超音波診断装置
【課題】複数の関節を個別に検査して行う超音波診断において好適なボディマークを提供する。
【解決手段】この実施形態に係る超音波診断装置は、表示部と、操作手段と、記憶部と、提示部と、制御部とを備える。表示部は、複数の関節領域を含む身体模式図を表示する。操作手段は、複数の操作部を有する。記憶部は、複数の関節領域の少なくとも一部と、複数の操作部の少なくとも一部とを対応付けた対応情報を記憶する。提示部は、対応情報に示す対応付けを提示する。制御部は、複数の操作部のいずれかが操作されたときに、対応情報に基づいて、その操作部に対応する関節領域の表示を変更する。
【解決手段】この実施形態に係る超音波診断装置は、表示部と、操作手段と、記憶部と、提示部と、制御部とを備える。表示部は、複数の関節領域を含む身体模式図を表示する。操作手段は、複数の操作部を有する。記憶部は、複数の関節領域の少なくとも一部と、複数の操作部の少なくとも一部とを対応付けた対応情報を記憶する。提示部は、対応情報に示す対応付けを提示する。制御部は、複数の操作部のいずれかが操作されたときに、対応情報に基づいて、その操作部に対応する関節領域の表示を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブを用いて被検体内に超音波を送信してその反射波を受信することにより、被検体の生体情報を取得するものである。
【0003】
超音波診断においては、ユーザが検査部位を明確に認識できるようにボディマークが用いられる(特許文献1を参照)。ボディマークは身体部位を模式的に表現した図、つまり身体模式図である。
【0004】
また、超音波診断装置は、患者の複数の関節を個別に検査する必要がある疾患の診断にも使用される。たとえば、リウマチの診断では、上肢や下肢の多数の関節、つまり手指関節、手首関節、肘関節、肩関節、足指関節、足首関節、膝関節、股関節などについて、骨の密度・剛性の評価、骨の形状や位置の描出、ドプラモードによる関節血流の評価や、腱鞘滑膜・関節内滑膜の描出などが行われる。リウマチの超音波診断については、たとえば特許文献2に開示されている。
【0005】
この超音波診断は、関節を曲げたり伸ばしたりした状態で超音波プローブを当てて当該関節の画像を取得する。そして、この作業を複数の関節に対して順次に行う。したがって、この超音波診断では、どの関節を、どのように曲げた状態で、どの方向から画像が取得されたか正しく把握する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−187987号公報
【特許文献2】特開2006−167097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この実施形態は、複数の関節を個別に検査して行う超音波診断において好適なボディマークを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この実施形態に係る超音波診断装置は、表示部と、操作手段と、記憶部と、提示部と、制御部とを備える。表示部は、複数の関節領域を含む身体模式図を表示する。操作手段は、複数の操作部を有する。記憶部は、複数の関節領域の少なくとも一部と、複数の操作部の少なくとも一部とを対応付けた対応情報を記憶する。提示部は、対応情報に示す対応付けを提示する。制御部は、複数の操作部のいずれかが操作されたときに、対応情報に基づいて、その操作部に対応する関節領域の表示を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この実施形態に係る超音波診断装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】この実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図4】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図5】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図6】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図7】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図8】この実施形態に係る超音波診断装置によるボディマークの表示態様の一例を示す概略図である。
【図9】この実施形態に係る超音波診断装置の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【図10】この実施形態に係る超音波診断装置の使用形態の一例における対応情報を示す概略図である。
【図11】この実施形態に係る超音波診断装置の使用形態の一例における優先順位情報を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この実施形態に係る超音波診断装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は超音波診断装置の全体構成の一例を表す。この超音波診断装置は、超音波プローブ1と、送信部2と、受信部3と、信号処理部4と、画像生成部5と、表示制御部6と、表示部7と、制御部8と、操作部9とを有する。
【0012】
(超音波プローブ1)
超音波プローブ1には、複数の超音波振動子が走査方向に1列に配置された1次元アレイプローブ、又は、複数の超音波振動子が2次元的に配置された2次元アレイプローブが用いられる。また、走査方向に1列に配置された複数の超音波振動子を、走査方向に直交する揺動方向に揺動させる機械式1次元アレイプローブを用いてもよい。超音波プローブ1は被検体に超音波を送信し、被検体からの反射波をエコー信号として受信する。
【0013】
(送信部2)
送信部2は、超音波プローブ1に電気信号を供給して所定の焦点にビームフォームした(つまり送信ビームフォームした)超音波を送信させる。
【0014】
(受信部3)
受信部3は、超音波プローブ1が受信したエコー信号を受信する。受信部3は超音波プローブ1が受信したエコー信号を受信し、そのエコー信号に対して遅延処理を行うことにより、アナログのエコー信号を整相された(つまり受信ビームフォームされた)デジタルのデータに変換する。
【0015】
受信部3は、例えば図示しないプリアンプ回路と、A/D変換器と、受信遅延回路と、加算器とを有する。プリアンプ回路は、超音波プローブ1の各超音波振動子から出力されるエコー信号を受信チャンネルごとに増幅する。A/D変換器は、増幅されたエコー信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に変換されたエコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられたエコー信号を加算する。その加算によって、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。受信部3から出力される受信信号は、信号処理部4に出力される。
【0016】
(信号処理部4)
信号処理部4はBモード処理部を有する。Bモード処理部は受信信号を受信部3から受けて、受信信号の振幅情報の映像化を行う。具体的には、Bモード処理部は、受信信号に対してバンドパスフィルタ処理を行い、その後、出力信号の包絡線を検波し、検波されたデータに対して対数変換による圧縮処理を施す。
【0017】
信号処理部4はCFM(Color Flow Mapping)処理部を有していてもよい。CFM処理部は血流情報の映像化を行う。血流情報には、速度、分布、又はパワーなどの情報があり、血流情報は2値化情報として得られる。
【0018】
信号処理部4はドプラ処理部を有していてもよい。ドプラ処理部は受信信号を位相検波することによりドプラ偏移周波数成分を取り出し、FFT処理を施すことにより血流速度を表すドプラ周波数分布を生成する。
【0019】
信号処理部4は、信号処理が施された受信信号(超音波ラスタデータ)を画像生成部5に出力する。
【0020】
(画像生成部5)
画像生成部5は、信号処理部4から出力された信号処理後の受信信号(超音波ラスタデータ)に基づいて超音波画像データを生成する。画像生成部5は、例えばDSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)を有する。画像生成部5は、走査線の信号列で表される信号処理後の受信信号を、直交座標系で表される画像データに変換する(スキャンコンバージョン処理)。例えば、画像生成部5は、Bモード処理部によって信号処理が施された受信信号にスキャンコンバージョン処理を施すことにより、被検体の組織の形態を表すBモード画像データを生成する。画像生成部5は、超音波画像データを表示制御部6に出力する。
【0021】
(表示制御部6)
表示制御部6は、超音波画像データを画像生成部5から受けて、超音波画像データに基づく超音波画像を表示部7に表示させる。
【0022】
(表示部7)
表示部7は、CRTやフラットパネルディスプレイなどの表示デバイスにより構成されている。表示部7は、超音波画像を表示する。表示部7は、タッチコマンドスクリーンのような入力機能も兼ねたディスプレイであってもよい。その場合、操作部8の少なくとも一部(特に後述のスイッチ群91及び/又は対応指定部92)は、タッチコマンドスクリーンに呈示されるソフトウェアキーであってよい。つまり、操作部8を用いて行われる操作の少なくとも一部をタッチコマンドスクリーンへのタッチ操作として行えるように構成することが可能である。
【0023】
(制御部8)
制御部8は、超音波診断装置の各部の動作を制御する。例えば、制御部8は、送信部2及び受信部3による超音波の送受信を制御する。
【0024】
(操作部9)
操作部9は、ユーザによる操作を受けて、この操作内容に応じた信号や情報を装置各部に入力する。また、操作部9は、ネットワークやメディアを介して信号や情報の入力を受ける機能を有していてもよい。
【0025】
[制御系の構成]
この超音波診断装置の制御系の構成について図2を参照しつつ説明する。
【0026】
(表示部7)
表示部7は、ボディマーク表示部71と、対応提示部72とを有する。ボディマーク表示部71は「表示部」に相当する。対応提示部72は「提示部」に相当する。なお、表示部7による情報の表示態様については後述する。
【0027】
(ボディマーク表示部71)
ボディマーク表示部71には、身体の複数の関節に対応する複数の関節領域を含むボディマーク(身体模式図)が表示される。この表示処理は制御部8により実行される。なお、ボディマークは身体部位の写真であってもよい。また、一般に関節と関節領域とは一対一に対応付けられるので、以下の説明において関節と関節領域とを同一視することがある。
【0028】
複数の関節としては、手指関節、手首関節、肘関節、肩関節、足指関節、足首関節、膝関節、股関節などがある。手指関節や足指関節には、その指に応じて、指先側から順に、第1関節、第2関節、第3関節がある。
【0029】
関節領域は、ボディマークにおいて各関節に相当する画像領域である。たとえば手のボディマークは、手の甲や掌とともに、親指、人差し指、中指、薬指及び小指を模式的に表す画像である。各指の画像には、第1関節に相当する第1関節領域と、第2関節に相当する第2関節領域とがある。更に、親指以外の各指の画像には、第3関節に相当する第3関節領域がある。
【0030】
(対応提示部72)
対応提示部72には、記憶部81に記憶された対応情報83に示す対応付けの内容が提示される。詳細は後述するが、対応情報83には、複数の関節領域の少なくとも一部と、スイッチ群91の少なくとも一部とが対応付けられている。対応提示部72には、この対応付けの一部又は全部が提示される。
【0031】
より具体的には、上記対応付け(関数領域とスイッチとのペア)の個数がスイッチ群91に含まれるスイッチの個数より多い場合、つまり検査対象の関節の個数がスイッチの個数よりも多い場合、対応提示部72には当該対応付けの一部のみが提示される。そうでない場合には、対応付けの全てを対応提示部72に提示させてもよいし、その一部のみを提示してもよい。
【0032】
なお、対応付けの一部のみを提示させる場合には、全ての対応付けを幾つかの群に分けて順次に提示させることができる(後述)。すなわち、「対応付けの一部のみを提示させる」とは、制御の全プロセスにおいて全ての対応付けの一部のみを提示させる場合(つまり提示されない対応付けがある場合)と、その一部ごとに全ての対応付けを順次に提示させる場合との双方を含む。
【0033】
(操作部9)
操作部9は、スイッチ群91と、対応指定部92とを有する。スイッチ群91は「複数の操作部」に相当し、各スイッチは「操作部」に相当する。対応指定部92は「指定部」に相当する。
【0034】
(スイッチ群91)
スイッチ群91は、ボディマークに関する各種の操作に用いられる。スイッチ群91は、複数のスイッチからなる。複数のスイッチは、対応情報83によって関節領域に対応付けられる。スイッチ群91の具体例については後述する。
【0035】
(対応指定部92)
対応指定部92は、関節領域とスイッチとの対応付けを指定するために用いられる。対応指定部92はスイッチ群91と同じハードウェアにより構成されてもよいし、別のハードウェアとして構成されていてもよい。対応指定部92の具体例については後述する。
【0036】
(制御部8)
制御部8は、前述のように装置各部の制御を実行するが、特にボディマークに関する制御を行う。制御部8は、記憶部81、ボディマーク表示制御部85、提示制御部86及び対応情報変更部87を有する。
【0037】
(記憶部81)
記憶部81は各種情報を記憶する。特に、記憶部81は、ボディマークデータ82、対応情報83及び優先順位情報84を記憶している。
【0038】
(ボディマークデータ82)
ボディマークデータ82は、ボディマークの画像データである。ボディマークデータ82は、互いに異なる身体部位を示す2以上のボディマークの画像データを含んでいる。これらボディマークとしては、右手のボディマーク、左手のボディマーク、右腕のボディマーク、左腕のボディマーク、右足のボディマーク、左足のボディマーク、右脚のボディマーク、左脚のボディマークなどがある。なお、同一部位の左右のボディマークについては、それぞれの画像データを設けていてもよいし、1つの画像データを鏡像変換して用いるようにしてもよい。ボディマークデータ82は、あらかじめ記憶部81に記憶される。
【0039】
なお、この実施形態では、関節の曲げ伸ばしを表現可能な可動型のボディマークについて説明するが、一般的な非可動型のボディマークについてもボディマークデータ82として記憶しておいてもよい。
【0040】
(対応情報83)
対応情報83は、複数の関節領域の少なくとも一部と、スイッチ群91の少なくとも一部とを対応付けた情報である。対応情報83に示す対応付けは、一対一の対応でもよいし、一対多の対応でもよい。つまり、対応情報83は、1つのスイッチと1つの関節領域とを対応付けたものであってもよいし、1つのスイッチと2つ以上の関節領域とを対応付けたものであってもよいし、2つ以上のスイッチと1つの関節領域とを対応付けたものであってもよい。また、対応情報83は、これら対応付けの種別のうちの1種類のみからなるものであってもよいし、2種類以上の対応付けが混在するものであってもよい。
【0041】
一対一の対応付けの例として、3つのスイッチに対して人差し指の3つの関節をそれぞれ対応付けることができる。一対多の対応付けの例として、5つのスイッチに対して右手の5本の指(の2つ又は3つの関節)をそれぞれ対応付けることができる。また、一対多の他の例として、1つの関節に対して2つ以上のスイッチを対応付け、各スイッチの操作により当該関節の異なる屈曲角度を対応付けることができる(たとえば各スイッチが操作されると、当該関節が当該屈曲角度に曲げられた画像が表示されるように制御する)。
【0042】
(優先順位情報84)
優先順位情報84は、ボディマークの複数の関節領域にあらかじめ割り当てられた(つまり複数の関節に対してあらかじめ割り当てられた)優先順位を示す。この優先順位は、複数の関節を検査する順序を示すものである。検査の順序は、たとえば疾患の特性やユーザの好みなどにより決定される。
【0043】
疾患の特性の例として好発部位がある。好発部位とは、或る疾患について症状や病変が発生しやすい身体部位を意味する。たとえばリウマチでは、下肢よりも上肢の方が症状が発生しやすい。したがって、優先順位情報84として、第1位=右手指、第2位=左手指、第3位=右足指、第4位=左足指、第5位=右手首、第6位=左手首、といった順序で設定することができる。なお、この優先順位情報84を適用して検査を行う場合、右手のボディマーク、左手のボディマーク、右足のボディマーク、左足のボディマーク、右手(又は右腕)のボディマーク、左手(又は左腕)のボディマークの順に、表示されるボディマークが順に切り替えられることとなる。
【0044】
優先順位情報84は、このようなボディマークの切り替えだけでなく、検査対象の関節の切り替え順序が設定されたものであってもよい。たとえば、指先から順に検査が行われる場合、各指に対し、第1位=第1関節、第2位=第2関節(、第3位=第3関節)といった順序で設定された優先順位情報84を適用することができる。また、優先順位情報84は、ボディマークに対する優先順位と、関節に対する優先順位との双方を含んでいてもよい。
【0045】
このような一般的な優先順位に代えて、ユーザの好みで優先順位を設定することも可能である。それにより、ユーザのノウハウを生かした順序で優先順位を設定できるなど、利便性の向上を図ることが可能となる。たとえば右半身の関節を検査した後に左半身の関節を検査する場合、第1位=右手指、第2位=右手首、第3位=右肘、第4位=右肩、第5位=左手指、第6位=左手首、第7位=左肘、第8位=左肩、といった優先順位を示す優先順位情報84を適用することができる。なお、優先順位を手作業で一から設定できるように構成することもできるし、既存の優先順位の一部又は全部を手作業で変更できるように構成することもできるし、これらを選択的に利用可能に構成することもできる。
【0046】
ユーザにより設定された優先順位は、優先順位情報84として記憶される。この場合、ユーザの識別情報(医師ID等)と優先順位とを関連付けて記憶することにより、優先順位の設定内容が異なる複数のユーザに対応できる。
【0047】
また、或る被検者の診断において適用された優先順位情報84を、その被検者の識別情報(患者ID等)と関連付けて記憶し、当該被検者に対して後日診断を行うときに、この優先順位情報84を読みだして適用することが可能である。それにより、経過観察や術前術後観察など、複数回にわたって行われる診断における利便性を向上させることが可能である。
【0048】
また、様々な診断種別(疾患名等)のそれぞれに優先順位情報84を関連付けて記憶し、実施する診断に応じた優先順位情報84を読みだして適用するように構成することも可能である。
【0049】
(ボディマーク表示制御部85)
ボディマーク表示制御部85は、記憶部81に記憶された情報に基づいて、ボディマーク表示部71にボディマークを表示させる。より具体的に説明すると、ボディマーク表示制御部85は、ボディマークデータ82(のうちの任意のもの)を記憶部81から読みだし、この画像データに基づくボディマークを表示させる。
【0050】
また、ボディマーク表示制御部85は、優先順位情報84を参照することで、当該優先順位に示す順序でボディマークデータ82を記憶部81から読みだし、様々な身体部位のボディマークを順次に表示させる。
【0051】
また、ボディマーク表示制御部85は、スイッチ群91に含まれるスイッチのいずれかが操作されたときに、対応情報83に基づいて、そのスイッチに対応する関節領域(及びその近傍領域)の表示を変更する。この表示の変更は、当該関節を曲げたり伸ばしたりする動作を模擬的に表現するものである。
【0052】
「近傍領域」は、当該関節を動作させたときに変位する身体部位に相当する画像領域を含む。たとえば手指の第1関節を動作させる場合、ボディマークにおいて当該第1関節に対応する関節領域よりも指先側の画像領域が「近傍領域」に該当する。なお、このようなボディマークの変形表現をより自然に行うために、当該関節領域の一部又は全部の伸縮を表現するように構成することも可能である。つまり、近傍領域は、このように伸縮される画像領域を含んでいてもよい。
【0053】
また、ボディマーク表示制御部85は、ボディマークの表示態様の例として、対応情報83においていずれかのスイッチに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることができる。この表示態様の違いを設ける方法は、前者の関節領域と後者の関節領域とを判別可能とするものであれば、その手法は不問である。この手法の具体例としては、画像領域の色の違い、画像領域の模様の違い、画像領域の濃度(輝度)の違い、描画線(輪郭線等)の濃度(輝度)の違い、描画線のタイプ(実線、点線、破線等)の違い、描画線の太さの違い、目印(マーク等)の有無、などがある。
【0054】
なお、この表示態様の相異は、上記のような関節領域ごとに表示態様を違えるものには限定されない。たとえば、ボディマークにおいて、対応情報83においていずれかのスイッチに対応付けられている関節領域を含む身体部位の画像領域と、それ以外の身体部位の画像領域とを、互いに異なる表示態様で表示させることができる。その具体例として、たとえば、親指の或る関節と、人差し指の或る関節と、中指の或る関節とがそれぞれスイッチに対応付けられている場合、ボディマーク表示制御部85は、親指、人差し指及び中指に相当する画像領域の表示態様と、薬指及び小指(並びに指以外の手の部位)に相当する画像領域の表示態様とを互いに相異させてボディマークの表示を行う。なお、このように身体部位ごとに表示態様を違える手法は、前述した関節領域ごとの場合と同様でよい。
【0055】
また、ボディマーク表示制御部85は、ボディマークの表示態様の例として、複数のスイッチのうち現に操作対象とされているスイッチに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることができる。前述したように、たとえばリウマチの診断では、複数の関節を順次に検査していく。つまり、検査対象となる関節が順次に変わっていく。この表示態様の例は、操作対象とされているスイッチに対応付けられている関節領域を判別可能とするものである。なお、「現に操作対象とされているスイッチ」には、現に実際に操作されているスイッチだけでなく、実際に操作されるのを待っているスイッチ(つまり操作を受け付け可能なスイッチ)も含まれるものとする。
【0056】
(提示制御部86)
提示制御部86は、対応情報83に示す対応付けを対応提示部72に提示させる。この処理の例については、対応提示部72の説明において前述した。
【0057】
(対応情報変更部87)
対応情報変更部87は、対応指定部92を用いて行われた対応付けの指定内容に基づいて、対応情報83を変更する。対応情報83の変更には、一の対応情報の内容を更新することだけでなく、変更前の対応情報と、指定内容を反映させた対応情報の双方を、対応情報83として記憶させることも含まれる。
【0058】
[具体例]
この実施形態に係る超音波診断装置の構成の具体例について、図3〜図7を参照しつつ説明する。
【0059】
(ユーザインターフェイス100)
この超音波診断装置のユーザインターフェイスの具体例を図3に示す。このユーザインターフェイス100は、超音波診断装置の操作パネル(の一部)である。ユーザインターフェイス100には、表示部7と、スイッチ群91とが設けられている。このスイッチ群91は対応指定部92としても用いられる。
【0060】
表示部7には、ボディマーク表示部71と、対応提示部72とが設けられている。ボディマーク表示部71にはボディマークが表示される。また、ボディマーク表示部71に各種画像や各種情報を表示させるようにしてもよい。各種画像としては、被検体の超音波画像などがある。各種情報としては、操作用オブジェクト(ソフトウェアキー、情報入力スペース等)、被検者情報、電子カルテ情報、操作インストラクションなどがある。
【0061】
対応提示部72には、対応情報83に示す対応付けの内容の一部又は全部が提示される。対応提示部72には、複数(ここでは5つ)の提示領域72a、72b、72c、72d、72eが設けられている。
【0062】
スイッチ群91(かつ対応指定部92)には、複数(ここでは5つ)のスイッチ91a、91b、91c、91d、91eが設けられている。各スイッチ91a〜91eは、回転操作を受け付けるダイアルと、押下操作を受け付けるボタンとが設けられている。各スイッチ91a〜91eは「操作部」に相当する。
【0063】
複数の提示領域72a〜72eは、表示部7において複数のスイッチ91a〜91eに対応する位置に表示される。具体的には、図3において表示部7はスイッチ群91の上方位置に設けられており、更に、提示領域72aはスイッチ91aの上方位置に、提示領域72bはスイッチ91bの上方位置に、提示領域72cはスイッチ91cの上方位置に、提示領域72dはスイッチ91dの上方位置に、提示領域72eはスイッチ91eの上方位置に、それぞれ表示される。ユーザは、このような配置関係により、どの提示領域72a〜72eがどのスイッチ91a〜91eと対応しているか容易に認識することができる。
【0064】
各提示領域72a〜72eには、対応するスイッチ91a〜91eに対応付けられた関節領域の識別情報が提示される。図3に示す例では、第1の提示領域72aに「Thumb 1st」(つまり親指の第1関節)と、第2の提示領域72bに「First Finger 1st」(つまり人差し指の第1関節)と、第3の提示領域72cに「Second Finger 1st」(つまり中指の第1関節)と、第4の提示領域72dに「Third Finger 1st」(つまり薬指の第1関節)と、第5の提示領域72eに「Little Finger 1st」(つまり小指の第1関節)と、それぞれ提示されている。このような内容を提示することにより、ユーザは、第1のスイッチ91aが親指の第1関節に、第2のスイッチ91bが人差し指の第1関節に、第3のスイッチ91cが中指の第1関節に、第4のスイッチ91dが薬指の第1関節に、第5のスイッチ91eが小指の第1関節に、それぞれ対応付けられていることを容易に認識できる。
【0065】
ユーザが所望のダイアルを回転させると、その回転角度(回転方向を含む)を示す信号が制御部8に入力される。ボディマーク表示制御部85は、この信号に示す回転角度に基づいて、当該スイッチに対応する関節領域の近傍領域の表示を変更する(つまり、ボディマークにおける当該関節領域の屈曲又は伸張を模擬的に表現する)。このとき、ダイアルの回転に伴いリアルタイムで当該関節領域の屈曲や伸張を表現するとともに、ボタンが押下されたときの屈曲状態を維持するように構成することができる。すなわち、ユーザは、ダイアルを回転させることで当該関節領域の屈曲状態を調整し、ボタンを押下することで所望の屈曲状態を確定することができる。また、他の操作態様として、ボタンを押下する度に関節領域の屈曲状態を巡回的に変化させ、ボタンを長押しして所望の屈曲状態を確定するように構成することができる。どのような操作態様を適用するかは任意である(他の操作についても同様である)。
【0066】
また、スイッチ群91は、対応提示部72の提示内容を変更する操作、つまり各スイッチ91a〜91eに対応付ける関節領域を変更する操作にも用いられる。その具体例を説明する。対応情報83は、第1のスイッチ91aに対して親指の各関節領域を、第2のスイッチ91bに対して人差し指の各関節領域を、第3のスイッチ91cに対して中指の各関節領域を、第4のスイッチ91dに対して薬指の各関節領域を、第5のスイッチ91eに対して小指の各関節領域を、それぞれ対応付けているものとする。提示内容の変更を開始するためのトリガの入力後にダイアルを回転させると、その回転角度を示す信号が制御部8に入力される。提示制御部86は、この信号に示す回転角度に基づいて、当該スイッチに対応付けられた関節領域を巡回的に提示させる。このとき、ボディマーク表示制御部85による関節領域の表示態様の変更制御を同期して行うようにしてもよい。
【0067】
このような提示内容の変更操作がなされた後の提示状態の一例を図4に示す。図4は、第1のスイッチ91aを操作して親指の注目関節を第1関節(Thumb 1st)から第2関節(Thumb 2nd)に変更し、更に、第3のスイッチ91cを操作して中指の注目関節を第1関節(Second Finger 1st)から第3関節(Second Finger 3rd)に変更した場合における、対応提示部72の提示状態を示している。
【0068】
スイッチ91a〜91eは、対応情報83の変更操作にも用いられる。対応情報83の変更を行う場合、ユーザはその開始を指示するための操作をまず行う。これを受けて対応情報変更部87は、所定の変更画面を表示部7に表示させる。この変更画面は、たとえば、対応情報83に含まれている各対応情報(の識別情報等)を含む。ユーザは、操作部9を操作して、変更対象の対応情報を指定する。この操作は、たとえば、第1のスイッチ91aのダイアルを回転させて対応情報を選択し、ボタンを押下して選択対象を確定することにより行われる。制御部8は、指定された対応情報に示す対応付け内容を表示させる。この表示処理の例として、提示制御部86が、当該対応付け内容を提示領域72a〜72eに提示させる。ユーザは、各スイッチ91a〜91e(ダイアルとボタン)を操作して、当該スイッチ91a〜91eに対応付ける関節を選択する。変更操作の終了は所定の操作(たとえば所定のボタンを長押しする操作)によりなされる。
【0069】
なお、変更対象のボディマークの切り替えは、所定の操作(たとえば所定のボタンを2回続けて押下する操作)によって行われる。また、一のボディマークに対する変更操作の終了を受けて次のボディマーク自動的に表示させるようにしてもよい。
【0070】
ユーザインターフェイス100の他の具体例を説明する。図5に示す例では、対応するスイッチ91aと提示領域72aとが隣接して配置されている(他のスイッチ91b〜91e、他の提示領域72b〜72eについても同様である)。この例における各スイッチ91a〜91eの構成は、図3に示すものと同様でよい。また、この例における各提示領域72a〜72eは、たとえば液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイにより構成される。提示制御部86は、対応情報83に基づいて、各スイッチ91a〜91eに対応付けられた関節領域(の識別情報)を、隣接する提示領域72a〜72eにそれぞれ提示させる。
【0071】
ユーザインターフェイス100の他の具体例を説明する。図6に示す例では、各スイッチ91a〜91eの隣接位置に、当該スイッチの識別情報を提示する提示部93a〜93eが設けられている。この例では、第1のスイッチ91aの識別情報として文字列「Jog A」が、第2のスイッチ91bの識別情報として文字列「Jog B」が、第3のスイッチ91cの識別情報として文字列「Jog C」が、第4のスイッチ91dの識別情報として文字列「Jog D」が、第5のスイッチ91eの識別情報として文字列「Jog E」が、それぞれ提示されている。
【0072】
各提示部93a〜93eの構成は任意である。たとえば各スイッチ91a〜91eの識別情報を変更可能とする場合、各提示部93a〜93eをフラットパネルディスプレイにより構成することができる。また、各スイッチ91a〜91eの識別情報が固定されている場合には、各提示部93a〜93eとして、対応する識別情報が印刷された貼付部材(シール等)を用いることができる。
【0073】
更に、この例では、ボディマーク表示部71に表示されたボディマークMの関節領域又はその近傍に、当該関節領域に対応付けられたスイッチ91a〜91eの提示部93aに提示された識別情報が重畳表示される。図6に示す例では、ボディマークMにおける親指の第2関節に文字列「Jog A」Naが、人差し指の第2関節に文字列「Jog B」Nbが、中指の第2関節に文字列「Jog C」Ncが、薬指の第3関節に文字列「Jog D」Ndが、小指の第3関節に文字列「Jog E」Neが、それぞれ表示されている。このように構成することで、どの関節にどのスイッチ91a〜91eが対応付けられているか容易に認識できる。なお、上記の重畳表示は、たとえばボディマークを表示するレイヤと、識別情報を表示するレイヤとを重ねることにより実現できる。本例では、提示部93a〜93e及びボディマーク表示部71が「提示部」に相当する。
【0074】
図6に示す例において、対応情報83は、第1のスイッチ91aに対して親指の各関節領域を、第2のスイッチ91bに対して人差し指の各関節領域を、第3のスイッチ91cに対して中指の各関節領域を、第4のスイッチ91dに対して薬指の各関節領域を、第5のスイッチ91eに対して小指の各関節領域を、それぞれ対応付けているものとする。操作対象の関節領域を変更する場合、ユーザは、たとえば、所望の関節領域が属する指に対応するスイッチ91a〜91eのボタンを押下する。ボタンが押下される度に、提示制御部86は、当該指の複数の関節領域(又はその近傍)に対して巡回的に当該文字列Na〜Neを表示させる。その具体例として、人差し指の3つの関節について、提示制御部86は、第2のスイッチ91bのボタンが押下される度に、文字列「Jog B」Nbの表示箇所を、第1関節→第2関節→第3関節→第1関節→・・・と巡回的に変更する。ユーザは、所望の箇所に文字列Nbを表示させてボタンを長押しする。それにより新たな関節領域の動作を第2スイッチ91bで操作することが可能となる。
【0075】
このような操作がなされた後の提示状態の一例を図7に示す。図7は、第2のスイッチ91bを操作して人差し指の注目関節を第2関節から第3関節に変更し、更に、第5のスイッチ91eを操作して小指の注目関節を第3関節から第1関節に変更した場合における、文字列Na〜Neの提示状態を示している。
【0076】
対応情報83に示す対応付けを提示する態様は、上記に限定されるものではない。この提示態様は、関節領域の識別情報をスイッチ又はその近傍に提示するものでもよいし、スイッチの識別情報をボディマーク中の関節領域又はその近傍に提示するものでもよいし、関節領域の識別情報とスイッチの識別情報とを対応付けて提示するものでもよい。最後の形態の例として、当該対応付けを示す表を表示部7に表示させることができる。
【0077】
また、関節領域やスイッチの識別情報として、色等の視覚情報を用いることができる。たとえば、各スイッチ又はその近傍に所定の色の光を発する発光手段(LED等)を設けるとともに(スイッチごとに異なる色とする)、各スイッチに対応付けられた関節領域を当該スイッチと同じ色で示すように構成することが可能である。
【0078】
また、上記の例では、スイッチ(ダイアル、ボタン)を用いて各種操作を行うように構成されているが、これに限定されるものではない。たとえば、パドル、フリップ、ジョイスティック、トラックボール、マウス、タッチパネルディスプレイなどの任意の操作デバイスによって、目的の操作を行うように構成することが可能である。
【0079】
また、上記の例では、様々な操作にスイッチを共用しているが、2つ以上の操作デバイスを複数の操作に割り振った構成を適用することも可能である。
【0080】
また、図6に示す例では、スイッチの識別情報をボディマーク上に表示させているが、ボディマークと同形態又は類似形態の別の画像を表示させ、この画像上に識別情報を表示させるようにしてもよい。
【0081】
(ボディマークの表示態様)
前述のように、対応情報83においていずれかのスイッチに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることが可能である。この処理の一例について図8を参照しつつ説明する。
【0082】
対応情報83は、たとえば、親指の各関節を第1のスイッチ91aに、人差し指の各関節を第2のスイッチ91bに、中指の各関節を第3のスイッチ91cに、それぞれ対応付けているものとする。ここで、薬指及び小指の各関節は、いずれのスイッチ91a〜91eにも対応付けられていないものとする。なお、スイッチ91d、91eは、他のボディマークにおける関節領域に対応付けられていてもよい。
【0083】
この場合、ボディマーク表示制御部85は、図8に示すように、親指、人差し指及び中指(並びに指以外の部位)に相当する輪郭を実線で表示させ(符号M1で示す)、かつ、薬指及び小指に相当する輪郭を破線で表示させる(符号M2で示す)。この処理は、たとえば、各指に相当する画像領域をあらかじめ記憶しておき、いずれのスイッチ91a〜91eにも関節領域が対応付けられていない指を特定し、特定された指に相当する画像領域の輪郭を破線で表示させることにより実現できる。このようなボディマークMを表示させることにより、いずれかのスイッチ91a〜91eに対応付けられた関節領域が属する指と、それ以外の指とを容易に判別することが可能となる。
【0084】
なお、このような表示態様の区別は、指ごとに行うものに限定されるものではなく、たとえば関節領域ごとに行うことが可能である。また、複数のボディマークを提示する場合には、たとえば現に検査が行われている身体部位のボディマークの表示態様とそれ以外のボディマークの表示態様とを違えるなど、ボディマークごとに表示態様を相違させるように構成することも可能である。
【0085】
また、過去の診断(たとえば前回の診断)において異常があった部位と、正常であった部位とを、互いに異なる態様で表示させることも可能である。
【0086】
また、同一被検者に対して複数の検査を行う場合を想定し、検査種別ごとにボディマークの表示態様を変更することも可能である。その具体例として、第1の検査のボディマークを赤色で表示させ、第2の検査のボディマークを青色で表示させることにより、たとえば複数の検査を並行して行う場合などにおいて現にどの検査を行っているか容易に認識できる。また、診断結果を閲覧する際に、複数の検査結果の混同を防止することが可能である。具体的には、たとえば複数の検査結果を混同することなく並列表示させることが可能である。
【0087】
[使用形態]
この実施形態に係る超音波診断装置の使用形態について説明する。この超音波診断装置をリウマチの診断に用いる場合における使用形態の例を図9に示す。
【0088】
なお、ボディマークデータ82には、複数の身体部位に相当する複数のボディマークの画像データが記憶されているものとする。具体的には、たとえば右手、左手、右腕、左腕、右足、左足、右脚及び左脚のそれぞれに相当するボディマークの画像データが記憶されているものとする。また、対応情報83や優先順位情報84は既に設定されているものとする。
【0089】
対応情報83の設定例を図10に示す。この対応情報83において、右手ボディマークについては、親指と第1のスイッチ91aが、人差し指と第2のスイッチ91bが、中指と第3のスイッチ91cが、薬指と第4のスイッチ91dが、小指と第5のスイッチ91eが、それぞれ対応付けられている。右足ボディマークについても同様とする。また、左手ボディマークについては、親指と第5のスイッチ91eが、人差し指と第4のスイッチ91dが、中指と第3のスイッチ91cが、薬指と第2のスイッチ91bが、小指と第1のスイッチ91aがそれぞれ対応付けられている。左足ボディマークについても同様とする。右腕ボディマークについては、手首関節と第1のスイッチ91aが、肘関節と第3のスイッチ91cが、肩関節と第5のスイッチ91eが、それぞれ対応付けられている。左腕ボディマークについては、手首関節と第5のスイッチ91eが、肘関節と第3のスイッチ91cが、肩関節と第1のスイッチ91aが、それぞれ対応付けられている。右脚ボディマーク及び左脚ボディマークについては、足首関節と第1のスイッチ91aが、膝関節と第3のスイッチ91cが、股関節と第5のスイッチ91eが、それぞれ対応付けられている。
【0090】
優先順位情報84の設定例を図11に示す。この優先順位情報84では、リウマチの好発部位を考慮し、優先順位の高い方から、手指、足指、手首、足首、肘、膝、肩、股関節の順に設定されている。また、左側よりも右側の優先順位が高く設定されている。すなわち、右手指、左手指、右足指、左足指、右手首、左手首、右足首、左足首、右肘、左肘、右膝、左膝、右肩、左肩、右股関節、左股関節の順に検査を行うように、優先順位情報84は設定されている。なお、複数の関節を有する身体部位については、当該身体部位の先端側から順に優先順位が付されているものとする。たとえば、手指については、第1関節、第2関節(、第3関節)の順に優先順位が付されているものとする。
【0091】
(ステップ1:ボディマークの表示)
ユーザは、たとえば操作部9を用いて診断開始の指示を入力する。この指示を受けると、ボディマーク表示制御部85は、優先順位情報84を参照して、最初の検査部位である右手指を含むボディマーク(右手ボディマーク)を、ボディマーク表示部71に表示させる。右手ボディマークは、図6に示すボディマークMに相当する。ユーザは、操作部9を用いて、ボディマークMの向きを変更することができる。
【0092】
(ステップ2:対応情報の提示)
また、提示制御部86は、対応情報83及び優先順位情報84を参照し、右手ボディマークに対応するスイッチ群91と関節領域との対応付けを、対応提示部72に表示させる。具体的には、提示制御部86は、第1の提示領域72aに文字列「Thumb 1st」を、第2の提示領域72bに文字列「First Finger 1st」を、第3の提示領域72cに文字列「Second Finger 1st」を、第4の提示領域72dに文字列「Third Finger 1st」を、第5の提示領域72eに文字列「Little Finger 1st」を、それぞれ提示させる。この表示態様は図3に示すものである。
【0093】
(ステップ3:検査開始)
以上の準備の後、実際の検査が開始される。ユーザは、スイッチ群91を操作しつつ右手指の検査を行う。このとき、ユーザは、各スイッチ群91のダイアルやボタンを用いて関節の角度(曲げ伸ばし状態)を変更したり、操作部9を用いて右手ボディマークの向きを変更したりしながら、右手指の関節について検査を行う。そして、ユーザは、所定の操作を行って検査結果を入力する。
【0094】
(ステップ4:関節の変更)
検査においてユーザは、検査対象の関節を変更する操作を適宜に行う。この操作には、同じ指の別の関節の検査に移行するための第1の操作と、同じ検査部位(ここでは右手)の別の指の検査に移行するための第2の操作と、他の検査部位の検査に移行するための第3の操作とが含まれる。
【0095】
第1の操作は、たとえば、現に検査している指に対応するスイッチ91a〜91eを操作して行われる。第1の操作がなされると、提示制御部86は、当該指に対応する提示領域72a〜72eの提示内容を更新する。たとえば、右手親指の第1関節の検査から第2関節の検査に移行するための操作がなされた場合、提示制御部86は、第1の提示領域72aの提示内容を文字列「Thumb 1st」から文字列「Thumb 2nd」に変更する。また、第1の操作がなされると、ボディマーク表示制御部85は、検査対象の関節に相当する関節領域の表示態様を変更する。たとえば、右手親指の第1関節の検査から第2関節の検査に移行するための操作がなされた場合、ボディマーク表示制御部85は、親指の第1関節に相当する関節領域を強調する表示態様から、第2関節に相当する関節領域を強調する表示態様に変更する。
【0096】
第2の操作は、たとえば、現に検査している指とは別の指に対応するスイッチ91a〜91eを操作して行われる。第2の操作がなされると、ボディマーク表示制御部85は、検査対象の指に相当する画像領域の表示態様を変更する。たとえば、右手親指の検査から人差し指の検査に移行するための操作がなされた場合、ボディマーク表示制御部85は、親指に相当する画像領域を強調する表示態様から、人差し指に相当する画像領域を強調する表示態様に変更する。
【0097】
第3の操作は、第1及び第2の操作のいずれとも異なる操作、たとえばボタンの長押しや2回押し、或いは図示しないスイッチを操作して行われる。第3の操作がなされたときの処理については以下で説明する。
【0098】
(ステップ5:検査部位が変更?)
制御部8は、ステップ4でなされた操作の種別を判別し、検査部位の変更がなされたか否か判断する。なお、本例では、ボディマークは検査部位ごとに設けられているので、検査部位の変更はボディマークの変更と同義である。上記第1及び第2の操作がなされた場合、制御部8は、検査部位は変更されないと判断する(S5:No)。他方、上記第3の操作がなされた場合、制御部8は、検査部位が変更されたと判断する(S5:Yes)。
【0099】
(ステップ6:ボディマークの変更)
ステップ5で検査部位が変更されたと判断された場合(S5:Yes)、ボディマーク表示制御部85は、優先順位情報84を参照して、次の検査部位のボディマークをボディマーク表示部71に表示させる。現段階では右手指の検査が終了したところなので、左手ボディマークが表示されることとなる。
【0100】
(ステップ7:対応情報の提示の変更)
ステップ5で検査部位が変更されないと判断された場合(S5:No)、提示制御部86やボディマーク表示制御部85は、ステップ4で説明した処理を実行する。
【0101】
他方、ステップ5で検査部位が変更されると判断され(S5:Yes)、ステップ6でボディマークの変更がなされた場合、提示制御部86は、対応情報83及び優先順位情報84を参照し、新たに表示されたボディマーク(現段階では左手ボディマーク)に対応するスイッチ群91と関節領域との対応付けを、対応提示部72に表示させる。すなわち、対応提示部72による提示内容が更新される。
【0102】
(ステップ8:全ての検査が完了?)
この超音波診断装置は、ステップ8で「Yes」と判断されるまで、つまり全ての関節の検査が完了したと判断されるまで、ステップ4、ステップ5、ステップ6及びステップ7の処理を繰り返す。ステップ8で「Yes」と判断されると、当該患者に対する検査は終了となる。
【0103】
なお、全ての関節の検査が完了したか否かの判断は、ユーザによる指示を受けて、又は自動的に行われる。前者の場合、ユーザは操作部9を用いて所定の操作を行う。後者の場合、たとえば、優先順位情報84に示す最後の関節(ここでは股関節)の検査結果の入力を受けて全ての関節の検査が完了したと判断される。また、最後の関節の検査結果の入力後に、検査が完了したか確認するためのダイアログボックスを表示部7に表示させ、これに対する応答を受けて全ての関節の検査が完了したか判断するように構成することも可能である。
【0104】
[効果]
この実施形態に係る超音波診断装置の効果について説明する。
【0105】
この超音波診断装置は、表示部7と、制御部8と、操作部9とを有する。ボディマーク表示制御部85は、複数の関節領域を含むボディマークを、ボディマーク表示部71に表示させる。操作部9には複数のスイッチ91a〜91eが設けられている。記憶部81には、ボディマーク中の複数の関節領域とスイッチ91a〜91eとを対応付けた対応情報83が記憶されている。提示制御部86は、スイッチ91a〜91eのいずれかが操作されたときに、対応情報83に基づいて、この操作されたスイッチ91a〜91eに対応する関節領域の表示を変更する。
【0106】
このような超音波診断装置によれば、任意の関節の曲げ伸ばし状態をボディマークにおいて好適に再現することができる。したがって、複数の関節を個別に検査して行う超音波診断において好適なボディマークを提供することが可能である。特に、どの関節を、どのように曲げた状態で超音波画像を取得したか的確に記録することができる。
【0107】
また、前述のようにボディマークを適宜に回転させることもできるので、どの方向から超音波画像が取得されたか的確に記録することもできる。
【0108】
なお、当該関節に対して超音波プローブを当てた位置や向きをボディマーク中に描画できるようにしてもよい。
【0109】
対応情報83において、一の操作部に対して複数の関節領域が対応付けられていてもよい。この場合、ボディマーク表示制御部85は、当該操作部により所定の操作がなされたときに、対応情報83に基づいて、関節の曲げ伸ばしを再現させる関節領域を切り替える。この切り替えは、当該操作部に対応付けられている複数の関節領域のうちにおいてなされる。
【0110】
上記の例では、第1のスイッチ91aに対して右手親指が、すなわちその第1関節と第2関節とが対応付けられている。第1のスイッチ91aにより所定の操作(たとえばダイアルの回転やボタンの押下)がなされると、ボディマーク表示制御部85は、第1関節と第2関節との間において、関節の曲げ伸ばしを再現する関節領域(つまり検査対象の関節に相当する関節領域)を切り替える。
【0111】
このような構成によれば、検査対象の関節を切り替えつつ実施される検査をスムースに行うことが可能となる。
【0112】
更に、一の操作部により所定の操作がなされたときに、提示制御部86は、対応情報83に基づいて、対応提示部72による対応付けの提示内容を変更するよう機能する。
【0113】
上記の例では、第1のスイッチ91aにより所定の操作がなされたことに対応し、第1の提示領域72aの提示内容が、文字列「Thumb 1st」から文字列「Thumb 2nd」に変更されている。
【0114】
また、表示させるボディマークが変更される場合においても、各提示領域72a〜72eの提示内容が変更される。たとえば、上記の例において右手ボディマークから左手ボディマークに表示が切り替えられる場合、第1の提示領域の提示内容は、文字列「Thumb 1st」から文字列「Little Finger 1st」に変更される。
【0115】
このような構成によれば、検査対象の関節を切り替えつつ実施される検査において、どのスイッチ91a〜91eがどの関節領域に対応しているかを、容易かつ正確に把握することができる。
【0116】
この超音波診断装置の操作部9には、関節領域とスイッチ91a〜91eとの対応付けを指定するための対応指定部92が設けられている。制御部8の対応情報変更部87は、対応指定部92による指定結果に基づいて対応情報83を変更するよう機能する。
【0117】
このような構成によれば、ユーザは、関節領域とスイッチ91a〜91eとの対応付けを任意に編集することができる。したがって、ユーザのニーズに合った超音波診断を提供することが可能である。
【0118】
記憶部81には、複数の関節領域にあらかじめ割り当てられた優先順位を示す優先順位情報84が記憶されている。提示制御部86は、この優先順位に応じた順序で対応提示部72による提示内容を変更するよう構成されている。
【0119】
このような構成によれば、検査対象の関節の移行順序を自動で指示することが可能となる。したがって、複数の関節の検査をスムースに行うことができる。また、検査漏れのおそれも低減される。
【0120】
なお、上記の例では、1つのボディマーク中の関節領域だけでなく、複数のボディマークにわたる複数の関節領域に対して優先順位が付されている。そして、関節領域の変更とともに、ボディマークの変更も行っている。したがって、複数の検査部位(身体部位)にわたる関節の検査をスムースに行うことができる。
【0121】
ボディマーク表示制御部85は、対応情報83によりいずれかのスイッチ91a〜91eに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることができる。
【0122】
このような構成によれば、対応情報83により或るスイッチ91a〜91eに対応付けられている関節、つまり当該検査の対象とされている関節と、対象とされていない関節とを的確に判別することが可能である。
【0123】
ボディマーク表示制御部85は、スイッチ91a〜91eのうち現に操作対象とされているものに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることができる。
【0124】
なお、現に操作対象とされているスイッチとは、対応情報83により或る関節領域に対応付けられているスイッチのうち、現に操作されているスイッチや、操作されようとしているスイッチや、操作されたばかりのスイッチを意味する。このようなスイッチの判別処理は、各スイッチから入力される信号に基づいて実行することが可能である。また、このようなスイッチをユーザが指定するようにしてもよい。
【0125】
このような構成によれば、現に検査している関節や、検査しようとしている関節や、検査が終わったばかりの関節を的確に判別することが可能である。
【0126】
この発明のいくつかの実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
1 超音波プローブ
2 送信部
3 受信部
4 信号処理部
5 画像生成部
6 表示制御部
7 表示部
71 ボディマーク表示部
72 対応提示部
72a〜72e 提示領域
8 制御部
81 記憶部
82 ボディマークデータ
83 対応情報
84 優先順位情報
85 ボディマーク表示制御部
86 提示制御部
87 対応情報変更部
9 操作部
91 スイッチ群
91a〜91e スイッチ
92 対応指定部
100 ユーザインターフェイス
M ボディマーク
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブを用いて被検体内に超音波を送信してその反射波を受信することにより、被検体の生体情報を取得するものである。
【0003】
超音波診断においては、ユーザが検査部位を明確に認識できるようにボディマークが用いられる(特許文献1を参照)。ボディマークは身体部位を模式的に表現した図、つまり身体模式図である。
【0004】
また、超音波診断装置は、患者の複数の関節を個別に検査する必要がある疾患の診断にも使用される。たとえば、リウマチの診断では、上肢や下肢の多数の関節、つまり手指関節、手首関節、肘関節、肩関節、足指関節、足首関節、膝関節、股関節などについて、骨の密度・剛性の評価、骨の形状や位置の描出、ドプラモードによる関節血流の評価や、腱鞘滑膜・関節内滑膜の描出などが行われる。リウマチの超音波診断については、たとえば特許文献2に開示されている。
【0005】
この超音波診断は、関節を曲げたり伸ばしたりした状態で超音波プローブを当てて当該関節の画像を取得する。そして、この作業を複数の関節に対して順次に行う。したがって、この超音波診断では、どの関節を、どのように曲げた状態で、どの方向から画像が取得されたか正しく把握する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−187987号公報
【特許文献2】特開2006−167097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この実施形態は、複数の関節を個別に検査して行う超音波診断において好適なボディマークを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この実施形態に係る超音波診断装置は、表示部と、操作手段と、記憶部と、提示部と、制御部とを備える。表示部は、複数の関節領域を含む身体模式図を表示する。操作手段は、複数の操作部を有する。記憶部は、複数の関節領域の少なくとも一部と、複数の操作部の少なくとも一部とを対応付けた対応情報を記憶する。提示部は、対応情報に示す対応付けを提示する。制御部は、複数の操作部のいずれかが操作されたときに、対応情報に基づいて、その操作部に対応する関節領域の表示を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この実施形態に係る超音波診断装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】この実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図4】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図5】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図6】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図7】この実施形態に係る超音波診断装置のユーザインターフェイスの一例を示す概略図である。
【図8】この実施形態に係る超音波診断装置によるボディマークの表示態様の一例を示す概略図である。
【図9】この実施形態に係る超音波診断装置の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【図10】この実施形態に係る超音波診断装置の使用形態の一例における対応情報を示す概略図である。
【図11】この実施形態に係る超音波診断装置の使用形態の一例における優先順位情報を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この実施形態に係る超音波診断装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は超音波診断装置の全体構成の一例を表す。この超音波診断装置は、超音波プローブ1と、送信部2と、受信部3と、信号処理部4と、画像生成部5と、表示制御部6と、表示部7と、制御部8と、操作部9とを有する。
【0012】
(超音波プローブ1)
超音波プローブ1には、複数の超音波振動子が走査方向に1列に配置された1次元アレイプローブ、又は、複数の超音波振動子が2次元的に配置された2次元アレイプローブが用いられる。また、走査方向に1列に配置された複数の超音波振動子を、走査方向に直交する揺動方向に揺動させる機械式1次元アレイプローブを用いてもよい。超音波プローブ1は被検体に超音波を送信し、被検体からの反射波をエコー信号として受信する。
【0013】
(送信部2)
送信部2は、超音波プローブ1に電気信号を供給して所定の焦点にビームフォームした(つまり送信ビームフォームした)超音波を送信させる。
【0014】
(受信部3)
受信部3は、超音波プローブ1が受信したエコー信号を受信する。受信部3は超音波プローブ1が受信したエコー信号を受信し、そのエコー信号に対して遅延処理を行うことにより、アナログのエコー信号を整相された(つまり受信ビームフォームされた)デジタルのデータに変換する。
【0015】
受信部3は、例えば図示しないプリアンプ回路と、A/D変換器と、受信遅延回路と、加算器とを有する。プリアンプ回路は、超音波プローブ1の各超音波振動子から出力されるエコー信号を受信チャンネルごとに増幅する。A/D変換器は、増幅されたエコー信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に変換されたエコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられたエコー信号を加算する。その加算によって、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。受信部3から出力される受信信号は、信号処理部4に出力される。
【0016】
(信号処理部4)
信号処理部4はBモード処理部を有する。Bモード処理部は受信信号を受信部3から受けて、受信信号の振幅情報の映像化を行う。具体的には、Bモード処理部は、受信信号に対してバンドパスフィルタ処理を行い、その後、出力信号の包絡線を検波し、検波されたデータに対して対数変換による圧縮処理を施す。
【0017】
信号処理部4はCFM(Color Flow Mapping)処理部を有していてもよい。CFM処理部は血流情報の映像化を行う。血流情報には、速度、分布、又はパワーなどの情報があり、血流情報は2値化情報として得られる。
【0018】
信号処理部4はドプラ処理部を有していてもよい。ドプラ処理部は受信信号を位相検波することによりドプラ偏移周波数成分を取り出し、FFT処理を施すことにより血流速度を表すドプラ周波数分布を生成する。
【0019】
信号処理部4は、信号処理が施された受信信号(超音波ラスタデータ)を画像生成部5に出力する。
【0020】
(画像生成部5)
画像生成部5は、信号処理部4から出力された信号処理後の受信信号(超音波ラスタデータ)に基づいて超音波画像データを生成する。画像生成部5は、例えばDSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)を有する。画像生成部5は、走査線の信号列で表される信号処理後の受信信号を、直交座標系で表される画像データに変換する(スキャンコンバージョン処理)。例えば、画像生成部5は、Bモード処理部によって信号処理が施された受信信号にスキャンコンバージョン処理を施すことにより、被検体の組織の形態を表すBモード画像データを生成する。画像生成部5は、超音波画像データを表示制御部6に出力する。
【0021】
(表示制御部6)
表示制御部6は、超音波画像データを画像生成部5から受けて、超音波画像データに基づく超音波画像を表示部7に表示させる。
【0022】
(表示部7)
表示部7は、CRTやフラットパネルディスプレイなどの表示デバイスにより構成されている。表示部7は、超音波画像を表示する。表示部7は、タッチコマンドスクリーンのような入力機能も兼ねたディスプレイであってもよい。その場合、操作部8の少なくとも一部(特に後述のスイッチ群91及び/又は対応指定部92)は、タッチコマンドスクリーンに呈示されるソフトウェアキーであってよい。つまり、操作部8を用いて行われる操作の少なくとも一部をタッチコマンドスクリーンへのタッチ操作として行えるように構成することが可能である。
【0023】
(制御部8)
制御部8は、超音波診断装置の各部の動作を制御する。例えば、制御部8は、送信部2及び受信部3による超音波の送受信を制御する。
【0024】
(操作部9)
操作部9は、ユーザによる操作を受けて、この操作内容に応じた信号や情報を装置各部に入力する。また、操作部9は、ネットワークやメディアを介して信号や情報の入力を受ける機能を有していてもよい。
【0025】
[制御系の構成]
この超音波診断装置の制御系の構成について図2を参照しつつ説明する。
【0026】
(表示部7)
表示部7は、ボディマーク表示部71と、対応提示部72とを有する。ボディマーク表示部71は「表示部」に相当する。対応提示部72は「提示部」に相当する。なお、表示部7による情報の表示態様については後述する。
【0027】
(ボディマーク表示部71)
ボディマーク表示部71には、身体の複数の関節に対応する複数の関節領域を含むボディマーク(身体模式図)が表示される。この表示処理は制御部8により実行される。なお、ボディマークは身体部位の写真であってもよい。また、一般に関節と関節領域とは一対一に対応付けられるので、以下の説明において関節と関節領域とを同一視することがある。
【0028】
複数の関節としては、手指関節、手首関節、肘関節、肩関節、足指関節、足首関節、膝関節、股関節などがある。手指関節や足指関節には、その指に応じて、指先側から順に、第1関節、第2関節、第3関節がある。
【0029】
関節領域は、ボディマークにおいて各関節に相当する画像領域である。たとえば手のボディマークは、手の甲や掌とともに、親指、人差し指、中指、薬指及び小指を模式的に表す画像である。各指の画像には、第1関節に相当する第1関節領域と、第2関節に相当する第2関節領域とがある。更に、親指以外の各指の画像には、第3関節に相当する第3関節領域がある。
【0030】
(対応提示部72)
対応提示部72には、記憶部81に記憶された対応情報83に示す対応付けの内容が提示される。詳細は後述するが、対応情報83には、複数の関節領域の少なくとも一部と、スイッチ群91の少なくとも一部とが対応付けられている。対応提示部72には、この対応付けの一部又は全部が提示される。
【0031】
より具体的には、上記対応付け(関数領域とスイッチとのペア)の個数がスイッチ群91に含まれるスイッチの個数より多い場合、つまり検査対象の関節の個数がスイッチの個数よりも多い場合、対応提示部72には当該対応付けの一部のみが提示される。そうでない場合には、対応付けの全てを対応提示部72に提示させてもよいし、その一部のみを提示してもよい。
【0032】
なお、対応付けの一部のみを提示させる場合には、全ての対応付けを幾つかの群に分けて順次に提示させることができる(後述)。すなわち、「対応付けの一部のみを提示させる」とは、制御の全プロセスにおいて全ての対応付けの一部のみを提示させる場合(つまり提示されない対応付けがある場合)と、その一部ごとに全ての対応付けを順次に提示させる場合との双方を含む。
【0033】
(操作部9)
操作部9は、スイッチ群91と、対応指定部92とを有する。スイッチ群91は「複数の操作部」に相当し、各スイッチは「操作部」に相当する。対応指定部92は「指定部」に相当する。
【0034】
(スイッチ群91)
スイッチ群91は、ボディマークに関する各種の操作に用いられる。スイッチ群91は、複数のスイッチからなる。複数のスイッチは、対応情報83によって関節領域に対応付けられる。スイッチ群91の具体例については後述する。
【0035】
(対応指定部92)
対応指定部92は、関節領域とスイッチとの対応付けを指定するために用いられる。対応指定部92はスイッチ群91と同じハードウェアにより構成されてもよいし、別のハードウェアとして構成されていてもよい。対応指定部92の具体例については後述する。
【0036】
(制御部8)
制御部8は、前述のように装置各部の制御を実行するが、特にボディマークに関する制御を行う。制御部8は、記憶部81、ボディマーク表示制御部85、提示制御部86及び対応情報変更部87を有する。
【0037】
(記憶部81)
記憶部81は各種情報を記憶する。特に、記憶部81は、ボディマークデータ82、対応情報83及び優先順位情報84を記憶している。
【0038】
(ボディマークデータ82)
ボディマークデータ82は、ボディマークの画像データである。ボディマークデータ82は、互いに異なる身体部位を示す2以上のボディマークの画像データを含んでいる。これらボディマークとしては、右手のボディマーク、左手のボディマーク、右腕のボディマーク、左腕のボディマーク、右足のボディマーク、左足のボディマーク、右脚のボディマーク、左脚のボディマークなどがある。なお、同一部位の左右のボディマークについては、それぞれの画像データを設けていてもよいし、1つの画像データを鏡像変換して用いるようにしてもよい。ボディマークデータ82は、あらかじめ記憶部81に記憶される。
【0039】
なお、この実施形態では、関節の曲げ伸ばしを表現可能な可動型のボディマークについて説明するが、一般的な非可動型のボディマークについてもボディマークデータ82として記憶しておいてもよい。
【0040】
(対応情報83)
対応情報83は、複数の関節領域の少なくとも一部と、スイッチ群91の少なくとも一部とを対応付けた情報である。対応情報83に示す対応付けは、一対一の対応でもよいし、一対多の対応でもよい。つまり、対応情報83は、1つのスイッチと1つの関節領域とを対応付けたものであってもよいし、1つのスイッチと2つ以上の関節領域とを対応付けたものであってもよいし、2つ以上のスイッチと1つの関節領域とを対応付けたものであってもよい。また、対応情報83は、これら対応付けの種別のうちの1種類のみからなるものであってもよいし、2種類以上の対応付けが混在するものであってもよい。
【0041】
一対一の対応付けの例として、3つのスイッチに対して人差し指の3つの関節をそれぞれ対応付けることができる。一対多の対応付けの例として、5つのスイッチに対して右手の5本の指(の2つ又は3つの関節)をそれぞれ対応付けることができる。また、一対多の他の例として、1つの関節に対して2つ以上のスイッチを対応付け、各スイッチの操作により当該関節の異なる屈曲角度を対応付けることができる(たとえば各スイッチが操作されると、当該関節が当該屈曲角度に曲げられた画像が表示されるように制御する)。
【0042】
(優先順位情報84)
優先順位情報84は、ボディマークの複数の関節領域にあらかじめ割り当てられた(つまり複数の関節に対してあらかじめ割り当てられた)優先順位を示す。この優先順位は、複数の関節を検査する順序を示すものである。検査の順序は、たとえば疾患の特性やユーザの好みなどにより決定される。
【0043】
疾患の特性の例として好発部位がある。好発部位とは、或る疾患について症状や病変が発生しやすい身体部位を意味する。たとえばリウマチでは、下肢よりも上肢の方が症状が発生しやすい。したがって、優先順位情報84として、第1位=右手指、第2位=左手指、第3位=右足指、第4位=左足指、第5位=右手首、第6位=左手首、といった順序で設定することができる。なお、この優先順位情報84を適用して検査を行う場合、右手のボディマーク、左手のボディマーク、右足のボディマーク、左足のボディマーク、右手(又は右腕)のボディマーク、左手(又は左腕)のボディマークの順に、表示されるボディマークが順に切り替えられることとなる。
【0044】
優先順位情報84は、このようなボディマークの切り替えだけでなく、検査対象の関節の切り替え順序が設定されたものであってもよい。たとえば、指先から順に検査が行われる場合、各指に対し、第1位=第1関節、第2位=第2関節(、第3位=第3関節)といった順序で設定された優先順位情報84を適用することができる。また、優先順位情報84は、ボディマークに対する優先順位と、関節に対する優先順位との双方を含んでいてもよい。
【0045】
このような一般的な優先順位に代えて、ユーザの好みで優先順位を設定することも可能である。それにより、ユーザのノウハウを生かした順序で優先順位を設定できるなど、利便性の向上を図ることが可能となる。たとえば右半身の関節を検査した後に左半身の関節を検査する場合、第1位=右手指、第2位=右手首、第3位=右肘、第4位=右肩、第5位=左手指、第6位=左手首、第7位=左肘、第8位=左肩、といった優先順位を示す優先順位情報84を適用することができる。なお、優先順位を手作業で一から設定できるように構成することもできるし、既存の優先順位の一部又は全部を手作業で変更できるように構成することもできるし、これらを選択的に利用可能に構成することもできる。
【0046】
ユーザにより設定された優先順位は、優先順位情報84として記憶される。この場合、ユーザの識別情報(医師ID等)と優先順位とを関連付けて記憶することにより、優先順位の設定内容が異なる複数のユーザに対応できる。
【0047】
また、或る被検者の診断において適用された優先順位情報84を、その被検者の識別情報(患者ID等)と関連付けて記憶し、当該被検者に対して後日診断を行うときに、この優先順位情報84を読みだして適用することが可能である。それにより、経過観察や術前術後観察など、複数回にわたって行われる診断における利便性を向上させることが可能である。
【0048】
また、様々な診断種別(疾患名等)のそれぞれに優先順位情報84を関連付けて記憶し、実施する診断に応じた優先順位情報84を読みだして適用するように構成することも可能である。
【0049】
(ボディマーク表示制御部85)
ボディマーク表示制御部85は、記憶部81に記憶された情報に基づいて、ボディマーク表示部71にボディマークを表示させる。より具体的に説明すると、ボディマーク表示制御部85は、ボディマークデータ82(のうちの任意のもの)を記憶部81から読みだし、この画像データに基づくボディマークを表示させる。
【0050】
また、ボディマーク表示制御部85は、優先順位情報84を参照することで、当該優先順位に示す順序でボディマークデータ82を記憶部81から読みだし、様々な身体部位のボディマークを順次に表示させる。
【0051】
また、ボディマーク表示制御部85は、スイッチ群91に含まれるスイッチのいずれかが操作されたときに、対応情報83に基づいて、そのスイッチに対応する関節領域(及びその近傍領域)の表示を変更する。この表示の変更は、当該関節を曲げたり伸ばしたりする動作を模擬的に表現するものである。
【0052】
「近傍領域」は、当該関節を動作させたときに変位する身体部位に相当する画像領域を含む。たとえば手指の第1関節を動作させる場合、ボディマークにおいて当該第1関節に対応する関節領域よりも指先側の画像領域が「近傍領域」に該当する。なお、このようなボディマークの変形表現をより自然に行うために、当該関節領域の一部又は全部の伸縮を表現するように構成することも可能である。つまり、近傍領域は、このように伸縮される画像領域を含んでいてもよい。
【0053】
また、ボディマーク表示制御部85は、ボディマークの表示態様の例として、対応情報83においていずれかのスイッチに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることができる。この表示態様の違いを設ける方法は、前者の関節領域と後者の関節領域とを判別可能とするものであれば、その手法は不問である。この手法の具体例としては、画像領域の色の違い、画像領域の模様の違い、画像領域の濃度(輝度)の違い、描画線(輪郭線等)の濃度(輝度)の違い、描画線のタイプ(実線、点線、破線等)の違い、描画線の太さの違い、目印(マーク等)の有無、などがある。
【0054】
なお、この表示態様の相異は、上記のような関節領域ごとに表示態様を違えるものには限定されない。たとえば、ボディマークにおいて、対応情報83においていずれかのスイッチに対応付けられている関節領域を含む身体部位の画像領域と、それ以外の身体部位の画像領域とを、互いに異なる表示態様で表示させることができる。その具体例として、たとえば、親指の或る関節と、人差し指の或る関節と、中指の或る関節とがそれぞれスイッチに対応付けられている場合、ボディマーク表示制御部85は、親指、人差し指及び中指に相当する画像領域の表示態様と、薬指及び小指(並びに指以外の手の部位)に相当する画像領域の表示態様とを互いに相異させてボディマークの表示を行う。なお、このように身体部位ごとに表示態様を違える手法は、前述した関節領域ごとの場合と同様でよい。
【0055】
また、ボディマーク表示制御部85は、ボディマークの表示態様の例として、複数のスイッチのうち現に操作対象とされているスイッチに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることができる。前述したように、たとえばリウマチの診断では、複数の関節を順次に検査していく。つまり、検査対象となる関節が順次に変わっていく。この表示態様の例は、操作対象とされているスイッチに対応付けられている関節領域を判別可能とするものである。なお、「現に操作対象とされているスイッチ」には、現に実際に操作されているスイッチだけでなく、実際に操作されるのを待っているスイッチ(つまり操作を受け付け可能なスイッチ)も含まれるものとする。
【0056】
(提示制御部86)
提示制御部86は、対応情報83に示す対応付けを対応提示部72に提示させる。この処理の例については、対応提示部72の説明において前述した。
【0057】
(対応情報変更部87)
対応情報変更部87は、対応指定部92を用いて行われた対応付けの指定内容に基づいて、対応情報83を変更する。対応情報83の変更には、一の対応情報の内容を更新することだけでなく、変更前の対応情報と、指定内容を反映させた対応情報の双方を、対応情報83として記憶させることも含まれる。
【0058】
[具体例]
この実施形態に係る超音波診断装置の構成の具体例について、図3〜図7を参照しつつ説明する。
【0059】
(ユーザインターフェイス100)
この超音波診断装置のユーザインターフェイスの具体例を図3に示す。このユーザインターフェイス100は、超音波診断装置の操作パネル(の一部)である。ユーザインターフェイス100には、表示部7と、スイッチ群91とが設けられている。このスイッチ群91は対応指定部92としても用いられる。
【0060】
表示部7には、ボディマーク表示部71と、対応提示部72とが設けられている。ボディマーク表示部71にはボディマークが表示される。また、ボディマーク表示部71に各種画像や各種情報を表示させるようにしてもよい。各種画像としては、被検体の超音波画像などがある。各種情報としては、操作用オブジェクト(ソフトウェアキー、情報入力スペース等)、被検者情報、電子カルテ情報、操作インストラクションなどがある。
【0061】
対応提示部72には、対応情報83に示す対応付けの内容の一部又は全部が提示される。対応提示部72には、複数(ここでは5つ)の提示領域72a、72b、72c、72d、72eが設けられている。
【0062】
スイッチ群91(かつ対応指定部92)には、複数(ここでは5つ)のスイッチ91a、91b、91c、91d、91eが設けられている。各スイッチ91a〜91eは、回転操作を受け付けるダイアルと、押下操作を受け付けるボタンとが設けられている。各スイッチ91a〜91eは「操作部」に相当する。
【0063】
複数の提示領域72a〜72eは、表示部7において複数のスイッチ91a〜91eに対応する位置に表示される。具体的には、図3において表示部7はスイッチ群91の上方位置に設けられており、更に、提示領域72aはスイッチ91aの上方位置に、提示領域72bはスイッチ91bの上方位置に、提示領域72cはスイッチ91cの上方位置に、提示領域72dはスイッチ91dの上方位置に、提示領域72eはスイッチ91eの上方位置に、それぞれ表示される。ユーザは、このような配置関係により、どの提示領域72a〜72eがどのスイッチ91a〜91eと対応しているか容易に認識することができる。
【0064】
各提示領域72a〜72eには、対応するスイッチ91a〜91eに対応付けられた関節領域の識別情報が提示される。図3に示す例では、第1の提示領域72aに「Thumb 1st」(つまり親指の第1関節)と、第2の提示領域72bに「First Finger 1st」(つまり人差し指の第1関節)と、第3の提示領域72cに「Second Finger 1st」(つまり中指の第1関節)と、第4の提示領域72dに「Third Finger 1st」(つまり薬指の第1関節)と、第5の提示領域72eに「Little Finger 1st」(つまり小指の第1関節)と、それぞれ提示されている。このような内容を提示することにより、ユーザは、第1のスイッチ91aが親指の第1関節に、第2のスイッチ91bが人差し指の第1関節に、第3のスイッチ91cが中指の第1関節に、第4のスイッチ91dが薬指の第1関節に、第5のスイッチ91eが小指の第1関節に、それぞれ対応付けられていることを容易に認識できる。
【0065】
ユーザが所望のダイアルを回転させると、その回転角度(回転方向を含む)を示す信号が制御部8に入力される。ボディマーク表示制御部85は、この信号に示す回転角度に基づいて、当該スイッチに対応する関節領域の近傍領域の表示を変更する(つまり、ボディマークにおける当該関節領域の屈曲又は伸張を模擬的に表現する)。このとき、ダイアルの回転に伴いリアルタイムで当該関節領域の屈曲や伸張を表現するとともに、ボタンが押下されたときの屈曲状態を維持するように構成することができる。すなわち、ユーザは、ダイアルを回転させることで当該関節領域の屈曲状態を調整し、ボタンを押下することで所望の屈曲状態を確定することができる。また、他の操作態様として、ボタンを押下する度に関節領域の屈曲状態を巡回的に変化させ、ボタンを長押しして所望の屈曲状態を確定するように構成することができる。どのような操作態様を適用するかは任意である(他の操作についても同様である)。
【0066】
また、スイッチ群91は、対応提示部72の提示内容を変更する操作、つまり各スイッチ91a〜91eに対応付ける関節領域を変更する操作にも用いられる。その具体例を説明する。対応情報83は、第1のスイッチ91aに対して親指の各関節領域を、第2のスイッチ91bに対して人差し指の各関節領域を、第3のスイッチ91cに対して中指の各関節領域を、第4のスイッチ91dに対して薬指の各関節領域を、第5のスイッチ91eに対して小指の各関節領域を、それぞれ対応付けているものとする。提示内容の変更を開始するためのトリガの入力後にダイアルを回転させると、その回転角度を示す信号が制御部8に入力される。提示制御部86は、この信号に示す回転角度に基づいて、当該スイッチに対応付けられた関節領域を巡回的に提示させる。このとき、ボディマーク表示制御部85による関節領域の表示態様の変更制御を同期して行うようにしてもよい。
【0067】
このような提示内容の変更操作がなされた後の提示状態の一例を図4に示す。図4は、第1のスイッチ91aを操作して親指の注目関節を第1関節(Thumb 1st)から第2関節(Thumb 2nd)に変更し、更に、第3のスイッチ91cを操作して中指の注目関節を第1関節(Second Finger 1st)から第3関節(Second Finger 3rd)に変更した場合における、対応提示部72の提示状態を示している。
【0068】
スイッチ91a〜91eは、対応情報83の変更操作にも用いられる。対応情報83の変更を行う場合、ユーザはその開始を指示するための操作をまず行う。これを受けて対応情報変更部87は、所定の変更画面を表示部7に表示させる。この変更画面は、たとえば、対応情報83に含まれている各対応情報(の識別情報等)を含む。ユーザは、操作部9を操作して、変更対象の対応情報を指定する。この操作は、たとえば、第1のスイッチ91aのダイアルを回転させて対応情報を選択し、ボタンを押下して選択対象を確定することにより行われる。制御部8は、指定された対応情報に示す対応付け内容を表示させる。この表示処理の例として、提示制御部86が、当該対応付け内容を提示領域72a〜72eに提示させる。ユーザは、各スイッチ91a〜91e(ダイアルとボタン)を操作して、当該スイッチ91a〜91eに対応付ける関節を選択する。変更操作の終了は所定の操作(たとえば所定のボタンを長押しする操作)によりなされる。
【0069】
なお、変更対象のボディマークの切り替えは、所定の操作(たとえば所定のボタンを2回続けて押下する操作)によって行われる。また、一のボディマークに対する変更操作の終了を受けて次のボディマーク自動的に表示させるようにしてもよい。
【0070】
ユーザインターフェイス100の他の具体例を説明する。図5に示す例では、対応するスイッチ91aと提示領域72aとが隣接して配置されている(他のスイッチ91b〜91e、他の提示領域72b〜72eについても同様である)。この例における各スイッチ91a〜91eの構成は、図3に示すものと同様でよい。また、この例における各提示領域72a〜72eは、たとえば液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイにより構成される。提示制御部86は、対応情報83に基づいて、各スイッチ91a〜91eに対応付けられた関節領域(の識別情報)を、隣接する提示領域72a〜72eにそれぞれ提示させる。
【0071】
ユーザインターフェイス100の他の具体例を説明する。図6に示す例では、各スイッチ91a〜91eの隣接位置に、当該スイッチの識別情報を提示する提示部93a〜93eが設けられている。この例では、第1のスイッチ91aの識別情報として文字列「Jog A」が、第2のスイッチ91bの識別情報として文字列「Jog B」が、第3のスイッチ91cの識別情報として文字列「Jog C」が、第4のスイッチ91dの識別情報として文字列「Jog D」が、第5のスイッチ91eの識別情報として文字列「Jog E」が、それぞれ提示されている。
【0072】
各提示部93a〜93eの構成は任意である。たとえば各スイッチ91a〜91eの識別情報を変更可能とする場合、各提示部93a〜93eをフラットパネルディスプレイにより構成することができる。また、各スイッチ91a〜91eの識別情報が固定されている場合には、各提示部93a〜93eとして、対応する識別情報が印刷された貼付部材(シール等)を用いることができる。
【0073】
更に、この例では、ボディマーク表示部71に表示されたボディマークMの関節領域又はその近傍に、当該関節領域に対応付けられたスイッチ91a〜91eの提示部93aに提示された識別情報が重畳表示される。図6に示す例では、ボディマークMにおける親指の第2関節に文字列「Jog A」Naが、人差し指の第2関節に文字列「Jog B」Nbが、中指の第2関節に文字列「Jog C」Ncが、薬指の第3関節に文字列「Jog D」Ndが、小指の第3関節に文字列「Jog E」Neが、それぞれ表示されている。このように構成することで、どの関節にどのスイッチ91a〜91eが対応付けられているか容易に認識できる。なお、上記の重畳表示は、たとえばボディマークを表示するレイヤと、識別情報を表示するレイヤとを重ねることにより実現できる。本例では、提示部93a〜93e及びボディマーク表示部71が「提示部」に相当する。
【0074】
図6に示す例において、対応情報83は、第1のスイッチ91aに対して親指の各関節領域を、第2のスイッチ91bに対して人差し指の各関節領域を、第3のスイッチ91cに対して中指の各関節領域を、第4のスイッチ91dに対して薬指の各関節領域を、第5のスイッチ91eに対して小指の各関節領域を、それぞれ対応付けているものとする。操作対象の関節領域を変更する場合、ユーザは、たとえば、所望の関節領域が属する指に対応するスイッチ91a〜91eのボタンを押下する。ボタンが押下される度に、提示制御部86は、当該指の複数の関節領域(又はその近傍)に対して巡回的に当該文字列Na〜Neを表示させる。その具体例として、人差し指の3つの関節について、提示制御部86は、第2のスイッチ91bのボタンが押下される度に、文字列「Jog B」Nbの表示箇所を、第1関節→第2関節→第3関節→第1関節→・・・と巡回的に変更する。ユーザは、所望の箇所に文字列Nbを表示させてボタンを長押しする。それにより新たな関節領域の動作を第2スイッチ91bで操作することが可能となる。
【0075】
このような操作がなされた後の提示状態の一例を図7に示す。図7は、第2のスイッチ91bを操作して人差し指の注目関節を第2関節から第3関節に変更し、更に、第5のスイッチ91eを操作して小指の注目関節を第3関節から第1関節に変更した場合における、文字列Na〜Neの提示状態を示している。
【0076】
対応情報83に示す対応付けを提示する態様は、上記に限定されるものではない。この提示態様は、関節領域の識別情報をスイッチ又はその近傍に提示するものでもよいし、スイッチの識別情報をボディマーク中の関節領域又はその近傍に提示するものでもよいし、関節領域の識別情報とスイッチの識別情報とを対応付けて提示するものでもよい。最後の形態の例として、当該対応付けを示す表を表示部7に表示させることができる。
【0077】
また、関節領域やスイッチの識別情報として、色等の視覚情報を用いることができる。たとえば、各スイッチ又はその近傍に所定の色の光を発する発光手段(LED等)を設けるとともに(スイッチごとに異なる色とする)、各スイッチに対応付けられた関節領域を当該スイッチと同じ色で示すように構成することが可能である。
【0078】
また、上記の例では、スイッチ(ダイアル、ボタン)を用いて各種操作を行うように構成されているが、これに限定されるものではない。たとえば、パドル、フリップ、ジョイスティック、トラックボール、マウス、タッチパネルディスプレイなどの任意の操作デバイスによって、目的の操作を行うように構成することが可能である。
【0079】
また、上記の例では、様々な操作にスイッチを共用しているが、2つ以上の操作デバイスを複数の操作に割り振った構成を適用することも可能である。
【0080】
また、図6に示す例では、スイッチの識別情報をボディマーク上に表示させているが、ボディマークと同形態又は類似形態の別の画像を表示させ、この画像上に識別情報を表示させるようにしてもよい。
【0081】
(ボディマークの表示態様)
前述のように、対応情報83においていずれかのスイッチに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることが可能である。この処理の一例について図8を参照しつつ説明する。
【0082】
対応情報83は、たとえば、親指の各関節を第1のスイッチ91aに、人差し指の各関節を第2のスイッチ91bに、中指の各関節を第3のスイッチ91cに、それぞれ対応付けているものとする。ここで、薬指及び小指の各関節は、いずれのスイッチ91a〜91eにも対応付けられていないものとする。なお、スイッチ91d、91eは、他のボディマークにおける関節領域に対応付けられていてもよい。
【0083】
この場合、ボディマーク表示制御部85は、図8に示すように、親指、人差し指及び中指(並びに指以外の部位)に相当する輪郭を実線で表示させ(符号M1で示す)、かつ、薬指及び小指に相当する輪郭を破線で表示させる(符号M2で示す)。この処理は、たとえば、各指に相当する画像領域をあらかじめ記憶しておき、いずれのスイッチ91a〜91eにも関節領域が対応付けられていない指を特定し、特定された指に相当する画像領域の輪郭を破線で表示させることにより実現できる。このようなボディマークMを表示させることにより、いずれかのスイッチ91a〜91eに対応付けられた関節領域が属する指と、それ以外の指とを容易に判別することが可能となる。
【0084】
なお、このような表示態様の区別は、指ごとに行うものに限定されるものではなく、たとえば関節領域ごとに行うことが可能である。また、複数のボディマークを提示する場合には、たとえば現に検査が行われている身体部位のボディマークの表示態様とそれ以外のボディマークの表示態様とを違えるなど、ボディマークごとに表示態様を相違させるように構成することも可能である。
【0085】
また、過去の診断(たとえば前回の診断)において異常があった部位と、正常であった部位とを、互いに異なる態様で表示させることも可能である。
【0086】
また、同一被検者に対して複数の検査を行う場合を想定し、検査種別ごとにボディマークの表示態様を変更することも可能である。その具体例として、第1の検査のボディマークを赤色で表示させ、第2の検査のボディマークを青色で表示させることにより、たとえば複数の検査を並行して行う場合などにおいて現にどの検査を行っているか容易に認識できる。また、診断結果を閲覧する際に、複数の検査結果の混同を防止することが可能である。具体的には、たとえば複数の検査結果を混同することなく並列表示させることが可能である。
【0087】
[使用形態]
この実施形態に係る超音波診断装置の使用形態について説明する。この超音波診断装置をリウマチの診断に用いる場合における使用形態の例を図9に示す。
【0088】
なお、ボディマークデータ82には、複数の身体部位に相当する複数のボディマークの画像データが記憶されているものとする。具体的には、たとえば右手、左手、右腕、左腕、右足、左足、右脚及び左脚のそれぞれに相当するボディマークの画像データが記憶されているものとする。また、対応情報83や優先順位情報84は既に設定されているものとする。
【0089】
対応情報83の設定例を図10に示す。この対応情報83において、右手ボディマークについては、親指と第1のスイッチ91aが、人差し指と第2のスイッチ91bが、中指と第3のスイッチ91cが、薬指と第4のスイッチ91dが、小指と第5のスイッチ91eが、それぞれ対応付けられている。右足ボディマークについても同様とする。また、左手ボディマークについては、親指と第5のスイッチ91eが、人差し指と第4のスイッチ91dが、中指と第3のスイッチ91cが、薬指と第2のスイッチ91bが、小指と第1のスイッチ91aがそれぞれ対応付けられている。左足ボディマークについても同様とする。右腕ボディマークについては、手首関節と第1のスイッチ91aが、肘関節と第3のスイッチ91cが、肩関節と第5のスイッチ91eが、それぞれ対応付けられている。左腕ボディマークについては、手首関節と第5のスイッチ91eが、肘関節と第3のスイッチ91cが、肩関節と第1のスイッチ91aが、それぞれ対応付けられている。右脚ボディマーク及び左脚ボディマークについては、足首関節と第1のスイッチ91aが、膝関節と第3のスイッチ91cが、股関節と第5のスイッチ91eが、それぞれ対応付けられている。
【0090】
優先順位情報84の設定例を図11に示す。この優先順位情報84では、リウマチの好発部位を考慮し、優先順位の高い方から、手指、足指、手首、足首、肘、膝、肩、股関節の順に設定されている。また、左側よりも右側の優先順位が高く設定されている。すなわち、右手指、左手指、右足指、左足指、右手首、左手首、右足首、左足首、右肘、左肘、右膝、左膝、右肩、左肩、右股関節、左股関節の順に検査を行うように、優先順位情報84は設定されている。なお、複数の関節を有する身体部位については、当該身体部位の先端側から順に優先順位が付されているものとする。たとえば、手指については、第1関節、第2関節(、第3関節)の順に優先順位が付されているものとする。
【0091】
(ステップ1:ボディマークの表示)
ユーザは、たとえば操作部9を用いて診断開始の指示を入力する。この指示を受けると、ボディマーク表示制御部85は、優先順位情報84を参照して、最初の検査部位である右手指を含むボディマーク(右手ボディマーク)を、ボディマーク表示部71に表示させる。右手ボディマークは、図6に示すボディマークMに相当する。ユーザは、操作部9を用いて、ボディマークMの向きを変更することができる。
【0092】
(ステップ2:対応情報の提示)
また、提示制御部86は、対応情報83及び優先順位情報84を参照し、右手ボディマークに対応するスイッチ群91と関節領域との対応付けを、対応提示部72に表示させる。具体的には、提示制御部86は、第1の提示領域72aに文字列「Thumb 1st」を、第2の提示領域72bに文字列「First Finger 1st」を、第3の提示領域72cに文字列「Second Finger 1st」を、第4の提示領域72dに文字列「Third Finger 1st」を、第5の提示領域72eに文字列「Little Finger 1st」を、それぞれ提示させる。この表示態様は図3に示すものである。
【0093】
(ステップ3:検査開始)
以上の準備の後、実際の検査が開始される。ユーザは、スイッチ群91を操作しつつ右手指の検査を行う。このとき、ユーザは、各スイッチ群91のダイアルやボタンを用いて関節の角度(曲げ伸ばし状態)を変更したり、操作部9を用いて右手ボディマークの向きを変更したりしながら、右手指の関節について検査を行う。そして、ユーザは、所定の操作を行って検査結果を入力する。
【0094】
(ステップ4:関節の変更)
検査においてユーザは、検査対象の関節を変更する操作を適宜に行う。この操作には、同じ指の別の関節の検査に移行するための第1の操作と、同じ検査部位(ここでは右手)の別の指の検査に移行するための第2の操作と、他の検査部位の検査に移行するための第3の操作とが含まれる。
【0095】
第1の操作は、たとえば、現に検査している指に対応するスイッチ91a〜91eを操作して行われる。第1の操作がなされると、提示制御部86は、当該指に対応する提示領域72a〜72eの提示内容を更新する。たとえば、右手親指の第1関節の検査から第2関節の検査に移行するための操作がなされた場合、提示制御部86は、第1の提示領域72aの提示内容を文字列「Thumb 1st」から文字列「Thumb 2nd」に変更する。また、第1の操作がなされると、ボディマーク表示制御部85は、検査対象の関節に相当する関節領域の表示態様を変更する。たとえば、右手親指の第1関節の検査から第2関節の検査に移行するための操作がなされた場合、ボディマーク表示制御部85は、親指の第1関節に相当する関節領域を強調する表示態様から、第2関節に相当する関節領域を強調する表示態様に変更する。
【0096】
第2の操作は、たとえば、現に検査している指とは別の指に対応するスイッチ91a〜91eを操作して行われる。第2の操作がなされると、ボディマーク表示制御部85は、検査対象の指に相当する画像領域の表示態様を変更する。たとえば、右手親指の検査から人差し指の検査に移行するための操作がなされた場合、ボディマーク表示制御部85は、親指に相当する画像領域を強調する表示態様から、人差し指に相当する画像領域を強調する表示態様に変更する。
【0097】
第3の操作は、第1及び第2の操作のいずれとも異なる操作、たとえばボタンの長押しや2回押し、或いは図示しないスイッチを操作して行われる。第3の操作がなされたときの処理については以下で説明する。
【0098】
(ステップ5:検査部位が変更?)
制御部8は、ステップ4でなされた操作の種別を判別し、検査部位の変更がなされたか否か判断する。なお、本例では、ボディマークは検査部位ごとに設けられているので、検査部位の変更はボディマークの変更と同義である。上記第1及び第2の操作がなされた場合、制御部8は、検査部位は変更されないと判断する(S5:No)。他方、上記第3の操作がなされた場合、制御部8は、検査部位が変更されたと判断する(S5:Yes)。
【0099】
(ステップ6:ボディマークの変更)
ステップ5で検査部位が変更されたと判断された場合(S5:Yes)、ボディマーク表示制御部85は、優先順位情報84を参照して、次の検査部位のボディマークをボディマーク表示部71に表示させる。現段階では右手指の検査が終了したところなので、左手ボディマークが表示されることとなる。
【0100】
(ステップ7:対応情報の提示の変更)
ステップ5で検査部位が変更されないと判断された場合(S5:No)、提示制御部86やボディマーク表示制御部85は、ステップ4で説明した処理を実行する。
【0101】
他方、ステップ5で検査部位が変更されると判断され(S5:Yes)、ステップ6でボディマークの変更がなされた場合、提示制御部86は、対応情報83及び優先順位情報84を参照し、新たに表示されたボディマーク(現段階では左手ボディマーク)に対応するスイッチ群91と関節領域との対応付けを、対応提示部72に表示させる。すなわち、対応提示部72による提示内容が更新される。
【0102】
(ステップ8:全ての検査が完了?)
この超音波診断装置は、ステップ8で「Yes」と判断されるまで、つまり全ての関節の検査が完了したと判断されるまで、ステップ4、ステップ5、ステップ6及びステップ7の処理を繰り返す。ステップ8で「Yes」と判断されると、当該患者に対する検査は終了となる。
【0103】
なお、全ての関節の検査が完了したか否かの判断は、ユーザによる指示を受けて、又は自動的に行われる。前者の場合、ユーザは操作部9を用いて所定の操作を行う。後者の場合、たとえば、優先順位情報84に示す最後の関節(ここでは股関節)の検査結果の入力を受けて全ての関節の検査が完了したと判断される。また、最後の関節の検査結果の入力後に、検査が完了したか確認するためのダイアログボックスを表示部7に表示させ、これに対する応答を受けて全ての関節の検査が完了したか判断するように構成することも可能である。
【0104】
[効果]
この実施形態に係る超音波診断装置の効果について説明する。
【0105】
この超音波診断装置は、表示部7と、制御部8と、操作部9とを有する。ボディマーク表示制御部85は、複数の関節領域を含むボディマークを、ボディマーク表示部71に表示させる。操作部9には複数のスイッチ91a〜91eが設けられている。記憶部81には、ボディマーク中の複数の関節領域とスイッチ91a〜91eとを対応付けた対応情報83が記憶されている。提示制御部86は、スイッチ91a〜91eのいずれかが操作されたときに、対応情報83に基づいて、この操作されたスイッチ91a〜91eに対応する関節領域の表示を変更する。
【0106】
このような超音波診断装置によれば、任意の関節の曲げ伸ばし状態をボディマークにおいて好適に再現することができる。したがって、複数の関節を個別に検査して行う超音波診断において好適なボディマークを提供することが可能である。特に、どの関節を、どのように曲げた状態で超音波画像を取得したか的確に記録することができる。
【0107】
また、前述のようにボディマークを適宜に回転させることもできるので、どの方向から超音波画像が取得されたか的確に記録することもできる。
【0108】
なお、当該関節に対して超音波プローブを当てた位置や向きをボディマーク中に描画できるようにしてもよい。
【0109】
対応情報83において、一の操作部に対して複数の関節領域が対応付けられていてもよい。この場合、ボディマーク表示制御部85は、当該操作部により所定の操作がなされたときに、対応情報83に基づいて、関節の曲げ伸ばしを再現させる関節領域を切り替える。この切り替えは、当該操作部に対応付けられている複数の関節領域のうちにおいてなされる。
【0110】
上記の例では、第1のスイッチ91aに対して右手親指が、すなわちその第1関節と第2関節とが対応付けられている。第1のスイッチ91aにより所定の操作(たとえばダイアルの回転やボタンの押下)がなされると、ボディマーク表示制御部85は、第1関節と第2関節との間において、関節の曲げ伸ばしを再現する関節領域(つまり検査対象の関節に相当する関節領域)を切り替える。
【0111】
このような構成によれば、検査対象の関節を切り替えつつ実施される検査をスムースに行うことが可能となる。
【0112】
更に、一の操作部により所定の操作がなされたときに、提示制御部86は、対応情報83に基づいて、対応提示部72による対応付けの提示内容を変更するよう機能する。
【0113】
上記の例では、第1のスイッチ91aにより所定の操作がなされたことに対応し、第1の提示領域72aの提示内容が、文字列「Thumb 1st」から文字列「Thumb 2nd」に変更されている。
【0114】
また、表示させるボディマークが変更される場合においても、各提示領域72a〜72eの提示内容が変更される。たとえば、上記の例において右手ボディマークから左手ボディマークに表示が切り替えられる場合、第1の提示領域の提示内容は、文字列「Thumb 1st」から文字列「Little Finger 1st」に変更される。
【0115】
このような構成によれば、検査対象の関節を切り替えつつ実施される検査において、どのスイッチ91a〜91eがどの関節領域に対応しているかを、容易かつ正確に把握することができる。
【0116】
この超音波診断装置の操作部9には、関節領域とスイッチ91a〜91eとの対応付けを指定するための対応指定部92が設けられている。制御部8の対応情報変更部87は、対応指定部92による指定結果に基づいて対応情報83を変更するよう機能する。
【0117】
このような構成によれば、ユーザは、関節領域とスイッチ91a〜91eとの対応付けを任意に編集することができる。したがって、ユーザのニーズに合った超音波診断を提供することが可能である。
【0118】
記憶部81には、複数の関節領域にあらかじめ割り当てられた優先順位を示す優先順位情報84が記憶されている。提示制御部86は、この優先順位に応じた順序で対応提示部72による提示内容を変更するよう構成されている。
【0119】
このような構成によれば、検査対象の関節の移行順序を自動で指示することが可能となる。したがって、複数の関節の検査をスムースに行うことができる。また、検査漏れのおそれも低減される。
【0120】
なお、上記の例では、1つのボディマーク中の関節領域だけでなく、複数のボディマークにわたる複数の関節領域に対して優先順位が付されている。そして、関節領域の変更とともに、ボディマークの変更も行っている。したがって、複数の検査部位(身体部位)にわたる関節の検査をスムースに行うことができる。
【0121】
ボディマーク表示制御部85は、対応情報83によりいずれかのスイッチ91a〜91eに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることができる。
【0122】
このような構成によれば、対応情報83により或るスイッチ91a〜91eに対応付けられている関節、つまり当該検査の対象とされている関節と、対象とされていない関節とを的確に判別することが可能である。
【0123】
ボディマーク表示制御部85は、スイッチ91a〜91eのうち現に操作対象とされているものに対応付けられている関節領域と、それ以外の関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることができる。
【0124】
なお、現に操作対象とされているスイッチとは、対応情報83により或る関節領域に対応付けられているスイッチのうち、現に操作されているスイッチや、操作されようとしているスイッチや、操作されたばかりのスイッチを意味する。このようなスイッチの判別処理は、各スイッチから入力される信号に基づいて実行することが可能である。また、このようなスイッチをユーザが指定するようにしてもよい。
【0125】
このような構成によれば、現に検査している関節や、検査しようとしている関節や、検査が終わったばかりの関節を的確に判別することが可能である。
【0126】
この発明のいくつかの実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
1 超音波プローブ
2 送信部
3 受信部
4 信号処理部
5 画像生成部
6 表示制御部
7 表示部
71 ボディマーク表示部
72 対応提示部
72a〜72e 提示領域
8 制御部
81 記憶部
82 ボディマークデータ
83 対応情報
84 優先順位情報
85 ボディマーク表示制御部
86 提示制御部
87 対応情報変更部
9 操作部
91 スイッチ群
91a〜91e スイッチ
92 対応指定部
100 ユーザインターフェイス
M ボディマーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波を送受信して画像を生成する超音波診断装置であって、
複数の関節領域を含む身体模式図を表示する表示部と、
複数の操作部を有する操作手段と、
前記複数の関節領域の少なくとも一部と前記複数の操作部の少なくとも一部とを対応付けた対応情報を記憶する記憶部と、
前記対応情報に示す対応付けを提示する提示部と、
前記複数の操作部のいずれかが操作されたときに、前記対応情報に基づいて、当該操作部に対応する関節領域の表示を変更する制御部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記対応情報には、前記複数の操作部のうちの一の操作部に対して複数の関節領域が対応付けられており、
前記制御部は、前記一の操作部により所定の操作がなされたときに、前記対応情報に基づいて、前記一の操作部に対応する複数の関節領域の表示を変更させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記一の操作部により所定の操作がなされたときに、前記対応情報に基づいて、前記提示部による前記対応付けの提示内容を変更する、
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記操作手段は、前記関節領域と前記操作部との対応付けを指定するための指定部を含み、
前記制御部は、前記指定部による指定結果に基づいて前記対応情報を変更する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記複数の関節領域にあらかじめ割り当てられた優先順位を示す優先順位情報を記憶しており、
前記制御部は、前記優先順位に応じた順序で前記提示部による提示内容を変更する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記記憶部は、互いに異なる身体部位を示す2以上の前記身体模式図をあらかじめ記憶し、
前記制御部は、前記2以上の身体模式図を選択的に前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記対応情報によりいずれかの前記操作部に対応付けられている前記関節領域と、それ以外の前記関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の操作部のうち現に操作対象とされている操作部に対応付けられている前記関節領域と、それ以外の前記関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項1】
被検体に対して超音波を送受信して画像を生成する超音波診断装置であって、
複数の関節領域を含む身体模式図を表示する表示部と、
複数の操作部を有する操作手段と、
前記複数の関節領域の少なくとも一部と前記複数の操作部の少なくとも一部とを対応付けた対応情報を記憶する記憶部と、
前記対応情報に示す対応付けを提示する提示部と、
前記複数の操作部のいずれかが操作されたときに、前記対応情報に基づいて、当該操作部に対応する関節領域の表示を変更する制御部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記対応情報には、前記複数の操作部のうちの一の操作部に対して複数の関節領域が対応付けられており、
前記制御部は、前記一の操作部により所定の操作がなされたときに、前記対応情報に基づいて、前記一の操作部に対応する複数の関節領域の表示を変更させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記一の操作部により所定の操作がなされたときに、前記対応情報に基づいて、前記提示部による前記対応付けの提示内容を変更する、
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記操作手段は、前記関節領域と前記操作部との対応付けを指定するための指定部を含み、
前記制御部は、前記指定部による指定結果に基づいて前記対応情報を変更する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記複数の関節領域にあらかじめ割り当てられた優先順位を示す優先順位情報を記憶しており、
前記制御部は、前記優先順位に応じた順序で前記提示部による提示内容を変更する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記記憶部は、互いに異なる身体部位を示す2以上の前記身体模式図をあらかじめ記憶し、
前記制御部は、前記2以上の身体模式図を選択的に前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記対応情報によりいずれかの前記操作部に対応付けられている前記関節領域と、それ以外の前記関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の操作部のうち現に操作対象とされている操作部に対応付けられている前記関節領域と、それ以外の前記関節領域とを、互いに異なる態様で表示させることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−48762(P2013−48762A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188775(P2011−188775)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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