記載の流量制御システム。
【請求項8】
物質が溶解、または混合された流体の流量を測定する流量測定方法であって、
前記流体を流す管路における上流側と下流側とに配置される一対の超音波振動子を用いて相互に超音波を送受信することにより、前記超音波振動子の間で送受信される超音波の伝搬時間を測定するステップと、
前記管路を流れる前記流体の温度を測定するステップと、
前記超音波の伝搬時間に基づいて、前記流体の音速及び流速を演算により算出するステップと、
前記流体の温度と前記音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出するステップと、
前記流体の温度及び濃度に応じて、前記流速から求めた流量または前記流速を補正して前記流体の流量を求めるステップと
を含むことを特徴とする流量測定方法。
【請求項9】
前記流量を補正するステップにおいて、前記流体の温度及び濃度に応じた動粘度を規定した第1のデータを参照して前記流体の動粘度を算出し、その算出結果に基づいて前記流体の流量を補正することを特徴とする請求項8に記載の流量測定方法。
【請求項10】
前記流体の濃度を算出するステップにおいて、前記流体の音速、温度及び濃度の相関関係を規定した第2のデータと、前記流体の温度と、前記流体の音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出することを特徴とする請求項9に記載の流量測定方法。
【請求項11】
物質が溶解、または混合された流体の流量を制御する流量制御方法であって、
前記流体を流す管路における上流側と下流側とに配置される一対の超音波振動子を用いて相互に超音波を送受信することにより、前記超音波振動子の間で送受信される超音波の伝搬時間を測定するステップと、
前記管路を流れる前記流体の温度を測定するステップと、
前記超音波の伝搬時間に基づいて、前記流体の音速及び流速を演算により算出するステップと、
前記流体の温度と前記音速とに基づいて、前記流体の濃度を演算により算出するステップと、
前記流体の温度及び濃度に応じて、前記流速から求めた流量または前記流速を補正して前記流体の流量を求めるステップと、
前記補正した流量に基づいて、前記管路に流す前記流体の流量を調節するステップと
を含むことを特徴とする流量制御方法。
【請求項12】
前記算出した流体の濃度に基づいて、前記管路に流す前記流体の濃度を調節するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の流量制御方法。
【請求項13】
前記測定した流体の温度に基づいて、前記管路に流す前記流体の温度を調節するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11または12に記載の流量制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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