路側通信装置及び信号情報の異常監視の中止方法
【課題】 信号情報の異常監視機能によって不確定制御の場合の信号情報が送信されなくなるのを防止する。
【解決手段】 本発明の路側通信装置(例えば光ビーコン5)は、灯色毎の表示予定時間の格納フィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得する取得部53と、既に取得した信号情報の現在灯色の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた更新情報を生成する更新部551と、新たに取得した信号情報である新規情報の表示予定時間を更新情報の表示予定時間と比較することにより、新規情報に異常があるか否かを監視する異常監視部(灯色比較部552及び判定部553)と、表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御である不確定制御が実行されている場合に、異常監視部による監視処理を中止する監視中止部554とを備える。
【解決手段】 本発明の路側通信装置(例えば光ビーコン5)は、灯色毎の表示予定時間の格納フィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得する取得部53と、既に取得した信号情報の現在灯色の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた更新情報を生成する更新部551と、新たに取得した信号情報である新規情報の表示予定時間を更新情報の表示予定時間と比較することにより、新規情報に異常があるか否かを監視する異常監視部(灯色比較部552及び判定部553)と、表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御である不確定制御が実行されている場合に、異常監視部による監視処理を中止する監視中止部554とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯色毎の表示予定時間を格納するフィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得し、取得した信号情報を車載機その他の外部装置に送信する路側通信装置と、この装置が行う信号情報の異常監視の中止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、交差点の内部やその近傍での交通事故を防止する目的で、交差点に設けられた交通信号機の灯色毎の継続時間(表示予定時間)を含む信号情報を車両に提供し、当該信号情報に基づいて車載装置が交差点の手前で停止すべきか通過可能かを判定し、この判定結果を利用して、車両の速度制御を行ったり、ドライバに対して減速を促したり、或いは注意を喚起したりする安全運転支援システムが既に提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の装置では、例えば、青信号を表示している信号灯器が赤信号になるまでの時間情報を、道路に設けた送信装置から車両に送信する。
そして、その時間情報を受けた車載装置において、当該時間情報とその際の走行速度とに基づいて演算を行い、交差点を安全に通過できる時間がないと判断した場合、つまり、交差点手前で停止すべきと判断した場合に、自動的にブレーキがかかり車両を減速又は停止させる制御を行う。
【0004】
かかる安全運転支援を実現するための路上通信システムは、通常、信号灯器の灯色毎の表示予定時間を記した信号情報を生成する交通信号制御機と、当該信号情報を交通信号制御機から受信して車両側に提供する路上通信装置とを備える。
この場合、交通信号制御機と路上通信装置との間の通信頻度の軽減するため、交通信号制御機から路上通信装置に信号情報を送信する第一周期(例えば10秒)よりも短い第二周期(例えば1秒)毎に路上通信装置が信号情報を更新し、新たな信号情報を取得する次の第二周期が経過するまでの間は、前回取得した信号情報の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた更新情報を、車両側に提供するという方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
一方、ある交差点において「地点感応制御」(端末感応制御ともいう。)を実行する場合がある。この制御は、車両感知器からの感知信号などに基づいて端末の交通信号制御機毎に行う感応制御であり、比較的短時間の交通需要の変化に応じて、例えば青表示の開始時点や終了時点を決定し、青時間長やサイクル長などを動的に変化させるものである。
かかる地点感応制御を実行する交通信号制御機は、地点感応制御の種別毎に予め定められた所定の感応幅(地点感応制御を実行する時間範囲)の範囲内において、交通状況に応じた適切なタイミングで所定の灯色の打ち切り又は延長を行う。
【0006】
この場合、交通信号制御機は、地点感応制御によって表示の打ち切り又は延長を行う灯色の表示予定時間を、確定値ではないがある程度の幅のある時間情報として車両側に提供するため、その灯色の最大時間と最小時間の格納フィールドに感応幅分だけ異なる値を格納した信号情報を生成する(例えば、特許文献3参照)。
これに対して、地点感応制御を行わず中央装置が定めた信号制御指令に従う通常の交通信号制御(以下、単に「通常制御」ということがある。)の場合は、各灯色の表示予定時間が1つの値に確定しているので、交通信号制御機は、各灯色の最大時間と最小時間の格納フィールドに1つの確定値を格納した信号情報を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【特許文献2】特開2008−152680号公報
【特許文献3】特開2010−146133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載の方法によれば、交通信号制御機と路上通信装置との間の通信頻度を少なく設定した場合でも、信号情報をよりきめ細かい情報(1秒単位の情報)として車両側に提供できるという利点がある。
しかし、信号情報の情報元装置である交通信号制御機が、何らかの原因で表示予定時間に誤りのある信号情報を生成したり、不測の通信遅延等のために、路上通信装置が信号情報を受信した時点では既に現在灯色の表示予定時間が狂っていたりすることがあり得る。
【0009】
このようなデータ内容に誤りのある異常な信号情報を無条件に採用して車両側に送信すると、車両側での安全運転支援に支障が生じるおそれがある。
そこで、例えば、路上通信装置において、新たに取得した信号情報(以下、「新規情報」ということがある。)の表示予定時間を更新情報のそれと比較し、新規情報の表示予定時間が更新情報のそれと比べて異常値を示す場合は、新規情報を車両側に提供しないようにする異常監視を行うことが考えられる。
【0010】
ところが、交通信号制御機が生成する信号情報において、地点感応制御によって可変となる灯色の最大時間と最小時間の格納フィールドに着目すると、上述の通り、この両フィールドに格納する時間値は、通常制御では1つの確定値に統一されるが、地点感応制御では、ある程度の幅がある不確定な時間情報を表すために感応幅分だけ異なる値が格納されるようになっている。
【0011】
従って、ある交差点での交通信号制御が、通常制御から地点感応制御に切り替わる場合に、通常制御の実行中に行っていた異常監視を路上通信装置がそのまま継続して行うと、地点感応制御に切り替わった後に受信した新規情報を路上通信装置がすべて異常ありと判定してしまい、地点感応制御に移行した後に交通信号制御機が生成した正しい信号情報が、路上通信装置にとどまって車両側に送信されない時間帯が長く継続するという問題がある。
【0012】
また、交通信号制御機が行う現示制御として、特定方向の道路に対して「黄点滅」や「赤点滅」を継続させる「閃光現示」の場合がある。この場合、交通信号制御機は、「黄点滅」や「赤点滅」以外の灯色情報がなく、「黄点滅」や「赤点滅」の最大時間と最小時間の格納フィールドに、時間値が不明であることを示すために規定上の最大ビット値を格納した信号情報を生成する。
このため、通常制御を実行中に生成される信号情報と、閃光制御を実行中に生成される信号情報とでは、そもそも灯色変化数やその他のデータ内容が大幅に異なる。
【0013】
従って、ある交差点での交通信号制御が、通常制御から閃光現示に切り替わる場合においても、通常制御の実行中に行っていた異常監視を路上通信装置がそのまま継続して行うと、閃光現示に切り替わった後に受信した新規情報を路上通信装置がすべて異常ありと判定してしまい、閃光制御に移行した後に交通信号制御機が生成する正しい信号情報が、路上通信装置にとどまって車両側に送信されない時間帯が長く継続することになる。
【0014】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、例えば地点感応制御や閃光現示のような、表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御(以下、「不確定制御」ということがある。)が実行された場合に、信号情報の異常監視機能によって不確定制御の場合の信号情報が送信されなくなるのを未然に防止できる路側通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1) 本発明の路側通信装置は、灯色毎の表示予定時間の格納フィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得する取得部と、既に取得した前記信号情報の現在灯色の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた更新情報を生成する更新部と、新たに取得した前記信号情報である新規情報の表示予定時間を前記更新情報の表示予定時間と比較することにより、前記新規情報に異常があるか否かを監視する異常監視部と、前記表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御である不確定制御が実行されている場合に、前記異常監視部による監視処理を中止する監視中止部と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明の路側通信装置によれば、新規情報の表示予定時間を更新情報のそれと比較することで新規情報の異常を監視する異常監視部を有する路側通信装置において、上記不確定制御(例えば、地点感応制御や閃光現示)が実行されている場合に、異常監視部による監視処理を中止する監視中止部を設けたので、交通信号制御が通常制御から不確定制御に移行した場合には異常監視部による監視処理が中止される。
このため、交通信号制御機が不確定制御を実行しても、路側通信装置による信号情報の異常監視機能によって不確定制御の場合の信号情報が送信されなくなるのを未然に防止することができる。
【0017】
(2) ところで、交通信号制御機側の不確定制御の実行如何を路側通信装置の監視中止部が検出できるようにするには、例えば、交通信号制御機が実行中の交通信号制御の種別を、交通信号制御機から逐次取得する信号情報から察知できるようにすればよい。
この点、上述の通り、交通信号制御機が地点感応制御を実行する場合には、灯色の最大時間と最小時間の格納フィールドに感応幅分だけ異なる値を格納した信号情報が生成されるので、その最大時間と最小時間の格納フィールドの時間値に差がある信号情報が到来すれば、交通信号制御機が地点感応制御に移行したと判断することができる。
【0018】
そこで、本発明の路側通信装置において、前記信号情報が、1つの灯色の前記表示予定時間の格納フィールドとして最大時間と最小時間の格納フィールドを有する場合には、前記監視中止部は、前記新規情報に含まれる前記最大時間と前記最小時間の格納フィールドに記された時間値の差分が0より大きい場合に、前記不確定制御の一種である地点感応制御が実行されていると判定することができる。
【0019】
(3) また、例えば、地点感応制御の場合に路側通信装置が一律にカウントダウン処理を実行することによる信号情報の正確性の低下を防止するため、更新部によるカウントダウン処理の停止要求のための格納フィールドを信号情報に含める場合がある(特許文献3の段落0047〜0051、段落0055参照)。
【0020】
そこで、本発明の路側通信装置において、前記信号情報が、前記更新部によるカウントダウン処理の停止要求のための格納フィールドを有する場合には、前記監視中止部は、前記新規情報に含まれる前記停止要求のための格納フィールドにカウントダウン処理の停止指令が格納されている場合に、前記不確定制御の一種である地点感応制御が実行されていると判定することにしてもよい。
【0021】
(4) また、上述の通り、閃光現示の場合には、「黄点滅」や「赤点滅」の最大時間や最小時間の格納フィールドに時間値が不明であることを示す情報(例えば、規定上の最大ビット値)が格納される。
そこで、本発明の路側通信装置において、前記信号情報が、1つの灯色の前記表示予定時間の格納フィールドとして最大時間と最小時間の格納フィールドを有する場合には、前記監視中止部は、前記最大時間と前記最小時間の格納フィールドのうちのいずれか一方に時間値が不明であることを示す情報が格納されている場合に、前記不確定制御の一種である閃光現示が実行されていると判定することができる。
【0022】
(5) 本発明に係る信号情報の異常監視の中止方法は、新たに取得した新規情報と過去に取得した信号情報を更新した更新情報とを対比して異常監視を行う、本発明の路側通信装置が行う中止方法であって、本発明の路側通信装置と実質的に同じ構成を備える。
このため、本発明に係る信号情報の異常監視の中止方法は、本発明の路側通信装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0023】
以上の通り、本発明によれば、不確定制御が実行されている場合に新規情報に対する異常監視を中止するようにしたので、交通信号制御が通常制御から不確定制御に移行された場合に、路側通信装置による信号情報の異常監視機能によって車両側に信号情報が送信されなくなるのを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】情報中継システムの一例を示す模式図である。
【図2】信号情報のフォーマット例を示す図である。
【図3】情報中継装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】情報中継システムでの情報の処理手順を示すタイムチャートである。
【図5】光ビーコンの構成の一例を示すブロック図である。
【図6】光ビーコンの制御部が行う異常判定処理を示すフローチャートである。
【図7】新規情報と更新情報の間で生じるタイムラグのバリエーションを示すタイムチャートである。
【図8】図7(a)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
【図9】図7(b)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
【図10】図7(c)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
【図11】制御部の監視中止部が行う異常監視の中止処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る路側通信装置(例えば、光ビーコン5)とこれを用いた情報中継システムの実施形態を説明する。
〔情報中継システム〕
図1は情報中継システムの一例を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態の情報中継システムは、情報中継装置1、情報元装置の一例としての交通信号制御機2、情報元装置の一例としての画像式の車両感知器4、路側通信装置としての光ビーコン5、及び、中央装置8などを備えている。
【0026】
なお、図1に示す各装置の数や設置場所はあくまでも一例であって、本発明の路側通信装置を含む情報中継システムが図1の構成に限定されるものではない。
図1の例では、交差点付近に2つの車両感知器4A,4Bが設置され、交差点に向かう同じ流入道路に2つの光ビーコン5A,5Bが設置されている。なお、本明細書においては、車両感知器の共通事項の場合は共通符号「4」を用い、車両感知器ごとに相違する個別事項の場合は符号「4A」「4B」を用いて両者を区別する。光ビーコンについても同様である。
【0027】
中央装置8は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)を含んでおり、情報中継装置1等から取得した各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
また、中央装置8は、自身のネットワークに属する交通信号制御機2について、同一道路上の交通信号機群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
【0028】
すなわち、中央装置8は、交通状況に応じて信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセット等)を設定する中央感応制御を行うことができ、この中央感応制御には、例えば、MODERATO制御やプロファイル制御等の複数種類のものが含まれる。
従って、中央装置8は、所定時間毎(例えば2.5分毎)に上記系統制御(面制御を含む。)を行って、各交差点の信号灯器3の灯色切り替えタイミングに関する信号制御指令を生成する。
【0029】
また、中央装置8は、各交差点で実施する信号制御の種別(端末感応制御や定周期制御の種別)を示す制御種別情報を所定時間毎(例えば5分毎)に生成し、上記信号制御指令と制御種別情報を、それぞれ所定時間毎に交通信号制御機2に送信する。
なお、中央装置8は、VICS(Vehicle Information and Communication System:「VICS」は登録商標)センターから取得したVICS情報を定期的に取得し、これに含まれる渋滞、事故及び交通規制等に関する交通情報を、情報中継装置2に送信する。
【0030】
図1に示すように、交差点の四隅付近には信号灯器3が設置されている。各信号灯器3は交通信号制御機2により制御される。
交通信号制御機2は、中央装置8から受信した信号制御指令に含まれる灯色切替タイミングに基づいて、所定時間(例えば1秒)毎に「信号情報」(図2参照)を生成し、これを外部に送信することができる。この信号情報は、例えば、各信号灯器3の現在ステップにおける残りの表示予定時間(残秒数)や、将来ステップにおける表示時間(例えば2サイクル分)などの情報で構成される。
【0031】
交差点付近には、画像式の車両感知器4が設置されている。この車両感知器4は交差点に繋がる道路の所要領域や交差点内の領域である、感知領域40に存在する車両や歩行者等を検知することができる。
車両感知器4は、車両の存在、感知領域40に存在する車両の台数、車両の位置及び速度、車種、感知後の経過時間などの「車両感知情報」を生成し、これを外部に送信することができる。
【0032】
図1に示す2つの車両感知器4A,4Bのうち、車両感知器4Aは、交差点を矢印X方向に流入する道路(以下、単に「流入道路」ということがある。)における、渋滞長や交通量を検出するためのものである。
また、車両感知器4Bは、上記流入道路を走行して交差点に進入する車両から見た、対向直進車両の位置と速度等を検出するためのものである。対向直進車両の位置と速度は、例えば右直事故を防止する安全運転支援を行う場合に役立つ情報である。
なお、車両感知器4は、画像式に限定されるものではなく、超音波式など他の方式のものでもよい。
【0033】
上述の流入道路には光ビーコン5が設置されている。この光ビーコン5は、通信領域50において車載機7と赤外光を用いた双方向通信を行う。従って、光ビーコン5を経由して、情報提供サービスに応じた所要の情報を含むダウンリンク情報を、通信領域50を通過する車両の車載機7に向けて送信することができる。
また、光ビーコン5は、通信領域50を通過する車両の車載機7から、旅行時間やプローブデータなどを含むアップリンク情報を受信することができる。
【0034】
図1に示す2つの光ビーコン5A,5Bのうち、交差点から上流側に適長距離だけ離れた光ビーコン5Aは、主に車両感知器4Aの感知情報を車載機7に伝送するために設置されたものである。また、交差点近傍の光ビーコン5Bは、主に車両感知器4Bの感知情報を車載機7に伝送するために設置されたものである。
なお、光ビーコン5に代えて、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、狭域の無線LAN通信装置などを用いることもできる。
【0035】
情報中継装置1は、交差点付近の適宜の場所に設置されている。情報中継装置1は、交通管制センター等に設置された中央装置8、交通信号制御機2、車両感知器4及び光ビーコン5と所定のインタフェース規格で接続されている。
なお、情報中継装置1は、図1に示すように、他装置と別体であってもよいが、交通信号制御機2や光ビーコン5に内蔵する一体型の装置であってもよい。
【0036】
情報中継装置1は、中央装置8、交通信号制御機2及び車両感知器4などが出力する各種の情報を、情報提供サービスの内容に応じて中継する。すなわち、光ビーコン5は、自身に設定された情報提供サービスに必要な情報を、情報報中継装置1を経由して情報元装置から取得し、取得した情報を車載機7に送信する。
また、情報中継装置1は、光ビーコン5が有線インタフェース側に送信する情報を、中央装置8や交通信号制御機2などに中継する。
【0037】
〔信号情報のデータフォーマット〕
図2は信号情報のフォーマット例を示す図である。なお、図2の例では、1つの流入道路の通行権を定める1つの信号灯器3の信号情報のデータフォーマットを示している。
図2において、それぞれのフィールドに格納可能なレコードのデータ長は1又は2バイトとなっている。
「バージョン情報」は格納情報のバージョンを示し、バージョンが未定や不明の場合にはフルビットが格納される。「データ長」は次のフィールド以降の実データ長を示す。
【0038】
「総灯器数(J)」は灯色とその変化タイミングとが共通するグループの数を示し、「灯色変化数(K)」は当該灯器における、現サイクルと次サイクルにおける信号灯色の出力変化数を示す。
「灯色情報(1)」は現在の信号灯色の情報を示し、「灯色情報(2)」は2番目の信号灯色の情報を示す。「丸信号灯色表示」は当該灯色情報における丸灯の灯色を示し、ここの格納される灯色データ値には、「0:不明」「1:青」「2:黄」「3:赤」「4:黄点滅」「5:赤点滅」「6:滅灯」の7種類がある。
【0039】
「青矢信号表示方向」は青矢灯器の通行許可方向を表し、この許可方向を表すデータ値には、「bit7:左斜め後」「bit6:左」「bit5:左斜め前」「bit4:直進」「bit3:右斜め前」「bit2:右」「bit1:右斜め後」「bit0:Uターン」の8方向がある。当該灯色が青矢灯器でない場合は「0」が格納される。
「最小残秒数」(最小時間)は当該灯色の予定継続の最小秒数(0.1秒単位:0.0〜240.0秒)を記すための格納フィールドである。このフィールドには、残秒数が確定している場合は確定秒数が格納され、残秒数が可変の場合は最小残秒数が格納される。
【0040】
「最大残秒数」(最大時間)は当該灯色の予定継続の最大秒数(0.1秒単位:0.0〜240.0秒)を記すための格納フィールドである。このフィールドには、残秒数が確定している場合は確定秒数が格納され、残秒数が可変の場合は最大残秒数が格納される。
従って、これらの残秒数のフィールドに格納される値は、現サイクルにおける信号灯器3の灯色毎の表示予定時間を表している。なお、本明細書では、単に「残秒数」というときは、「最小残秒数」と「最大残秒数」の双方を含むものとする。
【0041】
図2において灯色情報(1)に設定されている「最小保証時間」は、後述の光ビーコン5の更新部551が行うカウントダウン処理において、「最小残秒数」に対してカウントダウン可能な最小値を記すための格納フィールドである。
このため、更新部551は、最小保証時間の格納フィールドに時間値が記された灯色情報の場合には、その時間値を下回る値に「最小残秒数」の値を更新することはない。これにより、後述する地点感応制御の実行中に、「最小残秒数」が必要以上にカウントダウンされることによって更新情報が不正確になるのを未然に防止することができる。
【0042】
なお、図2には示していないが、例えば信号情報に新たなフラグフィールドを設け、このフィールドのフラグ情報がオンの場合である場合に、更新部551がカウントダウン処理を即座に停止するという規約を採用することにしてもよい。
従って、図2に示す「最小保証時間」の格納フィールドや、受信と同時にカウントダウン処理を停止させる上記フラグフィールドは、いずれも、更新部551によるカウントダウン処理の停止要求を行うための格納フィールドである。
【0043】
上述の通り、最小保証時間や上記フラグフィールドは、地点感応制御の実行中に発生し得る信号情報の正確性の低下を防止するためのものである。
従って、光ビーコン5が受信した信号情報中の最小保証時間の格納フィールドに所定値(カウントダウン処理の停止指令)が記されていたり、上記フラグフィールドに記されたフラグ情報がオン(カウントダウン処理の停止指令)であったりする場合には、交通信号制御機2が地点感応制御を実行中であると判断することができる。
【0044】
〔交通信号制御機による地点感応制御〕
本実施形態の交通信号制御機2は、1又は複数種類の「地点感応制御」を行うことができる。交通信号制御機2は、中央装置4の制御種別情報が地点感応制御を許容している場合に当該地点感応制御を実行する。
上記地点感応制御の例としては、例えば、右折感応制御、ジレンマ感応制御、高速感応制御、バス感応制御、簡易半感応制御などがある。
【0045】
このうち、「右折感応制御」は、右折車の溢流による直線車線の閉塞を防止するとともに、右折矢印の無駄な青時間を排除することを目的として、右折専用車線の交通需要に見合う青矢印表示時間となるように調整するものである。
「ジレンマ感応制御」は、黄信号表示後の追突事故や出会い頭事故の危険性を減少させることを目的として、交差点手前のジレンマゾーン又はオプションゾーンに車両が存在しない時点で青信号を打ち切るものである。
【0046】
「高速感応制御」は、高速走行を抑止して速度超過による事故を減少させることを目的として、流入道路を走行中の高速車両を検出したとき、赤信号で停止させるように青短縮又は赤延長を行うものである。
「バス感応制御」は、公共車であるバスに対して、信号待ち時間を減少させて優先通行をはかることを目的として、流入道路を走行中のバスを感知したとき、停止時間を減少させるように青延長又は赤短縮を行うものである。
【0047】
「簡易半感応制御」は、従道路交通があるときだけ従道路に通行権を与えることで、主道路交通の不要な停止をなくすことを目的として、通常は主道路に通行権を与え、従道路の車両又は歩行者を感知したときに従道路に通行権を与えるものである。
交通信号制御機2は、地点感応制御を実行する場合、その種別毎に設定された所定の感応幅の範囲内において、交通状況に応じた適切なタイミングで所定の灯色の打ち切り又は延長を決定する。
【0048】
また、交通信号制御機2は、表示の打ち切り又は延長を行う灯色の表示予定時間を、確定はしていないがある程度の幅のある時間情報として車両側に提供するため、その灯色の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに、感応幅分だけ異なる値を格納した信号情報を生成する。
一方、交通信号制御機2は、中央装置8が定めた信号制御指令に従う通常制御を行う場合には、各灯色の表示予定時間が1つの値に確定していることから、各灯色の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに確定した同じ値を格納する。
【0049】
従って、受信した信号情報に含まれる複数の灯色情報のうち、「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに異なる値が記された灯色情報がある場合は、交通信号制御機2が地点感応制御を実行中であると判断でき、すべての灯色情報について「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに同じ値が格納されている場合には、交通信号制御機2が通常制御を実行中であると判断することができる。
【0050】
本実施形態の交通信号制御機2は、特定方向の道路に対して「黄点滅」や「赤点滅」を長時間継続させる「閃光現示」を行うこともできる。この場合、交通信号制御機2は、「黄点滅」や「赤点滅」以外の灯色情報がなく、「黄点滅」や「赤点滅」の最大時間と最小時間のフィールドに、表示予定時間が不明であることを示す規定上のフルビットの値を格納した信号情報を生成する。
従って、受信した信号情報中の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドにフルビットが格納されている場合には、交通信号制御機2が閃光現示を実行中であると判断することができる。
【0051】
〔情報中継装置の構成〕
図3は情報中継装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の情報中継装置1は、第1インタフェース部11、第2インタフェース部12、中継部13、情報中継装置1全体を制御する制御部10、記憶部14などを備えている。
【0052】
第1インタフェース部11は、情報元装置としての中央装置8、車両感知器4及び交通信号制御機2との間の通信機能を有する。第2インタフェース部12は、路側通信装置としての光ビーコン5との間の通信機能を有する。
中継部13は、第1インタフェース部11及び第2インタフェース部12を経由して送受される情報を中継する。具体的には、中継部13は、制御部10の制御の下、例えば、車両感知器4A,4Bや交通信号制御機2から受信した動的情報を、いずれの光ビーコン5A,5Bへ送出するかを決定する。
【0053】
記憶部14は、制御部10が実行する各種の中継用プログラムの他、光ビーコン5A,5B毎に定めた情報提供サービスに応じて、情報元装置である交通信号制御機2及び各車両感知器4A,4Bと、その情報を車載機7に提供する光ビーコン5A,5Bとの間の中継ルートを関連付けたサービステーブル(図示せず)を記憶している。
制御部10は、上記サービステーブルに基づいて、情報元装置である交通信号制御機2や車両感知器4A,4Bが送出した情報の中継先を中継部13に指示する。
【0054】
なお、本実施形態では、車両感知器4Aから送出された車両感知情報は、中継部13を経由して光ビーコン5Aへ伝送され、車両感知器4Bから送出された車両感知情報は、中継部13を経由して光ビーコン5Bへ伝送されるようになっている。
また、交通信号制御機2から送出された信号情報は、中継部13を経由して双方の光ビーコン5A,5Bへ送出されるようになっている。
【0055】
〔情報中継システムでの情報処理手順〕
図4は情報中継システムでの情報の処理手順を示すタイムチャートである。
図4に示すように、まず、P1において、中央装置8が「信号制御指令」を交通信号制御機2へ送信する。
P2において、交通信号制御機2は、受信した信号制御指令に基づいて信号灯器3毎の「信号情報」を生成し、P3において、生成した信号情報を情報中継装置1へ送信する。なお、信号情報の送信は所定の時間間隔(例えば、1秒経過の都度)で行われる。
【0056】
P4において、情報中継装置1は、取得した信号情報に対して適宜編集等を行う。P5において、情報中継装置1は、自装置のサービステーブルを参照して、取得した信号情報を、これを必要とする光ビーコン5に中継する。
本実施形態では、光ビーコン5A,5Bはいずれも交通信号制御機2からの信号情報を必要とするので、信号情報は双方の光ビーコン5A,5Bに送信される。P6では、光ビーコン5は、取得した信号情報を車載機7へ送信する。
【0057】
P7では、車両感知器4が「車両感知情報」を中継装置1へ送信する。P8において、情報中継装置1は、車両感知器4から取得した車両感知情報に対して適宜編集等を行う。
P9では、情報中継装置1は、取得した車両感知情報を必要とする情報提供サービスを行う光ビーコン5に対して、当該車両感知情報を中継する。
【0058】
本実施形態では、光ビーコン5Aが車両感知器4Aからの車両感知情報を必要とするので、当該車両感知器4Aの車両感知情報は光ビーコン5Aに送信される。
また、光ビーコン5Bが車両感知器4Bからの車両感知情報を必要とするので、当該車両感知器4Bの車両感知情報は光ビーコン5Bに送信される。P10では、光ビーコン5は、取得した車両感知情報を車載機7へ送信する。
【0059】
車両感知器4からの車両感知情報の送出は、例えば、200m秒経過の都度行うことができる。すなわち、図4のP11〜P14において、P7〜P10と同様の処理が行われ、以降同様の処理が、例えば200m秒経過の都度繰り返される。
また、P15〜P18において、P3〜P6と同様の処理が行われ、以降同様の処理が、例えば1秒経過の都度(通常制御の場合)繰り返される。
なお、交通信号制御機2は、地点感応制御を実行中の場合には、信号情報の生成及び送信を、例えば0.5秒未満のより速いサイクルで行う。
【0060】
〔光ビーコンの構成〕
図5は光ビーコン5の構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、光ビーコン5は、ビーコン制御機51と1又は複数のビーコンヘッド52とから構成されている。ビーコン制御機51は、中継側インタフェース部53、ヘッド側インタフェース部54、制御部55及び記憶部56などを備えている。
中継側インタフェース部53は、情報中継装置1との間の通信機能を有する。また、ヘッド側インタフェース部54は、車線毎に設けられたビーコンヘッド52との間の通信機能を有する。
【0061】
ビーコンヘッド52は、道路上に架設した梁に車線毎に設置されており、発光ダイオード等からなる発光素子と、フォトダイオード等からなる受光素子とを筐体内に格納することによって構成されている。
発光素子は、光信号よりなるダウンリンク情報を通信領域50内の車載機7に送出し、受光素子は光信号よりなるアップリンク情報を通信領域50内の車載機7から受光する。
【0062】
ビーコン制御機51の制御部55は、更新部551、灯色比較部552、判定部553及び監視中止部554を備える。
このうち、更新部551は、中継側インタフェース部53が取得した信号情報の「カウントダウン処理」を実行する。この処理は、取得した信号情報の「現在灯色」の残秒数(すなわち最小残秒数と最大残秒数の双方)を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた「更新情報」を生成し、信号情報のデータ内容をほぼリアルタイム値に更新する処理のことをいう。
【0063】
このカウントダウン処理では、信号情報が更新部551に入力された時点から、信号情報の受信間隔(本実施形態では1秒)より十分短い所定周期(例えば100m秒周期)で残秒数がカウントされる。
従って、例えば図2に示す信号情報において、信号情報の入力時点で灯色情報(1)の「最小残秒数」と「最大残秒数」が「100」(=10.0秒)であったとすると、0.8秒経過後の更新情報では、灯色情報(1)の「最小残秒数」と「最大残秒数」は「92」(=9.2秒)となる。
【0064】
本実施形態の更新部551は、信号灯色(1)に対するカウントダウン処理によってその最大残秒数が「0」になると、信号灯色(1)と同じ灯色データ値でかつ残秒数が0の「前回灯色情報」を生成し、これを記憶部56に記憶させ、次の灯色に対するカウントダウンを継続する「繰り上げ処理」を行う。
すなわち、例えば図2に示す信号情報において、灯色情報(1)の残秒数をカウントダウンしてそれが「0」になると、その灯色情報(1)が「前回灯色情報」(残秒数=0)となり、次の灯色情報(2)が灯色情報(1)に繰り上がってその残秒数が所定周期でカウントダウンされる。
【0065】
そして、3番目以降の灯色情報(i)(i≧3)については、それぞれ残秒数がそのままの状態で灯色情報(i−1)に繰り上がる。
なお、本実施形態では、この繰り上げ処理によって生成される「前回灯色情報」も、「更新情報」に含まれるものとする。
また、前述の通り、更新部551は、「最小保証時間」(図2参照)を含む信号灯色の場合には、そのフィールドに格納された値を下回る値に「最小残秒数」の値を更新することはない。
【0066】
灯色比較部552は、中継側インタフェース部53が新たに取得した信号情報(以下、「新規情報」という。)の灯色と、既に取得された信号情報をカウントダウン処理した「更新情報」の灯色との比較を行う。この比較には、次の(x)〜(z)で定義される3種類の比較が含まれる。
【0067】
(x) 第1比較:新規情報の現在灯色(信号情報(1)の値)が更新情報の「現在灯色」(信号情報(1)の値)と一致するか否かの比較
(y) 第2比較:新規情報の現在灯色(信号情報(1)の値)が更新情報の「次回灯色」(信号情報(2)の値)と一致するか否かの比較
(z) 第3比較:新規情報の現在灯色(信号情報(1)の値)が更新情報の「前回灯色」(前回信号情報の灯色)と一致するか否かの比較
【0068】
そして、灯色比較部552は、上記第1比較、第2比較及び第3比較のうちのいずれが肯定的であるかを探索する。例えば、灯色比較部552は、第1比較の結果が否定的である場合には第2比較を実行し、第2比較の結果が否定的である場合には更に第3比較を実行するという順序で探索を行い(図6のステップST2,ST3,ST8参照)、その探索結果を判定部553に出力する。
なお、灯色比較部552は、第1、第2及び第3比較の結果がすべて否定的である場合には、新規情報を異常と判定する。その理由は、第1、第2及び第3比較の結果がすべて否定的である場合には、新規情報に含まれるいずれかの灯色の残秒数に誤りがある可能性が高いと考えられるからである。
【0069】
一方、判定部553は、灯色比較部552による探索において第1比較、第2比較又は第3比較の結果のいずれかが肯定的である場合に、その比較において一致するとされた灯色間で生じるタイムラグが、所定の閾値Th(例えば500m秒)以下であるか否かを判定する。
具体的には、判定部553は、第1比較の結果が肯定的である場合には、第1比較で一致するとされた、新規情報の現在灯色と更新情報の「現在灯色」との間で生じるタイムラグが閾値Th以下の場合に新規情報を正常と判定し、超える場合は新規情報を異常と判定する。
【0070】
また、判定部553は、第2比較の結果が肯定的である場合には、第2比較で一致するとされた、新規情報の現在灯色と更新情報の「次回灯色」との間で生じるタイムラグが閾値Th以下の場合に新規情報を正常と判定し、超える場合は新規情報を異常と判定する。
更に、判定部553は、第3比較の結果が肯定的である場合には、第3比較で一致するとされた、新規情報の現在灯色と更新情報の「前回灯色」との間で生じるタイムラグが閾値Th以下の場合に新規情報を正常と判定し、超える場合は新規情報を異常と判定する。
【0071】
このように、制御部55中の灯色比較部552と判定部553は、新規情報の表示予定時間(残秒数)を更新情報の表示予定時間(残秒数)と比較することにより、新規情報に異常があるか否かを監視する「異常監視部」を構成している。
監視中止部554は、残秒数が不確定な灯色を含む信号制御である、地点感応制御や閃光現示などの不確定制御の実行を検出した場合に、上記異常監視部による監視処理をスキップする。なお、監視中止部554による中止処理(図11)については後述する。
【0072】
ビーコン制御機51の記憶部56は、上記各機能を制御部55の各部で実行するためのコンピュータプログラムの格納領域と、中継側インタフェース部53が取得した情報を一時的に記憶するデータ記憶領域とを有する。
このデータ記憶領域には、新たに取得した信号情報である「新規情報」の記憶領域と、更新部551による更新対象となる「更新情報」の記憶領域などが含まれる。
【0073】
〔光ビーコンによる異常判定処理〕
図6は光ビーコン5の制御部55が行う異常判定処理を示すフローチャートである。
なお、この異常判定処理は、ほぼ1秒毎に送信される信号情報の受信と同時に、カウントダウン周期(100m秒)未満の短い処理時間で行われる。
図6中の点Bは、異常判定処理を実行するかスキップするかの分岐点である。制御部55は、監視中止部554が実行信号を出力した場合には、ステップST2に移行して異常判定処理を行うが、監視中止部554がスキップ信号を出力した場合には、図6に波線で示す通り異常判定処理を行わずに終了する。
【0074】
なお、以下の説明では、交通信号制御機2が通常制御を実行中であるため、監視中止部554が実行信号を出力したと仮定して、制御部55が行う異常判定処理を説明する。
図6に示すように、制御部55は、信号情報を受信したか否かを繰り返し判定し(ステップST1)、受信した場合には、新たに受信した新規情報の現在灯色(灯色情報(1))が更新情報の「現在灯色」と一致するか否かの判定(第1比較)を行う(ステップST2)。
【0075】
制御部55は、上記第1比較の結果が「一致」の場合には、一致した灯色間のタイムラグを算出し(ステップST3)、算出したタイムラグが閾値Th以下であるか否かを判定する(ステップST4)。
制御部55は、上記判定の結果、算出したタイムラグが閾値Th以下の場合には、新規情報を正常と判定し(ステップST11)、閾値Thを超える場合には、新規情報を異常と判定する(ステップST12)。
【0076】
制御部55は、上記第1比較の結果が「不一致」の場合には、新規情報の現在灯色(灯色情報(1))が更新情報の「次回灯色」(信号情報(2))と一致するか否かの判定(第2比較)を行う(ステップST5)。
【0077】
制御部55は、上記第2比較の結果が「一致」の場合には、一致した灯色間のタイムラグを算出し(ステップST6)、算出したタイムラグが閾値Th以下であるか否かを判定する(ステップST7)。
制御部55は、上記判定の結果、算出したタイムラグが閾値Th以下の場合には、新規情報を正常と判定し(ステップST11)、閾値Thを超える場合には、新規情報を異常と判定する(ステップST12)。
【0078】
制御部55は、上記第2比較の結果が「不一致」の場合には、新規情報の現在灯色(灯色情報(3))が更新情報の「前回灯色」(前回灯色情報の灯色)と一致するか否かの第3比較を行う(ステップST8)。
【0079】
制御部55は、上記第3比較の結果が「一致」の場合には、一致した灯色間のタイムラグを算出し(ステップST9)、算出したタイムラグが閾値Th以下であるか否かを判定する(ステップST10)。
制御部55は、上記判定の結果、算出したタイムラグが閾値Th以下の場合には、新規情報を正常と判定し(ステップST11)、閾値Thを超える場合には、新規情報を異常と判定する(ステップST12)。
【0080】
光ビーコン5の制御部55は、正常と判定された新規情報については、これを記憶部56の更新情報の記憶領域に取り込んで、既存の更新情報と入れ替える。
一方、制御部55は、異常と判定された新規情報の場合も、破棄せずに記憶部56の更新情報の記憶領域に取り込むが、その新規情報を、車載機7へのダウンリンク情報に格納する提供用情報としては指定しない。これにより、残秒数等のデータ内容に誤りのある異常な信号情報が車載機7に渡るのを未然に防止することができる。
【0081】
なお、図6に示す異常判定処理を示すフローチャートにおいて、ステップST2〜ST4までの処理と、ステップST5〜ST7までの処理と、ステップST8〜ST10までの処理の順序を入れ替えるようにしてもよい。
すなわち、灯色比較部552が行う探索順序である、第1比較(ステップST2)、第2比較(ステップST5)及び第3比較(ステップST5)の実行順序は、その順列数分のバリエーションで任意に入れ替えることができる。
【0082】
もっとも、「第2比較」と「第3比較」が肯定的となるケースは、後述の図7(b)や図7(c)に示すような比較的レアなケースであり、通常は、現在灯色同士を比較する「第1比較」が肯定的になる可能性が非常に高いと考えられるので、新規情報の異常判定処理に要する平均的な処理時間をできるだけ短くするという観点からすれば、図6に示すように、第1比較(ステップST2)を最初に実行することが好ましい。
【0083】
〔タイムラグの算出方法の具体例〕
次に、図7〜図10を参照しつつ、上述の異常判定処理(図6)における、一致した灯色間の「タイムラグ」の算出方法(図6のステップST3,ST6,ST9)の具体例について説明する。
【0084】
図7は新規情報と更新情報の間で生じるタイムラグのバリエーションを示すタイムチャートである。
図7において、時点tcは制御部55(灯色比較部552)による両情報のデータの比較時点を示し、Δt(例えば0.4秒)は両情報間に実際に生じたタイムラグの大きさであるとする。
なお、本実施形態では閾値Th=500m秒であるから、図7(a)〜(c)に示す各例では、いずれも新規情報が正常と判定される。
【0085】
図7(a)〜(c)のうち、図7(a)は比較時点tcでの両情報の現在灯色が一致する場合である。
図7(b)は、更新情報が新規情報よりΔtだけ遅れているため、比較時点tcが、新規情報の青から黄への灯色切り替わり時点と、更新情報の青から黄への灯色切り替わり時点との間に挟まれている場合を示す。
図7(c)は、更新情報が新規情報よりΔtだけ進んでいるため、比較時点tcが、更新情報の青から黄への灯色切り替わり時点と、新規情報の青から黄への灯色切り替わり時点との間に挟まれている場合を示す。
【0086】
図8は図7(a)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
図9は図7(b)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
図10は図7(c)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
【0087】
図8〜図10において、ハッチングを施した部分は現在灯色(灯色情報(1))のデータ部分を示す。
3つの矢印は、それぞれ前記第1〜第3比較を行うデータの対応関係を示し、実線の矢印は当該比較の結果が肯定的であることを示している。他方、破線の矢印は当該比較の結果が否定的であることを示している。
【0088】
図7(a)は、比較時点tcでの新規情報の現在灯色(青)が、更新情報の現在灯色(青)と一致する場合である。この灯色の一致は、図6の異常判定処理中のステップST2(第1比較)によって判定される。
【0089】
この場合、第1比較で一致するとされた灯色(青)の予定終了時刻(△印)の差、すなわち、両情報の現在灯色(青)の残秒数差がタイムラグとなる。
そこで、図8に示すデータからタイムラグを求めるには、両情報から現在灯色(青)の残秒数値(5.0秒と5.4秒)をそれぞれ抽出し、その値の差(0.4秒)をタイムラグとすればよい。
【0090】
図7(b)は、比較時点tcでの新規情報の現在灯色(黄)は、更新情報の現在灯色(青)と一致していないが、更新情報の次回灯色(黄)と一致している場合である。この灯色の一致は、図6の異常判定処理中のステップST5(第2比較)によって判定される。
【0091】
この場合、第2比較で一致するとされた灯色(黄)の予定終了時刻(△印)の差、すなわち、新規情報の現在灯色(黄)の残秒数と、更新情報の現在灯色(青)の残秒数と次回灯色(黄)の残秒数の合計値との差が実際のタイムラグとなる。
そこで、図9に示すデータからタイムラグを求めるには、新規情報から現在灯色(黄)の残秒数値(2.7秒)を抽出し、更新情報から現在灯色(青)の残秒数値(0.1秒)と次回灯色(黄)の残秒数値(3.0秒)を抽出し、3.0+0.1−2.7=0.4としてタイムラグを算出すればよい。
【0092】
図7(c)では、比較時点tcでの新規情報の現在灯色(青)は、更新情報の現在灯色(黄)と一致していないが、更新情報の前回灯色(青)と一致している。この一致は、図6の異常判定処理中のステップST8(第3比較)によって判定される。
【0093】
この場合も、上記と同様に、第3比較で一致するとされた灯色(青)の予定終了時刻差がタイムラグとなる。
しかし、本実施形態では、前記「繰り上げ処理」によって生成される前回灯色情報の残秒数は必ず「0」に設定されるので、更新情報の前回灯色(青)の残秒数を予定終了時刻の演算に使用できない。すなわち、更新情報の現在灯色が「黄」である判定時点tcにおいて、前回灯色である「青」の過去の予定終了時刻を知ることができない。
【0094】
このように、第3比較で一致するとされた灯色(青)の予定終了時刻を求められない場合には、例えばその次の灯色(黄)の予定終了時刻差(△印)を利用して、タイムラグを求めることができる。
その理由は、黄時間(本実施形態では3秒)は両情報で同じ値になっているから、青同士の予定終了時刻差は黄同士の予定終了時刻差と同じ値になるからである。
【0095】
そこで、図10に示すデータからタイムラグを求めるには、新規情報から現在灯色(青)の残秒数値(0.1秒)と次回灯色(黄)の残秒数値(3.0秒)を抽出することとし、更新情報から現在灯色(黄)の残秒数値(2.7秒)を抽出し、3.0+0.1−2.7=0.4としてタイムラグを算出すればよい。
このように、第3比較において一致した灯色間で生じるタイムラグは、その一致した灯色自体の予定終了時刻差ではなく、一致した灯色の次回以降の灯色の予定終了時刻差で代用することができる。
【0096】
なお、第1比較や第2比較において一致した灯色間の場合には、上述の通り、その一致した灯色自体の予定終了時刻差でタイムラグを算出できるが、この場合においても、その一致した灯色自体の予定終了時刻差ではなく、一致した灯色の次回以降の灯色の予定終了時刻差で代用することにしてもよい。
また、以上説明したタイムラグの算出方法はあくまで1つの具体例であり、その他の種々のバリエーションがあり得る。
【0097】
〔異常判定処理による効果〕
以上の通り、本実施形態の光ビーコン5によれば、制御部55(判定部553)が、第1比較の結果が肯定的である場合に、当該第1比較において一致した灯色間で生じるタイムラグが所定の閾値以下であるか否かにより、新規情報の異常を判定するので、データ内容に誤りがある異常な信号情報の到来を監視することができる。
このため、異常と判定された新規情報を光ビーコン5から車載機7に送信しないように処理することで、異常な信号情報が車載機7に渡ることによる安全運転支援への悪影響を防止することができる。
【0098】
また、本実施形態の光ビーコン5によれば、制御部55(判定部553)が、第2比較の結果が肯定的である場合に、当該第2比較において一致した灯色間で生じるタイムラグが所定の閾値以下であるか否かにより、新規情報の異常を判定するので、例えば図7(b)に示すような、更新情報が新規情報から見て若干遅れていることが原因で、判定時点tcが新規情報の灯色切り替わり時点と更新情報の灯色切り替わり時点との間に挟まれるタイミングであっても、新規情報の異常を正確に判定することができる。
【0099】
更に、本実施形態の光ビーコン5によれば、制御部55(判定部553)が、第3比較の結果が肯定的である場合に、当該第3比較において一致した灯色間で生じるタイムラグが所定の閾値以下であるか否かにより、新規情報の異常を判定するので、例えば図7(c)に示すような、更新情報が新規情報から見て若干進んでいることが原因で、判定時点tcが新規情報の灯色切り替わり時点と更新情報の灯色切り替わり時点との間に挟まれるタイミングであっても、新規情報の異常を正確に判定することができる。
【0100】
〔異常監視の中止処理〕
図11は制御部55の監視中止部554が行う異常監視の中止処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、監視中止部554は、信号情報を受信したか否かを繰り返し判定し(ステップS1)、受信した場合には、新たに受信した新規情報のデータ内容に基づいて、情報送信元である交通信号制御機2において「閃光現示」を実行しているか否かを判定する(ステップS2)。
【0101】
このステップS2の判定は、例えば、新規情報中の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに時間値が不明であることを示すフルビットが格納されているか否かによって行うことができる。
監視中止部554は、「閃光現示」が実行中であると判定した場合には、異常監視のスキップ信号を出力し(ステップS4)、実行中でないと判定した場合には、更に、情報送信元である交通信号制御機2において「地点感応制御」を実行しているか否かを判定する(ステップS3)。
【0102】
このステップ3の判定は、例えば、信号情報中の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに異なる値が格納されているか否かによって行うことができる。
また、ステップ3の判定は、ある灯色情報の「最小保証時間」の格納フィールドに所定値が記されているか否かや、カウントダウン処理の停止要求のためのフラグフィールドのフラグ情報がオンであるか否かなどによって行うこともできる。
【0103】
監視中止部554は、「地点感応制御」が実行中である判定した場合には、スキップ信号を出力し(ステップS4)、実行中でないと判定した場合には、異常監視の実行信号を出力する(ステップS5)。従って、監視中止部554は、閃光現示でも地点感応制御でもない通常制御の実行中である場合に、異常監視の実行信号を出力する。
そして、制御部55の異常監視部(灯色比較部552と判定部553)は、監視中止部554がスキップ信号を出力すると、図6の分岐点B以降のステップを行わずに処理を終了し(図6の波線)、これによって監視処理が中止される。他方、異常監視部は、監視中止部554が実行信号を出力すると、分岐点B以降の各ステップを実行する。
【0104】
〔異常監視の中止処理による効果〕
このように、本実施形態の光ビーコン5によれば、監視中止部554が、地点感応制御や閃光現示のような不確定制御が実行されている場合に、異常監視部(灯色比較部552と判定部553)による監視処理を中止するので、ある交差点での交通信号制御が通常制御から不確定制御に移行した場合には、異常監視部による監視処理が中止される。
このため、交通信号制御機2が不確定制御を実行しても、光ビーコン5が行う信号情報の異常監視機能によって不確定制御の場合の信号情報が車載機7に送信されなくなるのを未然に防止することができる。
【0105】
〔その他の変形例〕
上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0106】
例えば、上述の実施形態では、灯色比較部552が行う「第2比較」が、新規情報の現在灯色(信号情報(1))が更新情報の次回灯色(信号情報(2))と一致するか否かを判定する処理になっているが、必ずしも更新情報の「次回灯色」を比較対象とする必要はなく、更新情報の現在灯色のm個後(m≧1の整数)の灯色との一致を判定するものであってもよい。
【0107】
同様に、上述の実施形態では、灯色比較部552が行う「第3比較」が、新規情報の現在灯色(信号情報(1))が更新情報の前回灯色(前回信号情報の灯色)と一致するか否かを判定する処理になっているが、必ずしも更新情報の「前回灯色」を比較対象とする必要はなく、更新情報の現在灯色のn個前(n≧1の整数)の灯色との一致を判定するものであってもよい。
もっとも、この場合には、更新部551が行うカウントダウン時の繰り上げ処理において、更新情報の少なくともn個前までの過去の灯色情報を残しておく必要がある。
【0108】
また、灯色比較部552は、必ずしも第1〜第3比較のすべてを実行しなくてもよく、第1比較だけを行うことにしてもよいし、第1比較を含む2種類の比較(第1比較と第2比較、或いは、第1比較と第3比較)を行うものであってもよい。なお、灯色比較部552が2種類の比較を行う場合の実行順序は任意である。
更に、図6に示す異常判定処理(その変形例も含む。)と図11に示す中止処理は、光ビーコン5の制御部55ではなく情報中継装置1の制御部10が行うようにしてもよい。
【0109】
この場合、交通信号制御機2が通常制御を実行している場合には、交通信号制御機2から新たに受信した信号情報のデータ内容に異常があっても、その異常な信号情報が光ビーコン5に中継されるのを防止できるとともに、その後、交通信号制御機2が不確定制御の実行を開始した場合でも、情報中継装置1が行う信号情報の異常監視機能によって不確定制御の場合の信号情報が光ビーコン5に送信されなくなる時間が継続するという事態を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 情報中継装置
2 交通信号制御機
4 車両感知器
5 光ビーコン(路側通信装置)
7 車載機
8 中央装置
53 中継側インタフェース部(取得部)
54 ヘッド側インタフェース部
55 制御部
551 更新部
552 灯色比較部
553 判定部
554 監視中止部
56 記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯色毎の表示予定時間を格納するフィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得し、取得した信号情報を車載機その他の外部装置に送信する路側通信装置と、この装置が行う信号情報の異常監視の中止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、交差点の内部やその近傍での交通事故を防止する目的で、交差点に設けられた交通信号機の灯色毎の継続時間(表示予定時間)を含む信号情報を車両に提供し、当該信号情報に基づいて車載装置が交差点の手前で停止すべきか通過可能かを判定し、この判定結果を利用して、車両の速度制御を行ったり、ドライバに対して減速を促したり、或いは注意を喚起したりする安全運転支援システムが既に提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の装置では、例えば、青信号を表示している信号灯器が赤信号になるまでの時間情報を、道路に設けた送信装置から車両に送信する。
そして、その時間情報を受けた車載装置において、当該時間情報とその際の走行速度とに基づいて演算を行い、交差点を安全に通過できる時間がないと判断した場合、つまり、交差点手前で停止すべきと判断した場合に、自動的にブレーキがかかり車両を減速又は停止させる制御を行う。
【0004】
かかる安全運転支援を実現するための路上通信システムは、通常、信号灯器の灯色毎の表示予定時間を記した信号情報を生成する交通信号制御機と、当該信号情報を交通信号制御機から受信して車両側に提供する路上通信装置とを備える。
この場合、交通信号制御機と路上通信装置との間の通信頻度の軽減するため、交通信号制御機から路上通信装置に信号情報を送信する第一周期(例えば10秒)よりも短い第二周期(例えば1秒)毎に路上通信装置が信号情報を更新し、新たな信号情報を取得する次の第二周期が経過するまでの間は、前回取得した信号情報の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた更新情報を、車両側に提供するという方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
一方、ある交差点において「地点感応制御」(端末感応制御ともいう。)を実行する場合がある。この制御は、車両感知器からの感知信号などに基づいて端末の交通信号制御機毎に行う感応制御であり、比較的短時間の交通需要の変化に応じて、例えば青表示の開始時点や終了時点を決定し、青時間長やサイクル長などを動的に変化させるものである。
かかる地点感応制御を実行する交通信号制御機は、地点感応制御の種別毎に予め定められた所定の感応幅(地点感応制御を実行する時間範囲)の範囲内において、交通状況に応じた適切なタイミングで所定の灯色の打ち切り又は延長を行う。
【0006】
この場合、交通信号制御機は、地点感応制御によって表示の打ち切り又は延長を行う灯色の表示予定時間を、確定値ではないがある程度の幅のある時間情報として車両側に提供するため、その灯色の最大時間と最小時間の格納フィールドに感応幅分だけ異なる値を格納した信号情報を生成する(例えば、特許文献3参照)。
これに対して、地点感応制御を行わず中央装置が定めた信号制御指令に従う通常の交通信号制御(以下、単に「通常制御」ということがある。)の場合は、各灯色の表示予定時間が1つの値に確定しているので、交通信号制御機は、各灯色の最大時間と最小時間の格納フィールドに1つの確定値を格納した信号情報を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【特許文献2】特開2008−152680号公報
【特許文献3】特開2010−146133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載の方法によれば、交通信号制御機と路上通信装置との間の通信頻度を少なく設定した場合でも、信号情報をよりきめ細かい情報(1秒単位の情報)として車両側に提供できるという利点がある。
しかし、信号情報の情報元装置である交通信号制御機が、何らかの原因で表示予定時間に誤りのある信号情報を生成したり、不測の通信遅延等のために、路上通信装置が信号情報を受信した時点では既に現在灯色の表示予定時間が狂っていたりすることがあり得る。
【0009】
このようなデータ内容に誤りのある異常な信号情報を無条件に採用して車両側に送信すると、車両側での安全運転支援に支障が生じるおそれがある。
そこで、例えば、路上通信装置において、新たに取得した信号情報(以下、「新規情報」ということがある。)の表示予定時間を更新情報のそれと比較し、新規情報の表示予定時間が更新情報のそれと比べて異常値を示す場合は、新規情報を車両側に提供しないようにする異常監視を行うことが考えられる。
【0010】
ところが、交通信号制御機が生成する信号情報において、地点感応制御によって可変となる灯色の最大時間と最小時間の格納フィールドに着目すると、上述の通り、この両フィールドに格納する時間値は、通常制御では1つの確定値に統一されるが、地点感応制御では、ある程度の幅がある不確定な時間情報を表すために感応幅分だけ異なる値が格納されるようになっている。
【0011】
従って、ある交差点での交通信号制御が、通常制御から地点感応制御に切り替わる場合に、通常制御の実行中に行っていた異常監視を路上通信装置がそのまま継続して行うと、地点感応制御に切り替わった後に受信した新規情報を路上通信装置がすべて異常ありと判定してしまい、地点感応制御に移行した後に交通信号制御機が生成した正しい信号情報が、路上通信装置にとどまって車両側に送信されない時間帯が長く継続するという問題がある。
【0012】
また、交通信号制御機が行う現示制御として、特定方向の道路に対して「黄点滅」や「赤点滅」を継続させる「閃光現示」の場合がある。この場合、交通信号制御機は、「黄点滅」や「赤点滅」以外の灯色情報がなく、「黄点滅」や「赤点滅」の最大時間と最小時間の格納フィールドに、時間値が不明であることを示すために規定上の最大ビット値を格納した信号情報を生成する。
このため、通常制御を実行中に生成される信号情報と、閃光制御を実行中に生成される信号情報とでは、そもそも灯色変化数やその他のデータ内容が大幅に異なる。
【0013】
従って、ある交差点での交通信号制御が、通常制御から閃光現示に切り替わる場合においても、通常制御の実行中に行っていた異常監視を路上通信装置がそのまま継続して行うと、閃光現示に切り替わった後に受信した新規情報を路上通信装置がすべて異常ありと判定してしまい、閃光制御に移行した後に交通信号制御機が生成する正しい信号情報が、路上通信装置にとどまって車両側に送信されない時間帯が長く継続することになる。
【0014】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、例えば地点感応制御や閃光現示のような、表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御(以下、「不確定制御」ということがある。)が実行された場合に、信号情報の異常監視機能によって不確定制御の場合の信号情報が送信されなくなるのを未然に防止できる路側通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1) 本発明の路側通信装置は、灯色毎の表示予定時間の格納フィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得する取得部と、既に取得した前記信号情報の現在灯色の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた更新情報を生成する更新部と、新たに取得した前記信号情報である新規情報の表示予定時間を前記更新情報の表示予定時間と比較することにより、前記新規情報に異常があるか否かを監視する異常監視部と、前記表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御である不確定制御が実行されている場合に、前記異常監視部による監視処理を中止する監視中止部と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明の路側通信装置によれば、新規情報の表示予定時間を更新情報のそれと比較することで新規情報の異常を監視する異常監視部を有する路側通信装置において、上記不確定制御(例えば、地点感応制御や閃光現示)が実行されている場合に、異常監視部による監視処理を中止する監視中止部を設けたので、交通信号制御が通常制御から不確定制御に移行した場合には異常監視部による監視処理が中止される。
このため、交通信号制御機が不確定制御を実行しても、路側通信装置による信号情報の異常監視機能によって不確定制御の場合の信号情報が送信されなくなるのを未然に防止することができる。
【0017】
(2) ところで、交通信号制御機側の不確定制御の実行如何を路側通信装置の監視中止部が検出できるようにするには、例えば、交通信号制御機が実行中の交通信号制御の種別を、交通信号制御機から逐次取得する信号情報から察知できるようにすればよい。
この点、上述の通り、交通信号制御機が地点感応制御を実行する場合には、灯色の最大時間と最小時間の格納フィールドに感応幅分だけ異なる値を格納した信号情報が生成されるので、その最大時間と最小時間の格納フィールドの時間値に差がある信号情報が到来すれば、交通信号制御機が地点感応制御に移行したと判断することができる。
【0018】
そこで、本発明の路側通信装置において、前記信号情報が、1つの灯色の前記表示予定時間の格納フィールドとして最大時間と最小時間の格納フィールドを有する場合には、前記監視中止部は、前記新規情報に含まれる前記最大時間と前記最小時間の格納フィールドに記された時間値の差分が0より大きい場合に、前記不確定制御の一種である地点感応制御が実行されていると判定することができる。
【0019】
(3) また、例えば、地点感応制御の場合に路側通信装置が一律にカウントダウン処理を実行することによる信号情報の正確性の低下を防止するため、更新部によるカウントダウン処理の停止要求のための格納フィールドを信号情報に含める場合がある(特許文献3の段落0047〜0051、段落0055参照)。
【0020】
そこで、本発明の路側通信装置において、前記信号情報が、前記更新部によるカウントダウン処理の停止要求のための格納フィールドを有する場合には、前記監視中止部は、前記新規情報に含まれる前記停止要求のための格納フィールドにカウントダウン処理の停止指令が格納されている場合に、前記不確定制御の一種である地点感応制御が実行されていると判定することにしてもよい。
【0021】
(4) また、上述の通り、閃光現示の場合には、「黄点滅」や「赤点滅」の最大時間や最小時間の格納フィールドに時間値が不明であることを示す情報(例えば、規定上の最大ビット値)が格納される。
そこで、本発明の路側通信装置において、前記信号情報が、1つの灯色の前記表示予定時間の格納フィールドとして最大時間と最小時間の格納フィールドを有する場合には、前記監視中止部は、前記最大時間と前記最小時間の格納フィールドのうちのいずれか一方に時間値が不明であることを示す情報が格納されている場合に、前記不確定制御の一種である閃光現示が実行されていると判定することができる。
【0022】
(5) 本発明に係る信号情報の異常監視の中止方法は、新たに取得した新規情報と過去に取得した信号情報を更新した更新情報とを対比して異常監視を行う、本発明の路側通信装置が行う中止方法であって、本発明の路側通信装置と実質的に同じ構成を備える。
このため、本発明に係る信号情報の異常監視の中止方法は、本発明の路側通信装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0023】
以上の通り、本発明によれば、不確定制御が実行されている場合に新規情報に対する異常監視を中止するようにしたので、交通信号制御が通常制御から不確定制御に移行された場合に、路側通信装置による信号情報の異常監視機能によって車両側に信号情報が送信されなくなるのを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】情報中継システムの一例を示す模式図である。
【図2】信号情報のフォーマット例を示す図である。
【図3】情報中継装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】情報中継システムでの情報の処理手順を示すタイムチャートである。
【図5】光ビーコンの構成の一例を示すブロック図である。
【図6】光ビーコンの制御部が行う異常判定処理を示すフローチャートである。
【図7】新規情報と更新情報の間で生じるタイムラグのバリエーションを示すタイムチャートである。
【図8】図7(a)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
【図9】図7(b)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
【図10】図7(c)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
【図11】制御部の監視中止部が行う異常監視の中止処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る路側通信装置(例えば、光ビーコン5)とこれを用いた情報中継システムの実施形態を説明する。
〔情報中継システム〕
図1は情報中継システムの一例を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態の情報中継システムは、情報中継装置1、情報元装置の一例としての交通信号制御機2、情報元装置の一例としての画像式の車両感知器4、路側通信装置としての光ビーコン5、及び、中央装置8などを備えている。
【0026】
なお、図1に示す各装置の数や設置場所はあくまでも一例であって、本発明の路側通信装置を含む情報中継システムが図1の構成に限定されるものではない。
図1の例では、交差点付近に2つの車両感知器4A,4Bが設置され、交差点に向かう同じ流入道路に2つの光ビーコン5A,5Bが設置されている。なお、本明細書においては、車両感知器の共通事項の場合は共通符号「4」を用い、車両感知器ごとに相違する個別事項の場合は符号「4A」「4B」を用いて両者を区別する。光ビーコンについても同様である。
【0027】
中央装置8は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)を含んでおり、情報中継装置1等から取得した各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
また、中央装置8は、自身のネットワークに属する交通信号制御機2について、同一道路上の交通信号機群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
【0028】
すなわち、中央装置8は、交通状況に応じて信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセット等)を設定する中央感応制御を行うことができ、この中央感応制御には、例えば、MODERATO制御やプロファイル制御等の複数種類のものが含まれる。
従って、中央装置8は、所定時間毎(例えば2.5分毎)に上記系統制御(面制御を含む。)を行って、各交差点の信号灯器3の灯色切り替えタイミングに関する信号制御指令を生成する。
【0029】
また、中央装置8は、各交差点で実施する信号制御の種別(端末感応制御や定周期制御の種別)を示す制御種別情報を所定時間毎(例えば5分毎)に生成し、上記信号制御指令と制御種別情報を、それぞれ所定時間毎に交通信号制御機2に送信する。
なお、中央装置8は、VICS(Vehicle Information and Communication System:「VICS」は登録商標)センターから取得したVICS情報を定期的に取得し、これに含まれる渋滞、事故及び交通規制等に関する交通情報を、情報中継装置2に送信する。
【0030】
図1に示すように、交差点の四隅付近には信号灯器3が設置されている。各信号灯器3は交通信号制御機2により制御される。
交通信号制御機2は、中央装置8から受信した信号制御指令に含まれる灯色切替タイミングに基づいて、所定時間(例えば1秒)毎に「信号情報」(図2参照)を生成し、これを外部に送信することができる。この信号情報は、例えば、各信号灯器3の現在ステップにおける残りの表示予定時間(残秒数)や、将来ステップにおける表示時間(例えば2サイクル分)などの情報で構成される。
【0031】
交差点付近には、画像式の車両感知器4が設置されている。この車両感知器4は交差点に繋がる道路の所要領域や交差点内の領域である、感知領域40に存在する車両や歩行者等を検知することができる。
車両感知器4は、車両の存在、感知領域40に存在する車両の台数、車両の位置及び速度、車種、感知後の経過時間などの「車両感知情報」を生成し、これを外部に送信することができる。
【0032】
図1に示す2つの車両感知器4A,4Bのうち、車両感知器4Aは、交差点を矢印X方向に流入する道路(以下、単に「流入道路」ということがある。)における、渋滞長や交通量を検出するためのものである。
また、車両感知器4Bは、上記流入道路を走行して交差点に進入する車両から見た、対向直進車両の位置と速度等を検出するためのものである。対向直進車両の位置と速度は、例えば右直事故を防止する安全運転支援を行う場合に役立つ情報である。
なお、車両感知器4は、画像式に限定されるものではなく、超音波式など他の方式のものでもよい。
【0033】
上述の流入道路には光ビーコン5が設置されている。この光ビーコン5は、通信領域50において車載機7と赤外光を用いた双方向通信を行う。従って、光ビーコン5を経由して、情報提供サービスに応じた所要の情報を含むダウンリンク情報を、通信領域50を通過する車両の車載機7に向けて送信することができる。
また、光ビーコン5は、通信領域50を通過する車両の車載機7から、旅行時間やプローブデータなどを含むアップリンク情報を受信することができる。
【0034】
図1に示す2つの光ビーコン5A,5Bのうち、交差点から上流側に適長距離だけ離れた光ビーコン5Aは、主に車両感知器4Aの感知情報を車載機7に伝送するために設置されたものである。また、交差点近傍の光ビーコン5Bは、主に車両感知器4Bの感知情報を車載機7に伝送するために設置されたものである。
なお、光ビーコン5に代えて、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、狭域の無線LAN通信装置などを用いることもできる。
【0035】
情報中継装置1は、交差点付近の適宜の場所に設置されている。情報中継装置1は、交通管制センター等に設置された中央装置8、交通信号制御機2、車両感知器4及び光ビーコン5と所定のインタフェース規格で接続されている。
なお、情報中継装置1は、図1に示すように、他装置と別体であってもよいが、交通信号制御機2や光ビーコン5に内蔵する一体型の装置であってもよい。
【0036】
情報中継装置1は、中央装置8、交通信号制御機2及び車両感知器4などが出力する各種の情報を、情報提供サービスの内容に応じて中継する。すなわち、光ビーコン5は、自身に設定された情報提供サービスに必要な情報を、情報報中継装置1を経由して情報元装置から取得し、取得した情報を車載機7に送信する。
また、情報中継装置1は、光ビーコン5が有線インタフェース側に送信する情報を、中央装置8や交通信号制御機2などに中継する。
【0037】
〔信号情報のデータフォーマット〕
図2は信号情報のフォーマット例を示す図である。なお、図2の例では、1つの流入道路の通行権を定める1つの信号灯器3の信号情報のデータフォーマットを示している。
図2において、それぞれのフィールドに格納可能なレコードのデータ長は1又は2バイトとなっている。
「バージョン情報」は格納情報のバージョンを示し、バージョンが未定や不明の場合にはフルビットが格納される。「データ長」は次のフィールド以降の実データ長を示す。
【0038】
「総灯器数(J)」は灯色とその変化タイミングとが共通するグループの数を示し、「灯色変化数(K)」は当該灯器における、現サイクルと次サイクルにおける信号灯色の出力変化数を示す。
「灯色情報(1)」は現在の信号灯色の情報を示し、「灯色情報(2)」は2番目の信号灯色の情報を示す。「丸信号灯色表示」は当該灯色情報における丸灯の灯色を示し、ここの格納される灯色データ値には、「0:不明」「1:青」「2:黄」「3:赤」「4:黄点滅」「5:赤点滅」「6:滅灯」の7種類がある。
【0039】
「青矢信号表示方向」は青矢灯器の通行許可方向を表し、この許可方向を表すデータ値には、「bit7:左斜め後」「bit6:左」「bit5:左斜め前」「bit4:直進」「bit3:右斜め前」「bit2:右」「bit1:右斜め後」「bit0:Uターン」の8方向がある。当該灯色が青矢灯器でない場合は「0」が格納される。
「最小残秒数」(最小時間)は当該灯色の予定継続の最小秒数(0.1秒単位:0.0〜240.0秒)を記すための格納フィールドである。このフィールドには、残秒数が確定している場合は確定秒数が格納され、残秒数が可変の場合は最小残秒数が格納される。
【0040】
「最大残秒数」(最大時間)は当該灯色の予定継続の最大秒数(0.1秒単位:0.0〜240.0秒)を記すための格納フィールドである。このフィールドには、残秒数が確定している場合は確定秒数が格納され、残秒数が可変の場合は最大残秒数が格納される。
従って、これらの残秒数のフィールドに格納される値は、現サイクルにおける信号灯器3の灯色毎の表示予定時間を表している。なお、本明細書では、単に「残秒数」というときは、「最小残秒数」と「最大残秒数」の双方を含むものとする。
【0041】
図2において灯色情報(1)に設定されている「最小保証時間」は、後述の光ビーコン5の更新部551が行うカウントダウン処理において、「最小残秒数」に対してカウントダウン可能な最小値を記すための格納フィールドである。
このため、更新部551は、最小保証時間の格納フィールドに時間値が記された灯色情報の場合には、その時間値を下回る値に「最小残秒数」の値を更新することはない。これにより、後述する地点感応制御の実行中に、「最小残秒数」が必要以上にカウントダウンされることによって更新情報が不正確になるのを未然に防止することができる。
【0042】
なお、図2には示していないが、例えば信号情報に新たなフラグフィールドを設け、このフィールドのフラグ情報がオンの場合である場合に、更新部551がカウントダウン処理を即座に停止するという規約を採用することにしてもよい。
従って、図2に示す「最小保証時間」の格納フィールドや、受信と同時にカウントダウン処理を停止させる上記フラグフィールドは、いずれも、更新部551によるカウントダウン処理の停止要求を行うための格納フィールドである。
【0043】
上述の通り、最小保証時間や上記フラグフィールドは、地点感応制御の実行中に発生し得る信号情報の正確性の低下を防止するためのものである。
従って、光ビーコン5が受信した信号情報中の最小保証時間の格納フィールドに所定値(カウントダウン処理の停止指令)が記されていたり、上記フラグフィールドに記されたフラグ情報がオン(カウントダウン処理の停止指令)であったりする場合には、交通信号制御機2が地点感応制御を実行中であると判断することができる。
【0044】
〔交通信号制御機による地点感応制御〕
本実施形態の交通信号制御機2は、1又は複数種類の「地点感応制御」を行うことができる。交通信号制御機2は、中央装置4の制御種別情報が地点感応制御を許容している場合に当該地点感応制御を実行する。
上記地点感応制御の例としては、例えば、右折感応制御、ジレンマ感応制御、高速感応制御、バス感応制御、簡易半感応制御などがある。
【0045】
このうち、「右折感応制御」は、右折車の溢流による直線車線の閉塞を防止するとともに、右折矢印の無駄な青時間を排除することを目的として、右折専用車線の交通需要に見合う青矢印表示時間となるように調整するものである。
「ジレンマ感応制御」は、黄信号表示後の追突事故や出会い頭事故の危険性を減少させることを目的として、交差点手前のジレンマゾーン又はオプションゾーンに車両が存在しない時点で青信号を打ち切るものである。
【0046】
「高速感応制御」は、高速走行を抑止して速度超過による事故を減少させることを目的として、流入道路を走行中の高速車両を検出したとき、赤信号で停止させるように青短縮又は赤延長を行うものである。
「バス感応制御」は、公共車であるバスに対して、信号待ち時間を減少させて優先通行をはかることを目的として、流入道路を走行中のバスを感知したとき、停止時間を減少させるように青延長又は赤短縮を行うものである。
【0047】
「簡易半感応制御」は、従道路交通があるときだけ従道路に通行権を与えることで、主道路交通の不要な停止をなくすことを目的として、通常は主道路に通行権を与え、従道路の車両又は歩行者を感知したときに従道路に通行権を与えるものである。
交通信号制御機2は、地点感応制御を実行する場合、その種別毎に設定された所定の感応幅の範囲内において、交通状況に応じた適切なタイミングで所定の灯色の打ち切り又は延長を決定する。
【0048】
また、交通信号制御機2は、表示の打ち切り又は延長を行う灯色の表示予定時間を、確定はしていないがある程度の幅のある時間情報として車両側に提供するため、その灯色の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに、感応幅分だけ異なる値を格納した信号情報を生成する。
一方、交通信号制御機2は、中央装置8が定めた信号制御指令に従う通常制御を行う場合には、各灯色の表示予定時間が1つの値に確定していることから、各灯色の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに確定した同じ値を格納する。
【0049】
従って、受信した信号情報に含まれる複数の灯色情報のうち、「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに異なる値が記された灯色情報がある場合は、交通信号制御機2が地点感応制御を実行中であると判断でき、すべての灯色情報について「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに同じ値が格納されている場合には、交通信号制御機2が通常制御を実行中であると判断することができる。
【0050】
本実施形態の交通信号制御機2は、特定方向の道路に対して「黄点滅」や「赤点滅」を長時間継続させる「閃光現示」を行うこともできる。この場合、交通信号制御機2は、「黄点滅」や「赤点滅」以外の灯色情報がなく、「黄点滅」や「赤点滅」の最大時間と最小時間のフィールドに、表示予定時間が不明であることを示す規定上のフルビットの値を格納した信号情報を生成する。
従って、受信した信号情報中の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドにフルビットが格納されている場合には、交通信号制御機2が閃光現示を実行中であると判断することができる。
【0051】
〔情報中継装置の構成〕
図3は情報中継装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の情報中継装置1は、第1インタフェース部11、第2インタフェース部12、中継部13、情報中継装置1全体を制御する制御部10、記憶部14などを備えている。
【0052】
第1インタフェース部11は、情報元装置としての中央装置8、車両感知器4及び交通信号制御機2との間の通信機能を有する。第2インタフェース部12は、路側通信装置としての光ビーコン5との間の通信機能を有する。
中継部13は、第1インタフェース部11及び第2インタフェース部12を経由して送受される情報を中継する。具体的には、中継部13は、制御部10の制御の下、例えば、車両感知器4A,4Bや交通信号制御機2から受信した動的情報を、いずれの光ビーコン5A,5Bへ送出するかを決定する。
【0053】
記憶部14は、制御部10が実行する各種の中継用プログラムの他、光ビーコン5A,5B毎に定めた情報提供サービスに応じて、情報元装置である交通信号制御機2及び各車両感知器4A,4Bと、その情報を車載機7に提供する光ビーコン5A,5Bとの間の中継ルートを関連付けたサービステーブル(図示せず)を記憶している。
制御部10は、上記サービステーブルに基づいて、情報元装置である交通信号制御機2や車両感知器4A,4Bが送出した情報の中継先を中継部13に指示する。
【0054】
なお、本実施形態では、車両感知器4Aから送出された車両感知情報は、中継部13を経由して光ビーコン5Aへ伝送され、車両感知器4Bから送出された車両感知情報は、中継部13を経由して光ビーコン5Bへ伝送されるようになっている。
また、交通信号制御機2から送出された信号情報は、中継部13を経由して双方の光ビーコン5A,5Bへ送出されるようになっている。
【0055】
〔情報中継システムでの情報処理手順〕
図4は情報中継システムでの情報の処理手順を示すタイムチャートである。
図4に示すように、まず、P1において、中央装置8が「信号制御指令」を交通信号制御機2へ送信する。
P2において、交通信号制御機2は、受信した信号制御指令に基づいて信号灯器3毎の「信号情報」を生成し、P3において、生成した信号情報を情報中継装置1へ送信する。なお、信号情報の送信は所定の時間間隔(例えば、1秒経過の都度)で行われる。
【0056】
P4において、情報中継装置1は、取得した信号情報に対して適宜編集等を行う。P5において、情報中継装置1は、自装置のサービステーブルを参照して、取得した信号情報を、これを必要とする光ビーコン5に中継する。
本実施形態では、光ビーコン5A,5Bはいずれも交通信号制御機2からの信号情報を必要とするので、信号情報は双方の光ビーコン5A,5Bに送信される。P6では、光ビーコン5は、取得した信号情報を車載機7へ送信する。
【0057】
P7では、車両感知器4が「車両感知情報」を中継装置1へ送信する。P8において、情報中継装置1は、車両感知器4から取得した車両感知情報に対して適宜編集等を行う。
P9では、情報中継装置1は、取得した車両感知情報を必要とする情報提供サービスを行う光ビーコン5に対して、当該車両感知情報を中継する。
【0058】
本実施形態では、光ビーコン5Aが車両感知器4Aからの車両感知情報を必要とするので、当該車両感知器4Aの車両感知情報は光ビーコン5Aに送信される。
また、光ビーコン5Bが車両感知器4Bからの車両感知情報を必要とするので、当該車両感知器4Bの車両感知情報は光ビーコン5Bに送信される。P10では、光ビーコン5は、取得した車両感知情報を車載機7へ送信する。
【0059】
車両感知器4からの車両感知情報の送出は、例えば、200m秒経過の都度行うことができる。すなわち、図4のP11〜P14において、P7〜P10と同様の処理が行われ、以降同様の処理が、例えば200m秒経過の都度繰り返される。
また、P15〜P18において、P3〜P6と同様の処理が行われ、以降同様の処理が、例えば1秒経過の都度(通常制御の場合)繰り返される。
なお、交通信号制御機2は、地点感応制御を実行中の場合には、信号情報の生成及び送信を、例えば0.5秒未満のより速いサイクルで行う。
【0060】
〔光ビーコンの構成〕
図5は光ビーコン5の構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、光ビーコン5は、ビーコン制御機51と1又は複数のビーコンヘッド52とから構成されている。ビーコン制御機51は、中継側インタフェース部53、ヘッド側インタフェース部54、制御部55及び記憶部56などを備えている。
中継側インタフェース部53は、情報中継装置1との間の通信機能を有する。また、ヘッド側インタフェース部54は、車線毎に設けられたビーコンヘッド52との間の通信機能を有する。
【0061】
ビーコンヘッド52は、道路上に架設した梁に車線毎に設置されており、発光ダイオード等からなる発光素子と、フォトダイオード等からなる受光素子とを筐体内に格納することによって構成されている。
発光素子は、光信号よりなるダウンリンク情報を通信領域50内の車載機7に送出し、受光素子は光信号よりなるアップリンク情報を通信領域50内の車載機7から受光する。
【0062】
ビーコン制御機51の制御部55は、更新部551、灯色比較部552、判定部553及び監視中止部554を備える。
このうち、更新部551は、中継側インタフェース部53が取得した信号情報の「カウントダウン処理」を実行する。この処理は、取得した信号情報の「現在灯色」の残秒数(すなわち最小残秒数と最大残秒数の双方)を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた「更新情報」を生成し、信号情報のデータ内容をほぼリアルタイム値に更新する処理のことをいう。
【0063】
このカウントダウン処理では、信号情報が更新部551に入力された時点から、信号情報の受信間隔(本実施形態では1秒)より十分短い所定周期(例えば100m秒周期)で残秒数がカウントされる。
従って、例えば図2に示す信号情報において、信号情報の入力時点で灯色情報(1)の「最小残秒数」と「最大残秒数」が「100」(=10.0秒)であったとすると、0.8秒経過後の更新情報では、灯色情報(1)の「最小残秒数」と「最大残秒数」は「92」(=9.2秒)となる。
【0064】
本実施形態の更新部551は、信号灯色(1)に対するカウントダウン処理によってその最大残秒数が「0」になると、信号灯色(1)と同じ灯色データ値でかつ残秒数が0の「前回灯色情報」を生成し、これを記憶部56に記憶させ、次の灯色に対するカウントダウンを継続する「繰り上げ処理」を行う。
すなわち、例えば図2に示す信号情報において、灯色情報(1)の残秒数をカウントダウンしてそれが「0」になると、その灯色情報(1)が「前回灯色情報」(残秒数=0)となり、次の灯色情報(2)が灯色情報(1)に繰り上がってその残秒数が所定周期でカウントダウンされる。
【0065】
そして、3番目以降の灯色情報(i)(i≧3)については、それぞれ残秒数がそのままの状態で灯色情報(i−1)に繰り上がる。
なお、本実施形態では、この繰り上げ処理によって生成される「前回灯色情報」も、「更新情報」に含まれるものとする。
また、前述の通り、更新部551は、「最小保証時間」(図2参照)を含む信号灯色の場合には、そのフィールドに格納された値を下回る値に「最小残秒数」の値を更新することはない。
【0066】
灯色比較部552は、中継側インタフェース部53が新たに取得した信号情報(以下、「新規情報」という。)の灯色と、既に取得された信号情報をカウントダウン処理した「更新情報」の灯色との比較を行う。この比較には、次の(x)〜(z)で定義される3種類の比較が含まれる。
【0067】
(x) 第1比較:新規情報の現在灯色(信号情報(1)の値)が更新情報の「現在灯色」(信号情報(1)の値)と一致するか否かの比較
(y) 第2比較:新規情報の現在灯色(信号情報(1)の値)が更新情報の「次回灯色」(信号情報(2)の値)と一致するか否かの比較
(z) 第3比較:新規情報の現在灯色(信号情報(1)の値)が更新情報の「前回灯色」(前回信号情報の灯色)と一致するか否かの比較
【0068】
そして、灯色比較部552は、上記第1比較、第2比較及び第3比較のうちのいずれが肯定的であるかを探索する。例えば、灯色比較部552は、第1比較の結果が否定的である場合には第2比較を実行し、第2比較の結果が否定的である場合には更に第3比較を実行するという順序で探索を行い(図6のステップST2,ST3,ST8参照)、その探索結果を判定部553に出力する。
なお、灯色比較部552は、第1、第2及び第3比較の結果がすべて否定的である場合には、新規情報を異常と判定する。その理由は、第1、第2及び第3比較の結果がすべて否定的である場合には、新規情報に含まれるいずれかの灯色の残秒数に誤りがある可能性が高いと考えられるからである。
【0069】
一方、判定部553は、灯色比較部552による探索において第1比較、第2比較又は第3比較の結果のいずれかが肯定的である場合に、その比較において一致するとされた灯色間で生じるタイムラグが、所定の閾値Th(例えば500m秒)以下であるか否かを判定する。
具体的には、判定部553は、第1比較の結果が肯定的である場合には、第1比較で一致するとされた、新規情報の現在灯色と更新情報の「現在灯色」との間で生じるタイムラグが閾値Th以下の場合に新規情報を正常と判定し、超える場合は新規情報を異常と判定する。
【0070】
また、判定部553は、第2比較の結果が肯定的である場合には、第2比較で一致するとされた、新規情報の現在灯色と更新情報の「次回灯色」との間で生じるタイムラグが閾値Th以下の場合に新規情報を正常と判定し、超える場合は新規情報を異常と判定する。
更に、判定部553は、第3比較の結果が肯定的である場合には、第3比較で一致するとされた、新規情報の現在灯色と更新情報の「前回灯色」との間で生じるタイムラグが閾値Th以下の場合に新規情報を正常と判定し、超える場合は新規情報を異常と判定する。
【0071】
このように、制御部55中の灯色比較部552と判定部553は、新規情報の表示予定時間(残秒数)を更新情報の表示予定時間(残秒数)と比較することにより、新規情報に異常があるか否かを監視する「異常監視部」を構成している。
監視中止部554は、残秒数が不確定な灯色を含む信号制御である、地点感応制御や閃光現示などの不確定制御の実行を検出した場合に、上記異常監視部による監視処理をスキップする。なお、監視中止部554による中止処理(図11)については後述する。
【0072】
ビーコン制御機51の記憶部56は、上記各機能を制御部55の各部で実行するためのコンピュータプログラムの格納領域と、中継側インタフェース部53が取得した情報を一時的に記憶するデータ記憶領域とを有する。
このデータ記憶領域には、新たに取得した信号情報である「新規情報」の記憶領域と、更新部551による更新対象となる「更新情報」の記憶領域などが含まれる。
【0073】
〔光ビーコンによる異常判定処理〕
図6は光ビーコン5の制御部55が行う異常判定処理を示すフローチャートである。
なお、この異常判定処理は、ほぼ1秒毎に送信される信号情報の受信と同時に、カウントダウン周期(100m秒)未満の短い処理時間で行われる。
図6中の点Bは、異常判定処理を実行するかスキップするかの分岐点である。制御部55は、監視中止部554が実行信号を出力した場合には、ステップST2に移行して異常判定処理を行うが、監視中止部554がスキップ信号を出力した場合には、図6に波線で示す通り異常判定処理を行わずに終了する。
【0074】
なお、以下の説明では、交通信号制御機2が通常制御を実行中であるため、監視中止部554が実行信号を出力したと仮定して、制御部55が行う異常判定処理を説明する。
図6に示すように、制御部55は、信号情報を受信したか否かを繰り返し判定し(ステップST1)、受信した場合には、新たに受信した新規情報の現在灯色(灯色情報(1))が更新情報の「現在灯色」と一致するか否かの判定(第1比較)を行う(ステップST2)。
【0075】
制御部55は、上記第1比較の結果が「一致」の場合には、一致した灯色間のタイムラグを算出し(ステップST3)、算出したタイムラグが閾値Th以下であるか否かを判定する(ステップST4)。
制御部55は、上記判定の結果、算出したタイムラグが閾値Th以下の場合には、新規情報を正常と判定し(ステップST11)、閾値Thを超える場合には、新規情報を異常と判定する(ステップST12)。
【0076】
制御部55は、上記第1比較の結果が「不一致」の場合には、新規情報の現在灯色(灯色情報(1))が更新情報の「次回灯色」(信号情報(2))と一致するか否かの判定(第2比較)を行う(ステップST5)。
【0077】
制御部55は、上記第2比較の結果が「一致」の場合には、一致した灯色間のタイムラグを算出し(ステップST6)、算出したタイムラグが閾値Th以下であるか否かを判定する(ステップST7)。
制御部55は、上記判定の結果、算出したタイムラグが閾値Th以下の場合には、新規情報を正常と判定し(ステップST11)、閾値Thを超える場合には、新規情報を異常と判定する(ステップST12)。
【0078】
制御部55は、上記第2比較の結果が「不一致」の場合には、新規情報の現在灯色(灯色情報(3))が更新情報の「前回灯色」(前回灯色情報の灯色)と一致するか否かの第3比較を行う(ステップST8)。
【0079】
制御部55は、上記第3比較の結果が「一致」の場合には、一致した灯色間のタイムラグを算出し(ステップST9)、算出したタイムラグが閾値Th以下であるか否かを判定する(ステップST10)。
制御部55は、上記判定の結果、算出したタイムラグが閾値Th以下の場合には、新規情報を正常と判定し(ステップST11)、閾値Thを超える場合には、新規情報を異常と判定する(ステップST12)。
【0080】
光ビーコン5の制御部55は、正常と判定された新規情報については、これを記憶部56の更新情報の記憶領域に取り込んで、既存の更新情報と入れ替える。
一方、制御部55は、異常と判定された新規情報の場合も、破棄せずに記憶部56の更新情報の記憶領域に取り込むが、その新規情報を、車載機7へのダウンリンク情報に格納する提供用情報としては指定しない。これにより、残秒数等のデータ内容に誤りのある異常な信号情報が車載機7に渡るのを未然に防止することができる。
【0081】
なお、図6に示す異常判定処理を示すフローチャートにおいて、ステップST2〜ST4までの処理と、ステップST5〜ST7までの処理と、ステップST8〜ST10までの処理の順序を入れ替えるようにしてもよい。
すなわち、灯色比較部552が行う探索順序である、第1比較(ステップST2)、第2比較(ステップST5)及び第3比較(ステップST5)の実行順序は、その順列数分のバリエーションで任意に入れ替えることができる。
【0082】
もっとも、「第2比較」と「第3比較」が肯定的となるケースは、後述の図7(b)や図7(c)に示すような比較的レアなケースであり、通常は、現在灯色同士を比較する「第1比較」が肯定的になる可能性が非常に高いと考えられるので、新規情報の異常判定処理に要する平均的な処理時間をできるだけ短くするという観点からすれば、図6に示すように、第1比較(ステップST2)を最初に実行することが好ましい。
【0083】
〔タイムラグの算出方法の具体例〕
次に、図7〜図10を参照しつつ、上述の異常判定処理(図6)における、一致した灯色間の「タイムラグ」の算出方法(図6のステップST3,ST6,ST9)の具体例について説明する。
【0084】
図7は新規情報と更新情報の間で生じるタイムラグのバリエーションを示すタイムチャートである。
図7において、時点tcは制御部55(灯色比較部552)による両情報のデータの比較時点を示し、Δt(例えば0.4秒)は両情報間に実際に生じたタイムラグの大きさであるとする。
なお、本実施形態では閾値Th=500m秒であるから、図7(a)〜(c)に示す各例では、いずれも新規情報が正常と判定される。
【0085】
図7(a)〜(c)のうち、図7(a)は比較時点tcでの両情報の現在灯色が一致する場合である。
図7(b)は、更新情報が新規情報よりΔtだけ遅れているため、比較時点tcが、新規情報の青から黄への灯色切り替わり時点と、更新情報の青から黄への灯色切り替わり時点との間に挟まれている場合を示す。
図7(c)は、更新情報が新規情報よりΔtだけ進んでいるため、比較時点tcが、更新情報の青から黄への灯色切り替わり時点と、新規情報の青から黄への灯色切り替わり時点との間に挟まれている場合を示す。
【0086】
図8は図7(a)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
図9は図7(b)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
図10は図7(c)のタイムチャートに対応する更新情報と新規情報のデータ内容の一例を示す概念図である。
【0087】
図8〜図10において、ハッチングを施した部分は現在灯色(灯色情報(1))のデータ部分を示す。
3つの矢印は、それぞれ前記第1〜第3比較を行うデータの対応関係を示し、実線の矢印は当該比較の結果が肯定的であることを示している。他方、破線の矢印は当該比較の結果が否定的であることを示している。
【0088】
図7(a)は、比較時点tcでの新規情報の現在灯色(青)が、更新情報の現在灯色(青)と一致する場合である。この灯色の一致は、図6の異常判定処理中のステップST2(第1比較)によって判定される。
【0089】
この場合、第1比較で一致するとされた灯色(青)の予定終了時刻(△印)の差、すなわち、両情報の現在灯色(青)の残秒数差がタイムラグとなる。
そこで、図8に示すデータからタイムラグを求めるには、両情報から現在灯色(青)の残秒数値(5.0秒と5.4秒)をそれぞれ抽出し、その値の差(0.4秒)をタイムラグとすればよい。
【0090】
図7(b)は、比較時点tcでの新規情報の現在灯色(黄)は、更新情報の現在灯色(青)と一致していないが、更新情報の次回灯色(黄)と一致している場合である。この灯色の一致は、図6の異常判定処理中のステップST5(第2比較)によって判定される。
【0091】
この場合、第2比較で一致するとされた灯色(黄)の予定終了時刻(△印)の差、すなわち、新規情報の現在灯色(黄)の残秒数と、更新情報の現在灯色(青)の残秒数と次回灯色(黄)の残秒数の合計値との差が実際のタイムラグとなる。
そこで、図9に示すデータからタイムラグを求めるには、新規情報から現在灯色(黄)の残秒数値(2.7秒)を抽出し、更新情報から現在灯色(青)の残秒数値(0.1秒)と次回灯色(黄)の残秒数値(3.0秒)を抽出し、3.0+0.1−2.7=0.4としてタイムラグを算出すればよい。
【0092】
図7(c)では、比較時点tcでの新規情報の現在灯色(青)は、更新情報の現在灯色(黄)と一致していないが、更新情報の前回灯色(青)と一致している。この一致は、図6の異常判定処理中のステップST8(第3比較)によって判定される。
【0093】
この場合も、上記と同様に、第3比較で一致するとされた灯色(青)の予定終了時刻差がタイムラグとなる。
しかし、本実施形態では、前記「繰り上げ処理」によって生成される前回灯色情報の残秒数は必ず「0」に設定されるので、更新情報の前回灯色(青)の残秒数を予定終了時刻の演算に使用できない。すなわち、更新情報の現在灯色が「黄」である判定時点tcにおいて、前回灯色である「青」の過去の予定終了時刻を知ることができない。
【0094】
このように、第3比較で一致するとされた灯色(青)の予定終了時刻を求められない場合には、例えばその次の灯色(黄)の予定終了時刻差(△印)を利用して、タイムラグを求めることができる。
その理由は、黄時間(本実施形態では3秒)は両情報で同じ値になっているから、青同士の予定終了時刻差は黄同士の予定終了時刻差と同じ値になるからである。
【0095】
そこで、図10に示すデータからタイムラグを求めるには、新規情報から現在灯色(青)の残秒数値(0.1秒)と次回灯色(黄)の残秒数値(3.0秒)を抽出することとし、更新情報から現在灯色(黄)の残秒数値(2.7秒)を抽出し、3.0+0.1−2.7=0.4としてタイムラグを算出すればよい。
このように、第3比較において一致した灯色間で生じるタイムラグは、その一致した灯色自体の予定終了時刻差ではなく、一致した灯色の次回以降の灯色の予定終了時刻差で代用することができる。
【0096】
なお、第1比較や第2比較において一致した灯色間の場合には、上述の通り、その一致した灯色自体の予定終了時刻差でタイムラグを算出できるが、この場合においても、その一致した灯色自体の予定終了時刻差ではなく、一致した灯色の次回以降の灯色の予定終了時刻差で代用することにしてもよい。
また、以上説明したタイムラグの算出方法はあくまで1つの具体例であり、その他の種々のバリエーションがあり得る。
【0097】
〔異常判定処理による効果〕
以上の通り、本実施形態の光ビーコン5によれば、制御部55(判定部553)が、第1比較の結果が肯定的である場合に、当該第1比較において一致した灯色間で生じるタイムラグが所定の閾値以下であるか否かにより、新規情報の異常を判定するので、データ内容に誤りがある異常な信号情報の到来を監視することができる。
このため、異常と判定された新規情報を光ビーコン5から車載機7に送信しないように処理することで、異常な信号情報が車載機7に渡ることによる安全運転支援への悪影響を防止することができる。
【0098】
また、本実施形態の光ビーコン5によれば、制御部55(判定部553)が、第2比較の結果が肯定的である場合に、当該第2比較において一致した灯色間で生じるタイムラグが所定の閾値以下であるか否かにより、新規情報の異常を判定するので、例えば図7(b)に示すような、更新情報が新規情報から見て若干遅れていることが原因で、判定時点tcが新規情報の灯色切り替わり時点と更新情報の灯色切り替わり時点との間に挟まれるタイミングであっても、新規情報の異常を正確に判定することができる。
【0099】
更に、本実施形態の光ビーコン5によれば、制御部55(判定部553)が、第3比較の結果が肯定的である場合に、当該第3比較において一致した灯色間で生じるタイムラグが所定の閾値以下であるか否かにより、新規情報の異常を判定するので、例えば図7(c)に示すような、更新情報が新規情報から見て若干進んでいることが原因で、判定時点tcが新規情報の灯色切り替わり時点と更新情報の灯色切り替わり時点との間に挟まれるタイミングであっても、新規情報の異常を正確に判定することができる。
【0100】
〔異常監視の中止処理〕
図11は制御部55の監視中止部554が行う異常監視の中止処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、監視中止部554は、信号情報を受信したか否かを繰り返し判定し(ステップS1)、受信した場合には、新たに受信した新規情報のデータ内容に基づいて、情報送信元である交通信号制御機2において「閃光現示」を実行しているか否かを判定する(ステップS2)。
【0101】
このステップS2の判定は、例えば、新規情報中の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに時間値が不明であることを示すフルビットが格納されているか否かによって行うことができる。
監視中止部554は、「閃光現示」が実行中であると判定した場合には、異常監視のスキップ信号を出力し(ステップS4)、実行中でないと判定した場合には、更に、情報送信元である交通信号制御機2において「地点感応制御」を実行しているか否かを判定する(ステップS3)。
【0102】
このステップ3の判定は、例えば、信号情報中の「最大残秒数」と「最小残秒数」の格納フィールドに異なる値が格納されているか否かによって行うことができる。
また、ステップ3の判定は、ある灯色情報の「最小保証時間」の格納フィールドに所定値が記されているか否かや、カウントダウン処理の停止要求のためのフラグフィールドのフラグ情報がオンであるか否かなどによって行うこともできる。
【0103】
監視中止部554は、「地点感応制御」が実行中である判定した場合には、スキップ信号を出力し(ステップS4)、実行中でないと判定した場合には、異常監視の実行信号を出力する(ステップS5)。従って、監視中止部554は、閃光現示でも地点感応制御でもない通常制御の実行中である場合に、異常監視の実行信号を出力する。
そして、制御部55の異常監視部(灯色比較部552と判定部553)は、監視中止部554がスキップ信号を出力すると、図6の分岐点B以降のステップを行わずに処理を終了し(図6の波線)、これによって監視処理が中止される。他方、異常監視部は、監視中止部554が実行信号を出力すると、分岐点B以降の各ステップを実行する。
【0104】
〔異常監視の中止処理による効果〕
このように、本実施形態の光ビーコン5によれば、監視中止部554が、地点感応制御や閃光現示のような不確定制御が実行されている場合に、異常監視部(灯色比較部552と判定部553)による監視処理を中止するので、ある交差点での交通信号制御が通常制御から不確定制御に移行した場合には、異常監視部による監視処理が中止される。
このため、交通信号制御機2が不確定制御を実行しても、光ビーコン5が行う信号情報の異常監視機能によって不確定制御の場合の信号情報が車載機7に送信されなくなるのを未然に防止することができる。
【0105】
〔その他の変形例〕
上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0106】
例えば、上述の実施形態では、灯色比較部552が行う「第2比較」が、新規情報の現在灯色(信号情報(1))が更新情報の次回灯色(信号情報(2))と一致するか否かを判定する処理になっているが、必ずしも更新情報の「次回灯色」を比較対象とする必要はなく、更新情報の現在灯色のm個後(m≧1の整数)の灯色との一致を判定するものであってもよい。
【0107】
同様に、上述の実施形態では、灯色比較部552が行う「第3比較」が、新規情報の現在灯色(信号情報(1))が更新情報の前回灯色(前回信号情報の灯色)と一致するか否かを判定する処理になっているが、必ずしも更新情報の「前回灯色」を比較対象とする必要はなく、更新情報の現在灯色のn個前(n≧1の整数)の灯色との一致を判定するものであってもよい。
もっとも、この場合には、更新部551が行うカウントダウン時の繰り上げ処理において、更新情報の少なくともn個前までの過去の灯色情報を残しておく必要がある。
【0108】
また、灯色比較部552は、必ずしも第1〜第3比較のすべてを実行しなくてもよく、第1比較だけを行うことにしてもよいし、第1比較を含む2種類の比較(第1比較と第2比較、或いは、第1比較と第3比較)を行うものであってもよい。なお、灯色比較部552が2種類の比較を行う場合の実行順序は任意である。
更に、図6に示す異常判定処理(その変形例も含む。)と図11に示す中止処理は、光ビーコン5の制御部55ではなく情報中継装置1の制御部10が行うようにしてもよい。
【0109】
この場合、交通信号制御機2が通常制御を実行している場合には、交通信号制御機2から新たに受信した信号情報のデータ内容に異常があっても、その異常な信号情報が光ビーコン5に中継されるのを防止できるとともに、その後、交通信号制御機2が不確定制御の実行を開始した場合でも、情報中継装置1が行う信号情報の異常監視機能によって不確定制御の場合の信号情報が光ビーコン5に送信されなくなる時間が継続するという事態を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 情報中継装置
2 交通信号制御機
4 車両感知器
5 光ビーコン(路側通信装置)
7 車載機
8 中央装置
53 中継側インタフェース部(取得部)
54 ヘッド側インタフェース部
55 制御部
551 更新部
552 灯色比較部
553 判定部
554 監視中止部
56 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯色毎の表示予定時間の格納フィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得する取得部と、
既に取得した前記信号情報の現在灯色の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた更新情報を生成する更新部と、
新たに取得した前記信号情報である新規情報の表示予定時間を前記更新情報の表示予定時間と比較することにより、前記新規情報に異常があるか否かを監視する異常監視部と、
前記表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御である不確定制御が実行されている場合に、前記異常監視部による監視処理を中止する監視中止部と、
を備えていることを特徴とする路側通信装置。
【請求項2】
前記信号情報は、1つの灯色の前記表示予定時間の格納フィールドとして最大時間と最小時間の格納フィールドを有しており、
前記監視中止部は、前記新規情報に含まれる前記最大時間と前記最小時間の格納フィールドに記された時間値の差分が0より大きい場合に、前記不確定制御の一種である地点感応制御が実行されていると判定する請求項1に記載の路側通信装置。
【請求項3】
前記信号情報は、前記更新部によるカウントダウン処理の停止要求のための格納フィールドを有しており、
前記監視中止部は、前記新規情報に含まれる前記停止要求のための格納フィールドにカウントダウン処理の停止指令が格納されている場合に、前記不確定制御の一種である地点感応制御が実行されていると判定する請求項1又は2に記載の路側通信装置。
【請求項4】
前記信号情報は、1つの灯色の前記表示予定時間の格納フィールドとして最大時間と最小時間の格納フィールドを有しており、
前記監視中止部は、前記最大時間と前記最小時間の格納フィールドのうちのいずれか一方に時間値が不明であることを示す情報が格納されている場合に、前記不確定制御の一種である閃光現示が実行されていると判定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の路側通信装置。
【請求項5】
灯色毎の表示予定時間の格納フィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得する第1のステップと、
既に取得した前記信号情報の現在灯色の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間をカウントダウンした値に置き換えた更新情報を生成する第2のステップと、
新たに取得した前記信号情報である新規情報の表示予定時間を前記更新情報の表示予定時間と比較することにより、当該新規情報に異常があるか否かを監視する第3のステップと、
前記表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御である不確定制御が実行されている場合に、前記第3のステップを中止する第4のステップと、
を含むことを特徴とする信号情報の異常監視の中止方法。
【請求項1】
灯色毎の表示予定時間の格納フィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得する取得部と、
既に取得した前記信号情報の現在灯色の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間を減算したカウントダウン値に置き換えた更新情報を生成する更新部と、
新たに取得した前記信号情報である新規情報の表示予定時間を前記更新情報の表示予定時間と比較することにより、前記新規情報に異常があるか否かを監視する異常監視部と、
前記表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御である不確定制御が実行されている場合に、前記異常監視部による監視処理を中止する監視中止部と、
を備えていることを特徴とする路側通信装置。
【請求項2】
前記信号情報は、1つの灯色の前記表示予定時間の格納フィールドとして最大時間と最小時間の格納フィールドを有しており、
前記監視中止部は、前記新規情報に含まれる前記最大時間と前記最小時間の格納フィールドに記された時間値の差分が0より大きい場合に、前記不確定制御の一種である地点感応制御が実行されていると判定する請求項1に記載の路側通信装置。
【請求項3】
前記信号情報は、前記更新部によるカウントダウン処理の停止要求のための格納フィールドを有しており、
前記監視中止部は、前記新規情報に含まれる前記停止要求のための格納フィールドにカウントダウン処理の停止指令が格納されている場合に、前記不確定制御の一種である地点感応制御が実行されていると判定する請求項1又は2に記載の路側通信装置。
【請求項4】
前記信号情報は、1つの灯色の前記表示予定時間の格納フィールドとして最大時間と最小時間の格納フィールドを有しており、
前記監視中止部は、前記最大時間と前記最小時間の格納フィールドのうちのいずれか一方に時間値が不明であることを示す情報が格納されている場合に、前記不確定制御の一種である閃光現示が実行されていると判定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の路側通信装置。
【請求項5】
灯色毎の表示予定時間の格納フィールドを有する信号情報を所定時間毎に取得する第1のステップと、
既に取得した前記信号情報の現在灯色の表示予定時間を、その取得時点からの経過時間をカウントダウンした値に置き換えた更新情報を生成する第2のステップと、
新たに取得した前記信号情報である新規情報の表示予定時間を前記更新情報の表示予定時間と比較することにより、当該新規情報に異常があるか否かを監視する第3のステップと、
前記表示予定時間が不確定な灯色を含む信号制御である不確定制御が実行されている場合に、前記第3のステップを中止する第4のステップと、
を含むことを特徴とする信号情報の異常監視の中止方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−53599(P2012−53599A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194733(P2010−194733)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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