説明

足温浴器

【課題】
簡単な構成で温水と冷水に繰り返し交互に足を浸すことができ、より血行をよくする効果をもった足温浴器を提供する。
【解決手段】
上面が開口した足浴槽2と、この足浴槽2内に貯水された水を加熱する加熱手段6と、前記足浴槽2の水温を検知する温度検出手段7と、この温度検出手段7の出力により前記加熱手段6の加熱量を制御する制御手段17を備えた足温浴器において、前記足浴槽2の略中央部の一部に足浴槽2の貯水が流通しない隔壁3を形成して低温槽4を設け、また、前記足浴槽2の底部と前記低温槽4の底部間に連通口14と、この連通口14を開閉するバルブ16を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水や冷水を用いて足を暖めたり冷やしたりする足温浴器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の足温浴器は、図8に示すように上面が開口した内容器(足浴槽)81の外側にコード状ヒータなどの発熱体(図示せず)を設け、これらの内容器81及び発熱体を電気絶縁材料で形成され、外郭を構成する外容器(外郭)82で覆い、さらに発熱体の出力を調整する制御手段(図示せず)と、発熱体の発熱量を設定する湯温設定手段(図示せず)等を備えている。このものの使用方法は、使用時に内容器81に適当な温度(38℃〜45℃)に温めた湯を適量注ぎ、発熱体の加熱により設定温度に保持し、それに浴用薬剤を溶かし、椅子83等に腰掛けた姿勢で、その中に両足を浸し、適当な時間保持することによって湯のエネルギーと浴用薬剤の作用で足の皮膚を通して人体を加温し、血液の流れにより全身に湯の熱を伝え、血行を良くして疲労回復,健康の維持,増進を図ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、水を貯めて足を入れる浴槽と、浴槽に排出するための異なる温度の水を貯水するタンクaとタンクbと、浴槽とタンクa,タンクbとで水を循環させる遠心ポンプと、タンクaとタンクbから使用するタンクを切り替える制御部とを備え、温水と冷水といった異なる温度の水に繰り返し交互に足を浸して、血行を良くする効果を得るようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−29424号公報
【特許文献2】特開2002−191520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術において、前者のものは足を温めるだけでなく、温めたり冷やしたりを繰り返して、より血行を良くしようとすると、内容器内の温水温度は湯温調節ができるものの、一つの温度しか選べないため、同時に異なる温度の水を用いて温めたり冷やしたりする足温浴を行うとなると、内容器内の10リットル程の温水もしくは低温水を入れ替える必要があり、この水の入れ替えは水を入れた内容器が非常に重く、水がこぼれたりして、手間がかかり、労力を要するという問題点があった。
【0006】
また、後者のものは構造が複雑であり、また温水と冷水の切り替えに時間を要するという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、労力を要せず、しかも簡単な構成により繰り返し温水と冷水に交互に足を浸すことができる足温浴器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、上面が開口した足浴槽と、この足浴槽内に貯水された水を加熱する加熱手段と、前記足浴槽の水温を検知する温度検出手段と、この温度検出手段の出力により前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段を備えた足温浴器において、前記足浴槽の略中央部の一部に足浴槽の貯水が流通しない隔壁を形成して低温槽を設けたものである。
【0009】
また、前記足浴槽の底部と前記低温槽の底部間に連通口と、この連通口を開閉するバルブを設けたものである。
【0010】
また、前記バルブは、前記制御手段により自動的に開閉制御されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の足温浴器は、上記のように構成したことにより、簡単な構成で温水と冷水に繰り返し交互に足を浸すことができ、より血行をよくする効果をもった足温浴器を提供することができる。
【0012】
また、温水と冷水の切り替えが短時間にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態を図示例を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明に係わる足温浴器の正面縦断面図、図2は本発明に係わる第1の実施例を示す外蓋を外した上面図、図3は図2におけるA・A線断面図、図4は本発明に係わる第1の実施例を示す制御手段のシステムブロック図、図5は本発明に係わる足温浴器の外観斜視図である。
【0015】
図において、本体1には上面が開口した足浴槽2が内蔵されており、耐熱温度が120℃程度のポリプロピレン樹脂等の電気絶縁材料により形成され、使用者の両足を収納するのに適した容積を有している。この足浴槽2には足浴槽2の略中央部の一部に足浴槽2に貯水した水5が流通しない隔壁3を形成して設けられた上面が開口した低温槽4を設けている。この低温槽4は片足を収納するのに適した容積を有している。
【0016】
なお、低温槽4は両足を収納できる容積としてもよい。この場合は両足を同時に温めたり、冷やしたりすることができる。
【0017】
足浴槽2の底面外側及び側面外側には足浴槽2内に注水した水5を加熱するための加熱手段6が取り付けられている。本実施例ではコード状の発熱体で、電熱線をガラス繊維等で構成した芯糸に巻き、シリコンゴム等の電気絶縁材料で被覆してあり、その飽和温度は約100℃になるように設定されている。
【0018】
足浴槽2の底面外側には、足浴槽2内の水温を検知する温度検出手段7が取り付けられている。
【0019】
本体1の上部には温度設定手段8が設けられており、使用者が足浴槽2内の水5の温度を好みの温度に設定することができるとともに、同時に現在の足浴槽2内の水5の温度を表示することができる。
【0020】
本体1の外郭9は、ポリプロピレン樹脂等の電気絶縁材料により成形され、前記足浴槽2,低温槽4及び足浴槽2に設けられた加熱手段6の外側を覆っている。
【0021】
足浴槽2の上面は、耐熱性の樹脂で形成された取り外し可能な外蓋10で覆われている。外蓋10は、低温槽4の上部と足浴槽2に足を入れる部分は開口していて、足浴槽2に足を入れた状態で外蓋10を被せることができるようになっている。
【0022】
足浴槽2の底部には排水口(図示せず)が設けられており、この排水口には加撓性の排水ホース11が接続され外郭9を貫通して外部に導出しており、その先端には止水コックなどの水出口開閉手段12が設けられている。この排水ホース11は排水時には水出口開閉手段12側を下に垂らして足浴槽2内の水5を排水することができ、足温浴時には排水ホース12の先端の水出口開閉手段12を本体1の上部外郭9に設けた保持部13に取り外し自在に引っ掛けて保持される。
【0023】
また、足浴槽2の底部には足浴槽2の水5が低温槽4に流通する連通口14が設けられており、低温槽4の底部に接続されている。
【0024】
低温槽4の底部の連通口14が設けられた開口部15にはバルブ16が設けられており、このバルブ16は使用者が水に手を濡らさないで操作できるように低温槽4の上部から操作できるようになっている。
【0025】
そして、バルブ16を開いた状態にすると、足浴槽2内の水を連通口14を介して低温槽4内に入れることができる。
【0026】
また、バルブ16を開いた状態にしておけば、低温槽4内の水を連通口14を介して足浴槽2内の水5と一緒に排水ホース11により排水することができる。
【0027】
なお、連通口14の断面積を適当な大きさに設定すれば足浴槽2内の水5を短時間で低温槽4内に入れることができる。
【0028】
本体1内には足温浴器の運転制御を行う制御手段17が内蔵されている。制御手段17には、加熱手段6への通電制御を行うヒータ通電制御手段18が設けられており、加熱手段6はヒータ通電制御手段18に接続されている。また、温度検出手段7は、制御手段17の温度調節手段19へ接続されている。
【0029】
温度調節手段19には、温度検出手段7の他に温度設定手段8が接続されており、温度検出手段7が検出した温度の信号と温度設定手段8からの信号を基に足浴槽2内の水5の温度を好みの温度に保つべく加熱手段6への通電率を決定する。決定された通電率の情報はヒータ通電制御手段18へ送られ、その情報に基づき加熱手段6への通電制御を行い足浴槽2内の水5を38℃〜45℃程度に保つように制御している。
【0030】
次に、以上の構成による作用を説明する。
【0031】
足を温めるだけの使用方法としては、バルブ16は閉じた状態にして最初に外蓋10を取り外し、水を足浴槽2内に入れ、その後外蓋10を取り付けて電源を接続し、温度設定手段8を操作して好みの温度に設定する。これにより加熱手段6に通電が開始され、足浴槽2に設けられた温度検出手段7により設定された温度に達すると通電を停止する動作を繰り返し足浴槽2内の水温を一定に保つ。
【0032】
使用者は外蓋10を取り外し、足浴槽2内の湯の中に浴用薬剤を規定量投入し、椅子に腰掛けて足浴槽2内の湯に足を入れ、適当な時間保持することによって湯のエネルギーと浴用薬剤の作用で足の皮膚を通して人体を加温し、血液の流れにより、全身に湯の熱や薬剤の作用を伝えて血行を良くし、疲労回復,健康の維持増進を図る。
【0033】
使い終わって足浴槽2内の水5を排水するときは、浴室などへ本体1を移動させ、排水ホース11を保持部13から取り外し、下に垂らして水出口開閉手段12を開け、足浴槽2内の水5を排水する。
【0034】
次に、足を温めるだけでなく、温めるのと冷やすのを繰り返し行う使い方をする場合は、バルブ16は閉じた状態にして最初に外蓋10を取り外し、水を足浴槽2内に入れ、その後外蓋10を取り付けて電源を接続し、温度設定手段8を操作して好みの温度に設定する。設定湯温に達する前に温度設定手段8の現在の湯温表示を見て、足浴槽2の水5が希望する低温湯温に達したら外蓋10を開け、バルブ16を操作して開くと低温槽4側へ足浴槽2内の温度上昇途中の水が流入するから貯水した後バルブ16を操作して閉じる。なお、予め足浴槽2に入れる水の量は低温槽4の分を見越して充分な量を入れておく。
【0035】
これ以降は前記足を温める使用方法と同様に設定湯温に達したら使用者は外蓋10を取り外して湯の中に浴用薬剤を規定量投入し、椅子に腰掛けて足浴槽2内の湯に足を入れ、適当な時間保持する。足が温まった後、足を低温槽4に移して浸し、更に足浴槽2内の温水へ足を戻して浸しこれを繰り返す。
【0036】
使用後の排水時はバルブ16を開き、前記同様浴室などへ本体1を移動させ、排水ホース11を本体1,外郭9の保持部13から取り外し、下に垂らして水出口開閉手段12を開け、足浴槽2内の水5を排水すると足浴槽2内の温水と一緒に低温槽4内の水が排水される。
【0037】
このように、温水と冷水の切り替えが短時間にでき、労力を要せず、しかも簡単な構成により繰り返し温水と冷水に交互に足を浸すことができ、血行を良くして疲労回復、健康の維持増進を図ることができる。
【実施例2】
【0038】
本発明に係わる足温浴器の第2の実施例を図6,図7を参照して説明する。なお、第1の実施例と同様の箇所は説明を省略する。本実施例では低温槽4の底部の連通口14の開口部15に設けられたバルブ16を電磁バルブで構成したものであり、この電磁バルブ16が制御手段17により自動的に開閉制御されるものである。
【0039】
図6は本発明に係わる第2の実施例を示す制御手段のシステムブロック図である。図において、制御手段17には電磁バルブ制御手段20が設けられ、この電磁バルブ制御手段20には温度設定手段8と、温度検出手段7とが接続されている。また低温槽4に設けられた電磁バルブ16が接続されている。
【0040】
図7は本発明に係わる第2の実施例を示す制御手段の動作フローチャート図である。
【0041】
図7において、第1の実施例と同様に、最初に外蓋10を取り外し、水を足浴槽2内に入れ、その後外蓋10を取り付けて電源を接続した後、ステップ701で温度設定手段8を操作して足浴槽2内の湯温の温度T0と、低温槽4に注水する水の温度(低温温度)T1を設定する。ステップ702では温度検出手段7で検出した温度Tが低温温度T1と一致かそれ以上かを電磁バルブ制御手段20で判定してYESの場合はステップ703で電磁バルブ16に通電して電磁バルブ16を開く。そうすると足浴槽2内の温度上昇途中の水5が連通口14を通して低温槽4内に流入する。ステップ704,705では予め設定してある一定時間(タイマーt時間)経過するのを待って、ステップ706で電磁バルブ16を閉じる。このようにして、自動的に低温槽4内に水を注入する。
【0042】
これ以降は第1の実施例と同様に設定温度T0に達したら使用者は外蓋10を取り外して湯の中に浴用薬剤を規定量投入し、椅子に腰掛けて足浴槽2内の湯に足を入れ、適当な時間保持する。足が温まった後、足を低温槽4に移して浸し、更に足浴槽2内の温水へ足を戻して浸しこれを繰り返す。
【0043】
使用後の排水時は、電磁バルブ制御手段20により電磁バルブ16を開いた状態にし、浴室などへ本体1を移動させ、排水ホース11を本体1,外郭9の保持部13から取り外し、下に垂らして水出口開閉手段12を開け、足浴槽2内の水5を排水すると足浴槽2内の温水と一緒に低温槽4内の水が排水される。
【0044】
このように、足浴槽2の水5が設定した低温湯温に達したら自動的に電磁バルブ16を開き低温槽4側へ足浴槽2内の温度上昇途中の水5を流入させることができるので、手間が掛からず非常に使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係わる足温浴器の正面縦断面図である。
【図2】本発明に係わる第1の実施例を示す外蓋を外した上面図である。
【図3】図2におけるA・A線断面図である。
【図4】本発明に係わる第1の実施例を示す制御手段のシステムブロック図である。
【図5】本発明に係わる足温浴器の外観斜視図である。
【図6】本発明に係わる第2の実施例を示す制御手段のシステムブロック図である。
【図7】本発明に係わる第2の実施例を示す制御手段の動作フローチャート図である。
【図8】従来の一般的な足温浴器の使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
2 足浴槽
3 隔壁
4 低温槽
6 加熱手段
7 温度検出手段
14 連通口
16 バルブ
17 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した足浴槽と、この足浴槽内に貯水された水を加熱する加熱手段と、前記足浴槽の水温を検知する温度検出手段と、この温度検出手段の出力により前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段を備えた足温浴器において、前記足浴槽の略中央部の一部に足浴槽の貯水が流通しない隔壁を形成して低温槽を設けたことを特徴とする足温浴器。
【請求項2】
前記足浴槽の底部と前記低温槽の底部間に連通口と、この連通口を開閉するバルブを設けたことを特徴とする請求項1記載の足温浴器。
【請求項3】
前記バルブは、前記制御手段により自動的に開閉制御されることを特徴とする請求項2記載の足温浴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−394(P2009−394A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165743(P2007−165743)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】