説明

車両の充電システムおよび車両の充電方法

【課題】簡素かつ効率的な構成で、ユーザの利便性を向上可能な車両の充電システムを提供する。
【解決手段】充電器160は、外部電源402からの電力を蓄電装置150の充電電力に変換可能に構成される。PM−ECU140は、蓄電装置150の残容量に基づいて、予め定められた所定電力で蓄電装置150を充電したときの充電時間を演算するとともに、ユーザにより入力部200に入力される充電終了予定時刻および充電時間に応じて充電開始時刻を設定する。PM−ECU140は、充電開始時刻に到達したときには、所定電力を蓄電装置150に供給するように充電器160を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の充電システムおよび充電方法に関し、より特定的には、蓄電装置を搭載する車両に対して、車両外部から充電するための充電システムおよび充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機によって車両駆動力を発生可能に構成された、電気自動車、ハイブリッド自動車および燃料電池自動車等の車両では、当該電動機を駆動するための電力を蓄積する蓄電装置が搭載されている。このような車両では、発進時や加速時などに蓄電装置から電動機に電力を供給して車両駆動力を発生する一方で、降坂走行時や減速時などに電動機の回生制動により発生した電力を蓄電装置に供給する。
【0003】
このような車両において、商用電源などの外部電源と電気的に接続されて蓄電装置の充電(以下、単に「外部充電」とも称する)が可能な構成が提案されている。このような外部充電が可能な車両においては、ユーザにより設定された充電終了予定時刻(あるいは、次回車両運転開始時刻)に基づいて、その充電終了予定時刻の直前に蓄電装置の充電が終了するようなタイマー充電機能を有する車両が存在する。
【0004】
たとえば、特許第3554057号公報(特許文献1)は、電気自動車用蓄電池の充電を行なう充電器を制御する電気自動車用蓄電池充電制御装置を開示する。この特許文献1に記載される充電制御装置では、充電に先立って、充電器に設けられた電源プラグを電源ジャックへ挿入することによって電源の接続が行なわれると、充電器に接続された電源電圧値が検出される。そして、乗車予定時刻が設定された後に充電開始指示がなされると、充電開始指示がなされたときの蓄電池の放電量、検出された電源電圧値および、予め定められた充電電流値に基づいて必要充電時間が演算される。さらに、設定された乗車予定時刻および演算された必要充電時間に基づいて、乗車予定時刻に充電を終了させるための充電開始時刻が演算される。そして、充電開始時刻になると、充電電流値によって充電が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3554057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に記載される構成では、必要充電時間は、充電器に接続されている電源電圧値の検出値と、予め定められた充電電流値とに基づいて演算される。電源電圧値の検出は、充電器に設けられた電源プラグが電源ジャックに挿入されたときに、充電器の内部のタップ切替回路が電源ジャックに挿入された電源プラグを判別することによって行なわれる。したがって、特許文献1においては、充電器に電源が接続された状態ではじめて、必要充電時間の演算が可能となり、充電開始時刻の決定が可能となる。
【0007】
言い換えれば、充電器に電源が接続されるまでは、必要充電時間の演算、および必要充電時間に基づいた充電開始時刻の決定を行なうことができない。そのため、ユーザは、乗車予定時刻に充電を終了させるために、いつまでに充電を開始する必要があるかを直ちに知ることができない。これにより、充電器に電源が接続された時刻によっては、乗車予定時刻に充電を終了させることが手遅れとなってしまう場合が起こり得る。
【0008】
また、特許文献1では、充電器に電源が接続された後に必要充電時間が演算され、その演算結果に基づいて、上記の充電開始時刻の演算に加えて、乗車予定時刻に充電を終了させることができるか否か、すなわちタイマー充電の実行可否が判断される。そのため、タイマー充電を実行するための制御ロジックが複雑化するという不具合がある。
【0009】
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡素かつ効率的な構成で、ユーザの利便性を向上可能な車両の充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従えば、車両に搭載される蓄電装置の充電を制御するための車両の充電システムは、外部電源からの電力を蓄電装置の充電電力に変換可能に構成された充電器と、蓄電装置の残容量に基づいて、予め定められた所定電力で蓄電装置を充電したときの充電時間を演算するとともに、ユーザにより入力される充電終了予定時刻および充電時間に応じて充電開始時刻を設定し、かつ、充電開始時刻に到達したときに、所定電力を蓄電装置に供給するように充電器を制御するための制御装置とを備える。
【0011】
好ましくは、所定電力は、ユーザからの入力に従って設定される。
好ましくは、制御装置は、所定電力が蓄電装置に供給されるように、外部電源の供給電圧に応じて、蓄電装置に供給する充電電流を制御する。
【0012】
この発明の別の局面に従えば、車両に搭載される蓄電装置の充電を制御するための車両の充電方法であって、車両は、外部電源からの電力を蓄電装置の充電電力に変換可能に構成された充電器を含む。車両の充電方法は、蓄電装置の残容量に基づいて、予め定められた所定電力で蓄電装置を充電したときの充電時間を演算するステップと、ユーザにより入力される充電終了予定時刻および充電時間に応じて充電開始時刻を設定するステップと、充電開始時刻に到達したときに、所定電力を蓄電装置に供給するように充電器を制御するステップとを備える。
【0013】
好ましくは、充電器を制御するステップは、所定電力が蓄電装置に供給されるように、外部電源の供給電圧に応じて、蓄電装置に供給する充電電流を制御する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ユーザの利便性に優れた車両の充電システムを、簡素かつ効率的に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に従う電動車両の充電システムの概略図である。
【図2】図1における充電器の構成を説明する図である。
【図3】本実施の形態において、PM−ECUで実行されるタイマー充電制御を説明する図である。
【図4】本実施の形態によるタイマー充電制御を実現するための制御処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明が繰返さない。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に従う電動車両10の充電システムの概略図である。なお、電動車両10は、外部電源により充電可能な蓄電装置からの電力によって走行可能であれば、その構成は特に限定されるものではない。電動車両10には、たとえばハイブリッド自動車、電気自動車および燃料電池自動車などが含まれる。
【0018】
図1を参照して、電動車両10は、車両駆動の発生に用いられる電力を蓄える蓄電装置150と、駆動力発生用のモータジェネレータ(MG:Motor Generator)120と、電力変換ユニット(PCU:Power Control Unit)180と、モータジェネレータ120によって発生された駆動力が伝達される駆動輪130と、入力部200と、表示部210と、電動車両10の全体動作を制御するためのPM(Power Train Management)−ECU(Electronic Control Unit)140とを備える。
【0019】
さらに、電動車両10は、外部電源からの充電を行なうために、電動車両10のボディーに設けられた車両インレット270と、リレー190と、蓄電装置150を外部電源によって充電するための充電器160と、PLG−ECU170とを備える。なお、外部電源は、代表的には単相交流の商用電源により構成される。ただし、商用電源に代えて、もしくは商用電源に加えて、住宅の屋根などに設置された太陽電池パネルによる発電電力によって外部電源の電力が供給されてもよい。
【0020】
蓄電装置150は、再充電可能に構成された電力貯蔵要素であり、代表的には、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池が適用される。あるいは、電気二重層キャパシタなどの電池以外の電力貯蔵要素によって、蓄電装置150を構成してもよい。図1には、電動車両10のうちの蓄電装置150の充放電制御に関連するシステム構成が記載されている。蓄電装置150には、蓄電装置150の電圧Vb、電流Ibおよび温度Tbを検出するための電池センサ(図示せず)が設けられる。
【0021】
監視ユニット152は、蓄電装置150に設けられた電池センサの出力に基づいて、蓄電装置150の状態値を検出する。すなわち、状態値は、蓄電装置150の電圧Vb、電流Ibおよび温度Tbを含む。上述のように、蓄電装置150として代表的には二次電池が用いられるため、蓄電装置150の電圧Vb、電流Ibおよび温度Tbについて、以下では、電池電圧Vb、電池電流Ibおよび電池温度Tbとも称する。また、電池電圧Vb、電池電流Ibおよび電池温度Tbを包括的に「電池データ」とも総称する。監視ユニット152によって検出された蓄電装置150の状態値(電池データ)は、PM−ECU140に入力される。
【0022】
PCU180は、モータジェネレータ120と蓄電装置150との間で双方向に電力変換するように構成される。具体的には、PCU180は、蓄電装置150からの直流電力をモータジェネレータ120を駆動するための交流電力に変換する。また、PCU180は、モータジェネレータ120によって発生した交流電力を、蓄電装置150を充電するための直流電力に変換する。
【0023】
モータジェネレータ120は、代表的には、永久磁石型の三相同期電動機で構成される。モータジェネレータ120の出力トルクは、動力伝達ギヤ(図示せず)を介して駆動輪130に伝達されて、電動車両10を走行させる。モータジェネレータ120は、電動車両10の回生制動時には、駆動輪130の回転力によって発電することができる。そして、その発電電力は、PCU180によって蓄電装置150の充電電力に変換される。
【0024】
なお、モータジェネレータ120の他に、エンジン(図示しない)が搭載されたハイブリッド自動車では、このエンジンおよびモータジェネレータ120を協調的に動作させることによって、必要な車両駆動力が発生される。この際には、エンジンの回転による発電電力を用いて、蓄電装置150を充電することも可能である。
【0025】
PM−ECU140は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力および各機器への制御信号の出力を行なうとともに、電動車両10および各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0026】
PM−ECU140は、監視ユニット152から入力される電池データ(Vb,Ib,Tb)に基づいて、蓄電装置150の残容量(SOC:State of Charge)を演算する。SOCは、満充電容量に対する現在の残容量を百分率(0〜100%)で示したものである。本実施の形態では、蓄電装置150が空状態(empty)のときをSOC=0%とし、満充電状態(full)のときをSOC=100%とする。なお、蓄電装置150のSOCの算出については、公知の任意の手法を適用できるので、詳細な説明は省略する。
【0027】
PM−ECU140は、電動車両10の走行時において、運転者要求に応じた車両駆動力を発生させるために、モータジェネレータ120およびPCU160を制御する。この車両駆動力の制御に加えて、PM−ECU140は、蓄電装置150で充放電される電力を制御する。また、外部充電時において、PM−ECU140は、蓄電装置150が満充電状態に到達するように、蓄電装置150の充電電力を制御する。
【0028】
充電器160は、外部電源402からの電力を受けて蓄電装置150を充電するための装置である。充電器160は、リレー190を介して電力線ACL1,ACL2によって車両インレット270と接続され、さらに蓄電装置150と接続される。電力線ACL1とACL2の間には、電圧センサ172が設置される。電圧センサ172による電圧(外部電源からの供給電圧)の検出値VACは、PLG−ECU170に入力される。また、充電ケーブル300側から出力されるケーブル接続信号PISWおよびパイロット信号CPLTが、車両インレット270を介して、PLG−ECU170に入力される。
【0029】
充電器160は、PM−ECU140からの制御指令に従って、充電ケーブル300を介して、車両インレット270,電力線ACL1,ACL2およびリレー190を経由して伝達された外部電源402からの交流電力を、蓄電装置150を充電するための直流電力に変換する。
【0030】
図2を参照して、充電器160についてさらに説明する。充電器160は、AC/DC変換回路162と、DC/AC変換回路164と、絶縁トランス166と、整流回路168とを含む。
【0031】
AC/DC変換回路162は、単相ブリッジ回路から成る。AC/DC変換回路162は、PM−ECU140からの駆動信号に基づいて、交流電力を直流電力に変換する。また、AC/DC変換回路162は、コイルをリアクトルとして用いることにより電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路としても機能する。
【0032】
DC/AC変換回路164は、単相ブリッジ回路から成る。DC/AC変換回路164は、PM−ECU140からの駆動信号に基づいて、直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス166へ出力する。
【0033】
絶縁トランス166は、磁性体からなるコアと、コアに巻回された一次コイルおよび二次コイルとを含む。一次コイルおよび二次コイルは、電気的に絶縁されており、それぞれDC/AC変換回路164および整流回路168に接続される。絶縁トランス166は、DC/AC変換回路164から受ける高周波の交流電力を、一次コイルおよび二次コイルの巻線比に応じた電圧レベルに変換して整流回路168へ出力する。整流回路168は、絶縁トランス166から出力される交流電力を直流電力に整流する。
【0034】
AC/DC変換回路162およびDC/AC変換回路164の間の電圧(平滑コンデンサの端子間電圧)は、電圧センサ182によって検出され、PM−ECU140へ入力される。また、充電器160の出力電流(蓄電装置150の充電電流に相当)Ichは、電流センサ184によって検出され、PM−ECU140に入力される。
【0035】
充電ケーブル300は、車両側の充電コネクタ310と、外部電源側のプラグ320と、充電回路遮断装置(CCID:Charging Circuit Interrupt Device)330と、それぞれの機器間を接続して電力および制御信号を入出力する電線部340とを備える。電線部340は、プラグ320とCCID330間を接続する電線部340aと充電コネクタ310とCCID330間を接続する電線部340bとを含む。
【0036】
充電コネクタ310は、電動車両10のボディーに設けられた車両インレット270に接続可能に構成される。充電コネクタ310には、スイッチ312が設けられる。充電コネクタ310が車両インレット270に接続されると、スイッチ312が閉じることにより、充電コネクタ310が車両インレット270に接続されたことを示すケーブル接続信号PISWがPLG−ECU170に入力される。
【0037】
プラグ320は、たとえば家屋に設けられた電源コンセント400に接続される。電源コンセント400には、外部電源402から交流電力が供給される。
【0038】
CCID330は、CCIDリレー332と、コントロールパイロット回路334とを含む。CCIDリレー332は、充電ケーブル300内の電力線対に設けられる。CCIDリレー332は、コントロールパイロット回路334によってオン/オフ制御される。そして、CCIDリレー332がオフされているときは、充電ケーブル300内で電路が遮断される。一方、CCIDリレー332がオンされると、外部電源402から電動車両10へ電力の供給が可能になる。
【0039】
コントロールパイロット回路334は、充電コネクタ310および車両インレット270を介して車両のPLG−ECU170へパイロット信号CPLTを出力する。このパイロット信号CPLTは、コントロールパイロット回路334から電動車両のPLG−ECU170へ充電ケーブル300の定格電流を通知するための信号である。また、パイロット信号CPLTは、PLG−ECU170によって操作されるパイロット信号CPLTの電位に基づいてPLG−ECU170からCCIDリレー332を遠隔操作するための信号としても使用される。そして、コントロールパイロット回路334は、パイロット信号CPLTの電位変化に基づいてCCIDリレー332をオン/オフ制御する。すなわち、パイロット信号CPLTは、PLG−ECU170およびCCID330の間で授受される。
【0040】
PLG−ECU170とPM−ECU140とは、通信バスを用いて双方向に通信可能に接続されている。PLG−ECU170は、ケーブル接続信号PISW、パイロット信号CPLTおよび電圧センサ172の検出値VACを取得すると、これらの取得した情報をPM−ECU140へ送信する。PM−ECU140は、PLG−ECU170から受けた情報に基づいて、外部充電時の充電器160の動作を制御する。この結果、充電器160は、PM−ECU140からの制御指令に従って、外部電源402からの電力を蓄電装置150の充電に適した電力に変換する。具体的には、外部電源402の供給電圧を整流して直流電圧を生成するとともに、PM−ECU140からの制御指令に従って、蓄電装置150に供給する充電電流Ichを制御する。
【0041】
なお、本実施の形態においては、PM−ECU140と、PLG−ECU170とは、別個のECUとして説明したが、これら複数のECUの全部の機能を統合したECUを設けてもよい。
【0042】
図1に戻って、表示部210は、後述するタイマー充電制御においてPM−ECU140により演算された蓄電装置150の充電時間、および当該充電時間に応じて設定された充電開始時刻などのPM−ECU140からの表示情報を表示するためのユーザインターフェイスである。表示部210には、表示ランプやLEDなどのインジケータ、あるいは液晶表示器などが含まれる。
【0043】
入力部200は、後述するタイマー充電制御において、充電終了予定時刻(あるいは、次回車両運転開始予定時刻)を設定するためのユーザインターフェイスである。入力部200により設定された充電終了予定時刻は、PM−ECU140へ送信される。
【0044】
なお、図1においては、入力部200および表示部210がそれぞれ個別の要素として記載されているが、これらの要素は1つの要素に統合されてもよい。
【0045】
また、図1および図2に示す構成に代えて、外部電源402と電動車両10とを非接触のまま電磁的に結合して電力を供給する構成、具体的には外部電源側に一次コイルを設けるとともに、車両側に二次コイルを設け、一次コイルと二次コイルとの間の相互インダクタンスを利用して、外部電源402から電動車両10へ電力を供給してもよい。このような外部充電を行なう場合でも、外部電源402からの供給電力を変換する充電器160以降の構成は共通化できる。
【0046】
(タイマー充電制御)
本実施の形態に従う電動車両10は、外部充電が可能な車両であるため、車両の走行完了後は、蓄電装置150に可能な限り多くの電力を蓄えておくことによって、蓄電装置150に蓄えた電力を用いて電動車両10が走行可能な距離を拡大することができる。
【0047】
その一方で、一般的に、蓄電装置として代表的に使用される二次電池においては、そのSOCが高い状態が長時間継続することは劣化の観点から好ましくない。そのため、本実施の形態に従う電動車両10では、PM−ECU140は、ユーザにより設定された充電終了予定時刻に基づいて、その充電終了予定時刻の直前にSOCが所定の満充電状態となるように、蓄電装置150の充電制御(タイマー充電制御)を実行する。
【0048】
図3は、本実施の形態において、PM−ECU140で実行されるタイマー充電制御を説明する図である。
【0049】
図3(1)を参照して、電動車両10の走行完了後において、ユーザが入力部200により充電終了予定時刻を設定すると、PM−ECU140は、監視ユニット152(図1)からの電池データ(Vb,Ib,Tb)に基づいて、蓄電装置150のSOCを演算する。図3(1)では、蓄電装置150の充電を開始する前の電池残量がSOC=50%であり、この状態から満充電状態であるSOC=100%まで充電する場合を考える。
【0050】
PM−ECU140は、蓄電装置150のSOCに基づいて、蓄電装置150を満充電状態まで充電するための必要充電量を演算する。そして、PM−ECU140は、この必要充電量に基づいて、蓄電装置150を予め定められた一定の充電電力Pchで充電する場合における充電時間tchを演算する。
【0051】
ここで、充電電力Pchは、蓄電装置150を一定電力で満充電状態となるまで充電することを想定して予め設定された固定値である。すなわち、充電電力Pchの大きさは、外部電源402からの供給電圧VACや、充電ケーブル300の定格電流に依存しない。一例として、図3(1)では、充電電力Pch=1kWに定められているものとする。そして、蓄電装置150を充電電力Pch=1kwで充電するときの充電時間tchとして、tch=6h(時間)が算出されたものとする。
【0052】
次に、図3(2)を参照して、PM−ECU140は、算出された充電時間tch(6h)および充電終了予定時刻に基づいて、充電開始予想時刻を決定する。ユーザにより充電終了予定時刻が翌朝6:00に設定されている場合、充電開始予想時刻は、充電終了予定時刻から充電時間tchを差し引くことにより、深夜0:00に決定される。
【0053】
PM−ECU140は、決定された充電開始予想時刻(0:00)、充電時間tch(6h)および充電終了予定時刻(翌朝6:00)を、表示情報として表示部210(図1)へ出力する。これにより、表示部210の画面には、同図に示すように、上記の表示情報が表示される。
【0054】
図3(3)では、ケーブル接続信号PISWに基づいて、充電ケーブル300の充電コネクタ310が車両インレット270に接続されたと判断されると、すなわち、充電ケーブル300により電動車両10と外部電源402とが連結されたと判断されると、PM−ECU140は、充電開始予想時刻を用いてタイマー充電処理を実行する。
【0055】
具体的には、PM−ECU140は、充電ケーブル300が電動車両10に接続された時刻(20:00)から充電開始予想時刻(0:00)までは、電動車両10を充電待機状態(sleep)とする。そして、充電開始予想時刻(深夜0:00)に到達すると、PM−ECU140は、充電器160を駆動することにより蓄電装置150を充電する。このとき、PM−ECU140は、充電器160から蓄電装置150に供給される電力が、上述した一定電力(Pch=1kW)に保たれるように、充電電流Ichを制御する。
【0056】
たとえば、外部電源402からの供給電圧VACが200Vである場合には、PM−ECU140は、充電電力Pch(1kW)を供給電圧VAC(200V)で割り算して、充電電流Ichの目標値Ich*=5Aを算出する。そして、PM−ECU140は、電流センサ184(図2)により検出される充電電流Ichが目標値Ich*=5Aとなるように、充電器160をフィードバック制御する。
【0057】
具体的には、PM−ECU140は、目標値Ich*に対する充電電流Ichの電流偏差について比例積分(PI)演算を行ない、その演算結果に基づいて充電器160を駆動するための駆動信号を生成して、充電器160を制御する。これにより、外部充電の開始後は、蓄電装置150は、一定の充電電力Pch(1kW)で充電される。そして、充電終了予定時刻である翌朝6:00において、蓄電装置150の充電が終了する。
【0058】
図4は、本実施の形態によるタイマー充電制御を実現するための制御処理手順を示したフローチャートである。
【0059】
図4を参照して、PM−ECU140は、ステップS01において、ユーザにより設定された充電終了予定時刻を取得する。さらに、PM−ECU140は、ステップS02により、監視ユニット152から電池データ(Vb,Ib,Tb)と取得すると、ステップS03では、取得した電池データに基づいて現在の蓄電装置150のSOCを演算する。
【0060】
次に、ステップS04により、PM−ECU140は、現在の蓄電装置150のSOCに基づいて、蓄電装置150を満充電状態まで充電するための必要充電量を演算する。そして、演算された必要充電量に基づいて、蓄電装置150を予め定められた一定の充電電力Pchで充電したときの充電時間tchを演算する。
【0061】
ステップS05では、PM−ECU140は、ステップS04で算出された充電時間tchと、ユーザによって設定された充電終了予定時刻に基づいて、充電開始予想時刻を決定する。PM−ECU140は、決定された充電開始予想時刻および充電時間tchを表示部210により表示する。
【0062】
そして、ステップS06により、ケーブル接続信号PISWに基づいて、充電ケーブル300により電動車両10と外部電源402とが連結されたことが検出されると、PM−ECU140は、ステップS07に進み、充電開始予想時刻を用いてタイマー充電処理を実行する。
【0063】
このように、本実施の形態による車両の充電システムによれば、外部充電における蓄電装置150への充電電力Pchを予め定められた固定値としたことにより、外部電源402からの供給電圧や充電ケーブル300の定格電流を考慮する必要なく、蓄電装置150の電池残量から直ちに充電時間tchを演算することができる。したがって、ユーザによって充電終了予定時刻が設定されると、充電ケーブル300により電動車両10と外部電源402とが連結されていない状態であっても、充電時間tchの演算結果から充電開始予想時刻を決定してユーザに報知することができる。これにより、外部電源からの供給電圧および充電ケーブルの定格電流を考慮しながら必要となる充電時間を演算するように構成された従来の充電システムと比較して、車両の充電システムをより簡素かつ効率的に構成することができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、充電終了予定時刻の設定に応答して充電開始予想時刻および充電時間を表示可能としたことにより、充電終了予定時刻に充電を終了させるために、いつまでに充電ケーブル300を電動車両10に接続する必要があるかをユーザに知らせることができる。これにより、充電ケーブル300の接続をユーザに促すガイダンスをユーザに提供することも可能となる。たとえば、充電開始予想時刻から所定時間(たとえば10分とする)を経過しても充電ケーブル300が電動車両10に接続されていないと判断された場合には、PM−ECU140が、充電ケーブル300の接続をユーザに促すガイダンスを表示部210を用いてユーザに通知するようにしてもよい。
【0065】
さらに、充電開始予想時刻に到達しても蓄電装置150の充電を開始することができない場合には、充電終了予定時刻に充電を終了させることができない。たとえば、ユーザが充電ケーブル300を未だ電動車両10に接続していない場合や、電動車両10の内部(特に充電器160)に異常が発生した場合がこれに該当する。このような場合には、PM−ECU140は、ユーザによるタイマー設定をキャンセルするとともに、その旨を表示部210を用いてユーザに通知する。この通知により、PM−ECU140は、充電ケーブル300の接続を促すガイダンスをユーザに提供することができる。また、充電ケーブル300が電動車両10に接続されている状況では、充電不能となる異常が生じている旨をユーザに報知することができる。
【0066】
上述の実施の形態では、本発明に係る充電システムが適用される車両の代表例として電気自動車について例示したが、本願発明は、車両外部の電源によって充電可能に構成された蓄電装置を搭載した車両に適用することが可能である。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
10 電動車両、120 モータジェネレータ、130 駆動輪、140 PM−ECU、150 蓄電装置、152 監視ユニット、160 充電器、162 AC/DC変換回路、164 DC/AC変換回路、166 絶縁トランス、168 整流回路、170 PLG−ECU、172,182 電圧センサ、184 電流センサ、190 リレー、200 入力部、210 表示部、270 車両インレット、300 充電ケーブル、310 充電コネクタ、312 スイッチ、320 プラグ、332 CCIDリレー、334 コントロールパイロット回路、340 電線部、402 外部電源、ACL1,ACL2 電力線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される蓄電装置の充電を制御するための車両の充電システムであって、
外部電源からの電力を前記蓄電装置の充電電力に変換可能に構成された充電器と、
前記蓄電装置の残容量に基づいて、予め定められた所定電力で前記蓄電装置を充電したときの充電時間を演算するとともに、ユーザにより入力される充電終了予定時刻および前記充電時間に応じて充電開始時刻を設定し、かつ、前記充電開始時刻に到達したときに、前記所定電力を前記蓄電装置に供給するように前記充電器を制御するための制御装置とを備える、車両の充電システム。
【請求項2】
前記所定電力は、ユーザからの入力に従って設定される、請求項1に記載の車両の充電システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記所定電力が前記蓄電装置に供給されるように、前記外部電源の供給電圧に応じて、前記蓄電装置に供給する充電電流を制御する、請求項1または2に記載の車両の充電システム。
【請求項4】
車両に搭載される蓄電装置の充電を制御するための車両の充電方法であって、
前記車両は、外部電源からの電力を前記蓄電装置の充電電力に変換可能に構成された充電器を含み、
前記蓄電装置の残容量に基づいて、予め定められた所定電力で前記蓄電装置を充電したときの充電時間を演算するステップと、
ユーザにより入力される充電終了予定時刻および前記充電時間に応じて充電開始時刻を設定するステップと、
前記充電開始時刻に到達したときに、前記所定電力を前記蓄電装置に供給するように前記充電器を制御するステップとを備える、車両の充電方法。
【請求項5】
前記充電器を制御するステップは、前記所定電力が前記蓄電装置に供給されるように、前記外部電源の供給電圧に応じて、前記蓄電装置に供給する充電電流を制御する、請求項4に記載の車両の充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85335(P2013−85335A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222179(P2011−222179)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】