説明

超音波診断装置用プローブ

【課題】プローブ内の温度上昇の抑制、装置の小型化および操作性の向上を実現できる超音波診断装置用プローブを提供することを目的とする。
【解決手段】駆動信号に基づいて超音波ビームを送信すると共に被検体による超音波エコーを受信して受信信号を生成する振動子アレイを含むプローブ本体1と、プローブ本体1に取り外し可能に装着されると共にプローブ本体1内で発生した熱を放出するための放熱機構と、プローブ本体1に配置されると共にプローブ本体1への放熱機構の装着の有無を検出する放熱機構検出部7と、放熱機構検出部7による検出結果に基づいて振動子アレイを構成する複数の振動子の同時開口数を調整するようにプローブ本体1を制御するプローブ制御部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波診断装置用プローブに係り、特に超音波プローブの温度上昇の抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、超音波画像を利用した超音波診断装置が実用化されている。一般に、この種の超音波診断装置は、振動子アレイを内蔵した超音波プローブと、この超音波プローブに接続された装置本体とを有しており、超音波プローブから被検体に向けて超音波を送信し、被検体からの超音波エコーを超音波振動子で受信して、その受信信号を装置本体で電気的に受信することにより超音波画像が生成される。
【0003】
この超音波プローブは、使用に際して、超音波の送受信に伴う超音波振動子の発熱、プローブ内の電気回路集積化に伴う発熱およびプローブ内のバッテリの発熱等によりプローブの温度が上昇する。したがって、駆動時間とともに、プローブが高温となり、被検体に対する安全性が損なわれたり、プローブの材料特性の変化により精度低下が生じたりするなどの問題がおこる。
【0004】
これに対し、例えば、特許文献1では、振動子アレイを有する超音波プローブに着脱自在の水袋を装着し、駆動機構により水袋に対して水を循環させることにより、超音波の送受信に伴って発熱した振動子アレイを冷却するようにした超音波診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−038485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、開発されているような、ベッドサイドや救急医療現場等に搬送して使用することができるポータブル型の超音波診断装置の超音波プローブの場合、特許文献1の装置では、装置構成が複雑になり、操作も煩雑になる上に、放熱対策のために装置サイズの大型化を余儀なくされ、ポータブル型という利便性も損なわれてしまう。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、プローブ内の温度上昇の抑制、装置の小型化および操作性の向上を実現できる超音波診断装置用プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る超音波診断装置用プローブは、駆動信号に基づいて超音波ビームを送信すると共に被検体による超音波エコーを受信して受信信号を生成する振動子アレイを含むプローブ本体と、プローブ本体に取り外し可能に装着されると共にプローブ本体内で発生した熱を放出するための放熱機構と、プローブ本体に配置されると共にプローブ本体への放熱機構の装着の有無を検出する放熱機構検出手段と、放熱機構検出手段による検出結果に基づいて振動子アレイを構成する複数の振動子の同時開口数を調整するようにプローブ本体を制御する制御手段とを備えるものである。
【0009】
制御手段は、放熱機構検出手段によりプローブ本体への放熱機構の装着が検出されたときは、振動子アレイの同時に開口可能であるすべての振動子を開口させ、プローブ本体への放熱機構の装着が検出されないときは、振動子アレイの一部の振動子のみを開口させて同時開口数を削減することができる。
制御手段は、同時開口数を削減する場合に、走査線数を増加させて超音波の送受信を行うように前記プローブ本体を制御することができる。
放熱機構は、放熱フィン、冷媒循環機構および放熱ファンのいずれかを有することが好ましい。
【0010】
第2の発明に係る超音波診断装置用プローブは、駆動信号に基づいて超音波ビームを送信すると共に被検体による超音波エコーを受信して受信信号を生成する振動子アレイを含むプローブ本体と、プローブ本体に配置されると共にプローブ本体内の温度を検出する温度センサと、温度センサによる検出結果に基づいて振動子アレイを構成する複数の振動子の同時開口数を調整するように前記プローブ本体を制御する制御手段とを備えるものである。
【0011】
制御手段は、温度センサにより検出されたプローブ本体内の温度が予め設定されたしきい値以下のときは、振動子アレイの同時に開口可能であるすべての振動子を開口させ、しきい値を越えたときは、振動子アレイの一部の振動子のみを開口させて同時開口数を削減することができる。
制御手段は、同時開口数を削減する場合に、走査線数を増加させて超音波の送受信を行うように前記プローブ本体を制御することができる。
【0012】
第1及び第2の実施形態に係るプローブ本体は、診断装置本体から前記駆動信号を受信すると共に受信信号を診断装置本体へ送信するための無線通信部を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、プローブ内の温度上昇の抑制、装置の小型化および操作性の向上を実現できる超音波診断装置用プローブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1に係る超音波診断装置用プローブを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図2】実施の形態1におけるプローブ本体への放熱機構の装着の様子を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る超音波プローブを有する超音波診断装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1の変形例に係る超音波プローブに用いられる放熱機構を示す図である。
【図6】実施の形態1の他の変形例に係る超音波プローブに用いられる放熱機構を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2におけるプローブ本体の内部構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2の動作を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2におけるプローブ内の温度と同時開口数の切替の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1(A)及び(B)に、この発明の実施の形態1に係る超音波診断装置用プローブを示す。この超音波診断装置用プローブは、プローブ本体1と、放熱機構2から構成され、この放熱機構2は、複数の放熱フィン3と、放熱フィン3をプローブ本体1の把持部側に固定する固定手段4とを備えている。
【0016】
図2に示すように、放熱フィン3を保持する固定手段4は、プローブ本体1に対して嵌合するように押し込まれ、さらに、プローブ本体1に設けられた溝6に、固定手段4に設けられた突起5が嵌合することにより、位置決め固定される。
なお、プローブ本体1の溝6の近傍には、放熱機構2が装着されたか否かを判断する放熱機構検出部7が配置されている。
【0017】
図3に、この発明の実施の形態1に係る超音波プローブを有する超音波診断装置の構成を示す。プローブ本体1に診断装置本体8が無線通信により接続されている。
【0018】
プローブ本体1は、1次元又は2次元の振動子アレイを構成する複数の超音波トランスデューサ9を有し、これらトランスデューサ9にそれぞれ対応して受信信号処理部10が接続され、さらに受信信号処理部10にパラレル/シリアル変換部11を介して無線通信部12が接続されている。また、複数のトランスデューサ9に送信駆動部13を介して送信制御部14が接続され、複数の受信信号処理部10に受信制御部15が接続され、無線通信部12に通信制御部16が接続されている。そして、パラレル/シリアル変換部11、送信制御部14、受信制御部15および通信制御部16にプローブ制御部17が接続されている。さらに、放熱機構2の装着の有無を検知する放熱機構検出部7がプローブ制御部17に接続されている。
【0019】
複数のトランスデューサ9は、それぞれ送信駆動部13から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に被検体からの超音波エコーを受信して受信信号を出力する。各トランスデューサ9は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミックや単結晶、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子等からなる圧電体の両端に電極を形成した振動子によって構成される。
そのような振動子の電極に、パルス状又は連続波の電圧を印加すると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生して、それらの超音波の合成により超音波ビームが形成される。また、それぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することにより伸縮して電気信号を発生し、それらの電気信号は、超音波の受信信号として出力される。
【0020】
送信駆動部13は、例えば、複数のパルサを含んでおり、送信制御部14によって選択された送信遅延パターンに基づいて、複数のトランスデューサ9から送信される超音波が被検体内の組織のエリアをカバーする幅広の超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号の遅延量を調節して複数のトランスデューサ9に供給する。
【0021】
各チャンネルの受信信号処理部10は、受信制御部15の制御の下で、対応するトランスデューサ9から出力される受信信号に対して直交検波処理又は直交サンプリング処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、複素ベースバンド信号をサンプリングすることにより、組織のエリアの情報を含むサンプルデータを生成して、サンプルデータをパラレル/シリアル変換部11に供給する。受信信号処理部10は、複素ベースバンド信号をサンプリングして得られるデータに高能率符号化のためのデータ圧縮処理を施すことによりサンプルデータを生成してもよい。
パラレル/シリアル変換部11は、複数チャンネルの受信信号処理部10によって生成されたパラレルのサンプルデータを、シリアルのサンプルデータに変換する。
【0022】
無線通信部12は、シリアルのサンプルデータに基づいてキャリアを変調して伝送信号を生成し、伝送信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、シリアルのサンプルデータを送信する。変調方式としては、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)、PSK(Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)等が用いられる。
無線通信部12は、診断装置本体8との間で無線通信を行うことにより、サンプルデータを診断装置本体8に送信すると共に、診断装置本体8から各種の制御信号を受信して、受信された制御信号を通信制御部16に出力する。通信制御部16は、プローブ制御部17によって設定された送信電波強度でサンプルデータの送信が行われるように無線通信部12を制御すると共に、無線通信部12が受信した各種の制御信号をプローブ制御部17に出力する。
【0023】
放熱機構検出部7は、プローブ本体1の放熱機構2の有無を検出してプローブ制御部17に出力する。
プローブ制御部17は、診断装置本体8から送信される各種の制御信号および放熱機構検出部7からの出力信号に基づいて、プローブ本体1の各部の制御を行う。
なお、放熱機構検出部7は、放熱機構2の有無を検出する部材として、例えば、光センサや小型の機械的なスイッチを有している。
【0024】
プローブ制御部17は、放熱機構検出部7からの出力信号に基づいて、プローブ本体1に放熱機構2が装着されているか否かを判定し、その判定結果に応じて、送信制御部14および受信制御部15を制御することにより、振動子アレイを構成する複数の振動子の同時開口数を調整する。すなわち、プローブ制御部17は、放熱機構検出部7からの出力信号によりプローブ本体1への放熱機構2の装着が検出された場合は、振動子アレイの同時に開口可能であるすべての振動子を同時開口させるように、送信制御部14および受信制御部15を制御する。一方、放熱機構検出部7からの出力信号によりプローブ本体1への放熱機構2の装着が検出されない場合には、プローブ制御部17は、振動子アレイの一部の振動子のみを開口させて同時開口数を削減するように送信制御部14および受信制御部15を制御する。また、さらに、プローブ制御部17は、振動子アレイの同時開口数を削減するときには、走査線数を増加させて超音波の送受信を行うように、送信制御部14および受信制御部15を制御する。
【0025】
プローブ本体1には、図示しないバッテリが内蔵され、このバッテリからプローブ本体1内の各回路に電源供給が行われる。
なお、プローブ本体1は、リニアスキャン方式、コンベックススキャン方式、セクタスキャン方式等の体外式プローブでもよいし、ラジアルスキャン方式等の超音波内視鏡用プローブでもよい。
【0026】
一方、診断装置本体8は、無線通信部18を有し、この無線通信部18にシリアル/パラレル変換部19を介してデータ格納部20が接続され、データ格納部20に画像生成部21が接続されている。さらに、画像生成部21に表示制御部22を介して表示部23が接続されている。また、無線通信部18に通信制御部24が接続され、シリアル/パラレル変換部19、画像生成部21、表示制御部22および通信制御部24に装置本体制御部25が接続されている。さらに、装置本体制御部25には、オペレータが入力操作を行うための操作部26と、動作プログラムを格納する格納部27がそれぞれ接続されている。
【0027】
無線通信部18は、プローブ本体1との間で無線通信を行うことにより、各種の制御信号をプローブ本体1に送信する。また、無線通信部18は、アンテナによって受信される信号を復調することにより、シリアルのサンプルデータを出力する。
通信制御部24は、装置本体制御部25によって設定された送信電波強度で各種の制御信号の送信が行われるように無線通信部18を制御する。
シリアル/パラレル変換部19は、無線通信部18から出力されるシリアルのサンプルデータを、パラレルのサンプルデータに変換する。データ格納部20は、メモリまたはハードディスク等によって構成され、シリアル/パラレル変換部19によって変換された少なくとも1フレーム分のサンプルデータを格納する。
【0028】
画像生成部21は、データ格納部20から読み出される1フレーム毎のサンプルデータに受信フォーカス処理を施して、超音波診断画像を表す画像信号を生成する。画像生成部21は、整相加算部28と画像処理部29とを含んでいる。
整相加算部28は、装置本体制御部25において設定された受信方向に応じて、予め記憶されている複数の受信遅延パターンの中から1つの受信遅延パターンを選択し、選択された受信遅延パターンに基づいて、サンプルデータによって表される複数の複素ベースバンド信号にそれぞれの遅延を与えて加算することにより、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、超音波エコーの焦点が絞り込まれたベースバンド信号(音線信号)が生成される。
【0029】
画像処理部29は、整相加算部28によって生成される音線信号に基づいて、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。画像処理部29は、STC(sensitivity time control)部と、DSC(digital scan converter:デジタル・スキャン・コンバータ)とを含んでいる。STC部は、音線信号に対して、超音波の反射位置の深度に応じて、距離による減衰の補正を施す。DSCは、STC部によって補正された音線信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)し、階調処理等の必要な画像処理を施すことにより、Bモード画像信号を生成する。
【0030】
表示制御部22は、画像生成部21によって生成される画像信号に基づいて、表示部23に超音波診断画像を表示させる。表示部23は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、表示制御部22の制御の下で、超音波診断画像を表示する。
装置本体制御部25は、プローブ本体1から送信される各種の制御信号等に基づいて、診断装置本体8の各部の制御を行う。
【0031】
このような診断装置本体8において、シリアル/パラレル変換部19、画像生成部21、表示制御部22、通信制御部24および装置本体制御部25は、CPUと、CPUに各種の処理を行わせるための動作プログラムから構成されるが、それらをデジタル回路で構成してもよい。上記の動作プログラムは、格納部27に格納される。格納部27における記録媒体としては、内蔵のハードディスクの他に、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROMまたはDVD−ROM等を用いることができる。
【0032】
実施の形態1の動作について、図4のフローチャートを参考にして説明する。
超音波診断が開始されると、まず、診断装置本体8の装置本体制御部25は、プローブ本体1から送信される無線信号によりプローブ本体1を認識する(ステップS1)。
【0033】
プローブ本体1が認識されると、プローブ本体1内のプローブ制御部17は、放熱機構検出部7からの出力信号に基づいて、プローブ本体1への放熱機構2の装着の有無を判定する(ステップS2)。
ステップS2において、プローブ本体1に放熱機構2が装着されていると判定された場合、プローブ制御部17は、振動子アレイの同時に開口可能であるすべての振動子を開口させて通常の開口数とするように送信制御部14および受信制御部15を制御する(ステップS3)。
一方、ステップS2において、プローブ本体1に放熱機構2が装着されていないと判定された場合は、プローブ制御部17は、振動子アレイの一部の振動子のみを開口させて同時開口数を削減するように、送信制御部14および受信制御部15を制御する(ステップS4)。すなわち、複数の受信信号処理部10のうち一部の受信信号処理部10が停止状態となる。また、さらに、プローブ制御部17は、走査線数を増加させて超音波の送受信を行うように送信制御部14および受信制御部15を制御する(ステップS5)。
【0034】
この後、プローブ制御部17の超音波送受信の指示をうけ、送信駆動部13から供給される駆動信号に従って複数のトランスデューサ9から超音波が送信され、被検体からの超音波エコーを受信した各トランスデューサ9から出力された受信信号がそれぞれ対応する受信信号処理部10に供給される(ステップS6)。
そして、受信信号処理部10において、サンプルデータが生成され、パラレル/シリアル変換部11でシリアル化された後に無線通信部12から診断装置本体8へ無線伝送される。診断装置本体8の無線通信部18で受信されたサンプルデータは、シリアル/パラレル変換部19でパラレルのデータに変換され、データ格納部20に格納される。さらに、データ格納部20から1フレーム毎のサンプルデータが読み出され、画像生成部21で画像信号が生成され、この画像信号に基づいて表示制御部22により超音波診断画像が表示部23に表示される(ステップS7)。
【0035】
このように、プローブ本体1への放熱機構2の装着の有無を判定し、装着されていると判定された場合には、放熱機構2によってプローブ本体1の温度上昇が未然に防止されると判断して、通常の同時開口数で動作し、診断上、必要な画質で画像を表示することができる。また、放熱機構2が装着されていないと判定された場合には、通常の同時開口数で動作し続けると、プローブ本体1の温度が過度に上昇するおそれがあると判断し、同時開口数を一部削減することで、プローブ本体の温度の上昇を抑制する。さらに、このとき、走査線数を増加させることにより、同時開口数を一部削減して診断を行うものの、画像データ量を減らすことなく、診断上、必要な画質を低下することなく診断を行うことができる。
また、このような超音波診断装置用プローブであれば、装置を小型化でき、操作性も向上させることができる。
【0036】
なお、上記の実施の形態1では、放熱機構2として放熱フィン3を有するものを使用したが、これに限るものではなく、図5に示されるような冷媒循環機構を有する放熱機構30を有するものを用いてもよい。冷媒循環機構は、筐体31内に配置されたポンプ32と冷媒循環チューブ33とから構成され、ポンプ32を駆動して冷媒循環チューブ33に冷媒を循環させることにより、プローブ本体1の冷却を行うことができる。
なお、筐体31には、図2に示した放熱機構2と同様に突起5が形成されており、この突起5がプローブ本体1の溝6に嵌合することにより、放熱機構30の装着がプローブ本体1の放熱機構検出部7によって検出される。
【0037】
また、放熱機構として、図6に示されるような放熱ファンを有するものを使用することもできる。この放熱機構34は、筐体35内に配置された放熱ファン36を有し、放熱ファン36の駆動によりプローブ本体1に冷風を送ってプローブ本体1の冷却を行うことができる。
なお、筐体35には、図2に示した放熱機構2と同様に突起5が形成されており、この突起5がプローブ本体1の溝6に嵌合することにより、放熱機構34の装着がプローブ本体1の放熱機構検出部7によって検出される。
【0038】
実施の形態2
実施の形態1では、放熱機構検出部7により、プローブ本体1への放熱機構2の有無を検出し、その結果に応じてプローブの駆動を制御したが、これに限るものではなく、温度センサにより、プローブ内の発熱量を検出し、その発熱量に応じたプローブの駆動の制御を行うこともできる。
【0039】
図7は、この発明の実施の形態2に係るプローブ本体37の構成を示す。
この実施の形態2においては、図1に示すプローブ本体1の放熱機構検出部7を温度センサ38とした以外は、実施の形態1のプローブ本体1と同様の構成を有する。
また、このプローブ本体37を有する超音波診断装置は、実施の形態1と同じ診断装置本体8を備えている。
【0040】
温度センサ38は、プローブ本体37内部の温度を検出してプローブ制御部17に出力する。プローブ制御部17は、診断装置本体8から送信される各種の制御信号および温度センサ38からの出力信号に基づいて、プローブ本体37の各部の制御を行う。
【0041】
プローブ制御部17は、温度センサ38からの出力信号に基づいて、プローブ本体37の内部温度が予め設定されたしきい値Tthを超えているか否かを判定し、その判定結果に応じて振動子アレイを構成する複数の振動子の同時開口数を調整するように送信制御部14および受信制御部15を制御する。
すなわち、プローブ制御部17は、温度センサ38からの出力信号により、プローブ本体1内の温度が予め設定されたしきい値Tth以下の場合は、振動子アレイの同時に開口可能であるすべての振動子を同時開口するように、受信制御部15を介して受信信号処理部10を制御する。一方、プローブ本体37内の温度がしきい値Tthを超えている場合には、プローブ制御部17は、振動子アレイの一部の振動子のみを開口させて同時開口数を削減するように、送信制御部14および受信制御部15を制御する。また、プローブ制御部17は、振動子アレイの同時開口数を削減するときには、走査線数を増加させて超音波の送受信を行うように送信制御部14および受信制御部15を制御する。
【0042】
実施の形態2の動作について、図8のフローチャートを参考にして説明する。
超音波診断が開始されると、まず、診断装置本体8の装置本体制御部25は、プローブ本体37から送信される無線信号によりプローブを認識する(ステップS11)。
【0043】
プローブ本体37が認識されると、プローブ本体37内のプローブ制御部17は、温度センサ38からの出力信号に基づいて、プローブ本体37の内部温度Tmがしきい値Tthを超えているか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12において、プローブ本体37の内部温度がしきい値以下であると判定された場合、プローブ制御部17は、振動子アレイの同時に開口可能であるすべての振動子を開口させて通常の開口数とするよう送信制御部14および受信制御部15を制御する(ステップS13)。
一方、ステップS12において、プローブ本体37の内部温度Tmがしきい値Tthを超えていると判定された場合は、プローブ制御部17は、振動子アレイの一部の振動子のみを開口させて同時開口数を削減するように、送信制御部14および受信制御部15を制御する(ステップS14)。すなわち、複数の受信信号処理部10のうち一部の受信信号処理部10が停止状態となる。また、さらに、プローブ制御部17は、走査線数を増加させて超音波の送受信を行うように送信制御部14および受信制御部15を制御する(ステップS15)。
【0044】
この後、プローブ制御部17の超音波送受信の指示をうけ、送信駆動部13から供給される駆動信号に従って複数のトランスデューサ9から超音波が送信され、被検体からの超音波エコーを受信した各トランスデューサ9から出力された受信信号がそれぞれ対応する受信信号処理部10に供給される(ステップS16)。
そして、受信信号処理部10において、サンプルデータが生成され、パラレル/シリアル変換部11でシリアル化された後に無線通信部12から診断装置本体8へ無線伝送される。診断装置本体8の無線通信部18で受信されたサンプルデータは、シリアル/パラレル変換部19でパラレルのデータに変換され、データ格納部20に格納される。さらに、データ格納部20から1フレーム毎のサンプルデータが読み出され、画像生成部21で画像信号が生成され、この画像信号に基づいて表示制御部22により超音波診断画像が表示部23に表示される(ステップS17)。
【0045】
例えば、通常、同時開口数を48チャンネルとして128本の走査線で超音波画像を生成し、図9に示されるように、診断動作に伴いプローブ本体37の内部温度Tmが徐々に上昇して時刻t1にしきい値Tthに達した後、さらにプローブ本体37の内部温度Tmが上昇するおそれがあるものとする。この場合、時刻t2に温度センサ38の出力に基づいて、プローブ本体37の内部温度Tmがしきい値Tthを越えていると判定されると、プローブ制御部17は、同時開口数を32チャンネルに削減するように送信制御部14および受信制御部15を制御する。これにより、プローブ本体37内における発熱量が減少し、プローブ本体37の内部温度Tmは低下してしきい値Tthを下回ることとなる。さらに、このとき、プローブ制御部17は、送信制御部14および受信制御部15を制御して、走査線の本数を128本から192本に増加させる。このため、同時開口数48チャンネル、走査線128本の通常診断時と同様の画質の超音波画像を得ることができる。
【0046】
このように、温度センサ38により、プローブ本体37の内部温度を検出し、予め設定されたしきい値Tth以下の場合には、通常の同時開口数でプローブを動作し、診断上、必要な画質で画像を表示することができる。また、プローブ本体37の内部温度がしきい値Tthを超えている場合には、同時開口数を一部削減し、プローブ本体の温度の上昇を抑制することができる。また、さらに、同時開口数を削減して診断を行うものの、走査線数を増加させて診断を行うため、画像データを減らすことなく、診断上、必要な画像を得ることができる。
また、このような超音波診断装置用プローブであれば、装置を小型化でき、操作性も向上させることができる。
【0047】
また、上述した実施の形態1及び2では、プローブ本体1および37と診断装置本体8とが互いに無線通信により接続されていたが、これに限るものではなく、接続ケーブルを介してプローブ本体1および37が診断装置本体8に接続されていてもよい。この場合には、プローブ本体1および37の無線通信部12および通信制御部16、診断装置本体8の無線通信部18および通信制御部24等は不要となる。
【符号の説明】
【0048】
1、37 プローブ本体、2、30、34 放熱機構、3 放熱フィン、4 固定部材、5、 突起、6 溝、7 放熱機構検出部、8 診断装置本体、9 トランスデューサ、10 受信信号処理部、11 パラレル/シリアル変換部、12 無線通信部、13 送信駆動部、14 送信制御部、15 受信制御部、16 通信制御部、17 プローブ制御部、18 無線通信部、19 シリアル/パラレル変換部、20 データ格納部、21 画像生成部、22 表示制御部、23 表示部、24 通信制御部、25 装置本体制御部、26 操作部、27 格納部、28 整相加算部、29 画像処理部、31、35 筐体、32 ポンプ、33 冷媒循環チューブ、36 放熱ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号に基づいて超音波ビームを送信すると共に被検体による超音波エコーを受信して受信信号を生成する振動子アレイを含むプローブ本体と、
前記プローブ本体に取り外し可能に装着されると共に前記プローブ本体内で発生した熱を放出するための放熱機構と、
前記プローブ本体に配置されると共に前記プローブ本体への前記放熱機構の装着の有無を検出する放熱機構検出手段と、
前記放熱機構検出手段による検出結果に基づいて前記振動子アレイを構成する複数の振動子の同時開口数を調整するように前記プローブ本体を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする超音波診断装置用プローブ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記放熱機構検出手段により前記プローブ本体への前記放熱機構の装着が検出されたときは、前記振動子アレイの同時に開口可能であるすべての振動子を開口させ、前記プローブ本体への前記放熱機構の装着が検出されないときは、前記振動子アレイの一部の振動子のみを開口させて同時開口数を削減する請求項1に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項3】
前記制御手段は、同時開口数を削減する場合に、走査線数を増加させて超音波の送受信を行うように前記プローブ本体を制御する請求項2に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項4】
前記放熱機構は、放熱フィン、冷媒循環機構および放熱ファンのいずれかを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項5】
駆動信号に基づいて超音波ビームを送信すると共に被検体による超音波エコーを受信して受信信号を生成する振動子アレイを含むプローブ本体と、
前記プローブ本体に配置されると共に前記プローブ本体内の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによる検出結果に基づいて前記振動子アレイを構成する複数の振動子の同時開口数を調整するように前記プローブ本体を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする超音波診断装置用プローブ。
【請求項6】
前記制御手段は、前記温度センサにより検出された前記プローブ本体内の温度が予め設定されたしきい値以下のときは、前記振動子アレイの同時に開口可能であるすべての振動子を開口させ、しきい値を越えたときは、前記振動子アレイの一部の振動子のみを開口させて同時開口数を削減する請求項5に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項7】
前記制御手段は、同時開口数を削減する場合に、走査線数を増加させて超音波の送受信を行うように前記プローブ本体を制御する請求項6に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項8】
前記プローブ本体は、診断装置本体から前記駆動信号を受信すると共に前記受信信号を前記診断装置本体へ送信するための無線通信部を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の超音波診断装置用プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−61125(P2012−61125A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207561(P2010−207561)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】