説明

超音波診断装置用ボトル受け及び超音波診断装置

【課題】既存の超音波診断装置にも取り付けることができ、また商用電源コンセントと別途接続する必要のない超音波診断装置用ボトル受けを提供する。
【解決手段】ボトルを保持する保持部を有する超音波診断装置用ボトル受け1であって、超音波診断装置本体のUSB端子と接続されるUSB端子部4と、前記超音波診断装置本体から前記USB端子部4を介して電力が供給されて発熱することにより、前記保持部に保持されたボトルを加温する加温部5と、を備えることを特徴とする。前記加温部5は、温度センサ7における検出信号に基づいて、設定された加温状態になるように前記加温部5を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置用ボトル受け及び超音波診断装置に関し、特に容器を加温する機能を有する超音波診断装置用容器受け及び超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波撮影では、音響的結合を良くするために、被検体と超音波プローブ(probe)との接触部分に超音波ゼリー(jelly)を介在させる。超音波ゼリーはゲル(gel)とも呼ばれる。
【0003】
超音波ゼリーは、専用の容器すなわちゲルボトル(gel bottle)に入っており、使用時にはゲルボトルの吐出口から押し出して、前記超音波プローブの送受波面や前記超音波プローブが当接する体表面に塗布する。
【0004】
接触時の体表面との温度差を小さくするために、超音波ゼリーは予め加温される。従って、超音波診断装置の中には、ゲルボトルを保持した状態で加温するための加温部を備えたボトル受けが設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−245887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、現在使用されている全ての超音波診断装置のボトル受けが加温機能を有しているわけではない。また、ボトル受け自体を備えていない超音波診断装置もある。従って、加温機能を有するボトル受けを既存の超音波診断装置に取り付けたいという要望がある。
【0007】
また、従来、加温機能を有するボトル受けで使用される電力を、商用電源コンセントから供給する場合がある。この場合、ボトル受けと商用電源コンセントとを接続するケーブルが増えて煩雑であるとともに、配線が増えて邪魔になる。また、超音波診断装置を移動する場合にもケーブルを気にしなければならない。
【0008】
ところで、現在の超音波診断装置には、USB(Universal Serial Bus)端子が設けられているものが多い。本願発明者は、上述のような問題について鋭意検討したところ、超音波診断装置に設けられているUSB端子に着目し、本発明をするに至った。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、既存の超音波診断装置にも取り付けることができ、また商用電源コンセントと別途接続する必要のない超音波診断装置用ボトル受け及びこのような超音波診断装置用ボトル受けを備えた超音波診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、第1の観点の発明は、ボトルを保持する保持部と、超音波診断装置本体のUSB端子と接続されるUSB端子部と、前記超音波診断装置本体から前記USB端子部を介して電力が供給されて発熱することにより、前記保持部に保持されたボトルを加温する加温部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置用ボトル受けである。
【0011】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記加温部による加温を制御する制御部を備えることを特徴とする超音波診断装置用ボトル受けである。
【0012】
第3の観点の発明は、第2の観点の発明において、前記加温部による加温状態を検出する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサにおける検出信号に基づいて、設定された加温状態になるように前記加温部を制御することを特徴とする超音波診断装置用ボトル受けである。
【0013】
第4の観点の発明は、第2又は3の観点の発明において、前記制御部は、前記超音波診断装置本体の記憶部から読み出された制御プログラムにより、前記加温部を制御することを特徴とする超音波診断装置用ボトル受けである。
【0014】
第5の観点の発明は、第3又は4の観点の発明において、前記制御部は、前記超音波診断装置本体の操作部において設定された加温状態になるように、前記加温部を制御することを特徴とする超音波診断装置用ボトル受けである。
【0015】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記ボトルには超音波ゼリーが収容されていることを特徴とする超音波診断装置用ボトル受けである。
【0016】
第7の観点の発明は、第1〜6のいずれか一の観点の発明の超音波診断装置用ボトル受けを備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る超音波診断装置用ボトル受けによれば、前記USB端子部を前記超音波診断装置本体のUSB端子と接続することにより、容易に既存の超音波診断装置へ取り付けることができる。そして、前記加温部には、前記超音波診断装置本体から前記USB端子部を介して電力が供給されるので、商用電源コンセントと別途接続する必要がない。
【0018】
また、前記温度センサによって前記加温部による前記ボトルの加温状態を検出し、その検出信号に基づいて、設定された加温状態になるように加温部を制御することにより、前記ボトルを所望の加温状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る超音波診断装置用ボトル受けが接続された超音波診断装置の実施形態の一例の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置本体のUSB端子に、超音波診断装置用ボトル受けを接続する時の説明図である。
【図3】本発明に係る超音波診断装置用ボトル受けの断面図である。
【図4】本発明に係る超音波診断装置用ボトル受けの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図1〜図4に基づいて詳細に説明する。図1及び図2に示すように、超音波診断装置100は、超音波診断装置本体101と超音波診断装置用ボトル受け1とからなる。なお、図示しないが、前記超音波診断装置本体101には、被検体に超音波を送信する超音波プローブが接続されるようになっている。
【0021】
前記超音波診断装置本体101は、筐体部102と表示部103とを有している。前記筐体部102は、公知の超音波診断装置の機能を実行するための構成を備えており、例えば前記超音波プローブで得られた超音波エコー信号を処理するエコー信号処理部や、このエコー信号処理部で信号処理されたエコー信号に基づいて、前記表示部103に表示する画像のデータを作成する画像データ作成部などを備える(それぞれ図示省略)。また、前記筐体部102は、前記エコー信号処理部や前記画像データ作成部などを制御する制御部や、制御部の制御プログラムを格納する記憶部なども備えている(それぞれ図示省略)。さらに、前記筐体部102は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボードK、操作ボタンO及びポインティングデバイスPなどを含んで構成される操作部104を備えている。
【0022】
前記筐体部102の側面には、図2に示すようにUSB端子105が設けられている。このUSB端子105には、前記超音波診断装置用ボトル受け1が接続可能になっている。
【0023】
前記超音波診断装置用ボトル受け1は、有底筒状に形成されており、超音波ゼリーを収容したボトル106を収容することができるようになっている。詳しく説明すると、前記ボトル受け1は、外形が四角柱形状の有底の筒体2を有し、この筒体2には、平面視円形状の中空部Aを有している。この中空部Aは、前記ボトル106が収容されてこれを保持することができるようになっており、収容部3を構成している。この収容部2は、本発明における保持部の実施の形態の一例である。
【0024】
また、前記超音波診断装置用ボトル受け1はUSBデバイスであり、図3に示すように、前記筒体2に設けられたUSB端子部4を備えている。前記超音波診断装置用ボトル受け1は、前記USB端子部4により、前記USB端子105と接続されるようになっている。前記USB端子部4は、本発明におけるUSB端子部の実施の形態の一例である。
【0025】
前記収容部3の周壁部内周面3aには、前記収容部3に収容されたボトル106を加温する加温部5が設けられている。この加温部5は、前記周壁部内周面3aの全周ではなく、後述の温度センサ7を設けるためのスペースを空けるようにして設けられている。前記加温部5としては、例えば通電によって発熱する電気抵抗体等が用いられる。この加温部5は、前記超音波診断装置本体101から前記USB端子部4を介して電力が供給されて発熱するようになっている。前記加温部5は、本発明における加温部の実施の形態の一例である。
【0026】
前記超音波診断装置用ボトル受け1の電気的な回路構成について、図4に基づいて説明する。前記超音波診断装置用ボトル受け1は、前記USB端子部4及び前記加温部5のほか、制御部6、温度センサ7、スイッチ8、温度ヒューズ9を備えている。
【0027】
また、前記超音波診断装置用ボトル受け1は、電力供給ラインL1、信号ラインL2、グランドラインL3を有している。前記電力供給ラインL1及びグランドラインL3は、前記USB端子部4を介して前記超音波診断装置本体101から電力を供給するためのものである。前記電力供給ラインL1上には、前記加温部5、前記制御部6及び前記温度ヒューズ9が設けられ、また前記グランドラインには、前記制御部6及び前記スイッチ8が接続されており、前記超音波診断装置本体101からの電力が、前記加温部5及び前記制御部6に供給されるようになっている。
【0028】
また、前記信号ラインL2には前記制御部6が接続され、前記USB端子部4を介して前記超音波診断装置本体101からの信号が前記制御部6へ伝送されるようになっている。前記信号ラインL2は、例えばD+信号ラインとD−信号ラインの2本のラインで構成される(ただし、図では1本の信号ラインとして図示されている)。
【0029】
また、前記超音波診断装置用ボトル受け1にあって、前記制御部6と前記温度センサ7とがラインL4aによって接続されている。また、前記制御部6と前記スイッチ8とがラインL4bによって接続されている。さらに、前記加温部5と前記スイッチ8とがラインL4cによって接続されている。
【0030】
前記制御部6は、例えばMPU(Micro Prcessing Unit)で構成される。また、前記温度センサ7は、前記収容部3内の温度を検出することにより、前記加温部5による加温状態を検出する。前記温度センサ7は、前記周壁部内周面3aにおいて、前記加温部5が設けられていない位置に設けられる。前記温度センサ7は、本発明における温度センサの実施の形態の一例である。
【0031】
前記スイッチ8は、例えばNチャネルのFET(Field Effect Transistor)などで構成され、前記加温部5による加温をオンオフする。前記スイッチ8は、前記制御部6によりオンオフされる。この制御部6は、前記温度センサ7の温度検出信号に基づいて前記スイッチ8をオンオフする。これにより、前記加温部5による加温が制御されるようになっている。前記制御部6及び前記スイッチ8は、本発明における制御部の実施の形態の一例である。
【0032】
前記制御部6による制御について詳しく説明する。前記制御部6は、前記加温部5による加温を制御するため、制御プログラムPrに従って、前記温度センサ7で検出される温度が設定温度になるように前記スイッチ8をオンオフする。設定温度は、操作者により前記操作部104において入力されるようになっていてもよい。
【0033】
前記加温部5による加温を制御するための制御プログラムPrは、前記超音波診断装置本体101の記憶部に格納されている。前記制御部6は、前記USB端子部4及び前記信号ラインL2を通じて前記超音波診断装置本体101側から前記制御プログラムPrを読み出して実行する。
【0034】
ちなみに、前記加温部5による加温は、前記超音波診断装置本体101の操作部104において加温開始の指示入力を行なうことにより開始されるようになっていてもよい。この場合、前記操作部104における指示入力があると、加温開始の指示信号が前記USB端子部4及び前記信号ラインL2を通じて前記制御部6に入力され、この制御部6が前記スイッチ8をオンする。
【0035】
以上説明した前記超音波診断装置用ボトル受け1は、前記USB端子部4を前記超音波診断装置本体101のUSB端子105と接続することにより、容易に超音波診断装置100へ取り付けることができる。
【0036】
また、前記超音波診断装置用ボトル受け1の前記加温部5には、前記超音波診断装置本体101から前記USB端子部4及び前記電力供給ラインL1を介して電力が供給されるので、商用電源コンセントと別途接続する必要がない。これにより、前記超音波診断装置用ボトル受け1は、商用電源コンセントと接続するケーブルが不要なので、ケーブルを気にせずに前記超音波診断装置100を自由に移動することができ、また配線も増えることがない。
【0037】
さらに、前記温度センサ7の温度検出信号に基づいて、設定された温度になるように前記加温部5が制御されるので、前記ボトル106を所望の加温状態にすることができる。
【0038】
以上より、ボトル106の加温機能を有し、しかもその温度調節機能を有する超音波診断装置用ボトル受け1を、商用電源コンセントと接続するためのケーブルを必要とすることなく、既存の超音波診断装置に容易に取り付けることができる。
【0039】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記超音波診断装置用ボトル受け1は、前記周壁部内周面3aに、前記収容部3における前記ボトル106の有無を検出するセンサを備えていてもよい。この場合、前記センサにより、前記ボトル106が前記収容部3内に有ることが検出された場合、前記制御部6は前記加温部5による加温を行なわせる。一方で、前記センサにより、前記ボトル106が前記収容部3内に無いことが検出されている場合、前記制御部6は前記加温部5による加温を停止させる。
【符号の説明】
【0040】
1 超音波診断装置用ボトル受け
3 収容部(保持部)
4 USB端子部
5 加温部
6 制御部
7 温度センサ
8 スイッチ
100 超音波診断装置
101 超音波診断装置本体
104 操作部
105 USB端子
106 ボトル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルを保持する保持部と、
超音波診断装置本体のUSB端子と接続されるUSB端子部と、
前記超音波診断装置本体から前記USB端子部を介して電力が供給されて発熱することにより、前記保持部に保持されたボトルを加温する加温部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置用ボトル受け。
【請求項2】
前記加温部による加温を制御する制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置用ボトル受け。
【請求項3】
前記加温部による加温状態を検出する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサにおける検出信号に基づいて、設定された加温状態になるように前記加温部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置用ボトル受け。
【請求項4】
前記制御部は、前記超音波診断装置本体の記憶部から読み出された制御プログラムにより、前記加温部を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の超音波診断装置用ボトル受け。
【請求項5】
前記制御部は、前記超音波診断装置本体の操作部において設定された加温状態になるように、前記加温部を制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の超音波診断装置用ボトル受け。
【請求項6】
前記ボトルには超音波ゼリーが収容されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波診断装置用ボトル受け。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波診断装置用ボトル受けを備えることを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−83365(P2011−83365A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237226(P2009−237226)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】