路面清掃装置および路面清掃車両並びにこれを用いた路面清掃方法
【課題】 少ない水の使用量で効率的且つ迅速に路面洗浄が行えるようにする。
【解決手段】 荷台に水タンクが搭載され、運転席2の前面には除雪用のプラウ7が一体に取り付けられた散水車1において、プラウ7の両端部に水噴射ノズル13A・13Bを設け、給水ポンプによって水タンクからの水が供給される給水分岐ホース14A・14Bを介して水噴射ノズル13A・13Bへ水が送られるようにし、該水噴射ノズル13A・13Bから水を路面上に噴射させることにより、路面上のゴミ類を浮き上がらせると共に、プラウ7によって前記浮き上がったゴミ類を道路脇へ寄せ集めるようにする。
【解決手段】 荷台に水タンクが搭載され、運転席2の前面には除雪用のプラウ7が一体に取り付けられた散水車1において、プラウ7の両端部に水噴射ノズル13A・13Bを設け、給水ポンプによって水タンクからの水が供給される給水分岐ホース14A・14Bを介して水噴射ノズル13A・13Bへ水が送られるようにし、該水噴射ノズル13A・13Bから水を路面上に噴射させることにより、路面上のゴミ類を浮き上がらせると共に、プラウ7によって前記浮き上がったゴミ類を道路脇へ寄せ集めるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等の路面を清掃するための路面清掃車両、路面清掃装置およびこれらを用いた路面清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
台風が通過した直後の道路の路面には、小枝や落ち葉、種々のゴミ等が散乱しているため、これを迅速に排除して道路の安全な通行を確保する必要がある。
【0003】
従来、前述した種々のゴミ類が散乱した道路の路面を洗浄する場合の車両として、図17に示すように、後部に水を貯めておく水タンクを備えた散水車61が使用され、該散水車61の前部左右に設けられた通水パイプ62から水を噴出させることによって路面の洗浄を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記構造の散水車61による路面洗浄の場合、路面に単に放水を行ってゴミ類を洗い流すこととなるため、水が路面の広範囲に行き渡り難く、しかも短時間に多量の水を使用することから、路面の洗浄効果が十分に得られない上、作業の途中で水タンクが空になってしまい、頻繁に給水場所まで戻らなければならない等、種々の問題があった。
【0005】
本発明の目的は、少ない水の使用量で効率的且つ迅速に路面洗浄が行える路面清掃装置および路面清掃車両並びにこれを用いた路面清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの両端部に取り付けられた水噴射ノズルと、給水ポンプから水噴射ノズルへ水を供給する給水ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルから水が噴射されるようになされている路面清掃装置である。
【0007】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の路面清掃装置について、水噴射ノズルが左右方向に伸びるスリット状の噴射口を有する平型散水ノズルであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の本発明は、水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの前面に取り付けられ、左右方向に伸びる通水管と、通水管の前側にその長さ方向に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズルと、給水ポンプから通水管へ水を供給する給水ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルから水が噴射されるようになされている路面清掃装置である。
【0009】
請求項4記載の本発明は、水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの後面に取り付けられ、左右方向に伸びる通水管と、プラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズルと、通水管から水噴射ノズルへ水を供給する複数本の給水分岐枝ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルから水が噴射されるようになされている路面清掃装置である。
【0010】
請求項5記載の本発明は、前記請求項3または請求項4記載の路面清掃装置において、水噴射ノズルが小孔状の噴射口を有する噴口ノズルであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の路面清掃装置を備えた路面清掃車両である。本発明のベースとなる車両としては、散水車の前面にプラウを取り付けたものが挙げられる。
【0012】
請求項7記載の本発明は、車両の前面に取り付けられ、車両の進行に方向に対して傾斜した状態のプラウの両端部に水噴射ノズルを取り付け、水噴射ノズルからプラウの前方に水を噴射させることにより、路面上のゴミ類を路面から浮き上がらせると共に該ゴミ類をプラウによって道路脇に寄せ集めることを特徴とする路面清掃方法である。
【0013】
請求項8記載の本発明は、車両の前面に取り付けられ、車両の進行に方向に対して傾斜した状態のプラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて複数の水噴射ノズルを配し、水噴射ノズルからプラウの前方に水を噴出させることにより、路面上のゴミ類を路面から浮き上がらせると共に該ゴミ類をプラウによって道路脇に寄せ集めることを特徴とする路面清掃方法である。
【0014】
なお、この路面清掃方法において、プラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて複数の水噴射ノズルを配するとは、前記請求項2記載の路面清掃装置のように、プラウの前面に左右方向に伸びる通水管を取り付けて、その前側に所定間隔をあけて複数の水噴射ノズルを設ける場合と、前記請求項3記載の路面清掃装置のように、プラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて水噴射ノズルを直接的に設ける場合の両方が含まれる。
【0015】
また、本明細書において、「ゴミ類」とは、道路上に捨てられた煙草の吸殻や紙類等の通常のゴミの他、木の枝や葉、土、砂等のあらゆるものが含まれる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1または請求項2記載の路面清掃装置を備えた請求項6記載の路面清掃車両によって請求項7記載の路面清掃方法を行うことができ、この場合、プラウの両端に取り付けられた水噴射ノズルからプラウの前方に広範囲に水が噴射されることによって、路面上に散乱したゴミ類を広範囲に浮き上がらせると共に傾斜状態のプラウによって前記浮き上がったゴミ類が道路脇に寄せ集められることとなるため、前記水噴射ノズルとプラウとの協働によって路面上に散乱したゴミ類を効率的且つ確実に除去することができる。しかも水噴射ノズルによれば、従来の単なる放水に比べて水の単位時間あたりの使用量が大幅に削減されるため、作業途中で頻繁に給水場所まで戻る必要がなくなり、水タンク一杯分の水で所望距離の路面清掃が可能となる。
【0017】
請求項3〜請求項5のうちのいずれか一項記載の路面清掃装置を備えた請求項6記載の路面清掃車両によって請求項8記載の路面清掃方法を行うことができ、この場合、プラウの前面に配された水噴射ノズルからプラウの前方に広範囲に水が噴射されることによって、前述した効果と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1〜図9に示すように、路面清掃車両1は、前部の運転席部2と、その後側に設けられた荷台3と、荷台3の後部に設置された水タンク4と、水タンク4の前側に設けられた水の吸水口5および吐出口6と、運転席部2の前側に一体に取り付けられた除雪用のプラウ7と、プラウ7から吐出口6に伸びる給水ホース8と、水を水タンク4から給水ホース8へ供給するための給水ポンプ10とを備えている。プラウ7自体は、すでに市販されているものと同様の構造および作動を行うものであり、両端寄り部分の下部にタイヤTを有し、油圧で左右斜め方向に作動する。9はプラウ7の作動源となる油のリザーバータンクである。
【0020】
そして、図3、図4および図6に示すように、前記給水ホース8の先端部には、T字状の分岐管20が接続され、分岐管20の両端部にはそれぞれ切り替え弁30A・30Bを介して給水分岐ホース14A・14Bの基部14bが接続されている。また、プラウ7の両端部には水を噴射するための噴射ノズル13A・13Bが設けられ、噴射ノズル13A・13Bの基部13aには給水分岐ホース14A・14Bの先端部14aが接続されている。この接続構造をより詳細すると、図4および図5に示すように、噴射ノズル13A・13Bの基部にはフランジ15が一体に成形され、給水分岐ホース14A・14Bの先端部14aにはL字管18が接続され、L字管18の先端部にはフランジ19を有する筒状部材21が一体に取り付けられ、ボルト16およびナット17をよって上記フランジ15とフランジ19同士が接合されている。
【0021】
噴射ノズル13A・13Bは、いわゆる平型散水ノズルであって、全体が略釣鐘形状であり、前側に水平方向に伸びるスリット状の噴射口22が形成されており、ボルト23によって垂直方向の角度調整を行い、ボルト24によって水平方向の角度調整を行うものである。
【0022】
次に、噴射ノズル13A・13Bへの吸水について述べると、水は、給水ポンプ10によって、水タンク4の吐出口6から給水ホース8へ供給され、給水ホース8の先端側では給水分岐ホース14A・14Bに分かれて供給される。この場合、左右の給水分岐ホース14A・14Bへの水の供給は、切り替え弁30A・30Bによって制御される。すなわち、左側の切り替え弁30Aが開状態で右側の切り替え弁30Bが閉状態の場合には左側の噴射ノズル13Aだけから水の噴射が行われ、逆に、左側の切り替え弁30Aが閉状態で右側の切り替え弁30Bが開状態の場合には右側の噴射ノズル13Bだけから水の噴射が行われ、また切り替え弁30A・30Bの両方が開状態の場合には、左右の13A・13Bから水の噴射が行われる。
【0023】
本実施形態に係る路面清掃車両1による路面清掃の要領について説明すると、先ず左側散布の場合には、図7に示すように、プラウ7は左端側7aが右端側7bよりも前に出た傾斜状態となり、この状態で左側の噴射ノズル13Aだけから水が噴射されることにより、路面上のゴミは水によって路面から浮き上がると共に右側(路肩側)へ寄せ集められる。その結果、路面はゴミが除去された状態となる。
【0024】
一方、右側散布の場合には、図8に示すように、プラウ7は右端側7bが左端側7aよりも前に出た傾斜状態となり、この状態で右側の噴射ノズル13Bだけから水が噴射されることにより、路面上のゴミは水によって路面から浮き上がると共に左側(路肩側)へ寄せ集められる。その結果、路面はゴミが除去された状態となる。
【0025】
更に、両側散布の場合には、図9に示すように、プラウ7が左右いずれか一方に傾斜した状態で両側の噴射ノズル13A・13Bから水が噴射される。
【0026】
本実施形態では、図1に示すように、プラウ7の両端部から突出するように噴射ノズル13A・13Bが設けられているが、これら噴射ノズル13A・13Bは、図10に示すように、プラウ7の前面7cの両端部に設けられる場合もある。
【0027】
次に、プラウ7における水の噴射装置についての他の実施形態について説明すると、図 11〜図13に示すように、噴射装置は、プラウ7の前面下縁寄り部分に設けられた左右方向に伸びる通水管41と、通水管41の前側に一定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズル42と、通水管41の一端に接続され、給水ポンプ10によって水タンク4からの水が供給される給水ホース43とを備えている。
【0028】
プラウ7における通水管41の取り付け構造について説明すると、プラウ7の前面下縁寄り部分には所定間隔をあけてL字状部材44がボルト45により固定され、L字状部材44の上半部44aの両端寄り部分に形成された透孔(図示せず)には通水管41の外面に嵌め被せられたU字状部材47の両端部47aが挿通され、該両端部47aに形成された雄ネジ(図示せず)にナット49が嵌合されることで、通水管41がプラウ7の前面下縁寄り部分に固定されている。
【0029】
また、前記通水管41と給水ホース43とはL字管40を介して接続されており、給水ホース43は前記給水ホース8と同様、給水ポンプ10を介して水タンク4とつながっている。
【0030】
次に、プラウ7における水の噴射装置についての更に他の実施形態について説明すると、図14〜図16に示すように、水の噴射装置は、プラウ7の前面7cの下縁寄り部分に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズル52と、プラウ7の後面7dの上端寄り部分に設けられ、給水ホース43の先端部が接続された通水管51と、通水管51から下方に伸び、前記水噴射ノズル52に接続されている複数本の給水分岐枝ホース53とを備えている。
【0031】
プラウ7における水噴射ノズル52の基部52aはプラウ7に貫通状に取り付けられ、基部52aに給水分岐枝ホース53の先端部が接続されている。
【0032】
次に、本実施形態に係る水の噴射装置による噴射の要領について説明すると、給水ホース43からの水は通水管51に流入し、次に水は通水管51から給水分岐枝ホース53へ流入し、最終的に水噴射ノズル52から噴射される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、少ない水の使用量で効果的な路面清掃が可能となるため、道路管理の分野において幅広い利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態1に係る路面清掃車両の正面図である。
【図2】同実施形態に係る路面清掃車両の側面図である。
【図3】同実施形態に係る路面清掃車両の斜視図である。。
【図4】同実施形態におけるプラウの斜視図である。
【図5】同実施形態における水噴射ノズルの斜視図である。
【図6】同実施形態におけるプラウの上部拡大斜視図である。
【図7】同実施形態に係る路面清掃車両によるプラウ左側噴射の状態を示す平面図である。
【図8】同実施形態に係る路面清掃車両によるプラウ右側噴射の状態を示す平面図である。
【図9】同実施形態に係る路面清掃車両によるプラウ両側噴射の状態を示す平面図である。
【図10】実施形態1の変形例を示す路面清掃車両の正面図である。
【図11】実施形態2に係る路面清掃車両の正面図である。
【図12】同実施形態に係るプラウ前部の斜視図である。
【図13】同実施形態に係るプラウ前端部の斜視図である。
【図14】実施形態3に係る路面清掃車両の正面図である。
【図15】同実施形態におけるプラウの斜視図である。
【図16】同実施形態におけるプラウの側面図である。
【図17】従来例を示す路面清掃車両前部の側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 路面清掃車両
4 水タンク
8 給水ホース
10 給水ポンプ
13A・13B 水の噴射ノズル
14A・14B 給水分岐ホース
41 通水管
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等の路面を清掃するための路面清掃車両、路面清掃装置およびこれらを用いた路面清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
台風が通過した直後の道路の路面には、小枝や落ち葉、種々のゴミ等が散乱しているため、これを迅速に排除して道路の安全な通行を確保する必要がある。
【0003】
従来、前述した種々のゴミ類が散乱した道路の路面を洗浄する場合の車両として、図17に示すように、後部に水を貯めておく水タンクを備えた散水車61が使用され、該散水車61の前部左右に設けられた通水パイプ62から水を噴出させることによって路面の洗浄を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記構造の散水車61による路面洗浄の場合、路面に単に放水を行ってゴミ類を洗い流すこととなるため、水が路面の広範囲に行き渡り難く、しかも短時間に多量の水を使用することから、路面の洗浄効果が十分に得られない上、作業の途中で水タンクが空になってしまい、頻繁に給水場所まで戻らなければならない等、種々の問題があった。
【0005】
本発明の目的は、少ない水の使用量で効率的且つ迅速に路面洗浄が行える路面清掃装置および路面清掃車両並びにこれを用いた路面清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの両端部に取り付けられた水噴射ノズルと、給水ポンプから水噴射ノズルへ水を供給する給水ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルから水が噴射されるようになされている路面清掃装置である。
【0007】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の路面清掃装置について、水噴射ノズルが左右方向に伸びるスリット状の噴射口を有する平型散水ノズルであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の本発明は、水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの前面に取り付けられ、左右方向に伸びる通水管と、通水管の前側にその長さ方向に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズルと、給水ポンプから通水管へ水を供給する給水ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルから水が噴射されるようになされている路面清掃装置である。
【0009】
請求項4記載の本発明は、水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの後面に取り付けられ、左右方向に伸びる通水管と、プラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズルと、通水管から水噴射ノズルへ水を供給する複数本の給水分岐枝ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルから水が噴射されるようになされている路面清掃装置である。
【0010】
請求項5記載の本発明は、前記請求項3または請求項4記載の路面清掃装置において、水噴射ノズルが小孔状の噴射口を有する噴口ノズルであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の路面清掃装置を備えた路面清掃車両である。本発明のベースとなる車両としては、散水車の前面にプラウを取り付けたものが挙げられる。
【0012】
請求項7記載の本発明は、車両の前面に取り付けられ、車両の進行に方向に対して傾斜した状態のプラウの両端部に水噴射ノズルを取り付け、水噴射ノズルからプラウの前方に水を噴射させることにより、路面上のゴミ類を路面から浮き上がらせると共に該ゴミ類をプラウによって道路脇に寄せ集めることを特徴とする路面清掃方法である。
【0013】
請求項8記載の本発明は、車両の前面に取り付けられ、車両の進行に方向に対して傾斜した状態のプラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて複数の水噴射ノズルを配し、水噴射ノズルからプラウの前方に水を噴出させることにより、路面上のゴミ類を路面から浮き上がらせると共に該ゴミ類をプラウによって道路脇に寄せ集めることを特徴とする路面清掃方法である。
【0014】
なお、この路面清掃方法において、プラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて複数の水噴射ノズルを配するとは、前記請求項2記載の路面清掃装置のように、プラウの前面に左右方向に伸びる通水管を取り付けて、その前側に所定間隔をあけて複数の水噴射ノズルを設ける場合と、前記請求項3記載の路面清掃装置のように、プラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて水噴射ノズルを直接的に設ける場合の両方が含まれる。
【0015】
また、本明細書において、「ゴミ類」とは、道路上に捨てられた煙草の吸殻や紙類等の通常のゴミの他、木の枝や葉、土、砂等のあらゆるものが含まれる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1または請求項2記載の路面清掃装置を備えた請求項6記載の路面清掃車両によって請求項7記載の路面清掃方法を行うことができ、この場合、プラウの両端に取り付けられた水噴射ノズルからプラウの前方に広範囲に水が噴射されることによって、路面上に散乱したゴミ類を広範囲に浮き上がらせると共に傾斜状態のプラウによって前記浮き上がったゴミ類が道路脇に寄せ集められることとなるため、前記水噴射ノズルとプラウとの協働によって路面上に散乱したゴミ類を効率的且つ確実に除去することができる。しかも水噴射ノズルによれば、従来の単なる放水に比べて水の単位時間あたりの使用量が大幅に削減されるため、作業途中で頻繁に給水場所まで戻る必要がなくなり、水タンク一杯分の水で所望距離の路面清掃が可能となる。
【0017】
請求項3〜請求項5のうちのいずれか一項記載の路面清掃装置を備えた請求項6記載の路面清掃車両によって請求項8記載の路面清掃方法を行うことができ、この場合、プラウの前面に配された水噴射ノズルからプラウの前方に広範囲に水が噴射されることによって、前述した効果と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1〜図9に示すように、路面清掃車両1は、前部の運転席部2と、その後側に設けられた荷台3と、荷台3の後部に設置された水タンク4と、水タンク4の前側に設けられた水の吸水口5および吐出口6と、運転席部2の前側に一体に取り付けられた除雪用のプラウ7と、プラウ7から吐出口6に伸びる給水ホース8と、水を水タンク4から給水ホース8へ供給するための給水ポンプ10とを備えている。プラウ7自体は、すでに市販されているものと同様の構造および作動を行うものであり、両端寄り部分の下部にタイヤTを有し、油圧で左右斜め方向に作動する。9はプラウ7の作動源となる油のリザーバータンクである。
【0020】
そして、図3、図4および図6に示すように、前記給水ホース8の先端部には、T字状の分岐管20が接続され、分岐管20の両端部にはそれぞれ切り替え弁30A・30Bを介して給水分岐ホース14A・14Bの基部14bが接続されている。また、プラウ7の両端部には水を噴射するための噴射ノズル13A・13Bが設けられ、噴射ノズル13A・13Bの基部13aには給水分岐ホース14A・14Bの先端部14aが接続されている。この接続構造をより詳細すると、図4および図5に示すように、噴射ノズル13A・13Bの基部にはフランジ15が一体に成形され、給水分岐ホース14A・14Bの先端部14aにはL字管18が接続され、L字管18の先端部にはフランジ19を有する筒状部材21が一体に取り付けられ、ボルト16およびナット17をよって上記フランジ15とフランジ19同士が接合されている。
【0021】
噴射ノズル13A・13Bは、いわゆる平型散水ノズルであって、全体が略釣鐘形状であり、前側に水平方向に伸びるスリット状の噴射口22が形成されており、ボルト23によって垂直方向の角度調整を行い、ボルト24によって水平方向の角度調整を行うものである。
【0022】
次に、噴射ノズル13A・13Bへの吸水について述べると、水は、給水ポンプ10によって、水タンク4の吐出口6から給水ホース8へ供給され、給水ホース8の先端側では給水分岐ホース14A・14Bに分かれて供給される。この場合、左右の給水分岐ホース14A・14Bへの水の供給は、切り替え弁30A・30Bによって制御される。すなわち、左側の切り替え弁30Aが開状態で右側の切り替え弁30Bが閉状態の場合には左側の噴射ノズル13Aだけから水の噴射が行われ、逆に、左側の切り替え弁30Aが閉状態で右側の切り替え弁30Bが開状態の場合には右側の噴射ノズル13Bだけから水の噴射が行われ、また切り替え弁30A・30Bの両方が開状態の場合には、左右の13A・13Bから水の噴射が行われる。
【0023】
本実施形態に係る路面清掃車両1による路面清掃の要領について説明すると、先ず左側散布の場合には、図7に示すように、プラウ7は左端側7aが右端側7bよりも前に出た傾斜状態となり、この状態で左側の噴射ノズル13Aだけから水が噴射されることにより、路面上のゴミは水によって路面から浮き上がると共に右側(路肩側)へ寄せ集められる。その結果、路面はゴミが除去された状態となる。
【0024】
一方、右側散布の場合には、図8に示すように、プラウ7は右端側7bが左端側7aよりも前に出た傾斜状態となり、この状態で右側の噴射ノズル13Bだけから水が噴射されることにより、路面上のゴミは水によって路面から浮き上がると共に左側(路肩側)へ寄せ集められる。その結果、路面はゴミが除去された状態となる。
【0025】
更に、両側散布の場合には、図9に示すように、プラウ7が左右いずれか一方に傾斜した状態で両側の噴射ノズル13A・13Bから水が噴射される。
【0026】
本実施形態では、図1に示すように、プラウ7の両端部から突出するように噴射ノズル13A・13Bが設けられているが、これら噴射ノズル13A・13Bは、図10に示すように、プラウ7の前面7cの両端部に設けられる場合もある。
【0027】
次に、プラウ7における水の噴射装置についての他の実施形態について説明すると、図 11〜図13に示すように、噴射装置は、プラウ7の前面下縁寄り部分に設けられた左右方向に伸びる通水管41と、通水管41の前側に一定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズル42と、通水管41の一端に接続され、給水ポンプ10によって水タンク4からの水が供給される給水ホース43とを備えている。
【0028】
プラウ7における通水管41の取り付け構造について説明すると、プラウ7の前面下縁寄り部分には所定間隔をあけてL字状部材44がボルト45により固定され、L字状部材44の上半部44aの両端寄り部分に形成された透孔(図示せず)には通水管41の外面に嵌め被せられたU字状部材47の両端部47aが挿通され、該両端部47aに形成された雄ネジ(図示せず)にナット49が嵌合されることで、通水管41がプラウ7の前面下縁寄り部分に固定されている。
【0029】
また、前記通水管41と給水ホース43とはL字管40を介して接続されており、給水ホース43は前記給水ホース8と同様、給水ポンプ10を介して水タンク4とつながっている。
【0030】
次に、プラウ7における水の噴射装置についての更に他の実施形態について説明すると、図14〜図16に示すように、水の噴射装置は、プラウ7の前面7cの下縁寄り部分に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズル52と、プラウ7の後面7dの上端寄り部分に設けられ、給水ホース43の先端部が接続された通水管51と、通水管51から下方に伸び、前記水噴射ノズル52に接続されている複数本の給水分岐枝ホース53とを備えている。
【0031】
プラウ7における水噴射ノズル52の基部52aはプラウ7に貫通状に取り付けられ、基部52aに給水分岐枝ホース53の先端部が接続されている。
【0032】
次に、本実施形態に係る水の噴射装置による噴射の要領について説明すると、給水ホース43からの水は通水管51に流入し、次に水は通水管51から給水分岐枝ホース53へ流入し、最終的に水噴射ノズル52から噴射される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、少ない水の使用量で効果的な路面清掃が可能となるため、道路管理の分野において幅広い利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態1に係る路面清掃車両の正面図である。
【図2】同実施形態に係る路面清掃車両の側面図である。
【図3】同実施形態に係る路面清掃車両の斜視図である。。
【図4】同実施形態におけるプラウの斜視図である。
【図5】同実施形態における水噴射ノズルの斜視図である。
【図6】同実施形態におけるプラウの上部拡大斜視図である。
【図7】同実施形態に係る路面清掃車両によるプラウ左側噴射の状態を示す平面図である。
【図8】同実施形態に係る路面清掃車両によるプラウ右側噴射の状態を示す平面図である。
【図9】同実施形態に係る路面清掃車両によるプラウ両側噴射の状態を示す平面図である。
【図10】実施形態1の変形例を示す路面清掃車両の正面図である。
【図11】実施形態2に係る路面清掃車両の正面図である。
【図12】同実施形態に係るプラウ前部の斜視図である。
【図13】同実施形態に係るプラウ前端部の斜視図である。
【図14】実施形態3に係る路面清掃車両の正面図である。
【図15】同実施形態におけるプラウの斜視図である。
【図16】同実施形態におけるプラウの側面図である。
【図17】従来例を示す路面清掃車両前部の側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 路面清掃車両
4 水タンク
8 給水ホース
10 給水ポンプ
13A・13B 水の噴射ノズル
14A・14B 給水分岐ホース
41 通水管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの両端部に取り付けられた水噴射ノズルと、給水ポンプから水噴射ノズルへ水を供給する給水ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルからプラウの前方に水が噴射されるようになされている、路面清掃装置。
【請求項2】
水噴射ノズルが左右方向に伸びるスリット状の噴射口を有する平型散水ノズルであることを特徴とする、請求項1記載の路面清掃装置。
【請求項3】
水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの前面に取り付けられ、左右方向に伸びる通水管と、通水管の前側にその長さ方向に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズルと、給水ポンプから通水管へ水を供給する給水ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルからプラウの前方に水が噴射されるようになされている、路面清掃装置。
【請求項4】
水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの後面に取り付けられ、左右方向に伸びる通水管と、プラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズルと、通水管から水噴射ノズルへ水を供給する複数本の給水分岐枝ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルからプラウの前方に水が噴射されるようになされている、路面清掃装置。
【請求項5】
水噴射ノズルが小孔状の噴射口を有する噴口ノズルであることを特徴とする、請求項3または請求項4記載の路面清掃装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の路面清掃装置を備えた路面清掃車両。
【請求項7】
車両の前面に取り付けられ、車両の進行に方向に対して傾斜した状態のプラウの両端部に水噴射ノズルを取り付け、水噴射ノズルからプラウの前方に水を噴射させることにより、路面上のゴミ類を路面から浮き上がらせると共に該ゴミ類をプラウによって道路脇に寄せ集めることを特徴とする、路面清掃方法。
【請求項8】
車両の前面に取り付けられ、車両の進行に方向に対して傾斜した状態のプラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて複数の水噴射ノズルを配し、水噴射ノズルからプラウの前方に水を噴出させることにより、路面上のゴミ類を路面から浮き上がらせると共に該ゴミ類をプラウによって道路脇に寄せ集めることを特徴とする、路面清掃方法。
【請求項1】
水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの両端部に取り付けられた水噴射ノズルと、給水ポンプから水噴射ノズルへ水を供給する給水ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルからプラウの前方に水が噴射されるようになされている、路面清掃装置。
【請求項2】
水噴射ノズルが左右方向に伸びるスリット状の噴射口を有する平型散水ノズルであることを特徴とする、請求項1記載の路面清掃装置。
【請求項3】
水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの前面に取り付けられ、左右方向に伸びる通水管と、通水管の前側にその長さ方向に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズルと、給水ポンプから通水管へ水を供給する給水ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルからプラウの前方に水が噴射されるようになされている、路面清掃装置。
【請求項4】
水が貯留された水タンクと、水タンクから水を吐出させる給水ポンプと、プラウの後面に取り付けられ、左右方向に伸びる通水管と、プラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて設けられた複数の水噴射ノズルと、通水管から水噴射ノズルへ水を供給する複数本の給水分岐枝ホースとを有し、給水ポンプの作動に伴って水噴射ノズルからプラウの前方に水が噴射されるようになされている、路面清掃装置。
【請求項5】
水噴射ノズルが小孔状の噴射口を有する噴口ノズルであることを特徴とする、請求項3または請求項4記載の路面清掃装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の路面清掃装置を備えた路面清掃車両。
【請求項7】
車両の前面に取り付けられ、車両の進行に方向に対して傾斜した状態のプラウの両端部に水噴射ノズルを取り付け、水噴射ノズルからプラウの前方に水を噴射させることにより、路面上のゴミ類を路面から浮き上がらせると共に該ゴミ類をプラウによって道路脇に寄せ集めることを特徴とする、路面清掃方法。
【請求項8】
車両の前面に取り付けられ、車両の進行に方向に対して傾斜した状態のプラウの前面にその長さ方向に所定間隔をあけて複数の水噴射ノズルを配し、水噴射ノズルからプラウの前方に水を噴出させることにより、路面上のゴミ類を路面から浮き上がらせると共に該ゴミ類をプラウによって道路脇に寄せ集めることを特徴とする、路面清掃方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−221657(P2009−221657A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63943(P2008−63943)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【出願人】(508001431)西日本高速道路メンテナンス九州株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【出願人】(508001431)西日本高速道路メンテナンス九州株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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