説明

超高感度免疫アッセイを実施する方法

少なくとも10倍から約25倍、おそらくはこれ以上に免疫アッセイの感度を改善する方法。そのうえさらに、本発明の方法は、免疫アッセイの感度を上げるだけではなく、アッセイ特異性も改善する。分析物の感度を0.2pg/mLにする、またはこれより良くするために、本発明は、信号(例えば、化学発光信号)の増幅、特異的結合メンバー(例えば、モノクローナル抗体)、および量の多い試料(例えば、約0.2mLから約3mL)からの微小粒子分離(例えば、磁気微小粒子分離)を含む、免疫アッセイを提供する。このような免疫アッセイは、自動免疫アッセイ分析機(例えば、ARCHITECT(登録商標)分析機シリーズの自動免疫アッセイ分析機)で実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年10月25日提出の米国特許出願逐次番号11/923,828の優先権を主張し、この内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、免疫アッセイに関する。より詳細には、試料中に低濃度で含まれる分析物の免疫アッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
核酸検査は、上限1ミリリットル(mL)までの体積の試料を処理することが可能である。核酸検査では、RNAまたはDNAを単離してポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)サイクルを20から40回繰り返して標的を増幅する、試料調製工程が必要である。こうした工程に4から5時間かけてはじめてアッセイを行える。核酸検査は自動免疫アッセイ分析機の検出感度よりも高い感度を提供する。しかしながら、核酸検査は大きな労力を必要とし、完了まで時間が長くかかり、費用がかかる。
【0004】
最新の自動免疫アッセイ分析機は、約100マイクロリットル(μL)しか体積のない試料を処理し、完了まで1時間も必要とせず、および費用がかからない。自動免疫アッセイ分析機の検出感度は、以下の理由で限定される:(1)少量、例えば約75μLから約200μLの試料を用いると、試料に含まれる分析物の量が分析機により検出可能な量よりも少なくなる可能性がある、(2)現在の分析機は、量が多すぎる試料、例えば200μLより多い試料だと処理できない。
【0005】
免疫アッセイ検査のスピードを維持し免疫アッセイ検査に伴うコストを抑えたまま、核酸検査と自動免疫アッセイ分析機による検査との間の感度の差を縮めることができれば、望ましい。
【0006】
食品医薬品局(本明細書で以下、FDAともいう)は、最近、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、肝炎、およびその他ウイルスなどの分析物(これらは全て、体液中に低濃度で存在する。)について血液および血漿をスクリーニングする核酸検査を認可している。体液中に低濃度で存在する他の分析物/抗原として、トロポニン、心臓発作または心臓障害の心臓バイオマーカー、および甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下症のインジケーターである甲状腺刺激ホルモン(TSH)が挙げられる。血液バンクおよび血漿機関は、提供者から集めたものを核酸検査によりHIVおよびHCVについてスクリーニングしている。急速にHIV抗原検査と置き換わって核酸検査が実施されているものの、核酸検査に匹敵する0.2pg/mL以下の抗原を検出する低コストの超高感度HIV(p24)抗原免疫アッセイを開発することは依然として望まれている。0.2pg/mL感度の免疫アッセイは、食品医薬品局が核酸検査システムに要求している5,000HIVコピーのRNA/mLという核酸感度よりも高い感度である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、少なくとも10倍から約25倍、おそらくはこれ以上に免疫アッセイの感度を改善する方法を提供する。そのうえさらに、本発明の方法は、免疫アッセイの感度を上げるだけではなく、アッセイ特異性も改善する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
分析物の感度を0.2pg/mLにする、またはこれより良くするために、本発明は、信号(例えば、化学発光信号)の増幅、特異的結合メンバー(例えば、モノクローナル抗体)、および量の多い試料(例えば、約0.2mLから約3mL)からの微小粒子分離(例えば、磁気微小粒子分離)を含む、免疫アッセイを提供する。このような免疫アッセイは、自動免疫アッセイ分析機(例えば、ARCHITECT(登録商標)分析機シリーズの自動免疫アッセイ分析機、Abbott Laboratories(Abbott Park,Illinois)が販売)と組み合わせて、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサまたはKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサを試料プロセッサとして用いて量の多い試料から分析物を捕獲することにより実行することができる。本方法は、以下の工程を含む:
(a)複数の容器を用意する工程、
(b)第一の特異的結合メンバーを有する分析物を含有すると思われる生体試料と第二の特異的結合メンバーで被覆された磁気微小粒子とを複数の容器のうち少なくとも1つの容器に入れる工程、
(c)第一の特異的結合メンバーを第二の特異的結合メンバーと反応させて磁気微小粒子含有複合体を形成する工程、
(d)逆磁気粒子処理により、工程(c)で形成した複合体を集める工程、
(e)逆磁気粒子処理により、工程(d)で集めた複合体を複数の容器のうち洗浄緩衝液の入った容器に放出する工程、
(f)逆磁気粒子処理により、工程(e)で放出した複合体を洗って、結合していない第一の特異的結合メンバーと非特異的に結合した要素とを洗い落とす工程、
(g)逆磁気粒子処理により、工程(f)で洗った複合体を集める工程、
(h)複合体を自動免疫アッセイ分析機に導入する工程、および
(i)自動免疫アッセイ分析機により、試料中の分析物濃度を求めること。
【0009】
第二の実施形態では、自動分析機は必要ない。この第二の実施形態では、免疫アッセイは、特異的結合メンバーを用いて、量の多い試料から分析物を捕獲し、次いで特異的結合メンバーを有する接合体によりサンドイッチ型複合体を形成させ、次いで接合体の一部分により生じる信号を読むことにより、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサまたはKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサにより実行することができる。本方法は、以下の工程を含む:
(a)複数の容器を用意する工程、
(b)第一の特異的結合メンバーを有する分析物を含有すると思われる生体試料と第二の特異的結合メンバーで被覆された磁気微小粒子とを複数の容器のうち少なくとも1つの容器に入れる工程、
(c)第一の特異的結合メンバーを第二の特異的結合メンバーと反応させて磁気微小粒子含有複合体を形成する工程、
(d)逆磁気粒子処理により、工程(c)で形成した複合体を集める工程、
(e)工程(d)で集めた複合体を複数の容器のうちの1つの容器に放出し、前記容器は(i)洗浄緩衝液を含むが第三の特異的結合メンバーを含まない、または(ii)第三の特異的結合メンバーを含むいずれかであり、前記放出は逆磁気粒子処理により行われる工程、
(f)工程(e)の容器が洗浄緩衝液を含むが第三の特異的結合メンバーを含まない場合、工程(e)の容器に第三の特異的結合メンバーを加える工程、
(g)第三の特異的結合メンバーを、工程(e)で放出された複合体と反応させてサンドイッチ型複合体を形成する工程、
(h)逆磁気粒子処理により、工程(g)で形成したサンドイッチ型複合体を集める工程、
(i)工程(h)で集めたサンドイッチ型複合体を複数の容器のうちの1つの容器に放出し、容器は(i)結合していない第三の特異的結合メンバーを洗い落とすための洗浄緩衝液、または(ii)結合していない第三の特異的結合メンバーを洗い落とすための試料のいずれかを含有し、前記放出は逆磁気粒子処理により行われる工程、
(j)逆磁気粒子処理により、工程(i)で放出したサンドイッチ型複合体を集める工程、
(k)逆磁気粒子処理により、工程(j)で集めたサンドイッチ型複合体を複数の容器のうちの1つの容器に放出し、この容器はプレトリガー溶液を含有し、それにより特異的に結合した第三の結合メンバーを放出する工程、
(I)逆磁気粒子処理により、プレトリガー溶液から磁気粒子を集めて複数の容器のうちの1つの容器に放出し、この容器は洗浄緩衝液を含有する工程、および
(m)トリガー溶液をプレトリガー溶液に注入して発生した信号を読むことにより、試料中の分析物濃度を求めること。
【0010】
本明細書に記載される方法は、免疫アッセイに利用できる分析物の量を増加させることにより免疫アッセイの感度を高める。本明細書に記載される方法は、アッセイの感度を、核酸検査、即ち分子診断の感度に近いレベル、即ち実質的に等価なレベルに改善する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの斜視図である。
【図2】免疫アッセイ用試料を調製する逆磁気粒子処理手順を行うのに適したKingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサを示す正立正面図である。
【図3】免疫アッセイ用試料を調製する逆磁気粒子処理手順を行うのに適したKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサを示す正立正面図である。このプロセッサは1プレートあたり96個のマイクロウェルを有するマイクロウェルプレートを用いる。
【図4】免疫アッセイ用試料を調製する逆磁気粒子処理手順を行うのに適したマイクロウェルプレートの上面図である。図4では、2本のウェル列がマイクロウェルプレートから外されている。外したウェル列の1本は上面図フォーマットで見ることができる。外したウェル列のもう1本は側面図フォーマットで見ることができる。
【図5】KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサで用いるのに適したチップコームの正立側面図である。
【図6A】KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図6B】KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図6C】KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図6D】KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図6E】KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図6F】KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図7A】KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図7B】KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図7C】KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図7D】KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図7E】KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図7F】KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサにより用いられる逆磁気粒子処理手順を示す一連の模式図を構成する。
【図8】免疫アッセイ用試料を調製する逆磁気粒子処理手順を利用した結果の信号増強を示すグラフである。図8は、ARCHITECT(登録商標)自動免疫アッセイ分析機で分析した試料について、逆磁気粒子処理で予め処理しない場合(四角で表示)と逆磁気粒子処理で予め処理した場合(菱形で表示)の両方の信号対雑音比のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される場合、「容器」という用語は、管とウェルの両方を含むことを意図する。「ウェル」という用語は、マイクロウェルおよびマイクロウェルより容量の大きいウェルを含む。
【0013】
本明細書で使用される場合、「標識」、「標識基」といった表現は、特異的結合メンバー(例えば、抗体または抗原)に結合した、特異的結合メンバーとこの相補的結合メンバーの反応を検出可能にする基を意味する。標識の代表例として、酵素、放射標識、フルオレセイン、および光を生じる化学物質が挙げられる。標識は、免疫反応体に結合させることができ、視覚的または機械的手段により検出可能な信号を発生する能力がある、任意の物質である。本発明で用いるのに適した様々な標識として、触媒、酵素、リポソーム、および信号発生物質(色素原、触媒、蛍光化合物、化学発光化合物、酵素、など)を含有するその他小胞が挙げられる。標識として用いるのに適した多数の酵素が、米国特許第4,275,149号に記載されて、参照により本明細書に組み込まれる。このような酵素として、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、およびペルオキシダーゼ(アルカリホスファターゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼなど)が挙げられ、酵素基質(フルオレセインジ(ガラクトピラノシド)、ニトロブルーテトラゾリウム、3,5’,5,5’−テトラニトロベンジジン、4−メトキシ−1−ナフトール、4−クロロ−1−ナフトール、4−メチルウンベリフェリルホスファート、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファートなど)、化学発光酵素基質(WO88100694およびEP0−254−051−A2に記載されるジオキセタンなど)、ならびにこれらの誘導体および類似体と併せて用いられる。好ましくは、標識は酵素であり、最も好ましくは酵素はアルカリホスファターゼである。
【0014】
本明細書で使用される場合、「検査試料」という表現、「生体試料」という表現、および「試料」という用語は、分析物を含有することが疑われる物質を示す。検査試料は試料源から得られた状態のまま直接、または検査試料の特性を修飾する前処理に続いて用いることができる。検査試料は、任意の生体源、例えば生理液(例えば、血液、唾液、眼球液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、滑液、腹膜液、羊水など)から由来するものが可能である。検査試料は、使用前に前処理(例えば血液から血漿を調製する、粘性の液を希釈するなど)することができる。処理方法として、濾過、蒸留、抽出、濃縮、干渉要素の不活性化、試薬の添加などを挙げることができる。環境面でのアッセイまたは食品製造アッセイを行うため、生理液以外の液体試料(水、食品など)を用いることも可能である。また、分析物を含有することが疑われる固体材料を試験試料として用いることも可能である。場合によっては、固体検査試料を修飾して液体媒体を形成すること、または分析物を放出させることが有用になり得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、「特異的結合メンバー」という表現は、特異的結合対、即ち一方の分子が化学的または物理的手段を通じて他方の分子に特異的に結合している2種の異なる分子の、片方メンバーを意味する。特異的結合対のこのような特異的結合メンバーの例は、抗原およびこの抗原と特異的に結合する抗体である。特異的結合対のこのような特異的結合メンバーの別の例は、第一の抗体およびこの第一の抗体と特異的に結合する第二の抗体である。
【0016】
本明細書で使用される場合、「接合体」という用語は、検出可能な部分を接続した結合メンバー(例えば、抗原または抗体)を意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「固相」および「固相材料」などの表現は、不溶性、または後に続く反応によって不溶性にすることが可能な任意の材料を意味する。固相材料の代表例として、重合体ビーズまたはガラスビーズ、微小粒子、管、シート、プレート、スライド、ウェル、テープ、試験管などが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、検出されるべきまたは測定されるべき化合物を意味する。分析物は少なくとも1つのエピトープまたは結合部位を有する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という表現は、1種類の免疫細胞であり全て単独の親細胞のクローンである細胞から製造された抗体であるため同一である抗体を意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「抗体の結合親和性」という用語は、抗体の1つの抗原結合部位とこの特異的抗原エピトープとの間の相互作用の強さを意味する。親和性が高いほど、抗原と抗体の会合は密接になり、抗原が結合部位により残るようになる。親和性定数は、抗体と抗原の結合およびかい離の速度定数の比である。IgG抗体について代表的な親和性は、10から10L/モルである。
【0021】
本明細書で使用される場合、「正常ヒト血漿」という表現は、目的の分析物を含まない、またはその他既知の異常もしくは病状がないヒト血漿を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、名詞の後ろにくっついた「(単数または複数)」という記号は、文脈に依存して、名詞が単数形または複数形であることを意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「前活性化」という用語は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(本明細書で以下、「EDAC」)およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(本明細書で以下、「スルホ−NHS」)を微小粒子のカルボキシ基と反応させて、半安定NHSエステルを提供することを意味し、半安定NHSエステルはモノクローナル抗体のNH基と反応して安定なアミド結合を形成することにより抗体を微小粒子に接続させることができる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「磁気微小粒子」という用語は、常磁性微小粒子を意味する。常磁性微小粒子は磁場に引き寄せられるので、1よりも大きい相対磁気透過性を有する。しかしながら、同じく磁場に引き寄せられる強磁性体と違って、常磁性物質は、外部に磁場がかかっていないと、どのような磁性も維持しない。
【0025】
本明細書で使用される場合、品目の後ろにくっついた「(単数または複数)」という記号は、文脈に依存して、対象とする品目が単数または複数であることを表す。本明細書で使用される場合、「S/N」という記号は信号対雑音比を意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「免疫アッセイ」という用語は、容器(例えば、試験管)中で行われる特別なクラスのアッセイまたは検査を意味し、このアッセイまたは検査は、抗体抗原反応を用いて、患者が抗原に曝露しているかどうか、または抗原に対する抗体を有するかどうかを決定する。免疫アッセイは、異種性免疫アッセイまたは同種性免疫アッセイであり得る。本明細書に記載される方法は、主に異種性免疫アッセイに関する。
【0027】
異種性免疫アッセイは、競合的免疫アッセイフォーマットで、またはサンドイッチ型免疫アッセイフォーマットで行うことができる。競合的免疫アッセイフォーマットでは、抗原を固相材料に固定することができる。固相材料に結合した検出可能部分の量を検出、測定、または相関させて、検査試料に存在する抗体(抗原)の量とすることができる。固相材料の例として、ビーズ、粒子、微小粒子などが挙げられる。
【0028】
本発明は、主にサンドイッチ型免疫アッセイフォーマットに関する。サンドイッチ型アッセイ免疫アッセイフォーマットでは、固相(例えば、微小粒子)を抗体で被覆する。固相上の抗体は、捕獲抗体として知られる。アッセイは、試料中の抗原を検出および測定することを意図する。第二の抗体を、適した標識(例えば、アクリジニウム)で標識する。第二の抗体は固相に結合していない。第二の抗体は検出抗体として知られる。抗体と抗原は以下の順で結合する:固相上の抗体−抗原−標識化抗体。固相を除去する。抗体抗原抗体サンドイッチは標識の活性化により抗原の測定を可能にし、試料中の分析物の濃度を求めるのに用いることができる。本明細書で使用される場合、「サンドイッチ型複合体」という表現は、抗体抗原抗体サンドイッチを意味する。
【0029】
サンドイッチ型免疫アッセイフォーマットの1つの例では、抗体を含有する検査試料を、固相材料上に固定してある抗原(例えば、タンパク質)と接触させ、それにより抗原抗体複合体を形成させる。固相材料の例として、ビーズ、粒子、微小粒子などが挙げられる。抗原抗体複合体を含有する固相材料は、代表的には、例えば、検出可能部分で標識された第二の抗体で処理される。次いで、第二の抗体は、固相材料上に固定された抗原に結合した試料の抗体と結合する。次いで、1回以上の洗浄工程でどのような未結合材料も除去した後、インジケーター物質(発色基質など)を導入して検出可能部分と反応させ、検出可能な信号(例えば、変色)を発生させる。次いで、変色を検出、測定、および相関させて、検査試料に存在する抗体量とする。微小粒子、抗原、接合体、および化学反応に参加するアッセイのその他の構成要素の操作を最適化するために様々な希釈剤および緩衝液も必要であることにも留意すべきである。他の型のサンドイッチ型アッセイ(例えば、第一の抗体が固相材料上に固定してある。)を利用し得ることもさらに留意すべきである。
【0030】
生体試料に低濃度で存在する分析物の濃度を求める異種性免疫アッセイは、米国特許第5,795,784号、および米国特許第5,856,194号に記載される装置で、固相材料として微小粒子を用いるサンドイッチ型免疫アッセイフォーマットで実施することができる。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
HIV抗原(例えば、HIV−1p24抗原など)の場合、モノクローナル抗体を用いて本明細書に記載される免疫アッセイを実行することが好ましい。例えば、モノクローナル抗体120A−270および115B−151を、それぞれ固相捕獲抗体の構成要素として、および検出抗体接合体として用いて、市販されている自動免疫アッセイ分析機に用いるためのHIV−1p24抗原用超高感度免疫アッセイを開発することができる。これらのモノクローナル抗体は、米国特許第6,818,392号にさらに詳細に記載され、参照により本明細書に組み込まれる。モノクローナル抗体は、代表的には、これらの結合親和性の高さ(例えば、5×10リットル/モルより高い。)、サンドイッチ型アッセイ用構成要素間の適合性、および試験する抗原の全てのサブタイプの検出に基づいて選択される。上記のHIV−1p24抗原用モノクローナル抗体を用いて、HIV−1p24抗原およびHIV−2p26抗原の全てのサブタイプを求めることができる。
【0032】
約0.2pg/mLよりも低い濃度で存在する抗原について免疫アッセイを実行する前に、本明細書に記載される方法は、処理技術を利用して、市販されている自動免疫アッセイ分析機で用いる生体試料を調製する。そうした処理技術は、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサまたはKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサ(両方とも、Thermo Fisher Scientific,Inc.(Waltham,MA)から市販されている。)で実行することができる。
【0033】
ここで図1および図2を参照すると、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサ10を用いて、管の列の各管に磁気粒子を自動移送および処理することができる。以下の記載において、管実施形態の各管は、濃縮技術を例示するのに用いられる。KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサ10の原理は、(a)使い捨てチップコーム14で覆うことができる磁気ロッド12a、12b、12c、12d、および12eと、(b)管の列16との使用に基づく。チップコーム14は、磁気ロッドを覆うための複数の非磁性材料製さや14a、14b、14c、14d、および14eを連結する非磁性材料製の列を含む。管の列16は、一列に並んだ複数の管16a、16b、16c、16d、および16eである。KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサ10は、どのような吸引デバイスおよび/または分配デバイスも用いずに機能することができる。KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサ10は、最大で15本の管の列16用に設計されており、管の列16はチップコーム14と適合している。管の列16は、動かないように維持されており、唯一動かせる組立部は、チップコーム14ならびにこれに付随する磁気ロッド12a、12b、12c、12d、および12eに沿った、処理ヘッド18である。処理ヘッド18は、2つの垂直に動くプラットフォーム20、22を含む。1つのプラットフォーム20は、磁気ロッド12a、12b、12c、12d、および12e用に必要であり、もう一方のプラットフォーム22は、チップコーム14用に必要である。トレイ24は15本の別々の管の列16を含み、1回の試料処理は、代表的には、5本の管16a、16b、16c、16d、および16eを含む管の列16を1本使用する。5つのチップ14a、14b、14c、14d、および14eを含む1つのチップコーム14は、1回で5つの試料を処理するために用いる。
【0034】
キーパッド(図示せず)およびディスプレイ(図示せず)を介した磁気粒子処理の開始前に、試料および試薬を管16a、16b、16c、16d、および16eに分配して、チップコーム14を各穴に導入する。管の列16を、取り出し可能なトレイに正しい場所で設置して、トレイを奥の位置まで押し込む。操作中、正面および上部の蓋は閉じていても開いていてもよい。蓋を閉じると処理が環境による混入から保護される。KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサは、KingFisher(商標)mL取扱説明書、改訂版1.0、2002年2月、カタログ番号第1508260号に詳細に記載され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサは、マイクロウェルに適した量の液体で磁気粒子の自動移送と処理を行うように設計されている。これは、もっと量の多い液体を用いるKingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサとは対照的である。KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサは、KingFisher(商標)マイクロウェル取扱説明書、改訂版1.0、1999−04−09、カタログ番号第1507730号に詳細に記載され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
ここで図3、図4、および図5を参照すると、KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサ110を用いて、マイクロウェルプレートの各ウェルに磁気粒子を自動移送および処理することができる。KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサ110の原理は、使い捨てチップコーム114で覆うことができる磁気ロッド112a、112b、112c、112d、112e、112f、112g、112hとウェルの列116との使用に基づく。磁気ロッド112aのみを示す。その他の磁気ロッドは磁気ロッド112aで隠れている。チップコーム114は、磁気ロッドを覆うための複数の非磁性材料製さやを連結する非磁性材料の列を含む。ウェルの列116は、一列に並んだ複数のマイクロウェルである。KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサ110は、どのような吸引デバイスおよび/または分配デバイスも用いずに機能することができる。KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサ110は、最大で96のマイクロウェル用に設計されており、マイクロウェルはチップコーム14と適合している。マイクロウェルは、動かないように維持されており、唯一動かせる組立部は、チップコーム114およびこれに付随する磁気ロッド112に沿った、処理ヘッド118である。処理ヘッド118は、2つの垂直に動くプラットフォーム120、122を含む。1つのプラットフォーム120は、磁気ロッド112用に必要であり、もう一方のプラットフォーム122はチップコーム114用に必要である。トレイ124はマイクロウェルプレート1枚を含み、1回の試料処理は、代表的には、8つのマイクロウェル116a、116b、116c、116d、116e、116f、116g、および116hを含むウェルの列116を1つ使用する。12のチップ114a、114b、114c、114d、114e、114f、114g、114h、114i、114j、114k、および114lを含む1つのチップコーム114は、1回で12個の試料を処理するために用いる。
【0037】
キーパッド(図示せず)およびディスプレイ(図示せず)を介した磁気粒子処理の開始前に、試料および試薬をマイクロウェル116a、116b、116c、116d、116e、116f、116g、および116hに分配して、チップコーム114を各穴に導入する。ウェルの列116を、取り出し可能なトレイに正しい場所で設置して、トレイを奥の位置まで押し込む。操作中、正面および上部の蓋は閉じていても開いていてもよい。蓋を閉じると処理が環境による混入から保護される。
【0038】
上記のKingFisher(商標)装置のいずれを用いるかに関らず、用いる操作原理は、一般にMPPと示す逆磁気粒子処理技術である。液体を1つのウェルから別のウェルに移すのではなく、磁気粒子を管16a(またはマイクロウェル116aから)から管16b(またはマイクロウェル116bへ)へ移し、少なくとも1本の管(マイクロウェル)は特定の試薬を含有する。この原理は、外部磁石法、即ち米国特許第5,795,784号および米国特許第5,856,194号に示される装置で用いる分離の種類とは対照的である。逆磁気粒子処理技術に従って、特別設計した使い捨てプラスチックチップコームで覆われた磁気ロッドを用いて磁気粒子を移送する。
【0039】
磁気粒子を用いた作業は、5つの個別の処理工程に分けることができる。
【0040】
粒子を集める:この工程では、指定のウェルまたは管から磁気粒子を集める。
【0041】
粒子を結合させる:この工程では、指定のウェルまたは管の試薬から磁気粒子上に材料を集める。
【0042】
粒子を混合する:この工程では、指定のウェルまたは管中、試薬と粒子(挿入されてる場合)、をプラスチックチップで混合する。
【0043】
粒子を放出する:この工程では、集めた物質を磁気粒子表面から指定のウェルまたは管中に放出する。
【0044】
粒子を洗う:この工程では、指定のウェルまたは管中、磁気粒子を洗う。
【0045】
磁気粒子を集める間、磁気ロッドは完全にチップの内側にある。磁気ロッドはチップコームと一緒に、ゆっくりと管内を上下し、磁気粒子はチップ壁上に集められる。磁気ロッドはチップコームと一緒に、集めた磁気粒子をくっつけたまま、管から出して次の管に移送することができる。磁気粒子を集めた後、磁気ロッドはチップコームと一緒に、管から引き上げられ、磁気ロッドは引き上げて抜きながらチップコームを下げて試薬を含有する次の管に入れる。全ての磁気粒子が次の反応の物質と混ざり合うまでチップコームを相当速い速度で数回上下させることにより磁気粒子を放出する。磁気粒子の洗浄は、頻繁で重要な処理相である。洗浄は、洗浄液で満たした管内での放出プロセスと収集プロセスの組合せである。洗浄効率を最大にするため、磁気ロッドはチップコームと一緒に、最小限の液体保有性を有するように設計される。長時間行う反応で磁気粒子懸濁液が均一に混ざった状態を維持するため、時々、チップコームを上下させることができる。最初の管の容量は、次の管の容量よりも大きいことが可能であり、これは濃縮プロセス用に用いられる。
【0046】
図6A、図6B、図6C、図6D、図6E、および図6Fは、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサで、管から磁気粒子を集め、移送し、放出するのに用いられる工程の順序を示す。図7A、図7B、図7C、図7D、図7E、および図7Fは、KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサで、マイクロウェルから磁気粒子を集め、移送し、放出するのに用いられる工程の順序を示す。
【0047】
本明細書に記載される方法は、個体の血清または血漿の検査についてのFDA基準である、少なくとも5,000RNAコピー/mLというレベルと少なくとも同等なレベルで、免疫アッセイを用いて分析物を検出することを可能にする。Guidance for Industry In the Manufacture and Clinical evaluation if In Vitro Tests to Detect Nucleic Acid Sequences of Human Immunodeficiency Viruses Types 1 and 2,U. S. Department of Health and Human Services,Food and Drug Asministration,Center for Biologies Evaluation and Research(CBER),December 1999を参照。また、本明細書に記載される方法は、貯蔵した血清または血漿の検査についてのFDA基準である、少なくとも100RNAコピー/mLというレベルと同等なレベルで、免疫アッセイを用いて分析物を検出することを可能にする。Guidance for Industry In the Manufacture and Clinical evaluation if In Vitro Tests to Detect Nucleic Acid Sequences of Human Immunodeficiency Viruses Types 1 and 2,U.S.Department of Health and human Services,Food and Drug Administration,Center for Biologies Evaluation and Research(CBER),December 1999を参照。このような特性は、RNAのかわりにHIV−1p24抗原を検出対象として用いる場合に、FDAの感度基準に匹敵またはこれを凌ぐものである。表Iに、HIV用核酸検査と、PRISM(登録商標)分析機(Abbott Laboratories(Abbott Park,Illinois)から販売)を用いたHIV−1p24抗原検査、および本明細書に記載される方法を用いたHIV−1p24抗原検査について特徴をまとめる。
【0048】
【表1】

【実施例】
【0049】
実施例
以下の実施例において、「SPSP−Acr−115B−151−423」という用語は、抗−HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423とN10−(3−スルホプロピル)−N−(3−スルホプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミドとを含む接合体を意味する。モノクローナル抗体115B−151−423は、HIV−1p24抗原に特異的なモノクローナル抗体である。「CPSP−Acr−115B−151−423」という用語は、抗−HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423とN10−(3−スルホプロピル)−N−(3−カルボキシプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミドとを含む接合体を意味する。「抗−HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068」という用語は、HIV−1p24抗原に特異的なモノクローナル抗体を意味する。「抗−HIV−1p24モノクローナル抗体108−394−470」という用語は、HIV−1p24抗原に特異的なモノクローナル抗体を意味する。
【0050】
以下の実施例において、ARCHITECT(登録商標)およびPRISM(登録商標)の商標を有する製品は、Abbott Laboratories(Abbott Park,Illinois)が販売している。
【0051】
以下の調製例は、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068含有磁気粒子の調製、および抗HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423とアクリジニウム標識とを含む接合体の調製を例示する。
【0052】
調製A
以下の材料を用いて、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068含有磁気粒子を調製した。
1.磁気微小粒子(磁気CMLアゾ吉草酸、4.7マイクロメートル、固体濃度5.1%、Polymer Science)
2.抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068(3.4mg/mL)
3.被覆緩衝液(MES緩衝液、50mM、pH6.1、0.2マイクロメートルフィルター処理)
4.EDAC(50mMMES緩衝液中2.5mg/mL、pH6.1)
5.スルホ−NHS(50mMMES緩衝液中2.5mg/mL、pH6.1、分子量217.14、Pierce Chemical)
6.リン酸緩衝食塩水(10mMホスフェート緩衝液、0.15M塩化ナトリウムを加えてpH7.2)
7.上塗り緩衝液(0.1M Tris緩衝液+1%ウシ血清アルブミン、pH7.2)
8.ポリエチレングリコール(分子量8000、10%w/vの蒸留水液)
【0053】
以下の方法を用いて、2工程の方法で磁気微小粒子(25mL、固体濃度1%)を抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068(100μg/mL)で被覆した。EDAC(0.1mg/mL濃度)およびスルホ−NHS(0.1mg/mL濃度)を用いて、ポリプロピレン管(50mL)中で磁気微小粒子を前もって活性化した。方法で用いた材料は上記にまとめてある。
1.MES緩衝液(20.1mL)をポリプロピレン管(50mL)に加えた。
2.磁気微小粒子(4.9mL)を管に加えて微小粒子含有溶液とした(25mL、固体濃度1%)。
3.管をこの軸で回転させて微小粒子を洗った。
4.微小粒子を、3300rpmで10分間、遠沈して、上清液を吸引した。
5.微小粒子にMES緩衝液(25mL)を加えて再懸濁させることによる洗浄を2回以上行い、微小粒子を3300rpmで10分間、遠沈して、上清液を吸引した。
6.微小粒子をMES緩衝液(23mL)に再懸濁させた。
7.EDAC(1mL)およびスルホ−NHS(1mL)を管に加えて室温で30分間かけて微小粒子を前もって活性化した。転倒型回転器(Roto−Torque(Cole Parmer)、高速に設定し、1から10の範囲の速度ダイヤルを「6」に合わせた。)で、混合を行った。
8.微小粒子を、3300rpmで10分間、遠沈して、上清液を吸引した。
9.MES緩衝液(25mL)を加えて微小粒子を1回洗い、微小粒子を、3300rpmで10分間、遠沈して、上清液を吸引した。
10.抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068(濃度100μg/mLで25mL)を、前もって活性化した微小粒子を含有するペレットに加えた。
11.管を転倒型回転器(Roto−Torque(Cole Parmer)、高速に設定し、1から10の範囲の速度ダイヤルを「6」に合わせた。)に設置し、室温で90分間回転させた。
12.微小粒子を、3300rpmで10分間、遠沈して、上清液を吸引した。
13.リン酸緩衝食塩水(25mL)を加えて微小粒子を洗い、微小粒子を再懸濁させた。微小粒子を3300rpmで10分間、遠沈して、上清液を吸引した。この洗浄工程を3回行った。洗浄工程ごとに、リン酸緩衝食塩水25mLを用いた。
14.上塗り緩衝液(22.5mL)およびポリエチレングリコール(2.5mL、10%ポリエチレングリコール溶液)を微小粒子に加えた。
15.管を転倒型回転器(Roto−Torque(Cole Parmer)、高速に設定し、1から10の範囲の速度ダイヤルを「5」に合わせた。)で、室温で16時間回転させた。
16.微小粒子を、3300rpmで10分間、遠沈して、上清液を吸引した。
17.上塗り緩衝液(22.5mL)およびポリエチレングリコール(2.5mL、10%ポリエチレングリコール溶液)を加えて微小粒子を再懸濁させた。
18.抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆された微小粒子を4℃で貯蔵した。
【0054】
上記と実質的に同様な方法を用いて、作業例で用いた他のモノクローナル抗体を調製した。例えば、作業例で用いた別の抗体は、抗HIV−1p24モノクローナル抗体108−394−470であった。
【0055】
調製B
以下の材料を用いて、抗HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423とアクリジニウム標識とを含むSPSP−Acr−115B−151−423接合体を調製した。
1.抗HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423の貯蔵液(10mMリン酸緩衝食塩水中9.7mg/mL、pH7.25)
2.N10−(3−スルホプロピル)−N−(3−スルホプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミド由来のペンタフルオロフェニルエステルのジメチルホルムアミド(ジメチルホルムアミド溶媒中活性エステル46.6mM)
3.HPLC純度の水
4.緩衝液、pH4.0
5.緩衝液、pH7.0
6.緩衝液、pH10.0
7.NaCI(1.0M)
8.NaOH(1.0N)
9.NaOH(6.0N)
10.NaHPO・7H
11.NaHPO・H
12.NaCI
13.3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート(CHAPS)
14.CHAPS(リン酸緩衝食塩水中0.1%CHAPS、pH6.3)
15.リン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、150mM NaCI、pH8.0)
16.リン酸ナトリウム緩衝液(1M、150mM NaCI、pH8.0)
【0056】
10−(3−スルホプロピル)−N−(3−スルホプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミド由来のペンタフルオロフェニルエステルを構造1に示す。
【0057】
【化1】

【0058】
以下の方法を用いて、抗HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423およびアクリジニウム標識を含有する接合体を調製した。方法で用いた材料は上記にまとめる。
1.抗HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423貯蔵液に、リン酸ナトリウム緩衝液(0.10mL、1M)、およびNaCI(150mM、pH8.0)を加えた。得られた混合物をMillex−GVフィルター(0.22μm)を用いて濾過した。NaOH(約20μL、0.1N)で最終pHを8.0に調整した。抗体(20μL)をリン酸緩衝食塩水(480μL、100mM、pH8.0緩衝液)で希釈した。280nmの吸光度を測定して抗体濃度を求めた。リン酸緩衝食塩水(100mM、pH8.0緩衝液)をブランクとして用いた。測定のため、抗体貯蔵液の濃度を25倍に希釈(即ち、20μL/500μL)した。抗HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423貯蔵液濃度は9.0mg/mLであった。
2.ポリプロピレンマイクロ遠心管(1.5mL)4本それぞれに、抗HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423貯蔵液(0.222mL、2.0mg)、リン酸ナトリウム(0.178mL、100mM)、NaCI(150mM)、接合緩衝液(pH8.0)を加えて、溶液(5mg/mL)とした。回転子(1インチ×5/16インチ)を毎分800回転させて溶液を撹拌した。次いで、N10−(3−スルホプロピル)−N−(3−スルホプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミド由来のペンタフルオロフェニルエステル(40mg/mL貯蔵液)を、溶液を撹拌しながら加えた。暗中で3時間、周辺温度で反応を進行させた。
【0059】
以下の表は、接合体を調製するのに用いた材料の量を示す。
【0060】
【表2】

【0061】
3.HPLC純度の水(4.0L)に、リン酸二ナトリウム(10.3g)、リン酸一ナトリウム(0.268g)、塩化ナトリウム(35.1g)、およびCHAPS(4g、pH8.0)を加えて、透析緩衝液を調製した。pHは8.0であった。
4.接合反応後、Precision Glide 18G1シリンジ針を取り付けた1ccツベルクリンシリンジ(B−D Rec.No.309602、Lot No.2124269)でそれぞれの接合体を直ちにSlide−A−Lyzer10K透析カセット(0.5から3.0mL)に注入した。4つのカセットを全て透析緩衝液(1.6L)を入れたビーカーに入れた。毎分350回転の撹拌速度で、周辺温度で透析を行った。透析を1.0時間行った後、さらに2時間透析を繰り返したが、毎回新しいリン酸緩衝食塩水(10mM、pH8.0緩衝液)を用い、それから新しいCHAPS(0.1%)/リン酸緩衝食塩水(10mM)pH8.0で一晩透析した。
5.HPLC精製手順に用いたHPLC精製緩衝液はCHAPS(0.1%)/10mMリン酸緩衝食塩水(pH6.3)であった。それぞれの接合体をTosoHaas G3000SWカラム(21.5mm×60cm)に一回で注入した。接合体は、HPLC精製緩衝液を用いて、流速5.0mL/minで60分間、溶出させた。18分の時点から30分の時点の画分を集めたが、それぞれの画分は30秒間隔で集めた。10番目から20番目まで(これらも含める。)の画分を一つにした。
【0062】
以下の表は、接合体に組み込まれたアクリジニウムの量を示す。
【0063】
【表3】

【0064】
免疫アッセイで用いる接合体のアクリジニウム対抗体比が高くなるほど、発生する化学発光信号も強くなり、従って達成されるアッセイ感度も高くなる。
【0065】
上記と実質的に同様な方法を用いて、作業例で用いた他の接合体を調製した。N10−(3−スルホプロピル)−N−(3−カルボキシプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミド由来のスクシンイミドエステルを用いて、幾つかの作業例で用いられるCPSP−Acr−115B−151−423接合体を調製することができる(構造2を参照)。
【0066】
【化2】

【0067】
以下の非限定的な作業例は、本明細書に記載される方法の様々な実施形態がどのように実行され得るかを例示する。
【0068】
(実施例1)
この実施例は、CPSP−Acr−115B−151−423接合体と抗HIV−1p24モノクローナル抗体108−394−470で被覆した磁気粒子とを用いて磁気粒子処理により検査した場合に、1pg/mL未満のHIV−1p24抗原濃度(0.2pg/mLおよび0.5pg/mL)を有する比較的量の多い試料(1mL)がどのようにして2pg/mL濃度および5pg/mL濃度を有する比較的量の少ない試料(0.1mL)で生じる信号と同様な信号を発生させ得るかを例示する。
【0069】
この実施例では、以下の材料を用いた。
1.抗HIV−1p24モノクローナル抗体108−394−470で被覆した磁気微小粒子。磁気微小粒子は微小粒子希釈剤で固体濃度0.2%に希釈した。
2.CPSP−Acr−115B−151−423接合体
3.PRISM(登録商標)HIVAG移送洗浄緩衝液
4.PRISM(登録商標)HIVAG接合体洗浄緩衝液
5.陰性対照としての正常ヒト血漿
6.HIV−1p24抗原貯蔵液(526pg/mL)、正常ヒト血漿で希釈して濃度0.2、0.5、2、および5pg/mLのHIV−1p24抗原希釈試料を作成
7.Nunc−lmmuno(商標)一列型8丸底ウェル
8.ARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液
9.ARCHITECT(登録商標)トリガー溶液
【0070】
以下の装置を用いてこの実施例の方法を行った。
1.発光測定装置(EG&G Berthold)
2.マイクロウェルプレート震盪機(Lab−Line Instruments)
3.磁気マイクロウェルプレート分離器
4.真空機に接続した8ウェルマイクロウェルプレート吸引ヘッド
5.複数ウェルピペット
6.Clay Adams Brand Nutator Rotator
【0071】
以下の方法を用いてアッセイを行った。
1.ピペットを用いて、抗HIV−1p24モノクローナル抗体108−394−470で被覆した磁気微小粒子(20μL、固体濃度0.2%)を、0.1mLの試料検査用マイクロウェルプレートのマイクロウェルに導入した。ピペットを用いて、抗HIV−1p24モノクローナル抗体108−394−470で被覆した磁気微小粒子(20μL、固体濃度0.2%)を、0.1mLの試料検査用試験管(12×75mm、5mLポリプロピレン管)に導入した。
2.ピペットを用いて、HIV−1p24抗原を濃度2pg/mLおよび5pg/mLで含有する試料(0.1mL)をマイクロウェルプレートの各マイクロウェルにそれぞれ2つ組で導入した。毎回新しいピペットチップを用いた。HIV−1p24抗原を濃度0.2pg/mLおよび0.5pg/mLで含有する試料(1mL)を各試験管にそれぞれ2つ組で導入した。試験管を試験管立てに設置した。
3.マイクロウェルプレートおよび試験管立ての試験管の内容物を、室温で1時間、マイクロウェルプレート震盪機上で温置した。
4.透明な液体が見られるまで2分間マイクロウェルプレートをNutator Rotatorに乗せた磁気マイクロウェルプレート分離機に置いた。捕獲された微小粒子をかく乱しないようにしながら8ウェル吸引ヘッドで液体をマイクロウェルから除去した。透明な液体が見られるまで2分間試験管を磁気分離機に置いた。捕獲された微小粒子をかく乱しないようにしながら吸引ヘッドで液体を試験管から手作業で除去した。
5.多連ピペットを用いて、マイクロウェルプレートの各マイクロウェルに移送洗浄緩衝液(100μL)を入れた。ピペットを用いて各試験管に移送洗浄緩衝液(100μL)を入れた。
6.マイクロウェルプレートおよび試験管立ての試験管をマイクロウェルプレート震盪機に1分間置いて、磁気微小粒子を分散させて非特異的に結合した物質を洗い落とした。
7.工程4、5、および6を3回繰り返して非特異的に結合した物質を洗い除去した。
8.最後の洗浄工程後、CPSP−Acr−115B−151−423接合体(50μL、60ng/mL)をマイクロウェルプレートの各マイクロウェルおよび各試験管に導入した。マイクロウェルプレートおよび試験管立ての試験管の内容物を室温で1時間、プレート震盪機上で温置した。
9.工程4、5、6、および7を3回繰り返して結合していないCPSP−Acr−115B−151−423接合体を接合体洗浄緩衝液で洗い除去した。
10.3回目の洗浄の後、磁気微小粒子含有液をマイクロウェルプレートの各マイクロウェルから白色平底型Dynex microlite2プレートの各マイクロウェルへ移送し、透明な液体が見られるまで2分間プレートをNutator rotatorに乗せた磁気マイクロウェルプレート分離機上に置いた。捕獲された微小粒子をかく乱しないようにしながら8ウェル吸引ヘッドで液体を除去した。3回目の洗浄の後、磁気微小粒子含有液を各試験管から白色平底型Dynex microlite2プレートの各マイクロウェルへ移送し、透明な液体が見られるまで2分間プレートをNutator rotatorに乗せた磁気マイクロウェルプレート分離機上に置いた。捕獲された微小粒子をかく乱しないようにしながら8ウェル吸引ヘッドで液体を試験管から手作業で除去した。
11.ARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液(40μL)をDynex microlite2プレートの各マイクロウェルに導入し、プレートの内容物を、室温で10分間、マイクロウェルプレート震盪機上で温置して、CPSP−Acr−115B−151−423接合体を磁気粒子からプレトリガー溶液中に放出した。
12.ARCHITECT(登録商標)トリガー溶液(120μL)をDynex microlite2プレートの各マイクロウェルに注入して、マイクロウェルプレート化学発光読取り機(発光測定装置)で化学発光信号を読取った。読取り結果は相対光単位(RLU)で与えられる。
【0072】
結果を表IVに示す。
【0073】
【表4】

【0074】
データは、試料の量が10倍に増えると、有意の係数で信号を強め得る可能性があることを示しており、従って量の多い試料の使用がHIV−1p24抗原の免疫アッセイの感度を改善し得ることを示唆している。
【0075】
(実施例2)
この実施例は、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気粒子を用いてKingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサで試料(2mL)からHIV−1p24抗原を捕獲することによって、試料中0から1.6pg/mLの範囲で含有されるHIV−1p24抗原の濃度を決定する方法を例示する。CPSP−Acr−115B−151−423接合体を用いて標識とした。
【0076】
この実施例では以下の材料を用いた。
1.抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆された磁気微小粒子。磁気微小粒子を微小粒子希釈剤中固体濃度0.25%に希釈した。
2.CPSP−Acr−115B−151−423接合体。接合体の濃度は接合体希釈剤中50ng/mLであった。接合体はフィルターディスク(0.1マイクロメートル)で濾過した。
3.微小粒子希釈剤
4.HIV−1p24抗原貯蔵液(27.5pg/mL)、正常ヒト血漿で希釈して抗原濃度(a)0.1pg/mL(b)0.2pg/mL、(c)(d)0.4pg/mL、(d)0.8pg/mL、および(e)1.6pg/mLのHIV−1p24抗原希釈試料シリーズを作成
5.正常ヒト血漿(陰性対照として)
6.ARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液
7.ARCHITECT(登録商標)トリガー溶液
8.PRISM(登録商標)HIVAG移送洗浄緩衝液
9.検体10倍希釈緩衝液
【0077】
この実施例では以下のピペットを用いた。
P5000、P1000、P200、P20、P2
「P」の文字に続く数字は、このピペットにより移送可能なマイクロリットルでの最大容量である。最大容量の値が小さいほど、ピペットにより送達される量の精度を上げることができる。
【0078】
この実施例では以下の装置を用いた。
1.KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサ
2.マイクロウェルプレート発光測定装置(EG&G Berthold)
【0079】
この実施例では以下の試料設定を用いた。
1.検体10倍希釈緩衝液(0.11mL)を、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Aおよび管Bに入れた。
2.試料(1mL)を、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Aおよび管Bに加えた。試料は、正常ヒト血漿または正常ヒト血漿で希釈したHIV−1p24抗原であった。
3.抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気粒子(20μL)を固体濃度0.25%に希釈して、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Aに入れた。
4.CPSP−Acr−115B−151−423接合体(0.1mL、50ng/mL)をKingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Cに入れた。
5.洗浄緩衝液(1mL)をKingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Dに入れた。
7.ARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液(60μL)をKingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Eに入れた。
【0080】
以下の表は、HIV−1p24抗原濃度を求めるためにサンドイッチ型免疫アッセイを行うための、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの5本の管間での材料の分布を示す。
【0081】
【表5】

【0082】
この実施例では以下のアッセイプロトコルを用いた。
1.KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管A中、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気粒子を試料とともに、室温で20分間、振盪しながら温置した。
2.HIV−1p24抗原を捕獲した磁気粒子をKingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Aから管Bに移送し、室温で20分間、振盪しながら温置した。
3.磁気粒子を、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Bから管Cに移送し、室温で20分間、振盪しながら温置した。
4.磁気微小粒子を、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Cから管Bに戻し、2分間洗浄して遊離のアクリジニウム標識化接合体を除去した。
5.磁気粒子を、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Bから管Dに移送し、さらに2分間洗浄して遊離のアクリジニウム標識化接合体を除去した。
6.磁気粒子に捕獲されたHIV−1p24抗原特異的結合CPSP−Acr−115B−151−423接合体を、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Eに入れたARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液(60μL、pH2.6)中に溶出させた。溶出後、磁気粒子を取り出して洗浄管D中に放出した。
7.プレトリガー溶液(50μL)を、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの管Eから不透明マイクロウェルプレートのマイクロウェルに移送した。
8.不透明マイクロウェルプレートの各マイクロウェルにARCHITECT(登録商標)トリガー溶液(150μL)を注入して、発光測定装置で、適切な波長で化学発光信号を読取った。
【0083】
以下の表は上記のアッセイの結果を示す。
【0084】
【表6】

【0085】
3を越える信号対雑音比、即ち、3を超えるS/Nは、陽性結果と陰性結果を識別することを可能にする。表VIによると、0.1pg/mLという低い濃度まで陽性結果と見なされる。
【0086】
この実施例は、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサにより行った免疫アッセイが、(a)量の多い試料(例えば、2mL)の使用を通じた高レベルの感度、例えば0.1pg/mLのHIV−1p24抗原を検出する能力、(b)非特異的に結合した接合体は管内に残し、特異的に結合したCPSP−Acr−115B−151−423接合体のみを低pH(pH2.6)プレトリガー溶液中に溶出させたことによる信号出力に対してのアッセイバックグラウンドのレベルの大幅な低化、および(c)試料に存在する干渉の可能性のある要素はマイクロウェルに残し、磁気微小粒子に結合したHIV−1p24抗原のみをアッセイの手順に乗せて進むことによる高いレベルのアッセイ特異性、を提供し得ることを示す。また、非特異的に結合した接合体を、最終洗浄緩衝液で、磁気微小粒子から洗い落とす前に、試料管の試料を、接合体を含む温置する工程後の磁気微小粒子から結合していない接合体を洗い落とすのに用いることもできる。この特徴は、より量の多い試料を処理するのにより多くのマイクロウェルを取っておくことを可能にするだけではなく、洗浄緩衝液の量を少なくし生じる廃液の量を減らすことも可能にする。
【0087】
(実施例3)
この実施例は、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気粒子を用いてKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサで試料(0.89mL)からHIV−1p24抗原を捕獲することによって、試料中0から1.6pg/mLの範囲で含有されるHIV−1p24抗原の濃度を決定する方法を例示する。CPSP−Acr−115B−151−423接合体を用いて標識とした。
【0088】
この実施例では以下の材料を用いた。
1.抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆された磁気微小粒子。磁気微小粒子を微小粒子希釈剤中固体濃度0.25%に希釈した。
2.CPSP−Acr−115B−151−423接合体。接合体の濃度は接合体希釈剤中50ng/mLであった。接合体はフィルターディスク(0.1マイクロメートル)で濾過した。
3.ARCHITECT(登録商標)微小粒子希釈剤
4.HIV−1p24抗原貯蔵液(77pg/mL)、正常ヒト血漿で希釈して抗原濃度(a)0.1pg/mL、(b)0.2pg/mL、(c)(d)0.4pg/mL、(d)0.8pg/mL、および(e)1.6pg/mLの希釈試料シリーズを作成。
5.陰性対照として正常ヒト血漿
6.ARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液
7.ARCHITECT(登録商標)トリガー溶液
8.PRISM(登録商標)HIVAG移送洗浄緩衝液
9.検体10倍希釈緩衝液
【0089】
この実施例では以下のピペットを用いた。
P5000、P1000、P200、P20、P2
「P」の文字に続く数字は、このピペットにより移送可能なマイクロリットルでの最大容量である。最大容量の値が小さいほど、ピペットにより送達される量の精度を上げることができる。
【0090】
この実施例では以下の装置を用いた。
1.8個のウェルを備えたKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサ
2.マイクロウェルプレート発光測定装置(EG&G Berthold)
【0091】
この実施例では以下の試料設定を用いた。
1.検体10倍希釈緩衝液(20μL)を、KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルA、B、C、D、E、およびFに入れた。
2.KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルAには試料(170μL)を加え、ウェルB、C、D、およびEには試料(180μL)を加えた。試料は、正常ヒト血漿または正常ヒト血漿で希釈したHIV−1p24抗原で、2つ組で検査した。
3.抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気粒子(10μL)を固体濃度0.25%に希釈して、KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルAに入れた。
4.CPSP−Acr−115B−151−423接合体(50μL、50ng/mL)をKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルFに入れた。
5.洗浄緩衝液(200μL)をKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルGに入れた。
6.ARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液(60μL)をKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルHに入れた。
【0092】
表VIIは上記の設定を例示する。
【0093】
【表7】

【0094】
この実施例では以下のアッセイプロトコルを用いた。
1.KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルA、B、C、D、およびE中、連続して、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気粒子を試料とともに、室温で10分間、振盪しながら温置した。
2.HIV−1p24抗原を捕獲した磁気粒子をKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルEからウェルFに移送し、室温で10分間、振盪しながら温置した。
3.磁気粒子を、KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルFからウェルC、D、およびEに連続して移送し、2分間振盪しながら洗浄して結合していないアクリジニウム標識化接合体を除去した。
4.磁気微小粒子を、KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルEからウェルGに移送し、さらに2分間振盪しながら洗浄して結合していないアクリジニウム標識化接合体を除去した。
5.磁気粒子を、KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルHに入れたARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液(60μL、pH2.6)に溶出させた。
6.検査した各試料の2つ組の1つ目について、ARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液(50μL)に溶出した磁気粒子をKingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルHから不透明マイクロウェルプレートのマイクロウェルに移送した。微小粒子が分散したら、不透明マイクロウェルプレートの各ウェルにARCHITECT(登録商標)トリガー溶液(150μL)を注入して、発光測定装置で、化学発光信号を読取った。
7.検査した各試料の2つ組の2つ目について、ARCHITECT(登録商標)プレトリガー溶液(50μL)に溶出した磁気粒子を、KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサのウェルHから不透明マイクロウェルプレートのマイクロウェルに移送した。マイクロウェルプレートをマイクロウェルプレートホルダーに乗せて、磁気棒で磁気粒子を集めて不透明マイクロウェルプレートの各マイクロウェルの底にペレットを形成した。微小粒子がペレット化したら、不透明マイクロウェルプレートの各マイクロウェルにARCHITECT(登録商標)トリガー溶液(150μL)を注入して、発光測定装置で、化学発光信号を読取った。
【0095】
以下の表は上記のアッセイの結果を示す。
【0096】
【表8】

【0097】
表VIIIのデータは、分散した磁気粒子が、ペレット化した磁気粒子含有ウェルと比較して、化学発光信号の20から43%を消光してしまうことを示す。化学発光信号の消光割合は、方程式(ペレット化した粒子の正味RLU−分散した粒子の正味RLU)/(ペレット化した粒子の正味RLU)×100%により求めた。データはまた、KingFisher(商標)磁気粒子プロセッサにより試料体積0.89mLで行ったアッセイは、信号対雑音比3.2で、試料中に濃度0.2pg/mLで存在するHIV−1p24抗原を測定可能なことも示す。
【0098】
(実施例4)
この実施例は、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気微小粒子の使用を通じて、試料1.6mLからHIV−1p24抗原を捕獲するための試料プロセッサとしてKingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの組合せを用いて、試料中1pg/mL未満で含まれるHIV−1p24抗原の濃度決定の実行可能性を例示する。CPSP−Acr−115B−151−423接合体を用いて標識とした。ARCHITECT(登録商標)自動免疫アッセイ分析機を用いて濃度を求めた。結合工程には4本のKingFisher(商標)管を用い、洗浄工程で、粒子を5本目のKingFisher(商標)管(粒子希釈剤(200μL)入り)に放出した。
【0099】
この実施例では以下の材料を用いた。
1.HIV−1p24抗原貯蔵液(77pg/ml)、陰性ヒト血漿で希釈して抗原濃度(a)1.8pg/mL、(b)0.6pg/mL、(c)0.2pg/mL、および(d)0.1pg/mLの希釈試料シリーズを作成
2.KingFisher(商標)希釈剤
3.PRISM(登録商標)移送洗浄緩衝液
4.13.5%スクロース入り50mM Tris−HCI緩衝液(pH8.0)、100mM NaCI、0.1%Proclin(登録商標)抗生剤、0.1%Nipasept(登録商標)抗生剤、および0.0005%Quinolone(登録商標)抗生剤を含有するARCHITECT(登録商標)混合微小粒子希釈剤。
5.抗HIV−1p24モノクローナル抗体115B−151−423含有接合体、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気微小粒子、およびPRISM(登録商標)検体希釈剤緩衝液からなるARCHITECT(登録商標)アッセイ用試薬パック
【0100】
以下のKingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサ設定を用いて、この実施例を実行した。用いたKingFisher(商標)管は15列で、各列に5本の管があった。各列の最初の管をAとする。各列の2本目の管をBとする。各列の3本目の管をCとする。各列の4本目の管をDとする。各列の5本目の管をEとする。
【0101】
KingFisher(商標)希釈剤(0.1mL)、磁気微小粒子(0.1mL)、および試料(0.8mL)を各管Aに加えた。KingFisher(商標)希釈剤(0.1mL)および試料(0.8mL)を各管Bに加えた。PRISM(登録商標)移送洗浄緩衝液(0.5mL)を各管Cに加えた。PRISM(登録商標)移送洗浄緩衝液(0.5mL)を各管Dに加えた。粒子希釈剤(0.16mL)を各管Eに加えた。
【0102】
プロセスの手順は以下のように行った。
1.KingFisher(商標)プロセスの結合工程の間に、管Aの試料中のHIV−1p24抗原は抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆された磁気粒子により捕獲された。結合工程は20分かかった。
2.管Aの磁気粒子を集めて管Bに放出し、工程1に記載したのと同じ結合工程を繰り返して試料からさらにHIV−1p24抗原を捕獲した。
3.洗浄工程の間に、管Bの磁気粒子を集めて管C(PRISM(登録商標)移送洗浄緩衝液(0.5mL)入り)に放出し、非特異的に結合した材料を粒子から洗い落とした。洗浄工程は40秒かかった。
4.管Cの磁気粒子を集めて管Dに放出し、さらに40秒間洗浄工程を繰り返した。
5.管Dの磁気粒子を集めて管E(ARCHITECT(登録商標)粒子希釈剤(0.16mL)入り)に放出した。
【0103】
3本の管Eに放出された微小粒子を1つのARCHITECT(登録商標)試料カップに移送した。各試料についてこの工程を行った。HIV−1p24抗原についてのアッセイは、ARCHITECT(登録商標)試薬パック(接合体、粒子希釈剤、および検体希釈剤緩衝液を含む。)を用いて行った。並べて比較するため、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサで処理しなかったHIV−1p24抗原試料の同じ組合せもARCHITECT(登録商標)試薬パック(接合体、微小粒子、および検体希釈剤緩衝液を含む。)を用いて通常のARCHITECT HIV−1p24アッセイで検査した。試料は全て3つ組で検査した。
【0104】
ARCHITECT(登録商標)HIV−1p24アッセイは、ヒト血清および血漿中のHIV−1p24抗原検出用の2工程のサンドイッチ型免疫アッセイであった。最初の工程では、試料(100μL)、検体希釈剤緩衝液(50μL)、および抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆された常磁性微小粒子(50μL)を一つにして37℃で18分間温置した。試料中に存在するHIV−1p24抗原は、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆された微小粒子に結合した。洗浄後、CPSP−Acr−115B−151−423接合体(50μL)を加え、混合物を37℃で4分間温置した。洗浄工程をもう一度繰り返した後、プレトリガー溶液およびトリガー溶液を反応混合物に加えた。その結果生じる化学発光反応を相対光単位(RLU)で測定した。試料中のHIV−1p24抗原量とARCHITECT(登録商標)光学系で検出したRLU量との間には直接の相関関係が存在する。
【0105】
以下の表において、「KFD」はKingFisher(商標)希釈剤を表し、「p24」はHIV−1p24抗原を表し、「NC」は陰性対照(陰性ヒト血漿)を表し、「μ粒子」は磁気微小粒子を表す。表IXに示す試料処理図は5つの試料を表し、試料のHIV−1p24抗原濃度は0pg/mL、0.1pg/mL、0.2pg/mL、0.6pg/mL、および1.8pg/mLであった。各試料は3つ組で、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサにより処理され、処理フォーマットは2本の結合管(AおよびB)、2本の洗浄管(CおよびD)、および1本の放出管(E)であった。
【0106】
【表9】



【0107】
結果を表Xおよび表VIに示す。
【0108】
【表10】

【0109】
【表11】

【0110】
表Xのデータは、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサを用いて、ARCHITECT(登録商標)免疫アッセイ分析機で免疫アッセイを行う用の試料(合計で1.6mL)を調製した場合を示す。表VIのデータは、試料(100μL)を通常の様式でARCHITECT(登録商標)免疫アッセイ機器にかけた場合を示す(即ち、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサで処理しなかった。)。信号対雑音比が3を越える場合、陽性結果は陰性結果と識別することができる。表Xおよび表VIのデータは両方とも、抗原濃度が上がるほど、RLUで表される信号も強くなることを示す。しかしながら、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサの使用を通じて達成される信号対雑音比は、KingFisher(商標)mL磁気粒子プロセッサを用いないで達成される信号対雑音比をはるかに凌いだ。図8にデータを図示する。図8は、ARCHITECT(登録商標)自動免疫アッセイ分析機で分析した試料について、逆磁気粒子処理で予め処理しない場合(四角で表示)と逆磁気粒子処理で予め処理した場合(菱形で表示)の両方の信号対雑音比のプロットを示す。読取ったRLUは較正して試料中の抗原濃度を示すことができる。標準偏差、%CV、および信号対雑音比は、許容範囲内にあった。
【0111】
(実施例5)
この実施例は、KingFisher(商標)mL磁気微小粒子プロセッサを用いて量の多い試料を処理した後、超高感度免疫アッセイをどのようにしてPRISM(登録商標)自動免疫アッセイ分析機で実行するかを例示する。PRISM(登録商標)自動免疫アッセイ分析機は、ラテックス微小粒子と化学発光検出技術を用いて血液をスクリーニングする用にAbbott Laboratoriesから販売されている。この実施例では、以下の材料を用いた。
1.抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気微小粒子。磁気微小粒子を微小粒子希釈剤中固体濃度0.5%に希釈した。
2.SPSP−Acr−115B−151−423接合体
3.ARCHITECT(登録商標)磁気希釈剤
4.HIV−1p24抗原貯蔵液(77pg/ml)、KingFisher(商標)mL磁気微小粒子処理用に正常ヒト血漿で濃度0.2pg/mLに希釈;HIV−1p24抗原貯蔵液(77pg/ml)、アッセイの通常PRISM(登録商標)対照用に濃度4.2pg/mLに希釈
5.陰性対照としての正常ヒト血漿
6.PRISM(登録商標)活性剤希釈剤
7.PRISM(登録商標)活性剤濃縮剤
8.PRISM(登録商標)HIVAG移送洗浄液
9.最終洗浄緩衝液7G56D
10.検体10倍希釈緩衝液
11.抗HIV−1モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆したCMLラテックス微小粒子(Abbott Laboratories(Abbott Park,IL)から入手可能)
【0112】
この実施例では、以下のピペットを用いた。
P2、P20、P200、P1000、P5000
「P」の文字に続く数字は、このピペットにより移送可能なマイクロリットルでの最大容量である。最大容量の値が小さいほど、ピペットにより送達される量の精度を上げることができる。
【0113】
KingFisher(商標)mL磁気微小粒子プロセッサおよびPRISM(登録商標)自動分析機を用いてこの実施例を実行した。
【0114】
KingFisher(商標)mL磁気微小粒子プロセッサ用試料の調製は、表XIIに示すように5本の管の装置で行った。管A中、抗HIV−1モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆した磁気微小粒子を溶出緩衝液(0.15%ウシ血清アルブミン含有25mMグリシン−HCI緩衝液、pH2.1)中で3分間予備洗浄し、KingFisher(商標)磁気ロッドで予備捕獲して高磁気粒子を選別した。次いで、捕獲した粒子を試料管B、C、およびD(管B、C、およびDはそれぞれ、検体希釈剤緩衝液(0.3mL)および試料(0.7mL)を含有)に移送して、各試料管中で15分間HIV−1p24抗原を捕獲した。HIV−1p24抗原が結合した磁気粒子を溶出管E(溶出緩衝液(175μL)含有)に移送した。2分間、磁気粒子からHIV−1p24抗原を溶出させた後、抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆された磁気粒子を管Dに移送した。調製にかかった時間は、各工程での各粒子収集および移送のための2分を含めて合計で約60分であった。
【0115】
【表12】

【0116】
以下の方法を用いて、PRISM(登録商標)自動分析機でHIV−1用アッセイを実行した。
1.グリシン−HCIで溶出したHIV−1p24抗原(150μL)をPRISM(登録商標)自動分析機の試料ウェルに移送した。
2.抗HIV−1p24モノクローナル抗体120A−270−1068で被覆したラテックス微小粒子(50μL、0.2M Tris緩衝液(13.6%スクロース)で0.033%に希釈)を加えて、37℃で18分間、HIV−1p24抗原を再捕獲した。
3.HIVAG移送洗浄緩衝液を分配して、反応混合物をPRISM(登録商標)試料トレイのガラス繊維タブウェルに流し込み、ラテックス微小粒子から結合していない材料を洗い落とした。
4.SPSP−Acr−115B−151−423接合体(50μL、7G46J希釈剤で25ng/mLに希釈)を、接合体ステーションで手動で加え、ラテックス微小粒子に捕獲されているHIV−1p24抗原と、37℃で22分間、反応させた。
5.最終洗浄緩衝液(7G56D)をPRISM(登録商標)試料トレイのガラス繊維タブウェルに分配して、ラテックス微小粒子から遊離の接合体を洗い落とした。
6.PRISM(登録商標)トリガー溶液をガラス繊維タブウェルに加えて化学発光信号を発生させた。
【0117】
このPRISM(登録商標)HIVAGアッセイプロトコルは、満足のいく、70%を越える回収率であった。結果を表XVに示す。
【0118】
【表13】

【0119】
表XVのデータは、通常のPRISM(登録商標)アッセイが信号対雑音比4.7であったのに対し、逆磁気粒子処理とPRISM(登録商標)アッセイを組み合わせて達成された信号対雑音比は3.7、2.0、および5.2であったことを示す。しかしながら、通常のPRISM(登録商標)アッセイにおける抗原濃度が、逆磁気粒子処理とPRISM(登録商標)アッセイを組み合わせたアッセイにおける抗原濃度の21倍の高さであったことに留意すべきである。事実上、逆磁気粒子処理とPRISM(登録商標)アッセイを組み合わせたアッセイは、通常のPRISM(登録商標)アッセイにより得られる信号対雑音比の約9倍から23倍高い信号対雑音比を提供したのである。
【0120】
本発明の様々な修飾および改変が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明らかとなる。本発明が、本明細書に記載される例示の実施形態に過度に限定されはしないことも理解されるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特異的結合対の第一のメンバーを有する分析物を含有すると思われる生体試料中の分析物濃度を求める方法であって、
(a)複数の容器を用意する工程、
(b)第一の特異的結合メンバーを有する分析物を含有すると思われる生体試料と第二の特異的結合メンバーで被覆された磁気微小粒子とを複数の容器のうち少なくとも1つの容器に入れる工程、
(c)第一の特異的結合メンバーを第二の特異的結合メンバーと反応させて磁気微小粒子含有複合体を形成する工程、
(d)逆磁気粒子処理により、工程(c)で形成した複合体を集める工程、
(e)逆磁気粒子処理により、工程(d)で集めた複合体を複数の容器のうち洗浄緩衝液の入った容器に放出する工程、
(f)逆磁気粒子処理により、工程(e)で放出した複合体を洗って、結合していない第一の特異的結合メンバーと非特異的に結合した要素とを洗い落とす工程、
(g)逆磁気粒子処理により、工程(f)で洗った複合体を集める工程、
(h)複合体を自動免疫アッセイ分析機に導入する工程、
(i)自動免疫アッセイ分析機により、試料中の分析物濃度を求める工程を含む、方法。
【請求項2】
第一の特異的結合メンバーは抗原である、請求項1の方法。
【請求項3】
抗原はHIV抗原である、請求項2の方法。
【請求項4】
第二の特異的結合メンバーは、抗原に特異的な抗体である、請求項2の方法。
【請求項5】
抗体はHIV抗原に特異的である、請求項4の方法。
【請求項6】
発光標識を用いて分析物の濃度を求める、請求項1の方法。
【請求項7】
発光標識は接合体の一部分である、請求項6の方法。
【請求項8】
接合体は、第一の特異的結合メンバーまたは第二の特異的結合メンバーの1つと特異的に結合する部分を含む、請求項7の方法。
【請求項9】
接合体は自動免疫アッセイ分析機に導入される、請求項6の方法。
【請求項10】
発光標識は化学発光標識である、請求項6の方法。
【請求項11】
複数の容器は複数の管を含む、請求項1の方法。
【請求項12】
複数の容器は複数のマイクロウェルを含む、請求項1の方法。
【請求項13】
特異的結合対の第一のメンバーを有する分析物を含有すると思われる生体試料中の分析物濃度を求める方法であって、
(a)複数の容器を用意する工程、
(b)第一の特異的結合メンバーを有する分析物を含有すると思われる生体試料と第二の特異的結合メンバーで被覆された磁気微小粒子とを複数の容器のうち少なくとも1つの容器に入れる工程、
(c)第一の特異的結合メンバーを第二の特異的結合メンバーと反応させて磁気微小粒子含有複合体を形成する工程、
(d)逆磁気粒子処理により、工程(c)で形成した複合体を集める工程、
(e)工程(d)で集めた複合体を複数の容器のうちの1つの容器に放出し、前記容器は(i)洗浄緩衝液を含むが第三の特異的結合メンバーを含まない、または(ii)第三の特異的結合メンバーを含むいずれかであり、前記放出は逆磁気粒子処理により行われる工程、
(f)工程(e)の容器が洗浄緩衝液を含むが第三の特異的結合メンバーを含まない場合、工程(e)の容器に第三の特異的結合メンバーを加える工程、
(g)第三の特異的結合メンバーを、工程(e)で放出された複合体と反応させてサンドイッチ型複合体を形成する工程、
(h)逆磁気粒子処理により、工程(g)で形成したサンドイッチ型複合体を集める工程、
(i)工程(h)で集めたサンドイッチ型複合体を複数の容器のうちの1つの容器に放出し、この容器は(i)結合していない第三の特異的結合メンバーを洗い落とすための洗浄緩衝液、または(ii)結合していない第三の特異的結合メンバーを洗い落とすための試料のいずれかを含有し、前記放出は逆磁気粒子処理により行われる工程、
(j)逆磁気粒子処理により、工程(i)で放出したサンドイッチ型複合体を集める工程、
(k)逆磁気粒子処理により、工程(j)で集めたサンドイッチ型複合体を複数の容器のうちの1つの容器に放出し、この容器はプレトリガー溶液を含有し、それにより特異的に結合した第三の結合メンバーを放出する工程、
(I)逆磁気粒子処理により、プレトリガー溶液から磁気粒子を集めて複数の容器のうちの1つの容器に放出し、この容器は洗浄緩衝液を含有する工程、
(m)トリガー溶液をプレトリガー溶液に注入して発生した信号を読むことにより、試料中の分析物濃度を求めることを含む、方法。
【請求項14】
第一の特異的結合メンバーは抗原である、請求項13の方法。
【請求項15】
抗原はHIV抗原である、請求項14の方法。
【請求項16】
第二の特異的結合メンバーは、抗原に特異的な抗体である、請求項14の方法。
【請求項17】
抗体はHIV抗原に特異的である、請求項16の方法。
【請求項18】
発光標識を用いて分析物の濃度を求める、請求項13の方法。
【請求項19】
発光標識は接合体の一部分である、請求項18の方法。
【請求項20】
接合体は、第一の特異的結合メンバーまたは第二の特異的結合メンバーの1つと特異的に結合する部分を含む、請求項19の方法。
【請求項21】
発光標識は化学発光標識である、請求項19の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−501194(P2011−501194A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531199(P2010−531199)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/080751
【国際公開番号】WO2009/055442
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】