説明

身近な自給栽培方法

【課題】身近な材料で手軽に安価に、野菜などの自給自足の栽培が可能な栽培方法を提供する。
【解決手段】容器内におが屑などの吸水・保水性材料を収容し、その上から、栽培する野菜などの植物を入れて、容器内に適宜の量の水を入れ、必要に応じて、最上面に、吸水・保水性材料の飛散防止用の対策を施し、身近な材料で手軽で安価に、野菜などの植物の自給栽培を可能にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、身近な材料で手軽に安価に、野菜などの自給自足の栽培を可能にする栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜などの自給栽培は、農地で直接に栽培する方法のほか、園芸店、ホームセンターなどで、安価なプランターや植木鉢を買い求めて、そこに土を入れて簡単に野菜作りをするのが一般的である。
【0003】
また、給水に工夫を凝らして、毛細管現象を利用して、植物に一定の水を補給する特殊なプランターも販売されている。これは、毎日近くで水の供給調整で管理が出来ない場合や、長期的に留守にする場合が多いとか、水やりをうっかりと忘れる場合などに効果的である。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の農地による栽培の方法では、農地の取得・賃借など誰でも簡単にできるものではないのが限界・欠点である。しかも、自然災害にも弱いのが弱点である。
また普通のプランターや植木鉢では、絶えず給水することが必要で管理面で大変な作業である。ましてや長期に外出しているなどの状況下では、十分な給水管理ができないのが欠点である。それに大量生産には向かないのも欠点であろう。さらには、プランター内に重い土を収納する点でも、重量がかさみ、持ち運びに不便である。
【0005】
そこで、植木鉢の周囲の壁に貯水タンクを設けて、毛細管現象を活用して、一回の給水で一定量の水を少しずつ供給するようにしたプランターも出現しているが、土がプランター内の植木鉢だけで良い点では、土をプランター内に全面的に収容する従来のものに比べて、土が少なく軽量化が図られてはいる。
【0006】
しかしながら、当該プランター・植木鉢自身が高価であったり、普通のプランターと同様に、容器も小さく底も浅く、小さな短い低い植物しか栽培できず、それに大量生産で野菜などの植物を自給するには限界があるのが欠点であろう。
何よりも、毛細管現象の原理を利用して水を供給するに際して、一定量の給水を可能にするための、給水口における水の調整が上手く行かず、慣れるまでに相当の経験と熟練を要し、ある程度大きな植物には向かないことである。
【0007】
そこで、これらの欠点を解消するべく、誰でも身近で手軽に安価に野菜などの植物の大量自給栽培を図れることが求められてくるが、この発明はそれを可能にすることを目的とするものである。
【0008】
さて、植物にとっては、太陽や土壌、肥料、水分などを必要としていることが常識とされているが、その中でも何よりも水分を要求しているのである。
【0009】
他方で、我々は、植物に大量の肥料や水を与えすぎても枯れていくのを経験済みである。実に、植物には水が大切であるが、植物の性質によっては、、水が過度に多いのも、また過度に少ないのも、何れも植物の健全な生育には障害である。
【0010】
植物にとって必要なのは、適切な一定量の水分である。ところが、普通は植物に給水するに際して、乾いたら給水するというのが一般的である。これでは植物に不均等、不均一に給水していることになり、絶えず一定量の水を要求している植物の要求に十分に応えていないといえる。
【0011】
実に、病人に対する点滴も一定量の栄養剤を絶えず供給することで病気の回復にも効果的なのと同じように、植物も、あたかも点滴のように、絶えず一定量の給水を要求しているのである。
【0012】
この発明は、換言すれば、あたかも点滴機能・装置を代替したように、室内栽培の場合には、一定量の給水を可能にしたもので、身近で手軽で安価な栽培方法ないし装置というもので、勿論、戸外での栽培も可能であり、上記の従来例の同様の毛細管現象の原理によるプランターの高価格などの諸々の欠点を大幅に克服した装置とも言える。
【0013】
(本発明普及の背景)
現在、我が国の農業従事者の平均年齢は、60才を超えており、後継者不足も深刻で、零細的な経営状態も多く、それに、減反政策も影響して、農業従事者の意欲も減退気味であり、さらには、外国からの安価な食糧の輸入により、価格的にも国際競争力の面でも,過酷な試練に立たされているのが現実である。
【0014】
それに、昨今、世界的にも大洪水や干魃、猛暑や寒波などの異常気象の蔓延、頻発化などによる食糧事情の悪化が既に現実化してきており、世界的な深刻な食糧危機の到来も予想されている。
【0015】
今後、わが国も、外国ほどの異常気象の影響は少ないものの、2011年3月の東北大地震による深刻な放射能汚染も影響して、例外なく食糧危機が到来するように思われる。こうした深刻な食糧不足が予想される状況の中で、食糧危機への解決策を展望し、手軽で身近で、用途に合わせて調達できる容器や材料により、植物の自給自足が可能な栽培方法を提案するものである。
【0016】
なお、深刻な食糧危機に対しては、普通に考えているような備蓄のような対策では、ある程度の緊急避難的な一時的な効果はあるものの、何れ底をついて無くなるのは明らかであり、永続性を期待するには不適切・不十分であろう。
【0017】
それに現在のように、家畜に飼料を大量に与えて肉を回収・還元させるような方法では、そのまま人間がトウモロコシや大豆などを食べるのに対し、何と10倍もの飼料の量が必要だとの試算もあり、大変に無駄な食糧生産をしていることになる。その意味でも、根本的に畜産は大きく見直して、野菜や穀物中心の食糧需給に切り換えて行かざるを得なくなるだろう。
【0018】
そして現在の食糧生産では、大量生産方式の元に機械化されている反面、大量のエネルギー消費を余儀なくされており、食糧危機とエネルギー危機がダブルで到来すれば、一気に現在の広大な農地による大量機械化生産方式による食糧供給の体制が崩壊することになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、これらの農業・食糧を取り無く環境を考慮しながら、食糧危機問題への解決策を提示するものである。
さて、普通に作物栽培を考えると、ある程度の面積の農地、太陽光線を必要とし、輪作障害、季節性などの諸問題を考慮することが大切であるが、この発明になる自給栽培の方法では、農地不要の室内でも良く、また、太陽光線不要で白熱蛍光灯でも良く、それに輪作障害もなく、季節にも無関係で、家屋の中で温室栽培のように、そして必要に応じては身近な戸外でも自給栽培が可能である。
【0020】
今回、発明した身近な自給栽培方法は、上記の従来の植木鉢の周囲の壁に貯水タンクを設けて、毛細管現象を活用して、一回の給水で一定量の水を少しずつ供給するようにしたプランターを大量に入手して、何回も実験を繰り返す内に、多大なヒントを得て、諸々の欠点を克服して発明に至ったものである。
【0021】
本発明と、当該プランター装置とは、広大な農地や太陽光線などを必要とせずに、植物に一定量の水を供給する方法ないしは装置である点では、解決課題が共通し、また毛細管現象を利用する原理的な手法でも共通するものであるが、本発明は、身近な材料で、より安価で、誰でも手軽に、格別の栽培経験や知識もなく、どこでも簡単に自給自足的に栽培できるのが最大の特長である。
【実施例】
【0022】
本発明の実施に関する事項は以下の通りである。
【0023】
1.容器
用いる容器としては、自給栽培する植物の種類や数に合わせた大きさや深さが確保できる上に、軽くて丈夫なものなら何でも良いが、特に身近なもので代用できるものと言えば、室内栽培では、衣装ケースのようなものが最適と言えよう。勿論、これに留まらず、バケツ、漬け物容器、水槽、各種コンテナ・容器類などでも効果的である。
また、戸外で栽培する場合には、植物の性質によっては、雨水の水はけを考慮して、側面が穴、メッシュ、網目が付いたかごのような容器を使っても良い。その際には、必要に応じて、側面を透水性のシートやマット、スポンジなどで被覆しても良いだろう。また、底面には穴があってもなくても、適宜に選択が可能であろうが、穴あきだと、適宜にシートやマット、スポンジなどでを敷設した方が良いだろう。
【0024】
また、室内栽培の場合には、容器は貯水槽も兼ねるので、普通のプランターと異なり、底には孔が無いことが一般的であるが、植物によっては、乾燥したところでも生育が可能で、排水を好む場合には、余剰水の受け皿などと組み合わせて多少の孔があっても良い。
そして、容器の大きさや形状、色彩は、個人の好みにより、また、植える植物の種類によって自由に選択可能であるのは言うまでもない。ただ、透明のものであれば、容器内の様子が側面から観察できるメリットがあると言えよう。
なお、衣装ケースにはキャスター付きの物もあるので、移動させる場合には便利である。
【0025】
2.吸水・保水性材料
そして、当該容器の中に入れる吸水・保水性材料であるが、目的、特長としては、植物の根が浸透しやすく、水を吸収しやすいこと、容器内の水が乾燥せず保水しやすいことなどが大切である。勿論、他には、どこでも安価で入手しやすく、軽量で持ち運び容易で、長持ちすることも最重要事項である。
【0026】
そこで、これらの条件をある程度満足できて、身近で入手できる吸水・保水性材料としては、おが屑、かんなくず、木屑、モミガラ、おから、紙屑、布くずなどが挙げられるが、安価で軽くて半永久に利用できるものとしては、製材所などで排出される廃棄物のおが屑が効果的で、植物の生育にも最も好ましいと言えるだろう。
【0027】
何故ならば、おが屑に類するものとして、かんなくず、木屑、モミガラなどがあるが、植物の根も浸透しやすく生育を妨げない点では同等に効果的だが、これらに比べて、おが屑は、細かい粉末状である故に、表面はできる限り、水分の蒸発による容器内の水分減少を少しでも緩和すると共に、隙間無く敷き詰められる点で最良であり、吸水性や保水性でも効果的と言えるだろう。
【0028】
また、おが屑などの他には、おから、紙屑などもあるが、おからは腐敗し易いのが欠点であり、紙屑は溶解しやすく、インクなどの化学物質の漏洩が懸念され不適切と言えるだろう。しかも、紙では長持ちしない欠点がある。
【0029】
他にも、シート、スポンジ、マット、布・不織布などの繊維も身近で調達できて、水の浸透から植物の吸水・保水面で効果的ではあるが、根が浸透して発育・成長していくのに障害となると言う欠点がある。
しかし、これらシート、スポンジ、マット、布・不織布などの繊維は、必要に応じて、容器の底面に敷き並べるのならば、紙ほどに溶解することもなく、根の発育にも支障を来さないし大きな問題はない。また、戸外での栽培では、これら繊維で穴、メッシュ、網目付き容器の側面を被覆すれば、水の調整に効果的となるだろう。
【0030】
さらに、目下、吸水性や保水性を利用して、砂漠の緑化や地盤安定化などで注目されつつあるもので、紙おむつなどに利用されているのと同じ材料の吸水性高分子樹脂があるが、これは何よりも高価であるのが欠点である。
【0031】
以上、これらの分析を通じての結論としては、豊かな森林資源を背景に、豊富に出回っている製材所からの廃棄物同様のおが屑が最適といえるだろう。それに、環境問題のことも考慮し、化学的加工品よりも、無加工の自然のおが屑や木屑の方が利点も多いと言えるだろう。
【0032】
3.吸水・保水性材料の収容方法
ところで、容器内に収容するのは、原則としておが屑などの吸水性・保水性材料のみで充分である。それでも、均一の吸水・保水性材料の細かいおが屑に限定されるものではなく、粗いおが屑も利用可能である。
【0033】
その際には、容器の下の方に粗いおが屑を、そして上の方に、細かい粉末状のおが屑というような層構成とするのが、植物の根の生育、保水性、吸水性、植物の自立安定性などの面で最適と言えるだろう。
何故なら、根の育成に当たり、下層部は隙間ができる方が妨げにならないからである。
なお、上述したように、容器の最下層には、シート、スポンジ、マット、布・不織布などの繊維も組み合わせて活用出来ることは言うまでもない。
【0034】
4.給水
最初から給水し、その上からおが屑などの吸水・保水性材料を投入すると、おが屑が表面に浮き上がって好ましくなく、やはり、給水は最後にした方がよい。
さて、給水の量は、容器内を水が毛細管現象で浸透し、表面上にまで水があふれるほどには上昇しない程度を考慮して、容器内の深さの5分の1前後、容器の容積の5分の1程度が目安として良いだろうが、植物によっては、乾燥を好む場合には、10分の1までなら許容範囲と言えよう。
そして、長期間留守にするなどして,給水ができない場合には、少し多めに給水しておくと良いだろう。
【0035】
また、給水は、容器の上から均等に水やりをするに越したことはないが、おが屑は、軽くて微細な粉末故に、水は落下するように直接に下に行くのではなく、毛細管現象により、横にも伝わっていくから、必要最小限、植物の茎の周囲のおが屑に給水し、吸水させることで茎を固めて、且つ容器の奥深くに均一に浸透していけるというもので、茎を堅固に支えることになる。
勿論、容器内に植木鉢を収納した場合には、その植木鉢の周囲に水をやっても良い。
【0036】
また、植物の成長促進のためにも、適宜に液肥を混入した水を注入しても良いが、最近は様々な有用な成分を含有したエネルギー的に純度の高い水なども製造されており、この水を利用すれば、液肥も節約されることとなる。
【0037】
5.植物の投入
今回発明による植物の栽培では、培養土は原則不要であるので、特に水耕栽培に適していると言える。
なお、普通のプランター栽培や露地での土壌栽培では、植物の肥料効果、植物の支柱効果で、培養土を活用することが一般的であるが、この発明によるおが屑利用の栽培に際しては、吸水・吸湿したおが屑が培養土の代替をするのであり、植物の形態や性質などで支え的にやむを得ない場合を除いて、水耕栽培以外でも肥料や支柱としての培養土は不要とすることも可能である。
【0038】
即ち、場合によっては、植物に付いている根っこの土すら不要と言え、根っこを水洗いで土を除去して、そのままおが屑の中に埋没させても良い。究極的には容器内の植物は、培養土なしの根っこのみでも生育でき、おが屑内に浸透してくる水で生育できるのである。
【0039】
ただ、ホームセンターなどで、植木鉢付きで購入した際の植物に付属している土まで,敢えて除去するのは不経済であるし、水耕栽培向きでない場合には、ある意味では、植木鉢付きのままの方が効率性も良いから、その際には、購入した植木鉢から、土付きのまま、植物をおが屑内に収容しても良い。
【0040】
目下、おが屑を混入した培養土で、キノコ栽培も行われているが、この発明では、原則として容器内の植物に培養土は不要で、おが屑などの吸水・保水性材料のみを収容するものである。この点が実に画期的な栽培方法とも言えるものである。
なお、おが屑も次第に腐敗し堆肥化していくが、時間も掛かり、かなり永続性もあり、それ程神経質なおが屑の交換は不要であろう。
【0041】
6.植物
栽培する植物は実に様々なものを採用することができる。根っこの長い大根やにんじんなどの根菜類は、容器の深いものとし、根っこの短い白菜、キャベツなどの葉菜類は、浅い容器にすれば効率的であろう。
また、椎茸などのキノコ類は、さらに浅い容器で十分であろう。
なお、植える植物は主に自給栽培を目的として,野菜,キノコ類などを念頭に置いているが、何も野菜,キノコ類に限らず、稲、果樹、観賞用植物などでも良いのは言うまでもない。
【0042】
ところで、稲の場合には、水稲栽培のように、田の土の上面にまで水が来るようなほどの豊富な水は不必要になる。あたかも、畑で栽培する陸稲のような栽培が可能であり、それも、土が不要で、おが屑のみで栽培が可能である。
【0043】
7.植物の支柱
普通の感覚では、背の高い植物が安定して自立できるようにするためには、支柱などで支えてやることが必要だが、おが屑活用の栽培では、吸水したおが屑が植物の根っこを堅固に固めることにより、原則として支柱は不要となるものだ。
【0044】
8.容器の蓋
容器の蓋は、原則的には不要であるが、椎茸などの背の低い植物で上方に空間があるものならば、乾燥を防止したり、保温のために、また雨水防止の為には適宜にあっても良いし、その際には、密閉すると、植物の呼吸にも支障を来すから、蓋の位置を少しずらしたり、裏返しに使ったりなどして、隙間を設けておくと良い。
【0045】
9.飛散防止対策
容器中の乾燥したおが屑に給水すると、おが屑は水分を吸収して凝固収縮し、重量が増加して、その重みで沈降し、逆に、水に濡れていない乾燥したおが屑が反動で浮上して、表面に移動することが観察される。
【0046】
そこで、細かい微粉末のおが屑は軽いので飛散しやすいという性質があるので、容器内のおが屑が飛散しない工夫が必要となってくるが、途中段階においても、おが屑などの吸水・保水性材料を投入しながら、霧吹きなどで、随時少しずつ散水していくと良い。
【0047】
また、最後には、おが屑の表面に土などを被せて、飛散防止ないしは抑止しておく方法も考えられるが、土では沈下し易いし、おが屑と混じったりして清潔感に欠けるというものである。
【0048】
そして、適宜なカバーシート、マット、スポンジなどを被せても良いが、植物の茎や容器内の収納植木鉢との収まり具合や、穴あけの手間や、おが屑の完全な密閉度などの点を考慮すると面倒でもある。
実施するとなると、1枚で上から被覆するよりも、複数枚を使って、植物を両側から挟み込むように設け、適当に押さえの重しを置いておくことも考えられる。
【0049】
しかしながら、最終的にも、最も手軽で安価で容易な最表面の飛散防止の方法は、おが屑の上面から霧吹きなどで水を掛けて湿らせておくことである。霧吹きなどの軽い散水でおが屑の表面全体に湿り気が行き渡って、おが屑が飛散しにくくなるのである。
つまり、単なる散水によって、最初から最後まで、おが屑の飛散防止が得られ、しかも表面全体がみずみずしくなって、二重の効果があると言える。
【0050】
10.電灯
家屋内で栽培する方法では太陽光線は不要であり、室内で用いる光熱は、白熱灯では電気代もかさばる上に熱量が強すぎて植物には余り良くなく、白熱蛍光灯ならば、光線も弱くて植物の生体エネルギーと調和して好適と言えるだろう。
また、停電や非常事態などで電気が使えなくなった場合にも、室内で日に当たる場所で栽培継続が可能である。
【0051】
11.湿気対策
家屋内の換気・通風には、窓を小まめに開けたり、扇風機を活用したりして万全の対策を講じることも必要であり、特に湿気対策は重要であろう。何故なら、植物への影響も当然ながら、屋内での植物栽培に伴って、住人や家電製品、家具、家屋自体への湿気の影響は無視できないからである。
そこで、別途に、湿気対策を考慮した自給栽培用の家屋を、安価で手軽な防湿、防かび、滅菌・殺菌、防水、断熱、耐火性に富んだ多機能新材料との関係で提案するつもりである。
【0052】
以上のように、本発明は、主に、身近な家庭、家屋内での自給栽培を目的課題にしたが、何もこれに留まらずに、大規模に実施することも可能であり、実際、倉庫や集会場、ビル内でのビジネス的な大規模栽培を何ら妨げるものでもない。
その際には、容器も衣装ケースなどの小さなものを超えて、床一面におが屑を収容し敷き詰めるような大規模な装置を設けて実施することも可能である。
勿論、戸外での栽培の場合には、雨水の水はけを考慮しながら、メッシュ、網目、穴が付いたかごのような容器を使って、側面を適当なシートやマット、スポンジなどで被覆して栽培しても良いのである。
【0053】
もしも国家的課題として、大規模にビジネス的に遊休施設や不使用建物、廃屋などを有効活用して実施していけば、広大な農地も不要で、天候にもさほど関係なく、新たな農業革命にも展望を切り開くことも可能である。
【発明の効果】
【0054】
この発明は、目下、農業を敬遠する若者にも、身近で安価に手軽に入手できるおが屑という廃棄物同様の材料を活用できるという点では大いに興味を与えるものであろう。それに広大な農地も太陽も必要としない画期的な自給栽培を可能にするもので、室内外を自給自足の植物園、菜園にすることができるものである。
【0055】
また、野菜、果樹、穀物など、植物の種類を選べて、それぞれの用途に合わせられることが大きなメリットである。
それに、大変身近で安価なおが屑という吸水・保水性材料の使用により、毛細管現象と相俟って、水を長期間に亘って保持させる効果をもたらす為に、植えた植物への水やり、給水の手間が省け、常に安定した水分を植物に供給できる。
【0056】
今後、わが国も、世界的な異常気象、天変地異の影響からくる食糧事情の悪化、そして、先述の2011年3月の東北大地震に伴う深刻な放射能汚染も影響して、例外なく食糧危機が到来するように思われる。何よりも食糧問題は、誰にでも共通する死活的関心事であり、身近な緊急的な課題でもあると言える。
こうした深刻な食糧不足が予想される状況の中で、食糧危機への解決策を展望し、手軽で身近で、用途に合わせて調達できる容器や材料により、植物の自給自足が可能な栽培方法は、私生活の面でも多大な効果をもたらすものである。
【0057】
特に、長期化すると予想される深刻な食糧危機に対しては、通常の備蓄のような対策では、それなりに有意義ではあっても、何れ量的に不足して無くなるのは明らかであり、一時的な対症療法でしかないのは明らかである。その面からも、永続的な自給体制を図ることを可能にするものである。
【0058】
それに、現在のような畜産に見られるような方法では、即ち、家畜に大量の飼料を与えて成長させ、その後に肉を回収するような方法では、大変に無駄な食糧生産をしていることになる。何故ならば、そのまま人間がトウモロコシや大豆などを食べるのに対し、家畜には何と10倍もの飼料の量が必要だとの試算もあるからだ。
その意味でも、現在の畜産産業は、食糧危機に際しては、根本的に見直さざるを得なくなり、野菜や穀物中心の食糧需給に必然的に切り換えられていくであろう。
【0059】
また、現在の機械化された大量生産方式による食糧生産では、生産や運搬、保管面で大量のエネルギー消費を余儀なくされており、食糧危機とエネルギー危機が同時に襲来すれば、一気に現在の広大な農地による大量機械化生産方式による食糧供給の体制が、エネルギー供給の観点からも崩壊することになる。
【0060】
特に今後は、深刻な食糧危機に対しては、略奪などの面でも広大でオープンで効率的な機械化された農地・農法などは役立たないであろう。食糧危機への非常対策・防衛として、単なる農地の確保を超えて、また庭先での栽培をも超えて、植物の盗難・略奪されるのを警戒しながら、誰からも知られずに家屋内や身近な戸外などでこっそりと栽培する方法が真剣に求められて来ることであろう。現に、一部では既に農産物の盗難・紛失が頻発化しているのが実情である。
【0061】
そこで、急迫化する食糧危機の際には大混乱の無秩序状態が予想され、平時、平和な状況を超えた自主防衛、自主管理などの緊急避難的な対応が求められてくる。
この発明は、実に食糧危機に対する緊急かつ重要な最優先の国民的死活的問題への簡単で合理的な解決策を提示するものであり、即ち、防犯的にも効果的で安心で、身近で手軽に家屋内外での食糧の自給栽培を可能にするものである。
また、電気が使えなくなった非常事態に際しても、室内外においても日に当たる場所で栽培継続が可能である。
【0062】
なお、室内での栽培が防犯に効果的と言えば、何も泥棒的人間のみを対象とするものでもなく、カラスなどの鳥や、イノシシ、鹿、サル、モグラ、ネズミなどの動物による被害からも予防・回避されるというものだ。それに、害虫などに対しても、家屋内での栽培は有効、効率的と言えるだろう。
そうした面でも、防犯施設、予防対策、殺虫剤などの化学物質などの出費も節約されて、コスト面でも大きく貢献できるであろう。
【0063】
ところで、目下、先述の2011年3月に発生した東北大地震、福島原発事故により問題になっている農地や植物への放射能汚染であるが、建物の中で栽培できるので、降雨や空気からの放射能の汚染もない。また、農地に栽培するものでもないので、土壌汚染の心配もない。そして、清潔な水の利用で、河川などの水からの汚染の心配もない。
【0064】
何よりも、普通、世間の常識からも、農業的に有利と言えば、広大な農地、肥沃な大地、温暖な気候風土、豊かな水資源などが連想されるが、この身近で手軽な自給栽培方法は、植物が要求している最大のものを一定の水の供給にヒントを求め、身近で安価に入手できる「おが屑」と言う豊富な森林資源の廃棄物の材料や、室内では衣装ケースなどの手軽な容器を用いることにより、また戸外では穴、メッシュ、網目付きかごのような容器で、自給自足によって食糧危機問題を一挙に解決するものである。
【0065】
そして、従来の農業の在り方を根本から改定し、国民一人一人の好奇心、興味、努力から、一躍、個人的にも自給栽培を通じて自立した食生活の実現を可能にし、さらには、国民の総決起による国家的推進からも農業自立国に変身・前進できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】 この発明の一実施例の植物を投入した容器の概観図。
【図2】 この発明の一実施例の植物を投入した容器の断面図。
【図3】 植物を投入した容器内の水の浸透状況を示した図
【符号の説明】
1…… 容器 2…… おが屑 3…… 植物 4…… 根
5…… 水分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内におが屑などの吸水・保水性材料を収容し、その上から、栽培する野菜などの植物を入れて、容器内に適宜の量の水を入れ、必要に応じて、最上面に、吸水・保水性材料の飛散防止用の対策を施し、身近な材料で手軽で安価に、野菜などの植物の自給栽培を可能にすることを特徴とする身近な自給栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−85547(P2013−85547A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241652(P2011−241652)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(511263530)
【出願人】(511263541)
【Fターム(参考)】