説明

超音波診断装置

【課題】
超音波診断装置を操作する操作部を回動させることで、使用者の操作性を確保することが可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】
超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブが取り付けられる筐体と、前記筐体の一面である操作パネル面に取り付けられ、入力操作を行うための複数の操作デバイスを備えた支持部材と、前記筐体の操作パネル面に対して、前記支持部材を回動可能に支持する回動部材とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波により被検体の体内を画像化し診断を行う超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブから超音波を被検体に対して送信し、被検体を構成する組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射波を受信して表示部に表示する医用装置である。この超音波診断装置による診断は、超音波プローブを被検体の体表に接触させることでリアルタイムの超音波画像を生成して、超音波画像をディスプレイに表示することで行われる。
【0003】
こうした超音波診断装置に搭載される超音波プローブや画像生成方式の高機能化に合わせて、超音波診断装置の操作部も複雑化している。例えば、3次元画像を表示する超音波診断装置において、操作パネルに設けたホイールを操作して3次元画像を生成するスライス面を変更する発明が公開されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−125371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12に従来の超音波診断装置1000を用いて被検体101の診断を行う様子を示す。図12(a)に示すように、超音波診断装置1000に対して被検体101が右側にいる場合には、使用者100は超音波診断装置1000に対して右側に位置する。そして、ケーブル1003で接続された超音波プローブ1002を右手に持って、超音波プローブ1002を被検体101に接触させる。このとき、使用者100は操作パネル1004に設けられた操作部1012を左手で操作することとなる。一方、図12(b)に示すように超音波診断装置1000に対して被検体101が左側にいる場合には、使用者100は超音波診断装置1000に対して左側に位置し、超音波プローブ1003を左手に持って、操作部1012を右手で操作することとなる。
【0006】
図12(a)(b)に示すように、使用者100は超音波診断装置1000に対して斜めに位置して診断を行うため、使用者100は自身から見て斜め方向に傾いて配置された操作部12を操作しなければならず、操作性を損なっていた。そのため、使用者100が図12(a)(b)のいずれの位置にあっても操作性を損なわない超音波診断装置への要望があった。
【0007】
そこで本発明においては、操作部を回動させることで使用者の操作性を確保することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の超音波診断装置においては、超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブが取り付けられる筐体と、前記筐体の一面である操作パネル面に取り付けられ、入力操作を行うための複数の操作デバイスを備えた支持部材と、前記筐体の操作パネル面に対して、前記支持部材を回動可能に支持する回動部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作部を回動させることで使用者の操作性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波診断装置の内部構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る超音波診断装置の外観を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る操作部の構造を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る超音波診断装置を用いた診断の様子を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る回動操作部が左回動する様子を示す図。
【図6】本発明の実施形態に係る回動操作部が右回動する様子を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係るロック部材の構造を示す図。
【図8】本発明の実施形態に係る回動操作部が回動した際のロック部材の構造を示す図。
【図9】本発明の実施形態に係る回動操作部が更に回動した際のロック部材の構造を示す図。
【図10】本発明の実施形態に係る回動係止部の構造を示す図。
【図11】本発明の実施形態に係る、回動操作部が回動した際の回動係止部の構造を示す図。
【図12】従来の超音波診断装置を用いた診断の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(超音波診断装置の内部構成)
図1は、本発明に係る超音波診断装置1の内部構成を示したブロック図である。本発明における超音波診断装置1は、図1に示すように超音波プローブ2とシステム制御部10とを組み合わせることで構成される。システム制御部10を構成する構成要素は、例えばポリカーボネートやプラスチック、アルミなどの種々の素材によって構成された筐体により機能可能な様に梱包される。
【0013】
システム制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)から構成される。システム制御部10は、後述する操作部12、記憶ユニット13、表示部14、超音波画像生成ユニット15、送受信ユニット21、Bモード処理ユニット22、及びドプラ処理ユニット23から構成される。なお、本発明における超音波診断装置1の構成はこれに限られるものではなく、適宣構成要素を追加しても構わない。あるいは、構成要素を省略あるいは統合しても構わない。
【0014】
超音波プローブ2は、送受信ユニット21から出力された駆動信号に基づいて超音波を発生し、また被検体から反射された超音波を受信して電気信号(以下、エコー信号と記載する)に変換する複数の圧電振動素子と、圧電振動素子に接するように取り付けられた整合層と、被検体と反対方向への超音波の伝播を防止するバッキング材などから構成される。超音波プローブ210が被検体へ向けて超音波を送信すると、送信された超音波は被検体を構成する体内組織の音響インピーダンスの差異により反射波を発生させる。超音波プローブ2はこの反射波をエコー信号へと変換し、送受信ユニット21へエコー信号の出力を行う。
【0015】
送受信ユニット21は、超音波プローブ2へ駆動信号を出力する際に用いるパルサ回路及び遅延回路を備える。パルサ回路は、超音波プローブ2に超音波を送信させるレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波をビーム状に収束して送信指向性を決定する遅延時間を、このレートパルスに対して付加する。送受信ユニット21はこの遅延時間を付加されたレートパルスを、駆動信号として超音波プローブ2へ出力する。一方送受信ユニット21は、超音波プローブ2が受信したエコー信号を受信する際に用いるアンプ回路、A/D変換器、加算器を備える。アンプ回路は、超音波プローブ2が受信したエコー信号を増幅し、A/D変換器へ出力する。A/D変換器は、増幅されたエコー信号の受信指向性を決定するために必要な遅延時間をエコー信号に与え、加算器へと出力する。加算器は遅延時間を与えられたエコー信号を加算することで、超音波を送信するスキャンラインに対応したエコー信号を生成する。送受信ユニット21はエコー信号を生成すると、これをBモード処理ユニット22あるいはドプラ処理ユニット23へと出力する。
【0016】
Bモード処理ユニット22は、送受信ユニット21が出力したエコー信号の振幅強度に応じて変化するBモード信号を生成する。Bモード処理ユニット22は生成したBモード信号を超音波画像生成ユニット15へ出力する。
【0017】
ドプラ処理ユニット23は、エコー信号の周波数遷移を検出して、組織あるいは血流の移動速度を抽出したドプラ信号を生成する。ドプラ処理ユニット23はドプラ信号を超音波画像生成ユニット15へ出力する。
【0018】
超音波画像生成ユニット15は、Bモード処理ユニット22とドプラ処理ユニット23から出力されたBモード信号やドプラ信号に基づいて、超音波画像を生成する。超音波画像の生成は、操作部12から指示されたモード切替信号に応じて画像生成モードを切り替えながら行う。例えば操作部12がBモードを指示した場合、超音波画像生成ユニット15は、Bモード信号を超音波の送受信に対応した座標にマッピングしてBモード画像を生成する。操作部12がドプラモードを指示した場合、超音波画像生成ユニット15は、ドプラ信号を超音波の送受信に対応した座標にマッピングし、更にBモード画像上に重畳したドプラ画像を生成する。超音波画像生成ユニット15はこれらの超音波画像を生成して、表示部14へと出力する。
【0019】
なお、ここではモード切替信号に応じてBモード画像とドプラ画像とを切り替えて生成する例を示したが、超音波画像生成ユニット15が生成する超音波画像はこれに限られない。例えばエコー信号のうち周波数遷移が生じている領域について、周波数遷移から組織あるいは血流の移動速度・分散・エコー信号の振幅を算出し、これらのパラメータに基づいて色付けを行い表示するCDI(Color Doppler Imaging)モード、特定の診断領域の反射波強度変化を時系列化して表示するMモードなどの、様々なモードに基づいて超音波画像を生成するものであっても構わない。あるいは、Bモード画像やドプラ画像などの超音波画像を生成した後に、別モードの超音波画像を並べて新たな超音波画像を表示する並列表示モードを備えていても構わない。あるいは、超音波プローブ2が2次元的に超音波を送受信する場合には、超音波画像生成ユニット15が受信したエコー信号に基づいて3次元の超音波イメージを生成し、この3次元の超音波イメージから特定のスライス面を切り出して2次元の超音波画像を生成する、3次元Bモードや3次元ドプラモードなどを備えていても構わない。3次元の超音波イメージを超音波画像生成ユニット15が生成する場合、超音波画像生成ユニット15は操作部12から出力される指示信号に基づいてスライス面を変化させて2次元の超音波画像を生成する。
【0020】
表示部14は、例えばLCD(Lucid Cristal Display)や有機EL(Electro Luminescence)から構成されるディスプレイである。表示部14は、超音波画像生成ユニット15から出力された超音波画像を表示する。あるいは、超音波画像生成ユニット15が超音波画像を表示するためのパラメータや、超音波プローブ2が超音波を送受信する際のパラメータなどが表示される。
【0021】
記憶ユニット13は、例えばROM、RAMや電気的に書き換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ、及びHDD(Hard Disk Drive)などから構成される記憶媒体である。記憶ユニット13はシステム制御部10のCPUにより実行される種々のアプリケーションデータや制御データ、及び超音波画像生成ユニット15から出力された超音波画像を記憶する。
【0022】
操作部12は、例えば機械的なボタン、ダイヤル、トラックボール、スライダやホイールなどの種々の操作デバイスを用いて構成され、使用者100が行った入力を電気信号に変換してシステム制御部10へ出力する。操作部12には後述する回動操作部121が含まれる。操作部12は、例えば超音波画像生成ユニット15が超音波画像を生成するモードを切り替えるBモード切替ボタン、ドプラモード切替ボタン、CDIモード切替ボタンやMモード切替ボタン、3次元の超音波イメージから超音波画像を切り出すスライス面を変化させるスライス面切り替えボタン、3次元の超音波イメージの表示位置を変更するスライス位置切り替えホイール、超音波プローブ2による超音波の送信を開始あるいは停止させる開始/停止ボタン、表示部14に表示される超音波画像の書き換えを停止するフリーズボタン、被検体101の名前などの情報を入力して超音波画像生成ユニット15が生成した超音波画像と関連付ける診断情報入力ボタン、超音波画像を記憶ユニット13に格納させるStoreボタン、超音波画像の表示領域の指定や超音波画像のコントラストなどの画像表示条件を切り替える画像表示条件切替ボタン、超音波プローブ2から送信される超音波の周波数あるいは送信間隔などを切り替える超音波パラメータ切替ボタン、表示部14中に表示される選択項目やカーソルを移動させるカーソルキー、カーソル上の選択項目を選択するSetボタン、複数の選択項目が表示されている際に選択項目を切り替えるNextボタン、超音波プローブ2が送受信する超音波のゲインを変化させるゲインダイヤル、及び回動することで表示部14中に表示されるカーソルなどを移動させるトラックボールなどから構成される。先述したゲインダイヤルとトラックボールは、2つが組み合わさって構成される。具体的には、ゲインダイヤルはトラックボールを収容可能なように中空の筒状に形成され、この中空の領域にトラックボールが挿入される。以降、ゲインダイヤルとトラックボールを組み合わせた操作デバイスを、単にパームスイッチと記載する。使用者100はこの操作部12を操作することで、超音波診断装置1を操作する。また、各操作デバイスの操作面や操作デバイス近傍には、操作デバイスに割り当てられた役割を示す文字や記号などが印字される。使用者100はこの文字や記号を視認して、その操作デバイスに割り当てられた機能が何であるかを確認して操作を行う。
【0023】
なお、操作部12を構成する操作デバイスはここに列挙したものに限られず、種々の制御信号が割り当てられた他の操作デバイスが設けられるものであっても構わないし、ここに列挙した操作デバイスのうち幾つかを省略しても構わない。あるいはボタンの代わりにトラックボール、方向キーやスライダなどの種々の操作デバイスを用いて操作部12のいずれかを構成しても構わない。
【0024】
(超音波診断装置の外観)
図2は超音波診断装置1の操作部12、表示部14、及び超音波プローブ2の概観を示す図である。超音波診断装置1の筐体上には板状の操作パネル4が設けられ、操作パネル4に隣接して表示部14が設けられる。なお、本実施例において表示部14は操作パネル4と一体となって構成される例を示すが、本発明の構成はこれに限られるものではない。例えば表示部14を薄い液晶ディスプレイなどによって構成し、超音波診断装置1の筐体と表示部14とを可動するアームによって接続することで、表示部14の方向を任意に変更可能な構成をとっても構わない。
【0025】
超音波プローブ2はケーブル3を介して超音波診断装置1の筐体と接続される。ケーブル3は例えばゴムやシリコン、ポリ塩化ビニルなどの柔らかい素材によって構成され、内部に電気信号を送受信する電気ケーブルを内蔵する。送受信ユニット21が送信した駆動信号は電気ケーブル3を通じて超音波プローブ2へと伝達され、超音波プローブ2が受信したエコー信号は電気ケーブル3を通じて送受信ユニット21へと伝達される。ケーブル3は曲げ自在な柔らかい素材によって構成されるため、使用者100はケーブル3を曲げて、超音波プローブ2を所望の検査部位へと移動させることができる。
【0026】
操作部12は操作パネル4上に設けられる。操作部12は操作パネル4に固定されるボタンやスライダとは別に、回動可能に設けられた回動操作部121が設けられる。回動操作部121は操作パネル4上に別体に設けられた円盤状のパネルである。回動操作部121は後述する回動機構によって、操作パネル4の上面に略垂直な軸を中心として回動可能に設けられる。回動操作部121の上部にはA〜Gに示すボタンと、Hに示すパームスイッチが設けられる。A〜Gに示すボタンは押しボタンであり、診断中の操作が必要なBモード切替ボタン、ドプラモード切替ボタン、CDIモード切替ボタン、Mモード切替ボタン、開始/停止ボタン、フリーズボタン、あるいはStoreボタンなどが割り当てられる。これらのボタンは回動操作部121が回動する円周軌道上に沿って、略円状に並んで配置される。押しボタン121が略円状に並んで配置されることにより、使用者100は回動操作部121の中心に手のひらを被せた状態のまま、指を伸ばして各ボタンを押下する操作が行える。
【0027】
一方、Hに示すパームスイッチは回動するダイヤルとトラックボールを組み合わせた操作デバイスであり、使用者100がダイヤルあるいはトラックボールを回動させることで、パームスイッチは回動方向と回動量を入力信号としてシステム制御部10へと出力する。ダイヤルは超音波プローブ2が超音波を送受信するゲインを増減するために用いられ、トラックボールは例えば3次元表示された超音波イメージのスライス面を変更し、または表示部14中に表示されるカーソルを移動させるために用いる。
【0028】
なお、各操作デバイスに割り当てられる機能はここに挙げたものに限定されず、例えばSetボタンやNextボタン、スライス位置切り替えホイール、あるいは超音波パラメータ切替ボタンなどの他の機能が割り当てられていても構わない。また、回動操作部121の上面に設けられるボタンの数や配置は図2に示すものに限定されず、その数を増減し、あるいは配置を適宣変更しても構わない。また、Hはパームスイッチであると述べたが、例えば前後左右に移動することで移動方向をシステム制御部10へと伝達するレバーや方向キーなどによって構成されていても構わない。また、回動操作部121は円盤状のパネルであると述べたが、回動操作部121の形状はここに挙げたものに限定されず、例えば楕円形や多角形、あるいはこれらの図形を組み合わせた形状であっても構わない。
【0029】
図3に回動操作部121の上面俯瞰図及び断面図を示す。断面図は図3中の点線上の断面を示している。
【0030】
回動操作部121は操作パネル4上に設けた窪み上に位置し、回動操作部121は支持部材130と回動部材140とを嵌め合わせて構成される。支持部材130の上面には、先述したA〜Hの操作ボタンやパームスイッチが設けられ、操作ボタンやパームスイッチに接続された信号線は回動部材140を貫通してシステム制御部10に接続される。
【0031】
図3の断面図に示すように、支持部材130のふちには下側に向けて突出した支持部材ガイド131が設けられる。一方、操作パネル4には支持部材ガイド131を巻き込むようにして上側に向けて突出した操作パネルガイド41が設けられる。支持部材ガイド131及び操作パネルガイド41はそれぞれ支持部材130のふちに沿って円状に設けられる。支持部材130は操作パネル4によって支持され、支持部材ガイド131が操作パネルガイド41に沿って滑るように移動することで、支持部材130は操作パネル4上を回動する。
【0032】
一方、回動部材140の下端には回動部材ガイド141が設けられる。回動部材ガイド141は操作パネルガイド41の下側を覆うような円盤状に設けられる。回動部材ガイド141が操作パネルガイド41の下側を覆うことにより、回動部材ガイド141は支持部材130が上方向に浮き上がる事態や、あるいは上方向に抜けてしまう事態を防止した状態で、支持部材130が回動可能なように支持部材130を支持する。
【0033】
以上の構成により支持部材130及び回動部材140からなる回動操作部121は、操作パネル4に垂直な軸を中心として回動する。回動操作部121が回動することにより、回動操作部121上に設けられたボタンやパームスイッチはその方向が変化することとなる。
【0034】
(回動操作部の回動)
図4に本発明の超音波診断装置1を用いて被検体101の診断を行う様子を示す。超音波診断装置1を用いて診断を行う際には、使用者100は超音波診断装置1に接続されたケーブルを引き出して超音波プローブ2を手に持ち、この超音波プローブ2を被検体101の所望の検査部位に接触させて診断を行う。従って、超音波診断装置1と使用者100との位置関係は被検体101の位置によって2通りに変化する。1つは、図4(a)に示すように超音波診断装置1の右側に被検体101が載置される場合、もう1つは図4(b)に示すように超音波診断装置1の左側に被検体101が載置される場合である。
【0035】
図4(a)の場合、使用者100は超音波診断装置1の右側に位置して、超音波プローブ2を右手に持って診断を行う。そして、診断中に表示モード切替などの操作を行う場合には、使用者100は自身から見て左側に配置された操作部12を操作することとなる。
【0036】
使用者100が操作部12を操作する場合には、使用者100は自身に対して左側に手を伸ばして操作を行う。このとき手指の方向と操作デバイスの配列とを一致させるために、操作デバイスの配置方向は使用者100に対して正対した方向となることが望ましい。また、使用者100が操作部12の操作デバイス上に印字された文字を視認する際には、文字の印字方向と使用者100の方向とを一致させるために、操作デバイスの方向が使用者100に対して正対した方向となることが望ましい。また、使用者100がトラックボールや方向キー、レバーなどの操作デバイスを用いて方向指定を伴う操作を行う際には、使用者100が操作デバイスを視認する方向と操作方向とを一致させるために、操作デバイスの方向は使用者100に対して正対した方向であることが望ましい。
【0037】
そこで、図4(a)に示すように被検体101が超音波診断装置1の右側に位置する場合には、使用者100は回動操作部121を左向きに回動させて操作を行う。図5に回動操作部121が左向きに回動した場合の操作パネル4の外観を示す。回動操作部121は左向きに回動することで、操作者100が回動操作部121を操作する際に腕を伸ばす方向、あるいは回動操作部121を視認する方向である矢印200に正対する。回動操作部121が矢印200に正対することで、使用者100は自身に対して操作しやすい向きで回動操作部121を操作することができ、また操作デバイス上に印字された文字を容易に視認することができる。
【0038】
一方図4(b)の場合、使用者100は超音波診断装置1の左側に位置して、超音波プローブ2を左手に持って診断を行う。診断中に表示モード切替などの操作を行う場合には、使用者は図4(a)の場合とは逆に自身から見て右側に配置された操作部12を操作することになる。そこで、図4(b)に示すように被検体101が超音波診断装置1の左側に位置する場合には、使用者100は回動操作部121を右側に回動させて操作を行う。図6に回動操作部121が右向きに回動した場合の操作パネル4の外観を示す。回動操作部121は右向きに回動することで、操作者100が回動操作部121を操作する際に腕を伸ばす方向、あるいは回動操作部121を視認する方向である矢印201に正対する。
【0039】
このように、回動操作部121が左右いずれにも回動することで、使用者100が超音波診断装置1の右側、左側のいずれに位置する場合でも、使用者100は回動操作部121を自身に正対させて操作しやすい方向に変化させることができる。
【0040】
(回動操作部のロック部材)
先述した支持部材ガイド131及び操作パネルガイド41との係合により、使用者100は操作パネル121を自身の向きに合わせて回動させることができる。このとき、使用者100が回動操作部121上のボタンを押下し、あるいはパームスイッチを回動させる力によって回動操作部121が回動してしまう事態が考えられる。そこで、回動操作部121を所定の角度で固定するため、ロック部材を回動操作部121及び操作パネル4に設けてもよい。
【0041】
図7に回動操作部121の上面俯瞰図及びロック部材の断面図を示す。断面図は図7中の点線上の断面を示している。ロック部材は、支持部材ガイド131に凹部132を設け、また回動部材ガイド41に凸部42を設けることで構成される。
【0042】
凹部132は、支持部材ガイド131の突出部分に設けられた半球状の窪みである。凹部132の窪みは、凸部42の突起と略一致する形状に設けられ、支持部材ガイド131上の左右対称な位置に複数設けられる。一方凸部42は、支持部材ガイド131の突出部分に一致するように、操作パネルガイド41上の左右対称な位置に設けられる。凸部42は、伸縮するバネの先端に半球上の突起を取り付けることで構成される。
【0043】
回動操作部121が回動して凹部132と凸部42の位置が一致すると、凸部42のバネが伸長して、凸部42の先端の突起が上方へ飛び出す。凸部42の突起が飛び出すと、突起は凹部132の窪みに嵌まる。凸部42は凹部132に嵌まることで、回動操作部121の回動を妨げる。これにより、使用者100が回動操作部121上のボタンを押下し、あるいはパームスイッチを操作する力によって回動操作部121が不用意に回動してしまう事態が防がれる。
【0044】
図8に回動操作部121が回動した際の上面俯瞰図及びロック部材の断面図を示す。断面図は図8中の点線上の断面を示している。
【0045】
使用者100により回動操作部121を回動させる十分な力が加えられると、凸部41のバネは伸縮して凹部132と凸部42の係合が外れる。係合が外れることにより、使用者100は支持部材ガイド131に沿って回動操作部121を再び回動させることができる。
【0046】
図9に回動操作部121が更に回動した際の上面俯瞰図及びロック部材の断面図を示す。断面図は図9中の点線上の断面を示している。
【0047】
使用者100が更に回動操作部121を回動させると、この回動に従って凹部132と凸部42との位置が一致する。凹部132と凸部42との位置が一致すると、図7に述べた場合と同様に凸部42のバネが伸長し、凹部132と凸部42とが再び係合する。凸部42は凹部132に嵌まることで、回動操作部121の回動を妨げる。使用者100が回動操作部121上のボタンを押下し、あるいはパームスイッチを操作する力によって回動操作部121を不用意に回動してしまう事態が防がれる。これにより、使用者100は回動操作部121の角度を保ったままで操作を行うことができる。
【0048】
回動操作部121が必要以上の角度に回動してしまう事態を防ぐために、回動係止部43を操作パネル4に設けても構わない。図10に回動操作部121の上面俯瞰図及び回動係止部43の側面を示す。側面図は図10中の矢印202に示す方向から回動操作部121を俯瞰した図を示している。
【0049】
回動係止部43は、操作パネル4上の支持部材ガイド131が設けられた円周と同じ円周上に設けられる。回動係止部43は図10に示すように回動操作部121に対して手前側に設けられる。一方、支持部材ガイド131は回動係止部43の周りを除く回動操作部121のふちを覆うように設けられる。
【0050】
図11に回動操作部121が回動した際の回動操作部121の上面俯瞰図及び回動係止部43の側面を示す。側面図は図11中の矢印202に示す方向から回動操作部121を俯瞰した図を示している。
【0051】
回動操作部121が回動すると、支持部材ガイド131は同じ円周上に設けられた回動係止部43と側面で接する。回動係止部43は支持部材ガイド131と接することにより、回動操作部121がこれ以上左方向に回動するのを妨げる。これにより、必要以上に回動操作部121が回動し操作性を妨げる事態を防ぐことができる。
【0052】
なお、本実施例においては回動操作部121が正面を向いた状態と、左側に傾いた状態、右側に傾いた状態の3つの状態でロックを行うために、図7に示すように凹部132を6つ設ける例を示した。しかし、本発明の構成はこれに限られるものではなく、凹部132を多数設けて様々な角度で凹部132と凸部42とが係合しうる構成としても構わない。あるいは、凸部42を複数設けて複数の凸部42が係合する構成としても構わない。
【0053】
(本実施形態の効果)
以上の発明の構成により、使用者100は回動操作部121を左右に回動させる。これにより、使用者100が超音波診断装置1に対して斜めに位置する場合であっても、使用者100は手指の方向と回動操作部121上に配置された操作デバイスの配置方向とが一致した状態で操作を行うことができる。これにより、使用者100は操作性を保ったまま超音波診断装置1の操作を行うことができる。
【0054】
また、使用者100が超音波診断装置1に対して斜めに位置する場合であっても、使用者100は回動操作部121上に配置されたパームスイッチやレバー、方向キーを用いて方向指定を伴う操作を行う際に視線と操作の方向とを一致させることができる。これにより、使用者100は操作性を保ったまま超音波診断装置1の操作を行うことができる。
【0055】
また、使用者100が超音波診断装置1に対して斜めに位置する場合であっても、使用者100は操作デバイス上や操作デバイス近傍に印字された文字や記号の方向と使用者100の視線の方向とが一致した状態で操作を行うことができる。これにより、使用者100は容易に文字や記号を視認することができる。
【0056】
また、回動操作部121には、使用者100が診断中に操作を行うことが必要な機能であるBモード切替ボタン、ドプラモード切替ボタン、CDIモード切替ボタン、Mモード切替ボタン、フリーズボタン、Storeボタン、Setボタン、Nextボタン、あるいはスライス面位置変更ホイールなどの操作デバイスが設けられる。操作部12に含まれる全ての操作デバイスを回動可能に設けると回動操作部121が大きくなり、その結果超音波診断装置1が大型化してしまう。全ての操作デバイスではなく、使用者100が超音波プローブ2を片手に持ったまま操作する上記の操作デバイスを回動操作部121上に設けることにより、操作性を向上させ且つ回動操作部121を小さくすることができる。その結果超音波診断装置1を小型に構成することができる。
【0057】
また、回動操作部121の上面の各ボタンは、回動操作部121の回動軌道上に沿って略円周上に配置される。これにより、使用者100は回動操作部121の中心に手のひらを被せた状態のまま、指を伸ばして各押しボタンを押下して操作が行え、使用者100は超音波プローブ2を片手に持った姿勢のまま、容易に回動操作部121上の操作デバイスを操作することができる。
【0058】
なお、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宣な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、支持部材130は操作パネル4によって支持されると述べたが、例えば操作パネル4の内部に設けられた基盤によって支持部材130が支持される構成を取っても構わない。また例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。あるいは、異なる実施例にわたる構成要素を適宣組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
3 ケーブル
4 操作パネル
10 システム制御部
12 操作部
13 記憶ユニット
14 表示部
15 超音波画像生成ユニット
21 送受信ユニット
22 Bモード処理ユニット
23 ドプラ処理ユニット
41 操作パネルガイド
42 凸部
43 回動係止部
121 回動操作部
130 支持部材
131 支持部材ガイド
132 凹部
140 回動部材
141 回動部材ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブが取り付けられる筐体と、
前記筐体の一面である操作パネル面に取り付けられ、入力操作を行うための複数の操作デバイスを備えた支持部材と、
前記筐体の操作パネル面に対して、前記支持部材を回動可能に支持する回動部材と
を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記支持部材の回動角度が所定の角度に達した際に、前記支持部材の回動を停止させるロック部材を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記操作デバイスは、前記支持部材が回動する軌道に沿った略円周上に並んで前記支持部材上に設けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、所定の描画モードの超音波画像を生成する超音波画像生成部とを更に備え、
前記操作デバイスは、前記超音波プローブの超音波の送信あるいは受信を停止するボタン及び前記超音波画像生成部が超音波画像を生成する描画モードを切り替えるボタンの少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記操作デバイスは、球を回動させることでカーソルを移動させるトラックボールを含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−177266(P2011−177266A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42946(P2010−42946)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】