説明

超音波診断装置

【課題】緊急医療用の超音波診断システムを構築する。
【解決手段】超音波診断システムは超音波診断装置10と画像読み取り装置12とで構成される。超音波診断装置10はラベルプリンタ44を有し、そのラベルプリンタ44は、複数のラベル50,52,54上に2次元符号画像を印刷する。それらの画像は組織画像、血流画像、グラフィック画像を符号化したものである。複数のラベル50,52,54はトリアージタグ16に貼付される。患者の搬送先において画像読み取り装置12を用いて各画像が読み取られ、各画像が復元される。画像読み取り装置12は例えば携帯電話器あるいはそれを含むシステムであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断システムに関し、特に、オフラインで画像情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、医療の分野において用いられ、超音波の送受波により生体の超音波画像を形成する装置である。近時、バッテリを内蔵した可搬型の超音波診断装置も実用化されている。そのような超音波診断装置は、救急車等の緊急車両、自衛隊車両等に搭載される。
【0003】
災害現場や事故現場等においても超音波診断が実施される場合がある。そのような緊急現場において、例えば、複雑骨折や内臓破裂等の重篤な症状が超音波診断によって判明することもある。患者における病態変化の評価や早期治療の観点から、現場で取得された超音波画像を患者搬送先の医療機関へ提供することが望まれる。しかし、患者の搬送先が確定していない段階では超音波画像の事前提供行為を行えないし、その後に超音波画像を送信するとしても確実性は担保されない。大規模災害では、通信が遮断されることも考えられ、あるいは、通信困難な状況に陥ることもある。
【0004】
患者自身に超音波画像の印刷物を持たせることも可能ではあるが、単なる印刷物だと患者を受け入れる医療機関側においてそれを電子化、画像化することが困難であり、また、様々な自然環境の中で超音波画像が印刷されたシートの状態(画像品質)を保持するのは必ずしも容易ではない。超音波画像が記憶された電磁的な記憶媒体を患者に付けることも考えられるが、そのような記憶媒体へのデータ書き込み及び読み出しのために専用機器を用意しなければならない。既存の設備をできるだけそのまま利用してオフラインで簡便に画像情報を医療機関へ伝達する簡便な手法の実現が望まれる。
【0005】
なお、多数の患者に対して応急措置及び医療施設への搬送を行わなければならない場合にはトリアージ(Triage)が実施される。すなわち、多数の傷病者を重症度と緊急性によって分別し、治療の優先度や搬送の優先度が決定される。その場合、各患者の右手首には優先度を表す札(トリアージタグ)が付けられる。
【0006】
特許文献1には、超音波画像情報をDVDに記録して、再生装置において当該DVDを再生するシステムが開示されている。オフラインによって画像を管理するものの、DVDを利用すると、患者ごとの簡便な取り扱いが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-269535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、オフラインで超音波画像情報を医療機関に容易に提供できる方式を実現することにある。あるいは、本発明の目的は、自然災害や事故等の緊急時において超音波画像情報を患者と共に医療機関へ渡すことができる方式を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る超音波診断装置は、生体に対する超音波の送受波により前記生体内を表す画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データに対して符号化処理を適用することによって二次元符号画像を生成する符号化処理手段と、前記生体に前記二次元符号画像を付随させるために前記二次元符号画像を媒体上に印刷する印刷手段と、を含むことを特徴とするものである。
【0010】
上記構成によれば、超音波診断によって画像データが生成され、その画像データに対して符号化処理が適用されて、二次元符号画像が生成される。それは例えば二次元バーコード画像である。その場合、容量の大きな二次元バーコード方式を利用するのが望ましい。二次元符号画像は媒体上に印刷される。媒体は、患者に引っ掛けられあるいは貼付されるシート状の部材であってもよいし、患者の体表面自体であってもよい。前者の好例としては、トリアージタグがあげられる。また、緊急医療を行った者が患者に付加するカルテシートがあげられる。そのようなシートは患者の首に引っ掛けられ、あるいは、患者に貼付され、あるいは、クリップ等の他の手段によって患者に付加される。シール部材上に二次元符号画像を印刷した上で、そのシール部材をトリアージタグや患者体表面に貼付するようにしてもよい。汎用の二次元符号化方式を利用すれば、患者受け入れ側において二次元符号画像の読み取りを容易かつ簡便に行うことが可能である。望ましくは、オフラインでの符号データのやり取りだけで超音波画像を患者搬送先の医療機関で再生することが可能であるから、例えば通信回線が機能していないような緊急時において有用なシステムを構築できる。
【0011】
符号化処理に先立って、画像情報に対して、圧縮、低解像度化、リサンプリング等のデータ量削減処理を適用するのが望ましい。緊急時においては詳細観察よりも、体内の大凡の状況の即時判別が優先されるから、通常の解像度が復元される必要は必ずしもない。非可逆の圧縮方式等も利用可能である。但し、患者受け入れ側において画像データに対して画像処理を適用するためにはできるだけ生のデータを送るのが望ましく、表示フレームデータへの変換する前の送受波フレームデータ(スキャンコンバート前のデータ)に対して符号化処理を適用するのが望ましい。それも画像情報の符号化である。但し、読み取り段階で特別な画像処理を行う必要がないような場合には表示フレームデータを符号化処理すればよい。その場合、テキスト等を有するグラフィックデータが合成された超音波画像データ、つまり表示画像データが符号化処理されてもよい。RFタグや記録メディアへの画像格納も考えられるが、その場合には読み取り段階において必ずしも簡便な処理が期待できない。二次元符号画像の読み取りなら、例えば、携帯電話機の機能をそのまま使えるから、読み取りを迅速かつ容易に行える。携帯電話機には通常、復号化機能が搭載されているが、更に超音波画像処理のためのアプリケーションソフトウエアをインストールしておくようにしてもよい。医師が保有する携帯電話等の通信端末機器で超音波画像を復元できるなら、非常に使い勝手のよいシステムを構築できる。
【0012】
望ましくは、前記生成手段は、前記画像データとして、組織を表す組織画像データ及び血流を表す血流画像データを生成し、前記符号化処理手段は、前記組織画像データから第1の二次元符号画像を生成し、前記血流画像データから第2の二次元符号画像を生成し、前記印刷手段は、前記媒体上の第1の位置に前記第1の二次元符号画像を印刷し、前記媒体上の第1の位置とは異なる第2の位置に前記第2の二次元符号画像を印刷する。通常、組織画像上に血流画像がオーバーレイされるが、患部の観察に際しては、両者を分離して観察できた方がよいので、その場合には各画像を別々に符号化するのが望ましい。
【0013】
望ましくは、前記生成手段は、前記画像データを取得した際の超音波診断条件を示す属性画像データを生成し、前記符号化処理手段は、前記属性画像データから第3の二次元符号画像を生成し、前記印刷手段は、前記媒体上の第1及び第2の位置とは異なる第3の位置に前記第3の二次元符号画像を印刷する。属性情報については超音波画像に埋め込んでから符号化してもよいし、別々に符号化してもよい。属性情報としてグラフィック画像を用いる場合にはそれに患部の位置を示すマーカーやコメント文が含まれてもよい。動画像が符号化されてもよい。
【0014】
望ましくは、前記コード化処理に先立って前記画像データに対してそのデータ量を小さくするための削減処理を適用する削減処理手段を含み、前記削減処理後の画像データに対して前記符号化処理が適用される。通常、超音波診断装置が有するシネメモリに対して一定時間にわたる動画像が格納され、その再生時において特定のフレームが指定されて、その画像が符号化処理される。
【0015】
本発明に係る画像読み取り装置は、前記二次元符号画像を読み取る読み取り手段と、前記読み取られた二次元符号画像に対して復号化処理を適用することにより画像データを復元する復号化処理手段と、前記画像データを表示する表示手段と、を含むことを特徴とするものである。符号化した画像がスキャンコンバート前の画像であれば、画像読み取り装置にスキャンコンバート機能を搭載するのが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、オフラインで超音波画像情報を医療機関に容易に提供できる。あるいは、本発明によれば、自然災害や事故等の緊急時において超音波画像情報を患者と共に医療機関へ確実に渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る超音波診断システムの好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】受信フレームデータに対するリサンプリングの第1例を示す図である。
【図3】受信フレームデータに対するリサンプリングの第2例を示す図である。
【図4】患者の体表面上に貼付された複数のラベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1には、本発明に係る超音波診断システムの好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。本実施形態に係る超音波診断システムは医療の分野において用いられるものであり、特に緊急医療において用いられるものである。
【0020】
図1において、超音波診断システムは大別して超音波診断装置10及び画像読み取り装置12により構成される。超音波診断装置10は、後述するようにバッテリを内蔵しており、可搬型の装置として構成されている。この超音波診断装置10はノート型PCのような形態を有し、例えば緊急車両に搭載することが可能である。画像読み取り装置12は、医療機関に設置されているコンピュータシステムであってもよいが、本実施形態においては携帯電話器によって構成されている。もちろんそれは一例に過ぎない。
【0021】
超音波診断装置10について詳述する。プローブ18は装置本体に対してプローブケーブルを介して接続されているものであり、プローブ18は送受信器として機能する。プローブ18は複数の振動素子からなるアレイ振動子を備えており、そのアレイ振動子によって超音波ビームが形成され、その超音波ビームが電子走査される。電子走査方式としては、電子リニア走査、電子セクタ走査等が周知である。実施形態において、プローブ18は、対象者である患者14の表面上に当接して用いられるものである。診断部位としては胸部、腹部、体肢等が挙げられる。
【0022】
プローブ18に対しては送信部20及び受信部22が接続されている。送信部20は送信ビームフォーマーであり、送信時において複数の振動素子に対して複数の送信信号を供給する。これによってアレイ振動子により送信ビームが形成される。受信時において、生体内からの反射波がアレイ振動子にて受波され、これによってアレイ振動子から複数の受信信号が受信部22へ出力される。受信部22は受信ビームフォーマーであり、複数の受信信号に対して整相加算処理を適用し、これによって整相加算後の受信信号すなわちビームデータを出力する。
【0023】
そのビームデータは本実施形態において組織信号処理部24及び血流信号処理部26へ送られている。組織信号処理部24は2次元組織画像を形成するための信号処理を実行するものであり、ここで2次元組織画像はBモード断層画像である。血流信号処理部26は受信信号中に含まれるドプラ情報に基づいて2次元血流画像を形成するための信号処理を実行するものである。2次元血流画像としてはカラードプラ画像が周知である。DSC(デジタルスキャンコンバータ)28,30は、各フレーム毎に送受波座標系に従うフレームデータを表示座標系に従う表示フレームデータに変換するものである。すなわちDSC28,30は補間機能、座標変換機能等を備えている。DSC28,30からの出力信号は表示処理部32へ送られている。
【0024】
グラフィック画像形成部34は、超音波画像に対してオーバーレイ表示されるグラフィック画像を生成するモジュールであり、グラフィック画像は、患者名、日付等のテキストデータを含み、更に必要な属性情報を含んでいる。そのような情報は制御部36からグラフィック画像形成部34へ与えられる。制御部36はCPU及び動作プログラムによって構成され、図1に示す超音波診断装置10内の各構成の動作制御を行っている。表示処理部32は、画像合成機能、カラー演算機能等を具備し、カラーフローマッピングモードが選択されている場合、白黒の2次元組織画像上にカラーの2次元血流画像が合成され、更にグラフィック画像が合成されて表示画像データが生成される。そのデータが表示部38へ送られ、表示部38には超音波画像が表示される。ちなみに3次元画像、スペクトラムドプラ画像等が生成表示されてもよい。
【0025】
本実施形態においては、組織信号処理部24から出力される受信フレームデータ及び血流信号処理部26から出力される受信フレームデータが変換部40に送られている。変換部40は、それぞれのフレームデータに対してデータ量を削減するための処理を適用するモジュールである。そのような処理として、リサンプリング処理、低解像度処理、圧縮処理等を挙げることができる。それらの1又は複数の処理が適用されるのが望ましい。リサンプリング処理については後に図2及び図3を用いて説明する。後に詳述するように、符号画像として表現できるデータ量には上限があるため、その上限の範囲内に収まるようにデータ削減処理が実行されている。変換部40は、組織画像に対応する受信フレームデータ及び血流画像に対応する受信フレームデータのそれぞれに対して個別的に変換処理を適用している。但し、組織画像だけが取得されているような場合、当該画像に対してだけ変換処理が適用される。
【0026】
符号化部42は、変換部40から出力される組織画像に相当する受信フレームデータ及び血流画像に相当する受信フレームデータに対してそれぞれ符号化処理を適用し、それぞれの画像を2次元符号画像に変換するモジュールである。更に、本実施形態においては、符号化部42は、グラフィック画像形成部34から出力されるフレームデータに対しても2次元符号画像への変換処理を行っている。2次元符号としては2次元バーコードが周知であり、それに関する複数の規格の内で最もデータ容量の多い規格を採用するのが望ましい。
【0027】
ラベルプリンタ44は、2次元符号画像をそれぞれラベル上に印刷するユニットである。ラベルはシールを構成しており、対象媒体に対してそのようなシールを容易に貼付することが可能である。シールは四角形の形態を有し、その表面上には2次元バーコードが印刷される。それら全体としてラベルが構成されている。
【0028】
本実施形態においては、図1に例示するように、トリアージタグ16上の複数の位置に複数のラベルすなわちシール50,52,54が貼付される。ここでラベル50は組織画像を符号化したものであり、ラベル52は血流画像を符号化したものであり、ラベル54はグラフィック画像を符号化したものである。したがって、読み取りを行わせたいものだけをトリアージタグ16に貼付すればよい。すくなくとも1つの2次元符号画像がトリアージタグ16上に設けられることになる。ちなみに、トリアージタグは、多数の傷病者を重傷度と緊急性によって弁別して治療の優先度や搬送の優先度を決定するトリアージにおいてその結果を記入あるいは指示するシートである。このようなトリアージタグ16に代えてカルテシート等にラベルが貼付されてもよい。またそのようなシートに対して直接的に2次元符号の印刷が実行されてもよい。更に、後に図4に示すように患者の体表面上にシールが貼付されてもよく、また究極的には患者の体表面上に2次元符号画像が印刷されてもよい。その場合においてはプリンタとしてインクジェットプリンタ等を用いるのが望ましい。シールあるいはラベルシートに対して2次元符号画像を印刷する場合、各種のプリント方式を採用することが可能である。
【0029】
いずれにしても、対象者としての患者14に付随する媒体あるいは患者自身に対して画像情報が確実に付加されるように構成するのが望ましい。このような構成により患者と画像との間における取り違え等を防止することが可能となる。本実施形態においては、組織画像、血流画像及びグラフィック画像の3つがそれぞれ別々に2次元符号画像に変換されていたが、それらの2つあるいは3つが合成された画像が2次元符号画像に変換されてもよい。なお、図1に示す超音波診断装置10は上述したようにポータブルタイプの装置であり、それはバッテリ46によって駆動されるものである。通常、無線通信や有線通信を利用して画像データの伝送を行うことが可能であるが、自然災害等の緊急時においては通信設備が機能しないことも予想される。その場合において、患者を搬送して医療機関へ送り込むのに際し、患者に確実に診断情報を付加するには上述したように2次元符号画像の添付が有用である。
【0030】
次に、画像読み取り装置12について詳述する。ラベルリーダー56は、光学的に2次元符号画像を読み取る装置である。ラベルリーダー56は例えばバーコードラベルリーダーであり、それはレーザー光のスキャナーあるいはCCDデバイスなどを備えている。復号化部58は、2次元符号画像を元の画像に復号化するモジュールである。グラフィック画像が復号化された場合に、それは表示処理部64へ送られる。超音波画像情報が復号化された場合に、逆変換部60へ送られる。逆変換部60は、上述した変換部40における作用とは逆の処理を適用することにより元の超音波画像を復元するものである。逆変換部60は必要に応じて設けられればよく、例えば縮小画像そのものを画像表示するような場合は逆変換部60を設けなくてもよい。ラベル生成時に圧縮処理が適用された場合に、その圧縮処理に対応する伸長処理が逆変換部60において実行される。また元の画像サイズへの復元が必要な場合、補間処理等が適用されてもよい。公知の誤り訂正処理等が更に適用されてもよい。
【0031】
本実施形態においては、超音波診断装置10側においてスキャンコンバート前のフレームデータが符号化処理されている。このため、画像読み取り装置12にはDSC62が搭載されている。すなわち受信フレームデータが復元された場合、それをそれに対してスキャンコンバートを適用し、これによって表示フレームデータが生成される。本実施形態においては、DSC62を時分割で動作させることにより、組織画像及び血流画像がそれぞれ生成されている。そのようなスキャンコンバート処理が不要であれば逆変換部60の出力が表示処理部64へ送られる。
【0032】
表示処理部64は、合成機能等を備え、復号化された複数の画像を必要に応じて合成し、その合成画像のデータを表示部66へ送る。表示部66上には超音波画像が表示される。その場合において、組織画像を単独で表示するようにしてもよいし、また血流画像を単独で表示するようにしてもよい。更にグラフィック画像の内容を読み取ることにより、属性情報をテキストデータとして管理するようにしてもよい。また画像読み取り装置12が有する通信部68を機能して、復号化した画像情報をネットワーク70を介して外部へ出力するようにしてもよい。ここでネットワーク70は病院内におけるLANであり、あるいは無線通信ラインである。
【0033】
画像読み取り装置12は上述したように携帯電話器によって構成するのが望ましい。その場合においては、通常の携帯電話器が搭載しているカメラ、復号化モジュール等が機能し、超音波画像等が復元される。逆変換処理やスキャンコンバート処理のために、携帯電話器に対して事前にアプリケーションソフトをインストールするようにしてもよい。これによれば携帯電話器の画面上に超音波画像を表示することが可能となる。またそのようなアプリケーションを搭載していない場合に、携帯電話器の出力信号をパーソナルコンピューター等に転送し、そのパーソナルコンピューター等において超音波画像を再構成するようにしてもよい。いずれにしてもオフラインですなわちラベルを媒体として超音波画像の情報を確実に伝送することが可能である。
【0034】
図2には上述したリサンプリング処理の第1例が示されている。受信フレームは複数のビームデータで構成されている。ここで符号72及び72Aがそれぞれビームデータを表している。各ビームデータ72,72Aは深さ方向rに並んだ複数のエコーデータで構成される。ちなみに水平方向すなわちθ方向がビーム走査方向である。エコーデータの内で白いボックスで表されているエコーデータ74はサンプリング対象外のデータであり、グレー表現されているエコーデータ76がリサンプリング対象となるエコーデータである。ビームデータ72においては一定間隔をもってリサンプリングが実行されている。一方、そのようなビームデータの間に存在するビームデータ72Aにおいてはリサンプリングが実行されていない。1つおきのビームデータに対してリサンプリング処理を適用することにより、フレームデータを構成するデータ量を大幅に削減することが可能である。もちろん、画質が低下してしまうが、緊急時においては即時におおよその測定内容を把握することが優先されるため、すなわち詳細観察が必要なら別途超音波診断を行えばよいので、このようなリサンプリングによってデータ量を削減することが優先されてよい。図3には他のリサンプリング方式が示されている。この例においては、ビームデータ78とそれに隣接するビームデータ80とにおいてリサンプリングのパターンがズレており、受信フレーム全体にわたって一定の間引き率が実現されている。このような例によらずに各種のリサンプリング方式を適用することが可能である。例えば関心領域内においてリサンプリングのレートを高め、それ以外においてはリサンプリングのレートを低くするようにしてもよい。その場合において関心領域であるか否かの座標情報は別途画像読み取り装置側に送ることになる。
【0035】
図4に示す実施形態においては、生体82の表面上にラベル84,86,88が並んで貼付されている。このようなラベル84,86,88は超音波診断装置10が有するプリンタによって生成されたものである。またそれらのラベル84,86,88が有する2次元符号画像は画像読み取り装置12において読み取られる。このようなラベル84,86,88を用いることなく生体表面上に直接的に2次元符号画像を印刷することも可能である。このような態様によれば画像と患者との関係を確実にすることが可能となる。
【0036】
ちなみに、本実施形態において使用するバーコード方式としてはバージョン40のQRコード方式を利用するのが望ましい。リサンプリングに際しては例えば8bit×392pixel×128lineのデータが5bit×64pixel×64lineに圧縮される。画像情報とは別に符号化する属性情報としては、患者名、診断日時、送信周波数、圧縮後のライン本数、圧縮後の一枚あたりのピクセル数、プローブ形式、電子走査方式、プローブ走査角度等の情報が挙げられる。また属性情報の中に関心領域の画像情報やコメント文を追加するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 超音波診断装置、12 画像読み取り装置、14 対象者(患者)、16 トリアージタグ、40 変換部、42 符号化部、44 ラベルプリンタ、56 ラベルリーダー、58 復号化部、60 逆変換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に対する超音波の送受波により前記生体内を表す画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記画像データに対して符号化処理を適用することによって二次元符号画像を生成する符号化処理手段と、
前記生体に前記二次元符号画像を付随させるために前記二次元符号画像を媒体上に印刷する印刷手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記生成手段は、前記画像データとして、組織を表す組織画像データ及び血流を表す血流画像データを生成し、
前記符号化処理手段は、前記組織画像データから第1の二次元符号画像を生成し、前記血流画像データから第2の二次元符号画像を生成し、
前記印刷手段は、前記媒体上の第1の位置に前記第1の二次元符号画像を印刷し、前記媒体上の第1の位置とは異なる第2の位置に前記第2の二次元符号画像を印刷する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記生成手段は、前記画像データを取得した際の超音波診断条件を示す属性画像データを生成し、
前記符号化処理手段は、前記属性画像データから第3の二次元符号画像を生成し、
前記印刷手段は、前記媒体上の第1及び第2の位置とは異なる第3の位置に前記第3の二次元符号画像を印刷する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置において、
前記コード化処理に先立って前記画像データに対してそのデータ量を小さくするための削減処理を適用する削減処理手段を含み、
前記削減処理後の画像データに対して前記符号化処理が適用される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載の装置によって前記媒体上に印刷された二次元符号画像を読み取る画像読み取り装置において、
前記二次元符号画像を読み取る読み取り手段と、
前記読み取られた二次元符号画像に対して復号化処理を適用することにより画像データを復元する復号化処理手段と、
を含むことを特徴とする画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−99382(P2013−99382A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243806(P2011−243806)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】