説明

足浴器

【課題】最初の使用者の使用後に次の使用者が使用開始するまでの時間が長い場合、次の使用者が使用する時は、節電をしながら短時間で湯温を好みの温度にする。
【解決手段】足浴槽内の水を加熱するヒーターと、足浴槽内の湯温を検知する湯温検出装置と、足浴槽内の湯温を設定する使用温度設定回路と、湯温検出装置から得られた情報と使用温度設定回路からの情報によりヒーターへの通電率を演算する温度調節回路と、温度調節回路からの情報によりヒーターの電流を制御するヒーター電流制御回路を有する足浴器において、使用温度設定回路で設定した温度よりも低い温度に自動設定する保温温度設定回路を設け、運転を開始してから予め設定された時間が経過した後は、湯温検出装置からの情報と保温温度設定回路からの情報によりヒーターへの通電率を演算し、ヒーター電流制御回路によりヒーターの電流を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足浴槽内に溜めた湯で足を温める足浴器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の足浴器は、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、足浴槽内に入れた湯の温度を使用者が温度調節器により任意に設定できるようになっているが、運転中は、使用者が意図して温度調節器の設定を変更しない限りは終始同一の設定温度に保持されるように制御されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−116221号公報
【特許文献2】特開平9−28756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の足浴器において、複数の使用者が交代で足浴器を使用する場合、最初の使用者が使用した後に足浴器の運転スイッチを切ってしまうと、次の使用者が使用する時に湯温が下がってしまうため、使用後に足浴器の運転スイッチは入れたままで、通電しておくことが多い。
【0005】
その際、設定温度を変更しなければ、その後も最初の使用者が設定した温度に湯温を保持しながら通電を継続することになる。
【0006】
この状態で、次の使用者がすぐに使用する場合には問題はないが、例えば、次の使用者がすぐに使用しなかったり、次の使用予定者が他の用事ができたために足浴器を使用せず、運転スイッチを切り忘れた場合には、足浴器はそのままの状態で通電放置され、電気の無駄使いになるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記欠点を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1では、足浴槽と、該足浴槽内に溜めた水を加熱するヒーターと、前記足浴槽内の湯温を検知する湯温検出装置と、前記足浴槽内の湯温を設定する使用温度設定回路と、前記湯温検出装置から得られた情報と前記使用温度設定回路からの情報により前記ヒーターへの通電率を演算する温度調節回路と、該温度調節回路からの情報により前記ヒーターの電流を制御するヒーター電流制御回路を有する足浴器において、前記使用温度設定回路で設定した温度よりも低い温度に自動設定する保温温度設定回路を設け、運転を開始してから予め設定された時間が経過した後は、前記湯温検出装置から得られた情報と前記保温温度設定回路からの情報により、前記温度調節回路で前記ヒーターへの通電率を演算し、該演算情報により前記ヒーター電流制御回路により前記ヒーターの電流を制御するものである。
【0009】
請求項2では、前記湯温検出装置と、前記使用温度設定回路と、前記保温温度設定回路とを表示器制御回路に接続し、前記湯温検出装置で検出した温度を表示器制御回路の表示器Aに表示し、前記使用温度設定回路から使用者が設定した設定温度を前記表示器制御回路の表示器Bに表示し、運転開始してから一定時間が経過した後に保温温度設定回路で設定された設定温度で運転している時は、該保温状態を表示器制御回路の表示器Cに表示するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1によれば、同時に使用する使用者が複数おり、最初の使用者の使用後に次の使用者が使用開始するまでの時間が長い場合、一定時間が経過すると自動的に設定温度の低い保温温度で運転を行うので、次の使用者が足浴器を使用する時は、節電をしながら短時間で湯温を好みの温度にすることができる。
【0011】
また、使用者が使用後に運転スイッチを切り忘れた場合でも、一定時間が経過すると自動的に設定温度の低い保温温度で運転を行うので、節電になり、電気の無駄使いをなくすことができる。
【0012】
請求項2によれば、最初の使用者が使用した後に、次の使用者が使用開始するときに足浴槽内の湯温が保温状態であることがわかり、使用者は容易に好みの温度になるように湯温の設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例を示す足浴器の縦断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す足浴器の本体制御部のシステムブロック図である。
【図3】本発明の一実施例を示す表示器制御回路の動作フローチャート図である。
【図4】本発明の足浴器を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図面に従って説明する。
【0015】
本体1には、足浴槽2が内蔵されており、該足浴槽2の外側底面及び外側側面にはヒーター3が取り付けられている。
【0016】
また、本体1内には足浴器の運転制御を行う本体制御部5が内蔵されており、該本体制御部5内にはヒーター3への通電制御を行うヒーター電流制御回路11が組み込まれ、ヒーター3はヒーター電流制御回路11に接続されている。
【0017】
足浴槽2の外側底面には、該足浴槽2内の湯温を検知する湯温検出装置4が取り付けられ、該湯温検出装置4は、本体制御部5内に設けた温度調節回路10と表示器制御回路12に接続されている。
【0018】
温度調節回路10には、湯温検出装置4の他に使用者が足浴槽2内に注水した水の温度を好みの温度に設定する使用温度設定回路9が接続されており、湯温検出装置4が検出した温度の信号と使用温度設定回路9からの信号を基に足浴槽2内の湯温を使用者の好みの温度に保つべくヒーター3への通電率を演算する。また、ヒーター3への通電率の情報はヒーター電流制御回路11へ送られ、該情報に基づきヒーター3への通電制御を行う。
【0019】
湯温検出装置4が接続されているもう一方の表示器制御回路12には、使用温度設定回路9が接続されており、湯温検出装置4で検出した温度を表示器制御回路12に接続された表示器A6に表示させる機能を持たせてある。
【0020】
表示器制御回路12は、使用温度設定回路9から使用者が設定した設定温度の情報を受け取り、表示器制御回路12へ接続された表示器B7に使用者の設定温度を表示させる機能も併せ持つ。
【0021】
その他、本体制御部5には、タイマー回路13が内蔵されており、該タイマー回路13は足浴器が運転開始すると共に、タイマー時間をリセット後、足浴器の運転時間をカウントする。
【0022】
さらに、本体制御部5には、使用者が足浴槽2内に注水した水の温度を好みの湯温に設定する使用温度設定回路9とは別に、足浴槽2内で一度使用者が使用した後の湯の温度を保温温度に自動的に設定する保温温度設定回路14が内蔵されており、該保温温度設定回路14は温度調節回路10と表示器制御回路12とに夫々接続されている。
【0023】
そして、該保温温度設定回路14には、使用温度設定回路9で設定可能な最低温度と同一か、又はそれよりも低い温度が予め工場出荷時に設定され、該保温の設定状態は表示器制御回路12の表示器C8に表示される。保温温度は、具体的には使用温度設定回路9で設定可能な最低温度か、それ以下が望ましい。
【0024】
タイマー回路13は、設定温度選択回路15に接続されているが、該設定温度選択回路15は、タイマー回路13でカウントした時間Tが設定温度選択回路15に予め設定されている時間T1よりも少ないときは、使用者が使用温度設定回路9で設定した温度を湯温の設定温度として選択し、湯温検出装置4が検出した温度の信号を基に足浴槽2内の湯温を一定温度に保つべくヒーター3への通電率を温度調節回路10で演算させる機能を持っている。
【0025】
一方、タイマー回路13でカウントした時間Tが、設定温度選択回路15に予め設定されている時間T1よりも大きい時は、保温温度設定回路14で設定した温度を湯温の設定温度として選択し、湯温検出装置4が検出した温度の信号を基に足浴槽2内の湯温を一定温度に保つべくヒーター3への通電率を温度調節回路10で演算させる。
【0026】
設定温度選択回路15が保温温度設定回路14で設定した温度を湯温の設定温度として選択している時は、表示器制御回路12に接続した表示器C8を点灯させる。
【0027】
次に、足浴器の動作を図3の動作フローチャート図を用いて説明する。
【0028】
足浴器を運転すると、タイマー回路13は、タイマー時間をリセット後、運転時間のカウントを開始する。
【0029】
一方、使用者は、湯温が好みの温度になるよう操作部16で湯温の設定を行う。この操作により、使用温度設定回路9で温度が設定され、表示器制御回路12によって操作部16に設けた表示器B7に使用温度設定回路9で設定した温度TC1が表示される。湯温の設定は38℃から42℃の範囲が望ましい。
【0030】
湯温検出装置4が検出した温度TC0は、表示器制御回路12によって操作部16に設けた表示器A6に表示される。
【0031】
足浴器の運転開始後は、タイマー回路13でカウントした時間Tが、設定温度選択回路15で予め設定した時間T1以下の時(T≦T1)は、使用者が操作部16で設定した温度、すなわち使用温度設定回路9で設定した温度TC1の情報と湯温検出装置4が検出した湯の温度TC0により、温度調節回路10がヒーター3への通電制御を行う。
【0032】
設定温度TC1より湯の温度TC0が低い時は、ヒーター3への通電を行う信号を温度調節回路10からヒーター電流制御回路11に送り、ヒーター電流制御回路11はその信号により、ヒーター3への通電を行う。
【0033】
ヒーター3への通電が行われると、足浴槽2内の温度が上昇するが、湯温検出装置4が検出した温度TC0が設定温度TC1まで上昇すると、温度調節回路10は、ヒーター3への通電を停止させる指示を出し、ヒーター電流制御回路11はその信号により、ヒーター3への通電を停止する。
【0034】
その後、湯温検出装置4が検出した温度TC0が設定温度TC1より低くなると、温度調節回路10は、再度ヒーター3への通電を開始する信号をヒーター電流制御回路11へ送る。
【0035】
このように温度調節回路10の機能により、足浴槽2内の湯の温度は使用者が設定する任意の温度に保たれる。
【0036】
その後、タイマー回路13でカウントした時間Tが、設定温度選択回路15で予め設定した時間T1より大きくなった時(T>T1)は、保温温度設定回路14で予め設定された温度TC2の情報と湯温検出装置4が検出した湯の温度TC0により、温度調節回路10がヒーター3への通電制御を行う。
【0037】
設定温度TC2より湯の温度TC0が低い時は、ヒーター3への通電を行う信号を温度調節回路10からヒーター電流制御回路11に送り、ヒーター電流制御回路11はその信号により、ヒーター3への通電を行う。
【0038】
ヒーター3への通電が行われると、足浴槽2内の湯の温度が上昇するが、湯温検出装置4が検出した湯の温度TC0が設定温度TC2まで上昇すると、温度調節回路10は、ヒーター3への通電を停止させる指示を出し、ヒーター電流制御回路11はその信号により、ヒーター3への通電を停止する。
【0039】
使用温度設定回路9の設定温度TC1と保温温度設定回路14の設定温度TC2との間には、TC1>TC2の関係があるので、運転開始してから時間がT1経過した後は、電気の通電量が少なくて済み、節電効果がある。
【0040】
また、運転開始してから時間がT1経過した後に、保温温度設定回路14で設定された設定温度TC2で運転している時は、表示器制御回路12によって操作部16に設けた表示器C8を点灯させる。表示器C8の表示は「保温」でもよく、また、保温温度設定回路14で設定された設定温度TC2を表示してもよい。
【0041】
これにより、使用者は、足浴器が保温温度設定回路14で設定された温度TC2で運転していることを認識することができる。なお、保温温度設定回路14の設定温度TC2は38℃以下が望ましい。
【0042】
従って、同時に使用する使用者が複数おり、最初の使用者の使用後に次の使用者が使用開始するまでの時間が長い場合、一定時間が経過すると自動的に保温温度設定回路14で設定された温度の低い保温温度TC2で運転を行うので、次の使用者が足浴器を使用するまで節電をすることができる。
【0043】
また、最初の使用者が使用後に運転スイッチを切り忘れた場合でも、一定時間が経過すると自動的に保温温度設定回路14で設定された設定温度TC2の低い保温温度で運転を行うので、節電になり、電気の無駄使いをなくすことができる。
【0044】
また、次の使用者が使用開始するときには、使用者が好みの温度になるよう操作部16で湯温の設定を行うことにより、使用温度設定回路9で温度TC1が設定され、ヒーター3への通電が行われるので、短時間で湯温を好みの温度にすることができる。
【0045】
さらに、湯温検出装置4と、使用温度設定回路9と、保温温度設定回路14とを表示器制御回路12に接続し、湯温検出装置4で検出した温度TC0を表示器制御回路12の表示器A6に表示し、使用温度設定回路9から使用者が設定した設定温度TC1を表示器制御回路12の表示器B7に表示し、運転開始してから一定時間が経過した後に保温温度設定回路14で設定された設定温度で運転している時は、該保温状態を表示器制御回路12の表示器C8に表示するので、最初の使用者が使用した後に、次の使用者が使用するときには足浴槽内の湯温が保温状態であることがわかり、使用者は好みの温度になるように容易に湯温の設定を行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 本体
2 足浴槽
3 ヒーター
4 湯温検出装置
5 本体制御部
6 表示器A
7 表示器B
8 表示器C
9 使用温度設定回路
10 温度調節回路
11 ヒーター電流制御回路
12 表示器制御回路
13 タイマー回路
14 保温温度設定回路
15 設定温度選択回路
16 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足浴槽と、該足浴槽内に溜めた水を加熱するヒーターと、前記足浴槽内の湯温を検知する湯温検出装置と、前記足浴槽内の湯温を設定する使用温度設定回路と、前記湯温検出装置から得られた情報と前記使用温度設定回路からの情報により前記ヒーターへの通電率を演算する温度調節回路と、該温度調節回路からの情報により前記ヒーターの電流を制御するヒーター電流制御回路を有する足浴器において、
前記使用温度設定回路で設定した温度よりも低い温度に自動設定する保温温度設定回路を設け、運転を開始してから予め設定された時間が経過した後は、前記湯温検出装置から得られた情報と前記保温温度設定回路からの情報により、前記温度調節回路で前記ヒーターへの通電率を演算し、該演算情報により前記ヒーター電流制御回路により前記ヒーターの電流を制御することを特徴とする足浴器。
【請求項2】
前記湯温検出装置と、前記使用温度設定回路と、前記保温温度設定回路とを表示器制御回路に接続し、前記湯温検出装置で検出した温度を表示器制御回路の表示器Aに表示し、前記使用温度設定回路から使用者が設定した設定温度を前記表示器制御回路の表示器Bに表示し、運転開始してから一定時間が経過した後に保温温度設定回路で設定された設定温度で運転している時は、該保温状態を表示器制御回路の表示器Cに表示することを特徴とする請求項1記載の足浴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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