説明

足浴器

【課題】炭酸水を使用する足浴器において、所望の水温を維持できる足浴器を提供する。
【解決手段】炭酸水を生成する炭酸水生成部と、使用者の足を収納可能に形成され上記炭酸水生成部で生成された炭酸水を貯留して足浴を行う足浴槽とを備える足浴器において、前記足浴槽は、左右の足を夫々別個に収納する左右一対の足浴槽に分離形成され、その足浴槽内面に断熱性を有する部材を設け、特に足浴槽の底面に設けられた断熱性を有する部材は、着脱自在に布設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸水を使用する足浴器に係り、特に使用する炭酸水の保温性に優れた足浴器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する人々の関心が高まるにつれ、足浴器やフットマッサ−ジ器と呼ばれるものが人気を集めている。この足浴器には、容器内に溜められた温水に気泡を発生させその温水に足を浸すタイプのものが用いられ、温水を使用することから血行促進が図られるという効果がある。
【0003】
最近、この足浴に用いられる水として、炭酸ガスを溶解させた炭酸水を用いるものが提案されている。炭酸水は、更湯と比べてさらに血行促進効果が高い。
【0004】
ところで、従来のお湯をためて足を温める足浴器には、水温が所定の温度に維持されるように加熱手段を備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、炭酸ガスは、水温が高くなると飽和溶解度が下がり、ガスが抜けてしまうという性質を有し、そのため高温下では十分な血行促進効果が得られないおそれがある。特にヒータ等で加熱すると、その部分は必要以上に高温となってガスが抜け、循環によりその影響が全体に広がる可能性がある。
【0005】
一方、外部で水を加熱し、その温水源と接続して使用中温水を供給し続ける方法では、装置が大掛かりになってしまう。また、あえて加熱しないものもある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特に冬季には、暖かいお湯で足浴を楽しみたいと思うものである。
【特許文献1】特開2002−153537号公報
【特許文献2】特開2002−65805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、炭酸水を使用する足浴器において、ヒータ等の加熱装置を用いることなく、所望の水温を維持できる足浴器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る足浴器は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、炭酸水を生成する炭酸水生成部と、使用者の足を収納可能に形成され上記炭酸水生成部で生成された炭酸水を貯留して足浴を行う足浴槽とを備える足浴器において、上記足浴槽は、断熱性を有する部材を含んで形成されるものである。
【0008】
この断熱性を有する部材は、好適には、請求項2に記載したように、前記足浴槽内面に面して設けられ、さらに好適には、請求項3に記載したように、前記足浴槽の底面に設けられた断熱性を有する部材は、着脱自在に布設される。
【0009】
次に、上述した課題を解決するために、請求項4に係る足浴槽の内面は、複数の凹凸を有するものである。
【0010】
そして、上述した課題を解決するために、前記足浴槽は、請求項5に記載したように、左右の足を夫々別個に収納する左右一対の足浴槽に分離形成され、或いは、請求項6に記載したように、使用者の足を所定の間隙を持って収納するブーツ状に形成されるものである。
【0011】
また、この足浴器は、好適には、請求項7に記載したように、前記炭酸水生成部で生成された炭酸水を上記足浴槽に送出する通水路と、該通水路を開閉する開閉弁とをさらに備え、前記炭酸水生成部は、水を貯留する密閉可能な貯水槽を備え、該貯水槽内で生成された炭酸ガスの圧力により貯留された水を加圧して炭酸水を生成するものであり、さらに好適には、請求項8に記載したように、前記炭酸水生成部は、少なくとも炭酸塩と有機酸とを含む発泡剤と水とを反応させて炭酸ガスを生成し該炭酸ガスの圧力により該水を加圧して炭酸水を生成するものである。
【0012】
或いは、この炭酸水生成部は、請求項9に記載したように、炭酸ガスボンベと、貯水槽と、該炭酸ガスボンベ及び該貯水槽とに連通し炭酸ガスと水とを混合する混合部と、該混合部で生成された炭酸水を前記足浴槽に送出する通水路とを備えるものとし、さらに好適には、請求項10に記載したように、前記混合部は、炭酸ガスを水中に溶解させる中空糸状の膜を備えるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る足浴器によれば、炭酸水を使用する足浴器において、ヒータ等の加熱装置を用いることなく、所望の水温を維持できる足浴器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る足浴器の第1の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る足浴器1の構成概要を示すブロック図である。また、図2は、その外観を模式的に例示する斜視図である。
【0016】
この実施形態に示された足浴器1は、貯水槽10と、反応槽20と、通水路30と、開閉弁35と、吐水ノズル40と、足浴槽50とを備える本体2と、さらに、各々反応層20から着脱自在な、発泡剤収納器25と、発泡剤収納器保持具26と、蓋22とを備える。
【0017】
貯水槽10は、炭酸水の原料となる水を貯留するものであり、一端に備えられた取水口11を介して反応槽20と連接される。貯水槽10は、略水平方向からやや傾斜をつけて取水口11が下側に来るように横設される。これは、取水口11を最も低い高さに置くことにより、貯水槽10内の水が全て外部に放出できるようにするためである。
【0018】
この貯水槽10は、内部に発生する炭酸ガスの圧力に耐える強度を有しているもの、例えば、炭酸飲料用のペットボトル或いはこれと同等の強度を有するもので形成される。したがって、安価に制作でき、また、使用者が使用中に何らかの事故で破損しても、ペットボトルで代用することができる。そのため、製造者は特に在庫を抱える必要もない。
【0019】
貯水槽10の取水口11に連接された反応槽20は、その長軸が貯水槽10の長軸と略直交するように立設される。この反応槽20において、炭酸ガスと水が反応して炭酸ガスが生成されるので、貯水槽と同等の強度があり、且つ内部の反応の様子が見えるもの、例えば、ポリカーボネート樹脂等で形成される。反応槽20の頂部には、発泡剤収納器25及び発泡剤収納器保持具26が挿通可能な開口21が設けられる。この開口21に蓋22が係合され、また、後述する開閉弁35が閉じられることにより、貯水槽10と反応槽20とが一体となった密閉空間Qが形成される。
【0020】
発泡剤収納器25は、内部に、炭酸塩と有機酸とを主成分とする顆粒状の発泡剤Eが充填された円筒状のカプセル25aに、その開放された底部に、比較的容易に破断されるような薄い材料、例えばアルミ箔等の封止材25bが貼着され、内部の発泡剤Eが流出しないよう封止される。
【0021】
発泡剤収納器保持具26は、この発泡剤収納器25が反応槽20内に落下しないように保持するものであり、円筒状の本体上端には、開口に掛止するためのフランジ26aが設けられる一方、底部には、保持具本体と同心円上に、発泡剤収納器25の径よりもやや小さい径の円筒状の凸部26bが形成される。この凸部26cの上部は、爪状に斜めに切断され、底部は反応槽内に連通する開口26cが穿設される。この発泡剤収納器保持具26は、発泡剤収納器25とほぼ同じ長さを有している。
【0022】
蓋22は、上述のように、反応槽20に係合して密閉空間Qを形成するものであり、反応槽20と同等の強度を有する材料で形成される。なお、本実施形態における蓋22と、発泡剤収納器25と、発泡剤収納器保持具26とは、本発明に係る発泡開始時期規制手段を構成する。
【0023】
反応槽20には、また、その経路中に開閉弁35を有する通水路30が接続され、通水路30は、開閉弁35経由後、二股に分岐し、足浴槽50に備えられた左右夫々の足に吐水する二つの吐水ノズル40,40に接続される。
【0024】
開閉弁35は、これを閉じれば、蓋22が係合され反応槽20と貯水槽10とが一体となった空間を密閉して、密閉空間Qを形成する。また、これを開くと、反応槽20で生成された炭酸水を吐水ノズル40まで送出することができる。この開閉操作を使用者が楽な体勢で行えるよう、実際には、図2に示すように、足浴槽50の上面に設けられた天板53に固設される。
【0025】
通水路30の端末に設けられた吐水ノズル40は、図3に示すように、炭酸水が流入する流入室として円筒状に形成された旋回室404を備え、この旋回室404に、通水路30と旋回室流入路403を経て水を供給する。旋回室流入路403は、ノズル管路であり、通水路30よりも通水断面積が小さく構成されており、旋回室404の中心軸に対して偏心して当該旋回室に接続されている。よって、旋回室流入路403からの炭酸水は、旋回室404に対してその接線方向から流入し、図中に矢印で示したように、旋回する旋回流を生成する。この場合、旋回室流入路403の通水断面積は通水路30より小さいことから、旋回室404に流入する炭酸水の流速を高めることができる。
【0026】
この旋回室404に、吐水体410が組み込まれている。吐水体410は、炭酸水を吐出する吐水口411を備えた小径円柱の吐水部位410aと、この吐水部位に連続した大径円柱の受力部位412とを有する。この受力部位412は、旋回室404内に位置して上記の旋回流から後述の種々の力を受け、吐水体410の後述する首振り公転駆動等に関与する。受力部位412は、横方向に貫通する給水管路413を備え、この給水管路413から、旋回室404内の水を吐水口411に導く。
【0027】
給水管路413は、受力部位412に十字に交差して開けられており、この給水管路413の通路断面積の総和は、吐水口411より広い。よって、給水管路413から吐水口411に水が導かれる際には、面積の大小により、炭酸水の整流がなされるので、吐水口411からの炭酸水の吐水は安定する。
【0028】
吐水体410は、旋回室404の開口部に設けられたシール部416に吐水部位410aを内接させた状態で挿入・支持されており、受力部位412を旋回室404内のほぼ中央に直立させている。従って、旋回室流入路403から旋回室404に炭酸水が流入すると、この炭酸水は、旋回室404の内周壁面に沿った受力部位412周りの旋回流を引き起こす。
【0029】
円筒状の旋回室404の内径に対して、受力部位412の外径は、例えば、約40%とすることができる。また、受力部位412の外径を旋回室404の内径の約35〜80%、好ましくは約40〜70%とすることができる。
【0030】
吐水体410を上記のように支持するシール部416は、Oリングやシールリング等の弾性体で構成されており、図示するように、吐水口411を旋回室404の外部に臨ませた状態で、吐水体410を支持する。しかも、このシール部416は、弾性体であることから、吐水体410を支持した上で、受力部位412を旋回室404内において各方向に傾斜可能とすると共に、この受力部位412を傾斜した姿勢で首振り可能とする。また、シール部416が弾性体であることから、吐水体410は、旋回室404内部で吐水体410自身が中心軸を中心に回転する自転や、シール部416による支持箇所を頂点として円錐状に回転を行なう公転等が自在に行なえるようになっている。これら自転や公転は、受力部位412と上記の旋回流で引き起こされる。
【0031】
旋回室404の下壁は、図示するように吐水体410の吐水部位410aの側で小径とされたテーパガイド部415とされている。このテーパガイド部415は、受力部位412、延いては吐水体410の最大傾斜角度を規制する。
【0032】
足浴槽50は、使用者の足を収納可能な大きさを有し、足置き台の役目を果たす底面51と、一定の深さ、例えば足首の高さ、まで炭酸水を貯留可能な高さを持つ側面52と、吐水ノズルを取り付ける天板53とで構成される。図2に示す例では、この足浴槽50は左右の足を夫々別個に収納するように、分離独立して形成される。これにより、足浴槽50は、使用者の足より一回り大きいだけのサイズにまで小型化でき、足浴に使用される水量を減らすことができる。
【0033】
また、左右の足浴槽50,50は、その中央に貯水槽10を配して併置される。中間に貯水槽10が配置されることにより、使用者は足を閉じることなく、ゆったりとした姿勢で足浴を楽しむことができる。また、左右対称に配設されることにより、通水路30の長さを最短且つ左右同じ長さとすることができ、左右の吐水圧も等しくできる。
【0034】
足浴槽50の側面52は、図4に示すように、断熱材52aを被包した比較的薄い合成樹脂材等の被包材52bで形成される。ここで断熱材52aは、例えば、発泡ポリスチレンや発泡スチロール等の発泡断熱材である。そして、足浴槽50内側に面する被包材52bには、強度の低下が生じない程度に、パンチングメタルのように多くの孔52cが穿設される。
【0035】
断熱材52aを使用することにより、足浴槽50に溜められた炭酸水の温度低下を遅延させることができ、ヒータ等により加熱する場合のように炭酸ガスが抜け出すことなく、足を温めながら炭酸水浴を楽しむことができる。特に被包材52bに孔52cが空けられていると、炭酸水と断熱材52aとの間に断熱性を低下させる材料が介在せず、両者は直接接するので、より高い断熱効果が得られる。
【0036】
また、被包材52bに穿設された孔52cは、足浴槽50の側面52に凹凸を与えることになる。そして、この凹部に炭酸ガスの細かい気泡が付着するので、炭酸ガスが抜け難くなるという効果も奏する。特に、発泡ポリスチレンを断熱材52aとして用いれば、発泡ポリスチレンの表面が粗面であることから、発泡ポリスチレン自体に炭酸ガスが付着するという効果も得られる。
【0037】
本実施形態に係る足浴槽50の側面51は、断熱材52aと被包材52bとが一体となって自立するものである。これに対し、図5の変形例に示すように、足浴槽50の側面52を自立可能な壁材52dで形成し、その内面に、表面に凹凸を形成加工した発泡ポリスチレンや発泡スチロール等の断熱材52aを貼設する構成とすることも可能である。
【0038】
この変形例によれば、断熱材52aが直接炭酸水と接する面積がさらに大きいので、より高い断熱効果を得ることができる。また、凹凸も自在の設けることができ、炭酸ガスの付着量を増加させることも可能である。さらに、断熱材が破損しても取り替えることができるというメリットもある。
【0039】
側面52の断熱に対して、底面51の断熱は、靴の中敷きのように、断熱材51aを足浴槽50底面51に直接敷設する。この場合、比重の小さい断熱材51aでは、炭酸水に浮いてしまうが、足が載置されていれば問題はない。念のため両面テープ等で接着することも可能である。
【0040】
また、この断熱材51aの上面には凹凸が設けられる。この断熱材51a上に足を載置すれば、断熱材51aと接する部分と接しない部分とが生じ、足裏にも温かい炭酸水が接して血行促進に効果があるとともに、炭酸ガスの気泡が凹部に付着して、炭酸水中から抜け出す量を抑えることができる。
【0041】
底面51は、足の裏が直接接する部分であり、衛生上まめに洗浄したいものである。また、断熱材自体も破損し易いという難点がある。その点、底面の断熱材を着脱自在とすれば、容易に取り外し、交換をすることができる。さらに家族で足浴器を共用することもできる。
【0042】
本実施の形態に係る足浴器1は上記のように構成されており、以下その動作について説明する。
【0043】
使用者はまず、反応槽20の蓋22を外して、発泡剤収納器保持具26を取り出し、開閉弁35が閉じて入ることを確認して、開口21から注水する。この場合、貯水槽10自体は横設されているため、足浴器1の高さも大きくなく、実際に使用される場所として想定される洗面室の洗面ボウル上に乗せ、水栓の下に開口21を持っていくことができる。したがって、わざわざ浴室の水栓まで持って行く等の手間がかかることはない。これにより、反応槽20から取水口11を介して貯水槽10に貯水される。このとき、反応槽20側の底面を他端より若干持ち上げて傾ければ、取水口11を貯水槽10の底部より高い位置におくことができ、貯水槽10内に空気が残ることなく、水を満杯に溜めることができる。
【0044】
そして使用者は、図6に示すように、発泡剤収納器保持具26を開口21に挿入すると、保持具26上部のフランジ26aが開口21に掛止される。続いて、この保持具26内に発泡剤収納器25を挿入すると、発泡剤収納器25は、その底面の封止材25cが保持具26の凸部26b頂点に当接したところで駐止される。この段階では、発泡剤収納器の頂部は、凸部26bの高さ分だけ開口よりも突出している。なお、発泡剤収納器25を保持具26に挿入してから、保持具26を開口21に挿入してもよい。
【0045】
ここで、施蓋すべく蓋22を発泡剤収納器25上に載置し押圧すると、保持具26の凸部26b頂点に当接していた発泡剤収納器25の封止材25cは破断し、発泡剤収納器25は下降する。これにより、発泡剤収納器25の上部は、開口21の高さまで押し下げられ、蓋22は開口21に係合可能となって、開口21を封止し、反応槽20及び貯水槽10が密閉空間Qとなる。
【0046】
これに伴い、発泡剤収納器25内部に収納されていた顆粒状の発泡剤Eは、凸部26b底面の開口26cより放出されて直ちに水との反応を開始する。この発泡剤Eは、錠剤と異なって水との接触面積が大きいので、反応速度は速い。しかしながら、既に密閉空間Qが形成されているので、反応により生成された炭酸ガスが外部に漏れることなく、有効に使用される。
【0047】
こうして生成された炭酸ガスは、密閉空間Q内の圧力を高めるとともに、一部は水に溶解し、貯水槽10内の水は炭酸水となる。この溶解量は、圧力が高い程多くなるので、この点でも密閉空間形成後に反応を開始させることは有効である。
【0048】
反応開始からしばらくして、反応槽20内に十分な炭酸ガスが生成されていることが視認できれば、開閉弁35を開いて、生成された炭酸水を吐水ノズル40へと導出する。
【0049】
続いて、吐水が開始された吐水ノズル40における吐水の様子と、その挙動について説明する。図7は、旋回室404に炭酸水が流入してからの受力部位412の挙動とこの受力部位412にかかる力の様子を時間経過に沿って説明する説明図である。同図において、旋回室流入路403の連通部での流速をUin、旋回室流入路403の開口の延長線上にある周壁部位404aでの流速をUa、当該部位に対向する周壁部位404bにおける流速をUb、受力部位412に作用する揚力をFL、抗力をFDとそれぞれ表した。
【0050】
これらの作用関係から分かるように、受力部位412は、旋回室404における水の旋回流に応じて、傾斜姿勢のままで首振り公転する。
【0051】
図8は、受力部位412がこうした挙動を採ることで得られる吐水の様子を説明する図である。同図に表したように、吐水体410が首振り公転を起こすと、吐水口411は、吐水体410の首振り公転に伴い吐水方向を変えながら公転する。よって、吐水口411は、螺旋状に拡大した軌道を描きながら水を吐水し、その結果として、円錐状の公転吐水を実現する。従って、炭酸水の吐水軌跡を、吐水口411の軌跡よりはるかに大きい軌跡の円錐状の公転吐水の軌跡とし、広範囲に亘って炭酸水を吐出できる。
【0052】
従って、この吐水ノズル40によれば、ノズル自体をモータなどにより駆動させることなく円錐状の公転吐水を実現でき、これにより、広範囲にわたる炭酸水の着水が得られる。炭酸水の着水点が広範囲に亘って変化することにより、人体に刺激を与え、高い血行促進効果が得られる。
【0053】
またさらに、このように、旋回室404において炭酸水が旋回流を形成すると、遠心力の作用により、旋回室404の中心付近において気泡が成長する。すなわち、炭酸水に溶解した炭酸ガスは、旋回流における圧力の低下により、炭酸水の中に微細な気泡として分散混入する。これら多数の微細な気泡は、旋回室404の中で、旋回流の遠心力による遠心分離作用により、旋回室404の中心付近に集まり、互いに合体して大きな気泡に成長する。すなわち、旋回室404において、「気液分離」が生ずる。
【0054】
このようにして形成された大きな気泡は、旋回室404に順次供給される炭酸水の圧力により吐水口411から吐出される。つまり、吐水口411から吐出される炭酸水には、大きな気泡が断続的に混入するため、着水点における圧力が気泡の有無によって断続的に変動する。このような着水圧力の断続的な変化は、振動と同様の刺激を与え、人体に対して血行促進効果を有するとともに、順応による感度の低下を防止できる。
【0055】
以上説明したように、本具体例の吐水ノズル40は、旋回流を形成することにより、着水点が時間とともに変動することによる刺激と血行促進効果を与える。同時に気液分離作用により、着水点における着水圧力が時間とともに断続的に変動することによる刺激と血行促進効果を与える。これらにより、効果的な炭酸水の吐水が可能となる。
【0056】
またさらに、このように「気液分離作用」により、吐水の中に多量の気泡を含有させると、節水効果も得られる。すなわち、気泡を混在させることにより、同一の充填量により得られる足浴時間を長くすることができる。
【0057】
次に、本発明に係る足浴器の第2の実施形態について、図を参照して説明する。本実施の形態の足浴器1Aは、図9に示すように、足浴槽が「ブーツ状」に成形された点で、第1の実施形態におけるものと基本的に相違し、他の構成は第1の実施形態と実質的に同じであり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
図9は、足浴槽をブーツ状に覆った足浴器を表す模式図である。足浴槽が、例えば上面に対し開放された直方体等の構造の場合、空気と接する炭酸水表面積が大きく、露出した炭酸水の液面から、熱や炭酸ガスの放散が顕著となる。つまり、早く水温が低下し、また、炭酸ガスの抜けも早い。これに対して、図9に示したように、足浴槽をブーツ状に覆えば、熱の放出も、炭酸ガスの放散も抑制され、長時聞に亘る足浴が可能となる。
【0059】
このような足浴器1を用いて、血行促進効果について実験を行った結果の一例を図10に示す。例えば、40℃10分間の足浴では、図8に示すように、炭酸水(濃度約3000ppm)では、更湯に比べて、浴中において約3〜5倍、浴後において約2〜3倍という顕著な血流値の増加が見られた。
【0060】
以上に説明した実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【0061】
例えば、本発明における炭酸水生成手段は、発泡剤を用いるものに限定されない。すなわち、炭酸ガスが充填されたボンベを用いて密閉空間内の水を加圧し、炭酸水を生成してもよい。
【0062】
図11は、炭酸ガスが充填された炭酸ガスボンベ60を用いた足浴器の全体構成を例示する模式図である。貯水槽10とは別に、炭酸ガスが充填された炭酸ガスボンベ60が設けられている。使用者は、貯水槽10に水やお湯を充填し、炭酸ガスボンベから貯水槽10に炭酸ガスを供給することにより、加圧して炭酸水を生成することができる。
【0063】
この構成によれば、発泡剤が不要となり、炭酸ガスボンベ60の炭酸ガスの圧力が低下するまでの間は、数回或いはそれ以上の使用が可能となる。この場合、貯水槽10と炭酸ガスボンベ60とは、それぞれ着脱自在に設けることができる。
【0064】
また、図12に示す例は、炭酸ガスボンベ60からの炭酸ガスと貯水槽10からの水との混合を中空糸状の膜を備える炭酸ガス溶解器61内で行うものである。この溶解器61内で、水と炭酸ガスとが中空糸状の膜面を介して接触し、炭酸ガスが水中に溶解して所望の濃度の炭酸水が生成される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施形態に係る足浴器の構成概要を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係る足浴器の外観を模式的に例示する斜視図。
【図3】(a)は、旋回流に適した足裏ノズル横方向断面図、(b)は、(a)におけるG−G矢視図。
【図4】足浴槽の部分縦断面図。
【図5】第1の実施形態に係る足浴槽の変形例を示す部分縦断面図。
【図6】発泡剤の発泡を説明する図。
【図7】吐水ノズルの挙動について説明する図。
【図8】吐水ノズルの吐水の様子を説明する図。
【図9】第2の実施形態に係る足浴槽の縦断面を模式的に例示する図。
【図10】血行促進効果をさら湯と炭酸水とで比較したグラフ。
【図11】炭酸水生成に炭酸ガスボンベを用いる足浴器の構成概要を示すブロック図。
【図12】炭酸水生成に炭酸ガスボンベと中空糸状膜を用いる足浴器の構成概要を示すブロック図。
【符号の説明】
【0066】
1 足浴器
2 本体
10 貯水槽
11 取水口
20 反応槽
21 開口
22 蓋
25 発泡剤収納器
25a カプセル
25b 封止材
26 発泡剤収納器保持具
26a フランジ
26b 凸部
26c 開口
30 通水路
35 開閉弁
40 吐水ノズル
403 旋回室流入路
404 旋回室
410 吐水体
410a 吐水部位
411 吐水口
412 受力部位
413 給水管路
415 テーパガイド部
416 シール部材
50 足浴槽
51 底面
51a 断熱材
52 側面
52a 断熱材
52b 被包材
52c 孔
53 天板
60 炭酸ガスボンベ
61 溶解器
E 発泡剤
Q 密閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸水を生成する炭酸水生成部と、使用者の足を収納可能に形成され上記炭酸水生成部で生成された炭酸水を貯留して足浴を行う足浴槽とを備える足浴器において、上記足浴槽は、断熱性を有する部材を含んで形成されることを特徴とする足浴器。
【請求項2】
前記断熱性を有する部材は、前記足浴槽内面に面して設けられたことを特徴とする請求項1に記載の足浴器。
【請求項3】
前記足浴槽の底面に設けられた断熱性を有する部材は、着脱自在に布設されたことを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の足浴器。
【請求項4】
前記足浴槽の内面は、複数の凹凸を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の足浴器。
【請求項5】
前記足浴槽は、左右の足を夫々別個に収納する左右一対の足浴槽に分離形成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の足浴器。
【請求項6】
前記足浴槽は、使用者の足を所定の間隙を持って収納するブーツ状に形成されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の足浴器。
【請求項7】
前記足浴器は、前記炭酸水生成部で生成された炭酸水を上記足浴槽に送出する通水路と、該通水路を開閉する開閉弁とをさらに備え、
前記炭酸水生成部は、水を貯留する密閉可能な貯水槽を備え、該貯水槽内で生成された炭酸ガスの圧力により貯留された水を加圧して炭酸水を生成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の足浴器。
【請求項8】
前記炭酸水生成部は、少なくとも炭酸塩と有機酸とを含む発泡剤と水とを反応させて炭酸ガスを生成し該炭酸ガスの圧力により該水を加圧して炭酸水を生成することを特徴とする請求項7に記載の足浴器。
【請求項9】
前記炭酸水生成部は、炭酸ガスボンベと、貯水槽と、該炭酸ガスボンベ及び該貯水槽とに連通し炭酸ガスと水とを混合する混合部と、該混合部で生成された炭酸水を前記足浴槽に送出する通水路とを備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の足浴器。
【請求項10】
前記混合部は、炭酸ガスを水中に溶解させる中空糸状の膜を備えることを特徴とする請求項9に記載の足浴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−25936(P2006−25936A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206421(P2004−206421)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】