説明

身体活動検出装置

【課題】身体活動の種類に関係なく、使用者による身体活動の身体活動強度及び目標身体活動量に対する達成度を取得できる身体活動検出装置を提供する。
【解決手段】使用者による身体活動の身体活動強度を測定する身体活動測定手段と、身体活動測定手段により測定された身体活動強度に関する身体活動量を取得すると共に、目標身体活動量に対する達成度を演算する演算手段と、を備える。演算手段は、身体活動測定手段により測定された身体活動強度が、所定閾値以上であるか否かを判断し、所定閾値以上であると判断された身体活動強度に関する身体活動量の目標身体活動量に対する達成度を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の身体活動の身体活動強度を測定し、身体活動の身体活動量を算出できる身体活動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運動不足による身体への影響が懸念されている中、特に、骨粗鬆症の増加が社会問題化しており、その患者数は、高年齢層に比較的多く分布していることが知られている。このような骨粗鬆症を予防するためには、歩行運動(走ることを含む。以下同じ。)といった種々の身体活動を行い、骨にある程度の負荷を与えることが有効であることが知られている。
【0003】
このため、運動不足の解消ないし骨粗鬆症の予防のための身体活動の一つとして、例えば歩行運動(ウォーキング)がしばしば行われるが、その際に、歩行運動を評価するための歩数計が広く利用されている。歩数計は、使用者の歩行運動による歩数(ステップ)をカウントしたり、それに応じた歩行距離や消費エネルギーを算出したりする構成のものが知られている。例えば、特許文献1が開示する従来の歩数計を含む身体活動検出装置は、使用者の身体活動に応じて変化する加速度値を測定可能な加速度センサを用いて、歩行運動に関連する加速度値を選択し歩数カウンタで歩数をカウントする構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−191580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の歩数計のような身体活動検出装置では、使用者の歩数のカウント、それに応じた歩行距離や消費エネルギーの算出を主たる目的とするものである。そのため、使用者個人がそれぞれ必要とする活動目標やその達成度の把握、特に、骨粗鬆症の予防に効果的な活動量の把握やその達成度の把握、は必ずしも容易なものではなかった。また、運動不足の解消や骨粗鬆症の予防に効果的な運動としては、歩行運動に限られるものではないため、歩行運動以外の身体活動をも考慮して、効果的な運動をどの程度行ったのかを容易に把握可能な身体活動検出装置が望まれている。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、身体活動の種類に関係なく、使用者による身体活動の身体活動強度及び目標身体活動量に対する達成度を取得できる身体活動検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の身体活動検出装置は、使用者による身体活動の身体活動強度を測定する身体活動測定手段と、前記身体活動測定手段により測定された前記身体活動強度に関する身体活動量を取得すると共に、目標身体活動量に対する達成度を演算する演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の身体活動検出装置において、前記演算手段は、前記身体活動測定手段により測定された前記身体活動強度が、所定閾値以上であるか否かを判断し、前記所定閾値以上であると判断された身体活動強度に関する身体活動量の目標身体活動量に対する達成度を演算することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の身体活動検出装置は、所定測定期間において前記所定閾値以上であると判断された身体活動強度に関する身体活動量を記憶する記憶手段を備え、前記演算手段は、前記記憶されている前記身体活動量を合計し、目標身体活動量に対する前記合計された身体活動量の達成度を演算することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の身体活動検出装置は、所定測定期間において前記所定閾値以上であると判断された身体活動強度ごとの身体活動時間を記憶する記憶手段を備え、前記演算手段は、前記身体活動強度ごとに前記記憶されている身体活動時間を合計して前記身体活動量を取得することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の身体活動検出装置において、前記所定閾値及び/又は前記目標身体活動量は、骨粗鬆症の予防に効果的な負荷が骨に加わる身体活動に対応する値であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の身体活動検出装置において、前記所定閾値及び/又は前記目標身体活動量は、使用者の年齢及び/又は性別に応じて設定されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の身体活動検出装置において、前記身体活動測定手段は、加速度センサであり、前記身体活動強度は、前記加速度センサにより測定される身体活動の加速度値に基づいて算出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、身体活動測定手段により測定された身体活動強度に関する身体活動量を求め、目標身体活動量に対する達成度を算出することができる。従って、使用者が行う種々の身体活動について、目標身体活動量に対する達成度を取得することができ、使用者の健康管理を容易かつ的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る身体活動検出装置の制御系を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る身体活動検出装置の動作処理を示すフローチャートである。
【図3】実施形態に係る身体活動検出装置に保存される目標身体活動量の一例を示す表である。
【図4】(a)は、身体活動検出装置の表示部に示される表示の一例を示す図であり、(b)は、身体活動検出装置の表示部に示される表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、身体活動は、使用者が安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する総ての動作を意味し、身体活動は運動と生活活動に分類される。運動は、体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施するものを指し、例えば、走ること、スクワット等が該当する。また、生活活動は、運動以外のものをいい、例えば、歩行、階段の昇降、布団上げ等が該当する。
【0017】
さらに、身体活動強度は、人の身体活動の強さを、安静時の何倍に相当するかで表す数値である。なお、運動所要量・運動指針の策定検討会が、平成18年7月に策定した「健康づくりのための運動指針2006」における、「メッツ」に相当する。これに準じ、以下において身体活動強度は、単位をメッツで表して説明することとする。身体活動強度は、加速度値に相関関係を有するため、使用者が身体活動を行う際の加速度値に関するデータを用いて算出することが可能である。加速度値に関するデータとしては、身体活動ごとの上限ピーク値と下限ピーク値との平均値、身体活動ごとの加速度値自体など、適宜採択可能である。なお、身体活動強度は、所定の回帰式に加速度値を代入し求めることができる。各身体活動の身体活動強度の目安を示すと、安静時を1.0メッツとした場合、料理の準備、歯磨き、手洗いなどの動作は、2.0メッツ、普通歩行(平地で67m/分)、階段を降りる動作は3.0メッツ、速歩(平地で95〜100m/分)は、4.0メッツ、かなり速い速歩(平地で107m/分)は、5.0メッツ、家具、家財道具の移動、階段を昇る動作は、8.0メッツである。
【0018】
また、身体活動量は、身体活動の量を表す数値であり、身体活動強度に身体活動の実施時間を乗じた値である。前記「健康づくりのための運動指針2006」における「エクササイズ」に相当する。これに準じ、以下において身体活動量は、単位をエクササイズで表わして説明することとする。例えば、身体活動強度が3メッツの身体活動を1時間継続した場合には、身体活動量は、3エクササイズ(メッツ・時間)となる。
【0019】
以下、本発明の一実施形態として骨粗鬆症の発症を防止するために用いられる身体活動検出装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は、身体活動検出装置10の制御系を示すブロック図、図2は、実施形態に係る身体活動検出装置10の動作処理を示すフローチャート、図3は、実施形態に係る身体活動検出装置10に保存される目標身体活動量の一例を示す表、図4(a)は、身体活動検出装置10の表示部22に示される表示の一例を示す図、(b)は、身体活動検出装置10の表示部22に示される表示の他の例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、身体活動検出装置10は、操作部21、表示部22、電源部23、加速度センサ31、演算部32、記憶部33、計時部34、A/D変換器35、及び、制御部40を備える。身体活動検出装置10の外観形状は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂等から形成された本体部(図示せず)を有し、その本体部の表面上の所定位置に操作部22及び操作部21が配置され、必要に応じて、使用者の身体に装着するためのクリップ、ストラップ係止穴などの構成(図示せず)を形成したものとすればよい。以下に、各部の詳細な構成について説明する。
【0021】
操作部21は、主として、使用者の生体情報の入力や、身体活動検出装置10の設定事項を入力するためのデータ入力手段として機能する。操作部21の個数・形状・操作方法は特に限定されるものではなく、ボタン式、タッチセンサ式、ダイヤル式など適宜採択可能である。ここで、操作部21によって入力される生体情報としては、年齢、性別などをあげることができるが、後述のように使用者の身体活動強度、身体活動量及び達成度を求めるために必要な生体情報であれば特に限定されるものではない。
また、設定事項とは、使用者が身体活動検出装置10を使用する上で必要な設定事項であり、例えば、身体活動検出装置10の初期設定、現在日時・曜日、表示部22における表示内容の切り替えなどが挙げられる。このように入力された生体情報や設定事項は、制御部40の制御により、記憶部33(例えばRAM(Random Access Memory))に記憶され、表示部22に表示されるようになっている。
【0022】
表示部22は、制御部40から送られてくるデータを表示するためのデータ表示手段であって、主として使用者の生体情報や設定事項の表示、操作の案内表示、現在時刻・日付・曜日の表示、その使用日における身体活動強度、目標とする身体活動量に対する達成度、目標とする身体活動強度及びその時間(分)等(図4(a)参照)や、目標とする身体活動量(目標身体活動量)を達成するのに適した身体活動(階段昇降、ウォーキング、布団あげ、スクワット等)の表示(アドバイス表示)を行う(図4(b)参照)。
【0023】
表示内容は記憶部33に記憶されており、制御部40は、記憶部33にあらかじめ記憶されたプログラムにしたがい、身体活動検出装置10の使用状況に応じて、記憶部33からデータを読み出して、表示部22に表示させるようになっている。表示部22は、一例として、LCD(Liquid Crystal Display)などの液晶を用いてもよいし、表示部22と操作部21とを、例えばタッチパネル機能を備えた液晶表示パネルとして一体的に構成してもよい。
【0024】
電源部23は、電池(バッテリー)などの電力供給源によって構成される電力供給手段であり、身体活動検出装置10の各構成部材には、制御部40を介して電力が供給されるようになっている。
【0025】
身体活動検出装置10は、内部機構として、加速度センサ31、演算部32、記憶部33、計時部34、A/D変換器35、及び制御部40を備える。演算部32及び制御部40は、それぞれ集積回路で構成することが好ましい。
【0026】
記憶部33は、揮発性メモリ(図示せず)、不揮発性メモリ(図示せず)などによって構成される記憶手段である。揮発性メモリは、制御部40による処理等のための各種データを一時的に記憶できるようになっている。また、演算部32の演算処理時の記憶領域としても機能する。不揮発性メモリは、長期保存すべきデータの記憶に使用される。例えば、過去に行った身体活動に関する情報についてその日時ごとの記憶、使用者により入力された生体情報の記憶、後述の目標身体活動量テーブル(図3参照)の記憶、各種プログラムの記憶などに用いることができるようになっている。
また、記憶部33は、後述のように、所定閾値以上であると判断された身体活動強度に関する身体活動量や、所定閾値以上であると判断された身体活動強度ごとの身体活動時間を継続的に蓄積するデータ蓄積手段として機能する。
【0027】
計時部34は、所定時間の経過を計時する機能を有し、使用者が身体活動検出装置10の使用を開始した時点からの経過時間を計測することが可能である。なお、本実施形態では、計時部34は独立の構成要素としているが、計時回路として制御部40に一体化された構成とし、制御部40自身が所定時間を計時し、その所定時間が経過しているか否かの判断がなされるようにしてもよい。
【0028】
加速度センサ31(身体活動測定手段)は、使用者の身体活動に関する身体活動情報としての加速度値を測定可能であり、使用者が行う身体活動の加速度値に応じ、出力値が変化するセンサである。より具体的には、加速度センサ31は、身体活動に関し互いに直行する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向成分についてそれぞれ検出することができるように、X軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cを有し(図1参照)、X軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cの各出力値を合成した値を加速度値として取得することができるようになっている。
【0029】
加速度センサ31により取得される出力は、制御部40や演算部32等による処理のために、A/D変換器35によりアナログ−デジタル変換される。より具体的には、X軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cによって取得されたアナログデータとしての各出力値は、それぞれA/D変換器35a、A/D変換器35b、A/D変換器35cによってデジタルデータに変換されるとともに、計時部34と連動して、取得開始からの経過時間に対応させて記憶部33に記憶されるようになっている。
【0030】
このようなX軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cの各出力値のA/D変換値は、制御部40による制御のもと、演算部32により、それぞれ合成されて、デジタルデータとしての加速度値(加速度値のA/D変換値)や、これに対応する身体活動強度が求められ、制御部40は、計時部34と連動して、取得開始からの経過時間に対応させて記憶部33に記憶させる。
【0031】
なお、この加速度センサ31によって使用者のあらゆる身体活動についての加速度値をより正確に取得するために、身体活動検出装置10を使用者の身体に可能な限り密着していることが好ましく、特に上半身の身体活動をも検知することができるよう、例えば、使用者が腰部に巻いているベルトなどに装着した状態や、使用者の着衣の胸ポケットなどに収める状態を推奨するとよい。このように取得された身体活動情報は、制御部40の制御により、記憶部33に記憶され、例えば身体活動強度、身体活動量が表示部22に表示される。
【0032】
身体活動測定手段として、加速度センサ31を説明したが、これに代えて又は加えて、例えば、気圧センサを採択してもよい。気圧センサによれば、階段昇降のような上昇する又は下降する活動の活動情報を効果的に取得することが可能である。
【0033】
図1に示すように、制御部40は、操作部21、表示部22、電源部23、加速度センサ31、演算部32、記憶部33、計時部34、及び、A/D変換器35と電気的に接続されており、制御部40によって各動作が制御されるようになっている。
【0034】
演算部32は、制御部40による制御のもと種々の演算処理を行うことが可能な演算手段であり、例えば、記憶部33に記憶された使用者の生体情報や身体活動の加速度値に基づいて、使用者の身体活動の身体活動強度及び身体活動量を取得する。この身体活動量の取得は、所定単位時間(例えば60秒)ごとの身体活動強度にその身体活動の実施時間を乗じることによって行われる。
【0035】
次に、図2乃至図4を参照しつつ、身体活動検出装置10の動作の流れについて説明する。身体活動検出装置10を起動させた後、使用者が操作部21を操作し、主として身体活動強度及び身体活動量の取得に必要な生体情報(例えば年齢、性別など)の入力、現在時刻・日付を合わせるなどの初期設定を行い、入力された生体情報・設定事項を、記憶部33の所定領域に記憶させる(ステップS10)。この初期設定が終了した後、身体活動検出装置10は使用者の着衣等所定の場所に装着される。
【0036】
その後、身体活動検出装置10により使用者の身体活動情報を取得し、記憶部33に記憶する(ステップS11)。より具体的には、加速度センサ31によって使用者による身体活動の加速度値が取得され、A/D変換器35(35a乃至35c)は、加速度センサ31のX軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cによって取得されたアナログデータとしての各出力値を、それぞれA/D変換する。さらに、制御部40は、身体活動強度の測定が開始された時点からの経過時間を計時部34から取得し、各出力値のA/D変換値を、その取得開始から所定の経過時間に対応させて記憶部33に記憶させていく。
【0037】
次に、制御部40は、計時部34からの情報により、所定単位時間が経過したか否かを判断し(ステップS12)、未経過の場合は(ステップS12でNo)、そのまま身体活動情報の取得・記憶を継続して、所定単位時間の経過の監視を継続する。なお、所定単位時間としては、任意の時間を設定すればよいが、以下においては、一例として60秒に設定されている場合について説明する。
【0038】
一方、所定単位時間が経過した場合には(ステップS12でYes)、演算部32は、制御部40による制御のもと、その所定単位時間において取得された加速度値に基づいて、所定の回帰式を用いて、身体活動強度(メッツ)を算出する(ステップS13)。
さらに、身体活動強度ごとの活動時間を算出する(ステップS14)。例えば、身体活動強度が3メッツとして算出された場合は(ステップS13)、制御部40は、3メッツの身体活動を所定単位時間(60秒)行ったものとして記憶部33に記憶させ、既に3メッツの身体活動の身体活動時間のデータがある場合には、これに所定単位時間(60秒)を合算していく(ステップS14)。
【0039】
次に、ステップS13で算出された身体活動強度が、使用者が目標とする身体活動に効果的なものであるか否かを評価するため、身体活動測定装置10は、所定閾値以上であるか否かを判断する(ステップS15)。より具体的には、演算部32は、ステップS13で算出された身体活動強度が、骨粗鬆症の発症の予防に効果的な負荷が骨に加わる身体活動の身体活動強度(所定閾値)以上であるか否かを判断する(ステップS15)。
【0040】
身体活動強度の所定閾値については、任意の閾値を設定すればよいが、その一例としては、図3に示すような目標身体活動量テーブルを設けるようにする。図3に示す目標身体活動量テーブルは、男性及び女性のそれぞれについて、年齢層ごとに、一日当りに実施することが推奨される目標身体活動量(エクササイズ)とその内訳を表している。なお、図3に示す目標身体活動量テーブルに表示されている数値は、一例に過ぎない。
【0041】
この表によれば、例えば10歳台の男性の場合には、一日に3エクササイズが目標身体活動量となり、その内訳は、身体活動強度が3メッツの身体活動の場合には、その身体活動を60分間行い、同様に、身体活動強度が4、5、6メッツの身体活動の場合には、その身体活動をそれぞれ45、36、30分間行うことが必要であることを示している。即ち、10歳台の男性の使用者にとって、骨粗鬆症の発症の予防に効果的な負荷が骨に加わる身体活動の身体活動強度としては、3メッツ乃至6メッツであることが予め設定されており、前記所定閾値は3メッツということとなる。なお、この場合の目標身体活動量は3エクササイズである。
また、同じ男性であっても80歳台の場合には、一日に1エクササイズが目標身体活動量とされ、その内訳は、身体活動強度が2メッツの身体活動の場合には、その身体活動を30分間行い、同様に、身体活動強度が3、4メッツの身体活動の場合には、その身体活動をそれぞれ20、15分間行うことが必要であることを示している。即ち、80歳台の男性の使用者にとって、骨粗鬆症の発症の予防に効果的な負荷が骨に加わる身体活動の身体活動強度としては、2メッツ乃至4メッツであることが予め設定されており、前記所定閾値は2メッツということとなる。なお、この場合の目標身体活動量は1エクササイズである。
【0042】
上記の例によれば、骨粗鬆症の発症の予防に効果的な負荷が骨に加わる身体活動の身体活動強度は、使用者が10歳台の男性の場合は3メッツが所定閾値に設定されるが、80歳台の男性の場合には2メッツが所定閾値に設定されることになる。同様に、男性と女性とで閾値を異にしてもよい。なお、以上のような所定閾値及び/又は目標身体活動量の設定については、ステップ10における初期設定時に使用者が年齢及び/又は性別を入力したときに、制御部40は、入力された年齢及び/又は性別に対応する所定閾値を、目標身体活動量テーブル(図3)から求めて設定し、記憶部33に記憶させておけばよい。
【0043】
ステップS13で算出された身体活動強度が所定閾値未満と判断された場合は(ステップS15でNo)、結果表示を更新して(ステップS18)、次の所定単位時間における身体活動情報の取得・記憶を繰り返す(ステップS11)。例えば、使用者が18歳の男性である場合は、所定閾値は3メッツであるため、ステップS13で算出された身体活動強度が3メッツ未満であればステップS18に移行する。
【0044】
ステップS13で算出された身体活動強度が所定閾値以上と判断された場合は(ステップS15でYes)、予め記憶部33に保存されている目標身体活動量テーブル(図3参照)が読み込まれ(ステップS16)、蓄積された身体活動量から達成度の算出を行う(ステップS17)。
【0045】
ここで、目標身体活動量の達成度の算出方法については特に限定されるものではないが、その一例として、使用者が18歳の男性である場合について具体的に説明する。
(1)所定単位時間(60秒)で取得された身体活動情報により身体活動強度が3メッツと算出されると(ステップS13)、所定閾値(3メッツ)以上であるため(ステップS15でYes)、この身体活動情報は達成度の算出対象となる。そして、記憶部33に格納されている目標身体活動量テーブルの「10歳台男性」のデータが読み込まれ(ステップS16)、3エクササイズという目標身体活動量が求まる。一方、使用者は、身体活動強度3メッツの身体活動を所定単位時間(60秒)だけ行っているので(ステップS14)、これによる身体活動量は、身体活動強度(メッツ)に実施時間(時間)を乗じることにより、0.05(=3メッツ×60秒/3600)エクササイズと算出できる。従って、目標身体活動量3エクササイズに対する達成度としては、1.67%(0.05エクササイズ/3エクササイズ=0.0666・・・)と算出することができる。
表示部22には、結果表示(ステップS18)として、達成度「1.67%」や、3メッツの身体活動を1分行ったことを表示すればよい(図4(a)参照)。
【0046】
このようなステップS11からステップS18までの処理が、使用者が身体活動検知装置10を使用している間、所定単位時間ごとに繰り返し行われる。さらに、使用者が継続して身体活動検知装置10を使用していくと、以下のように身体活動検知装置10が動作する。
【0047】
(2)上述の1回目の所定単位時間(60秒)内に、身体活動強度が3メッツの身体活動情報を取得し、達成度「1.67%」を求めた後、続けて、2回目の所定単位時間(60秒)内に例えば2メッツの身体活動情報を取得した場合は、所定閾値(3メッツ)以下であるため(ステップS15でNo)、この身体活動情報は達成度の算出対象とはされない。従って、ステップS18に移行し、表示部22における達成度の表示は、「1.67%」が維持される。
なお、使用者の健康管理の便宜のため、2メッツの身体活動を1分行ったことを示す表示は行うようにするのがよい。この場合、ステップS14で算出されて記憶されている身体活動強度ごとの活動時間を表示すればよい。即ち、1回目の所定単位時間において既に3メッツの身体活動を1分行ったことが算出されており、2回目の所定単位時間において2メッツの身体活動を1分行ったことが算出されて、それぞれ記憶部33に記憶されている(ステップS14)。従って、「1METs:0分,2METs:1分,3METs:1分,4METs:0分」のように現在までの累積結果を表示すればよい。
【0048】
(3)続けて、3回目の所定単位時間(60秒)内に、3メッツの身体活動強度が取得された場合には、身体活動強度が所定閾値(3メッツ)以上であると判断され(ステップS15でYes)、この身体活動情報は達成度の算出対象とされる。これにて、3メッツの身体活動強度の活動時間は合計120秒(1回目の所定単位時間60秒+3回目の所定単位時間60秒)となるので(ステップS14)、身体活動量は、0.1(=3メッツ×120秒/3600)エクササイズと算出できる。従って、目標身体活動量3エクササイズに対する達成度としては、3.33%(0.1/3=0.0333)と算出することができる。このように、達成度の算出に当たっては、既に3メッツの身体活動を1分行っていること、さらに、今回3メッツの身体活動を1分行ったこと、が考慮される。従って、結果表示において、達成度は「3.33%」に更新されて表示部22に表示される(ステップS18)。併せて、「1METs:0分,2METs:1分,3METs:2分,4METs:0分」のように、各身体活動強度の実施時間の現在までの累積結果を表示する。
【0049】
(4)同様に、4回目の所定単位時間(60秒)内に、4メッツの身体活動強度が取得された場合、身体活動強度が所定閾値(3メッツ)以上であると判断され(ステップS15でYes)、この身体活動情報は達成度の算出対象とされる。すなわち、達成度の算出に当たっては、既に3メッツの身体活動の身体活動を合計120秒行っていること、今回4メッツの身体活動を60秒行ったこと、が考慮される。従って、1回目から4回目までの所定単位時間において、達成度の算出対象となる身体活動情報の身体活動量は、0.1(=3メッツ×120秒/3600)エクササイズと、0.067(=4メッツ×60秒/3600)エクササイズとを合計した、0.167エクササイズとなる。従って、目標身体活動量3エクササイズに対する達成度としては、5.56%(0.167エクササイズ/3エクササイズ=0.0556・・・)と算出することができる。従って、結果表示において、達成度は「5.56%」に更新されて表示部22に表示される(ステップS18)。併せて、「1METs:0分,2METs:1分,3METs:2分,4METs:1分」のように、各身体活動強度の実施時間の現在までの累積結果を表示する。
【0050】
以降も同様にして、所定単位時間ごとに繰り返し行われる。さらに、使用者が継続して身体活動検知装置10を使用してデータを蓄積していけば、1日当りの達成度のみならず、1週間当り、1ヶ月当り、3ヶ月当りの各達成度など、長期的な評価を取得させるようにすることも可能となる。
【0051】
ステップ18における表示については、例えば、図4(a)に示すような構成とすればよい。「あなたの目標 ○METs:○分」のように、身体活動の目標値を使用者ごとに表示する。これは、初期設定(図2のステップS10)において入力された使用者の年齢や性別に対応するデータを、目標身体活動量テーブル(図3参照)から読み出して表示すればよく、例えば、「18歳」「男性」という生体情報の入力があった場合には、「あなたの目標 3METs:60分」のように表示する。
【0052】
また、その使用日における身体活動の累積結果表示として、「今日の結果」の表示と共に、当該使用日における各身体活動強度ごとの動実施時間を「1METS:○分」、「2METS:○分」、「3METS:○分」、「4METS:○分」のように表示すればよい。さらに、達成度が一見して判別できるように、現在までの達成度を「50%達成」のように文字で表示したり、骨形のグラフィックを設けると共に、達成度に応じて着色表示したりすることも好適である。図4(a)では、骨形のグラフィックの左半分を着色表示することにより、達成度が50%であることを表している。
【0053】
使用者による操作部21の操作により、例えば1週間単位の結果表示が選択された場合には、前記1日当りの目標値を1週間当りの目標値に変更すると共に、1週間分の蓄積された各身体活動強度ごとの実施時間をそれぞれ表示する。同時に、前記パーセント表示やグラフィック表示も、1週間当りの表示に変更するようにする。このほか、1ヶ月単位、3ヶ月単位など、表示できる単位を適宜設定すればよい。
【0054】
さらに、現在までの達成度に応じて、目標値へ近づくためのアドバイス表示を行うようにしてもよい。その一例として、図4(b)に示すように、その使用者の運動不足解消のための、又は、骨粗鬆症を防止するために必要な負荷を骨に加えるための身体活動強度として、「○METs以上の活動を行えば目標値に近づけます」のように表示する。この数値は、上述した所定閾値を表示すればよく、例えば、18歳の男性の場合には「3METs以上」のように表示される。また、「○METs以上の活動を行えば」に対する具体的な身体活動「おすすめの活動」の例として、「階段昇降」、「ウォーキング」、「布団あげ」、「スクワット」のように例示列挙するとよい。
【0055】
このように、従来より利用されている歩数測定装置に比較すると、本実施形態による身体活動検出装置10は、骨粗鬆症を防止するために必要な負荷が骨に加わっているか否かを、達成度という指標をもって表示可能であり、身体活動の種類に拘わらず使用者が客観的に評価することができ、自己の身体活動の管理を容易に行うことができる。
【0056】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【0057】
上記実施形態では、骨粗鬆症の発症の予防に効果的な負荷が骨に加わる身体活動の達成度取得を目的とした場合を中心に説明したが、これに限らず、運動不足解消を目的とする場合には、それに適した前記所定閾値や前記目標身体活動量を設定したり、あるいは、前記所定閾値を設けない(図2ステップS15の工程を外す)構成としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 身体活動検出装置
21 操作部
22 表示部(表示手段)
23 電源部
31 加速度センサ(身体活動測定手段)
31a X軸センサ
31b Y軸センサ
31c Z軸センサ
32 演算部(身体活動測定手段、演算手段)
33 記憶部(記憶手段)
34 計時部
35 A/D変換器
35a A/D変換器
35b A/D変換器
35c A/D変換器
40 制御部(身体活動測定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者による身体活動の身体活動強度を測定する身体活動測定手段と、
前記身体活動測定手段により測定された前記身体活動強度に関する身体活動量を取得すると共に、目標身体活動量に対する達成度を演算する演算手段と、を備えること
を特徴とする身体活動検出装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記身体活動測定手段により測定された前記身体活動強度が、所定閾値以上であるか否かを判断し、前記所定閾値以上であると判断された身体活動強度に関する身体活動量の目標身体活動量に対する達成度を演算することを特徴とする請求項1に記載の身体活動検出装置。
【請求項3】
所定測定期間において前記所定閾値以上であると判断された身体活動強度に関する身体活動量を記憶する記憶手段を備え、前記演算手段は、前記記憶されている前記身体活動量を合計し、目標身体活動量に対する前記合計された身体活動量の達成度を演算することを特徴とする請求項2に記載の身体活動検出装置。
【請求項4】
所定測定期間において前記所定閾値以上であると判断された身体活動強度ごとの身体活動時間を記憶する記憶手段を備え、前記演算手段は、前記身体活動強度ごとに前記記憶されている身体活動時間を合計して前記身体活動量を取得することを特徴とする請求項2に記載の身体活動検出装置。
【請求項5】
前記所定閾値及び/又は前記目標身体活動量は、骨粗鬆症の予防に効果的な負荷が骨に加わる身体活動に対応する値であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち、いずれか1に記載の身体活動検出装置。
【請求項6】
前記所定閾値及び/又は前記目標身体活動量は、使用者の年齢及び/又は性別に応じて設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち、いずれか1に記載の身体活動検出装置。
【請求項7】
前記身体活動測定手段は、加速度センサであり、前記身体活動強度は、前記加速度センサにより測定される身体活動の加速度値に基づいて算出されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうち、いずれか1に記載の重量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−253204(P2010−253204A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110051(P2009−110051)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】